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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082249
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】光電変換モジュール組立体
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/12 20140101AFI20220525BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20220525BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20220525BHJP
   H02S 20/24 20140101ALI20220525BHJP
【FI】
H02S40/12
E04D13/18 ETD
H02S20/10 S
H02S20/24
H02S20/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193704
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】市川 直毅
【テーマコード(参考)】
2E108
5F151
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108KS05
2E108LL01
2E108NN07
5F151JA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光電変換モジュールの下端部にかかる雪の沈降力の影響を抑制することができる光電変換モジュール組立体を提供する。
【解決手段】光電変換モジュール組立体10は、互いに隣接して設けられた第1光電変換モジュール100aと第2光電変換モジュール100bを有する。第1光電変換モジュール及び第2光電変換モジュールは、水平面から傾斜して設けられている。第1光電変換モジュールの下端辺が、第2光電変換モジュールの下端辺と向かい合っている。第1光電変換モジュールと第2光電変換モジュールとの間の距離D1が、光電変換モジュール組立体が設置される地域における垂直積雪量の基準値の2倍未満である。垂直積雪量の基準値は、建築基準法施行令第八十六条第三項に記載された国土交通大臣が定める基準に基づいて特定行政庁が規則で定める数値によって定義される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直積雪量の基準値が0より大きい地域に設置される光電変換モジュール組立体であって、
互いに隣接して設けられた第1光電変換モジュールと第2光電変換モジュールを有し、
前記第1光電変換モジュール及び前記第2光電変換モジュールは、水平面から傾斜して設けられており、
前記第1光電変換モジュールの下端辺が、前記第2光電変換モジュールの下端辺と向かい合っており、
前記第1光電変換モジュールと前記第2光電変換モジュールとの間の距離が、前記光電変換モジュール組立体が設置される地域における前記垂直積雪量の基準値の2倍未満であり、
前記垂直積雪量の基準値は、建築基準法施行令第八十六条第三項に記載された国土交通大臣が定める基準に基づいて特定行政庁が規則で定める数値によって定義される、光電変換モジュール組立体。
【請求項2】
前記第1光電変換モジュールは、前記第2光電変換モジュールから間隔をあけて設けられている、請求項1に記載の光電変換モジュール組立体。
【請求項3】
設置面から、前記第1光電変換モジュール又は前記第2光電変換モジュールの上面側の最下端までの高さ「H1」とし、前記垂直積雪量の基準値を「Zh」とし、傾斜した方向における前記光電変換モジュールの長さを「L1」とし、水平面に対する前記第1光電変換モジュール又は前記第2光電変換モジュールの上面の傾斜角を「θ」としたときに、
H1≦2×Zh/3+{0.456×Zh×L1×cоs(θ)}1/2
によって表される式が満たされる、請求項1又は2に記載の光電変換モジュール組立体。
【請求項4】
水平面に対する前記第1光電変換モジュールの表面及び前記第2光電変換モジュールの表面の傾斜角は、15°度以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の光電変換モジュール組立体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光電変換モジュールを含む光電変換モジュール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば住宅や工場のような建造物の屋根等に設置される太陽電池モジュールのような光電変換モジュールが知られている。近年、光電変換モジュールは、様々な地域において建造物の屋根に設置されている。
【0003】
特許文献1は、屋根上に複数配列された太陽電池モジュールを開示している。特許文献1では、各々の太陽電池モジュールは、水平面に対して数度傾斜させて並べられている。2つの太陽電池モジュール列は、隣接する各太陽電池モジュールの水上側端部同士の間から鉛直に下した線を中心に対称(のこぎり状)となるように配置されている。すなわち、互いに隣接する太陽電池モジュールの表面によって三角形の凸型が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/008620号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光電変換モジュールの光電変換効率、例えば太陽電池モジュールの発電効率を考慮すると、光電変換モジュールは、水平面から傾斜して配置されることがある。光電変換モジュール上に雪が積もると、雪は、光電変換モジュール上に蓄積されながら、光電変換モジュール上の傾斜にしたがって落下する。これにより、雪は、光電変換モジュールの表面から光電変換モジュールの設置面までつながった状態になることがある。
