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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082152
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】ふろ機能装置およびふろシステム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20220525BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220525BHJP
   F24H 15/196 20220101ALN20220525BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/04 K
F24H1/00 602P
F24H1/00 602X
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193543
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤川 尚也
(72)【発明者】
【氏名】野中 隆
(72)【発明者】
【氏名】古賀 弘子
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勲
【テーマコード(参考)】
3L024
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3L024CC17
3L024DD06
3L024DD17
3L024DD27
3L024EE02
3L024FF04
3L024FF18
3L024GG43
5C086AA05
5C086AA22
5C086BA04
5C086CA01
5C086CA12
5C086CB01
5C086CB16
5C086DA02
5C086EA40
5C086EA41
5C086EA45
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA17
5C087AA05
5C087AA10
5C087AA37
5C087AA45
5C087DD03
5C087DD33
5C087EE06
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG10
5C087GG21
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】浴槽内の湯の温度を特に変更しなくても、入浴時のヒートショックを抑制することが可能なふろ機能装置およびふろシステムを提供する。
【解決手段】給湯装置10(ふろ機能装置)は、浴室に設置される浴室リモコン12(報知部)と、浴槽に対する所定の入浴工程を検出する人感センサ128(検出部)と、人感センサ128の検出結果に基づいて、浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力を浴室リモコン12に行わせる報知処理部123aと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室に設置される報知部と、
浴槽に対する所定の入浴工程を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力を前記報知部に行わせる報知処理部と、を備える、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項2】
請求項1に記載のふろ機能装置において、
前記検出部は、前記浴室内へ人が入ったことを検出するための入室センサを備え、
前記報知処理部は、前記入室センサからの出力により、前記浴室内へ人が入ったことが検出されたことに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせる、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項3】
請求項1に記載のふろ機能装置において、
前記検出部は、前記浴槽内へ人が入ったことを検出するための入浴センサを備え、
前記報知処理部は、前記入浴センサからの出力により、前記浴槽に対する入浴開始動作が検出されたことに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせる、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項4】
請求項3に記載のふろ機能装置において、
前記入浴センサは、前記浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサであり、
前記報知処理部は、水位上昇開始後、所定期間の間に、前記水位が所定の閾値上昇量以上上昇したことに基づいて、前記入浴開始動作を検出する、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項5】
請求項1に記載のふろ機能装置において、
前記検出部は、前記浴槽内へ人が入ったことを検出するための入浴センサを備え、
前記報知処理部は、前記入浴センサからの出力により、前記浴槽内の湯水に浸かる速度が所定の閾値速度以上であることに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせる、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項6】
請求項5に記載のふろ機能装置において、
前記入浴センサは、前記浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサであり、
前記報知処理部は、水位上昇開始後、所定期間の間に、前記水位が所定の閾値上昇量以上上昇したことに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせる、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項7】
請求項6に記載のふろ機能装置において、
前記報知処理部は、水位上昇開始直後から、入浴者の足が前記湯水に浸かる第1期間と、前記入浴者の胴が前記湯水に浸かる第2期間とを区別し、前記第2期間内の第2所定期間の間に、前記水位が前記第2閾値上昇量以上上昇したことに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせる、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項8】
請求項7に記載のふろ機能装置において、
前記報知処理部は、前記第1期間内における前記第2所定期間より短い第1所定期間の間に、前記水位が前記第1閾値上昇量以上上昇したことに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせる、
ことを特徴とするふろ機能装置。
【請求項9】
外部通信網を介して携帯端末装置と通信可能なサーバと、前記外部通信網を介して前記サーバと通信可能なふろ機能装置と、を備えるふろシステムにおいて、
浴室に設置される報知部と、
浴槽に対する所定の入浴工程を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力を前記報知部に行わせる報知処理部と、を備える、
ことを特徴とするふろシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のふろシステムにおいて、
前記浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサをさらに備え、
前記報知処理部は、前記水位センサからの出力により、前記浴槽内の湯水に浸かる速度が所定の閾値速度以上であることに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせるとともに、前記湯水に浸かる速度が前記閾値速度以上であったか否かの判定結果を、前記サーバに記憶させ、
前記サーバは、前記携帯端末装置からの送信要求に応じて、前記判定結果を前記携帯端末装置に送信する、
ことを特徴とするふろシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のふろシステムにおいて、
前記報知処理部は、水位上昇開始直後から、入浴者の足が前記湯水に浸かる第1期間と、前記入浴者の胴が前記湯水に浸かる第2期間とを区別し、前記第2期間内の所定期間の間に、前記水位が所定の閾値上昇量以上上昇したことに基づいて、前記湯水に浸かる速度が前記閾値速度以上であったと判定する、
ことを特徴とするふろシステム。
【請求項12】
請求項10または11に記載のふろシステムにおいて、
前記サーバは、カレンダーに前記判定結果を対応付けた情報を、前記携帯端末装置に送信する、
ことを特徴とするふろシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のふろ機能を実行するふろ機能装置および外部通信網を介して携帯端末装置と通信可能なふろシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯装置から浴槽に湯水を供給する方式のふろ機能装置が知られている。この他、浴槽に溜められた水を燃焼器に循環させて浴槽内の水を暖める方式のふろ機能装置も知られている。これらのふろ機能装置では、たとえば、浴室や台所に設置された複数のリモートコントローラによって、追い焚きや足し湯等のふろ関連機能が実行される。ふろ機能装置では、これらのふろ関連機能の他、入浴者の安全性を高めるための機能が設けられ得る。
