(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082186
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20220525BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
H05K3/46 G
H05K3/46 Q
H01L21/92 602J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193599
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 克幸
(72)【発明者】
【氏名】澤田 曜志
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA35
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC05
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC37
5E316DD33
5E316DD47
5E316EE33
5E316FF13
5E316FF14
5E316FF15
5E316FF24
5E316HH11
5E316JJ12
5E316JJ25
(57)【要約】
【課題】接続信頼性の高い導体パッドとバンプの接続構造を有する配線基板の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板100は、導体パッド12pと、導体パッド12p上に形成される絶縁層110と、導体パッド12p上に形成され、絶縁層110を貫通する貫通孔110a内に形成されるバンプ140と、を備えている。導体パッド12pのバンプ140との接続面には凹部RCが形成され、凹部RC内には隆起部UPが設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体パッドと、前記導体パッド上に形成される絶縁層と、前記導体パッド上に形成され、前記絶縁層を貫通する貫通孔内に形成されるバンプと、を備える配線基板であって、
前記導体パッドの前記バンプとの接続面には凹部が形成され、前記凹部内には隆起部が設けられている。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記凹部は、平面視において、前記貫通孔の前記導体パッド側の開口よりも広い領域に亘って形成されている。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記隆起部の頂部は、平面視において、前記貫通孔の前記導体パッド側の開口の内側の領域に形成されている。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記凹部内には、複数の隆起部が設けられている。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記隆起部の高さは、前記凹部の最深部の深さの0.10倍以上、且つ、0.50倍以下である。
【請求項6】
請求項5記載の配線基板であって、前記最深部の深さは、1μm以上、且つ、10μm以下である。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、前記バンプの前記貫通孔内の部分の水平断面における外周上の最長の2点間の距離は、10μm以上、且つ、35μm以下である。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、前記バンプの、前記導体パッドに対して反対側の表面には、前記凹部及び前記隆起部に対応する形状の凹み及び隆起が形成されている。
【請求項9】
請求項1記載の配線基板であって、前記配線基板は電子部品を内蔵する部品内蔵配線基板であり、前記導体パッドは前記電子部品が有する接続用のパッドである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバンプを備える配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面に凹部を有する接続パッド上に形成されたバンプ電極を有する配線基板が開示されている。接続パッド上には、凹部の内面(底面)を接続面として金属層が形成され、金属層上にバンプ電極となるはんだバンプが形成されている。接続パッド表面の凹部の底面は、なだらかに湾曲する曲面を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の配線基板においては、接続パッドと金属層との接続面はなだらかな曲面であり、バンプ電極に加えられる外力等に起因して接続パッドと金属層との接続面に係る応力により、剥離などの不良が発生する虞があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、導体パッドと、前記導体パッド上に形成される絶縁層と、前記導体パッド上に形成され、前記絶縁層を貫通する貫通孔内に形成されるバンプと、を備えている。前記導体パッドの前記バンプとの接続面には凹部が形成され、前記凹部内には隆起部が設けられている。
