(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082139
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】ビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 303/40 20060101AFI20220525BHJP
C07C 311/48 20060101ALI20220525BHJP
C07D 285/15 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
C07C303/40
C07C311/48 CSP
C07D285/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193524
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(72)【発明者】
【氏名】川本 拓治
【テーマコード(参考)】
4C036
4H006
【Fターム(参考)】
4C036AD02
4C036AD04
4C036AD18
4C036AD24
4C036AD25
4C036AD27
4C036AD28
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドを簡便に製造する方法の提供。
【解決手段】式(I)で表されるアルキン化合物と、式(II)で表されるビスフルオロアルカンスルホニルイミドとを反応させることを特徴とする、ビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法。
(式中、R
1は、置換基を有していてもよい、鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基等;R
2は、H、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基等;Rfは、独立してC1~C10フルオロアルキル基等)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、R
1は、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基;置換基を有していてもよい環状脂肪族炭化水素基;置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基;又は置換基を有していてもよい複素環基であり、R
2は、水素原子;置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基;置換基を有していてもよい環状脂肪族炭化水素基;トリアルキルシリル基;アリルジアルキルシリル基;アルキルジアリルシリル基;又はトリアリルシリル基である。)で表されるアルキン化合物と、式(II)
【化2】
(式中、各Rfは、独立してC1~C10フルオロアルキル基であるか、一緒になってC3~C10シクロフルオロアルキル基である。)で表されるビスフルオロアルカンスルホニルイミドとを反応させることを特徴とする、式(III)
【化3】
(式中、R
1、R
2、及びRfは、上記式(I)及び式(II)中のR
1、R
2、及びRfと同じ基である。)
で表されるビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法。
【請求項2】
式(I)中におけるR1が、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である請求項1に記載のビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法。
【請求項3】
式(II)中におけるフルオロアルキル基が、アルキル基中の水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されているアルキル基である請求項1又は2に記載のビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法。
【請求項4】
式(II)中におけるフルオロアルキル基が、ペルフルオロアルキル基である請求項1~3のいずれかに記載のビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法。
【請求項5】
式(III)で表されるビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミド化合物。
【化4】
(式中、R
1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基;又は置換基を有していてもよい複素環基であり、R
2は、水素原子;置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基;置換基を有していてもよい環状脂肪族炭化水素基;トリアルキルシリル基;アリルジアルキルシリル基;アルキルジアリルシリル基;又はトリアリルシリル基であり、2つのRfが一緒になってC3~C5のペルシクロフルオロアルキル基である)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキン化合物を出発物質とするビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの新規製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機フッ素化合物には、フッ素と水素の原子半径がほぼ同じであることに由来する、生体側の立体的分子認識の相似性効果(ミミック効果)、C-F結合がC-H結合と比べ強固であるため、代謝部位の保護やそれに伴う毒性の回避ができる効果(ブロック効果)、及び、脂溶性の向上により生体内での吸収・輸送を促進する効果(脂溶性効果)のような、フッ素原子の特徴的な大きさや電子的性質に由来する効果が知られている。これらの効果を適応した化学修飾により、数多くの医農薬品の開発が行われてきた。そして、アルキル基のミミック置換基であるフルオロアルキル基の導入法の開拓が行われている。
【0003】
ところで、スルホンアミド化合物も、除草剤、殺菌剤に広く使用されている化合物である。特許文献1には、フルオロアルキル基を導入したビニルトリフルオロメタンスルホニルアミドの製造方法が開示されている。一方、その類縁体であるビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドは、農薬中間体としての応用が期待されるが、その合成の報告は、近年までなされてこなかった。最近、アルキン化合物に対してジベンゼンスルホンイミドを反応させることで、ビニルビスフェニルスルホニルイミドが合成できることができることが明らかにされた(非特許文献1)。また、非特許文献2には、アルキン化合物をリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと反応させることで、ビニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが合成できたことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Dehu Xiang et al., Asian J. Org. Chem. 2019, 8, 537-541
