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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082200
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】軌道系交通システム
(51)【国際特許分類】
   E01B 25/28 20060101AFI20220525BHJP
   B61L 23/00 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
E01B25/28 A
B61L23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193619
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】518018986
【氏名又は名称】三菱重工エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】片平 耕介
(72)【発明者】
【氏名】増川 正久
【テーマコード(参考)】
2D056
5H161
【Fターム(参考)】
2D056GA01
5H161AA01
5H161MM02
5H161MM05
5H161MM14
5H161NN01
5H161NN10
5H161PP06
5H161PP07
(57)【要約】
【課題】通行者が軌道を横断することができる軌道系交通システムを、容易かつ低コストで提供する。
【解決手段】軌道系交通システムは、車両が走行する走行路を有する案内軌条式の軌道を備える。前記軌道は、路盤から鉛直方向に延びるように形成される一対の側壁を備える。前記側壁は、第一固定壁と、前記延伸方向に延び、前記第一固定壁に対して前記延伸方向の第二側に間隔をあけて配置された第二固定壁と、前記第一固定壁と前記第二固定壁との間に配置された可動壁と、を有する。前記可動壁は、前記第一固定壁と前記第二固定壁との間を閉塞する閉状態、及び、前記第一固定壁と前記第二固定壁との間を開放する開状態との間で回動可能とされる。前記ガイドは、前記第一固定壁、前記第二固定壁、及び前記可動壁にそれぞれ配置される。前記電車線は、前記第一固定壁及び前記第二固定壁のみに配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する走行路を有する案内軌条式の軌道を備え、
前記軌道は、
前記走行路の延伸方向に延び、前記走行路を形成する路盤と、
前記延伸方向と交差する幅方向において前記走行路に対して両外側で前記路盤から鉛直方向に延びるように形成され、前記延伸方向に延びる一対の側壁と、
それぞれの前記側壁において、前記幅方向で前記走行路を向く壁側面に配置されて前記延伸方向に延び、前記車両を案内するガイドと、
それぞれの前記側壁において、前記壁側面に配置されて前記延伸方向に延び、前記車両に電力を供給する電車線と、を備え、
それぞれの前記側壁は、
前記延伸方向に延びる第一固定壁と、
前記延伸方向に延び、前記第一固定壁に対して前記延伸方向の第二側に間隔をあけて配置された第二固定壁と、
前記第一固定壁と前記第二固定壁との間に配置され、前記延伸方向に延びる可動壁と、を有し、
前記可動壁は、前記第一固定壁と前記第二固定壁との間を閉塞する閉状態、及び、前記第一固定壁と前記第二固定壁との間を開放する開状態との間で回動可能とされ、
前記可動壁は、前記開状態で、前記走行路を横断する位置に移動し、通行者が前記幅方向に前記走行路を通行可能な横断通路部を形成し、
前記ガイドは、前記第一固定壁、前記第二固定壁、及び前記可動壁にそれぞれ配置され、
前記電車線は、前記第一固定壁、前記第二固定壁、及び前記可動壁のうち、前記第一固定壁及び前記第二固定壁のみに配置されている軌道系交通システム。
【請求項2】
前記横断通路部は、前記軌道に沿って延びる車道と前記軌道とを前記幅方向に横切るように配置される横断歩道の一部を形成する請求項1に記載の軌道系交通システム。
【請求項3】
前記軌道は、前記延伸方向で前記第一固定壁と前記第二固定壁との間に配置され、前記第一固定壁及び前記第二固定壁のそれぞれに対する前記延伸方向における間隔を、前記車道を通行する自動車が通行不能な幅に規制する中間部材をさらに備える請求項2に記載の軌道系交通システム。
【請求項4】
前記可動壁は、
前記中間部材に対して前記延伸方向の第一側に配置され、前記第一固定壁に対して回動可能に配置された第一可動壁と、
前記中間部材に対して前記延伸方向の第二側に配置され、前記第二固定壁に対して回動可能に配置された第二可動壁と、を有する請求項3に記載の軌道系交通システム。
【請求項5】
前記中間部材は、前記閉状態で、前記第一可動壁及び前記第二可動壁に対して、前記幅方向から接触可能な受け部を有する請求項4に記載の軌道系交通システム。
【請求項6】
前記軌道は、前記幅方向に間隔をあけて複数の前記走行路を有し、
前記軌道は、前記幅方向において前記走行路同士の間に配置された中間可動壁をさらに備え、
前記中間可動壁は、前記閉状態で前記延伸方向に延びた状態となり、前記開状態で前記走行路を横断する位置に移動し、前記通行者が前記走行路を前記幅方向に通行可能な状態となるように回動可能とされている請求項1から5の何れか一項に記載の軌道系交通システム。
【請求項7】
前記可動壁は、
前記閉状態で前記幅方向の前記走行路を向く可動壁面を有する可動壁本体と、
前記可動壁面の少なくとも一部に配置され、前記可動壁本体よりも軟質な材料で形成されたカバー部材と、をさらに有する請求項1から6の何れか一項に記載の軌道系交通システム。
【請求項8】
前記可動壁は、
前記閉状態で前記幅方向の前記走行路を向く可動壁面を有する可動壁本体と、
前記可動壁本体から前記鉛直方向の下方に延び、前記可動壁本体よりも軟質な材料で形成されたスカート部材と、をさらに有する請求項1から7の何れか一項に記載の軌道系交通システム。
【請求項9】
前記延伸方向における前記第一固定壁と前記第二固定壁との間隔は、前記電車線と接触する前記車両の集電装置よりも短い請求項1から8の何れか一項に記載の軌道系交通システム。
【請求項10】
前記可動壁は、前記閉状態と前記開状態との間で前記鉛直方向に延びる鉛直軸を中心として回転可能に配置され、
前記可動壁を回転駆動させる可動壁駆動装置と、
前記可動壁駆動装置の動作を制御する制御装置と、をさらに備える請求項1から9の何れか一項に記載の軌道系交通システム。
【請求項11】
外部からの操作入力を受け付けた場合に、所定の操作受付信号を前記制御装置に出力する操作受付部材をさらに備え、
前記制御装置は、前記操作受付部材から入力される前記操作受付信号に基づき、前記車両の運行に制約を掛ける請求項10に記載の軌道系交通システム。
【請求項12】
前記横断通路部に前記通行者がいるか否かを検出するセンサ、をさらに備え、
前記制御装置は、前記センサから出力される検出信号に基づき、前記車両の運行に制約を掛ける請求項10又は11に記載の軌道系交通システム。
【請求項13】
前記走行路上を走行する前記車両に対し、前記横断通路部の通過の可否を示す信号を出力する車両用信号出力装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記可動壁の開閉状態に応じて、前記横断通路部の通過の可否を示す信号を出力するよう前記車両用信号出力装置を制御する請求項10から12の何れか一項に記載の軌道系交通システム。
【請求項14】
前記横断通路部を通行する前記通行者に対して前記横断通路部の通過に関する情報を出力する通行者用情報出力装置、をさらに備え、
前記制御装置は、前記可動壁の開閉状態に応じて、前記通行者に対して前記横断通路部の通過に関する情報を出力するよう前記通行者用情報出力装置を制御する請求項10から13の何れか一項に記載の軌道系交通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軌道系交通システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バスや鉄道以外の新たな交通手段として、ゴムタイヤを装着した走行輪によって軌道を走行する軌道系交通システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、予め定められた軌道上を走行する軌道系車両を案内レールによって誘導して走行路上を走行させる交通システムが記載されている。この軌道系車両は、車両の両側に案内輪が配置されたサイドガイド方式であって、軌道に設置された電車線より給電されて走行する。
【0004】
ところで、このような軌道系車両が走行する新交通システムでは、軌道が車道と幅方向に並設される場合がある。このような場合、軌道と車道との間に軌道の壁部が備えられることで、車道を走行する車両や歩行者の軌道内への侵入を阻止している。このため、壁部は、軌道の延伸方向に途切れることなく連続して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-128380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような構成の軌道において、歩行者等の通行者が、車道及び軌道を横断するには、鉄道のように踏切を設置する必要がある。しかしながら、軌道系交通システムの軌道では、車両をガイドする案内レール(ガイド)や車両に電力を供給する電車線が、軌道上を這うように低い高さで連続して延びている。そのため、鉄道に用いられている一般的な踏切のような構造は、ガイドレールや電車線と途切れさせることになってしまい、適用できない。そのため、立体交差化や車道及び軌道を跨ぐ歩道橋が必要となってしまう。このような立体交差化や歩道橋は、踏切に比べて敷設作業が大規模になってしまうとともに、敷設費用が高額になってしまう。また、立体交差や歩道橋については、杖や車椅子使用者等の交通弱者にとっては高い障壁となる。そのため、安全に渡るためにはエレベーター等の設置が必要となり、更に費用が嵩むことになる。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、通行者が軌道を安全に横断することができる軌道系交通システムを、容易かつ低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る軌道系交通システムは、車両が走行する走行路を有する案内軌条式の軌道を備え、前記軌道は、前記走行路の延伸方向に延び、前記走行路を形成する路盤と、前記延伸方向と交差する幅方向において前記走行路に対して両外側で前記路盤から鉛直方向に延びるように形成され、前記延伸方向に延びる一対の側壁と、それぞれの前記側壁において、前記幅方向で前記走行路を向く壁側面に配置されて前記延伸方向に延び、前記車両を案内するガイドと、それぞれの前記側壁において、前記壁側面に配置されて前記延伸方向に延び、前記車両に電力を供給する電車線と、を備え、それぞれの前記側壁は、前記延伸方向に延びる第一固定壁と、前記延伸方向に延び、前記第一固定壁に対して前記延伸方向の第二側に間隔をあけて配置された第二固定壁と、前記第一固定壁と前記第二固定壁との間に配置され、前記延伸方向に延びる可動壁と、を有し、前記可動壁は、前記第一固定壁と前記第二固定壁との間を閉塞する閉状態、及び、前記第一固定壁と前記第二固定壁との間を開放する開状態との間で回動可能とされ、前記可動壁は、前記開状態で、前記走行路を横断する位置に移動し、通行者が前記幅方向に前記走行路を通行可能な横断通路部を形成し、前記ガイドは、前記第一固定壁、前記第二固定壁、及び前記可動壁にそれぞれ配置され、前記電車線は、前記第一固定壁、前記第二固定壁、及び前記可動壁のうち、前記第一固定壁及び前記第二固定壁のみに配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の軌道系交通システムによれば、通行者が安全に軌道を横断することができる軌道系交通システムを、容易かつ低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る軌道系交通システムの軌道の構成を示す平面図である。
