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2022-8217基板にセンサを取り付けるための取付けシステム、基板にセンサを取り付ける方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008217
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】基板にセンサを取り付けるための取付けシステム、基板にセンサを取り付ける方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/30 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
G01D11/30 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021103703
(22)【出願日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】20182659.1
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520276556
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティー ノルジュ アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド オードランド
(72)【発明者】
【氏名】ユングヴィ ボー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板にセンサを取り付けるための取付けシステムを提供する。
【解決手段】システムは、センサ(20)を取り付けるように適合された接着材の第1の層(11)と、基板(30)を取り付けるように適合された接着材の第2の層(12)とを備え、第1の層(11)は第2の層(12)に取り付けられ、第1の層(11)は、弾性および硬度のうちの少なくとも1つにおいて第2の層(12)とは異なる。さらに、基板(30)にセンサ(20)を取り付ける方法が示されており、この方法は、センサ(20)に接着材の第1の層(11)を取り付けるステップと、基板(30)に接着材の第2の層(12)を取り付けるステップと、接着材の第1の層(11)を接着材の第2の層(12)に取り付けるステップとを含み、第1の層(11)は、弾性および硬度のうちの少なくとも1つにおいて第2の層(12)とは異なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(30)にセンサ(20)を取り付けるための取付けシステム(100)であって、前記センサ(20)を取り付けるように適合された接着材の第1の層(11)と、前記基板(30)を取り付けるように適合された接着材の第2の層(12)とを備え、前記第1の層(11)は前記第2の層(12)に取り付けられ、前記第1の層(11)は、弾性および硬度のうちの少なくとも1つにおいて前記第2の層(12)とは異なる、取付けシステム(100)。
【請求項2】
前記第1の層(11)は、より高い硬度および/またはより低い弾性を有する、請求項1に記載の取付けシステム(100)。
【請求項3】
前記第1の層(11)は、接着特性において前記第2の層(12)とは異なる、請求項2に記載の取付けシステム(100)。
【請求項4】
前記第1の層(11)は、硬化特性において前記第2の層(12)とは異なる、請求項3に記載の取付けシステム(100)。
【請求項5】
前記第1の層(11)および前記第2の層(12)のうちの少なくとも1つは、粘弾性を有する、請求項4に記載の取付けシステム(100)。
【請求項6】
前記第1の層(11)および前記第2の層(12)のうちの一方は固体であり、他方は粘性または粘弾性を有する、請求項5に記載の取付けシステム(100)。
【請求項7】
前記センサ(20)をさらに備える、請求項6に記載の取付けシステム(100)。
【請求項8】
前記基板(30)をさらに備える、請求項7に記載の取付けシステム(100)。
【請求項9】
センサ(20)、基板(30)、および請求項1から6のいずれか一項に記載の取付けシステム(100)を備える、センサアセンブリ(200)。
【請求項10】
前記センサ(20)は、圧電素子を備える、請求項9に記載のセンサアセンブリ(200)。
【請求項11】
前記センサアセンブリ(200)は、前記取付けシステム(100)と前記センサ(20)との間に位置する中間要素をさらに備える、請求項10に記載のセンサアセンブリ(200)。
【請求項12】
