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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082138
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】光学測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20220525BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193523
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉野 公彦
(72)【発明者】
【氏名】大川 陽平
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA12
2F065AA21
2F065BB01
2F065FF04
2F065HH03
2F065JJ26
2F065LL04
2F065LL28
2F065LL59
2F065MM04
2F065NN11
2F065QQ06
2F065QQ24
2F065QQ29
2F065QQ31
2F065SS01
2F065TT03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の測定値の中から特定された測定値に対応する測定画像をユーザに提示可能にすることで、不良品の状態をより正確に把握できる光学測定装置を提供する。
【解決手段】光学測定装置1は、測定画像のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する実行部73aと、予め定められた期間に亘って順次取得される測定画像に対して実行部により繰り返し実行された複数の寸法測定の測定値と、当該測定値と対応する測定画像とを関連付けてバッファに記憶させる処理部73bと、処理部によりバッファに記憶された複数の測定値から第1の測定値を特定する特定部73eと、第1の測定値と、第1の測定値に対応する測定画像とを出力する出力部75とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが配置される測定領域に投射される平行光を生成する投光側テレセントリックレンズが取り付けられ、投光窓を有する投光用筐体と、測定領域を通過した平行光が入射する受光側テレセントリックレンズ及び前記受光側テレセントリックレンズを通過した光を受光する二次元撮像素子が取り付けられ、受光窓を有する受光用筐体とを、前記投光窓と前記受光窓とが対向するように設置した状態で、測定領域を通過するワークの異なる部位に対する寸法測定を行う光学測定装置において、
測定領域に入ったワークを前記二次元撮像素子により撮像させて、当該ワークの測定画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された測定画像のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する実行部と、
予め定められた期間に亘って前記画像取得部により順次測定画像を取得し、順次取得される測定画像に対して前記実行部により繰り返し実行された複数の寸法測定の測定値と、当該測定値と対応する測定画像とを関連付けてバッファに記憶させる処理部と、
所定の条件に基づいて、前記処理部によりバッファに記憶された複数の測定値から第1の測定値を特定する特定部と、
前記特定部により特定された第1の測定値と、当該第1の測定値に対応する測定画像とを出力する出力部とを備える光学測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学測定装置において、
予め定められた期間の終了を示すタイミング信号を受け付ける受付部を備え、
前記特定部は、前記受付部により前記タイミング信号を受け付けた場合に第1の測定値を特定する光学測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学測定装置において、
前記特定部は、前記受付部により前記タイミング信号を受け付けた時点から前記予め定められた期間遡って当該予め定められた期間に属する複数の測定値の中から第1の測定値を特定する光学測定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
前記特定部は、所定の条件としての評価条件に基づいて、前記処理部によりバッファに記憶された複数の測定値から第1の測定値を特定する光学測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
複数の測定値の最大値または最小値が予め定められた閾値範囲にあるか否かを判定する判定部を備え、
前記特定部は、前記判定部による判定結果に基づいて第1の測定値を特定する光学測定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
前記出力部は、前記第1の測定値と、当該第1の測定値に対応する測定画像とを記憶部に保存させる光学測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光学測定装置において、
前記出力部は、全ての測定値を測定画像と関連付けて保存する全画像保存処理と、第1の測定値を当該第1の測定値に対応する測定画像と関連付けて保存し、他の測定値及び測定画像を保存しない一部画像保存処理とを選択して実行可能に構成されている光学測定装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
前記出力部は、予め定められた期間に取得された複数の測定画像を1つのグループとして表示部に表示させる光学測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光学測定装置において、
前記出力部は、予め定められた期間毎に複数の測定画像をグループ化して複数のグループを形成し、測定画像をグループ毎にまとめて表示部に表示させる光学測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定領域に測定光を投射して測定対象物を測定する光学測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、光源から照射された光を貼り合わせ基板の外周縁越しに画像センサに向けて照射し、基板のエッジの影像を画像センサに投影することで、2枚の基板の位置ずれを検出することが開示されている。画像センサ側には、テレセントリックレンズが設けられており、基板のエッジの影像はテレセントリックレンズを介して画像センサに投影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-7898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような光学測定装置では、光源及び投光側テレセントリックレンズを有する投光用筐体と、受光用テレセントリックレンズ及び撮像素子を有する受光用筐体との間の測定領域にワークを配置して測定を行う。このような測定形態において、例えば軸物ワークを回転させながら、撮像素子によって複数回撮像して取得された測定画像のそれぞれについて寸法測定を実行するケースが考えられる。この際、複数の測定結果が取得され、取得された複数の測定結果のうち、例えば最大値を特定することで、その最大値をユーザに提示できる。
【0005】
ところが、提示された最大値がワークを不良品と判定すべき値であった場合、その最大値がどの測定画像から得られたものかはわからない。そのため、不良品の状態をより正確に把握することが困難であった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の測定値の中から特定された測定値に対応する測定画像をユーザに提示可能にすることで、不良品の状態をより正確に把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の開示では、ワークが配置される測定領域に投射される平行光を生成する投光側テレセントリックレンズが取り付けられ、投光窓を有する投光用筐体と、測定領域を通過した平行光が入射する受光側テレセントリックレンズ及び前記受光側テレセントリックレンズを通過した光を受光する二次元撮像素子が取り付けられ、受光窓を有する受光用筐体とを、前記投光窓と前記受光窓とが対向するように設置した状態で、測定領域を通過するワークの異なる部位に対する寸法測定を行う光学測定装置を前提とする。
【0008】