【0003】
たとえば、以下の特許文献1には、入浴時のヒートショックを防ぐための構成を備えたふろ給湯器が記載されている。このふろ給湯器では、浴室内の温度が、ヒートショック対策が必要な温度である場合に、給湯リモコン等で設定される目標温度よりも低い目標温度で湯張りが行われる。その後、入浴が検出されると、追い焚きが行われて、浴槽内の湯の温度が目標温度に高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-007662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒートショックは、温度の急激な変化により血圧が変化し、心疾患を引き起こす現象であると言われている。ヒートショックを防ぐための手法として、上記特許文献1のように、浴室内の室温と浴槽内の湯の温度との温度差を小さくする方法が用いられ得る。しかし、この方法では、設定温度よりも低い温度の湯に浸かることを入浴者に強制する結果となり、入浴者に違和感を与え兼ねない。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、浴槽内の湯の温度を特に変更しなくても、入浴時のヒートショックを抑制することが可能なふろ機能装置およびふろシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、ふろ機能装置に関する。この態様に係るふろ機能装置は、浴室に設置される報知部と、浴槽に対する所定の入浴工程を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力を前記報知部に行わせる報知処理部と、を備える。
【0008】
ヒートショックを防ぐための手法として、浴槽内の湯水に浸かる際に速く浸かりすぎないといった予防方法がある。これにより、身体の温度の急激な変化による血圧の急激な変化を抑制でき、血圧の変化による心疾患の発現を防ぐことができる。
【0009】
本態様に係るふろ機能装置によれば、浴槽に対する所定の入浴工程において、浴室内の報知部から、浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力が行われる。これにより、入浴者に浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促すことができ、これに従い入浴者が入浴することで、ヒートショックを防ぐことができる。よって、本態様に係るふろ機能装置によれば、浴槽内の湯の温度を特に変更しなくても、入浴時のヒートショックを抑制することができる。
【0010】
本態様に係るふろ機能装置において、前記検出部は、前記浴室内へ人が入ったことを検出するための入室センサを備え、前記報知処理部は、前記入室センサからの出力により、前記浴室内へ人が入ったことが検出されたことに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせるよう構成され得る。
【0011】
この構成によれば、入浴者が浴室に入室したタイミングで、浴室内の報知部から、浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力が行われる。これにより、入浴者が浴槽内の湯水に浸かる前に、事前に、入浴者に浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促すことができる。よって、今回の入浴におけるヒートショックを未然に防ぐことができる。
【0012】
本態様に係るふろ機能装置において、前記検出部は、前記浴槽内へ人が入ったことを検出するための入浴センサを備え、前記報知処理部は、前記入浴センサからの出力により、前記浴槽に対する入浴開始動作が検出されたことに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせるよう構成され得る。
【0013】
この構成によれば、浴槽に対する入浴動作を開始したタイミングで、浴室内の報知部から、浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力が行われる。これにより、入浴者がその後胴まで浴槽内の湯水に浸かる前に、事前に、入浴者に浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促すことができる。よって、今回の入浴におけるヒートショックを未然に防ぐことができる。
【0014】
この場合、前記入浴センサは、たとえば、前記浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサであり、前記報知処理部は、水位上昇開始後、所定期間の間に、前記水位が所定の閾値上昇量以上上昇したことに基づいて、前記入浴開始動作を検出するよう構成され得る。
【0015】
この構成によれば、閾値上昇量が、人の入浴開始動作と浴槽への足し湯とを区別可能に設定されることにより、入浴開始動作を正確に検出できる。よって、入浴開始動作時に、入浴者に対して緩やかな入浴を促す報知を、適切に行うことができる。
【0016】
本態様に係るふろ機能装置において、前記検出部は、前記浴槽内へ人が入ったことを検出するための入浴センサを備え、前記報知処理部は、前記入浴センサからの出力により、前記浴槽内の湯水に浸かる速度が所定の閾値速度以上であることに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせるよう構成され得る。
【0017】
この構成によれば、入浴者が浴槽内の湯水に浸かっている途中または浸かり切った直後に、浴室内の報知部から、浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力が行われる。これにより、入浴者は、湯水に浸かる速度が速すぎたことを認識でき、次回以降の入浴時に、湯水に浸かる速度をよりゆるやかにすることを促される。よって、次回以降の入浴時におけるヒートショックを防ぐことができる。
【0018】
この場合、前記入浴センサは、たとえば、前記浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサであり、前記報知処理部は、水位上昇開始後、所定期間の間に、前記水位が所定の閾値上昇量以上上昇したことに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせるよう構成され得る。
【0019】
この構成によれば、閾値上昇量が、人が湯水に浸かる動作と足し湯とを区別可能に設定されることにより、湯水に浸かる動作が速すぎることを正確に検出できる。よって、入浴動作の途中または完了時に、入浴者に対して緩やかな入浴を促す報知を、適切に行うことができる。
【0020】
この構成において、前記報知処理部は、水位上昇開始直後から、入浴者の足が前記湯水に浸かる第1期間と、前記入浴者の胴が前記湯水に浸かる第2期間とを区別し、前記第2期間内の第2所定期間の間に、前記水位が前記第2閾値上昇量以上上昇したことに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせる。
【0021】
足を湯水に浸けた後、胴を湯水に浸ける期間において、入浴動作が速すぎると、大きな血圧低下が生じて、ヒートショックが起こりやすくなる。上記構成によれば、このようにヒートショックが起こりやすい胴を湯水に浸ける期間において、入浴動作が速すぎるか否かが判定される。よって、ヒートショックに繋がりやすい入浴動作をより適正に判定でき、入浴者に対して緩やかな入浴を促す報知を、適切に行うことができる。
【0022】
この場合、前記報知処理部は、さらに、前記第1期間内における前記第2所定期間より短い第1所定期間の間に、前記水位が前記第1閾値上昇量以上上昇したことに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせるよう構成され得る。
【0023】
この構成によれば、浴槽内の水位が第1閾値上昇量以上上昇したタイミング、すなわち、入浴者が足を湯水に浸けたタイミングで、浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力が行われる。これにより、入浴者は、その後、胴を湯水に浸ける前に、湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促される。よって、胴を湯水に浸ける際に生じやすいヒートショックを、未然に防ぐことができる。
【0024】
本発明の第2の態様は、外部通信網を介して携帯端末装置と通信可能なサーバと、前記外部通信網を介して前記サーバと通信可能なふろ機能装置と、を備えるふろシステムに関する。この態様に係るふろシステムは、浴室に設置される報知部と、浴槽に対する所定の入浴工程を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記浴槽内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力を前記報知部に行わせる報知処理部と、を備える。
【0025】
本態様に係るふろシステムによれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【0026】
本態様に係るふろシステムは、前記浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサをさらに備え得る。この場合、前記報知処理部は、前記水位センサからの出力により、前記浴槽内の湯水に浸かる速度が所定の閾値速度以上であることに基づいて、前記報知出力を前記報知部に行わせるとともに、前記湯水に浸かる速度が前記閾値速度以上であったか否かの判定結果を、前記サーバに記憶させ、前記サーバは、前記携帯端末装置からの送信要求に応じて、前記判定結果を前記携帯端末装置に送信するよう構成され得る。