【0006】
本発明の実施形態によれば、接続面に係り得る応力に対して剥離などの不良の発生が抑制される、比較的強固な導体パッドとバンプとの接続構造を有する配線基板が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【
図3】
図2に示される配線基板の異なる例を示す断面図。
【
図4】
図2に示される配線基板のさらに異なる例を示す断面図。
【
図5】本発明の一実施形態の配線基板の他の例を示す断面図。
【
図6A】
図1に示される配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図6B】
図1に示される配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図6C】
図1に示される配線基板の製造方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照しながら本発明の一実施形態である配線基板について説明する。なお、以下、参照される図面においては、各構成要素の正確な比率を示すことは意図されておらず、本発明の特徴が理解され易いように描かれている。
【0009】
図1には、本実施形態の配線基板の一例である配線基板100の断面が部分的に示されている。配線基板100は、交互に積層される絶縁層及び導体層で形成されており、
図1にはその一部である絶縁層11、110、及び、導体層12、120が示されている。図示される配線基板100の片方の面100Fは、半導体素子などの外部の電子部品が搭載される部品搭載面として形成されている。
【0010】
配線基板100の、部品搭載面100Fと反対側の表面(図示せず)は、電子機器のマザーボードや、積層構造を有する半導体装置のパッケージ基板などとの接続に用いられる接続面として形成される。
図1に示される、配線基板100の部品搭載面100Fは、配線基板100を構成する絶縁層のうち最も外側の被覆絶縁層110、及び、配線基板100を構成する導体層のうち最も外側の導体層120の表面から形成されている。
【0011】
なお、本実施形態の配線基板の説明においては、配線基板100を構成する各要素における、配線基板100の部品搭載面100Fに近い側を「上」、「上側」、「外側」、又は単に「外」とも称する。
【0012】
実施形態の配線基板は、1又は2層以上の絶縁層、及び、2層以上の導体層を有している。
図1には、配線基板100が有する複数の絶縁層のうち部品搭載面100F側の4層(3層の絶縁層11、及び、1層の絶縁層110)が図示され、配線基板100が有する複数の導体層のうち4層の導体層(3層の導体層12、及び、1層の導体層120)が図示されている。配線基板が有する絶縁層及び導体層の層数は特に限定されず、適宜増減され得る。配線基板がより多くの導体層を含むことにより、配線基板の平面サイズを大きくすることなく、より規模が大きく複雑な電気回路を配線基板内に形成することが可能である。
【0013】
導体層12、120は任意の導体パターンを有している。導体層12、120は、絶縁層11、110に形成されているビア導体13、130を介して絶縁層11、110の反対側の導体層12、120と電気的に接続される。図示される例では、各ビア導体13、130は部品搭載面100F側から反対側に向かって縮径するテーパー形状を有しているが、ビア導体13、130の形状はこれに限定されない。部品搭載面100Fに向かって縮径する形状であってもよく、また、絶縁層11、110の厚さ方向において同径で導体層12、120に対して略直交する円柱形状に形成されてもよい。なお、便宜上、「縮径」という文言が用いられているが、ビア導体13、130の水平方向の断面形状は必ずしも円形に限定されない。「縮径」は、単に、ビア導体13、130の水平断面における外周上の最長の2点間の距離が小さくなることを意味している。
【0014】
図示される3層の導体層12のうち、最も部品搭載面100Fに近い導体層12は、導体パッド12pを有している。部品搭載面100Fを構成する導体層120は、接続パッド120pを有している。導体パッド12pと接続パッド120pとは、絶縁層110を貫通している貫通孔110aを充填するビア導体130によって接続される。
【0015】
接続パッド120pはビア導体130と一体的に形成され、ビア導体130と共にバンプ140を構成する。すなわち、接続パッド120pは、導体パッド12p上に形成されるバンプ140の、絶縁層110から上側に突出して配線基板100の平面方向に拡がるランド部を構成している。バンプ140は、ランド部(接続パッド)120pを介して、半導体素子などの外部の電子部品(図示せず)が有する接続用のパッドに電気的に接続され得る。例えば、はんだ等の導電性の接続部材を介して電子部品等の接続用端子にバンプ140が接続され得る。
【0016】