光学測定装置は、測定領域に入ったワークを前記二次元撮像素子により撮像させて、当該ワークの測定画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得された測定画像のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する実行部と、予め定められた期間に亘って前記画像取得部により順次測定画像を取得し、順次取得される測定画像に対して前記実行部により繰り返し実行された複数の寸法測定の測定値と、当該測定値と対応する測定画像とを関連付けてバッファに記憶させる処理部と、所定の条件に基づいて、前記処理部によりバッファに記憶された複数の測定値から第1の測定値を特定する特定部と、前記特定部により特定された第1の測定値と、当該第1の測定値に対応する測定画像とを出力する出力部とを備えている。
【0009】
この構成によれば、測定領域にワークを配置し、例えばそのワークを回転手段によって回転させながら二次元撮像素子により撮像させて順次測定画像を取得すると、順次取得される測定画像に対してエッジの抽出処理が実行され、抽出されたエッジを用いて寸法測定が実行される。これにより、複数の寸法測定の測定値が取得され、取得された複数の寸法測定の測定値と、当該測定値と対応する測定画像とが関連付けられてバッファに記憶される。処理部によりバッファに記憶された複数の測定値から第1の測定値を特定すると、特定された第1の測定値と、当該第1の測定値に対応する測定画像とが出力されるので、一例として、不良品と判定されるような最大値が測定された場合、その最大値とともに、その最大値が測定された測定画像をユーザに提示できるので、不良品の状態をより正確に把握できる。
【0010】
第2の開示では、前記光学測定装置が、予め定められた期間の終了を示すタイミング信号を受け付ける受付部を備えている。前記特定部は、前記受付部により前記タイミング信号を受け付けた場合に、第1の測定値を特定するものである。これにより、予め定められた期間の終了を待って第1の測定値を特定することができる。
【0011】
第3の開示では、前記特定部は、前記受付部により前記タイミング信号を受け付けた時点から前記予め定められた期間遡って当該予め定められた期間に属する複数の測定値の中から第1の測定値を特定することができる。
【0012】
第4の開示では、前記特定部は、所定の条件としての評価条件に基づいて、前記処理部によりバッファに記憶された複数の測定値から第1の測定値を特定するものである。
【0013】
すなわち、第1の測定値を特定する際、バッファに記憶された複数の測定値を何らかの基準で評価せずに特定してもよいが、第3の開示のように、ある評価条件に基づいて特定することもできる。ある評価条件とは、例えば、最大、最小等である。評価せずに特定する場合、例えば、予め定められた期間の終了から遡って所定個数の測定値を特定する、予め定められた期間の中央付近の所定個数の測定値を特定する等である。
【0014】
第5の開示では、前記光学測定装置が、複数の測定値の最大値または最小値が予め定められた閾値範囲にあるか否かを判定する判定部を備えている。前記特定部は、前記判定部による判定結果に基づいて第1の測定値を特定することができるので、例えば閾値範囲にない測定値を第1の測定値として出力することで、不良品の判定が可能になる。
【0015】
第6の開示では、前記出力部が、前記第1の測定値と、当該第1の測定値に対応する測定画像とを記憶部に保存させることができるので、ユーザが後から第1の測定値及び対応する測定画像を確認することができる。
【0016】
第7の開示では、前記出力部は、全ての測定値を測定画像と関連付けて保存する全画像保存処理と、第1の測定値を当該第1の測定値に対応する測定画像と関連付けて保存し、他の測定値及び測定画像を保存しない一部画像保存処理とを選択して実行可能に構成されている。全画像保存処理と一部画像保存処理とはユーザが選択可能にしてもよい。
【0017】
第8の開示では、前記出力部が予め定められた期間に取得された複数の測定画像を1つのグループとして表示することができるので、ユーザは当該期間に属する測定画像をまとめて確認できる。
【0018】
第9の開示では、前記出力部は予め定められた期間毎に複数の測定画像をグループ化して複数のグループを形成し、測定画像をグループ毎にまとめて表示することができるので、ユーザが確認する際の利便性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、順次取得される測定画像に対して繰り返し実行された複数の寸法測定の測定値と、当該測定値と対応する測定画像とを関連付けてバッファに記憶させておき、バッファに記憶された複数の測定値の中から特定した測定値と、その特定した測定値に対応する測定画像とを出力することができる。これにより、測定値が不良品と判定され得る測定値であった場合に、ユーザが不良品の状態をより正確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る光学測定装置の模式図である。
図2】投光用ユニット及び受光用ユニットを固定部材に固定して使用する形態を示す斜視図である。
図3】投光用ユニット及び受光用ユニットを固定部材に固定して使用する形態を示す側面図である。
図4】固定部材を使用せずに投光用ユニット及び受光用ユニットを設置する形態を示す斜視図である。
図5】固定部材を使用せずに投光用ユニット及び受光用ユニットを設置する形態を示す側面図である。
図6】投光用ユニット及び受光用ユニットを固定部材に固定して使用する場合の光軸に沿った縦断面図である。
図7】受光用ユニットの縦断面図である。
図8】テレセントリックレンズ及び受光側反射体を外した状態を示す図7相当図である。
図9】光学測定装置の設定時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】設定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
図11】詳細設定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
図12】測定条件指定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
図13】公差指定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
図14】光学測定装置の運用時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図15】運用時のユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
図16A】現在選択している処理パターンの結果のみ表示したユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
図16B】現在有効な処理パターンの結果を強調表示したユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
図17】軸物ワークを回転させながら測定する場合を説明する図2相当図である。
図18】測定値のホールド機能を説明するタイミングチャートである。
図19】ピークホールド機能の具体例を説明する図である。
図20】特定画像の出力機能の一形態の処理手順を示すフローチャートである。
図21】特定画像の出力機能の別形態の処理手順を示すフローチャートである。
図22】間引き保存処理の具体例を示す図である。
図23】保存可能な測定画像の上限数が設定されている場合の具体例を示す図である。
図24】保存可能な測定画像の上限数が設定され、かつ、新しい方の測定画像を保存する場合の具体例を示す図である。
図25】保存可能な測定画像の上限数が設定され、かつ、古い方の測定画像を保存する場合の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る光学測定装置1の概略構成を模式的に示すものである。光学測定装置1は、測定領域Sに測定光を投射して測定対象物であるワークWを測定する装置であり、投光用ユニット10と、受光用ユニット30と、制御装置70と、キーボード80及びマウス81と、表示装置82と、記憶装置83とを備えている。また、制御装置70にはプログラマブルコントローラ90が接続されている。キーボード80及びマウス81は、操作手段の一例であり、例えばタッチパネル式の操作手段等であってもよい。表示装置82は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成されている。記憶装置83は、例えばハードディスクドライブやSSD(ソリッドステートドライブ)等で構成されている。プログラマブルコントローラ90は、外部制御機器の一例であり、制御装置70から出力される所定の制御信号を受信し、外部に接続された各種機器を制御する。
【0023】
投光用ユニット10は、ワークWが配置される測定領域Sに投射する測定光を生成する光源11と、光源11を保持する光源ホルダ12と、拡散手段13と、投光側反射体14と、投光側テレセントリックレンズ15と、投光用筐体20とを備えている。
【0024】
受光用ユニット30は、二次元撮像素子31と、二次元撮像素子31を保持する撮像素子ホルダ37と、受光レンズ33と、絞り34と、受光側反射体35と、受光側テレセントリックレンズ36と、撮像制御部39と、受光用筐体40とを備えている。撮像制御部39は、受光用ユニット30に設けることができるが、投光用ユニット10に設けられていてもよい。