図2】上記軌道の構成を示す図であって、図1のI-I矢視断面図である。
図3】上記軌道の可動壁を閉状態とした場合を示す平面図である。
図4】上記軌道の可動壁を閉状態とした場合を示す図であり、図3のII-II矢視断面図である。
図5】上記軌道の可動壁を開状態とした場合を示す平面図である。
図6】上記軌道の可動壁を開状態とした場合を示す図であり、図5のIII-III矢視断面図である。
図7】上記軌道の中間可動壁を閉状態とした場合を示す図であり、図3のIV-IV矢視断面図である。
図8】上記軌道系交通システムの制御装置の機能ブロック図である。
図9】上記軌道系交通システムの制御装置のハードウェア構成図である。
図10】上記軌道系交通システムに対応する中央監視室の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示による軌道系交通システムを実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0012】
(軌道系交通システムの構成)
軌道系交通システム1は、自動車200が通行する車道2と並んで敷設された軌道3の走行路32上を案内軌条式の車両300を走行させるシステムである。図1に示すように、軌道系交通システム1は、車道2と、歩道5と、軌道3と、踏切部8と、を主に備えている。
【0013】
(車道及び歩道の構成)
車道2は、自動車200が通行する地上の道路である。車道2は、軌道3に沿うように、走行路32の延伸方向Daに延びている。本実施形態において、車道2は、軌道3を間に挟むように二車線形成されている。なお、車道2は、軌道3に対して片側だけで沿うように一車線のみ配置されていてもよい。車道2を挟んで軌道3と反対側には歩行者が通行可能な歩道5が形成されている。歩道5は、車道2に沿うように延伸方向Daに延びている。また、軌道系交通システム1は、車道2が無く軌道3の両側が歩道5のみであってもよい。
【0014】
(軌道の構成)
軌道3は、所定の路線に沿って、鉛直方向Dvと交差する(本実施形態では直交する)延伸方向Daに延びている。軌道3は、案内軌道式の車両300が走行可能な走行路32を有している。軌道3は、延伸方向Daに交差する(本実施形態では直交する)幅方向Dwにおいて複数の車道2同士の間に配置されている。つまり、軌道3は、車道2に対し、幅方向Dwの内側に配置されている。軌道3は、例えばコンクリート等で形成されている。図2に示すように、本実施形態の軌道3は、路盤31と、側壁40と、中間ガイド壁80と、ガイド35と、電車線37と、可動壁駆動装置47と、中間可動壁駆動装置87と、制御装置60と、を備えている。
【0015】
路盤31は、鉛直方向Dvに交差する平面に沿うように形成されている。路盤31は、地盤上に形成された支持地盤(図示無し)に直接、又は地盤に支柱(図示無し)を介して支持されている。路盤31には、車両300が走行する走行路32が形成されている。本実施形態において、走行路32は、幅方向Dwに間隔をあけて二つ配置されている。各走行路32は、延伸方向Daに延びている。各走行路32上には、走行面32fが形成されている。走行面32fは、車両300の走行輪300rの位置に対応するように、幅方向Dwに間隔をあけて一対が形成されている。走行面32fは、走行路32上で、延伸方向Daに延びている。走行面32fは全面にわたって平坦面をなして車両300のゴムタイヤを装着した走行輪300rが転動可能なように形成されている。走行面32f上を走行輪300rが転動することで、車両300が走行路32を走行する。なお、走行面32fは、幅方向Dwに離れて形成されることに限定されるものではない。走行面32fは、幅方向Dwに繋がって形成され、左右に渡って一体に形成されていてもよい。特に、踏切部8では、横断時の段差を無くするため、走行面32fは、軌道3の全幅にわたって平坦に形成されていてもよい。
【0016】
側壁40は、路盤31に対して幅方向Dwの両端部に一対形成されている。つまり、本実施形態では、側壁40として、第一側壁40A及び第二側壁40Bが形成されている。側壁40は、延伸方向Daにおいて路盤31の全長にわたって形成されている。側壁40は、路盤31から鉛直方向Dvの上方Dvuに向かって延びるように形成されている。
【0017】
中間ガイド壁80は、路盤31に対して幅方向Dwの中間部に配置されている。中間ガイド壁80は、第一側壁40A及び第二側壁40Bに対して幅方向Dwに間隔を配置されている。中間ガイド壁80は、鉛直方向Dvから見た際に、幅方向Dwにおいて、一つの走行路32を第一側壁40A又は第二側壁40Bと挟み込むように配置されている。つまり、中間ガイド壁80は、二つの走行路32の間に配置されている。これにより、中間ガイド壁80は、路盤31上で、幅方向Dwの一方側の走行路32と、他方側の走行路32とを区画している。中間ガイド壁80は、路盤31から鉛直方向Dvの上方Dvuに向かって延びている。本実施形態において、中間ガイド壁80の鉛直方向Dvにおける高さは、側壁40の高さよりも低い。中間ガイド壁80は、例えばコンクリート等により、路盤31と一体に形成されている。
【0018】
(ガイドの構成)
ガイド35は、車両300の案内輪300gが接触することで、走行路32に沿って移動するように車両300の進行方向を案内する。ガイド35は、軌道3の総延長にわたって延伸方向Daに延びている。図2及び図3に示すように、ガイド35は、各走行路32に対して幅方向Dwの両側に配置されている。本実施形態のガイド35は、側壁40及び中間ガイド壁80に固定されている。ガイド35は、各走行路32に対して、幅方向Dwの外側Dwoに配置された外側ガイド35Aと、幅方向Dwの内側Dwiに配置された内側ガイド35Bと、を有している。外側ガイド35Aは、側壁40において、幅方向Dwで走行路32を向く壁側面40fに固定されている。内側ガイド35Bは、中間ガイド壁80に固定されている。
【0019】
(電車線の構成)
電車線37は、車両300の集電装置に接触することで、車両300に電力を供給する。集電装置は、車両300の側面に沿うように延伸方向Daに延びている。電車線37は、延伸方向Daに延びている。電車線37は、各走行路32において、幅方向Dwの一方側に配置されている。本実施形態の電車線37は、走行路32に対して、幅方向Dwの外側Dwoに位置する側壁40に固定されている。電車線37は、壁側面40fにおいて、ガイド35に対して鉛直方向Dvの上方Dvuに固定されている。なお、電源の種類により直流電源の場合は2本、交流電源の場合は3本の電車線37が固定されている。
【0020】
(踏切部の構成)
踏切部8は、軌道3を幅方向Dwに横切るように形成されている。踏切部8は、歩行者や自転車等の通行者が通行可能な横断通路部Wrを有している。図1に示すように、軌道3に対して幅方向Dwの両側に配置された車道2には、横断通路部Wrに連続するように、車道横断歩道Wcが形成されている。車道横断歩道Wcは、車道2を幅方向Dwに横切るように延びている。横断通路部Wrと車道横断歩道Wcとにより、幅方向Dwの両側の歩道5同士を結ぶように、車道2及び軌道3を横切る横断歩道Wが形成されている。
【0021】
(側壁の構成)
図3及び図4に示すように、それぞれの側壁40は、第一固定壁41と、第二固定壁42と、可動壁43と、を有している。可動壁43は、側壁40において、踏切部8を構成する領域に配置されている。第一固定壁41及び第二固定壁42は、踏切部8を構成する領域を延伸方向Daから挟むように配置されている。
【0022】
第一固定壁41は、踏切部8に対し、延伸方向Daの第一側Da1に配置されている。第一固定壁41は、延伸方向Daに延びている。第一固定壁41において、幅方向Dwで走行路32を向く第一壁側面41sには、第一固定ガイド351と、第一電車線371とが、鉛直方向Dvに間隔をあけて固定されている。第一固定ガイド351は、ガイド35(外側ガイド35A)の延伸方向Daの一部を構成している。第一電車線371は、電車線37の延伸方向Daの一部を構成している。延伸方向Daにおける第一固定壁41の第二側Da2の端部には、第一支持柱41Cが配置されている。第一支持柱41Cは、鉛直方向Dvに延びる鉛直軸を有している。第一支持柱41Cは、第一固定壁41の端部を形成するように、第一固定壁41と一体に形成されている。第一支持柱41Cには、可動壁43を回転駆動させる可動壁駆動装置47が配置されている。
【0023】
第二固定壁42は、踏切部8に対し、延伸方向Daの第二側Da2に配置されている。第二固定壁42は、第一固定壁41に対して延伸方向Daの第二側Da2に間隔をあけて配置されている。延伸方向Daにおける第一固定壁41と第二固定壁42との間隔は、電車線37と接触する車両300の集電装置よりも短くされている。延伸方向Daにおいて第一固定壁41と第二固定壁42とで挟まれるように踏切部8が形成されている。第二固定壁42は、延伸方向Daに延びている。第二固定壁42において、幅方向Dwで走行路32を向く第二壁側面42sには、第二固定ガイド352と、第二電車線372とが、鉛直方向Dvに間隔をあけて固定されている。第二固定ガイド352は、ガイド35(外側ガイド35A)の延伸方向Daの一部を構成している。第二電車線372は、電車線37の延伸方向Daの一部を構成している。延伸方向Daにおける第二固定壁42の第一側Da1の端部には、第二支持柱42Cが配置されている。第二支持柱42Cは、鉛直方向Dvに延びる鉛直軸を有している。第二支持柱42Cは、第二固定壁42の端部を形成するように、第二固定壁42と一体に形成されている。第二支持柱42Cには、可動壁43を回転駆動させる可動壁駆動装置47が配置されている。第一支持柱41C及び第二支持柱42Cに配置された可動壁駆動装置47は、制御装置60によって、その動作がそれぞれ制御される。
【0024】
(可動壁の構成)
可動壁43は、それぞれの側壁40において、延伸方向Daで第一固定壁41と第二固定壁42との間に配置されている。可動壁43は、延伸方向Daに延びている。本実施形態において、可動壁43は、第一可動壁44と、第二可動壁45と、カバー部材48と、スカート部材49とを有している。
【0025】
第一可動壁44は、第一固定壁41と第二固定壁42との間で、第一固定壁41に近い位置に配置されている。第一可動壁44は、第一可動壁本体440と、第一可動壁本体440に対して延伸方向Daの第一側Da1に配置された第一基端部441と、第一可動壁本体440に対して延伸方向Daの第二側Da2に配置された第一先端部442とを有している。第一可動壁本体440と第一基端部441と第一先端部442とは一体に形成されている。第一可動壁本体440は、幅方向Dwから見た際に矩形状をなす板状の部材である。第一可動壁本体440には、後述する閉状態で、幅方向Dwにおいて走行路32を向く第一可動壁面44sが形成されている。第一基端部441は、第一支持柱41Cに支持されている。したがって、第一可動壁44は、第一固定壁41に対して、第一基端部441を中心として回動可能とされている。