【非特許文献2】Sebastian Schroeder et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58, 5119-5123
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、非特許文献2に記載の方法は、反応系に添加剤としてヘキサフルオロリン酸リチウム及びテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートを加えなければならず、残量添加物が多種となってしまう点や、反応時間が20時間以上と長時間であるという点に問題を有していた。また、非特許文献2では、出発原料として(CF3SO2)2NLiのみしか用いられておらず、他のスルホンイミド化合物を用いたときに同様に反応が進み、広範なビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドを製造できるかが不明であった。
本発明は、以上のような問題点に鑑み、より簡便で、安価に、しかも効率よくビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミド及びその類縁体を製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。非特許文献2には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは求核性が弱く、アルキン化合物との反応は進まないと開示されていたが、本発明者は、あえてアルキン化合物及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを出発原料として、添加剤を加えずに室温で反応させたところ、予想に反して反応が進行し、ビニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが製造できた。さらに、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド以外のビスフルオロアルカンスルホニルイミドを用いて反応させたときに、対応するビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドを簡便に、且つ効率よく得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下に関する。
〔1〕式(I)
【化1】
(式中、R
1は、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基;置換基を有していてもよい環状脂肪族炭化水素基;置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基;又は置換基を有していてもよい複素環基であり、R
2は、水素原子;置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基;置換基を有していてもよい環状脂肪族炭化水素基;トリアルキルシリル基;アリルジアルキルシリル基;アルキルジアリルシリル基;又はトリアリルシリル基である。)で表されるアルキン化合物と、式(II)
【化2】
(式中、各Rfは、独立してC1~C10フルオロアルキル基であるか、一緒になってC3~C10シクロフルオロアルキル基である。)で表されるビスフルオロアルカンスルホニルイミドとを反応させることを特徴とする、式(III)
【化3】
(式中、R
1、R
2、及びRfは、上記式(I)及び式(II)中のR
1、R
2、及びRfと同じ基である。)
で表されるビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法。
〔2〕式(I)中におけるR
1が、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である上記〔1〕に記載のビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法。
〔3〕式(II)中におけるフルオロアルキル基が、アルキル基中の水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されているアルキル基である上記〔1〕又は〔2〕に記載のビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法。
〔4〕式(II)中におけるフルオロアルキル基が、ペルフルオロアルキル基である上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法。
〔5〕式(III)で表されるビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミド化合物。
【化4】
(式中、R
1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基;又は置換基を有していてもよい複素環基であり、R
2は、水素原子;置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基;置換基を有していてもよい環状脂肪族炭化水素基;トリアルキルシリル基;アリルジアルキルシリル基;アルキルジアリルシリル基;又はトリアリルシリル基であり、2つのRfが一緒になってC3~C5のペルシクロフルオロアルキル基である)
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、温和な条件で、添加剤を必要とせず、簡便且つ短時間の反応で目的とするビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドを効率よく得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造方法は、式(I)
【化5】
で表されるアルキン化合物を、式(II)
【化6】
で表されるビスフルオロアルカンスルホニルイミドと反応させる方法である。
【0011】
本発明の製造方法に用いられる式(I)で表されるアルキン化合物中、R1は、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基;置換基を有していてもよい環状脂肪族炭化水素基;置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基;又は置換基を有していてもよい複素環基であり、R2は、水素原子;置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基;置換基を有していてもよい環状脂肪族炭化水素基;トリアルキルシリル基;アリルジアルキルシリル基;アルキルジアリルシリル基;又はトリアリルシリル基である。
【0012】
上記「置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基」における「鎖状炭化水素基」として、具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等を例示することができ、また、アルカジエニル基、アルカトリエニル基等のように、アルキル基における炭素-炭素結合の2~3個が二重結合に変換された基であってもよい。