【0025】
投光用筐体20及び受光用筐体40は高剛性な金属材からなる単一部材で構成されており、各種位置決めの基準となる面や、各部材の取り付けの基準となる面、各部材が接触する面等は切削加工されていて高い精度が確保されている。各種位置決めの基準となる面や、各部材が取り付けの基準となる面、各部材が接触する面等は成型によって形成されてもよい。
【0026】
また、制御装置70は、画像取得部71と、DSP72と、CPU73と、メモリ74と、入出力回路75とを備えている。制御装置70は、例えばパーソナルコンピュータ等で構成することができる。画像取得部71で取得された測定画像のデータは、DSP72で信号処理された後、CPU73に出力される。CPU73では、測定画像のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する。測定画像のエッジ抽出処理は従来から周知の手法を用いることができる。寸法測定としては、例えば2つのエッジ間の距離等である。メモリ74には、RAM及びROMが含まれており、CPU73に所定の機能を実行させるプログラムの記憶や、測定画像、測定結果の一時的な記憶のために利用される部分である。入出力回路75は、測定画像や測定結果、制御信号を外部へ出力するとともに、キーボード80やマウス81の操作状態の入力を受け付ける回路である。測定画像や測定結果は、入出力回路75から記憶装置83に出力することができる。また、制御信号は、入出力回路75からプログラマブルコントローラ90に出力することができる。さらに、測定画像や測定結果は、所定のユーザーインターフェース画面を示すデータとともに表示装置82に出力して表示させることができる。ユーザーインターフェース画面は、CPU73で生成することができる。
【0027】
(光学測定装置1の使用形態)
図2及び図3は、投光用ユニット10及び受光用ユニット30を共通の固定部材60に固定して使用する形態である。固定部材60は、光学測定装置1の一部を構成する部材であり、所定方向に長い金属製の板材で構成され、高い剛性を持っている。固定部材60の長手方向一側に投光用ユニット10を取り付け、固定部材60の長手方向他側に受光用ユニット30を取り付けて使用する。固定部材60の形状は、図示した形状に限られるものではなく、例えば中空状の部材であってもよい。
【0028】
一方、図3及び図5は、投光用ユニット10及び受光用ユニット30を固定部材60に固定せずに使用する形態である。この形態では、投光用ユニット10及び受光用ユニット30を、測定を行う現場にある各種部材(図示せず)に固定して使用する。
【0029】
どちらの使用形態も、投光用ユニット10と受光用ユニット30との間に測定領域Sが形成される。また、投光用ユニット10と受光用ユニット30との距離(ワーキングディスタンス)は予め設定された距離以内とされている。
【0030】
また、この実施形態の説明では、図3図5に示すように、投光用ユニット10と受光用ユニット30とが水平方向に離れていて、両ユニット10、30の光軸が水平方向に延び、かつ互いに一致する場合について説明するが、光軸が斜めに延びるように両ユニット10、30を配置してもよいし、光軸が上下方向に延びるように両ユニット10、30を配置してもよい。つまり、両ユニット10、30を互いに向き合わせたとき斜め方向や上下方向となるように配置してもよい。
【0031】
(投光用ユニット10の構成)
図6にも示すように、投光用ユニット10の光源11は、例えばInGaNグリーンLED等の発光ダイオード等で構成されており、基板11aに実装されている。基板11aにはマイクロコンピュータ等からなる撮像制御部39(図1に示す)が接続されており、この撮像制御部39により、光源11が制御される。例えば撮像の間隔が数ミリ秒~数十ミリ秒であって各撮像における露光時間が1ミリ秒以下である場合、撮像の間隔や露光時間に応じて、撮像制御部39により、光源11がパルス点灯制御される。各撮像における露光時間を例えば100マイクロ秒とすることで、光学測定装置1は高速搬送ワークも止めずに測定可能となり、撮像の間隔や露光時間に応じて光源11がパルス点灯制御されることで、光源11における発熱を抑制することができる。
【0032】
基板11aは、光源ホルダ12に固定されている。基板11aを光源ホルダ12に固定することで、光源11を光源ホルダ12に保持することができる。基板11aは、光源ホルダ12の下部に固定されており、その上に光源11が配置され、光源11は上方へ向けて光を投射する姿勢となっている。基板11aは、光源ホルダ12に対して位置調整可能に取り付けられている。
【0033】
光源ホルダ12には、平行光が得られるように収差補正されたコリメートレンズ12aと、光拡散ユニット12bと、2つの投光レンズ12cとが設けられている。投光レンズ12cは1つであってもよい。コリメートレンズ12aは、光源11の上方に位置しており、光源11の光がコリメートレンズ12aに直接入射するようになっている。コリメートレンズ12aに入射した光は、平行光に変換されて上方へ出射する。コリメートレンズ12aの光出射面の上方には、光拡散ユニット12bが位置している。光拡散ユニット12bは入射した光を拡散させるための部材であり、光拡散ユニット12bに入射した光は、光拡散ユニット12bを通過することで、拡散されて上方へ出射する。コリメートレンズ12aから入射した平行光は、光拡散ユニット12bにおいて円形の光像を形成する。光拡散ユニット12bを通過した平行光は、光像の各点において平行成分をピークとする角度特性の拡散光として光拡散ユニット12bから出射される。2つの投光レンズ12cは、光拡散ユニット12bの光出射面の上方に位置している。光拡散ユニット12bから出射した光は、2つの投光レンズ12cを通過して上方へ出射する。2つの投光レンズ12cは、光拡散ユニット12bから出射した光の広がり角を調整する。光拡散ユニット12bから出射した光の広がり角を狭い角度に調整することで、投光側テレセントリックレンズ15を通過する光の光密度を高めることができる。また、投光レンズ12cを通過した光は、スリット12dを通過するが、スリット12d近傍の各位置において、光量の総和や角度分布が全て均質になる。これにより、影像の境界の状態が場所によって変わらず、測定精度を高めることができる。
【0034】
光源11、コリメートレンズ12a、光拡散ユニット12b及び2つの投光レンズ12cは、光源ホルダ12に固定されて相対変位が不能になっている。この状態で、光源11の中心を通って当該光源11の光放射面に垂直な線上に、コリメートレンズ12a、光拡散ユニット12b及び2つの投光レンズ12cの光軸が位置するように、コリメートレンズ12a、光拡散ユニット12b及び2つの投光レンズ12cが配置されている。
【0035】
光源ホルダ12は、投光用筐体20の内部に収容された状態で当該投光用筐体20に取り付けられている。光源ホルダ12を投光用筐体20に取り付ける際には、ネジ16による締結構造を用いることができる。光源ホルダ12には、ネジ16が挿通する挿通孔(図示せず)が形成されており、この挿通孔を長穴に形成することで、光源ホルダ12の位置調整を行うことが可能になる。
【0036】
投光用筐体20は、受光用筐体40と対向する面が前面であり、前面は上下方向にのびている。投光用筐体20の後面は、受光用筐体40と対向する面と反対に位置する面であり、この後面は、上端に近づくほど前に位置するように傾斜しており、この傾斜角度は、後述する投光側反射体14の設置角度と対応している。後面の下側からは受光用ユニット30と接続される信号ケーブルC(図2等に示す)が外部へ出ている。また、投光用筐体20の両側面は互いに平行に上下方向に延びている。投光用筐体20の下面は、固定部材60への取付面となっている。
【0037】
投光用筐体20の内部には、投光レンズ12cから出射した光を反射する投光側反射体14が収容されている。この投光側反射体14は、例えば平板状のミラー等で構成されている。投光用筐体20の内部における上側部分には、投光側反射体14を取り付けるための複数の反射体取付部21が互いに間隔をあけて設けられている。反射体取付部21は、投光用筐体20の内面から突出しており、突出方向先端部には、反射体取付部21の裏面が当接する当接面21aが形成されている。各当接面21aに投光側反射体14の裏面を当接させた状態で、投光側反射体14を投光用筐体20に対して高精度に位置決めすることができる。すなわち、投光用筐体20に一体成形された反射体取付部21の当接面21aに投光側反射体14を直接当接させることで、投光用筐体20と反射体取付部21との間に別部材が介在しないので、投光用筐体20の成形精度と同程度の高い精度で投光側反射体14を位置決めできる。投光側反射体14は、反射体取付部21に対して接着剤によって接着してもよいし、ネジ等の締結部材で締結してもよい。
【0038】