基板(30)にセンサ(20)を取り付ける方法であって、前記センサ(20)に接着材の第1の層(11)を取り付けるステップと、前記基板(30)に接着材の第2の層(12)を取り付けるステップと、接着材の前記第1の層(11)を接着材の前記第2の層(12)に取り付けるステップとを含み、前記第1の層(11)は、弾性および硬度のうちの少なくとも1つにおいて前記第2の層(12)とは異なる、方法。
【請求項13】
前記第1の層(11)を前記第2の層(12)に取り付ける前記ステップは、前記センサ(20)に前記第1の層(11)を取り付ける前記ステップおよび前記基板(30)に前記第2の層(12)を取り付ける前記ステップの前に実行され、前記第1の層(11)を前記第2の層(12)に取り付ける前記ステップは、前記第1の層(11)および前記第2の層(12)のうちの少なくとも1つがキャリア構造(40)上で支持されているときに実行される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にセンサを取り付けるための取付けシステム、および基板にセンサを取り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に取り付けられたセンサは、温度の変動にさらされた場合、破損を生じることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、センサの破損のリスクが最小化または回避される解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、基板にセンサを取り付けるための取付けシステムによって実現され、このシステムは、センサを取り付けるように適合された接着材の第1の層と、基板を取り付けるように適合された接着材の第2の層とを備え、第1の層は第2の層に取り付けられ、第1の層は、弾性および硬度(硬さ、hardness)のうちの少なくとも1つにおいて第2の層とは異なる。
【0005】
基板にセンサを取り付ける対応する方法は、センサに接着材の第1の層を取り付けるステップと、基板に接着材の第2の層を取り付けるステップと、接着材の第1の層を接着材の第2の層に取り付けるステップとを含み、第1の層は、弾性および硬度のうちの少なくとも1つにおいて第2の層とは異なる。
【0006】
弾性および硬度のうちの少なくとも1つにおける差により、取付けシステムは、2つの面の熱膨張係数の差を補償しながら、それでもなお確実な取付けを可能にすることができる。
【0007】
本発明による解決策は、以下のさらなる発展形態および有利な実施形態によってさらに改善することができ、これらの形態は、互いに独立しており、所望される場合は任意に組み合わせることができる。
【0008】
第1の層は、弾性および/または硬度において、少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、特に少なくとも20%、とりわけ少なくとも40%だけ、第2の層とは異なることができる。これは、補償効果を増大させ、したがってより安定したセンサアセンブリを提供するのに役立つ。特に弾性の場合、この差は、はるかに大きくすることができ、たとえば100%より大きく、200%より大きく、または1000%より大きくすることができる。
【0009】
有利な実施形態では、第1の層は、第2の層より高い硬度および/またはより低い弾性を有することができる。これは、センサが低い熱膨張係数を有するのに対して、基板が高い熱膨張係数を有するときに有用となることができる。
【0010】
2つの異なる材料の連結を容易にするために、第1の層は、接着特性において第2の層とは異なることができる。第1の層のための接着機構は、第2の層のための接着機構とは異なることができる。可能な接着機構としては、機械的接着、たとえばポジティブロック、化学的結合、物理的結合、ファンデルワールス結合、静電結合、または拡散結合が挙げられる。
【0011】
さらに、第1の層は、硬化特性において第2の層とは異なることができる。第1の層のための硬化機構は、第2の層のための硬化機構とは異なることができる。たとえば、一方の層、特に第2の層は、圧縮硬化機構を有することができ、他方の層は、光、加速、熱、または嫌気性の硬化機構を有することができる。
【0012】
力を低く抑えるために、熱膨張が生じたとき、第1の層および第2の層のうちの少なくとも1つは、粘弾性を有することができる。粘弾性応答の粘性部分は、力を与えず、したがって取り付けられている材料に応力をかけない。
【0013】
好ましくは、第1の層および第2の層のうちの少なくとも1つは可撓性を有する。これにより、その層が取り付けられる材料への適合を容易にすることができる。好ましくは、第2の層は、たとえば同じく可撓性を有しまたはより高い熱膨張係数を有する基板に適合するために、可撓性を有する。
【0014】
第1の層および第2の層のうちの他方は、剛性を有することができる。これは、取付けシステムに機械的安定性を提供するのに役立つことができる。さらに、そのような剛性材料は、たとえば信号の伝送にとってより好適となることができ、またはより容易に取り付けることができる。