【0006】
特に、陸屋根のような緩勾配の設置面では、設置面上の雪が落下しにくいため、雪は、光電変換モジュールの表面から設置面までつながった状態になりやすい。
【0007】
雪が光電変換モジュールの表面から設置面までつながった状態になると、重力に伴う雪の沈降力によって、光電変換モジュールの下端部(傾斜方向の下側端部)に、大きな負荷がかかることがある。
【0008】
したがって、光電変換モジュールの下端部にかかる雪の沈降力の影響を抑制可能な光電変換モジュール組立体が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様に係る垂直積雪量の基準値が0より大きい地域に設置される光電変換モジュール組立体は、互いに隣接して設けられた第1光電変換モジュールと第2光電変換モジュールを有する。前記第1光電変換モジュール及び前記第2光電変換モジュールは、水平面から傾斜して設けられている。前記第1光電変換モジュールの下端辺が、前記第2光電変換モジュールの下端辺と向かい合っている。前記第1光電変換モジュールと前記第2光電変換モジュールとの間の距離が、光電変換モジュール組立体が設置される地域における垂直積雪量の基準値の2倍未満である。前記垂直積雪量の基準値は、建築基準法施行令第八十六条第三項に記載された国土交通大臣が定める基準に基づいて特定行政庁が規則で定める数値によって定義される。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、光電変換モジュールの下端部にかかる雪の沈降力の影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態における光電変換モジュール組立体の模式的斜視図である。
図2図1の2A方向から見た光電変換モジュール組立体の部分的側面図である。
図3】一実施形態における光電変換モジュールの斜視図である。
図4】雪が堆積した状態における光電変換モジュール組立体の模式的斜視図である。
図5】雪が堆積した状態における光電変換モジュール組立体の部分的側面図である。
図6】参考例における光電変換モジュールから部分的に落下した雪の状態を示す参考図である。
図7】光電変換モジュールから落下した雪の高さを推定するモデルを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0013】
図1は、一実施形態における光電変換モジュール組立体の模式的斜視図である。図2は、図1の2A方向から見た光電変換モジュール組立体の部分的側面図である。図3は、一実施形態における光電変換モジュールの斜視図である。
【0014】
本実施形態において、光電変換モジュール組立体10は、複数の光電変換モジュール100と架台200を有していてよい。光電変換モジュール組立体10は、好ましくは建造物の屋根のような設置面に設けられていてよい。光電変換モジュール組立体10は、後述する垂直積雪量の基準値が0より大きい地域に設置されるものであってよい。
【0015】
建造物は、例えば工場、倉庫及び一般住宅等であってよい。光電変換モジュール組立体が設置される屋根の種類は、特に制限されない。屋根は、比較的緩やかな勾配を有する屋根、例えば陸屋根であってよい。したがって、前述の設置面は、比較的緩やかな勾配を有する面、例えば陸屋根の上面であってよい。
【0016】
図1に示す例では、複数の光電変換モジュール100a,100bは、第1方向(図のX方向)と第2方向(図のY方向)に並んでいる。ここで、第2方向は、第1方向に交差し、かつ設置面に沿った方向である。図1に示す例の代わりに、複数の光電変換モジュール100は、第1方向のみに一列に並んでいてもよい。
【0017】
各々の光電変換モジュール100a,100bは、光エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する光電変換パネル110と、光電変換パネル110の周囲に設けられたフレーム120と、を有していてよい(図3参照)。光電変換モジュール100a,100bは、例えば太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池モジュールであってよい。
【0018】
各々の光電変換モジュール100a,100bは、例えば略長方形状であってよい。各々の光電変換モジュール100a,100bにおける長辺の長さは、例えば1250~1800mmであってよい。各々の光電変換モジュール100a,100bにおける短辺の長さL1は、例えば950~1100mmであってよい。
【0019】
各々の光電変換モジュール100a,100bは、架台200に積載されていてよい。架台200は、設置面に置かれている。架台200は、設置面Sに当接する複数の脚部300を有していてよい。
【0020】
陸屋根のような緩勾配の設置面では、架台200は、アンカーやボルトのような締結部材を利用することなく、設置面に置かれていてよい。この場合、屋根の防水性を維持するとともに、光電変換モジュール組立体10の施工に伴う塵の発生を抑制することができる。
【0021】