投光側反射体14は、光源ホルダ12の投光レンズ12cから出射した光が当該投光側反射体14の中央部に向けて入射するように配置されている。投光側反射体14の角度は、投光レンズ12cから入射した光を水平方向に出射するように設定されている。投光側反射体14は、光路を折りたたむことで投光用筐体20のサイズを小型化するものであり、投光用筐体20のサイズを許容するのであれば必ずしも必要ではない。
【0039】
投光側テレセントリックレンズ15は、投光用筐体20における受光側筐体40と対向する側に取り付けられている。投光用筐体20における受光側筐体40と対向する側の壁部には、投光側テレセントリックレンズ15が嵌め込まれる投光側レンズ取付孔22が当該壁部を貫通するように形成されている。投光側レンズ取付孔22の奥側の内周面には、径方向内方へ突出するとともに、周方向に延びる突出部で構成された投光側レンズ取付座22aが一体成形されている。この投光側レンズ取付座22aに投光側テレセントリックレンズ15の奥側(光入射側)の端面の周縁部が当接することにより、投光側テレセントリックレンズ15が投光用筐体20に対して位置決めされる。投光側テレセントリックレンズ15も投光側レンズ取付座22aに直接当接させることで、投光用筐体20と投光側テレセントリックレンズ15との間に別部材が介在しないので、投光用筐体20の成形精度と同程度の高い精度で投光側テレセントリックレンズ15を位置決めできる。
【0040】
投光側テレセントリックレンズ15は、光軸が水平となるように配置されている。投光側反射体14から出射した光は、投光側テレセントリックレンズ15に入射すると、投光側テレセントリックレンズ15が測定領域Sに向けた平行光に変換して出射する。測定領域Sにおいて投光側テレセントリックレンズ15により形成される光像は、投光側テレセントリックレンズ15の光軸に沿ってその大きさが一定となる。投光側テレセントリックレンズ15は、投光用筐体20内に形成された光像を測定領域S内にピントのあった光像として結像させる。測定領域Sのいずれの位置においてもピントのあった光像が形成されることが好ましい。ピントのあった光像は、投光側テレセントリックレンズ15の光軸に沿って所定の範囲に形成されるが、これは投光用筐体20内に形成された光像から投光側テレセントリックレンズ15までの光路長に応じており、光路長が長いほど光像のピントのあう範囲は広くなる。例えば高精度な測定をするための測定領域が大きい光学測定装置1の場合、投光用筐体20内に形成された光像から投光側テレセントリックレンズ15までの光路長は長いため、投光側反射体14により光路を折りたたむことで投光用筐体20のサイズを小型化するようにしてもよい。
【0041】
コリメートレンズ12aから平行光が入射されて光拡散ユニット12bにおいて円形の光像を形成する場合、光拡散ユニット12bを通過した平行光は、光像の各点において平行成分をピークとする角度特性の拡散光として光拡散ユニット12bから出射される。このような角度特性を有する光像を、投光側テレセントリックレンズ15を介して測定領域Sに照射することで、場所や角度によらず光が略均一な照明光を実現することができる。また、2つの投光レンズ12cにより、光拡散ユニット12bから出射した光の広がり角を狭い角度に調整することで、投光側テレセントリックレンズ15を通過する光の光密度を高めるようにしてもよい。
【0042】
投光用筐体20には、投光側テレセントリックレンズ15から出射された平行光を測定領域Sへ投射するための投光窓23が設けられている。投光窓23は、投光側テレセントリックレンズ15の光出射面を覆うように形成された略円形の投光側カバーガラス23aと、投光側カバーガラス23aが取り付けられた投光側枠体23bとを有している。投光側枠体23bは、投光側レンズ取付孔22における投光側テレセントリックレンズ15の光出射面側に嵌め込まれて投光用筐体20に固定されている。投光側テレセントリックレンズ15の光出射面と、投光側枠体23bとの間には、投光側弾性材23cが配設されている。投光側弾性材23cは、例えばゴムや弾性を有する金属材等で構成されている。投光側弾性材23cにより、投光側テレセントリックレンズ15が投光側レンズ取付座22aに常時押し付けられるように付勢されている。
【0043】
(受光用ユニット30の構成)
受光用ユニット30の二次元撮像素子31は、例えばCMOSイメージセンサー等で構成されていて、画素がX方向とY方向の二次元に配列されている。二次元撮像素子31は、基板31aに実装されている。基板31aには、撮像制御部39(図1に示す)が設けられている。撮像制御部39によって二次元撮像素子31が制御される。例えば撮像の間隔が数ミリ秒~数十ミリ秒であって各撮像における露光時間が100マイクロ秒となるように撮像制御部39によって二次元撮像素子31が制御される。露光時間が1ミリ秒以下、例えば100マイクロ秒とすることで、光学測定装置1は高速搬送ワークも止めずに測定可能となる。露光時間は、光源11のパルス点灯制御と二次元撮像素子31のシャッター制御とを同期制御して実現されてもよい。基板31aは、撮像素子ホルダ37に固定されている。基板31aを撮像素子ホルダ37に固定することで、二次元撮像素子31を撮像素子ホルダ37に保持することができる。
【0044】
撮像素子ホルダ37には、受光側レンズユニット38が固定されている。図7に示すように、受光側レンズユニット38には、全体として筒状をなしており、その内部に複数の受光レンズ(結像レンズ)33が設けられている。受光レンズ33の光軸は斜め方向に延びており、その受光レンズ33の光軸の延長線が二次元撮像素子31の中央部に対して垂直に交わるように、受光側レンズユニット38と二次元撮像素子31との相対的な位置関係が設定されている。受光側レンズユニット38の上部には、絞り34が設けられている。
【0045】
絞り34は、受光側テレセントリックレンズ36介して受光した平行な光を通過させ、平行な光以外の外乱光を阻止する。これにより外乱光の影響を低減することができる。受光レンズ33は、像側テレセントリックレンズであってもよい。像側テレセントリックレンズにより、受光レンズ33と二次元撮像素子31との間の距離が変化しても、二次元撮像素子31上に結像される像の大きさは変化しない。例えば撮像素子ホルダ37が熱膨張することで受光レンズ33と二次元撮像素子31との間の距離が変化しても、二次元撮像素子31上に結像される像の大きさは変化しないため温度変化の影響を低減することができる。投光側テレセントリックレンズ15を物体側テレセントリックレンズとし、受光レンズ33を像側テレセントリックレンズとすることで、両側テレセントリックの光学系とすることができる。
【0046】
受光用筐体40は、投光用筐体20と対向する面が前面であり、前面は上下方向にのびている。受光用筐体40の後面は、投光用筐体20と対向する面と反対に位置する面であり、この後面は、上端に近づくほど前に位置するように傾斜しており、この傾斜角度は、後述する受光側反射体35の設置角度と対応している。後面の下側からは投光用ユニット10と接続される信号ケーブルC及び制御装置70と接続される接続ケーブルD(図2等に示す)が外部へ出ている。また、受光用筐体40の両側面は互いに平行に上下方向に延びている。受光用筐体40の下面は、固定部材60への取付面となっている。
【0047】
図6に示すように、受光側テレセントリックレンズ36は、受光用筐体40における投光側筐体20と対向する側に取り付けられており、その光軸が投光側テレセントリックレンズ15と同じ光軸上に位置するように配置されている。図7及び図8に示すように、受光用筐体40における投光側筐体20と対向する側の壁部には、受光側テレセントリックレンズ36が嵌め込まれる受光側レンズ取付孔42が当該壁部を貫通するように形成されている。受光側レンズ取付孔42の奥側の内周面には、径方向内方へ突出するとともに、周方向に延びる突出部で構成された受光側レンズ取付座42aが一体成形されている。この受光側レンズ取付座42aに受光側テレセントリックレンズ36の奥側(光出射側)の端面の周縁部が当接することにより、受光側テレセントリックレンズ36が受光用筐体40に対して位置決めされる。受光側テレセントリックレンズ36を受光側レンズ取付座42aに直接当接させることで、受光用筐体40と受光側テレセントリックレンズ36との間に別部材が介在しないので、受光用筐体40の成形精度と同程度の高い精度で受光側テレセントリックレンズ36を位置決めできる。
【0048】
受光用筐体40には、投光側テレセントリックレンズ15から出射されて測定領域Sを通過した平行光を受光側テレセントリックレンズ36へ入射させるための受光窓43が設けられている。受光窓43は、受光側テレセントリックレンズ36の光入射面を覆うように形成された略円形の受光側カバーガラス43aと、受光側カバーガラス43aが取り付けられた受光側枠体43bとを有している。受光側枠体43bは、受光側レンズ取付孔42における受光側テレセントリックレンズ36の光入射面側に嵌め込まれて受光用筐体40に固定されている。受光側テレセントリックレンズ36の光入射面と、受光側枠体43bとの間には、受光側弾性材(レンズ付勢部材)43cが配設されている。受光側弾性材43cは、例えばゴムや弾性を有する金属材等で構成されており、受光側テレセントリックレンズ36を受光側レンズ取付座42aに押し付ける方向に常時付勢するための部材である。受光側弾性材43cにより、受光側テレセントリックレンズ36が受光側レンズ取付座42aに常時押し付けられた状態で取り付けられる。
