(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082261
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】装柱バンド
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20220525BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20220525BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20220525BHJP
G09F 7/18 20060101ALI20220525BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
H02G7/00
F16B2/08 F
F16B2/08 Z
F16B7/04 301U
G09F7/18 T
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193722
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】神野 健太
(72)【発明者】
【氏名】谷口 育久
【テーマコード(参考)】
3J022
3J039
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022EA37
3J022EB12
3J022EB14
3J022EC12
3J022EC22
3J022EC23
3J022FB04
3J022FB10
3J022FB12
3J022GA03
3J022GB42
3J022GB45
3J022GB57
3J039AA08
3J039BB04
3J039CA04
5G352AC01
5G367AB01
5G367AD01
(57)【要約】
【課題】装柱作業の簡素化を図ることができる装柱バンドの提供。
【解決手段】柱状構造物を取り囲むバンド部材と、前記バンド部材に前記柱状構造物への締付力を生じさせる締付部材とを備え、前記バンド部材は、前記柱状構造物を中心とする周方向で湾曲するバンド本体部と、それぞれが前記バンド部材の前記周方向における別々の端部に含まれる一対の締付受部とを有し、前記一対の締付受部のそれぞれは、前記バンド本体部から前記柱状構造物の径方向外方に向かって延出する延出部を有し、前記締付部材は、前記バンド本体部が前記柱状構造物の外周面に沿わせて配置されている状態で、互いの間に隙間が形成されている状態で前記周方向において対向配置された状態の前記一対の延出部に被せることで前記一対の延出部を前記周方向において互いに接近する方向に押操作する操作カバー部を有する装柱バンド。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状構造物の周囲を取り囲むようにして配置されるバンド部材と、
前記バンド部材に前記柱状構造物に対する締付力を生じさせるための締付部材と、を備え、
前記バンド部材は、
前記柱状構造物を中心とする周方向に沿って湾曲した形状となるバンド本体部と、
それぞれが前記バンド部材の前記周方向における別々の端部に含まれる一対の締付受部と、を有し、
前記一対の締付受部のそれぞれは、前記バンド本体部から前記柱状構造物から離れる方向に向かって延出する延出部を有し、
前記締付部材は、前記バンド本体部を前記柱状構造物の外周面に沿わせて配置し、前記一対の延出部の互いの間に隙間を形成しつつ前記周方向において対向配置した状態で、前記一対の延出部を前記周方向において互いに接近する方向に押操作する操作カバー部を有する、
装柱バンド。
【請求項2】
前記締付受部は、前記一対の延設部のうちの一方の延設部の先端から前記柱状構造物から離れる方向に向かって延出する軸部であって、外周面に雄ねじが形成されている軸部を有し、
前記締付部材は、前記操作カバー部に形成され且つ前記軸部を螺合可能なねじ孔が形成されている雌ねじ部を有する、
請求項1に記載の装柱バンド。
【請求項3】
前記締付受部は、前記一対の延出部のうちの一方の延出部から前記柱状構造物から離れる方向に向かって延出する軸部であって、外周面にねじ山が形成された軸部を有し、
前記締付部材は、
前記一対の延設部が挿し込まれる挿込領域が形成されたカバー部と、
前記挿込領域に対する前記一対の延設部の挿し込み方向において前記挿込領域に連通し且つ前記軸部を螺合可能なねじ孔が形成された被ガイド部であって、前記ねじ孔の中心軸線を回転中心として前記カバー部に対して相対回転可能な被ガイド部と、を有する、
請求項1に記載の装柱バンド。
【請求項4】
前記一対の締付受部の前記延出部には、前記周方向において隣り合う前記締付受部の前記延出部とは非対向となるように配置される外面であって、前記柱状構造物から離れるにつれて、隣り合う前記締付受部側に向かって傾斜する外面が含まれ、
前記操作カバー部は、前記一対の締付受部の前記延出部に被せるように構成されるとともに、前記一対の締付受部の前記延出部に被せた状態で、それぞれの前記締付受部の前記延出部の前記外面に干渉するように構成される、
請求項1に記載の装柱バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付けるための装柱バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の装柱バンドは、柱状構造物に巻き付けた状態で固定することによって、装柱物を取り付けるためのベースとして用いるものであり、例えば、特許文献1の