【0026】
第二可動壁45は、第一固定壁41と第二固定壁42との間で、第一固定壁41に対して延伸方向Daの第二側Da2に配置されている。つまり、第二可動壁45は、第一固定壁41に対して第二固定壁42に近い位置に配置されている。第二可動壁45は、第二可動壁本体450と、第二可動壁本体450に対して延伸方向Daの第二側Da2に配置された第二基端部451と、第二可動壁本体450に対して延伸方向Daの第一側Da1に配置された第二先端部452とを有している。第二可動壁本体450と第二基端部451と第二先端部452とは一体に形成されている。第二可動壁本体450は、第一可動壁本体440と同じ形状をなすように、幅方向Dwから見た際に矩形状をなす板状の部材である。第二可動壁本体450には、閉状態で、幅方向Dwにおいて走行路32を向く第二可動壁面45sが形成されている。第二基端部451は、第二支持柱42Cに支持されている。したがって、第二可動壁45は、第二固定壁42に対して、第二基端部451を中心として回動可能とされている。
【0027】
第一可動壁44及び第二可動壁45は、閉状態と開状態との間で回動可能に構成されている。第一可動壁44は、可動壁駆動装置47によって、第一支持柱41Cに支持された第一基端部441が回転することで開閉駆動される。第二可動壁45は、可動壁駆動装置47によって、第二支持柱42Cに支持された第二基端部451が回転することで回転駆動される。第一可動壁44及び第二可動壁45は、閉状態や開状態に切り替わる際に、同時に回転するように可動壁駆動装置47に駆動される。
【0028】
閉状態では、第一可動壁44及び第二可動壁45は、それぞれ延伸方向Daに延びた状態となる。その結果、第一可動壁44及び第二可動壁45は、延伸方向Daにおける第一固定壁41と第二固定壁42との間を閉塞する。
【0029】
一方、図5及び図6に示すように、開状態では、第一可動壁44及び第二可動壁45は、それぞれ幅方向Dwに延びた状態となる。具体的には、第一可動壁44は、横断通路部Wrに対して延伸方向Daの第一側Da1の位置で、横断通路部Wrに沿うように幅方向Dwに延びた状態となる。この状態で、第一可動壁44は、幅方向Dwにおける一対の第一固定壁41同士の間の一部を閉塞している。具体的には、本実施形態の第一可動壁44は、幅方向Dwにおいて、第一固定壁41と後述する第一中間区画壁81とで挟まれた走行路32の一部を閉塞している。また、開状態では、第二可動壁45は、横断通路部Wrに対して延伸方向Daの第二側Da2の位置で、横断通路部Wrに沿うように幅方向Dwに延びた状態となる。この状態で、第二可動壁45は、幅方向Dwにおける一対の第二固定壁42同士の間の一部を閉塞している。具体的には、本実施形態の第二可動壁45は、幅方向Dwにおいて、第二固定壁42と後述する第二中間区画壁82とで挟まれた走行路32の一部を閉塞している。
【0030】
図3及び図4に示すように、第一可動壁面44sには、第一可動ガイド353が固定されている。第一可動ガイド353は、ガイド35(外側ガイド35A)の延伸方向Daの一部を構成している。第二可動壁面45sには、第二可動ガイド354が固定されている。第二可動ガイド354は、ガイド35(外側ガイド35A)の延伸方向Daの一部を構成している。第一可動壁44及び第二可動壁45には、電車線37の一部となるような部材は配置されていない。つまり、電車線37の延伸方向Daの一部を構成する部材は、第一固定壁41及び第二固定壁42のみに固定され、第一可動壁44及び第二可動壁45には固定されていない。
【0031】
また、図4に示すように、カバー部材48は、第一可動壁面44s及び第二可動壁面45sにそれぞれ固定されている。カバー部材48は、第一可動壁面44s及び第二可動壁面45sの少なくとも一部の領域をそれぞれ覆っている。本実施形態のカバー部材48は、第一可動壁面44s及び第二可動壁面45sの外周部に沿うように、O字状に形成されている。なお、カバー部材48は、第一可動壁面44s及び第二可動壁面45sの全体を覆うように配置してもよい。カバー部材48は、第一可動壁本体440及び第二可動壁本体450よりも軟質な材料、例えば、ゴム系材料、ウレタンフォーム、スポンジ等によって形成されている。
【0032】
なお、カバー部材48は、第一可動壁面44s及び第二可動壁面45sのみに配置されることに限定されるものではない。カバー部材48は、第一可動壁本体440及び第二可動壁本体450において、閉状態で幅方向Dwにおいて走行路32とは反対側を向く面にも配置されていてもよい。
【0033】
スカート部材49は、第一可動壁本体440及び第二可動壁本体450の鉛直方向Dvの下端に固定されている。スカート部材49は、第一可動壁本体440及び第二可動壁本体450の下端から路盤31の上面(走行路32)と摺接するように、鉛直方向Dvの下方Dvdに延びている。つまり、スカート部材49は、第一可動壁本体440及び第二可動壁本体450の下端と横断通路部Wrの上面との鉛直方向Dvにおける隙間を塞ぐように配置されている。スカート部材49は、第一可動壁本体440及び第二可動壁本体450よりも軟質な材料、例えばゴム系材料等で形成されている。スカート部材49は、可撓性を向上させるために、板状、又はブラシ状に形成されていることが好ましい。
【0034】
(中間部材の構成)
図3及び図4に示すように、本実施形態の側壁40は、中間部材46をさらに備える。中間部材46は、延伸方向Daにおいて第一固定壁41と第二固定壁42との間に配置されている。中間部材46は、第一固定壁41及び第二固定壁42のそれぞれに対する延伸方向Daにおける間隔を、車道2を通行する自動車200が通行不能な幅に規制する。本実施形態の中間部材46は、路盤31から鉛直方向Dvの上方Dvuに延びる柱状に形成されている。中間部材46は、幅方向Dwにおける厚みよりも、延伸方向Daにおける幅寸法が大きく形成されている。中間部材46は、壁状又は柵状に形成されていてもよい。中間部材46は、横断通路部Wrへの出入口となる第一固定壁41と第二固定壁42との間を区画している。本実施形態は、中間部材46は、第一固定壁41と中間部材46の間隔W1、及び第二固定壁42と中間部材46との間隔W2を、車道2を通行する自動車200が通行不能な幅としている。つまり、中間部材46が配置されることによって、自動車200は、車道2から横断通路部Wrに進入不能となる。このため、中間部材46が配置される位置は、横断通路部Wrへの進入の規制対象となる自動車200の車幅に応じて設定される。横断通路部Wrへの進入の規制対象となる自動車200を、例えば、軽自動車のような小型の自動車と設定する場合、間隔W1及び間隔W2は、それぞれ1400mm以下とすることが好ましい。
【0035】
中間部材46は、受け部461を有する。受け部461は、第一可動壁44及び第二可動壁45に対して、幅方向Dwから接触可能とされている。本実施形態の受け部461は、中間部材46において延伸方向Daの両端部に形成されている。受け部461は、幅方向Dwにおいて、走行路32に面するように形成されている。受け部461は、中間部材46において、幅方向Dwで走行路32を向く面から窪んで形成されている。受け部461は、第一受け部461Aと第二受け部461Bとを有している。
【0036】
第一受け部461Aには、閉状態で、第一先端部442が接触する。第二受け部461Bには、閉状態で、第二先端部452が接触する。
【0037】
中間部材46には、幅方向Dwにおいて走行路32を向く面に、中間ガイド355が固定されている。中間ガイド355は、ガイド35(外側ガイド35A)の延伸方向Daの一部を構成している。なお、中間部材46には、電車線37の延伸方向Daの一部を構成する部材は固定されていない。
【0038】
(中間ガイド壁の構成)
図3及び図7に示すように、中間ガイド壁80は、第一中間区画壁81と、第二中間区画壁82と、中間可動壁83とを有している。中間可動壁83は、中間ガイド壁80において、踏切部8を構成する領域に配置されている。第一中間区画壁81及び第二中間区画壁82は、踏切部8を構成する領域を延伸方向Daから挟むように配置されている。
【0039】
第一中間区画壁81は、踏切部8に対し、延伸方向Daの第一側Da1に配置されている。つまり、第一中間区画壁81は、第一固定壁41に対して幅方向Dwに間隔を空けて配置されている。第一中間区画壁81は、延伸方向Daに延びている。第一中間区画壁81には、幅方向Dwで両外側Dwoに、走行路32を向く第一中間壁側面81sが形成されている。第一中間壁側面81sには、第一中間固定ガイド356が固定されている。第一中間固定ガイド356は、ガイド35(内側ガイド35B)の延伸方向Daの一部を構成している。延伸方向Daにおける第一中間区画壁81の第二側Da2の端部には、第一中間支持柱81Cが配置されている。第一中間支持柱81Cは、鉛直方向Dvに延びる鉛直軸を有している。第一中間支持柱81Cは、第一中間区画壁81の端部を形成するように、第一中間区画壁81と一体に形成されている。第一中間支持柱81Cには、中間可動壁83を回転駆動させる中間可動壁駆動装置87が配置されている。
【0040】
第二中間区画壁82は、踏切部8に対し、延伸方向Daの第二側Da2に配置されている。第二中間区画壁82は、第一中間区画壁81に対して延伸方向Daの第二側Da2に間隔をあけて配置されている。つまり、第二中間区画壁82は、第二固定壁42に対して幅方向Dwに間隔を空けて配置されている。延伸方向Daにおいて第一中間区画壁81と第二中間区画壁82とで挟まれるように踏切部8が形成されている。第二中間区画壁82は、延伸方向Daに延びている。第二中間区画壁82には、幅方向Dwで両外側Dwoに、各走行路32を向く第二中間壁側面82sが形成されている。第二中間壁側面82sには、第二中間固定ガイド357がそれぞれ固定されている。第二中間固定ガイド357は、ガイド35(内側ガイド35B)の延伸方向Daの一部を構成している。延伸方向Daにおける第二中間区画壁82の第一側Da1の端部には、第二中間支持柱82Cが配置されている。第二中間支持柱82Cは、鉛直方向Dvに延びる鉛直軸を有している。第二中間支持柱82Cは、第二中間区画壁82の端部を形成するように、第二中間区画壁82と一体に形成されている。第二中間支持柱82Cには、中間可動壁83を回転駆動させる中間可動壁駆動装置87が配置されている。第一中間支持柱81C及び第二中間支持柱82Cに配置された中間可動壁駆動装置87は、制御装置60によって、その動作がそれぞれ制御される。
【0041】
(中間可動壁の構成)
中間可動壁83は、横断通路部Wrに配置されている。中間可動壁83は、延伸方向Daにおいて、第一中間区画壁81と、第二中間区画壁82との間に配置されている。つまり、中間可動壁83は、可動壁43に対して幅方向Dwに間隔を空けて配置されている。中間可動壁83は、幅方向Dwにおいて、二つの走行路32同士の間に配置されている。中間可動壁83は、延伸方向Daに延びている。本実施形態において、中間可動壁83は、幅方向Dwの両側にそれぞれ、第一中間可動壁84と、第二中間可動壁85と、中間カバー部材88と、中間スカート部材89とを備えている。