具体的一例では、架台200は、光電変換モジュール100a,100bを支持する支持部210と、設置面に当接する基部220と、を有していてよい。支持部210は、各々の光電変換モジュール100a,100bを水平面化から傾斜した状態で支持可能に構成されている。基部220は、光電変換モジュール100a,100b及び架台200の荷重を支えている。脚部300は、基部220から設置面の方に向かって延びていてよい。
【0022】
本実施形態において、光電変換モジュール組立体10は、特定の方向に傾斜した少なくとも1つの第1光電変換モジュール100aと、別の方向に傾斜した少なくとも1つの第2光電変換モジュール100bと、を有する。第1光電変換モジュール100aと第2光電変換モジュール100bは、互いに隣接して設けられている。好ましくは、図1に示すように、第1光電変換モジュール100aと第2光電変換モジュール100bは、X方向において交互に設けられている。
【0023】
第1光電変換モジュール100a及び第2光電変換モジュール100bは、水平面から傾斜して設けられている。より具体的には、第1光電変換モジュール100aの下端辺100alは、第2光電変換モジュール100bの下端辺100blと向かい合っている。また、第1光電変換モジュール100aの上端辺100auは、第2光電変換モジュール100bの上端辺100buと向かい合っている。これにより、光電変換モジュール組立体10の上面は、図のY方向から見たときに、略三角波の形状になっている。
【0024】
第1光電変換モジュール100aの下端辺100alの設置面からの高さは、第1光電変換モジュール100aに隣接する第2光電変換モジュール100bの下端辺100blの設置面からの高さと実質的に同じであることが好ましい。同様に、第1光電変換モジュール100aの上端辺100auの設置面からの高さは、第1光電変換モジュール100aに隣接する第2光電変換モジュール100bの上端辺100buの設置面からの高さと実質的に同じであることが好ましい。これにより、光電変換モジュール組立体10の上面に沿って流れる風によって生じる負荷を抑制することができる。
【0025】
水平面に対する光電変換モジュール100a,100bの表面の傾斜角は、特に制限されない。風により光電変換モジュール100にかかる負荷を抑制するという観点からは、水平面に対する第1光電変換モジュール100a及び第2光電変換モジュール100bの表面の傾斜角は、好ましくは15°以下、より好ましくは10°以下である。
【0026】
第1光電変換モジュール100aは、第2光電変換モジュール100bから間隔をあけて設けられていることが好ましい。具体的には、第1光電変換モジュール100aの下端辺100alと第2光電変換モジュール100bの下端辺100blとの間に間隔D1が設けられていてよい。光電変換モジュール100a,100bの表面に付着した雨や雪解け水のような液体は、この間隔D1を通って、設置面へ流れ落ちる。これにより、光電変換モジュール組立体10の上面に水が溜まることを抑制することができる。
【0027】
本実施形態において、第1光電変換モジュール100aと第2光電変換モジュール100bとの間の距離D1は、光電変換モジュール組立体10が設置される地域における垂直積雪量の基準値の2倍未満である。ここで、垂直積雪量の基準値は、建築基準法施行令第八十六条第三項に記載された国土交通大臣が定める基準に基づいて特定行政庁が規則で定める数値によって定義される。なお、特定行政庁が規則で定める当該数値は、地域ごとに定義されている。
【0028】
次に、上記実施形態における光電変換モジュール組立体10に対する積雪の影響について説明する。図4は、雪が堆積した状態における光電変換モジュール組立体の模式的斜視図である。図5は、雪が堆積した状態における光電変換モジュール組立体の部分的側面図である。図5は、図4の矢印5A方向から見た側面を示している。図6は、参考例における光電変換モジュールから部分的に落下した雪の状態を示す参考図である。図6は、傾斜した光電変換モジュールに隣接する光電変換モジュールがない場合を示している。
【0029】
図6に示すように、光電変換モジュール100に積もった雪400は、通常、光電変換モジュール100の傾斜にしたがって、光電変換モジュール100の上面から滑り落ちる。雪は環境に応じて一体化することがある。そのため、図6に示すように、光電変換モジュール100の下端部から張り出した雪400は、重力によって垂れるように湾曲し、設置面Sに向かうことがある。さらに、設置面Sから光電変換モジュール100の高さが低いと、光電変換モジュール100の下端部から張り出した雪400は、設置面Sに積もった雪とつながった状態になる。この状態では、光電変換モジュール100から張り出した雪の荷重が、光電変換モジュール100の下端部に強くかかる。したがって、想定よりも大きな負荷が光電変換モジュール100の下端部にかかることがある。また、設置面Sに積もった雪の一部が溶け、設置面S上の残りの雪が沈降した場合、光電変換モジュール100から張り出した雪もそれに従って沈降する。この雪の沈降に伴い、光電変換モジュール100の下端部に強い沈降力がかかることがある。
【0030】
ここで、図6に示すように、光電変換モジュール100から張り出して垂れた雪の幅Wは、概ね光電変換モジュール100上に積もった雪の高さZhに相当する。したがって、第1光電変換モジュール100aと第2光電変換モジュール100bとの間の距離D1が、垂直積雪量の2倍未満であれば、光電変換モジュール100a,100bから張り出した雪は、設置面に付くことなく、光電変換モジュール組立体10上で一体化する(図4及び図5参照)。本実施形態では、前述した垂直積雪量の基準値に達した雪は、設置面上の雪と一体化することなく、互いに隣接する光電変換モジュール100a,100bによって保持される。したがって、前述したような雪の沈降に伴う沈降力が光電変換モジュール100a,100bの下端部にかかることを抑制することができる。
