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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082141
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】布地絞り具及び布地絞り具セット
(51)【国際特許分類】
   F26B 5/14 20060101AFI20220525BHJP
   D06F 51/02 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
F26B5/14
D06F51/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193528
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】317007923
【氏名又は名称】西舘 成
(74)【代理人】
【識別番号】100115598
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 脩
(72)【発明者】
【氏名】西舘 成
【テーマコード(参考)】
3B168
3L113
【Fターム(参考)】
3B168AB11
3B168AD01
3B168AE01
3B168WA05
3B168WA18
3L113AA01
3L113AB09
3L113AC69
3L113AC76
3L113BA14
3L113DA07
(57)【要約】
【課題】片手の不自由な人や腕の力が弱い人などがタオルその他の繊維製品を絞るときなどにそれらを楽に絞ることができる布地絞り具及び布地絞り具セットを提供する。
【解決手段】柱状の第1部材と、第1部材に直交させて、端寄りに結合された柱状の第2部材と、第2部材を嵌入し、該第2部材の底部に回転自在に軸支された筒状の把持部材とを備え、第1部材に一部を掛止した布地の他の一部を一方の手等で把持し、他方の手で握った把持部材で、1部材を手回しして布地を捩り、水分を絞る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の第1部材と、前記第1部材に直交させて、端寄りに結合された柱状の第2部材と、前記第2部材を嵌入し、該第2部材の底部に回転自在に軸支された筒状の把持部材とを備え、
前記第1部材に一部を掛止した布地の他の一部を一方の手で把持し、他方の手で握った前記把持部材で、該第1部材を手回しして該布地を捩り、水分を絞ることを特徴とする布地絞り具。
【請求項2】
前記第1部材は、対向面相互間に複数の貫通孔が形成された柱状体、及び該貫通孔に対応する位置に複数のねじ穴が形成され、該対向面に配置される一対の板状体を有し、該ねじ穴と該貫通孔に挿入された螺子を緊緩して該板状体を該柱状体に接離させることにより布地を挟持する挟持部が形成され、該挟持部に前記布地の一部を挟持させたことを特徴とする請求項1記載の布地絞り具。
【請求項3】
前記第1部材の前記挟持部が形成された側とは反対側の端に引掛具を設け、該引掛具を所定のフックに掛止し、該フックに掛止された該第1部材に前記布地の前記一部を挟持させると共に、前記他の一部を、該引掛具を設けていない前記第1部材に挟持させることを特徴とする請求項2記載の布地絞り具。
【請求項4】
前記第2部材は、前記把持部材に嵌入する円柱体を有し、前記貫通孔に挿入された少なくとも2本の螺子で前記第1部材に結合され、
前記把持部材を握った手で、前記布地が挟持された位置を中心に前記第1部材を回すことにより前記水分を絞ることを特徴とする請求項2記載の布地絞り具。
【請求項5】
布地を挟持する挟持部が端寄りに形成された柱状の第1部材、該第1部材に直交させて該挟持部と反対側の端寄りに結合された柱状の第2部材、及び該第2部材の一部を嵌入して該第2部材の底部に回転自在に軸支された、手で把持する筒状の把持部材を有する布地絞り具と、
布地を挟持する挟持部が端寄りに形成された柱状の第3部材と、
前記第3部材を所定の個所に固定する固定手段と、を備え、