【0013】
上記アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等のC1~10のアルキル基等を例示することができる。
【0014】
なお、「C1~10」の用語は、母核となる基の炭素原子数が1~10個であることを表している。この炭素原子数には、置換基の中に在る炭素原子の数を含まない。例えば、置換基としてエトキシ基を有するブチル基は、C2アルコキシC4アルキル基に分類する。以下、本明細書において、同じ意味で用いる。
【0015】
上記アルケニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、1-ヘプテニル基、1-オクテニル基、1-ノネニル基、1-デセニル基等のC2~10のアルケニル基等を例示することができる。
【0016】
上記アルキニル基としては、直鎖状でも分岐状であってもよく、具体的には、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、1-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、1-ヘプチニル基、1-オクチニル基、1-ノニニル基等のC2~10のアルキニル基等を例示することができる。
【0017】
上記「アルキル基における炭素-炭素結合の2~3個が二重結合に変換された基」として、具体的には、上記炭素数1~10のアルキル基における炭素-炭素結合の2~3個が二重結合に変換された基である、1,3-ブタジエニル等の炭素数4~6のアルカジエニル基、1,3,5-ヘキサトリエニル等のアルカトリエニル基を例示することができる。
【0018】
上記「置換基を有していてもよい環状脂肪族炭化水素基」における「環状脂肪族炭化水素基」として、具体的には、員数3~10の単環脂肪族炭化水素基又は縮合環脂肪族炭化水素基等を例示することができる。単環脂肪族炭化水素基として、具体的には、飽和又は不飽和の環状脂肪族炭化水素基である、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基等を例示することができる。
【0019】
上記シクロアルキル基として、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等を例示することができる。
【0020】
上記シクロアルケニル基として、具体的には、1-シクロペンテニル基、2-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基、1-シクロブテニル基、1-シクロヘプテニル基等を例示することができる。
【0021】
上記シクロアルカジエニル基として、具体的には、2,4-シクロペンタジエニル基、2,4-シクロヘキサジエニル基、2,5-シクロヘキサジエニル基等を例示することができる。
【0022】
上記「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「芳香族炭化水素基」としては、単環式でも縮合多環式でもよく、具体的には、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アズレニル基、3-インデニル基、1-インダニル基、5-テトラリニル基等を例示することができる。
【0023】
上記「置換基を有していてもよい複素環基」における「複素環基」として、具体的には、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む員数5~10の単環複素環基又は員数5~10の単環芳香族複素環基若しくは縮合芳香族複素環等を例示することができ、縮合芳香族複素環基には、ベンゼン環と窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む単環複素環が縮合したものが包含される。
【0024】
上記複素環基として、具体的には、1-ピペリジニル基、1-モルホリニル基、2-ピロリル基、2-イミダゾリル基、2-ベンゾイミダゾリル基、3-ピラゾリル基、2-チアゾリル基、3-イソチアゾリル基、2-オキサゾリル基、3-イソオキサゾリル基、4-フラザニル基、2-ピリジニル基、2-ピラジニル基、2-ピリミジニル基、3-ピリダジニル基、2-フラニル基、2-ピラニル基、2-チエニル基、2-ベンゾチオフェニル基、2-チオピラニル基、1-イソチオクロメニル基、2-チオクロメニル基、9-チオキサンテニル基、1-チアントレニル基、1-フェノキサチインニル基、1-ピロリジニル基、5H-1-ピリンジン-5-イル基、インドリジン-1-イル基、1-イソインドリル基、1-インドリル基、1-インダゾリニル基、2-プリニル基、1-キノリジニル基、1-イソキノリニル基、2-キノリニル基、2,6-ナフチリジン-1-イル基、2,7-ナフチリジン-1-イル基、1-フタラジニル基、2-キノキサリニル基、2-キナゾリニル基、3-シンノリニル基、2-プテリジニル基、9-カルバゾリル基、9-β-カルボリニル基、10-フェナントリジニル基、9-アクリジニル基、2-ペリミジニル基、1,10-フェナントロリン-2-イル基、1-フェナジニル基、1-フェノチアジニル基、1-フェノキサジニル基、2-アンチリジニル基、1-イソベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、1-イソクロメニル基、2-クロメニル基、9-キサンテニル基、パラチアジニル基、1,2,4-トリアゾール-3-イル基、1,2,3-トリアゾール-1-イル基、5-テトラゾリル基等を例示することができる。
【0025】
上記「置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基」、「置換基を有していてもよい環状脂肪族炭化水素基」、「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」、「置換基を有していてもよい複素環基」における「置換基」は化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて特に制限されない。
【0026】
具体的には、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基若しくはn-デシル基等のC1~10アルキル基;
ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基若しくは2-メチル-2-プロペニル基等のC2~6アルケニル基;
エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基若しくは1-メチル-2-プロピニル基等のC2~6アルキニル基;
【0027】
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基若しくはキュバニル基等のC3~8シクロアルキル基;
フェニル基若しくは1-ナフチル基等のC6~10アリール基;
ベンジル基若しくはフェネチル基等のC6~10アリールC1~6アルキル基;
3~6員ヘテロシクリル基;
3~6員へテロシクリルC1~6アルキル基;
【0028】
水酸基;
メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基若しくはt-ブトキシ基等のC1~6アルコキシ基;
ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基若しくはブテニルオキシ基等のC2~6アルケニルオキシ基;
エチニルオキシ基若しくはプロパルギルオキシ基等のC2~6アルキニルオキシ基;
フェノキシ基若しくは1-ナフトキシ基等のC6~10アリールオキシ基;
ベンジルオキシ基若しくはフェネチルオキシ基等のC6~10アリールC1~6アルコキシ基;
2-チアゾリルオキシ基若しくは2-ピリジルオキシ基等の5~6員ヘテロアリールオキシ基;
2-チアゾリルメチルオキシ基若しくは2-ピリジルメチルオキシ基等の5~6員ヘテロアリールC1~6アルキルオキシ基;
【0029】
ホルミル基;
アセチル基若しくはプロピオニル基等のC1~6アルキルカルボニル基;
ホルミルオキシ基;
アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等のC1~6アルキルカルボニルオキシ基;
ベンゾイル基等のC6~10アリールカルボニル基;
ベンゾイルオキシ基等のC6~10アリールカルボニルオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基若しくはt-ブトキシカルボニル基等のC1~6アルコキシカルボニル基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n-プロポキシカルボニルオキシ基、i-プロポキシカルボニルオキシ基、n-ブトキシカルボニルオキシ基、若しくはt-ブトキシカルボニルオキシ基等のC1~6アルコキシカルボニルオキシ基;
カルボキシル基;
【0030】
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基若しくはアイオド基等のハロゲノ基;
クロロメチル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,2-ジクロロ-n-プロピル基、1-フルオロ-n-ブチル基若しくはパーフルオロ-n-ペンチル基等のC1~6ハロアルキル基;
2-クロロ-1-プロペニル基若しくは2-フルオロ-1-ブテニル基等のC2~6ハロアルケニル基;
4,4-ジクロロ-1-ブチニル基、4-フルオロ-1-ペンチニル基若しくは5-ブロモ-2-ペンチニル基等のC2~6ハロアルキニル基;
トリフルオロメトキシ基、2-クロロ-n-プロポキシ基若しくは2,3-ジクロロブトキシ基等のC1~6ハロアルコキシ基;
2-クロロプロペニルオキシ基若しくは3-ブロモブテニルオキシ基等のC2~6ハロアルケニルオキシ基;
クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基若しくはトリクロロアセチル基等のC1~6ハロアルキルカルボニル基;
【0031】
アミノ基;
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基若しくはジエチルアミノ基等のC1~6アルキル置換アミノ基;
アニリノ基若しくは1-ナフチルアミノ基等のC6~10アリールアミノ基;
ベンジルアミノ基若しくはフェネチルアミノ基等のC6~10アリールC1~6アルキルアミノ基;
ホルミルアミノ基;
アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基若しくはi-プロピルカルボニルアミノ基等のC1~6アルキルカルボニルアミノ基;
ベンゾイルアミノ基等のC6~10アリールカルボニルアミノ基;
メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n-プロポキシカルボニルアミノ基若しくはi-プロポキシカルボニルアミノ基等のC1~6アルコキシカルボニルアミノ基;
【0032】
アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基若しくはN-フェニル-N-メチルアミノカルボニル基等の無置換若しくは置換基を有するアミノカルボニル基;
イミノメチル基、1-イミノエチル基若しくは1-イミノ-n-プロピル基等のイミノC1~6アルキル基;
N-ヒドロキシ-イミノメチル基、1-(N-ヒドロキシイミノ)エチル基、1-(N-ヒドロキシイミノ)-n-プロピル基、N-メトキシイミノメチル基若しくは1-(N-メトキシイミノ)エチル基等の無置換若しくは置換基を有するN-ヒドロキシイミノC1~6アルキル基;
【0033】
アミノカルボニルオキシ基;
エチルアミノカルボニルオキシ基若しくはジメチルアミノカルボニルオキシ基等のC1~6アルキル置換アミノカルボニルオキシ基;
【0034】
メルカプト基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基若しくはt-ブチルチオ基等のC1~6アルキルチオ基;
トリフルオロメチルチオ基若しくは2,2,2-トリフルオロエチルチオ基等のC1~6ハロアルキルチオ基;
フェニルチオ基若しくは1-ナフチルチオ基等のC6~10アリールチオ基;
2-チアゾリルチオ基若しくは2-ピリジルチオ基等の5~6員ヘテロアリールチオ基;
メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基若しくはt-ブチルスルフィニル基等のC1~6アルキルスルフィニル基;
トリフルオロメチルスルフィニル基若しくは2,2,2-トリフルオロエチルスルフィニル基等のC1~6ハロアルキルスルフィニル基;
フェニルスルフィニル基若しくは1-ナフチルスルフィニル基等のC6~10アリールスルフィニル基;
2-チアゾリルスルフィニル基若しくは2-ピリジルスルフィニル基等の5~6員ヘテロアリールスルフィニル基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基若しくはt-ブチルスルホニル基等のC1~6アルキルスルホニル基;
トリフルオロメチルスルホニル基若しくは2,2,2-トリフルオロエチルスルホニル基等のC1~6ハロアルキルスルホニル基;
フェニルスルホニル基若しくは1-ナフチルスルホニル基等のC6~10アリールスルホニル基;
2-チアゾリルスルホニル基若しくは2-ピリジルスルホニル基等の5~6員ヘテロアリールスルホニル基;
メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基若しくはt-ブチルスルホニルオキシ基等のC1~6アルキルスルホニルオキシ基;
トリフルオロメチルスルホニルオキシ基若しくは2,2,2-トリフルオロエチルスルホニルオキシ基等のC1~6ハロアルキルスルホニルオキシ基;
【0035】
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基若しくはt-ブチルジメチルシリル基等のトリC1~6アルキル置換シリル基;
トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基若しくはt-ブチルジメチルシリルオキシ基等のトリC1~6アルキル置換シリルオキシ基;
トリフェニルシリル基等のトリC6~10アリール置換シリル基;
トリフェニルシリルオキシ基等のトリC6~10アリール置換シリルオキシ基;