導体パッド12pの、導体パッド12pとバンプ140との接続部分には、導体パッド12pの厚さ方向に窪む、凹部RCが形成されている。凹部RCには、その底面の一部が部品搭載面100Fに向かって隆起する隆起部UPが形成されている。バンプ140と導体パッド12pとの接続部分がこのような形状を有することで、詳しくは後述するように、比較的強固なバンプ140(ビア導体130)と導体パッド12pとの接続が実現され、バンプ140と導体パッド12pとの接続の信頼性が向上され得る。
【0017】
配線基板100を構成する絶縁層11、110は、エポキシ樹脂等の任意の絶縁性樹脂を用いて形成され得る。ポリイミド樹脂、BT樹脂(ビスマレイミド-トリアジン樹脂)、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノール樹脂等も用いられ得る。絶縁層11、110はシリカなどの無機フィラーを含んでいてもよい。図示される例の配線基板100においては、絶縁層11、110は芯材を含んでいないが、必要に応じてガラス繊維やアラミド繊維などの芯材を含んでもよい。芯材を含むことで配線基板100の強度が向上し得る。複数の樹脂絶縁層11、110は、それぞれ異なる材料で構成されてもよく、全てが同じ材料で形成されてもよい。絶縁層110は、例えば、感光性のポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等を用いて形成されるソルダーレジスト層であり得る。
【0018】
配線基板100を構成する導体層12、120は、銅やニッケルなど、適切な導電性を有する任意の材料を用いて形成され得る。導体層12、120は、例えば、金属膜(好ましくは無電解銅めっき膜)、もしくは電解めっき膜(好ましくは電解銅めっき膜)、又はこれらの組み合わせによって形成される。図示の例では、導体層12、120は、金属膜層121及び電解めっき膜層122の2層構造で形成されている。しかし、配線基板100を構成する各導体層12、120の構成は、
図1に例示される多層構造に限定されない。例えば、無電解めっき膜層、又は電解めっき膜層の単層の構造とされてもよい。また、導体層12は、金属箔、無電解めっき膜層、及び電解めっき膜層の3層構造で構成されてもよい。
【0019】
ビア導体13、130は、
図1に示されるように、導体層12、120を構成している金属膜層(無電解めっき膜層)121及び電解めっき膜層122と一体的に形成され得る。図示の例では、ビア導体13、130は導通用孔(貫通孔)11a、110a内を充填するいわゆるフィルドビアであり、導通用孔11a、110a内の底面及び側面を被覆する金属膜層121と電解めっき膜層122とで構成されている。
【0020】
次いで、
図2を参照して、導体パッド12pとバンプ140との接続構造について、特に、導体パッド12pに形成されている凹部RCについて詳述する。
図2は、
図1において1点鎖線で囲まれる領域IIの拡大図である。導体パッド12pの表面に形成されている凹部RCは、導体パッド12pの平面方向における領域RAに亘って形成されている。領域RAは、平面視において、絶縁層110に形成される貫通孔110aの導体パッド12p側における周縁110oが画定する領域よりも広い領域を有している。なお、平面視とは、配線基板100を、その厚さ方向に沿った視線で見ることを意味している。
【0021】
凹部RCの内面は、部品搭載面100Fに向けて隆起する隆起部UPを有している。ここで隆起部UPとは、凹部RCの内面において、周囲よりも部品搭載面100Fに近い頂部PKを有し、周囲から頂部PKに向かって傾斜する部分を含む領域UAに亘って形成されている部分である。隆起部UPの頂部PKは、凹部RC内面の最深部(絶縁層11に最も近い部分)に対して高さpvを有している。なお、図示される例では、凹部RCは頂部PKの一方側と他方側において等しい深さrvを有しているが、凹部RCの形状はこれに限定されず、頂部PKの一方側と他方側において異なる深さを有し得る。すなわち、隆起部UPは頂部に対して非対称な形状をも有し得る。
【0022】
バンプ140を構成する金属膜層121が凹部RCの内面を被覆し、電解めっき膜層122が凹部RC内を充填している。バンプ140と導体パッド12pとの接続部において、このような隆起部UPを有する凹部RCが形成されていることで、比較的強固なバンプ140と導体パッド12pとの接続構造が提供され得る。
【0023】
配線基板100では、導体パッド12pに隆起部UPを有する凹部RCが形成されていない場合と比較すると、バンプ140と導体パッド12pとの接続面積が広く確保され得る。従って、導体パッド12pとバンプ140との接続部に係り得る応力に対して強固な接続構造が確保され得る。特に、導体パッド12pとバンプ140との界面に係り得る、配線基板100の平面方向のせん断応力に対して比較的強固な接続構造が得られる。導体パッド12pとバンプ140との間での剥離などの不良の発生が抑制され得る。
【0024】
また、隆起部UPとバンプ140との間でのアンカー効果により、バンプ140と導体パッド12pとの機械的結合強度が向上し得る。バンプ140と導体パッド12pとの接続構造が、例えば、バンプ140上部への電子部品の載置などの際にバンプ140に係り得る外力に対して高い剛性を有し得る。バンプ140の導体パッド12pからの脱離などの不良が効果的に抑制され得る。
【0025】