前記固定手段に固定された前記第3部材に一部を挟持させた前記布地の、他の一部を挟持した前記第1部材を、前記把持部材で手回しして該布地を捩り、水分を絞ることを特徴とする布地絞り具セット。
【請求項6】
布地を挟持する挟持部が端寄りに形成された柱状の第1部材、該第1部材に直交させて該挟持部と反対側の端寄りに結合された柱状の第2部材、及び該第2部材の一部を嵌入して該第2部材の底部に回転自在に軸支された、手で把持する筒状の把持部材を有する布地絞り具と、
布地を挟持する挟持部が一方の端寄りに形成され、他方の端に引掛部が形成された柱状の第4部材と、を備え、
所定のフックに前記引掛部を掛止させた前記第4部材に一部が挟持された前記布地の、他の一部を挟持した前記第1部材を、前記把持部材で手回しして該布地を捩り、水分を絞ることを特徴とする布地絞り具セット。
【請求項7】
前記第1部材は、対向面相互間に複数の貫通孔が形成された柱状体、及び該貫通孔に対応する位置に複数のねじ穴が形成され、該対向面に配置される一対の板状体を有し、該ねじ穴と該貫通孔に挿入された螺子を緊緩して該板状体を該柱状体に接離させることにより前記挟持部が形成されたことを特徴とする請求項5又は6記載の布地絞り具セット。
【請求項8】
前記第2部材は、前記把持部材に嵌入する円柱体を有し、前記貫通孔に挿入された少なくとも2本の螺子で前記第1部材に結合され、
前記第2部材に回転自在に軸支された前記把持部材を握った手で、前記布地が挟持された位置を中心に前記第1部材を回すことにより前記水分を絞ることを特徴とする請求項7記載の布地絞り具セット。
【請求項9】
前記第1部材は、互いに90度をなした対向面それぞれに前記貫通孔が形成されたことを特徴とする請求項7記載の布地絞り具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故や病気等に起因して指や手が不自由であったり、高齢化して握力が弱くなった人などが濡れた布地をうまく絞れないときに補助的に使用する布地絞り具及び布地絞り具セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
事故や病気等に起因して指や手が不自由であったり、高齢化して握力が弱くなった人は、洗顔や入浴の際に濡れタオルを絞ること、台所作業や清掃作業を行う際に濡れ布巾や濡れ雑巾を絞ることが難しい。
そこで、タオルしぼり枠体の左側板の内側に引掛具を設け、右側板の上部に支持手を起倒自在に嵌着した引掛具を回転自在に枠着し、底面板に多数の水抜孔を穿設すると共に、左右に、足先を挿入して枠体をしっかり押さえる円形の枠体押さえ穴を設け、支持手を回転してタオルを絞る障害者用タオル絞り器が提案されている(特許文献1参照)。
また、フレームと、タオルの一端を支持する第1支持手段が一方の端部に設けられ、フレームに回転自在に支持された回転軸と、 タオルの他端を回転しないようにフレームに支持する第2支持手段と、回転軸を回転させる回転駆動手段とを備えたタオル絞り装置も提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2記載の装置では、タオルの他端を回転しないように支持する第2支持手段の装着操作及び解除操作が片手では煩わしく、時間がかかるという問題があるとして、簡単なワンタッチ操作でタオルを絞る事ができるタオル絞り具が提案されている(特許文献3参照)。
すなわち、一端にフックと緩衝体、他端にストッパーがある螺旋バーと、螺旋バーが貫通するハンドルからなり、ハンドルには螺旋バーに沿って回転する誘導板があり、ハンドルをフック側からストッパー側に向けて引っ張ると、フックが回転してタオルが絞られるので、片手で操作できる。
また、ベース部材と、その一方側に布状物の一部を支持する第一支持部と、ベース部材の他方側に設けられ、回転する羽根部材と、布状物の他部を支持すると共に、羽部材と一体回転する第二支持部材とを有し、支持部材の一方にはUターン状に折り返した布状物の折返し部を掛け、他方には布状物の両端を巻き付けて支持し、羽部材を押し下げる操作を行うことで水分を絞り出す絞り器も提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】公開実用S58-46584号公報