【0015】
好ましい実施形態では、第1の層および第2の層のうちの一方は固体であり、他方の層は粘性または粘弾性を有する。これにより、補償効果と機械的安定性との間の良好な妥協が実現される。
【0016】
好ましくは、第1の層は固体である。これは、センサを安定させるのにさらに役立つことができる。
【0017】
粘性層の接着材は、べた付きまたは粘り気を有することができ、それにより良好な取付けを可能にしながら、補償効果を提供する。
【0018】
固体層は、平滑にすることができ、特に平滑な表面に取り付けることができる。固体層は、シート状とすることができる。固体層は、一定の厚さを有することができる。
【0019】
取付けシステムは、第1の層のうち、第2の層が取り付けられた面の反対に位置する面に、センサを取り付けるように適合させることができる。したがって、第1の層は、センサと第2の層との間に挟むことができる。この結果、小型の設計を得ることができる。
【0020】
さらに、取付けシステムは、第2の層のうち、第1の層が取り付けられた面の反対に位置する面に、基板を取り付けるように適合させることができる。したがって、第2の層は、第1の層と基板との間に挟むことができる。この結果も、小型の設計を得ることができる。
【0021】
一部取付け状態で、取付けシステムは、センサをさらに備えることができる。次いで、そのような取付けシステムをさらなる要素、特に基板に取り付けることができる。センサは特に、より高い硬度および/またはより低い弾性を有する層に取り付けることができる。
【0022】
異なる一部取付け状態で、取付けシステムは、基板をさらに備えることができる。そのような取付けシステムは、次のステップでセンサに取り付けることができる。特に、基板は、より低い硬度および/またはより高い弾性を有する層に取り付けることができる。
【0023】
好ましい実施形態では、センサアセンブリは、センサ、基板、および本発明による取付けシステムを備える。
【0024】
センサは、圧電素子を備えることができる。そのような圧電素子は、壊れやすくもろい可能性がある。そのような場合、本発明の取付けシステムの使用が特に有利である。
【0025】
センサは、超音波センサとすることができる。改善された熱性能に加えて、超音波センサはまた、本発明の取付けシステムによって少なくとも部分的に切り離すことができ、したがって超音波性能も改善される。
【0026】
取付けおよび取外しの容易な繰返しを可能にするために、センサアセンブリは、取付けシステムとセンサとの間に位置する中間要素をさらに備えることができる。
【0027】
好ましくは、中間要素は、さらなる接着材層によってセンサに取り付けられる。内部応力を低く抑えるために、さらなる接着材層は、好ましくは、弾性および/または硬度において、センサを取り付けるように適合された取付けシステムの接着材層に対応する。
【0028】
この方法の好ましい実施形態では、第1の層を第2の層に取り付けるステップは、センサに第1の層を取り付けるステップおよび基板に第2の層を取り付けるステップの前に実行される。これにより、取付けプロセスを簡略化することができる。
【0029】
作製を簡略化するために、第1の層を第2の層に取り付けるステップは、これらの層のうちの少なくとも1つがキャリア構造上で支持されているときに実行することができる。そのようなキャリア構造は、膜または箔とすることができる。
【0030】
この方法は、第1の層が第2の層に取り付けられた後、第1または第2の層からキャリア構造を取り外すステップをさらに含むことができる。これにより、センサの性能を特に改善することができる。キャリア構造は、好ましくは、それぞれセンサまたは基板に取付けシステムを取り付けるステップ中にキャリア構造の安定化効果を使用するために、取付けシステムがセンサおよび/または基板に取り付けられているときに取り外すことができる。
【0031】
また、第1の層および/または第2の層のための材料が、本発明による取付けシステムを実現するように選択的に選ばれるときも有利である。これらの材料は特に、第1の層および第2の層が互いに接着し、かつ各層が取り付けられることになる材料にその層が接着するように選ぶことができる。
【0032】
これらの層の相対的な厚さは、一方の層によって安定性を実現しながら、他方の層の補償効果を維持するように選ぶことができる。
【0033】
特に、層が硬いか、または固体である場合、その層は、その層が取り付けられることになる材料の熱膨張係数に適合された熱膨張係数を有することができる。「~に適合される」とは、破壊を回避するために、熱膨張係数が1%、2%、3%、5%、または10%より大きく異ならないことを特に意味することができる。他の実施形態では、層とその層が取り付けられる材料との間の熱膨張係数の差は、これがたとえば層または材料のうちの一方の弾性または粘性によって補償される場合、異なることができる。