【0049】
受光用筐体40における導入用開口41が形成された面とは異なる面、即ち投光用ユニット10と反対側に位置する面には、受光側反射体35が嵌め込まれる受光側反射体取付孔44が開口している。受光側反射体取付孔44の奥側の内周面には、径方向内方へ突出するとともに、周方向に延びる突出部で構成された受光側反射体取付座44aが一体成形されている。この受光側反射体取付座44aに受光側反射体35の奥側の端面の周縁部が当接することにより、受光側反射体35が受光用筐体40に対して位置決めされる。受光側反射体35を受光側反射体取付座44aに直接当接させることで、受光用筐体40と受光側反射体35との間に別部材が介在しないので、受光用筐体40の成形精度と同程度の高い精度で受光側反射体35を位置決めできる。
【0050】
受光側反射体35は、例えば平板状のミラー等で構成されている。受光側反射体35は、受光側テレセントリックレンズ36の光出射面から出射した光が当該受光側反射体35の中央部に向けて入射するように配置されている。受光側反射体35の角度は、受光側テレセントリックレンズ36を通過した光を反射して折り返し、受光レンズ33へ向けて出射するように設定されている。受光側反射体35によって光を折り返すようにしているので、発熱源である二次元撮像素子31と受光側テレセントリックレンズ36とを離すことができる。
【0051】
受光用筐体40には、反射体取付孔44を受光用筐体40の外から覆うカバー44dが取り付けられている。カバー44dは、受光用筐体40に対して着脱可能に取り付けられている。カバー44dの内面と、受光側反射体35との間には、反射体側弾性材(反射体付勢部材)44cが配設されている。反射体弾性材44cは、例えばゴムや弾性を有する金属材等で構成されており、受光側反射体35を受光側反射体取付座44aに押し付ける方向に常時付勢するための部材である。反射体側弾性材44cにより、受光側反射体35が受光側反射体取付座44aに常時押し付けられた状態で取り付けられる。
【0052】
図12に示すように、受光用筐体40の側面(外面)には、当該受光用筐体40を設置する時の基準となる複数の側方基準面40aが設けられている。側方基準面40aは、平面で構成されており、互いに同一平面上に位置する高精度な面である。受光用筐体40を設置する部材に側方基準面40aを当接させることで、受光用筐体40を高精度に位置決めすることができる。この実施形態では、側方基準面40aの中央部に貫通孔40bが形成されている。
【0053】
また、受光用筐体40の底面(外面)には、当該受光用筐体40を設置する時の基準となる複数の底部基準面40cが設けられている。底部基準面40cは、平面で構成されており、互いに同一平面上に位置する高精度な面である。受光用筐体40を設置する部材に底部基準面40cを当接させることで、受光用筐体40を高精度に位置決めすることができる。受光用筐体40を設置する際には、側方基準面40aと底部基準面40cのどちらを基準にしてもよい。
【0054】
また、図3に示すように、受光用筐体40の前面である投光側ユニット10と対向する面には、ワーキングディスタンス基準面40dが設けられている。
【0055】
図7における符号55は、二次元撮像素子31の位置調整の際に使用するねじであり、また、符号46は工具200を挿入するため開口である。また、図8に示す符号48はシール材、符号49は閉塞部材である。
【0056】
(制御装置70の構成)
図1に示すように、受光用ユニット30に設けられている撮像制御部39は、接続ケーブルDを介して制御装置70の画像取得部71によって制御されて、所定のタイミングで光源11に光を照射させるとともに、二次元撮像素子31により撮像させる。受光用ユニット30を駆動する電力は、接続ケーブルDを介して制御装置70から供給される。接続ケーブルDには、耐屈曲ケーブルを用いることができ、受光用ユニット30及び投光用ユニット10をロボットアーム等の可動部に設置し、制御装置70を非可動に設置する等分離して配置することができる。光源11と二次元撮像素子31との同期は、信号ケーブルCによってとることができる。例えば撮像の間隔が数ミリ秒~数十ミリ秒であって各撮像における露光時間が100マイクロ秒となるように撮像制御部39によって二次元撮像素子31に撮像タイミング及び露光タイミングを定義するタイミング信号が供給され、撮像制御部39によって光源11に信号ケーブルCを介して発光タイミングを定義するタイミング信号が供給される。光源11を駆動する電力は信号ケーブルCを介して受光用ユニット30から供給される。光源11により生成された測定光は、拡散手段13によって拡散された後、投光側反射体14で反射して折り返されてから投光側テレセントリックレンズ15に入射する。投光側テレセントリックレンズ15は、入射した測定光を平行光に変換して測定領域Sに向けて出射する。つまり、投光側テレセントリックレンズ15は、測定光による拡散手段13上の光像を、投光側テレセントリックレンズ15の光軸に沿ってサイズが一定となるような光像が測定領域Sに形成されるように測定光を出射する。このとき、平行光は受光窓23を通過して測定領域Sに達する。測定領域SにワークWが配置されていると、平行光の一部がワークWによって遮られる。
【0057】
測定領域Sを通過した平行光は、受光窓43を通過して受光側テレセントリックレンズ36に入射した後、受光側反射体35で反射して折り返されてから絞り34、受光レンズ33を通過する。そして、ワークWの影像が二次元撮像素子31の撮像面で結像する。制御装置70の画像取得部71は、二次元撮像素子31を制御して当該二次元撮像素子31により撮像させてワークWの測定画像を取得する。取得されたワークWの測定画像は略円形の画像である。DSP72は、画像取得部71により取得された測定画像にフィルタ処理等の画像処理を実行する。CPU73は、DSP72から出力された測定画像のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する。測定画像や測定結果等は一時的にメモリ74に記憶することができる。測定画像や測定結果等は入出力回路75から記憶装置83、プログラマブルコントローラ90及び表示装置82に出力される。
【0058】
(光学測定装置の設定時)
光学測定装置1は、当該光学測定装置1の運用前に各種設定を行うことができる。以下、図9に示すフローチャートに基づいて光学測定装置1の設定時の処理手順の一例を説明する。図9に示すフローチャートは、ユーザによる設定処理開始の操作が行われたことを検出するとスタートする。例えば、設定開始ボタン等をユーザが操作すると、ステップSA1に進み、測定設定の元になる基準画像を設定する。このステップSA1では、制御装置70が図10に示すような設定用ユーザーインターフェース画面300を生成して表示装置82に表示させる。設定用ユーザーインターフェース画面300には、基準画像301が表示される基準画像表示領域302と、各種設定操作領域303とが設けられている。基準画像301は、基準となるワークWを測定領域Sに配置して二次元撮像素子31で撮像し、画像取得部71により取得された画像である。ワークWは影像として基準画像表示領域302に表示される。また、基準画像301は円形である。ユーザは、基準画像301が所望の画像であるか否かを確認し、所望の画像であれば、図9に示すフローチャートの次のステップSA2に進む。
【0059】
ステップSA2では、ユーザが測定方法を選択する。測定方法の選択は、測定ツールの選択のことであり、図10に示す設定用ユーザーインターフェース画面300の各種設定操作領域303に表示されている測定ツールの中から選択可能になっている。測定ツールは、例えば線と線との距離を測定する「線-線」ツール、線と点との距離を測定する「線-点」ツール、点と点との距離を測定する「点-点」ツール、円と円との距離を測定する「円-円」ツール、円の直径を測定する「円径」ツール等があり、これら以外の測定ツールがあってもよい。図10に示す例では、「線-線」ツールが選択されている。
【0060】
測定方法の選択が終わると、図9に示すフローチャートの次のステップSA3に進む。ステップSA3ではユーザが画像測定要素の設定を行う。具体的には、基準画像表示領域302に表示されている基準画像301内で、ステップSA2で選択した測定方法に応じた測定エリアの設定を行う。図10に示す例では、「線-線」ツールに応じた測定エリアを表示する形態として、2つの枠線304、304を表示させており、この枠線304、304で囲まれた領域が測定エリアである。
【0061】
画像測定要素の設定後に、測定エリア(枠線304内)を例えばダブルクックすると、制御装置70が図11に示すような詳細設定用ユーザーインターフェース画面310を生成して表示装置82に表示させる。詳細設定用ユーザーインターフェース画面310では、エッジの検出方向(明→暗・暗→明)、異常点除去有無、エッジ処理の際のフィルタ幅(強度)などの設定、測定エリアの詳細な座標の指定、マスクの指定等が行える。