【特許文献2】特開2000-283648号公報
【特許文献3】特開2009-47399号公報
【特許文献4】実用新案登録第3159094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2及び4で提案された絞り器具等は、絞る対象物がタオルに限定される上、枠体を設置するスペースが必要である。また、上記特許文献3で提案された絞り具は、強い力でハンドルを引っ張る必要があり、吸盤の吸着力がそれに耐えられない恐れがある。
そこで、本発明は、片手の不自由な人若しくは腕の力が弱い人がタオルその他の繊維製品を絞るとき、又は健常者であっても大型の布地製品若しくは大量の布地製品を絞る必要があるとき、あるいは電気製品が使用できない場合などでも、それらを楽に絞ることができる、小型で簡単な構造の布地絞り具及び布地絞り具セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の布地絞り具は、柱状の第1部材と、上記第1部材に直交させて、端寄りに結合された柱状の第2部材と、上記第2部材を嵌入し、該第2部材の底部に回転自在に軸支された筒状の把持部材とを備え、上記第1部材に一部を掛止した布地の他の一部を一方の手で把持し、他方の手で握った上記把持部材で、該第1部材を手回しして該布地を捩り、水分を絞ることを特徴とする。
このように、柱状体だけで構成した第1部材に折畳んだタオル等を掛止し、その第1部材に直交する第2部材に把持部材を軸支しただけの極めて簡単な構造の布地絞り具であっても、手で握った把持部材で第1部材を手回しすれば、タオルなどを捩り、水分を絞ることができる。
その場合、上記第1部材は、対向面相互間に複数の貫通孔が形成された柱状体、及び該貫通孔に対応する位置に複数のねじ穴が形成され、該対向面に配置される一対の板状体を有し、該ねじ穴と該貫通孔に挿入された螺子を緊緩して該板状体を該柱状体に接離させることにより布地を挟持する挟持部が形成され、該挟持部に上記布地の一部を挟持させたことが好ましい。
このように、第1部材に板状体を螺子で接離させてタオルなどの布地の挟持部を形成すれば、布地を折り畳まなくとも、布地を捩り、水分を絞ることができる。
また、上記第2部材は、上記把持部材に嵌入する円柱体を有し、上記貫通孔に挿入された少なくとも2本の螺子で上記第1部材に結合され、上記把持部材を握った手で、上記布地が挟持された位置を中心に上記第1部材を回すことにより上記水分を絞ることが好ましい。
このように、回転自在な把持部を第1部材にしっかりと固定すれば、把持部材で第1部材を確実に回すことができる。
ここで、上記第1部材の上記挟持部が形成された側とは反対側の端に引掛具を設け、該引掛具を所定のフックに掛止し、該フックに掛止された該第1部材に上記布地の上記一部を挟持させると共に、上記他の一部を、該引掛具を設けていない上記第1部材に挟持させることができる。
このように、上記第1部材に引掛具を設けた布地絞り具を作成すれば、二つの布地絞り具を使って、布地を片手だけで絞ることができる。
【0006】
本発明の布地絞り具セットは、布地を挟持する挟持部が端寄りに形成された柱状の第1部材、該第1部材に直交させて該挟持部と反対側の端寄りに結合された柱状の第2部材、及び該第2部材の一部を嵌入して該第2部材に底面が軸支された、手で把持する筒状の把持部材を有する布地絞り具と、布地を挟持する挟持部が端寄りに形成された柱状の第3部材と、上記第3部材を所定の個所に固定する固定手段と、を備え、上記固定手段に固定された上記第3部材に一部を挟持させた上記布地の、他の一部を挟持した上記第1部材を、上記把持部材で手回しして該布地を捩り、水分を絞ることを特徴とする。
また、本発明の布地絞り具セットは、布地を挟持する挟持部が端寄りに形成された柱状の第1部材、該第1部材に直交させて該挟持部と反対側の端寄りに結合された柱状の第2部材、及び該第2部材の一部を嵌入して該第2部材に底面が軸支された、手で把持する筒状の把持部材を有する布地絞り具と、布地を挟持する挟持部が一方の端寄りに形成され、他方の端に引掛部が形成された柱状の第4部材と、を備え、