【0042】
第一中間可動壁84は、第一中間区画壁81と第二中間区画壁82との間で、第一中間区画壁81に近い位置に配置されている。第一中間可動壁84は、第一中間可動壁本体840と、第一中間可動壁本体840に対して延伸方向Daの第一側Da1に配置された第一中間基端部841と、第一中間可動壁本体840に対して延伸方向Daの第二側Da2に配置された第一中間先端部842とを有している。第一中間可動壁本体840と第一中間基端部841と第一中間先端部842とは一体に形成されている。第一中間可動壁本体840は、第一可動壁本体440と同じ形状をなすように、幅方向Dwから見た際に矩形状をなす板状の部材である。第一中間可動壁本体840には、閉状態で、幅方向Dwにおいて走行路32を向く第一中間可動壁面84sが形成されている。第一中間基端部841は、第一中間支持柱81Cに支持されている。したがって、第一中間可動壁84は、第一中間区画壁81に対して、第一中間基端部841を中心として回動可能とされている。
【0043】
第二中間可動壁85は、第一中間区画壁81と第二中間区画壁82との間で、第一中間可動壁84に対して延伸方向Daの第二側Da2に配置されている。つまり、第二中間可動壁85は、第一中間可動壁84に対して第二中間区画壁82に近い位置に配置されている。第二中間可動壁85は、第二中間可動壁本体850と、第二中間可動壁本体850に対して延伸方向Daの第二側Da2に配置された第二中間基端部851と、第二中間可動壁本体850に対して延伸方向Daの第一側Da1に配置された第二中間先端部852とを有している。第二中間可動壁本体850と第二中間基端部851と第二中間先端部852とは一体に形成されている。第二中間可動壁本体850は、第二可動壁本体450や第一中間可動壁本体840と同じ形状をなすように、幅方向Dwから見た際に矩形状をなす板状の部材である。第二中間可動壁本体850には、閉状態で、幅方向Dwにおいて走行路32を向く第二中間可動壁面85sが形成されている。第二中間基端部851は、第二中間支持柱82Cに支持されている。したがって、第二中間可動壁85は、第二中間区画壁82に対して、第二中間基端部851を中心として回動可能とされている。
【0044】
第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85は、閉状態と開状態との間で回動可能に構成されている。第一中間可動壁84は、中間可動壁駆動装置87によって、第一中間支持柱81Cに支持された第一中間基端部841が開閉駆動される。第二中間可動壁85は、中間可動壁駆動装置87によって、第二中間支持柱82Cに支持された第二中間基端部851が回転駆動される。第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85は、閉状態や開状態に切り替わる際に、第一可動壁44及び第二可動壁45と共に、同時に回転するように中間可動壁駆動装置87に駆動される。
【0045】
閉状態では、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85は、それぞれ延伸方向Daに延びた状態となる。その結果、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85は、延伸方向Daにおける第一中間区画壁81と第二中間区画壁82との間を閉塞する。
【0046】
一方、図5及び図6に示すように、開状態では、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85は、それぞれ幅方向Dwに延びた状態となる。具体的には、第一中間可動壁84は、横断通路部Wrに対して延伸方向Daの第一側Da1の位置で、横断通路部Wrに沿うように幅方向Dwに延びた状態となる。この状態で、第一中間可動壁84は、幅方向Dwにおける一対の第一固定壁41同士の間の一部を閉塞している。具体的には、本実施形態の第一中間可動壁84は、幅方向Dwにおいて、第一固定壁41と第一中間区画壁81とで挟まれた走行路32の一部を閉塞している。また、開状態では、第二中間可動壁85は、横断通路部Wrに対して延伸方向Daの第二側Da2の位置で、横断通路部Wrに沿うように幅方向Dwに延びた状態となる。この状態で、第二中間可動壁85は、幅方向Dwにおける一対の第二固定壁42同士の間の一部を閉塞している。具体的には、本実施形態の第二中間可動壁85は、幅方向Dwにおいて、第二固定壁42と第二中間区画壁82とで挟まれた走行路32の一部を閉塞している。
【0047】
図3及び図7に示すように、第一中間可動壁84では、第一中間可動壁面84sに、第一中間可動ガイド358が固定されている。第一中間可動ガイド358は、ガイド35(内側ガイド35B)の延伸方向Daの一部を構成している。第二中間可動壁85では、第二中間可動壁面85sに、第二中間可動ガイド359が固定されている。第二中間可動ガイド359は、ガイド35(内側ガイド35B)の延伸方向Daの一部を構成している。なお、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85には、電車線37の延伸方向Daの一部を構成する部材は固定されていない。
【0048】
また、図7に示すように、中間カバー部材88は、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85にそれぞれ固定されている。中間カバー部材88は、第一中間可動壁面84s及び第二中間可動壁面85sの少なくとも一部の領域をそれぞれ覆っている。本実施形態の中間カバー部材88は、第一中間可動壁面84s及び第二中間可動壁面85sの外周部に沿うようにO字状に形成されている。なお、中間カバー部材88は、第一中間可動壁面84s及び第二中間可動壁面85sの全体を覆うように配置してもよい。中間カバー部材88は、第一中間可動壁本体840及び第二中間可動壁本体850よりも軟質な材料、例えば、ゴム系材料、ウレタンフォーム、スポンジ等によって形成されていてもよい。また、中間カバー部材88の表面は耐候性・耐久性に優れた表面素材によって覆われていることが望ましい。本実施形態の中間カバー部材88は、カバー部材48と同じ材料で形成されている。
【0049】
なお、中間カバー部材88は、第一中間可動壁面84s及び第二中間可動壁面85sのみに配置されることに限定されるものではない。中間カバー部材88は、第一中間可動壁本体840及び第二中間可動壁本体850において、閉状態で幅方向Dwにおいて走行路32とは反対側を向く面にも配置されている。
【0050】
中間スカート部材89は、第一中間可動壁本体840や第二中間可動壁本体850の鉛直方向Dvの下端に固定されている。中間スカート部材89は、第一中間可動壁本体840や第二中間可動壁本体850の下端から横断通路部Wrの上面(走行路32)と摺接するように、鉛直方向Dvの下方Dvdに延びている。つまり、中間スカート部材89は、第一中間可動壁本体840や第二中間可動壁本体850の下端と横断通路部Wrの上面(走行路32)との鉛直方向Dvにおける隙間を塞ぐように配置されている。中間スカート部材89は、第一中間可動壁本体840や第二中間可動壁本体850よりも軟質な材料、例えばゴム系材料等で形成されている。中間スカート部材89は、可撓性を向上させるために、板状、又はブラシ状を形成されていることが好ましい。本実施形態の中間スカート部材89は、スカート部材49と同じ材料で同じ形状に形成されている。
【0051】
(荷重支持部材の構成)
本実施形態の中間ガイド壁80は、荷重支持部材86をさらに備える。荷重支持部材86は、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85を幅方向Dwから支持可能とされている。中間ガイド壁80は、延伸方向Daにおいて第一中間区画壁81と第二中間区画壁82との間に配置されている。本実施形態の荷重支持部材86は、路盤31から鉛直方向Dvの上方Dvuに延びる柱状に形成されている。荷重支持部材86は、第一中間区画壁81と第二中間区画壁82との間を区画している。本実施形態では、荷重支持部材86は、幅方向Dwから見た際に中間部材46と同じ位置に形成されている。
【0052】
荷重支持部材86は、荷重受け部861を有する。荷重受け部861は、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85に対して、幅方向Dwから接触可能とされている。本実施形態の荷重受け部861は、荷重支持部材86において幅方向Dwの両側に形成されている。荷重受け部861は、幅方向Dwにおいて、走行路32に面するように形成されている。荷重受け部861は、荷重支持部材86において、幅方向Dwで走行路32を向く面から窪むように形成されている。荷重受け部861は、第一荷重受け部861Aと、第二荷重受け部861Bとを有している。
【0053】
第一荷重受け部861Aには、閉状態で、第一中間先端部842が接触する。第二荷重受け部861Bには、閉状態で、第二中間先端部852が接触する。これにより、第一中間可動ガイド358及び第二中間可動ガイド359が車両300の案内輪300gによって幅方向Dwに押圧されたときの荷重を、荷重支持部材86で受けることが可能となる。
【0054】
荷重支持部材86は、幅方向Dwにおいて走行路32を向く面に、支持部材中間ガイド360が固定されている。支持部材中間ガイド360は、ガイド35(内側ガイド35B)の延伸方向Daの一部を構成している。なお、荷重支持部材86には、電車線37の延伸方向Daの一部を構成する部材は固定されていない。
【0055】
図8に示すように、上記のような軌道系交通システム1は、開閉センサ110と、信号切換スイッチ120と、センサ111と、操作受付部材112と、車両用信号出力装置101と、通行者用情報出力装置102と、自動車用情報出力装置103と、中央監視室用情報出力装置104と、をさらに備えている。
【0056】
開閉センサ110は、可動壁43及び中間可動壁83のそれぞれについて、開閉状態を検出する。本実施形態の開閉センサ110は、例えば、可動壁駆動装置47及び中間可動壁駆動装置87内にそれぞれ組み込まれたロータリーエンコーダーを有する。開閉センサ110は、第一可動壁44、第二可動壁45、第一中間可動壁84、及び第二中間可動壁85がそれぞれ閉状態であるか開状態であるかを検出し、その検出結果を、制御装置60に出力する。開閉センサ110は、可動壁43や中間可動壁83の開閉状態を検出できるものであれば、どのような構造、設置位置、及び検出方法であってもよい。したがって開閉センサ110は、適宜市販のセンサを採用することができる。
【0057】
信号切換スイッチ120は、通行者が、横断通路部Wrの通行を希望する場合に、通行者からの所定の操作入力がなされる。信号切換スイッチ120は、通行者から押される等の所定の操作入力がなされた場合、制御装置60に、操作入力信号を出力する。図1に示すように、本実施形態の信号切換スイッチ120は、歩道5上に配置されている。
【0058】