図3に図示されているような、電柱を介在させた状態で対面配置される一対の円弧部(電柱を中心とする円周の1/2周分の円弧部)と、一対の円弧部の両端部同士を締結するネジとナットとを備えた装柱バンドが知られている。
【0003】
かかる装柱バンドを用いて装柱物であるクロージャ取付金物を電柱に取り付けるには、電柱の一方側と他方側とに円弧部を一つずつ配置し、且つ装柱物であるクロージャ取付金物を各円弧部の一方の端部の間に配置した状態で、各円弧部の端部とクロージャ取付金物とに挿通したネジをナットに螺合させている。
【0004】
ネジがナットに締め込まれるに伴い、一対の円弧部が協働して電柱を締め付けつつクロージャ取付金物を挟持し、これにより、電柱にクロージャ取付金物が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の装柱バンドは、一対の円弧部の端部同士をネジとナットで締結する構造となっているが、一対の円弧部の端部の位置を合わせながらネジをナットに締め込む作業が困難であることが装柱作業を複雑なものにしているという問題が起きている。
【0007】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、装柱作業の簡素化を図ることができる装柱バンドの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の装柱バンドは、
柱状構造物の周囲を取り囲むようにして配置されるバンド部材と、
前記バンド部材に前記柱状構造物に対する締付力を生じさせるための締付部材と、を備え、
前記バンド部材は、
前記柱状構造物を中心とする周方向に沿って湾曲した形状となるバンド本体部と、
それぞれが前記バンド部材の前記周方向における別々の端部に含まれる一対の締付受部と、を有し、
前記一対の締付受部のそれぞれは、前記バンド本体部から前記柱状構造物から離れる方向に向かって延出する延出部を有し、
前記締付部材は、前記バンド本体部を前記柱状構造物の外周面に沿わせて配置し、前記一対の延出部の互いの間に隙間を形成しつつ前記周方向において対向配置した状態で、前記一対の延出部を前記周方向において互いに接近する方向に押操作する操作カバー部を有する。
【0009】
上記構成の装柱バンドによれば、バンド本体部を柱状構造物の外周面に沿わせて配置し、一対の延出部を前記周方向において互いの間に隙間が形成されるようにして対向配置した状態で一対の延出部に操作カバー部を被せると、操作カバー部により一対の延出部が前記周方向において互いに接近する方向に押し操作される。そのため、バンド部材の両端部が前記周方向において互いに接近する方向に引き操作され、これにより、バンド部材に柱状構造物への締付力が生じるようになっている。
【0010】
従って、上記構成の装柱バンドは、従来の装柱バンドのようなねじ締め作業ではなく、一対の延出部にカバー操作部を被せるという簡単な操作によってバンド部材に柱状構造物への締付力を生じさせることができるため、簡単な作業で柱状構造物に固定することが可能である。
【0011】
また、本発明の装柱バンドにおいて、
前記締付受部は、前記一対の延設部のうちの一方の延設部の先端から前記径方向外方に向かって延出する軸部であって、外周面に雄ねじが形成されている軸部を有し、
前記締付部材は、前記操作カバー部に形成され且つ前記軸部を螺合可能なねじ孔が形成されている雌ねじ部を有する。
【0012】
このようにすれば、軸部とねじ孔とを螺合させることにより、締付部材を一対の延設部が挿込領域内に入り込む位置まで案内でき、また、締付部材が一対の延設部から外れ難くなる。
【0013】
また、本発明の装柱バンドにおいて、
前記締付受部は、前記一対の延出部のうちの一方の延出部から前記径方向における外方に向かって延出する軸部であって、外周面にねじ山が形成された軸部を有し、
前記締付部材は、
前記一対の延設部が挿し込まれる挿込領域が形成されたカバー部と、
前記挿込領域に対する前記一対の延設部の挿し込み方向において前記挿込領域に連通し且つ前記軸部を螺合可能なねじ孔が形成された被ガイド部であって、前記ねじ孔の中心軸線を回転中心として前記カバー部に対して相対回転可能な被ガイド部と、を有するようにいてもよい。
【0014】
このようにすれば、被ガイド部のみを回転させることで一対の延設部にカバー部を被せることができるため、バンド部材に締付部材を取り付ける作業が簡単になる。
【0015】
また、本発明の装柱バンドにおいて、
前記一対の締付受部の前記延出部には、前記周方向において隣り合う前記締付受部の前記延出部とは非対向となるように配置される外面であって、前記柱状構造物から離れるにつれて、隣り合う前記締付受部側に向かって傾斜する外面が含まれ、