シアノ基又はニトロ基等を例示することができる。
【0036】
また、これらの「置換基」は、当該置換基中のいずれかの水素原子が、異なる構造の基で置換されていてもよい。その場合の「置換基」として、具体的には、C1~6アルキル基、C1~6ハロアルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルコキシ基、ハロゲノ基、シアノ基又はニトロ基等を例示することができる。
【0037】
また、上記「3~6員ヘテロシクリル基」とは、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びボロン原子からなる群から選ばれる1~4個のヘテロ原子を環の構成原子として含むものである。ヘテロシクリル基は、単環及び多環のいずれであってもよい。多環ヘテロシクリル基は、少なくとも一つの環がヘテロ環であれば、残りの環が飽和脂環、不飽和脂環又は芳香環のいずれであってもよい。「3~6員ヘテロシクリル基」として、具体的には、3~6員飽和ヘテロシクリル基、5~6員ヘテロアリール基、5~6員部分不飽和ヘテロシクリル基等を例示することができる。
【0038】
上記3~6員飽和ヘテロシクリル基として、具体的には、2-アジリジニル基、2-エポキシ基、2-ピロリジニル基、2-テトラヒドロフラニル基、2-チアゾリジニル基、2-ピペリジル基、2-ピペラジニル基、1-モルホリニル基、2-ジオキソラニル基、2-ジオキサニル基、ピナコロニルボロニル基等を例示することができる。
【0039】
上記5員ヘテロアリール基として、具体的には、2-ピロリル基、2-フリル基、2-チエニル基、2-イミダゾリル基、3-ピラゾリル基、2-オキサゾリル基、3-イソオキサゾリル基、2-チアゾリル基、3-イソチアゾリル基、1,2,4-トリアゾール-3-イル基、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル基、1,2,4-チアジアゾ-ル-3-イル基、5-テトラゾリル基等を例示することができる。
【0040】
上記6員ヘテロアリール基として、具体的には、2-ピリジル基、3-ピラジニル基、2-ピリミジニル基、2-ピリダジニル基、1,3,5-トリアジン-2-イル基等を例示することができる。
【0041】
上記5~6員部分不飽和ヘテロシクリル基として、具体的には、2-オキサゾリニル基若しくは3-イソオキサゾリニル基等を例示することができる。
【0042】
上記3~6員へテロシクリルのC1~6アルキル基として、具体的には、2-アジリジニルメチル基、グリシジル基、2-ピロリジルメチル基、2-テトラヒドロフラニルメチル基、2-チアゾリジニルメチル基、2-ピロリルメチル基、2-フリルメチル基、2-イミダゾリルメチル基、2-ピリジルメチル基又は4-ピリジルメチル基等を例示することができる。
【0043】
好ましい態様において、R1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基であり、より好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基である。また、上記置換基を有していてもよいフェニル基上の置換基数は、1でも2以上でもよく、置換基の位置は、三重結合との置換位置に対してオルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置であってもよい。
【0044】
式(I)で表される化合物として、具体的には、下記式に挙げる化合物を例示することができる。
【0045】
【0046】
また、式(II)においてRfと表されるフルオロアルキル基は、同じでも異なっていてもよく、水素原子の全てがフッ素原子により置換されたアルキル基(ペルフルオロアルキル基)であっても、水素原子の一部がフッ素原子により置換されたアルキル基であってもよい。炭素数も特に制限されないが、C1~C10の範囲が好ましく例示することができ、具体的には、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15又はC8F17等のペルフルオロアルキル基、CF2H、CFH2、CF2CF2H、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9又はCH2CH2C4F9等の部分フッ素置換アルキル基等を例示することができる。中でも、アルキル基中の水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されているアルキル基が好ましく、70%以上、80%以上、90%以上がさらに好ましい。さらに、その中でもC1~C6のフルオロアルキル基が好ましく、さらにはC1~C3のフルオロアルキル基が好ましく、特にCF3、CF2CF2Hが好ましい。また、式(II)中の2つのRfが一緒になってシクロフルオロアルキル基を形成してもよく、水素原子の全てがフッ素原子により置換されたシクロアルキル基(ペルシクロフルオロアルキル基)であっても、水素原子の一部がフッ素原子により置換されたシクロアルキル基であってもよい。炭素数も特に制限されないが、C3~C10の範囲が好ましく例示することができ、具体的には、C3F6、C4F8、C5F10、C6F12、C7F14又はC8F16等のペルシクロフルオロアルキル基、CH2CH2CF2、CH2C2F4、CH2CH2C2F4、CH2C3F6、CH2CH2C3F6、CH2C4F8又はCH2CH2C4F8等の部分フッ素置換アルキル基等を例示することができる。中でも、アルキル基中の水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されているアルキル基が好ましく、70%以上、80%以上、90%以上がさらに好ましい。さらに、その中でもC3~C8のペルシクロフルオロアルキル基が好ましく、さらにはC3~C5のペルシクロフルオロアルキル基が好ましく、特にC3F6が好ましい。
【0047】
本発明の製造方法は、式(I)で表されるアルキン化合物を、有機溶媒中で式(II)で表されるビスフルオロアルカンスルホニルイミドと反応させる。ここで、用いる有機溶媒として、具体的には、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、フルオロベンゼン、若しくはジフルオロベンゼン等の有機ハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン若しくはメシチレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ(n-ブチル)エーテル、モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アニソール、ベラトロール、ジエチルスルフィド、ジ(n-ブチル)スルフィド、アセトニトリル、プロピオニトリル若しくはベンゾニトリル等非プロトン性極性溶媒;ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン若しくはシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等を例示することができるが、中でも、有機ハロゲン系溶媒が好ましく、さらに、ジクロロメタン又は1,2-ジクロロエタン、より好ましくは脱水ジクロロメタン又は脱水1,2-ジクロロエタンを好適に使用することができる。