センサ111は、横断通路部Wr内に通行者がいるか否か及び小動物等の異物の存在を検出し、その検出信号を制御装置60に出力する。センサ111は、特に、可動壁43が閉状態となったときに、横断通路部Wrに存在する通行者や異物を検出する。本実施形態のセンサ111は、第一可動壁44及び第二可動壁45に固定されている。具体的には、センサ111は第一可動壁面44s及び第二可動壁面45sにそれぞれ固定されている(図4及び7参照)。
【0059】
操作受付部材112は、外部からの操作入力を受け付けた場合に、所定の操作受付信号を、制御装置60に出力する。操作受付部材112は、いわゆる緊急脱出用のスイッチである。操作受付部材112は、横断通路部Wr内、又は横断通路部Wrの周囲に適宜配置されている。この操作受付部材112からの操作受付信号に基づいて、制御装置60は、車両用信号出力装置101に信号を与え、車両300の運行に制約を掛けると同時に中央監視室90の中央監視室用情報出力装置104(図10参照)に異常を知らせ、監視員に必要な処置をとらせる。本実施形態の操作受付部材112は、第一可動壁44、第二可動壁45、及び歩道5に固定されている。具体的には、操作受付部材112は、第一可動壁面44s及び第二可動壁面45sにそれぞれ固定されている(図4及び7参照)。
【0060】
車両用信号出力装置101は、横断通路部Wrの通過の可否を示す信号を、走行路32上を走行する車両300に対して出力する。本実施形態において、車両用信号出力装置101は、横断通路部Wrの通過の可否を示す信号を、制御装置60から制御信号に基づいて、車両300に通知する。制御装置60は、横断通路部Wrに接近している車両300に対し、可動壁43の開状態から閉状態への移行が完了した場合にのみ、横断通路部Wrを通過することを許可する信号を通知する。横断通路部Wrの通過の可否を示す信号としては、横断通路部Wrの通過を許可する信号と、横断通路部Wrの通過を許可しない信号と、がある。
【0061】
なお、車両用信号出力装置101は、軌道3から見える位置に配置され、横断通路部Wrの通過の可否を、ランプの点灯等のように、そこを通過する時の速度でも踏切の前に余裕をもって停止可能な距離から、視認できる信号として通知するような信号装置(図示無し)であってもよい。
【0062】
通行者用情報出力装置102は、横断通路部Wr(横断歩道W)を通行する通行者に対し、横断通路部Wrの通過に関する情報を出力する。通行者用情報出力装置102は、制御装置60からの制御信号に基づいて、横断通路部Wrの通過に関する情報を通知する。通行者用情報出力装置102としては、例えば、通行者用信号、スピーカー、情報表示モニター等が挙げられる。通行者用信号は、横断通路部Wrの通過の可否を示す情報を、ランプの点灯等で、車道2と軌道3とを挟んだ位置からでも視認できる信号として通知する。スピーカーは、横断通路部Wrの通過の可否を示す情報を、音声やアラーム音等の聴覚によって確認可能な信号として通知する。情報表示モニターは、横断通路部Wrの通過の可否を示す情報を、文字情報や画像情報等の視認できる信号として通知する。本実施形態では、通行者用情報出力装置102として、通行者用信号とスピーカーとが、横断歩道Wの幅方向Dwの両側の歩道5上に配置されている(図1参照)。
【0063】
自動車用情報出力装置103は、車道2を通行する自動車200に対し、車道横断歩道Wcが設けられた部分の車道2、つまり横断歩道Wの通過の可否を示す情報を出力する。自動車用情報出力装置103は、制御装置60からの制御信号に基づいて、横断歩道Wの通過の可否を示す情報を通知する。本実施形態では、自動車用情報出力装置103として、横断歩道Wの通過の可否を示す情報をランプの点灯等のように視認できる信号として通知する。自動車用情報出力装置103は、横断歩道Wの付近の車道2上の横断歩道Wを挟んで反対側から視認できるように配置されている(図1参照)。なお、横断歩道Wの手前側(自動車用情報出力装置103が配置されていない位置)には停止ラインが引かれていてもよい。
【0064】
(制御装置)
制御装置60は、可動壁駆動装置47及び中間可動壁駆動装置87の動作を制御することで、可動壁43及び中間可動壁83の開閉動作を実施させる。また、制御装置60は、車両用信号出力装置101、通行者用情報出力装置102、及び自動車用情報出力装置103の動作を制御する。また、制御装置60は、中央監視室90の中央監視室用情報出力装置104に異常を知らせる。
【0065】
(ハードウェア構成図)
図9に示すように、制御装置60は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD64(Hard Disk Drive)、信号受信モジュール65を備えるコンピュータである。信号受信モジュール65は、開閉センサ110、信号切換スイッチ120、操作受付部材112、及びセンサ111からの信号を受信する。
【0066】
(機能ブロック図)
図8に示すように、制御装置60のCPU61は予め自装置で記憶するプログラムを実行することにより、信号入力部70、可動壁開閉状態判定部71と、開閉条件確認部72と、可動壁開閉制御部73と、車両用信号制御部74と、自動車用情報制御部75と、通行者用情報制御部76と、出力部77の各構成を備える。
【0067】
信号入力部70は、ハードウェア的には信号受信モジュール65であり、開閉センサ110、信号切換スイッチ120、操作受付部材112、センサ111からの各信号を受信する。信号入力部70は、受信した信号の情報を可動壁開閉状態判定部71、開閉条件確認部72に出力する。
【0068】
可動壁開閉状態判定部71は、可動壁43及び中間可動壁83について、それぞれ開閉状態であるか否かを判定する。可動壁開閉状態判定部71は、第一可動壁44及び第二可動壁45と、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85との全てが閉状態である場合に、「可動壁43が全閉状態である」と判定する。可動壁開閉状態判定部71は、第一可動壁44及び第二可動壁45と、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85との全てが開状態である場合に、「可動壁43が全開状態である」と判定する。つまり、可動壁開閉状態判定部71は、第一可動壁44、第二可動壁45、第一中間可動壁84、及び第二中間可動壁85のうちの少なくとも一つでも、閉状態又は開状態となっていなければ、「可動壁43が全閉状態である」又は「可動壁43が全開状態である」との判定を行わない。可動壁開閉状態判定部71は、判定結果を開閉条件確認部72、車両用信号制御部74に出力する。
【0069】
なお、以下の説明において、「開状態」又は「閉状態」といった場合、第一可動壁44、第二可動壁45、第一中間可動壁84、及び第二中間可動壁85の全てが開状態(全開状態)であるか、閉状態(全閉状態)であるかを示す。
【0070】
開閉条件確認部72は、信号入力部70に入力された入力信号の種類、及び可動壁開閉状態判定部71の判定結果に基づいて、閉状態から開状態への移行、及び開状態から閉状態への移行のいずれを実施させるかを判定する。開閉条件確認部72は、判定結果に基づいて、開状態とする制御信号、又は閉状態とする制御信号を可動壁開閉制御部73へ出力する。
【0071】
なお、開閉条件確認部72は、閉状態から開状態への移行をさせる際には、運行管理システム(図示無し)等から横断通路部Wrに接近中の車両300の位置の情報をさらに得て判定を行うことが好ましい。このようにすることで、延伸方向Daにおいて予め設定した規定距離の範囲内に車両300がいて開状態とすることが適切でない場合に、その車両300が横断通路部Wrを通過するまで、開状態とさせないようにできる。
【0072】
また、開閉条件確認部72は、開状態から閉状態への移行をさせる際には、開状態となってからの経過時間の情報をさらに得て判定を行うことが好ましい。このようにすることで、長時間に渡って開状態が維持されて、車両300の運行に支障がでることを抑制できる。
【0073】
可動壁開閉制御部73は、可動壁駆動装置47及び中間可動壁駆動装置87の動作を制御する。可動壁開閉制御部73は、開閉条件確認部72から制御信号に基づいて、可動壁43及び中間可動壁83を開状態又は閉状態とさせるために、可動壁駆動装置47及び中間可動壁駆動装置87を制御する制御信号を生成する。可動壁開閉制御部73は、生成した制御信号を出力部77へ出力する。
【0074】
車両用信号制御部74は、信号入力部70に入力された入力信号の種類、及び可動壁開閉状態判定部71の判定結果に基づいて、車両300に対して横断通路部Wrの通過の可否を示す信号を出力するように、車両用信号出力装置101を制御するための制御信号を生成する。車両用信号制御部74は、生成した制御信号を出力部77へ出力する。
【0075】
自動車用情報制御部75は、信号入力部70に入力された入力信号の種類、及び可動壁開閉状態判定部71の判定結果に基づいて、自動車200に対し、横断通路部Wrが設けられた部分の車道2の通過の可否を示す情報を出力するように、自動車用情報出力装置103を制御するための制御信号を生成する。自動車用情報制御部75は、生成した制御信号を出力部77へ出力する。
【0076】
通行者用情報制御部76は、信号入力部70に入力された入力信号の種類、及び可動壁開閉状態判定部71の判定結果に基づいて、通行者に対して横断通路部Wrの通過に関する情報を出力するように、通行者用情報出力装置102を制御するための制御信号を生成する。通行者用情報制御部76は、生成した制御信号を出力部77へ出力する。
【0077】
出力部77は、可動壁開閉制御部73、車両用信号制御部74、自動車用情報制御部75、及び通行者用情報制御部76で生成された制御信号を、可動壁駆動装置47、中間可動壁駆動装置87、車両用信号出力装置101、通行者用情報出力装置102、自動車用情報出力装置103、及び中央監視室用情報出力装置104にそれぞれ出力する。
【0078】
本実施形態に係る軌道系交通システム1における踏切部8で、開状態とする場合について説明する。開状態とする場合には、通行者によって信号切換スイッチ120が操作されることで、制御装置60によって、可動壁駆動装置47及び中間可動壁駆動装置87に対して開状態とするように制御信号が送られる。制御信号を受けた可動壁駆動装置47は、閉状態の可動壁43を開状態とするように回動させる。制御信号を受けた中間可動壁駆動装置87は、閉状態の中間可動壁83を開状態とするように回動させる。
【0079】
図5に示すように、開状態では、第一可動壁44及び第二可動壁45は、幅方向Dwの外側Dwoから走行路32を横切るように、幅方向Dwに延びた状態となる。また、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85は、幅方向Dwの内側Dwiから走行路32を横切るように、幅方向Dwに延びた状態となる。その結果、第一可動壁44、第二可動壁45、第一中間可動壁84、及び第二中間可動壁85によって、幅方向Dwにおける第一固定壁41と第一中間可動壁84との間と、第二固定壁42と第二中間可動壁85との間が完全に閉塞される。これにより、軌道3を幅方向Dwに通行可能な横断通路部Wrが形成される。この状態では、横断通路部Wrから延伸方向Daの第一側Da1や第二側Da2への通行者の移動による走行路32への立ち入りが規制される。
【0080】
また、開状態とする場合には、制御装置60によって、車両用信号出力装置101に対して、車両300の通過を許可しないことを示す制御信号が送られる。制御信号を受けた車両用信号出力装置101では、車両300に対して、横断通路部Wrの通過を許可しない信号を通知する。