【0027】
この構成によれば、携帯端末装置の使用者は、適宜、サーバに送信要求を送信してサーバから判定結果を取得することにより、入浴者が、湯水に浸かる速度をゆるやかにして安全に入浴を行っているかを見守ることができる。
【0028】
この場合、前記報知処理部は、水位上昇開始直後から、入浴者の足が前記湯水に浸かる第1期間と、前記入浴者の胴が前記湯水に浸かる第2期間とを区別し、前記第2期間内の所定期間の間に、前記水位が所定の閾値上昇量以上上昇したことに基づいて、前記湯水に浸かる速度が前記閾値速度以上であったと判定するよう構成され得る。
【0029】
この構成によれば、上記のように、ヒートショックが起こりやすい胴を湯水に浸ける期間において、入浴動作が速すぎるか否かが判定される。よって、ヒートショックに繋がりやすい入浴動作をより適正に判定でき、入浴者に対して緩やかな入浴を促す報知を、適切に行うことができる。また、携帯端末装置の使用者に、適切な判定結果を提供できる。よって、携帯端末装置の使用者は、適切に、入浴者の入浴動作を見守ることができる。
【0030】
この構成において、前記サーバは、カレンダーに前記判定結果を対応付けた情報を、前記携帯端末装置に送信するよう構成され得る。
【0031】
この構成によれば、携帯端末装置の使用者は、日ごとに、入浴動作が速すぎなかったかを確認できる。よって、使用者は、入浴者の入浴動作の傾向を把握でき、入浴者に適切なアドバイスを送ることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のとおり、本発明によれば、浴槽内の湯の温度を特に変更しなくても、入浴時のヒートショックを抑制することが可能なふろ機能装置およびふろシステムを提供することができる。
【0033】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、実施形態1に係る、給湯システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る、給湯システムを構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る、給湯器と浴槽との間の接続形態を模式的に示す図である。
図4図4は、実施形態1に係る、ペアリング情報の構成を示す図である。
図5図5(a)は、実施形態1に係る、浴室リモコンにおいて行われる報知に関する処理を示すフローチャートである。図5(b)は、実施形態1に係る、報知処理により浴室リモコンにおいて実行される動作を示す図である。
図6図6(a)は、実施形態2に係る、浴室リモコンにおいて行われる報知に関する処理を示すフローチャートである。図6(b)は、実施形態2に係る、報知処理により浴室リモコンにおいて実行される動作を示す図である。
図7図7(a)は、実施形態2に係る、入浴者が浴槽に浸かり始める場合の時間と水位の関係を模式的に示すグラフである。図7(b)は、浴槽に湯水が足される場合の時間と水位の関係を模式的に示すグラフである。
図8図8(a)は、実施形態3に係る、浴室リモコンにおいて行われる報知に関する処理を示すフローチャートである。図8(b)は、実施形態3に係る、報知処理により浴室リモコンにおいて実行される動作を示す図である。
図9図9は、実施形態3に係る、入浴者が浴槽に浸かり始めてから浸かり終わるまでの時間と水位の関係を模式的に示すグラフおよび報知処理において当該グラフに設定される設定値を示す図である。
図10図10は、実施形態3に係る、入浴者が浴槽に浸かり始めてから浸かり終わるまでの時間と水位の関係を模式的に示すグラフおよび報知処理において当該グラフに設定される他の設定値を示す図である。
図11図11(a)は、実施形態3の変更例に係る、浴室リモコンにおいて行われる報知に関する処理を示すフローチャートである。図11(b)は、実施形態3の変更例に係る、サーバにおいて行われる判定結果の記憶処理を示すフローチャートである。
図12図12(a)は、実施形態3の変更例に係る、サーバにおいて行われる判定結果の送信処理を示すフローチャートである。図12(b)は、実施形態3の変更例に係る、携帯端末装置の表示入力部に表示される表示画面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0036】
以下の実施形態では、給湯システム1が、特許請求の範囲に記載の「ふろシステム」に対応し、給湯装置10が、特許請求の範囲に記載の「ふろ機能装置」に対応する。給湯装置10は、ふろ関連機能とともに、台所の蛇口や、浴室のカラン等に対する給湯機能も実行する。また、浴室に設置されたリモートコントローラ12が、特許請求の範囲に記載の「報知部」に対応する。
【0037】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0038】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る給湯システム1の構成を示す図である。
【0039】
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置10と、サーバ50とを備え、ルータ20および外部通信網40を介して、携帯端末装置30と通信可能である。
【0040】
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。給湯器11により生成された湯は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽2(図3参照)、カラン等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯が供給される。
【0041】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ12は、表示部121と、入力部122とを備え、リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転ボタン132とを備える。操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張り等の設定を行える。
【0042】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、浴室外部のキッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。
【0043】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0044】
浴室リモコン12の入力部122には、運転ボタン122aが含まれている。運転ボタン122a、132は、給湯器11を運転オン状態と運転オフ状態とに切り替えるためのボタンである。
【0045】
浴室リモコン12および台所リモコン13が運転オフ状態にあるとき、表示部121および表示入力部131は消灯状態にあり、運転ボタン122a、132以外の操作ボタンの操作は受け付けられない。運転ボタン122a、132が操作され、運転オン状態になると、表示部121および表示入力部131が点灯して設定内容が表示され、各操作ボタンの操作が受け付け可能となる。
【0046】
さらに、入力部122および表示入力部131には、給湯温度を変更するためのボタンが含まれている。操作者は、このボタンを操作することにより、給湯の設定温度を変更することができる。この他、入力部122および表示入力部131には、追い焚き機能や、足し湯、足し水、ふろ自動機能等を実行するためのボタン等、給湯器11の動作を制御するためのボタンが含まれている。
【0047】
ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40に接続するための通信中継器である。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、無線通信によりルータ20に接続されて、サーバ50と通信可能である。携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
【0048】
外部通信網40には、給湯装置10に対する遠隔制御を管理するためのサーバ50が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、ルータ20および外部通信網40を介してサーバ50と通信を行う。また、携帯端末装置30が宅外にある場合、携帯端末装置30は、外部に設置されたルータ60または基地局70を介して外部通信網40に接続され、サーバ50と通信を行う。
【0049】
台所リモコン13と携帯端末装置30には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ50からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ50にアクセスするためのアドレス情報(たとえば、IPアドレス)が含まれている。台所リモコン13と携帯端末装置30は、このアドレス情報に基づいて、サーバ50にアクセスし、通信を行う。
【0050】
台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。このとき同時に、台所リモコン13のID情報(識別情報)が、台所リモコン13からサーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。また、給湯装置10に対して遠隔制御を行うことが可能な携帯端末装置30が、給湯装置10に対応付けて、サーバ50に登録される。具体的には、給湯装置10(台所リモコン13)のID情報と携帯端末装置30のID情報およびアドレス情報とが互いに対応づけられて、サーバ50に登録される。