【0034】
第1の層は、熱膨張係数において、少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、特に少なくとも20%、とりわけ少なくとも40%だけ、第2の層とは異なることができる。これらの差は、はるかに大きくすることができ、たとえば100%、200%、または500%より大きくすることができる。
【0035】
これらの層の弾性および硬度は、熱膨張の補償を可能にするために、これらの層に対して平行な平面だけで異なればよい。多くの場合、この平面に直交する方向における弾性および硬度は重要ではない。しかし、多くの材料にとって、これらの層の弾性および硬度は等方性であり、特にこの平面に平行および直交する方向で等しい。
【0036】
さらに、弾性および/または硬度の差は、取付け状態で存在するはずである。この状態で、接着材が硬化される。
【0037】
ここで弾性とは、破壊することなく変形に応答する能力であると理解されたい。これを説明するための可能な概念では、剛性を説明するためにヤング係数を使用することができ、剪断力への反応を説明するために剪断弾性係数を使用することができ、または圧縮歪みへの反応を説明するために体積弾性係数を使用することができる。弾性を説明するために使用することができるパラメータは、特に降伏強度、すなわち材料が歪みを受けて変形または破壊し始める点までのヤング係数を含むことができる。
【0038】
硬度(硬さ、hardness)とは、機械的力に耐えかつ機械的安定性を提供する能力であると理解されたい。硬度を測定するために使用することができるパラメータは、ロックウェル、たとえばHRAまたはHRBとすることができる。測定のための規格は、たとえばISO6508-1、ISO6508-2、ISO6508-3、またはISO2039-2から得ることができる。代替パラメータは、ビッカース硬さまたはブリネル硬さとすることができる。
【0039】
本発明によれば、機械的に安定した接着材は、損傷することなく熱膨張を吸収することができる接着材と組み合わされる。
【0040】
本発明について、有利な実施形態を使用し、図面を参照しながら、より詳細かつ例示的に次に説明する。記載する実施形態は、単に可能な構成であり、上述した個々の特徴は、互いに独立して提供することができ、または省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】取付けシステムの第1の実施形態をセンサおよび基板とともに示す概略断面図である。
図2】取付けシステムの第2の実施形態の概略断面図である。
図3】取付けシステムを作製する方法の第1のステップの概略斜視図である。
図4】取付けシステムを作製する方法の第2のステップの概略斜視図である。
図5】取付けシステムを作製する方法の第3のステップの概略斜視図である。
図6図3図4、および図5による方法の結果の概略斜視図である。
図7図3図4、および図5による方法を用いて作製された取付けシステムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1に、センサ20および基板30に連結された取付けシステム100の第1の実施形態が示されている。
【0043】
基板30にセンサ20を取り付けるための取付けシステム100は、センサ20を取り付けるように適合された接着材の第1の層11と、基板30を取り付けるように適合された接着材の第2の層12とを備え、第1の層11は第2の層12に取り付けられ、第1の層11は、弾性および硬度のうちの少なくとも1つにおいて第2の層12とは異なる。さらに、第1の層11は、硬化特性または硬化機構において第2の層12とは異なることができる。
【0044】
そのような取付けシステム100は、たとえば熱試験サイクルまたは動作中に温度が変化したときにセンサ20が破壊するリスクを低減させる。
【0045】
図示の例では、第1の層11はかなり硬く、安定性を提供するのに対して、第2の層12は弾性を有し、たとえばべた付き、温度が上昇したときに基板30が示す熱膨張を吸収する。第1の層11およびセンサ20は、基板30の熱膨張係数よりはるかに低い熱膨張係数を有することができる。第2の層12の高い弾性は、構成要素のいずれにも破損を招くことなく、この差を補償する。
【0046】
層11、12が硬いか、または固体(solid)である場合、その層は、その層が取り付けられることになる材料の熱膨張係数に適合された熱膨張係数を有することができる。「~に適合される」とは、破壊を回避するために、熱膨張係数が1%、2%、3%、5%、または10%より大きく異ならないことを特に意味することができる。他の実施形態では、層11、12とその層が取り付けられる材料との間の熱膨張係数の差は、これがたとえば層11、12または材料のうちの一方の弾性または粘性によって補償される場合、異なることができる。
【0047】