【0081】
さらに、開状態とする場合には、制御装置60によって、通行者用情報出力装置102に対して、通行者の横断通路部Wrの通過を許可することを示す制御信号が送られる。制御信号を受けた通行者用情報出力装置102では、通行者に対して、横断通路部Wrの通過を許可する信号を出力する。通行者用情報出力装置102は、例えば、横断通路部Wrの通過が可能であることを示す情報を、ランプの点灯(いわゆる青信号)、スピーカーからの音声やメロディの鳴動等によって、通行者に対して通知する。
【0082】
また、開状態とする場合には、制御装置60によって、自動車用情報出力装置103に対して、自動車200の通過を許可しないことを示す制御信号が送られる。制御信号を受けた自動車用情報出力装置103では、自動車200に対して、横断歩道Wの通過を許可しない信号を出力する。自動車用情報出力装置103は、例えば、横断歩道Wの通過を許可しないことを示す情報を、ランプの点灯(いわゆる赤信号)によって自動車200に対して通知する。
【0083】
次に、本実施形態に係る軌道系交通システム1における踏切部8で、閉状態とする場合について説明する。閉状態とする場合には、開状態となってから所定の時間が経過した場合に、制御装置60によって、通行者用情報出力装置102に対して、通行者の横断通路部Wrの通過を許可しないことを示す制御信号が送られる。制御信号を受けた通行者用情報出力装置102では、通行者に対して、横断通路部Wrの通過を許可しない信号を通知する。通行者用情報出力装置102は、例えば、横断通路部Wrの通過が不能であることを示す情報を、ランプの点灯(いわゆる赤信号)スピーカーからの音声やメロディの鳴動等によって、通行者に対して通知する。
【0084】
次に、横断通路部Wr内の通行者の有無が確認される。具体的には、閉状態とする際に、制御装置60において、センサ111からの検出結果、及び操作受付部材112における操作受付信号の入力の有無が確認される。センサ111で横断通路部Wr内に通行者がいることを検出した場合や、操作受付部材112が操作されて操作受付信号が入力された場合には、中央監視室90から監視員が横断通路部Wr内の状況を監視カメラ92の映像を中央監視室90に設置されたモニター等を有する中央監視室用情報出力装置104で確認し、通行者に速やかな退去を促すなど適切な措置を行う。また、制御装置60は、車両用信号制御部74に対し、横断通路部Wrに接近中の車両300を停止させるための信号を出力する。
【0085】
次に、制御装置60によって、自動車用情報出力装置103に対して、自動車200の通過を許可することを示す制御信号が送られる。制御信号を受けた自動車用情報出力装置103では、自動車200に対して、横断歩道Wの通過を許可する信号を通知する。自動車用情報出力装置103は、例えば、横断歩道Wの通過を許可することを示す情報を、ランプの点灯(いわゆる青信号)によって自動車200に対して通知する。
【0086】
図3に示すように、閉状態では、第一可動壁44及び第二可動壁45は、第一固定壁41と第二固定壁42との間で、延伸方向Daに延びた状態となる。また、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85は、第一中間区画壁81と第二中間区画壁82との間で、延伸方向Daに延びた状態となる。その結果、横断通路部Wrを延伸方向Daに横切るように、走行路32を車両300が通行可能となる。また、第一可動壁44及び第二可動壁45によって、延伸方向Daにおける第一固定壁41と第二固定壁42との間が完全に閉塞される。この状態では、車道2から幅方向Dwへの通行者の移動により走行路32への立ち入りが規制される。
【0087】
また、閉状態とする場合には、制御装置60によって、車両用信号出力装置101に対して、車両300の通過を許可することを示す制御信号が送られる。制御信号を受けた車両用信号出力装置101では、車両300に対して、横断通路部Wrの通過を許可する信号を通知する。
【0088】
また、閉状態とする際には、横断通路部Wr内の通行者の有無が確認される。具体的には、閉状態とする際に、制御装置60において、センサ111からの検出結果、及び操作受付部材112における操作受付信号の入力の有無が確認される。センサ111で横断通路部Wr内に通行者がいることを検出した場合や、操作受付部材112が操作されて操作受付信号が入力された場合には、制御装置60によって、車両用信号出力装置101に信号を与える。これにより、車両300の運行に制約を掛けると同時に中央監視室90の中央監視室用情報出力装置104に異常を知らせ、監視員に必要な処置をとらせる。
【0089】
(作用効果)
上記構成の軌道系交通システム1では、軌道3を幅方向Dwに横切るように形成された踏切部8において、第一固定壁41と第二固定壁42との間に可動壁43が配置されている。この可動壁43を開状態とすることで、通行者が軌道3を幅方向Dwに通行可能な横断通路部Wrが形成される。そして、開状態のときには、可動壁43が、走行路32を幅方向Dwに横切るように配置される。その結果、可動壁43によって、第一固定壁41及び第二固定壁42付近で、横断通路部Wrから走行路32への通行者の移動が阻害される。また、可動壁43を閉状態とすることで、可動壁43によって、延伸方向Daにおける第一固定壁41と第二固定壁42との間が塞がれる。その結果、軌道3の外から走行路32への通行者の立ち入りが規制される。
【0090】
さらに、ガイド35が、第一固定壁41と、第一可動壁44と、中間部材46と、第二可動壁45と、第二固定壁42とに連続して配置されている。そのため、車両300の走行中に、外側ガイド35Aは、途切れることなく連続的に案内輪300gを案内することができる。つまり、走行中の車両300を常にガイド35で案内することができる。一方で、電車線37は、可動壁43には配置されていない。このため、可動壁43が開状態となって通行者が横断通路部Wrに立ち入った場合であっても、通行者が電車線37に誤って触ってしまうことを防止することができる。可動壁43に電車線37を配置する場合、可動壁43とともに回動する電車線37と、第一固定壁41や第二固定壁42に固定された電車線37との接続部分の構造が複雑となる可能性がある。しかしながら、可動壁43に電車線37を配置しない構成とすることで、構成を簡易なものとすることができる。さらに、電車線37は延伸方向Daにおいて部分的に配置されていなくとも、短い区間で車両300の前後に配置された集電装置のどちらかが電車線37に接触していれば、車両300の走行に影響を与えない。そのため、案内軌条式の車両300に運行に支障を与えることなく、可動壁43を形成できる。
【0091】
このようにして、ガイド35及び電車線37を有する側壁40によって走行路32が囲われた軌道系交通システム1においても、歩道橋や地下道を設置することなく、軌道3を通行者が横断する、いわゆる踏切を形成することができる。したがって、通行者が軌道3を横断することができる軌道系交通システム1を、容易かつ低コストで提供することが可能となる。
【0092】
また、横断通路部Wrは、車道横断歩道Wcと共に横断歩道Wを形成している。そのため、通行者は、この横断歩道Wを通行することで、車道2と軌道3とを幅方向Dwに横切って通行することが可能となる。
【0093】
また、延伸方向Daで第一固定壁41と第二固定壁42との間に、中間部材46が配置されている。これにより、可動壁43を開状態とした場合であっても、延伸方向Daにおける第一固定壁41と第二固定壁42との間隔が、自動車200を通行不能とされるような幅に規制される。その結果、開状態となり、第一固定壁41と第二固定壁42と間が開いていても、車道2を通行する自動車200が第一固定壁41と第二固定壁42と間から軌道3内の走行路32に侵入することを防ぐことができる。
【0094】
また、可動壁43は、第一固定壁41に対して回動する第一可動壁44と、第二固定壁42に対して回動する第二可動壁45と、を有している。これにより、可動壁43は、幅方向Dwから見た際に、横断通路部Wrに対して延伸方向Daの第一側Da1に配置された第一可動壁44と延伸方向Daの第二側Da2に配置された第二可動壁45とに分割されたような構造となる。そのため、延伸方向Daにおける第一固定壁41と第二固定壁42との間隔が大きくとも、第一可動壁44及び第二可動壁45の大きさを抑えたうえで、第一固定壁41と第二固定壁42との間を可動壁43で閉塞することができる。さらに、開状態となった場合に、横断通路部Wrに対して、延伸方向Daの第一側Da1に第一可動壁44が配置され、延伸方向Daの第二側Da2に第二可動壁45が配置される。その結果、横断通路部Wrに対して延伸方向Daの両側で、横断通路部Wrから走行路32への通行者の侵入及び誤った移動を防ぐことができる。
【0095】
また、閉状態の第一先端部442及び第二先端部452が受け部461に接触する。これにより、第一可動壁44は、閉状態で、延伸方向Daの第一側Da1である第一基端部441が第一支持柱41Cに幅方向Dwから支持される。さらに、第一可動壁44は、延伸方向Daの第二側Da2である第一先端部442が中間部材46に幅方向Dwから支持される。同様に、第二可動壁45は、閉状態で、延伸方向Daの第二側Da2である第二基端部451が第二支持柱42Cに幅方向Dwから支持される。さらに、第二可動壁45は、延伸方向Daの第一側Da1である第二先端部452が中間部材46に幅方向Dwから支持される。その結果、閉状態で、第一可動壁44及び第二可動壁45が幅方向Dwに安定した姿勢で支持される。そのため、第一可動ガイド353及び第二可動ガイド354によって、車両300の案内輪300gを安定して受けることができる。したがって、第一可動壁44及び第二可動壁45の近くを通過する車両300を安定した状態で案内できる。
【0096】
また、本実施形態の軌道3では、幅方向Dwに並ぶ二つの走行路32同士の間に中間ガイド壁80が配置されている。この中間ガイド壁80には、踏切部8を構成する領域に中間可動壁83が配置されている。開状態のときには、中間可動壁83が、走行路32を幅方向Dwに横切るように配置される。その結果、中間可動壁83によって、第一中間区画壁81及び第二中間区画壁82付近で、横断通路部Wrから走行路32への通行者の移動が阻害される。これにより、複数の走行路32が形成されることで、横断通路部Wrが幅方向Dwに長い場合であっても、歩道橋や地下道を設置することなく、軌道3を通行者が横断する踏切を設けることができる。
【0097】
また、本実施形態では、中間可動壁83は、第一中間区画壁81に対して回動する第一中間可動壁84と、第二中間区画壁82に対して回動する第二中間可動壁85と、を有している。第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85が第一可動壁44及び第二可動壁45と対応するように配置されている。そのため、開状態では、各走行路32に対して、幅方向Dwの両側から、走行路32を幅方向Dwに横切るように、可動壁43及び中間可動壁83が延びた状態となる。これにより、複数の走行路32が配置されている場合でも、横断通路部Wrから各走行路32への通行者の侵入及び誤った移動を防ぐことができる。
【0098】