所定のフックに上記引掛部を掛止させた上記第4部材に一部が挟持された上記布地の、他の一部を挟持した上記第1部材を、上記把持部材で手回しして該布地を捩り、水分を絞ることを特徴とする。
その場合、上記第1部材は、互いに90度をなした対向面それぞれに上記貫通孔を形成することができる。
このように、布地絞り具とは別個に布地の一部を挟持する部材やその固定手段と組み合わせてセットにすれば、布地は分離された2個所の挟持部で挟持することができる上、挟持する位置を任意に選ぶこともきるので、小さな布地は勿論、大きな布地であっても、楽に絞ることができる。
その場合、それらの布地絞り具セットにおいて、上記第1部材は、対向面相互間に複数の貫通孔が形成された柱状体、及び該貫通孔に対応する位置に複数のねじ穴が形成され、該対向面に配置される一対の板状体を有し、該ねじ穴と該貫通孔に挿入された螺子を緊緩して該板状体を該柱状体に接離させることにより上記挟持部が形成されたことが好ましい。
また、上記第2部材は、上記把持部材に嵌入する円柱体を有し、上記貫通孔に挿入された少なくとも2本の螺子で上記第1部材に結合され、上記第2部材に回転自在に軸支された上記把持部材を握った手で、上記布地が挟持された位置を中心に上記第1部材を回すことにより上記水分を絞ることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の布地絞り具及び布地絞り具セットは、小型で簡単な構造のため、片手の不自由な人若しくは腕の力が弱い人がタオルその他の繊維製品を絞る必要があるとき、あるいは健常者であっても大型の布地製品若しくは大量の布地製品を絞る必要があるときや、電気製品が使用できないときなどにそれらを楽に絞ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、布地絞り具の第1実施形態を一例として示す正面図である。
図2図2は、布地絞り具の第1実施形態を一例として示す右側面図である。
図3図3は、布地絞り具の第1実施形態を一例として示す左側面図である。
図4図4は、第1部材の円柱体の平面図である。
図5図5は、第1部材の円柱体の正面の断面図である。
図6図6は、挟持部を形成する板状体を示す平面図である。
図7図7は、挟持部を形成する板状体を示す正面図である。
図8図8は、第2部材及び把持部材の正面図である。
図9図9は、第2部材及び把持部材の上面図である。
図10図10は、第2部材及び把持部材の底面図である。
図11図11は、第2部材及び把持部材の左側面図である。
図12図12は、第2部材及び把持部材の正面の断面図である。
図13図13は、第1実施形態の布地絞り具を使ってタオルを絞る例を示す図である。
図14図14は、第2実施形態の布地絞り具の一例を示す図である。
図15図15は、第3実施形態の布地絞り具を使ってタオルを絞る例を示す図である。
図16図16は、第1実施形態の布地絞り具セットの一例として、第1実施形態の布地絞り具の変形例を示す正面図である。
図17図17は、第1実施形態の布地絞り具セットの一例として、第1実施形態の布地絞り具の変形例を示す第1部材の正面断面図である。
図18図18は、第3部材及びその固定手段を一例として示す図である。
図19図19は、第1実施形態の布地絞り具セットを用いて、布地を絞る一例を示す図である。
図20図20は、第1実施形態の布地絞り具セットの他の例として第3部材及びその固定手段を示す図である。
図21図21は、第1実施形態の他の例の布地絞り具セットを用いて、布地を絞る例を示す図である。
図22図22は、第2実施形態の布地絞り具セットを構成する第4部材の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本考案の布地絞り具及び布地絞り具セットの実施形態について図に基いて説明する。
図1から図3は、布地絞り具の第1実施形態を一例として示す図であり、図1は正面図、図2は右側面図、図3は左側面図である。
図1から図3に示す本実施形態の布地絞り具11は、布地を挟持する挟持部4が端寄りに形成された柱状の第1部材1と、その第1部材1に直交させて、挟持部4と反対側の端寄りに結合された柱状の第2部材2と、その第2部材2の一部を嵌入して、底面が第2部材2の底部に回転自在に軸支され、手で把持する円筒状の把持部材3とを備えている。