【0051】
こうして、携帯端末装置30に関する情報がサーバ50に登録されることにより、当該携帯端末装置30の使用者は、宅内H10と宅外の何れにおいても、携帯端末装置30を用いて、給湯装置10に対する遠隔制御を行うことができる。
【0052】
すなわち、携帯端末装置30が宅内H10と宅外の何れにある場合も、使用者から携帯端末装置30に入力された設定要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、設定要求を受信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10に対して、受信した設定要求を送信する。これにより、設定要求が、外部通信網40およびルータ20を介して、対応する給湯装置10の台所リモコン13に送信される。こうして、使用者が要求する内容の設定が、遠隔操作により、給湯装置10に適用される。
【0053】
また、給湯装置10の状態情報が、所定周期で随時、台所リモコン13からルータ20を介してサーバ50に送信される。状態情報は、現在の給湯装置10の設定状態および動作状態を示す情報である。携帯端末装置30は、給湯システム1のアプリケーションプログラムにより、最新の状態情報をサーバ50から取得して表示させることができる。これにより、携帯端末装置30の使用者は、宅内H10および宅外の何れにおいても、給湯装置10の状態を監視することができる。
【0054】
図2は、給湯システム1を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0055】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、水位センサ114と、を備える。制御部111は、マイクロコンピュータを備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0056】
通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。通信部113は、2芯通信線L1、L2を介して、浴室リモコン12の通信部125および台所リモコン13の通信部135と接続されている。また、2芯通信線L1、L2は、通信部113の内部において、互いに接続されている。したがって、浴室リモコン12の通信部125と台所リモコン13の通信部135は、2芯通信線L1、L2によって互いに接続されている。このため、通信部113、125、135の何れかから送信された信号は、他の通信部に同時に送信される。
【0057】
水位センサ114は、後述のように、給湯器11内の管路に配置され、当該管路内の水圧に基づいて浴槽2(図3参照)内の水位を検出する。制御部111は、水位センサ114の検出結果に基づいて、浴槽2内の水位を検知する。水位の検知結果の検知結果は、2芯通信線L1、L2を介して、随時、制御部111から浴室リモコン12および台所リモコン13に送信される。
【0058】
図3は、給湯器11と浴槽2との間の接続形態を模式的に示す図である。
【0059】
図3に示すように、給湯器11は、図2に示した構成の他、給湯部210と、追い焚き部220と、バイパス部230とを備える。
【0060】
給湯部210は、給水管路211と、給湯熱交換器212と、給湯管路213と、給湯燃焼器214と、給気ファン215とを含む。給水管路211は、水道管と給湯熱交換器212とに繋がり、給湯管路213は、給湯熱交換器212と浴室水栓3および外部水栓4とに繋がる。給湯燃焼器214には、ガス電磁弁216により開閉される給湯ガス管路217を通じてガス(燃料ガス)が供給される。給湯燃焼器214は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215は、給湯燃焼器214に燃焼用の空気を供給する。
【0061】
追い焚き部220は、図2に示した水位センサ114の他、戻り管路221と、ふろ熱交換器222と、往き管路223と、ふろ燃焼器224と、循環ポンプ225とを含む。戻り管路221は、浴槽2の循環アダプタ2aとふろ熱交換器222とに繋がり、往き管路223は、ふろ熱交換器222と循環アダプタ2aとに繋がる。
【0062】
ふろ燃焼器224には、ガス電磁弁226により開閉されるふろガス管路227を通じてガス(燃料ガス)が供給される。ふろ燃焼器224は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215が給湯部210と追い焚き部220との間で共用され、給気ファン215からふろ燃焼器224に燃焼用の空気が供給される。戻り管路221に、循環ポンプ225および水位センサ114が配置される。水位センサ114は、戻り管路221内の水圧に基づいて浴槽2内の水位を検出する。
【0063】
バイパス部230は、バイパス管路231と、給湯電磁弁232とを含む。バイパス管路231は、給湯管路213と戻り管路221とに繋がる。給湯電磁弁232は、バイパス管路231を開閉する。
【0064】
制御部111は、給湯部210の給湯燃焼器214、給気ファン215およびガス電磁弁216、追い焚き部220のふろ燃焼器224、循環ポンプ225、水位センサ114およびガス電磁弁226、バイパス部230の給湯電磁弁232などを制御する。
【0065】
浴室水栓3または外部水栓4が開かれると、給湯機能が実行される。水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入されるとともに、給湯燃焼器214が燃焼して給湯熱交換器212が加熱される。給湯熱交換器212に導入された水が加熱されて湯となり、湯が給湯管路213を通じて浴室水栓3または外部水栓4に供給される。浴室水栓3または外部水栓4が閉じられると、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0066】
また、浴室リモコン12または台所リモコン13から浴槽2への湯張りの指令を受けると、制御部111は、湯張り機能(ふろ自動機能)を実行する。この場合、給湯電磁弁232が開放されるとともに、水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入され、給湯熱交換器212で加熱される。そして、給湯熱交換器212からの湯が給湯管路213およびバイパス管路231を通じて戻り管路221に導入される。
【0067】
戻り管路221に導入された湯の一部は、戻り管路221を循環アダプタ2a側へと流れ、循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。戻り管路221に導入された湯の残りは、戻り管路221をふろ熱交換器222側へと流れ、さらにふろ熱交換器222および往き管路223を流れて循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。
【0068】
給湯が行われて浴槽2内に湯が溜められると、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が水で満たされた状態となる。これにより、水位センサ114での浴槽2内の水位検出が可能となる。浴槽2内の水位が予め設定された水位に到達したことが水位センサ114により検出されると、給湯電磁弁232が閉じられ、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0069】
なお、湯が張られた浴槽2内に人が入ると浴槽2内の水位が上昇する。また、浴槽2内から人が出ると水位が下降する。この浴槽2内への人の出入りに基づく水位変動を、水位センサ114によって検出することができる。
【0070】
また、追い焚き機能の実行時には、循環ポンプ225が作動するとともにふろ燃焼器224が燃焼する。浴槽2内の湯が、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223からなる循環路と浴槽2との間で循環し、その間にふろ熱交換器222で加熱される。浴槽2内の湯温が予め設定された上限温度よりも高くなると、循環ポンプ225とふろ燃焼器224が停止する。
【0071】
足し湯機能では、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御により、所定量の湯が浴槽2に注入される。足し水機能の実行時には、給湯燃焼器214およびふろ燃焼器224を停止させた状態で、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御が実行され、所定量の水が浴槽2に注入される。
【0072】
図2に戻り、浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、スピーカ126と、マイク127と、人感センサ128と、温度センサ129と、を備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。
【0073】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0074】
本実施形態では、記憶部124に記憶された制御プログラムによって、報知処理部123aの機能が制御部123に付与される。本実施形態の報知処理部123aは、後述のように、人感センサ128の検出結果に基づいて浴室内に人が入ったと判定された場合に、浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知を行う。