前記操作カバー部は、前記一対の締付受部の前記延出部に被せるように構成され、前記一対の締付受部の前記延出部に被せた状態で、それぞれの前記締付受部の前記延出部の前記外面に干渉するように構成されていてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、操作カバー部を各延出部に被せる操作を行うと、各延出部が互いに引き寄せられるため、簡単な操作でバンド部材に柱状構造物への締付力を生じさせることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の装柱バンドは、装柱作業の簡素化を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る装柱バンドの斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の横断面の拡大図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る装柱バンドを正面から見た拡大図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る装柱バンドの締付受部の断面拡大図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の横断面図である。
【
図7】
図7において、(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材のテーパー孔と締付部材のサイズ関係の説明図である。
【
図8】
図8において(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図である。
【
図9】
図9は、本発明の第二実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図10】
図10において、(a)は締付部材を上方から見た状態の拡大図であり、(b)は締付部材を正面から見た状態の拡大図である。
【
図11】
図11は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の横断面図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の背面図である。
【
図13】
図13において(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材のテーパー孔と締付部材のサイズ関係の説明図である。
【
図14】
図14において(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図である。
【
図15】
図15は、本発明の第三実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図16】
図16において、(a)は締付部材を上方から見た状態の拡大図であり、(b)は締付部材を正面から見た状態の拡大図である。
【
図17】
図17は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の横断面図である。
【
図18】
図18は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の背面図である。
【
図19】
図19において(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材のテーパー孔と締付部材のサイズ関係の説明図である。
【
図20】
図20において(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図である。
【
図21】
図21は、本発明の第四実施形態に係る装柱バンドの平面図である。
【
図22】
図22は、同実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図23】
図23は、同実施形態の装柱バンドの締付部材の分解斜視図である。
【
図24】
図24において、(a)は締付部材の平面図であり、(b)はXXIV-XXIV線での断面図である。
【
図25】
図25において、(a)は保持構造を側面から見た図であり、(b)はXXV線での断面拡大図である。
【
図26】
図26は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、本発明の第一実施形態にかかる装柱バンドについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0020】
本実施形態の装柱バンドは、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態において装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0021】
図1、及び
図2に示すように、本実施形態の装柱バンド1は、柱状構造物に巻付可能であるバンド部材2と、柱状構造物Pに巻き付けた状態のバンド部材2に柱状構造物Pへの締付力を生じさせるための締付部材3と、バンド部材2に装柱物Oを取り付ける装柱物用取付部4と、を備えている。
【0022】
なお、以下の説明において、柱状構造物Pの軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向と前記周方向とに直交する方向(すなわち、柱状構造物Pの径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、前記径方向において外側に向かう方向を径外方向、前記径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0023】
バンド部材2は、締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0024】
本実施形態のバンド部材2は、