【0048】
これら有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(I)で表されるアルキン化合物に対して、重量比で0.5倍~20倍の範囲が好ましい。
【0049】
式(I)で表されるアルキン化合物に対する式(II)で表されるビスフルオロアルカンスルホニルイミドの使用量は、モル比で、1.0~2.0当量の範囲が好ましい。
【0050】
本発明の製造方法における反応温度は、特に限定されないが、通常、-100℃~150℃であり、好ましくは0℃~100℃であり、より好ましくは10℃~50℃であり、さらに好ましくは15℃~30℃である。反応は、室温で行うこともできる。反応圧力は、常圧又は加圧下にて実施することができるが、常圧下が好ましい。反応時間は通常1分~200時間であり、好ましくは1時間~10時間であり、より好ましくは1時間~5時間であり、さらに好ましくは1時間~3時間である。なお、反応は十分な攪拌下にて行うことが望ましい。反応後、公知の蒸留法、抽出、晶出、再結晶、クロマトグラフィー等の精製によりビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドを単離することができる。
【0051】
本発明の製造方法により、以下の式(III)で表されるビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドを合成することができる。
【化8】
(式中、R
1、R
2、及びRfは、上記式(I)及び式(II)中のR
1、R
2、及びRfと同じ基である。)
本発明の製造方法により得られるビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミド、好ましくは2つのRfが一緒になってC3~C5のペルシクロフルオロアルキル基であるビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドは、医薬品や農薬の合成中間体として好適に使用することができる。
【実施例0052】
以下実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例の範囲に限定されるものではない。
[実施例1]
【0053】
実施例1~12では、出発物質として1-エチニルベンゼン及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(HNTf2)を用い、出発物質の当量数及び溶媒量の検討を行った。
【0054】
【0055】
100mL二口フラスコに撹拌子を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(24.5mL)、1-エチニルベンゼン(51.3mg)、1MのHNTf2溶液(0.50mL)の順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。
ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た(172.6mg)。内部標準としてCHCl2CCl2を添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(99%)。
[実施例2]
【0056】
【0057】
10mL二口フラスコに撹拌子を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(9.5mL)、1-エチニルベンゼン(52.2mg)、1MのHNTf2溶液(0.51mL)の順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。
ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た(179.5mg)。内部標準としてCHCl2CCl2を添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(99%)。
[実施例3]
【0058】
【0059】
10mL二口フラスコに撹拌子を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(4.5mL)、1-エチニルベンゼン(51.7mg)、1MのHNTf2溶液(0.51mL)の順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。
ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た(194.6mg)。内部標準としてCHCl2CCl2を添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(93%)。
[実施例4]
【0060】
【0061】
10mL二口フラスコに撹拌子を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(2.0mL)、1-エチニルベンゼン(50.8mg)、1MのHNTf2溶液(0.50mL)の順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。
ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た(193.0mg)。内部標準としてCHCl2CCl2を添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(93%)。
[実施例5]~[実施例12]
【0062】
出発原料の当量数、溶媒の種類及び量、並びに反応温度を表1に示すとおりとした以外は実施例1~4と同様に反応を行った。その結果を表1に示す。実施例1~12の結果より、溶媒としてCH2ClCH2Cl又はCH2Cl2を用い、HNTf2を1-エチニルベンゼンに対して1当量以上加えて室温にて2時間反応させることにより、添加剤なしに生成物であるビニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを高収率で得られることがわかった。
【0063】
【0064】
本実施例では、10mmolの1-エチニルベンゼン及び当量のHNTf2を用い、同様にビニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが合成できることを確認した。
【0065】
【化13】
200mL二口フラスコに撹拌子を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(90mL)、1-ethynylbenzene(1.0223g)、1MのHNTf
2溶液(10.0mL)の順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO
2=95g,Φ=6.0cm,充填溶媒:hexane,展開溶媒:hexane/酢酸エチル=50)により単離精製を実施し生成物を得た(3.2g,84%)。