【0075】
通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11および台所リモコン13と通信を行う。スピーカ126は、制御部123により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部123は、記憶部124に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ126から出力された音声は、図1の音声窓12aから出力される。マイク127は、図1の音声窓12aを介して、音声を集音する。
【0076】
人感センサ128は、浴室における人の動きを検知する。人感センサ128は、たとえば、赤外線を用いた焦電センサである。人感センサ128の検出範囲は、浴室内の洗い場と浴槽2をカバーする範囲に設定される。人感センサ128が、洗い場の範囲と浴槽2の範囲を個別に検出可能であってもよい。温度センサ129は、浴室内の温度を検出する。なお、ここでは、温度センサ129が浴室リモコン12に設置されたが、浴室暖房乾燥機等、浴室内に設置される他の機器に温度センサが設置され、その検知結果が浴室リモコン12に送信されてもよい。
【0077】
台所リモコン13は、上述の表示入力部131および運転ボタン132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135と、スピーカ136と、マイク137と、無線通信部138と、を備える。
【0078】
制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0079】
通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11および浴室リモコン12と通信を行う。スピーカ136は、制御部133により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部133は、記憶部134に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ136から出力された音声は、図1の音声窓13aから出力される。マイク137は、図1の音声窓13aを介して、音声を集音する。
【0080】
無線通信部138は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。サーバ50には、台所リモコン13(給湯装置10)のアドレス情報およびID情報として、無線通信部138のアドレス情報およびID情報が登録される。
【0081】
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、通信部503と、を備える。制御部501は、CPU(Central Processing Unit)を備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。通信部503は、制御部501からの制御に従って、所定の制御を行う。
【0082】
上記のように、記憶部502には、図4に示す情報(ペアリング情報)が記憶されている。ペアリング情報は、台所リモコン13のID情報と、携帯端末装置30のID情報およびアドレス情報とを対応付けた情報である。ペアリング情報は、台所リモコン13(給湯装置10)ごとに管理されている。
【0083】
ところで、入浴者が冷えた体で浴槽2内の湯水に浸かると、入浴者の身体の温度が急激に変化することになる。この場合、入浴者の血圧が急上昇することにより、いわゆるヒートショックが生じ、心疾患が引き起こされる可能性がある。ヒートショックを防ぐための手法として、浴槽2内の湯水に浸かる際に速く浸かりすぎないといった予防方法がある。これにより、身体の温度の急激な変化による血圧の急激な変化を抑制でき、血圧の変化による心疾患の発現を防ぐことができる。
【0084】
そこで、本実施形態では、人感センサ128の検出結果に基づいて入浴者が浴室に入ったと判定されると、スピーカ126から、浴槽2内の湯水にゆっくり浸かることを促すための報知が入浴者に行われる。以下、この処理について説明する。
【0085】
図5(a)は、浴室リモコン12において行われる報知に関する処理を示すフローチャートである。この処理は、浴室リモコン12の制御部123が、報知処理部123aの機能により行う。
【0086】
制御部123は、人感センサ128の検出結果に基づいて、入浴者が浴室内に入ったか否かを判定する(S101)。入浴者が浴室に入室したと判定すると(S101:YES)、制御部123は、温度センサ129の検出温度に基づいて、浴室内の温度が所定の閾値Tm以下であるか否かを判定する(S102)。浴室内の温度が閾値Tm以下であると判定すると(S102:YES)、制御部123は、浴槽2内の湯水にゆっくり浸かることを促すための報知処理を実行する(S103)。他方、浴室内の温度が閾値Tmより大きい場合(S102:NO)、ステップS103の処理がスキップされる。
【0087】
こうして図5(a)の処理が終了すると、処理がS101に戻され、図5(a)の処理が繰り返し行われる。
【0088】
図5(b)は、図5(a)のステップS103の報知処理により実行される動作を示す図である。
【0089】
図5(b)に示すように、報知処理において、制御部123は、入浴の際に浴槽2内の湯水にゆっくり浸かることを入浴者に促すメッセージ音声を、浴室リモコン12のスピーカ126(図2参照)から出力させる。このメッセージ音声により、入浴者は、入浴時に注意してゆっくり浴槽2内の湯水に浸かることを促される。これにより、入浴者の身体の温度が急激に変化することが抑制され、入浴者にヒートショックが生じることが抑制される。
【0090】
なお、ここでは、報知処理において、スピーカ126から所定のメッセージ音声が出力されたが、入浴者に対する報知の方法は、この方法に限られるものではない。たとえば、メッセージ音声とともにメッセージ文が表示部121に表示されてもよく、メッセージ音声の冒頭に注意喚起のためのチャイム音が含まれてもよい。
【0091】
また、報知処理において出力されるメッセージ音声の内容も、図5(b)の内容に限られるものではなく、適宜変更可能である。たとえば、メッセージ音声として、入浴時には浸かり方に注意すること、浸かり方によっては顕著な血圧上昇が生じる可能性があること、浴槽2に浸かる速度が速いとヒートショックが生じる可能性があること、等を示す内容が含まれてもよい。
【0092】
<実施形態1の効果>
上記実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
【0093】
図5(a)に示したように、制御部123(報知処理部123a)は、浴槽2に対する所定の入浴工程を検出したことに基づいて(S101:YES)、浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力(音声メッセージ)をスピーカ126(報知部)から出力させる(S103)。これにより、入浴時に、入浴者に浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促すことができ、これに従い入浴者が入浴することで、ヒートショックを防ぐことができる。よって、浴槽2内の湯の温度を特に変更しなくても、入浴時のヒートショックを抑制することができる。
【0094】
図5(a)に示したように、制御部123(報知処理部123a)は、人感センサ128(入室センサ)からの検出結果により、浴室内へ人が入ったことが検出されたことに基づいて、報知出力をスピーカ126(報知部)に行わせる。この構成によれば、入浴者が浴室に入室したタイミングで、浴室内のスピーカ126から、浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力が行われる。これにより、入浴者が浴槽2内の湯水に浸かる前に、事前に、入浴者に浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促すことができる。よって、今回の入浴におけるヒートショックを未然に防ぐことができる。
【0095】
<実施形態2>
上記実施形態1では、入浴者が浴室へ入ったことに基づいて報知処理が実行されたが、実施形態2では、浴槽2に対する入浴開始動作が検出されたことに基づいて報知処理が実行される。
【0096】
図6(a)は、実施形態2に係る、浴室リモコン12において行われる報知に関する処理を示すフローチャートである。上記実施形態1と同様、この処理は、浴室リモコン12の制御部123が、報知処理部123aの機能により行う。
【0097】
制御部123は、給湯器11から随時受信する水位センサ114の検出結果に基づいて、入浴者による入浴開始動作が行われたか否かを判定する(S201)。ステップS201の判定については、追って図7(a)、(b)を参照して説明する。入浴者による入浴開始動作が行われたと判定すると(S201:YES)、制御部123は、温度センサ129の検出温度に基づいて、浴室内の温度が所定の閾値Tm以下であるか否かを判定する(S202)。浴室内の温度が閾値Tm以下であると判定すると(S202:YES)、制御部123は、浴槽2内の湯水にゆっくり浸かることを促すための報知処理を実行する(S203)。他方、浴室内の温度が閾値Tmより大きい場合(S202:NO)、ステップS203の処理がスキップされる。
【0098】
こうして図6(a)の処理が終了すると、処理がS201に戻され、図6(a)の処理が繰り返し行われる。
【0099】
図6(b)は、図6(a)のステップS203の報知処理により実行される動作を示す図である。
【0100】