また、第一可動壁本体440及び第二可動壁本体450には、軟質な材料で形成されたカバー部材48が固定されている。これにより、通行者が第一可動壁44や第二可動壁45に仮に接触してしまった場合でも、カバー部材48が衝撃を吸収することで、通行者に与える衝撃を和らげることができる。したがって、横断通路部Wrを通行している通行者が第一可動壁44や第二可動壁45にあたった際の影響を緩和することができる。
【0099】
同様に、第一中間可動壁本体840や第二中間可動壁本体850には、中間カバー部材88が配置されている。これにより、通行者が第一中間可動壁84や第二中間可動壁85に仮に接触してしまった場合でも、中間カバー部材88が衝撃を吸収することで、通行者に与える衝撃を和らげることができる。したがって、横断通路部Wrを通行している通行者が第一中間可動壁84や第二中間可動壁85にあたった際の影響を緩和することができる。
【0100】
また、第一可動壁本体440及び第二可動壁本体450の下側に、スカート部材49が固定されている。これにより、第一可動壁本体440及び第二可動壁本体450と路盤31の上面(横断通路部Wrの表面)との間に、通行者の脚や小動物が入り込んでしまうことを抑えることができる。さらに、スカート部材49が軟質な材料で形成されていることで、第一可動壁44及び第二可動壁45が移動している際に、第一可動壁本体440及び第二可動壁本体450と路盤31の上面との間に通行者の脚が引き込まれてしまっても、通行者に与える衝撃を緩和することができる。
【0101】
同様に、第一中間可動壁本体840及び第二中間可動壁本体850の下側に、中間スカート部材89が固定されている。これにより、第一中間可動壁本体840及び第二中間可動壁本体850と路盤31の上面との間に、通行者の脚や小動物が入り込んでしまうことを抑えることができる。さらに、中間スカート部材89が軟質な材料で形成されていることで、第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85が移動している際に、第一中間可動壁本体840及び第二中間可動壁本体850と路盤31の上面との間に通行者の脚が引き込まれてしまっても、通行者に与える衝撃を緩和することができる。また、第一可動壁本体440、第二可動壁本体450、第一中間可動壁本体840、及び第二中間可動壁本体850に接触センサを設けてもよい。つまり、接触センサが検知したら再度、開状態に戻るようになっていてもよい。
【0102】
また、上記構成の軌道系交通システム1は、可動壁駆動装置47と、中間可動壁駆動装置87と制御装置60と、をさらに備えている。これにより、制御装置60によって動作が制御される可動壁駆動装置47により、閉状態と開状態との間で第一可動壁44及び第二可動壁45をコントロールして移動させることができる。同様に、制御装置60によって動作が制御される中間可動壁駆動装置87により、閉状態と開状態との間で第一中間可動壁84及び第二中間可動壁85を自動的に移動させることができる。さらに、制御装置60によって制御されることで、第一可動壁44、第二可動壁45、第一中間可動壁84、及び第二中間可動壁85を同期させて自動的に移動させる等の所定のタイミングで移動させることも可能となる。
【0103】
また、上記構成の軌道系交通システム1では、外部からの操作入力を受け付ける操作受付部材112が第一可動壁面44s及び第二可動壁面45sにそれぞれ固定されている。この操作受付部材112からの操作受付信号に基づいて、制御装置60は、車両用信号出力装置101に信号を与え、車両300の運行に制約を掛けると同時に中央監視室90に異常を知らせ、監視員に必要な処置をとらせる。これにより、横断通路部Wrに取り残された通行者を確認でき、横断通路部Wrを通行している通行者の安全を確保できる。
【0104】
また、上記構成の軌道系交通システム1では、横断通路部Wr内に通行者がいるか否か及び小動物等の異物の存在を検出するセンサ111が第一可動壁面44s及び第二可動壁面45sにそれぞれ固定されている。通行者用情報出力装置102が、赤に切り替わって後、横断通路部Wr内に通行者及び小動物等の異物の存在が検出されなかった場合に、制御装置60は、第一可動壁44及び第二可動壁45の閉動作を開始する。横断通路部Wr内に通行者及び小動物等の異物の存在が検出された場合は、車両用信号出力装置101に信号を与え、車両300の運行に制約を掛けると同時に中央監視室90に異常を知らせ、監視員に必要な処置をとらせる。これにより、横断通路部Wrを通行している通行者の安全や、車両300の運行の安全を確保できる。
【0105】
また、上記構成の軌道系交通システム1は、横断通路部Wrの通過の可否を示す信号を、走行路32上を走行する車両300に通知する車両用信号出力装置101を有している。本実施形態では、可動壁43の開状態から閉状態への移行が完了した場合にのみ、車両用信号出力装置101から車両300に対して横断通路部Wrを通過することを許可する信号が出力される。その結果、可動壁43が、何らかの原因で開状態のままとなって横断通路部Wrを車両300が通過できない場合を、車両300に通知することができる。その結果、可動壁43が閉状態となるまで横断通路部Wrに車両300を近づけないようにすることができる。
【0106】
また、上記構成の軌道系交通システム1は、横断通路部Wrを通行する通行者に対し、横断通路部Wrの通過に関する情報を通知する通行者用情報出力装置102を有している。これにより、横断歩道Wを渡ろうとしている通行者に対し、横断通路部Wrの通過の可否を示す情報を通知することができる。これにより、通行者に対し、横断通路部Wrを安全に渡るための情報を提供できる。
【0107】
また、上記構成の軌道系交通システム1は、車道2を通行する自動車200に対し、横断歩道Wの通過の可否を示す情報を出力する自動車用情報出力装置103を有している。これにより、可動壁43が開状態で通行者が横断歩道Wを通過している場合に、自動車200を停止させる情報を自動車用情報出力装置103で出力することができる。その結果、自動車200を停止させ、横断通路部Wrを通行する通行者の安全を確保することが可能となる。
【0108】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0109】
なお、上記実施形態では、軌道3が二つの走行路32を有している構成としたが、このような構成に限定されるものではない。軌道3は、例えば、一つのみの走行路32を有している構成としてもよい。一つのみの走行路32を有する構成の場合、軌道3は、中間ガイド壁80及び中間可動壁83を省略した構成となる。また、軌道3は、三つ以上の走行路32を有している構成としてもよい。三つ以上の走行路32を有する構成の場合、軌道3は、中間ガイド壁80及び中間可動壁83を複数有した構成であってもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、可動壁43が、第一可動壁44と、第二可動壁45と、を備える構成とした。しかしながら、可動壁43は、本実施形態のように複数枚によって構成されることに限定されるものではない。例えば、可動壁43は、を一枚のみの構成としてもよい。
【0111】
また、中間部材46は、側壁40の一部とされることに限定されるものではない。中間部材46は、第一固定壁41及び第二固定壁42のそれぞれに対する延伸方向Daにおける間隔を規制することができれば、軌道3が有していればよい。例えば、中間部材46は、側壁40に対して幅方向Dwの外側Dwoに配置されていてもよい。同様に、荷重支持部材86は、中間ガイド壁80の一部とされることに限定されるものではない。
【0112】
<付記>
実施形態に記載の軌道系交通システム1は、例えば以下のように把握される。
【0113】
(1)第1の態様に係る軌道系交通システム1は、車両300が走行する走行路32を有する案内軌条式の軌道3を備え、前記軌道3は、前記走行路32の延伸方向Daに延び、前記走行路32を形成する路盤31と、前記延伸方向Daと交差する幅方向Dwにおいて前記走行路32に対して両外側で前記路盤31から鉛直方向Dvに延びるように形成され、前記延伸方向Daに延びる一対の側壁40と、それぞれの前記側壁40において、前記幅方向Dwで前記走行路32を向く壁側面40fに配置されて前記延伸方向Daに延び、前記車両300を案内するガイド35と、それぞれの前記側壁40において、前記壁側面40fに配置されて前記延伸方向Daに延び、前記車両300に電力を供給する電車線37と、を備え、それぞれの前記側壁40は、前記延伸方向Daに延びる第一固定壁41と、前記延伸方向Daに延び、前記第一固定壁41に対して前記延伸方向Daの第二側Da2に間隔をあけて配置された第二固定壁42と、前記第一固定壁41と前記第二固定壁42との間に配置され、前記延伸方向Daに延びる可動壁43と、を有し、前記可動壁43は、前記第一固定壁41と前記第二固定壁42との間を閉塞する閉状態、及び、前記第一固定壁41と前記第二固定壁42との間を開放する開状態との間で回動可能とされ、前記可動壁43は、前記開状態で、前記走行路32を横断する位置に移動し、通行者が前記幅方向Dwに前記走行路32を通行可能な横断通路部Wrを形成し、前記ガイド35は、前記第一固定壁41、前記第二固定壁42、及び前記可動壁43にそれぞれ配置され、前記電車線37は、前記第一固定壁41、前記第二固42定壁、及び前記可動壁43のうち、前記第一固定壁41及び前記第二固定壁42のみに配置されている。
【0114】
この軌道系交通システム1は、可動壁43によって、第一固定壁41及び第二固定壁42付近で、横断通路部Wrから走行路32への通行者の移動が阻害される。また、可動壁43を閉状態とすることで、可動壁43によって、延伸方向Daにおける第一固定壁41と第二固定壁42との間が塞がれる。その結果、軌道3の外から走行路32への通行者の立ち入りが規制される。さらに、ガイド35が、第一固定壁41と、可動壁43と、第二固定壁42とに配置されている。そのため、車両300の走行中に、ガイド35は、途切れることなく連続的に案内輪300gを案内することができる。つまり、走行中の車両300を常にガイド35で案内することができる。一方で、電車線37は、可動壁43には配置されていない。このため、可動壁43が開状態となって通行者が横断通路部Wrに立ち入った場合であっても、通行者が電車線37に誤って触ってしまうこと抑えられる。これらにより、歩道橋や地下道を設置することなく、軌道3を通行者が横断する、いわゆる踏切を形成することができる。したがって、通行者が軌道3を横断することができる軌道系交通システム1を、容易かつ低コストで提供することが可能となる。
【0115】
(2)第2の態様に係る軌道系交通システム1は、(1)の軌道系交通システム1であって、前記横断通路部Wrは、前記軌道3に沿って延びる車道2と前記軌道3とを前記幅方向Dwに横切るように配置される横断歩道Wの一部を形成してもよい。
【0116】
これにより、通行者は、この横断歩道Wを通行することで、車道2と軌道3とを幅方向Dwに横切って通行することが可能となる。
【0117】
(3)第3の態様に係る軌道系交通システム1は、(2)の軌道系交通システム1であって、前記軌道3は、前記延伸方向Daで前記第一固定壁41と前記第二固定壁42との間に配置され、前記第一固定壁41及び前記第二固定壁42のそれぞれに対する前記延伸方向Daにおける間隔を、前記車道2を通行する自動車200が通行不能な幅に規制する中間部材46をさらに備えていてもよい。