第1の層11は、弾性および/または硬度において、少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、特に少なくとも20%、とりわけ少なくとも40%だけ、第2の層12とは異なることができる。特に弾性の場合、この差は、はるかに大きくすることができ、たとえば100%より大きく、200%より大きく、または1000%より大きくすることができる。
【0048】
第1の層11は、熱膨張係数において、少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、特に少なくとも20%、とりわけ少なくとも40%だけ、第2の層12とは異なることができる。これらの差は、はるかに大きくすることができ、たとえば100%、200%、または500%より大きくすることができる。
【0049】
2つの異なる材料の連結を可能にするために、第1の層11は、接着特性において第2の層12とは異なることができる。第1の層11のための接着機構は、第2の層12のための接着機構とは異なることができる。可能な接着機構としては、機械的接着、たとえばポジティブロック、化学的結合、物理的結合、ファンデルワールス結合、静電結合、または拡散結合が挙げられる。
【0050】
さらに、第1の層11は、硬化特性において第2の層12とは異なることができる。第1の層11のための硬化機構は、第2の層12のための硬化機構とは異なることができる。たとえば、一方の層、特に第2の層12は、圧縮硬化機構を有することができ、他方の層は、光、加速、熱、または嫌気性の硬化機構を有することができる。
【0051】
力を低く抑えるために、熱膨張が生じたとき、第1の層11および第2の層12のうちの少なくとも1つは、粘性または粘弾性を有することができる。図示の例では、たとえば第2の層12が粘弾性を有する。粘弾性応答の粘性部分の結果、力は生じず、したがって取り付けられている材料に応力をかけない。
【0052】
好ましくは、第1の層11および第2の層12のうちの少なくとも1つは可撓性を有する。これにより、層11、12が取り付けられる材料への適合を容易にすることができる。図1の例では、第2の層12は、たとえばより高い熱膨張係数を有する基板30に適合するために、可撓性を有する。
【0053】
第1の層11および第2の層12のうちの他方は、剛性を有することができる。これは、取付けシステム100に機械的安定性を提供するのに役立つことができる。さらに、そのような剛性材料は、たとえば信号の伝送にとってより好適となることができ、またはより容易に取り付けることができる。
【0054】
第1の層11は固体であり、第2の層12は粘性または粘弾性を有する。これにより、補償効果と機械的安定性との間の良好な妥協が実現される。
【0055】
粘性の第2の層12の接着材は、べた付きまたは粘り気を有することができ、それにより良好な取付けを可能にしながら、補償効果を提供する。
【0056】
固体の第1の層11は、平滑にすることができ、特にセンサ20の平滑な表面に取り付けることができる。固体の第1の層は、シート状とすることができる。固体層は、一定の厚さを有することができる。
【0057】
取付けシステム100は、第1の層11のうち、第2の層12が取り付けられた第2の面11bの反対に位置する第1の面11aに、センサ20を取り付けるように適合される。第1の層11は、センサ20と第2の層12との間に挟まれる。この結果、小型の設計が得られる。
【0058】
さらに、取付けシステム100は、第2の層12のうち、第1の層11が取り付けられた第1の面12aの反対に位置する第2の面12bに、基板30を取り付けるように適合される。第2の層12は、第1の層11と基板30との間に挟まれる。またこの結果、小型の設計が得られる。
【0059】
図2に、センサアセンブリ200における取付けシステム100の第2の実施形態が示されている。センサアセンブリ200は、センサ20を備えており、センサ20は、超音波センサとすることができ、圧電素子を備えることができる。信号は、測定窓70から出ることができる。圧電素子が壊れやすくもろいため、取付けシステム100の使用が特に有利である。
【0060】
図3図7に、取付けシステム100の作製のステップ、およびその結果得られる取付けシステム100が示されている。
【0061】
図3に示す第1のステップで、ロールから供給された接着材の第2の層12が、シートの形で接着材の第1の層11に接合される。第2の層12および第1の層11は、互いに押し付けられて、密接な接触を実現する。
【0062】
図4に示す第2のステップで、打抜きツール80を使用して、2層構造の一部が切り取られる。次いで、その結果得られる取付けシステム100が、打抜きツール80の空洞から取り外され(図5)、使用することができる。図示の例では、取付けシステム100は、図6に見ることができるように、平面の円形の形状を有する。しかし、当然ながら他の形状も可能である。図7の断面図に、取付けシステム100の構造を見ることができる。