【0062】
画像測定要素の設定が終わると、図9に示すフローチャートの次のステップSA4に進む。ステップSA4ではユーザが測定条件を指定する。制御装置70が図12に示すような測定条件指定用ユーザーインターフェース画面320を生成して表示装置82に表示させる。測定条件指定用ユーザーインターフェース画面320では、平均回数などの設定が受け付けられる。
【0063】
測定条件の指定が終わると、図9に示すフローチャートの次のステップSA5に進む。ステップSA5ではユーザが公差を指定する。制御装置70が図13に示すような公差指定用ユーザーインターフェース画面330を生成して表示装置82に表示させる。具体的には、公差の数値を選択すると、数値設定ウインドウ331が表示され、この数値設定ウインドウ331内のボタン等をクリックすることで、数値を設定することができる。
【0064】
公差の指定が終わると、図9に示すフローチャートの次のステップSA6に進む。ステップSA6では、画像測定要素の詳細設定の有無を判定する。画像測定要素の詳細設定があればステップSA7に進む一方、画像測定要素の詳細設定がなければステップSA7を飛ばしてステップSA8に進む。ステップSA7では、画像測定要素の詳細設定を行うことができる。その後、ステップSA8に進むと、測定要素が他にもあるか否かを判定する。測定要素が他にもある場合には、ステップSA2に戻り、当該他の測定要素について測定方法を選択する。測定要素が他にもない場合には、ステップSA9に進み、特徴量情報を登録する。特徴量情報の登録とは、位置補正の登録のことである。
【0065】
特徴量情報の登録が終了すると、ステップSA10に進み、測定設定の情報がすべて記憶装置83に保存される。測定設定の情報には、基準画像301、測定ツールの情報が含まれる。測定ツールの情報には、エリアの座標とサイズ、オフセット、エッジの検出方向、平均回数、ゼロ基準、エッジの算出方法(最小二乗近似・最大・最小など)、公差、小数点桁数、マスクの座標情報、スケーリング情報、表示単位等が含まれる。
【0066】
以上が設定光学測定装置1の設定時の処理手順の流れである。
【0067】
(光学測定装置の運用時)
次に、設定後、光学測定装置1を実際の測定現場で運用する手順について図14に示すフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートは、制御装置70がトリガ信号を発行するとスタートする(ステップSB1)。トリガ信号は、外部からの入力信号であってもよいし、制御装置70が所定のタイミングで発行するものであってもよい。ステップSB2では、撮像制御部39が投光用ユニット10の光源11を発光させる。光源11が発光したタイミングに合わせて撮像制御部39が二次元撮像素子31に撮像処理を実行させる。
【0068】
その後、ステップSB3に進み、二次元撮像素子31で撮像された測定画像を画像取得部71によって取得する。測定画像を取得した後、ステップSB4に進む。ステップSB4では、ビニング、即ち取得した測定画像の4画素を1画素に結合して、画像サイズを1/4にするとともに、画像フィルタ処理として測定画像の平均化処理を行う。例えば、複数枚の画像を重ねることで平均化する等の方法を挙げることができる。
【0069】
次いで、ステップSB5に進んで測定画像をDSP72に転送する。その後、ステップSB6に進んで測定エリア部画像抽出を行う。設定情報の測定エリアの情報(エリアの座標とサイズ)をもとに、測定画像からエッジ処理を行う範囲を切り出す。
【0070】
しかる後、ステップSB7に進んでエッジ処理を行う。ステップSB7では、抽出された画像のエッジを求める。測定エリアの向き(X方向、Y方向)に対してエッジ処理を行うことができる。エッジ処理では例えばガウシアンフィルタと微分処理とが用いられ、微分波形のピークを算出することでエッジが抽出される。また、画素単位からmm単位への変換も行うことができる。
【0071】
エッジ処理の後、ステップSB8に進む。ステップSB8では、後処理、即ち、設定情報の平均回数、オフセット、ゼロ基準、スケーリング情報をもとに、数値の後処理が行われる。
【0072】
後処理の後、ステップSB9に進む。ステップSB9では、判定処理、即ち、設定情報の公差設定値を元にして、測定された数値が良品を示すものであるか、不良品を示すものであるか判定(良否判定)が行われる。図15は、運用時に制御装置70が生成して表示装置82に表示されるユーザーインターフェース画面340の一例を示すものである。ユーザーインターフェース画面340には、測定画像341を表示する測定画像表示領域342と、測定結果表示領域343と、総合判定結果表示領域344とが設けられている。測定結果表示領域343には、測定要素の測定結果と、良否判定の結果とが表示され、また、総合判定結果表示領域344には、測定要素が複数ある場合にそれらを総合した良否判定結果が表示される。
【0073】
結果表示画面の例としては、例えば図16Aに示すように現在選択している処理パターンの結果のみ表示する形態であってもよいし、図16Bに示すようにすべての処理パターンの表示が同時になされたうえで、現在有効な処理パターンを強調表示する形態であってもよい。図16Bに示す形態では、上の1~7が現在有効な処理パターンであり、下の1~3が現在非選択の処理パターンに対応した結果である。
【0074】
(特定画像の出力機能)
上記のように構成された光学測定装置1では、投光用筐体20と受光用筐体40との間の測定領域SにワークWを配置して測定を行う。このような測定形態において、例えば図17に示すように、軸物ワークWを、その軸芯601回りに回転させながら、二次元撮像素子31によって複数回撮像して取得された測定画像のそれぞれについて寸法測定を実行するケースが考えられる。この際、複数の測定画像と、複数の測定結果である測定値とが1つのワークWに対して取得される。尚、図17に示す符号600は、光学測定装置1の光軸であり、軸芯601とは直交する位置関係にある。光学測定装置1の光軸と軸芯601とは直交していなくてもよい。
【0075】
複数の測定値のうち、例えば最大値をユーザに提示し、その最大値がワークWを不良品と判定すべき値であったとする。ところが、その最大値がどの測定画像から得られたものかはユーザ側でわからない。そのため、不良品の状態をより正確に把握することが困難である。
【0076】
本実施形態の光学測定装置1は、複数の測定値の中から特定された測定値に対応する測定画像をユーザに提示可能にすることで、不良品の状態をより正確に把握できるようにするための特定画像の出力機能を備えている。
【0077】
光学測定装置1は、画像取得部71により取得された測定画像のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する実行部73a(図1に示す)を備えている。実行部73aは、エッジを抽出する際、エッジ波形を微分処理してピークを求め、そのピークが位置する部分にエッジが存在すると推定する抽出法を用いることができ、その他、周知のエッジ抽出法を用いることができる。実行部73aは、抽出したエッジを用いて、例えば「線-線」ツールであれば、2つのエッジ間の距離を寸法測定の測定値として出力する。
【0078】
画像取得部71により新たな測定画像が取得される都度、その測定画像に対して実行部73aがエッジ抽出し、寸法測定を実行する。例えば図17に示すように、軸物ワークWを軸芯601回りに回転させながら、所定の時間間隔で二次元撮像素子31によって撮像を行うと、ワークWの回転角度が異なった複数の測定画像が画像取得部71により順次取得される。上記時間間隔は、例えばユーザが任意に設定できる。時間間隔の代わりに、所定回転角度毎に測定画像を取得してもよい。この場合、所定回転角度はユーザが任意に設定できる。こうして取得された各測定画像に対して寸法測定が実行されるので、複数の測定値が得られる。
【0079】
光学測定装置1は、複数の寸法測定の測定値と、当該測定値と対応する測定画像とを関連付けてバッファ76に記憶させる処理部73bを備えている。バッファ76は、CPU73との間でデータのやり取りが可能に当該CPU73に接続されており、上記測定値及び測定画像を一時的に記憶しておくことができる部分である。バッファ76とメモリ74とは同じであってもよい。
【0080】
具体的には、処理部73bは、まず、予め定められた期間に亘って画像取得部71から順次測定画像を取得する。その後、処理部73bは、順次取得される測定画像に対して実行部73aにより繰り返し実行された複数の寸法測定の測定値と、当該測定値と対応する測定画像とを関連付けてバッファ76に記憶させる。
【0081】
光学測定装置1は、受付部73cを備えている。受付部73cは、上記予め定められた期間の終了を示すタイミング信号を受け付ける部分であり、詳細は後述する。タイミング信号はユーザの操作によって出力されたものであってもよいし、ワークWを搬送する装置等、外部の装置から入力されたものであってもよい。