【0118】
これにより、可動壁43を開状態とした場合であっても、延伸方向Daにおける第一固定壁41と第二固定壁42との間隔が、自動車200を通行不能とされるような幅に規制される。その結果、開状態となり、第一固定壁41と第二固定壁42と間が開いていても、車道2を通行する自動車200が第一固定壁41と第二固定壁42と間から走行路32に侵入することを防ぐことができる。
【0119】
(4)第4の態様に係る軌道系交通システム1は、(3)の軌道系交通システム1であって、前記可動壁43は、前記中間部材46に対して前記延伸方向Daの第一側Da1に配置され、前記第一固定壁41に対して回動可能に配置された第一可動壁44と、前記中間部材46に対して前記延伸方向Daの第二側Da2に配置され、前記第二固定壁42に対して回動可能に配置された第二可動壁45と、を有していてもよい。
【0120】
これにより、可動壁43は、幅方向Dwから見た際に、横断通路部Wrに対して延伸方向Daの第一側Da1に配置された第一可動壁44と延伸方向Daの第二側Da2に配置された第二可動壁45とに分割されたような構造となる。そのため、延伸方向Daにおける第一固定壁41と第二固定壁42との間隔が大きくとも、第一可動壁44及び第二可動壁45の大きさを抑えたうえで、第一固定壁41と第二固定壁42との間を可動壁43で閉塞することができる。さらに、開状態となった場合に、横断通路部Wrに対して、延伸方向Daの第一側Da1に第一可動壁44が配置され、延伸方向Daの第二側Da2に第二可動壁45が配置される。その結果、横断通路部Wrに対して延伸方向Daの両側で、横断通路部Wrから走行路32への通行者の侵入や誤った移動を防ぐことができる。
【0121】
(5)第5の態様に係る軌道系交通システム1は、(4)の軌道系交通システム1であって、前記中間部材46は、前記閉状態で、前記第一可動壁44及び前記第二可動壁45に対して、前記幅方向Dwから接触可能な受け部461を有していてもよい。
【0122】
これにより、閉状態で、第一可動壁44及び第二可動壁45が幅方向Dwに安定した姿勢で支持される。そのため、第一可動壁44及び第二可動壁45に固定されたガイド35によって、車両300の案内輪300gを安定して受けて案内することができる。
【0123】
(6)第6の態様に係る軌道系交通システム1は、(1)から(5)の何れか一つの軌道系交通システム1であって、前記軌道3は、前記幅方向Dwに間隔をあけて複数の前記走行路32を有し、前記軌道3は、前記幅方向Dwにおいて前記走行路32同士の間に配置された中間可動壁83をさらに備え、前記中間可動壁83は、前記閉状態で前記延伸方向Daに延びた状態となり、前記開状態で前記走行路32を横断する位置に移動し、前記通行者が前記走行路32を前記幅方向Dwに通行可能な状態となるように回動可能とされていてもよい。
【0124】
これにより、中間可動壁83によって、横断通路部Wrから走行路32への通行者の移動が阻害される。これにより、複数の走行路32が形成されることで、横断通路部Wrが幅方向Dwに長い場合であっても、歩道橋や地下道を設置することなく、軌道3を通行者が横断する踏切を設けることができる。
【0125】
(7)第7の態様に係る軌道系交通システム1は、(1)から(6)の何れか一つの軌道系交通システム1であって、前記可動壁43は、前記閉状態で前記幅方向Dwの前記走行路32を向く可動壁面44s、45sを有する可動壁本体440、450と、前記可動壁面44s、45sの少なくとも一部に配置され、前記可動壁本体440、450よりも軟質な材料で形成されたカバー部材48と、をさらに有していてもてよい。
【0126】
これにより、通行者が可動壁43に仮に接触してしまった場合でも、カバー部材48が衝撃を吸収することで、通行者に与える衝撃を吸収することができる。したがって、横断通路部Wrを通行している通行者が可動壁43にあたった際の影響を緩和することができる。
【0127】
(8)第8の態様に係る軌道系交通システム1は、(1)から(7)の何れか一つの軌道系交通システム1であって、前記可動壁43は、前記閉状態で前記幅方向Dwの前記走行路32を向く可動壁面44s、45sを有する可動壁本体440、450と、前記可動壁本体440、450から前記鉛直方向Dvの下方に延び、前記可動壁本体440、450よりも軟質な材料で形成されたスカート部材49と、をさらに有していてもよい。
【0128】
これにより、可動壁43が移動している際に、通行者用情報出力装置102を無視して横断通路部Wr内に侵入した通行者と可動壁本体と路盤31の上面との間に通行者の脚が引き込まれてしまっても、通行者に与える衝撃を緩和することができる。
【0129】
(9)第9の態様に係る軌道系交通システム1は、(1)から(8)の軌道系交通システム1であって、前記延伸方向における前記第一固定壁41と前記第二固定壁42との間隔は、前記電車線37と接触する前記車両300の集電装置よりも短くてもよい。
【0130】
これにより、電車線37は延伸方向Daにおいて部分的に配置されていなくとも、短い区間で車両300の前後に配置された集電装置のどちらかが電車線37に接触していれば、車両300の走行に影響を与えない。そのため、案内軌条式の車両300に運行に支障を与えることなく、可動壁43を形成できる。
【0131】
(10)第10の態様に係る軌道系交通システム1は、(1)から(9)の何れか一つの軌道系交通システム1であって、前記可動壁43は、前記閉状態と前記開状態との間で前記鉛直方向Dvに延びる鉛直軸を中心として回転可能に配置され、前記可動壁43を回転駆動させる可動壁駆動装置47と、前記可動壁駆動装置47の動作を制御する制御装置60と、をさらに備えていてもよい。
【0132】
これにより、制御装置60によって動作が制御される可動壁駆動装置47により、閉状態と開状態との間で可動壁43を自動的に移動させることができる。
【0133】
(11)第11の態様に係る軌道系交通システム1は、(10)の軌道系交通システム1であって、外部からの操作入力を受け付けた場合に、所定の操作受付信号を前記制御装置60に出力する操作受付部材112をさらに備え、前記制御装置60は、前記操作受付部材112から入力される前記操作受付信号に基づき、前記車両300の運行に制約を掛けてもよい。
【0134】
これにより、可動壁43が閉状態となったときに、操作受付部材112が操作されることで、通行者に安全な処置をとることができる。
【0135】
(12)第12の態様に係る軌道系交通システム1は、(10)又は(11)の軌道系交通システム1であって、前記横断通路部Wrに通行者がいるか否かを検出するセンサ111、をさらに備え、前記制御装置60は、前記センサ111から出力される検出信号に基づき、前記車両300の運行に制約を掛けてもよい。
【0136】
これにより、横断通路部Wr内に通行者が存在しない状態で、可動壁43の閉動作を開始でき、車両300の運行に制約を掛けることができる。これにより、横断通路部Wrを通行している通行者の安全や、車両300の運行の安全を確保できる。
【0137】
(13)第13の態様に係る軌道系交通システム1は、(10)から(12)の何れか一つの軌道系交通システム1であって、前記走行路32上を走行する前記車両300に対し、前記横断通路部Wrの通過の可否を示す信号を出力する車両用信号出力装置101をさらに備え、前記制御装置60は、前記可動壁43の開閉状態に応じて、前記横断通路部Wrの通過の可否を示す信号を出力するよう前記車両用信号出力装置101を制御してもよい。
【0138】
これにより、可動壁43が、何らかの原因で開状態のままとなって横断通路部Wrを車両300が通過できない場合を、車両300に通知することができる。その結果、可動壁43が閉状態となるまで横断通路部Wrに車両300を近づけないようにすることができる。
【0139】
(14)第14の態様に係る軌道系交通システム1は、(10)から(13)の何れか一つの軌道系交通システム1であって、前記横断通路部Wrを通行する前記通行者に対して前記横断通路部Wrの通過に関する情報を出力する通行者用情報出力装置102、をさらに備え、前記制御装置60は、前記可動壁43の開閉状態に応じて、前記通行者に対して前記横断通路部Wrの通過に関する情報を出力するよう前記通行者用情報出力装置102を制御してもよい。
【0140】
これにより、横断歩道Wを渡ろうとしている通行者に対し、横断通路部Wrの通過の可否を示す情報を通知することができる。これにより、通行者に対し、横断通路部Wrを安全に渡るための情報を提供できる。
【符号の説明】
【0141】
1…軌道系交通システム
2…車道
3…軌道
5…歩道
8…踏切部
31…路盤
32…走行路
32f…走行面
35…ガイド
35A…外側ガイド
35B…内側ガイド
351…第一固定ガイド
352…第二固定ガイド
353…第一可動ガイド
354…第二可動ガイド
355…中間ガイド
356…第一中間固定ガイド
357…第二中間固定ガイド
358…第一中間可動ガイド
359…第二中間可動ガイド
360…支持部材中間ガイド
37…電車線
371…第一電車線
372…第二電車線
40…側壁
40A…第一側壁
40B…第二側壁
40f…壁側面
41…第一固定壁
41C…第一支持柱
41s…第一壁側面
42…第二固定壁
42C…第二支持柱
42s…第二壁側面
43…可動壁
44…第一可動壁
440…第一可動壁本体
441…第一基端部
442…第一先端部
44s…第一可動壁面
45…第二可動壁
450…第二可動壁本体
451…第二基端部
452…第二先端部
45s…第二可動壁面
46…中間部材
461…受け部
461A…第一受け部
461B…第二受け部
47…可動壁駆動装置
48…カバー部材
49…スカート部材
60…制御装置
61…CPU
62…ROM
63…RAM
64…HDD
65…信号受信モジュール
70…信号入力部
71…可動壁開閉状態判定部
72…開閉条件確認部
73…可動壁開閉制御部
74…車両用信号制御部
75…自動車用情報制御部
76…通行者用情報制御部
77…出力部
80…中間ガイド壁
81…第一中間区画壁
81C…第一中間支持柱
81s…第一中間壁側面
82…第二中間区画壁
82C…第二中間支持柱
82s…第二中間壁側面
83…中間可動壁
84…第一中間可動壁
840…第一中間可動壁本体
841…第一中間基端部
842…第一中間先端部
84s…第一中間可動壁面
85…第二中間可動壁
850…第二中間可動壁本体
851…第二中間基端部
852…第二中間先端部
85s…第二中間可動壁面
86…荷重支持部材
861…荷重受け部
861A…第一荷重受け部
861B…第二荷重受け部
87…中間可動壁駆動装置
88…中間カバー部材
89…中間スカート部材
90…中央監視室
92…監視カメラ
101…車両用信号出力装置
102…通行者用情報出力装置
103…自動車用情報出力装置
104…中央監視室用情報出力装置
110…開閉センサ
111…センサ
112…操作受付部材
120…信号切換スイッチ
200…自動車
300…車両
300g…案内輪
300r…走行輪
Da…延伸方向
Da1…第一側
Da2…第二側
Dv…鉛直方向
Dvu…上方
Dvd…下方
Dw…幅方向
Dwi…内側
Dwo…外側
W…横断歩道
Wc…車道横断歩道
Wr…横断通路部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10