バンプ140と導体パッド12pとの接続構造を、不特定の方向からのバンプ140に対する外力に対して強固なものとする観点から、隆起部UPの頂部PKは、平面視において、貫通孔110aの導体パッド12p側の開口の内側の領域(周縁110oで画定される領域)内に形成されていることが好ましい。
【0026】
同様の観点から、隆起部UPの頂部PKの高さpvは、凹部RCの最深部の深さrvに対して、0.10倍以上の高さを有していることが好ましい。しかしながら、隆起部UPの頂部PKの高さpvが過度に大きい場合には、バンプ140と導体パッド12pとの接続面に係る応力が頂部PK付近に集中し、応力分散の観点から好ましくない場合がある。従って、隆起部UPの頂部PKの高さpvは、凹部RCの最深部の深さrvに対して、0.50倍以下の高さであることが好ましい。
【0027】
凹部RCは、導体パッド12pの厚さ、ビア導体130の平面方向における寸法等に従って、バンプ140と導体パッド12pとの接続構造を効果的に強固にし得る深さに形成され得る。図示される例の配線基板100においては、導体パッド12pの厚さは12μm程度とされ、凹部RCの最も深い部分の深さrvは、1μm以上、且つ、10μm以下とされている。そして、バンプ140を構成するビア導体130の水平方向の断面における外周上の最長の2点間の距離は、10μm以上、且つ、35μm以下、とされている。
【0028】
バンプ140と導体パッド12pとの接続部における接続面積を拡大させる観点、及び、バンプ140と導体パッド12pとの接続部のアンカー効果による機械的結合強度を向上させる観点から、隆起部UPは、凹部RC内に複数形成され得る。
図3には、導体パッド12pの凹部RC内に、2つの隆起部UPが形成される例が示されている。凹部RC内に複数の隆起部UPが形成される場合には、接続面内で応力を均等に分散させる観点から、複数の頂部PKは凹部RCが形成される領域RA内において局所的に偏在することなく、比較的均等に分布していることが好ましい。
【0029】
導体パッド12p上に接続されているバンプ140の露出面(接続パッド120pの上面)には、
図4に示されるように、凹部RCに対応する形状の凹み、及び、隆起部UPに対応する形状の隆起が形成されてよい。バンプ140に接続され得る、例えば、はんだ等の接続部材との接続面積が拡大し、機械的結合強度も向上し得る。従って、バンプ140の上側の面における、接続部材との剥離などの不良の発生が抑制され得る。配線基板100と外部の電子部品等との接続信頼性が向上し得る。
【0030】
なお、本実施形態の配線基板は、電子部品を内蔵する部品内蔵配線基板であり得る。そして、表面に凹部を有する導体パッドは、部品内蔵配線基板が有する電子部品の電極パッドであり得る。
図5には、電子部品ECを内蔵する部品内蔵配線基板100eにおいて、電子部品ECの電極パッドepがバンプ140と接続される例が示されている。電極パッドepのバンプ140が接続される面には、隆起部UPを有する凹部RCが形成されている。
【0031】
図示される例の部品内蔵配線基板100eでは、キャビティCVの部品実装用パッドPTで構成される底面に、接着剤ADを介して電子部品ECが搭載されている。電子部品ECは、例えば、半導体装置などの能動部品や、抵抗体のような受動部品である。接着剤ADとしては、例えば、はんだ、金、もしくは銅などの金属、銀などの任意の導電性粒子を含む導電性接着剤、並びに、単にエポキシ樹脂などで構成される絶縁性接着剤などが例示される。
【0032】
電子部品ECは、電子部品ECを被覆する樹脂絶縁層111によってキャビティCV内に封止されている。電子部品ECが有する、電子部品ECと外部の回路との接続に用いられる電極パッドep上には、樹脂絶縁層111を貫通するビア導体130及び接続パッド120pで構成されるバンプ140が接続されている。電極パッドepに隆起部UPを有する凹部RCが形成されていることにより、比較的強固な電極パッドepとバンプ140との接続構造が実現される。外部の回路と電子部品ECとの接続信頼性が高い部品内蔵配線基板100eが提供され得る。
【0033】
なお、上述した、隆起部UPを有する凹部RCが形成される部分は、配線基板100、100eにおける、バンプ140と導体パッド12p(電極パッドep)との接続部に限定されない。配線基板100、100eを構成する、任意のビア導体13と導体層12との接続部において、導体層12に、導体パッド12pが有する凹部RCと同様の凹部が形成されてよい。
【0034】
以下に、
図1に示される配線基板100を製造する方法が、
図6A~
図6Cを参照しながら説明される。
図6A~
図6Cにおいては、
図1と同様に、配線基板100の全体は図示されず、バンプ140と導体パッド12pとの接続部を含む、部品搭載面100Fとなる側の部分的な断面のみが図示される。
【0035】
先ず、
図6Aに示されるように、例えば、ビルドアップ方式による一般的な配線基板の製造方法により、絶縁層11の積層までが完了した配線基板100pが準備される。
【0036】
次いで、