【0082】
光学測定装置1は、判定部73dを備えている。判定部73dは、処理部73bによりバッファ76に記憶された複数の測定値から最大値または最小値を特定し、特定した最大値または最小値が予め定められた閾値範囲にあるか否かを判定する部分である。すなわち、バッファ76には、予め定められた期間に亘って取得された測定画像に対して寸法測定を実行した結果として、複数の測定値が記憶されている。判定部73dは、バッファ76に記憶されている複数の測定値のうち、最大値または最小値を特定することができる。このとき、最大値と最小値の両方を特定してもよい。判定部73dが最大値を特定した場合、その最大値が第1の閾値範囲にあるか否かを当該判定部73dが判定する。また、判定部73dが最小値を特定した場合、その最小値が第2の閾値範囲にあるか否かを当該判定部73dが判定する。第1の閾値範囲及び第2の閾値範囲はユーザが任意に設定しておくことができる。
【0083】
光学測定装置1は、特定部73eを備えている。特定部73eは、所定の条件に基づいて、処理部73bによりバッファ76に記憶された複数の測定値から第1の測定値を特定する部分である。特定部73eが第1の測定値を特定するタイミングは、受付部73cによりタイミング信号を受け付けた場合である。つまり、受付部73cによりタイミング信号を受け付けるまでは特定部73eが第1の測定値を特定せず、その間、新たな測定画像が取得されれば、その測定画像に対して寸法測定が実行されて新たな測定値がバッファ76に蓄積されていく場合がある。
【0084】
特定部73eは、受付部73cによりタイミング信号を受け付けた時点から上記予め定められた期間遡って当該予め定められた期間に属する複数の測定値の中から第1の測定値を特定する。受付部73cによりタイミング信号を受け付けるまでは、複数の測定値がバッファ76に蓄積されていくことになり、受付部73cによりタイミング信号を受け付けると、その時点から予め定められた期間遡る。予め定められた期間には、複数の測定値が属しており、複数の測定値の中から第1の測定値を特定することができる。予め定められた期間というのは、時間で特定されていてもよいし、例えばワークWが1回転するまでの間のように角度等で特定されるものであってもよい。
【0085】
特定部73eは、所定の条件に基づいて、処理部73bによりバッファ76に記憶された複数の測定値から第1の測定値を特定することができる。所定の条件は、測定値を評価する評価条件である。例えば、評価条件としては、判定部73dの判定条件(最大値または最小値が予め定められた閾値範囲にあるか否か)を挙げることができる。この場合、特定部73eは、判定部73dによる判定結果に基づいて第1の測定値を特定する。
【0086】
実行部73a、処理部73b、受付部73c、判定部73d及び特定部73eは、CPU73が所定のプログラムに基づいて信号処理を実行することによって構成することや、物理的な処理装置で構成することができ、また、これらを組み合わせて構成することができる。
【0087】
入出力回路(出力部)75は、特定部73eにより特定された第1の測定値と、当該第1の測定値に対応する測定画像とを出力する部分である。入出力回路75は、表示装置82と記憶装置(記憶部)83の両方へデータを出力可能に構成されているが、場合により、表示装置82へのみデータを出力可能にし、記憶装置83へはデータを出力せずに制御装置70の内部のみで保存しておいてもよい。また、入出力回路75は、記憶装置83へのみデータを出力可能にし、表示装置82へはデータを出力しなくてもよい。
【0088】
入出力回路75は、データの保存を可能にする場合、例えば、第1の測定値と、当該第1の測定値に対応する測定画像とを記憶装置(記憶部)83に保存させることができる。第1の測定値に対応する測定画像とは、第1の測定値が測定された測定画像のことであり、第1の測定値と、当該第1の測定値が測定された測定画像とを関連付けて記憶装置83に保存させることができる。
【0089】
入出力回路75は、予め定められた期間に亘って取得された全ての測定画像と全ての測定値と関連付けて保存する全画像保存処理と、第1の測定値を当該第1の測定値に対応する測定画像と関連付けて保存し、他の測定値及び測定画像を保存しない一部画像保存処理とを選択して実行可能に構成されている。全画像保存処理と、一部画像保存処理とのいずれを実行するかは、ユーザによって指定可能である。
【0090】
入出力回路75は、予め定められた期間に取得された複数の測定画像を1つのグループとして表示装置(表示部)82に出力し、当該表示装置82に表示させるように構成されていてもよい。例えば、1つのワークWを複数回撮像する期間を予め定められた期間とすることができるので、1つのワークWを撮像した複数の測定画像を1つのグループとすることができる。この場合、1つのワークWを撮像した複数の測定画像を表示装置82にまとめて表示させることができる。例えば、1つの領域に、1つのグループに属する複数の測定画像を表示させたり、1つのグループに属する複数の測定画像に識別可能な情報を付与してまとめて表示させることができる。
【0091】
入出力回路75は、予め定められた期間毎に複数の測定画像をグループ化して複数のグループを形成し、測定画像をグループ毎にまとめて表示装置82に表示させるように構成されていてもよい。予め定められた期間が1つのワークWを複数回撮像する期間である場合、例えば、1つ目のワークWを撮像した複数の測定画像を第1グループとし、その後、2つ目のワークWを撮像した複数の測定画像を第2グループとすることができる。このようにして複数のグループを形成した後、第1グループに属する複数の測定画像をまとめて表示装置82に表示させ、また、第2グループに属する複数の測定画像をまとめて表示装置82に表示させることができる。
【0092】
(特定画像の出力機能の具体例)
以下、特定画像の出力機能の具体例について説明する。まず、測定値のホールド機能について図18に基づいて説明する。図18に示すタイミングチャートは縦軸が測定値であり、横軸が経過時間である。タイミング信号がONになった時点、即ち受付部73cがタイミング信号を受け付けた時点(タイミング信号が入力された時点ともいう)から次のタイミング信号がONになった時点までの期間が測定期間(予め定められた期間)になる。つまり、タイミング信号がONになると、その時点を記憶しておき、次のタイミング信号が入力するまで待ち、次のタイミング信号が入力されると、入力された時点から遡って測定期間が決定される。
【0093】
測定期間内では、画像取得部71により順次測定画像を取得しており、順次取得される測定画像に対して実行部73aが寸法測定を実行している。実行部73aから出力される測定値は、内部測定値として測定画像と関連付けてバッファ76に記憶される。ある測定期間T1に着目すると、内部測定値は変化しており、その測定期間T1内の測定値のうち、最大値(第1の測定値)を求める。これがピークホールド機能であり、処理部73bによって実行される。
【0094】
例えば、図19に示すように、測定画像が時系列に取得され、各測定画像について測定値が取得された場合、タイミング信号が順次入力されると、測定期間T1、測定期間T2が決定される。測定期間T1に属する測定値の中で最大値を求めると「13mm」であることから、測定値が13mmとして確定する。また、測定期間T2に属する測定値の中で最大値を求めると「10mm」であることから、測定値が10mmとして確定する。
【0095】
図示しないが、測定期間T1内の測定値のうち、最小値を求めてもよく、これはボトムホールド機能であり、特定部73eによって実行可能である。また、測定期間T1内の測定値のうち、最大値と最小値を求め、最大値から最小値を減算した値を第1の測定値として取得してもよい。これはピークtoピークホールド機能であり、特定部73eによって実行可能である。また、測定期間T1内の測定値の平均値を求め、その平均値を第1の測定値として取得してもよい。これはアベレージホールド機能であり、特定部73eによって実行可能である。どのホールド機能を実行するかはユーザによって選択可能である。また、ホールド機能を実行するか否かもユーザによって選択可能である。また、リセット信号が入力されると、そのタイミングでこれまでの内部測定値が消去される。
【0096】
測定画像と測定値は、バッファ76に保存する履歴保存機能と、記憶装置83に保存する画像出力機能(入出力回路75による機能)との2つの機能によって保存可能となっている。保存処理としては、測定期間毎に保存する期間毎保存処理と、全期間を保存対象とする全期間保存処理とがあり、履歴保存機能と画像出力機能のそれぞれについて、期間毎保存処理と全期間保存処理との選択が可能になっている。また、保存条件としては、測定値が不良であると判定された場合のみ保存する不良時保存処理と、測定値の良否に関わらず、全てを保存する全画像保存処理とがあり、履歴保存機能と画像出力機能のそれぞれについて、不良時保存処理と全画像保存処理との選択が可能になっている。
【0097】