【0031】
ここで、NEDOの委託業務としての「太陽光発電システムの効率向上・維持管理技術開発プロジェクト/太陽光発電システムの安全確保のための実証」事業において作成された成果物である「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン 2019年版 技術資料」によれば、太陽電池アレイは、アレイ面からの滑落雪を考慮し、軒先が積雪で埋没しない軒高を設定することが基本とされている(B-4頁の最終段落及びB-5頁参照)。すなわち、通常では、光電変換モジュール100の下端部が積雪で埋没しないよう、光電変換モジュール100の高さが設定されることが基本とされる。この観点について、図7を参照しつつ以下で説明する。
【0032】
図7は、光電変換モジュールから落下した雪の高さを推定するモデルを説明する模式図である。図7に示すモデルにおいて、光電変換モジュール100は、水平面HPに対して傾斜角θで設置されている。この場合、光電変換モジュール100上に堆積する雪400の量(体積)Q1は、
「Q1=Zh×L1×cоs(θ)」 式(1)
によって表される。ここで、「L1」は、図のX方向における光電変換モジュール100の長さである。「Zh」は、垂直積雪量の高さである。
【0033】
次に、光電変換モジュール100上に堆積していた雪400がすべて設置面Sに落下し、設置面S上に積もっていた雪の層のうえに、図7に示すような三角形状の雪山を形成したと仮定する。この場合、三角形状の雪山の体積Q2は、
「Q2=h1×h1×(1/tan(α)+1/tan(β))/2」 式(2)
によって表される。ここで、「h1」は、雪山自体の高さ、すなわち設置面S上に積もっていた雪の層を除く雪の高さである。角度α及び角度βは、それぞれ三角形状の雪山の傾斜角である。
【0034】
ここで、光電変換モジュール100上に堆積する雪400と設置面S上に積もっていた雪は、光電変換モジュール100上の雪400の落下により圧縮される。この圧縮率を「ρ」と表記すると、「Q2=ρ×Q1」の等式が満たされる(ρ<1)。この等式に、前述した式(1)及び式(2)を代入し、整理すると、以下の式が得られる。
h1=2×ρ×Zh×L1×cоs(θ)/{1/tan(α)+1/tan(β)}
【0035】
ここで、「α=40°」及び「β=30°」と仮定すると、雪山自体の高さh1は、以下の式(3)で近似される。
h1={0.684×ρ×Zh×L1×cоs(θ)}1/2 式(3)
【0036】
設置面S上に積もっていた雪は、落下した雪400により上記の圧縮率ρで圧縮される。したがって、圧縮後の雪の層の厚さ「d」は、以下の式(4)で表される。
d=ρ×Zh 式(4)
【0037】
以上により、設置面上の雪の層と落下した雪とを合わせた合計の高さZtは、以下の式(5)によって表される。
Zt=d+h1
=ρ×Zh+{0.684×ρ×Zh×L1×cоs(θ)}1/2 式(5)
【0038】
したがって、設置面体に堆積する雪に埋もれないようにする観点で、設置面から光電変換モジュールまでの高さは、通常は、上記数式(5)によって示される雪の合計の高さZtよりも高く設置される。
【0039】
しかしながら、本実施形態では、図4及び図5に示すように、互いに隣接する光電変換モジュール100a,100bによって雪が保持されるため、光電変換モジュール100a,100bの高さについて数式(5)に基づく高さの制約を設定する必要がない。すなわち、本実施形態では、設置面から測定した光電変換モジュール100a,100bの高さをより低く抑えることができる。
【0040】
具体的には、上記の圧縮率ρが2/3であると仮定すると、設置面から測定した光電変換モジュール100a,100bの高さH1は、以下の不等式を満たす値であってもよい。
H1≦2×Zh/3+{0.456×Zh×L1×cоs(θ)}1/2
ここで、「Zh」は、前述したように、各地域における降雪量の基準として、建築基準法施行令第八十六条第三項に記載された国土交通大臣が定める基準に基づいて特定行政庁が規則で定める数値を当てはめればよい。
【0041】
上記のような不等式を満たす場合であっても、雪は、互いに隣接する光電変換モジュール100a,100bによって保持されるため、雪が光電変換モジュール100a,100bの上面から設置面Sに跨って繋がることを抑制することができる。したがって、雪の沈降力の影響を抑制しつつも、光電変換モジュール組立体の全体のサイズをなるべく小さくすることができ、これによって構造物の屋根への負荷を緩和することができる。
【0042】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0043】
例えば、互いに隣接する光電変換モジュールを互いに逆方向に傾斜した状態で支持することができれば、架台200の構成は、特に制限されない。例えば、架台200に脚部300を設けることなく、架台200を設置面に押さえつける重しを基部220上に設置してもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 光電変換モジュール組立体
100a 光電変換モジュール
100b 光電変換モジュール
200 架台

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7