【0063】
図3および図4はまた、基板30にセンサ22を取り付ける方法の一部分を示す。特に、これらの図は、第1の層11を第2の層12に取り付けるステップを示し、このステップは、センサ20に第1の層11を取り付けるステップおよび基板30に第2の層12を取り付けるステップの前に実行される。
【0064】
簡単な作製を可能にするために、第1の層11を第2の層12に取り付けるステップは、層11、12のうちの少なくとも1つがキャリア構造40上で支持されているときに実行される。この場合、キャリア構造40は、膜41または箔である。
【0065】
この方法は、第1の層11が第2の層12に取り付けられた後、第1の層11または第2の層12からキャリア構造40を取り外すステップをさらに含むことができる。
【0066】
明示的に示されていない一部取付け状態で、図3図6に示すステップによって作製された取付けシステム100は、センサ20をさらに備えることができる。次いで、そのような取付けシステム100をさらなる要素、特に基板30に取り付けることができる。センサ20は特に、より高い硬度および/またはより低い弾性を有する層に取り付けることができる。
【0067】
同じく明示的に示されていない異なる一部取付け状態で、図3図6に示すステップによって作製された取付けシステム100は、基板30をさらに備えることができる。そのような取付けシステム100は、次のステップでセンサ20に取り付けることができる。特に、基板30は、より低い硬度および/またはより高い弾性を有する層に取り付けることができる。
【0068】
第1の層11および/または第2の層12のための材料は、本発明による取付けシステム100を実現するように選択的に選ばれる。これらの材料は特に、第1の層11および第2の層12が互いに接着し、かつ各層11、12が取り付けられることになる材料にその層が接着するように選ぶことができる。
【0069】
層11、12の厚さは、一方の層によって安定性を実現しながら、他方の層の補償効果を維持するように選ぶことができる。より高い硬度および/またはより低い弾性を有する層の厚さを、他方の層の厚さより少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、とりわけ少なくとも5倍大きくすることができる。他の実施形態では、より低い硬度および/またはより高い弾性を有する層の厚さを、他方の層の厚さより少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、とりわけ少なくとも5倍大きくすることができる。
【0070】
特に、層11、12が硬いか、または固体である場合、その層は、その層が取り付けられることになる材料の熱膨張係数に適合された熱膨張係数を有することができる。「~に適合される」とは、破壊を回避するために、熱膨張係数が1%、2%、3%、5%、または10%より大きく異ならないことを特に意味することができる。
【0071】
これらの層の弾性および硬度は、熱膨張の補償を可能にするために、層11、12に対して平行な平面だけで異なればよい。多くの場合、この平面に直交する方向における弾性および硬度は重要ではない。しかし、ほとんどの材料において、これらの特性は2つの方向に沿って等しい。
【0072】
さらに、弾性および/または硬度の差は、取付け状態で存在するはずである。この状態で、接着材が硬化される。
【0073】
ここで弾性とは、破壊することなく変形に応答する能力であると理解されたい。これを説明するための可能な概念では、剛性を説明するためにヤング係数を使用することができ、剪断力への反応を説明するために剪断弾性係数を使用することができ、または圧縮歪みへの反応を説明するために体積弾性係数を使用することができる。弾性を説明するために使用することができるパラメータは、特に降伏強度、すなわち材料が歪みを受けて変形または破壊し始める点までのヤング係数を含むことができる。
【0074】
硬度とは、機械的力に耐えかつ機械的安定性を提供する能力であると理解されたい。
【0075】
本発明の解決策はまた、他のデバイスまたは構造の取付けに使用することもできる。たとえば、第1の基板を第2の基板に取り付けることができる。
【0076】
本発明によれば、機械的に安定した接着材は、損傷することなく熱膨張を吸収することができる接着材と組み合わされる。
【符号の説明】
【0077】
11 第1の層
11a 第1の面
11b 第2の面
12 第2の層
12a 第1の面
12b 第2の面
20 センサ
30 基板
40 キャリア構造
41 膜
70 測定開口
80 打抜きツール
100 取付けシステム
200 センサアセンブリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】