第1部材1は、その対向面1a,1b相互間に複数の貫通孔6が形成された円柱体1cと、その貫通孔6に対応する位置に複数のねじ穴8が形成され、対向面1a,1bに配置された一対の板状体7とを有する。
2枚の板状体7は、ねじ穴8が円柱体1cの貫通孔6と合致するように円柱体の対向面1a,1bに配置され、そこにつまみ螺子9が挿入されている。板状体7のねじ穴8には、ねじ溝8aが刻まれているので、つまみ螺子9を緊緩すれば板状体7が柱状体1cに接離するので、そこに布地を挟持する挟持部4が形成される。
なお、板状体7にはねじ穴8が2個所あり、それぞれにつまみ螺子9が挿入されるので、つまみ螺子9を緊緩したときに、ねじ溝8aが刻まれた板状体7は、つまみ螺子9の回転によって回動せず、円柱体1cとの間隔が確実に狭くなるので、挟持した布地をしっかりと挟持することができる。
ここで、本実施形態の第1部材1は、円柱体1cの対向面1a,1bに一対の板状体7を螺設して挟持部4が形成されているが、必ずしも円柱である必要はなく、角柱であってもよい。
第2部材2は、楕円柱体部分2aと円柱体部分2bとが一体形成され、円柱体部分2bには円筒状の把持部材3が嵌合し、その底面は、円柱部分2bの底部2cにねじ10
で回転自在に軸支されている。
そして、楕円柱部分2aは、第1部材1にねじ10で2か所、螺設されている。
したがって、把持部材3を手で持って第1部材1を回し、挟持部4に挟持された布地を捩ったときに、把持部材3は回転するが、第2部材2は、第1部材1にしっかりと固定され、回転しない。
本実施形態の布地絞り具1は、螺子類を除けば、木、プラスチック、あるいは金属で作成することができる。
【0010】
図4及び図5は、第1部材の円柱体を示す図であり、図4は、平面図、図5は、正面の断面図である。また、図6及び図7は、挟持部を形成する板状体を示す図であり、図6は、平面図、図7は、正面図である。
図4及び図5に示す円柱体1cは、板状体7の端寄りをつまみ螺子9で螺設する2つの貫通孔6と、第2部材2の楕円柱部分2aをねじ20で固設する2か所の貫通孔6が設けてある。
ここで、円柱体1cは、直径が15乃至20mmで長さが150mm程度のものを使用しているが、必ずしもこれらの寸法に限定する必要はない。
【0011】
また図6及び図7に示す板状体7は、円柱体1cに設けられた貫通孔6に対応させて、端寄りの2個所にねじ穴8が設けられている。
ここで、板状体7は幅が15乃至20mmで長さが80乃至100mm程度のものを使用しているが、必ずしもこれらの寸法に限定する必要はない。
【0012】
図8から図12は、第2部材及び把持部材を示す図であり、図8は正面図、図9は上面図、図10は底面図、図11は左側面図、図12は正面の断面図である。
図8から図12に示すように、第2部材2は、楕円柱部分2aと円柱部分2bが一体形成されており、楕円柱部分2aから円柱部分2b中央にかけて、ねじ溝8aが刻まれたねじ穴8が設けられ、楕円柱部分2aには、さらに、第2部材2が第1部材1に回動しないようにしっかりと固定するためにねじ穴8が設けられている。
そして、円柱部分2bを嵌入する把持部材3は、中空の円筒で、その底面が第2部材2の円柱部分2bの底部2cにねじ10で回転自在に軸支されている。なお、円柱部分2bの底部2cには、把持部材3を軸支するねじ溝8aが刻まれている。
ここで、第2部材2は、長さが150mmで、円柱部分の長さが130乃至135mm程度、15乃至20mm程度、把持部材の長さが120乃至130mm程度、外径が20乃至30mm程度のものを使用しているが、必ずしもこれらの寸法に限定する必要はない。
【0013】
図13は、第1実施形態の布地絞り具を使ってタオルを絞る例を示す図である。
図13に示すように、布地絞り具11の挟持部4にタオル19の一方の端を挟持し、他方の端を左手でしっかりと握る。そして、右手で把持部材3を握って図の矢印方向Aに第1部材1を回して、タオル19を捩り、水分を絞る。そのとき、第2部材2に軸支された把持部材3が回転するので、第1部材1をスムーズに回すことができる。