図6(b)に示すように、報知処理において、制御部123は、浴槽2内の湯水にゆっくり浸かることを入浴者に促すメッセージ音声を、スピーカ126から出力させる。実施形態2においてメッセージ音声が出力されるタイミングは、入浴者が入浴開始動作を行ったタイミングである。このため、入浴者は、このメッセージ音声により、その後の入浴動作において、注意してゆっくり浴槽2内の湯水に浸かることを促される。これにより、入浴者の身体の温度が急激に変化することが抑制され、入浴者にヒートショックが生じることが抑制される。
【0101】
なお、上記実施形態1と同様、報知処理において、メッセージ音声とともにメッセージ文が表示部121に表示されてもよく、メッセージ音声の冒頭に注意喚起のためのチャイム音が含まれてもよい。また、出力されるメッセージ音声の内容も、図6(b)の内容に限られるものではなく、たとえば、メッセージ音声として、入浴時には浸かり方に注意すること、浸かり方によっては顕著な血圧上昇が生じる可能性があること、浴槽2に浸かる速度が速いとヒートショックが生じる可能性があること、等を示す内容が含まれてもよい。
【0102】
図7(a)、(b)は、図6(a)のステップS201の判定方法を説明するための模式図である。図7(a)は、入浴者が浴槽2に浸かり始める場合の時間と水位の関係を模式的に示すグラフであり、図7(b)は、浴槽2に湯水が足される場合の時間と水位の関係を模式的に示すグラフである。図7(a)、(b)において、横軸は時間を示し、縦軸は浴槽2の水位を示している。
【0103】
図7(a)、(b)に示すように、浴槽2内の湯水の水位が上昇する状況には2通りの場合がある。すなわち、水位が上昇する状況には、図7(a)に示すように、入浴者が浴槽2に浸かり始める動作(入浴開始動作)が行われた場合と、図7(b)に示すように、浴槽2に湯水が足される動作(足し湯動作)が行われた場合とがある。
【0104】
入浴者が浴槽2に浸かる場合、まず足が湯水に浸けられる。これにより、図7(a)に示すように、時刻T11から時刻T13にかけて、水位がWL0からWL1に上昇する。足が湯水に浸かりきると、通常、入浴者が次の動作に移行するための準備期間として、水位が変動していない期間ΔPsが生じ、その後、胴が浴槽2内に湯水に浸けられることにより、さらに水位が上昇する。他方、浴槽2に湯水が足される場合、図7(b)に示すように、入浴者の足が湯水に浸かる場合に比べて、水位の上昇がかなり緩やかである。
【0105】
図6(a)のステップS201において、制御部123は、水位の上昇開始時刻T11から所定の期間ΔP1(たとえば、2秒)における水位の上昇量ΔWL1を取得する。図7(a)の上昇量ΔWL1は、時刻T11から時刻T12までの水位の上昇量であり、図7(b)の上昇量ΔWL1は、時刻T14から時刻T15までの水位の上昇量である。制御部123は、取得した上昇量ΔWL1が、所定の閾値上昇量ΔWLth1以上であるか否かを判定する。閾値上昇量ΔWLth1は、人の入浴開始動作と浴槽2への足し湯とを区別可能な値に設定される。
【0106】
図7(a)に示すように、上昇量ΔWL1が閾値上昇量ΔWLth1以上の場合、制御部123は、入浴開始動作が行われたと判定する(図6(a)のS201:YES)。他方、図7(b)に示すように、上昇量ΔWL1が閾値上昇量ΔWLth1より小さい場合、制御部123は、入浴開始動作が行われていないと判定する(図6(a)のS201:NO)。こうして、図6(a)のステップS201の判定が行われる。
【0107】
<実施形態2の効果>
上記実施形態2によれば、以下の効果が奏され得る。
【0108】
図6(a)に示したように、制御部123(報知処理部123a)は、浴槽2に対する入浴開始動作を検出したことに基づいて(S201:YES)、浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す音声メッセージをスピーカ126から出力させる(S203)。この構成によれば、浴槽2に対する入浴動作が開始されたタイミングで、浴室内のスピーカ126(報知部)から、浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力が行われる。これにより、入浴者がその後胴まで浴槽2内の湯水に浸かる前に、事前に、入浴者に浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促すことができる。よって、今回の入浴におけるヒートショックを未然に防ぐことができる。
【0109】
図7(a)、(b)に示したように、制御部123(報知処理部123a)は、水位センサ114からの検出結果により、水位上昇開始後、期間ΔP1の間に、水位が閾値上昇量ΔWLth1以上上昇したことに基づいて、入浴開始動作を検出する。この構成によれば、閾値上昇量ΔWLth1が、人の入浴開始動作と浴槽2への足し湯とを区別可能に設定されることにより、入浴開始動作を正確に検出できる。よって、入浴開始動作時に、入浴者に対して緩やかな入浴を促す報知を、適切に行うことができる。
【0110】
<実施形態3>
実施形態1、2では、浴室へ人が入ったこと、または、浴槽2に対する入浴開始動作が検出されたことに基づいて報知処理が実行されたが、実施形態3では、浴槽2内の湯水に浸かる速度が所定の閾値速度以上であることに基づいて報知処理が実行される。
【0111】
図8(a)は、実施形態3に係る、浴室リモコン12において行われる報知に関する処理を示すフローチャートである。上記実施形態1、2と同様、この処理は、浴室リモコン12の制御部123が、報知処理部123aの機能により行う。
【0112】
制御部123は、水位センサ114の検出結果に基づいて、浴槽2への入浴の速度(入浴者がお湯に浸かる速度)が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S301)。ステップS301の判定については、追って図9を参照して説明する。入浴の速度が所定の閾値以上であると判定すると(S301:YES)、制御部123は、温度センサ129の検出温度に基づいて、浴室内の温度が所定の閾値Tm以下であるか否かを判定する(S302)。浴室内の温度が閾値Tm以下であると判定すると(S302:YES)、制御部123は、浴槽2内の湯水にゆっくり浸かることを促すための報知処理を実行する(S303)。他方、浴室内の温度が閾値Tmより大きい場合(S302:NO)、ステップS303の処理がスキップされる。
【0113】
こうして図8(a)の処理が終了すると、処理がS301に戻され、図8(a)の処理が繰り返し行われる。
【0114】
図8(b)は、図8(a)のステップS303の報知処理により実行される動作を示す図である。
【0115】
図8(b)に示すように、報知処理において、制御部123は、浴槽2内の湯水にゆっくり浸かることを入浴者に促すメッセージ音声を、スピーカ126から出力させる。実施形態3においてメッセージ音声が出力されるタイミングは、入浴者の胴が湯水に浸かり始めた後のタイミングであるため、入浴者は、このメッセージ音声により、自身の入浴の速度が速すぎることを把握し、少なくとも次回からは、入浴時に注意してゆっくり浴槽2内の湯水に浸かることを促される。これにより、次回以降の入浴において、入浴者の身体の温度が急激に変化することが抑制され、入浴者にヒートショックが生じることが抑制される。
【0116】
なお、上記実施形態1、2と同様、報知処理において、メッセージ音声とともにメッセージ文が表示部121に表示されてもよく、メッセージ音声の冒頭に注意喚起のためのチャイム音が含まれてもよい。また、出力されるメッセージ音声の内容も、図8(b)の内容に限られるものではなく、たとえば、メッセージ音声として、入浴時には浸かり方に注意すること、浸かり方によっては顕著な血圧上昇が生じる可能性があること、浴槽2に浸かる速度が速いとヒートショックが生じる可能性があること、等を示す内容が含まれてもよい。
【0117】
図9は、図8(a)のステップS301の判定方法を説明するための模式図である。図9は、入浴者が浴槽2に浸かり始めてから浸かり終わるまでの時間と水位の関係を模式的に示すグラフである。図9において、横軸は時間を示し、縦軸は浴槽2の水位を示している。
【0118】
図9に示すように、入浴者が浴槽2に浸かる場合、足が浸かる期間と胴が浸かる期間とに分けて、水位が上昇する。図9に示す例では、時刻T11から時刻T13までの期間が、足が浸かることにより水位がWL0からWL1まで上昇した期間であり、時刻T21以降の期間が、胴が浸かることにより水位がWL1から上昇した期間である。
【0119】
この場合、図8(a)のステップS301において、制御部123は、水位の上昇開始時刻T11から所定の期間ΔP2(たとえば、10秒)における水位の上昇量ΔWL2を取得する。図9に示すように、上昇量ΔWL2は、時刻T11から時刻T22までの水位の上昇量である。制御部123は、取得した上昇量ΔWL2が、所定の閾値上昇量ΔWLth2以上であるか否かを判定する。閾値上昇量ΔWLth2は、人の入浴開始動作と浴槽2への足し湯とを区別可能な値に設定される。
【0120】
図9に示すように、上昇量ΔWL2が閾値上昇量ΔWLth2以上である場合、制御部123は、浴槽2への入浴の速度が所定の閾値以上であると判定する(図8(a)のS301:YES)。他方、上昇量ΔWL2が閾値上昇量ΔWLth2未満である場合、制御部123は、浴槽2への入浴の速度が所定の閾値未満であると判定する(図8(a)のS301:NO)。こうして、図8(a)のステップS301の判定が行われる。
【0121】