測定期間の設定に関し、保存可能な測定画像の上限数を設定することができる。この場合、上限数はユーザが任意の数に設定できる。また、測定期間の設定に関し、時系列に並んだ測定画像の中から、任意の測定画像のみ保存し、他の測定画像については保存しない設定も可能である。この保存方法の場合、測定画像が間引かれて保存されることになるので、間引き保存処理と呼ぶことができる。間引き保存処理では、間引く数をユーザが任意の数に設定でき、例えば1枚おき、2枚おきに測定画像を保存する設定が可能である。また、測定期間の設定に関し、時系列に並んだ測定画像のうち、新しい測定画像のみ、または古い測定画像のみを保存対象として設定できる。新しい測定画像または古い測定画像の保存枚数をユーザが任意の数に設定できる。
【0098】
特定画像の出力機能の一形態の処理の流れについて、図20に示すフローチャートに基づいて説明する。図20に示すフローチャートでは、ホールド機能が有効になっている場合について示している。ステップSE1は、測定を開始するトリガ信号が入力されると実行されるステップであり、画像取得部71により測定画像を順次取得する。その後、ステップSE2に進む。ステップSE2では、各測定画像に対して実行部73aが寸法測定を実行する。これにより、内部測定値が算出される。
【0099】
続くステップSE3では、ホールド機能が実行され、ホールド内部値が必要に応じて更新される。例えば、ピークホールドであれば、測定期間内の最大値を更新していく。その後、ステップSE4に進み、測定画像を保存する。測定期間が確定するのはタイミング信号入力時であるため、期間毎保存処理であれば保存処理を行わない。一方、全期間保存処理であれば常に保存処理を行う。
【0100】
また、タイミング信号が入力されるとステップSE5が開始される。ステップSE5では、ホールド内部値を元に測定値を確定させる。例えば、タイミング信号が入力されて測定期間が確定すると、その測定期間内で更新されて保持されているホールド内部値を測定値とする。ステップSE5の後、ステップSE6では、ホールド内部値をクリア(消去)する。
【0101】
そして、ステップSE7では判定処理を実行する。判定処理は、ステップSE5で確定された測定値が閾値範囲にあるか否かを判定し、閾値範囲にあれば良とし、閾値範囲外であれば不良とする。その後、ステップSE8に進み、測定画像を保存する。このとき、確定した測定期間に属する測定画像を保存する。また、全期間保存処理であれば最終画像のみ保存する。また、リセット信号が入力されると、ステップSE9が開始されて、その時点でホールド内部値をクリアする。
【0102】
図21は、特定画像の出力機能の別形態の処理手順を示すフローチャートである。図21示すフローチャートでは、期間毎保存処理の場合について示している。ステップSF1は、測定を開始するタイミング信号が入力されると実行されるステップであり、保存条件設定が、測定結果が不良時のみ保存する保存処理と、常に画像を保存する保存処理とのいずれであるかを判定する。常に画像を保存する保存処理であると判定した場合にはステップSF2に進み、測定画像を保存する。このとき、保存可能な測定画像の上限数が設定されていれば、その上限数を上限として測定画像を保存し、間引き保存処理が設定されていれば、測定画像を間引いて保存し、新しい測定画像または古い測定画像の保存が設定されていれば、新しい測定画像または古い測定画像を保存する。
【0103】
ステップSF1で測定結果が不良時のみ保存する保存処理であると判定した場合にはステップSF3に進み、測定値の判定結果が不良であるか否かを判定する。ステップSF3で測定結果が不良であると判定された場合には、ステップSF2に進む一方、不良ではないと判定された場合には、ステップSF4に進む。ステップSF4では、測定画像の保存をすることなく、終了する。
【0104】
図22は、間引き保存処理を実行する場合の具体例を示している。間引き枚数が1枚の場合には、保存される測定画像と保存されない(非保存)測定画像とが交互になる。測定画像を全て保存しないことで、保存領域が少なくて済む。尚、実際に画像保存処理が行われるのは、次にタイミング信号が入力された時である。
【0105】
図23は、保存可能な測定画像の上限数が設定されている場合の具体例を示している。上限数を例えば10枚としている場合、上限数に達するまでは測定画像を保存することができる。また、最新の測定画像は常に保存する。上限数に達したら、図24に示す例か、図25に示す例の処理に移行させることができる。
【0106】
図24は、保存可能な測定画像の上限数が設定され、かつ、新しい方の測定画像を保存する場合の具体例を示す図である。上限数は「4」に設定されており、従って、新しい方の測定画像が1枚おきに合計4枚保存されている。この例でも最新の測定画像は常に保存する。古い方の測定画像は、保存候補であったものは保存されなくなる。
【0107】
図25は、保存可能な測定画像の上限数が設定され、かつ、古い方の測定画像を保存する場合の具体例を示す図である。この例でも上限数は「4」に設定されており、従って、古い方の測定画像が1枚おきに合計4枚保存されている。この例でも最新の測定画像は常に保存する。
【0108】
(保存する測定画像の選定例)
保存する測定画像の選定方法は上述した方法であってもよいし、別の方法であってもよい。同一測定期間に属する複数の測定画像のうち、判定結果に影響した測定画像のみを保存してもよい。例えば、ピークホールド機能を実行している時に、測定期間内の最大値が測定された測定画像のみ保存対象とすることができる。
【0109】
また、測定画像の保存を実行する前に、ユーザによる保存、非保存の判断が行えるようにすることもできる。例えばホールド機能を実行しない時、常にn枚の測定画像を保存候補として記憶しておき、判定結果が不良となった時に、不良の原因になった測定画像に加えて、n枚の保存候補画像も合わせて保存する。こうすることで、不良となった場合に、直近の測定画像にも何らかの兆候が見られる場合があるため、合わせて保存しておくと不具合の発見等に役立つ。
【0110】
また、ホールド機能とは関係なく、常にn枚の測定画像を保存候補として記憶しておき、ユーザからの保存要求があった時点で、保存候補画像を保存してもよい。こうすることで、ユーザ側の装置で何らかのトラブルがあった場合に、その直前の測定画像を残したいといった用途に使用可能である。
【0111】
(ユーザーインターフェースの例)
保存された測定画像及び出力された測定画像は、表示装置82に表示されるユーザーインターフェース画面でユーザが確認できる。ユーザーインターフェース画面では、同一測定期間に属する測定画像を表示することができるとともに、複数の測定結果及び判定結果も表示することができる。さらに、ユーザーインターフェース画面には、総合判定結果も表示することができる。例えば、複数の測定結果及び判定結果を所定方向に並べて表示したり、同一領域にまとめて表示することができる。
【0112】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、測定領域SにワークWを配置し、例えばそのワークWを回転手段によって回転させながら二次元撮像素子31により撮像させて順次測定画像を取得すると、順次取得される測定画像に対してエッジの抽出処理が実行され、抽出されたエッジを用いて寸法測定が実行される。これにより、複数の寸法測定の測定値が取得され、取得された複数の寸法測定の測定値と、当該測定値と対応する測定画像とが関連付けられてバッファ76に記憶される。処理部73bによりバッファ76に記憶された複数の測定値からある測定値を特定すると、特定された測定値と、当該測定値に対応する測定画像とが出力される。つまり、不良品と判定されるような最大値が測定された場合、その最大値とともに、その最大値が測定された測定画像をユーザに提示できるので、不良品の状態をより正確に把握できる。
【0113】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0114】
以上説明したように、本発明に係る光学測定装置は、投光用筐体と受光用筐体との間に配置したワークの寸法等を測定する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0115】
1 光学測定装置
10 投光用ユニット
11 光源
12 光源ホルダ
15 投光側テレセントリックレンズ
20 投光用筐体
23 投光窓
30 受光用ユニット
31 二次元撮像素子
35 受光側反射体
36 受光側テレセントリックレンズ
38 受光側レンズユニット
40 受光用筐体
43 受光窓
73a 実行部
73b 処理部
73c 受付部
73d 判定部
73e 特定部
76 バッファ
S 測定領域
W ワーク
図1
図2
図3
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図5
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図16A
図16B
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