【0014】
図14は、第2実施形態の布地絞り具の一例を示す図である。
図14に示すように、第2実施形態の布地絞り具12は、第1実施形態の布地絞り具11と異なるのは、第1部材1に引掛具18が設けてある点で、タオルなどの布地の一部を挟持させるためだけに使用される。
すなわち、二つ用意した布地絞り具11,12のうち、第2実施形態の布地絞り具12は、壁などのフックに引掛けて、その挟持部4にタオルなどの一方の端を挟持させるために用いられ、第1実施形態の布地絞り具11は、そのタオルなどの他方の端を挟持し、右手で握った把持部材3で第1部材1を回してタオルなどを捩るために用いられる。
使用に当っては、まず初めに第2実施形態の布地絞り具12の引掛具18を、壁などに設置されているフックに引掛けて、回動しないように固定する。そして、その挟持部4に、タオルなどの一方の端を挟持させる。
そして、タオルなどの他方の端は、図13で示したと同様に、第1実施形態の布地絞り具11の挟持部4に挟持させて、右手で握った把持部材3を回して、タオルなどを捩り、水分を絞る。
このように、二つの布地絞り具11,12を用いれば、片手の不自由な人や腕の力が弱い人でも布地を絞ることができる。さらに、両手の幅を越える長尺の繊維製品でも絞ることができる。
【0015】
図15は、第3実施形態の布地絞り具を使ってタオルを絞る例を示す図である。
図15に示すように第3実施形態の布地絞り具13は、第1実施形態の布地絞り具11と比べて、挟持部4が形成されていない点が異なるが、それ以外の点は共通するので、説明は省略する。
第3実施形態の布地絞り具13を使ってタオル19を絞るときは、タオル19を長手方向に二つ折りし、その折り目を第1部材1に掛止めする。そして、その掛止めしたところを中心に、右手で握った把持部材3で第1部材1を矢印A方向に回転させて、タオル19を捩り、水分を絞ることができる。
【0016】
次に、布地絞り具セットの実施形態について、図に基いて説明する。
第1実施形態の布地絞り具セットは、第1実施形態の布地絞り具(変形例)と、布地の一部を挟持する第3部材及びその固定手段とを組み合わせたものである。
従って、第1実施形態の布地絞り具についての重複する説明は省略し、変形部分、及び第3部材とその固定手段について説明する。
図16から図21は、第1実施形態の布地絞り具セットの一例を示す図であり、図16及び図17は、第1実施形態の布地絞り具の変形例を示す正面図及び第1部材の正面断面図である。また、図18は、第3部材及びその固定手段を一例として示す図であり、図19は、第1実施形態の布地絞り具セットを用いて、布地を絞る一例を示す図である。
図16及び図17に示すように、第1実施形態の布地絞り具(変形例)14における第1部材1は、第1実施形態の布地絞り具11と同様に、円柱体1cの上から下に2つの貫通孔6が形成されているほか、それぞれの貫通孔6に直交する貫通孔6aが形成されている。従って、2枚の板状体7を、互いに90度をなした対向面それぞれの何れにも配置することができるようになっている。
従って、何れかの対向面に形成されている貫通孔6,6aそれぞれにつまみ螺子9
を挿入して緊緩すれば、挟持部4を布地絞り具14の上面に形成することも、正面に形成することもできる。
【0017】
図18に一例を示すように、第1実施形態の布地絞り具セット21における第3部材15は、複数のねじ穴8を設けた円柱体1cに、つまみ螺子9で板状体7を螺設し、つまみ螺子9を緊緩して布地を挟持する挟持部4が形成されている。また、端縁にフランジが形成された円筒(本考案の「固定手段」に相当する)17を、開口を上向きにして、水場にある簀の子などの平板部材に螺設し、その円筒17に第3部材15を嵌入すれば、第3部材15をしっかりと固定することができる。
【0018】
図19に一例を示すように、第1実施形態の布地絞り具セット21は、簀の子などの平板部材に固定した円筒17と、円筒17に嵌入して、垂直に固定された円柱体1cに、板状体7をつまみ螺子で螺設して挟持部4が形成された第3部材15と、その挟持部4に布地20の一部を挟持させ、他方の一部を挟持させた、第1実施形態の布地絞り具11により構成されている。