図9において、期間ΔP2は、入浴者の足か湯水に浸かる期間(T11~T13)とともに、入浴者の胴が湯水に浸かる期間(T21~T22)の少なくとも一部が含まれるように設定される。すなわち、ヒートショックは、入浴者の胴が湯水に浸かる際に、入浴者の身体の温度が急激に変化すると生じやすくなる。このため、報知処理を行うか否かの判定に用いられる浴槽2への入浴の速度は、入浴者の胴が湯水に浸けられる期間を含む期間において判定されることが好ましい。この意味から、期間ΔP2は、入浴者の足か湯水に浸かる期間(T11~T13)とともに、入浴者の胴が湯水に浸かる期間(T21~T22)の少なくとも一部が含まれるように設定される。
【0122】
なお、上記観点からは、入浴の速度を判定するための期間、すなわち、ヒートショックの可能性を判定するための期間は、入浴者の胴が湯水に浸かる期間のみであることが好ましい。この場合、図8(a)のステップS301の判定方法は、図10を参照して説明する判定方法に置き換えられる。
【0123】
図10は、図8(a)のステップS301の他の判定方法を説明するための模式図である。
【0124】
図10に示す例では、時刻T11から時刻T13までの期間(第1期間)が、足が浸かることにより水位がWL0からWL1まで上昇した期間であり、時刻T21から時刻T23までの期間(第2期間)が、胴が浸かることにより水位がWL1からWL2まで上昇した期間である。
【0125】
この場合、図8(a)のステップS301において、制御部123は、まず、第2期間の開始時刻T21を検出する。この検出において、制御部123は、図7(a)、(b)を参照して説明した手法により、まず、入浴動作開始を検出し、その後、水位の上昇が生じなくなった期間を期間ΔPsとして検出する。そして、制御部123は、期間ΔPsの後に再び水位上昇が生じたタイミング(図10の時刻T21)を、第2期間の開始時刻に設定する。
【0126】
制御部123は、第2期間の開始時刻T21の後、所定の期間ΔP2(たとえば、5秒)における水位の上昇量ΔWL2を取得する。図10に示すように、この場合の上昇量ΔWL2は、時刻T21から時刻T22にかけての水位の上昇量である。制御部123は、取得した上昇量ΔWL2が、所定の閾値上昇量ΔWLth2以上であるか否かを判定する。閾値上昇量ΔWLth2は、人の入浴開始動作と浴槽2への足し湯とを区別可能な値に設定される。
【0127】
図10に示すように、上昇量ΔWL2が閾値上昇量ΔWLth2以上である場合、制御部123は、浴槽2への入浴の速度が所定の閾値以上であると判定する(図8(a)のS301:YES)。他方、上昇量ΔWL2が閾値上昇量ΔWLth2未満である場合、制御部123は、浴槽2への入浴の速度が所定の閾値未満であると判定する(図8(a)のS301:NO)。こうして、図8(a)のステップS301の判定が行われる。
【0128】
<実施形態3の効果>
上記実施形態3によれば、以下の効果が奏され得る。
【0129】
図8(a)に示したように、制御部123(報知処理部123a)は、浴槽2内の湯水に浸かる速度が所定の閾値速度以上であることに基づいて(S301:YES)、浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す音声メッセージをスピーカ126から出力させる(S303)。この構成によれば、入浴者が浴槽2内の湯水に浸かっている途中または浸かり切った直後に、浴室内のスピーカ126(報知部)から、浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力が行われる。これにより、入浴者は、湯水に浸かる速度が速すぎたことを認識でき、次回以降の入浴時に、湯水に浸かる速度をよりゆるやかにすることを促される。よって、次回以降の入浴時におけるヒートショックを防ぐことができる。
【0130】
図9および図10に示したように、制御部123(報知処理部123a)は、水位センサ114からの検出結果により、水位上昇開始後、所定期間(図9、10のΔP2)の間に、水位が所定の閾値上昇量(図9、10のΔWLth2)以上上昇したことに基づいて、報知出力をスピーカ126(報知部)に行わせる。この構成によれば、閾値上昇量ΔWLth2が、人が湯水に浸かる動作と足し湯とを区別可能に設定されることにより、湯水に浸かる動作が速すぎることを正確に検出できる。よって、入浴動作の途中または完了時に、入浴者に対して緩やかな入浴を促す報知を、適切に行うことができる。
【0131】
図10を参照して説明した判定方法では、制御部123(報知処理部123a)は、水位上昇開始直後から、入浴者の足が前記湯水に浸かる第1期間と、入浴者の胴が湯水に浸かる第2期間とを区別し、第2期間内の期間ΔP2(第2所定期間)の間に、水位が閾値上昇量ΔWLth2(第2閾値上昇量)以上上昇したことに基づいて、報知出力をスピーカ126(報知部)に行わせる。足を湯水に浸けた後、胴を湯水に浸ける期間において、入浴動作が速すぎると、大きな血圧低下が生じて、ヒートショックが起こりやすくなる。図10の判定方法によれば、このようにヒートショックが起こりやすい胴を湯水に浸ける期間において、入浴動作が速すぎるか否かが判定される。よって、ヒートショックに繋がりやすい入浴動作をより適正に判定でき、入浴者に対して緩やかな入浴を促す報知を、適切に行うことができる。
【0132】
<実施形態3の変更例>
実施形態3において、報知処理が行われた後、さらに、浴槽2内の湯水に浸かる速度が所定の閾値速度以上であったか否かの判定結果が、サーバ50(図1、2参照)に記憶されてもよい。この場合、サーバ50は、携帯端末装置30からの送信要求に応じて、判定結果を送信する。
【0133】
図11(a)は、本変更例に係る、浴室リモコン12において行われる報知に関する処理を示すフローチャートである。上記実施形態1、2と同様、この処理は、浴室リモコン12の制御部123が、報知処理部123aの機能により行う。
【0134】
図11(a)に示す処理では、図8(a)に示した実施形態3の処理と比較して、ステップS301の前段にステップS304が追加され、ステップS303の後段にステップS305が追加されている。以下、便宜上、ステップS304、S305の処理についてのみ説明する。
【0135】
処理が開始されると、制御部123は、図6(a)のステップS201と同様、入浴開始動作が行われたか否かを判定する(S304)。入浴開始動作が行われたと判定すると(S304:YES)、制御部123は、図8(a)のステップS301~S303と同様の処理を行う。この場合、ステップS301では、図10を参照して説明した判定方法に基づいて、湯水に浸かる速度が閾値速度以上であったか否かが判定される。ステップS301~S304の処理が終了すると、制御部123は、ステップS301の判定結果を、台所リモコン13を介してサーバ50に送信する(S305)。ステップS305で送信される判定結果は、入浴の速度が所定の閾値以上であったか否かを示す情報である。
【0136】
図11(b)は、サーバ50において行われる判定結果の記憶処理を示すフローチャートである。
【0137】
サーバ50の制御部501(図2参照)は、浴室リモコン12から判定結果を受信すると(S401:YES)、判定結果を受信した日付に対応付けて、受信した判定結果を記憶部502に記憶する(S402)。
【0138】
図12(a)は、サーバ50において行われる判定結果の送信処理を示すフローチャートである。
【0139】
サーバ50の制御部501は、携帯端末装置30から判定結果を要求する情報(送信要求)を受信すると(S411:YES))、カレンダー(日付)に判定結果を対応付けた情報を、送信要求の送信元の携帯端末装置30に送信する(S412)。携帯端末装置30は、サーバ50から受信した情報に基づいて、カレンダーに対応付けられた判定結果を、表示入力部に表示する。
【0140】
図12(b)は、携帯端末装置30の表示入力部に表示される表示画面31を模式的に示す図である。表示入力部は、たとえば、タッチパネルにより構成される。
【0141】
表示画面31は、カレンダー領域31aと、月選択領域31bと、切り替えボタン31cと、を備える。カレンダー領域31aには、今日の日付と、月選択領域31bにより選択された月のカレンダーが表示される。このカレンダーには、サーバ50から受信した判定結果が表示される。入浴の速度が所定の閾値未満であったことを示す判定結果(湯水にゆっくり浸かれたとの判定結果)の場合、各日付の領域に○が表示され、入浴の速度が所定の閾値以上であったことを示す判定結果(湯水に速く浸かりすぎたとの判定結果)の場合、各日付の領域に×が表示される。
【0142】
月選択領域31b内のボタンが操作されることにより、カレンダー領域31aに表示されるカレンダーの月が切り替えられる。切り替えボタン31cが操作されることにより、各日付の判定結果を受信した時刻等が表示される。
【0143】
<実施形態3の変更例の効果>
上記変更例によれば、以下の効果が奏され得る。
【0144】
図11(a)に示したように、湯水に浸かる速度が所定の閾値速度以上であったか否かの判定結果が、サーバ50に送信され(S305)、図11(b)に示したように、判定結果がサーバ50に記憶される(S402)。そして、図12(a)に示したように、サーバ50は、携帯端末装置30からの送信要求に応じて(S411:YES)、判定結果を携帯端末装置30に送信する(S412)。この構成によれば、携帯端末装置30の使用者は、適宜、サーバ50に送信要求を送信してサーバ50から判定結果を取得することにより、入浴者が、湯水に浸かる速度をゆるやかにして安全に入浴を行っているかを見守ることができる。
【0145】