1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.54-7.52(m,2H),7.45-7.42(m,3H),6.18(d,J=2.9Hz,1H),5.76(d,J=2.3Hz,1H);13C-NMR(126MHz,CHLOROFORM-D)δ140.57,133.60,130.23,128.77,126.72,123.671119.17(q,J=325.5Hz);19F-NMR(471MHz,CHLOROFORM-D)δ-69.55
[実施例14]
【0066】
実施例14~23では、1-エチニルベンゼン及びHNTf2以外の出発物質を用いてビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドの製造を行った。
【0067】
【化14】
10mL二口フラスコに撹拌子を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(4.5mL)、エチル4-[2-(トリメチルシリル)エチニル]ベンゾエート(113.3mg)、1MのHNTf
2溶液(0.50mL)の順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。
ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た。内部標準としてCHCl
2CCl
2(42.8mg)を添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(96%)。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO
2=35g,Φ=3.2cm,充填溶媒:hexane,展開溶媒:hexane/酢酸エチル=50)により単離精製を実施し生成物を得た(191.6mg,87%)。
1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.44(d,J=2.3Hz,4H),6.15(d,J=2.3Hz,1H),5.69(d,J=2.3Hz,1H),1.33(s,9H);13C-NMR(126MHz,CHLOROFORM-D)δ153.71,140.44,130.61,126.34,125.73,122.57,119.15(q,J=325.9Hz),34.77,31.07;19F-NMR(471MHz,CHLOROFORM-D)δ-69.54
[実施例15]
【0068】
【0069】
10mL二口フラスコに撹拌子を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(4.5mL)、1-(tert-ブチル)-4-[2-(トリメチルシリル)エチニル]-ベンゼン(146.5mg)、1MのHNTf2溶液(0.60mL)の順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。
ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た(247.2mg)。内部標準としてCHCl2CCl2(38.8mg)を添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(63%)。
1H-NMR(500mhz,CHLOROFORM-D)δ8.10(dt,J=8.6,2.0Hz,2H),7.58-7.62(m,2H),6.30(d,J=2.3Hz,1H),5.87(d,J=2.9Hz,1H),4.40(q,J=7.5Hz,2H),1.42(t,J=7.5Hz,3H);19F-NMR(471mhz,CHLOROFORM-D)δ-69.47
[実施例16]
【0070】
【0071】
10mL二口フラスコに撹拌子を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(4.0mL)、エチル4-[2-(トリメチルシリル)エチニル]ベンゾエート(138.5mg,0.56mmol)、1MのHNTf2溶液(1.12mL)の順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。
ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た(390.5mg)。内部標準としてCHCl2CCl2(39.6mg)添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(72%)。
[実施例17]
【0072】
【0073】
10mL二口フラスコに撹拌子を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(4.5mL)、1-クロロ-3-[2-(トリメチルシリル)エチニル]-ベンゼン(103.2mg,0.49mmol)、1MのHNTf2溶液(0.50mL)の順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。
ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た(186.6mg)。内部標準としてCHCl2CCl2(45mg)添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(78%)。
1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.51(t,J=2.0Hz,1H),7.35-7.43(m,3H),6.20(d,J=2.3Hz,1H),5.81(d,J=2.3Hz,1H);19F-NMR(471MHz,CHLOROFORM-D)δ-69.44
[実施例18]
【0074】
【0075】
10mL二口フラスコに撹拌子を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(4.5mL)、4-[2-(トリメチルシリル)エチニル]-1,1’-ビフェニル(124.9mg,0.5mmol)、1MのHNTf2溶液(0.50mL)の順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。
ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た(218.7mg)。内部標準としてCHCl2CCl2(45mg)添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(97%)。
1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.66(dt,J=8.6,2.0Hz,2H),7.60(tt,J=8.7,1.9Hz,4H),7.47(tt,J=7.9,2.1Hz,2H),7.39(tt,J=7.4,1.7Hz,1H),6.24(d,J=2.9Hz,1H),5.77(d,J=2.9Hz,1H);19F-NMR(471MHz,CHLOROFORM-D)δ-69.48
[実施例19]
【0076】
【0077】