そして、第1実施形態の布地絞り具11における回転自在な把持部材3を握った手で、布地20が挟持された位置を中心にして第1部材1を回し、布地20を捩れば、水分を絞ることができる。
従って、片手の不自由な人若しくは腕の力が弱い人が繊維製品などの布地を絞るとき、又は健常者であっても大型の布地製品若しくは大量の布地製品を絞る必要があるときに使用すれば、それらの水分を楽に絞ることができる。
ここで、本実施形態の布地絞り具セット21は、第1実施形態の布地絞り具により布地20を捩り、水分を絞っているが、必ずしも第1実施形態の布地絞り具を用いる必要はなく、布地を二つ折し、その折り目が柱状体に掛止できれば、第3実施形態の布地絞り具を用いてもよい。
【0019】
図20及び図21は、第1実施形態の布地絞り具セットの他の例を示す図であり、図20は、第3部材及びその固定手段、図21は、他の例の布地絞り具セットを用いて、布地を絞る例を示す図である。
図20に示すように、他の例の布地絞り具セットにおける第3部材15は、図19に示したと同様に、板状体7をつまみ螺子9で緊緩させて布地20を挟持する挟持部4が形成されている。そして、その固定手段には、第3部材15の円柱体1cを嵌入させて緊締し、壁面や簀の子などにねじで固定する金属製の固定具17が用いられている。
【0020】
図21に示す第1実施形態の布地絞り具セット21は、簀の子に水平に固定された第3部材15の挟持部4に布地20の一部を挟持させ、布地20の他方の一部を布地絞り具11の挟持部4に挟持させている。
そして、布地絞り具11の回転自在な把持部材3を握った手で、布地20が挟持された位置を中心に第1部材1を回して布地20を捩り、水分を絞ることができる。
【0021】
第2実施形態の布地絞り具セットは、第1実施形態の布地絞り具と、布地の一部を挟持する第4部材とを組み合わせたものである。
従って、第1実施形態の布地絞り具についての重複する説明や本実施形態の布地絞り具セットを用いて布地を絞る重複する説明は省略し、第4部材についてのみ説明する。
図22は、第2実施形態の布地絞り具セットを構成する第4部材の一例を示す図である。
図22に一例を示すように第4部材16は、柱状体7の一方の端寄りが、長手方向に分割され、その一方の両端に貫通孔6が設けられ、他方の両端には、貫通孔6に対応する位置にねじ溝8aが刻まれている。そして、貫通孔6に挿入されたつまみ螺子9をねじ溝8aに螺合させ、つまみ螺子9を緊緩させ、布地を挟持する挟持部4が形成されている。
また、柱状体7の、挟持部4とは反対側の端に、フックに掛止する引掛部18が設けられている。
この第4部材16を壁などに設置されているフックに引掛けて、回動しないように固定する。そして、その挟持部4に、布地20の一方の端を挟持させる。
そして、布地の他方の端は、図19及び図21で示したと同様に、第1実施形態の布地絞り具11の挟持部4に挟持させて、右手で握った把持部材3を回して布地を捩れば、水分を絞ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
片手の不自由な人若しくは腕の力が弱い人がタオルなどの濡れた布地を絞るときに利用できる。また、キャンプ地や、電気器具が設置されていない避難所などにおいても、濡れた布地を絞るのに活用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 第1部材
1a,1b 対向面
1c 円柱体
2 第2部材
2a 楕円柱部分
2b 円柱部分
2c 底部
3 把持部材
4 挟持部
5 柱状体
6 貫通孔
6a 直交する貫通孔
7 柱状体
8 ねじ穴
8a ねじ溝
9 つまみ螺子
10 ねじ
11、12,13 布地絞り具
14 布地絞り具(変形例)
15 第3部材
16 第4部材
17 固定手段
17a 固定具
18 引掛具
19 タオル
20 布地
21,22 布地絞り具セット
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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