図6Bに示されるように、導体パッド12pを含む導体層12が、最外の絶縁層11上に形成され、同時に、絶縁層11を貫通するビア導体13が形成される。配線基板100pの最外層の絶縁層11における、ビア導体13の形成箇所に対応する位置に、例えば炭酸ガスレーザー、又はYAGレーザーなどのレーザー光の照射によって、絶縁層11を貫通する導通用孔11aが形成される。導通用孔11aの内側及び絶縁層11の表面の全体に亘って、無電解めっきによって、例えば無電解銅めっき膜層である金属膜層121が形成される。
【0037】
金属膜層121上には、電解めっき用のめっきレジスト(図示せず)が、例えば、感光性のポリヒドロキシエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、又はポリイミド樹脂などを含む樹脂層の形成と、適切な開口パターンを有するマスクを用いた露光及び現像とによって形成される。めっきレジストは、導体パッド12pを含む所定の導体パターンに応じた開口を有するように形成され、金属膜層121をシード層として用いた電解めっきにより、絶縁層11の導通用孔11aの内部、及び、めっきレジストの開口の内部が充填される。次いで、めっきレジストが除去されることで露出する金属膜層121がエッチングにより除去され、樹脂絶縁層11が露出する。ビア導体13、及び、導体パッド12pを含む導体層12の形成が完了する。
【0038】
次いで、
図6Cに示されるように、導体パッド12pを含む導体層12上、及び、露出する絶縁層11上に絶縁層110が積層される。絶縁層110は、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを含む絶縁性の樹脂で形成され得る。続いて、絶縁層110のビア導体130が形成される位置に対応する開口(貫通孔)110aが形成される。貫通孔110aは、絶縁層110を貫通して導体パッド12pの表面を露出させる。貫通孔110aの形成にはフォトリソグラフィが用いられ得る。貫通孔110aは、例えば、UVレーザー光等のレーザー光を照射することにより形成されてもよい。
【0039】
続いて、貫通孔110aの底面に露出する導体パッド12pがエッチングされ、凹部RCが形成される。例えば、アルカリ性過マンガン酸水溶液などの酸化剤を含む薬液を使用する等方性のウェットエッチングにより、導体パッド12pに凹部RCが形成される。エッチングにおける処理条件(薬液濃度、及び、処理時間など)により、任意の形状及び寸法を有する凹部RCが形成され得る。具体的には、凹部RCの深さ、隆起部UPの数、隆起部UPの頂部PKの高さ等がエッチングの処理条件により任意に調整され得る。
【0040】
次いで、貫通孔110a内、及び、絶縁層110上にバンプ140が形成され、配線基板100の形成が完了する(
図1)。バンプ140は、前述したビア導体13及び導体層12の形成方法と同様の方法及び同様の材料を用いて形成され得る。貫通孔100a内、及び、絶縁層110上に金属膜層121を形成し、金属膜層121をシード層とする電解めっきによって、金属膜層121と電解めっき膜層122によって構成される導体層120及びビア導体130が形成される。導体層120が有する接続パッド120p及びビア導体130によって構成されるバンプ140の形成が完了する。
【0041】
バンプ140を構成する接続パッド120p上には、無電解めっき、半田レベラ、又はスプレーコーティングなどによって、Au、Ni/Au、Ni/Pd/Au、はんだ、又は耐熱性プリフラックスなどからなる表面保護膜(図示せず)が形成されてもよい。以上の工程を経る事によって
図1に示される配線基板100が完成する。
【0042】
なお、バンプ140の形成が凹部RCを有する導体パッド12p上への無電解めっきのみによって実現され、主に無電解めっき膜121で構成されるバンプ140とされてもよい。この場合、凹部RCの内面にめっき析出用の触媒が付与され、無電解めっき膜は凹部RCの内面から上方に向かって、所謂ボトムアップで成長する。従って、
図4に例示されるような、導体パッド12pの凹部RCの形状を反映した表面形状を有するバンプ140が形成されやすい場合がある。
【0043】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示された構造や材料を備えるものに限定されない。例えば、部品搭載面100Fには、接続用パッド120pの他にも異なる導体パターンが含まれ得る。バンプ140は平面状に拡がる接続パッド120pを有さずともよく、ビア導体130のみで構成されてもよい。凹部RC内に形成され得る複数の隆起部UPの頂部PKはそれぞれ凹部RCの最深部に対する高さが異なってよい。また、配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されず、その条件や順序などは適宜変更され得る。現に製造される配線基板の構造に応じて、一部の工程が省略されてもよく、別の工程が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
100 配線基板
100e 部品内蔵配線基板
11、110 絶縁層
12、120 導体層
121 金属膜層
122 電解めっき膜層
12p 導体パッド
120p 接続パッド
13、130 ビア導体
140 バンプ
110a 貫通孔
110o 周縁部
100F 部品搭載面
RC 凹部
PK 頂部
UP 隆起部