10mL二口フラスコに撹拌子、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジスルホンイミド(143.5mg,0.49mmol)を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(5mL)、エチニルベンゼン(50.1mg,0.49mmol)を加えたのちに室温で2時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た。内部標準としてCHCl2CCl2(38.9mg)添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(>99%)。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2=35g,Φ=3.2cm,充填溶媒:hexane,展開溶媒:hexane/酢酸エチル=40)により単離精製を実施し生成物を得た(175mg,90%)。
1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.77-7.75(m,2H),7.69-7.67(m,3H),6.41(d,J=2.9Hz,1H),5.90(d,J=2.9Hz,1H);19F-NMR(471MHz,CHLOROFORM-D)δ-113.31--111.10(m,2F),-118.40--115.81(m,1F),-121.30--119.25(m,2F),-131.79--130.21(m,1F)
[実施例20]
【0078】
【0079】
10mL二口フラスコに撹拌子、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジスルホンイミド(143.5mg,0.49mmol)を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(5mL)、4-[2-(トリメチルシリル)エチニル]-1,1’-ビフェニル(124.6mg)を順に加えたのちに室温で2時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た。内部標準としてCHCl2CCl2(39.7mg)添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(94%)。
1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.69(dt,J=8.6,2.0Hz,2H),7.59-7.64(m,4H),7.47(tt,J=7.7,1.6Hz,2H),7.40(tt,J=7.4,1.5Hz,1H),6.24(d,J=2.9Hz,1H),5.70(d,J=2.9Hz,1H)19F-NMR(471MHz,CHLOROFORM-D)δ-113.60--111.57(m,2F),-117.71--115.58(m,1F),-121.90--119.70(m,2F),-132.08--130.38(m,1F)
[実施例21]
【0080】
【0081】
10mL二口フラスコに撹拌子、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジスルホンイミド(148.2mg)を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(5.0mL)、1-chloro-3-[2-(トリメチルシリル)エチニル]-ベンゼン(105mg)を加えたのちに室温で2時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た。内部標準としてCHCl2CCl2(34.7mg)添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(79%)。
1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.53-7.54(m,1H),7.40-7.44(m,3H),6.21(d,J=2.9Hz,1H),5.75(d,J=2.9Hz,1H);19F-NMR(471MHz,CHLOROFORM-D)δ-114.10--111.43(m,2F),-117.98--116.09(m,1F),-121.38--119.21(m,2F),-131.35--129.49(m,1F)
[実施例22]
【0082】
【0083】
10mL二口フラスコに撹拌子、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジスルホンイミド(139.2mg)を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(5.0mL)、1-chloro-3-[2-(トリメチルシリル)エチニル]-Benzene(96.6mg)を加えたのちに室温で2時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た。内部標準としてCHCl2CCl2(45.7mg)添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(96%)。
1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.48(td,J=6.0,3.8Hz,2H),6.97(td,J=6.2,3.6Hz,2H),6.05(d,J=2.3Hz,1H),5.55(d,J=2.9Hz,1H),3.85(s,3H);19F-NMR(471MHz,CHLOROFORM-D)δ-113.94--111.24(m,2F),-118.06--116.30(m,1F),-121.46--119.62(m,2F),-131.99--130.10(m,1F)
[実施例23]
【0084】
【0085】
10mL二口フラスコに撹拌子、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジスルホンイミド(148.2mg)を入れ窒素置換を行った後、脱水ジクロロメタン(5.0mL)、1-methyl-4-[2-(トリメチルシリル)エチニル]-ベンゼン(96.5mg)を加えたのちに室温で2時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いてろ液の揮発成分を留去させ、粗生成物を得た。内部標準としてCHCl2CCl2(52.8mg)添加し、NMR測定を実施し、積分比から収率を算出した(<100%)。
1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.44(d,J=8.6Hz,2H),7.26(d,J=8.6Hz,2H),6.14(d,J=2.3Hz,1H),5.61(d,J=2.3Hz,1H),2.39(s,3H);19F-NMR(471MHz,CHLOROFORM-D)δ-110.28--113.99(2F),-115.46--118.43(1F),-119.35--121.57(2F),-129.28--132.99(1F)
本発明の製造方法によれば、添加剤不要、且つ温和な条件で、短時間の反応で目的とするビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドを効率よく得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、従来の製造方法では合成することができなかった新規のビニルビスフルオロアルカンスルホニルイミドを合成することができ、医薬品や農薬等の開発に資することができる。したがって、本発明の医薬品分野、農薬分野における利用可能性は極めて高い。