上記変更例においても、実施形態3と同様、図10に示したように、第2期間の期間ΔP2に、水位が閾値上昇量ΔWLth2以上上昇したことに基づいて、湯水に浸かる速度が閾値速度以上であったと判定される。この構成によれば、上記のように、ヒートショックが起こりやすい胴を湯水に浸ける期間において、入浴動作が速すぎるか否かが判定される。よって、ヒートショックに繋がりやすい入浴動作をより適正に判定でき、入浴者に対して緩やかな入浴を促す報知を、適切に行うことができる。また、携帯端末装置30の使用者に、適切な判定結果を提供できる。よって、携帯端末装置30の使用者は、適切に、入浴者の入浴動作を見守ることができる。
【0146】
図12(a)に示したように、サーバ50は、カレンダーに判定結果を対応付けた情報を、携帯端末装置30に送信する(S412)。この構成によれば、携帯端末装置30の使用者は、日ごとに、入浴動作が速すぎなかったかを確認できる。よって、使用者は、入浴者の入浴動作の傾向を把握でき、入浴者に適切なアドバイスを送ることができる。
【0147】
<その他の変更例>
上記実施形態3において、図8(a)の処理が開始される前に、図6(a)に示した上記実施形態2の処理が実行されてもよい。この場合、図10に示すように、期間ΔP1は、期間ΔP2よりも短く設定され、期間ΔP2は、第2期間に設定される。これにより、図10に示すように、期間ΔP1が経過したタイミングで入浴開始動作が行われたか否かが判定され、適宜、報知処理が実行される。また、期間ΔP2が経過したタイミングで入浴の速度が所定の閾値以上であるか否かが判定され、適宜、報知処理が実行される。
【0148】
この構成によれば、浴槽2内の水位が閾値上昇量ΔWLth1(第1閾値上昇量)以上上昇したタイミング、すなわち、入浴者が足を湯水に浸けたタイミングで、浴槽2内の湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促す報知出力が行われる。これにより、入浴者は、その後、胴を湯水に浸ける前に、湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促される。よって、胴を湯水に浸ける際に生じやすいヒートショックを、未然に防ぐことができる。そして、その後、上記実施形態3の処理により、実際に湯水に浸かる速度が速すぎるか否かが判定され、速すぎる場合に、その旨の報知が行われる。これにより、入浴者は、入浴時に湯水に浸かる速度をゆるやかにすることを促されて行った入浴の速度が未だ速い場合に、そのことを把握できる。これにより、入浴者は、次回の入浴時に、より遅く入浴することを動機づけられ、結果、より確実にヒートショックを防ぐことができる。
【0149】
また、上記実施形態2において、図7(a)、(b)に示した期間ΔP1は2秒に設定されたが、期間ΔP1は2秒に限らず、たとえば1~3秒程度でもよい。期間ΔP1は、足が湯水に浸けられる第1期間(図10参照)に含まれ、足が湯水に浸けられたか否かを判定可能な程度の長さに設定されればよい。また、期間ΔP1の開始タイミングは、水位の上昇が開始されるタイミング(時刻T11)に設定されたが、水位の上昇が開始されるタイミングよりも後に設定されてもよい。ただし、期間ΔP1の開始が遅くなると、期間ΔP1の終了タイミングが期間ΔPs(図7(a)参照)に掛かりやすくなるため、期間ΔP1の開始タイミングは、水位の上昇が開始されるタイミングに設定されるのが好ましい。
【0150】
また、上記実施形態3において、図9に示した期間ΔP2は10秒に設定されたが、期間ΔP2は10秒に限らず、たとえば5~15秒程度でもよい。この場合の期間ΔP2は、少なくとも胴が湯水に浸けられる第2期間(図10参照)の一部を含み、湯水に浸かる速度を判定可能な程度の長さに設定されればよい。また、この場合、期間ΔP2の開始タイミングは、水位の上昇が開始されるタイミング(時刻T11)に設定されたが、水位の上昇が開始されるタイミングよりも後に設定されてもよい。
【0151】
また、上記実施形態3において、図10に示した判定方法が用いられる場合、図10に示した期間ΔP2は5秒に設定されたが、期間ΔP2は5秒に限らず、たとえば2~8秒程度でもよい。この場合の期間ΔP2は、胴が湯水に浸けられる第2期間に含まれ、胴が湯水に浸かる速度を判定可能な程度の長さに設定されればよい。また、この場合、期間ΔP2の開始タイミングは、第2期間の開始タイミング(時刻T21)に設定されたが、第2期間の開始タイミングよりも後に設定されてもよい。ただし、期間ΔP2の開始が遅くなると、期間ΔP2の終了タイミングが第2期間の終了タイミング(時刻T23)よりも後になる可能性が高くなるため、期間ΔP2の開始タイミングは、第2期間の開始タイミングに設定されるのが好ましい。
【0152】
また、上記実施形態1では、人感センサ128の検出結果に基づいて、入浴者が浴室に入室したか否かが判定されたが、入浴者が浴室に入室したか否かを判定するための方法はこれに限らない。たとえば、浴室の扉の開閉を検知するための開閉センサが設置され、開閉センサの検出結果に基づいて、入浴者が浴室に入室したか否かが判定されてもよい。
【0153】
また、上記実施形態2では、水位センサ114の検出結果に基づいて、入浴開始動作が行われたか否かが判定されたが、入浴開始動作が行われたか否かを判定するための方法はこれに限らない。たとえば、浴槽2の背もたれ部分に照度センサを配置し、照度センサの検出照度に基づいて、入浴開始動作が行われたか否かが判定されてもよい。また、人感センサ128が浴槽2の範囲を個別に検出可能な場合、浴槽2の範囲についての人感センサ128の検出結果に基づいて、入浴開始動作が行われたか否かが判定されてもよい。
【0154】
また、上記実施形態3の変更例では、ステップS301の判定が図10の判定方法により行われたが、ステップS301の判定が図9の判定方法により行われてもよい。
【0155】
また、図10の判定方法では、期間ΔPsを検出することにより、第1期間と第2期間が区別されたが、第1期間と第2期間とを区別する方法は、これに限られない。たとえば、水位の変化速度が所定の許容範囲で一定である2つの期間(水位の変化速度が0である期間を除く)を特定し、このうち、時間的に早い期間を第1期間、時間的に遅い期間を第2期間に設定してもよい。
【0156】
また、上記実施形態1~3および変更例において、温度センサ129は、浴室内に設置されたが、浴室外に設置されてもよい。この場合も、浴室外の気温が低い場合にはヒートショックが生じやすいため、上記のように温度センサ129の検出温度に基づいて報知処理が行われるのが好ましい。また、温度センサ129は、浴室リモコン12の一部として構成されたが、浴室リモコン12は、別途浴室内に設置された温度計から検出温度を取得してもよい。
【0157】
また、上記実施形態1~3および変更例では、ステップS102、S202、S302において、浴室内の温度が所定の閾値Tm以下であるか否かが判定された。しかしながら、これに限らず、ステップS102、S202、S302において、浴槽2内の湯水の設定温度と、温度センサ129により検知される浴室内の温度との温度差が、所定の閾値以上であるか否かが判定されてもよい。この場合、閾値は、ヒートショックが起こる可能性があると想定される温度差の範囲の下限値付近に設定されればよい。この他、浴室内の温度や、浴室と浴槽内の湯水との温度差を判定せずに、入浴日が、ヒートショックが起こりやすい寒い時期(カレンダーや季節)に含まれるか否かを判定するようにしてもよい。
【0158】
また、上記実施形態1~3および変更例において、報知処理部123aは、必ずしも、プログラムに基づく機能として実現されなくてもよく、ロジック回路に基づくハードウエアにより実現されてもよい。
【0159】
また、上記実施形態1~3および変更例では、給湯装置10を構成する台所リモコン13に、ルータ20と通信を行うための無線通信部138が設けられたが、無線通信部が給湯器11や浴室リモコン12に設けられて、給湯器11や浴室リモコン12がルータ20に接続されてもよい。あるいは、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13以外に無線通信部を備えた制御ユニットが給湯装置10に配置され、この制御ユニットがルータ20に接続されてもよい。
【0160】
また、給湯器11の構成は、図3に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。たとえば、図3の構成では、浴槽2内の湯をふろ熱交換器222に循環させることによって、浴槽2内の湯に対する追い焚きが行われたが、給湯器11が、高温の湯を浴槽2に追加することにより追い焚き機能が実行されてもよい。
【0161】
また、給湯装置10は、ガス燃料を用いるものに限らず、オイルを燃料とする給湯装置であってもよい。給湯装置10は、貯留タンクを用いた貯留式のものであってもよく、燃料電池等の発電ユニットをさらに備えた構成であってもよい。
【0162】
また、上記実施形態1~3および変更例では、浴槽2に対する所定のふろ機能を実行するふろ機能装置として、ふろ関連機能とともに給湯機能を備えた給湯装置10が例示されたが、ふろ機能装置は、ふろ関連機能のみを実行可能な装置であってもよい。たとえば、浴槽2に溜められた水を、熱交換器に循環させて暖める機能のみを有するふろ機能装置を、ふろシステムが備える構成であってもよい。この場合、ふろ機能装置は、ふろを沸かすための構成と、ふろシステムのサーバと通信するための構成とを備えていればよい。
【0163】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0164】
1 給湯システム(ふろシステム)
2 浴槽
10 給湯装置(ふろ機能装置)
12 浴室リモコン(報知部)
30 携帯端末装置
40 外部通信網
50 サーバ
114 水位センサ(検出部、入浴センサ)
123a 報知処理部
128 人感センサ(検出部、入室センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12