図2に示すように、前記周方向に沿って湾曲した形状となるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、締付部材3の動きを案内するための案内部22と、を有する。また、バンド部材2では、開閉連結部2Sが締付受部21で構成されている。
【0025】
バンド本体部20は、分割可能となるように構成されており、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0026】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が連設される被連設部2001※と、を有する。本実施形態に係る分割体200は、帯板状の部材を湾曲させて形成されており、長手方向における一端部が連結部2000、他端部が被連設部2001となっている。
【0027】
本実施形態の各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されるが、本実施形態では互いの連結部2000が直接的に連結可能となるように構成されている。
【0028】
より具体的に説明すると、一方の分割体200の連結部2000には、連結部2000の厚み方向で貫通する連結孔2000aが形成されている。なお、一方の分割体200の連結部2000には、複数の連結孔2000aが前記周方向で間隔を空けて並べて形成されている。
【0029】
他方の分割体200の連結部2000には、前記連結孔2000aに引掛可能な連結用引掛部2000bが形成されている。
【0030】
各締付受部21は、被連設部2001から前記径外方向に延出している。そのため、締付受部21は、バンド本体部200から柱状構造物の径外方向に向かって延出する延出部となっている。
【0031】
各締付受部21は、
図3に示すように、隣り合う締付受部21に向けて配置される対向面210と、締付部材3から押し操作される被操作面211と、を有する。
【0032】
対向面210は、平坦な面である。また、各締付受部21の対向面210は、バンド部材2で柱状構造物を締め付ける際に互いの間に間隔をあけた状態で対向配置され、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられていない連結準備状態から、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられた連結状態に切り替わる際に、互いの間の間隔も狭まるようになっている。なお、各締付受部21の対向面210は、連結準備状態から連結状態に切り替わっても非接触の状態を保つように構成されていることが好ましい。
【0033】
図4に示すように、被操作面211の先端の縁部2110と、基端の縁部2111とは、前記径方向で先端を真っ直ぐに見たときの形状が円弧状となるように形成されている。そして、被操作面211は、先端の縁部2110から基端の縁部2111に向かうにつれて放射状に広がるように形成されている。そのため、締付受部21の外径は、先端側よりも基端側の方が大きくなっている。
【0034】
そして、一対の締付受部21は、それぞれの対向面210が互いに当接した場合、協働して円錐台状になるように構成されている。
【0035】
案内部22は、
図3に示すように、一対の締付受部21のうちの一方の締付受部21の先端に連設されている台部220と、台部220から締付受部21の軸線が延びる方向に沿って延出する軸部221であって、外周面にねじ山が形成されている軸部221とを有する。
【0036】
ここで、本実施形態のバンド部材2は、各締付受部21の対向面210の相対位置の面方向(対向面210の面方向)での位置ずれを防止する位置ずれ防止構造23をさらに有している。
【0037】
位置ずれ防止構造23は、一方の締付受部21に形成されるガイド用凹部230と、他方の締付受部21に形成され、且つ一対の締付受部21が互いの対向面210を当接させている状態でガイド用凹部230内に挿入されるガイド用突部231と、を有する。
【0038】
ガイド用凹部230は、
図5に示すように、一方の締付受部21の対向面210に形成された凹部により構成されており、開口端から底部に向かうにつれて内径が徐々に小さくなるように形成されている。ガイド用突部231は、他方の締付受部21の対向面210に形成された突起により構成されており、基端から先端に向かうにつれて外径が徐々に小さくなるように形成されている。
【0039】
ガイド用突部231の先端の外幅Wp1は、ガイド用凹部230の底部の内幅(内径)Wo1よりも大きく且つガイド用凹部230の開口の内幅Wo2よりも小さくなっている。そのため、一対の締付受部21の対向面210を向かい合わせにしたときに対向面210同士の配置位置が面方向で位置ずれしていたとしても、ガイド用突部231がガイド用凹部230内に入ると、ガイド用突部231がガイド用凹部230の内周面に案内されて所定位置に配置されるに伴い、対向面210同士の位置ずれも正されるようになっている。
【0040】
なお、ガイド用突部231は、先端の外幅Wp1がガイド用凹部230の底部の内幅(内径)Wo1よりも大きいほど、ガイド用凹部230に挿し込まれた際に、底部よりも手前側(開口側)で先端の外周全周がガイド用凹部230の内周全周に対して接触するようになるため、このようにすると、ガイド用突部231が所定位置に配置された状態になった後にガイド用突部231の先端とガイド用凹部230の底部との間に形成される隙間の分だけガイド用突部231をガイド用凹部230に圧入できるようになる。そのため、ガイド用突部231が所定位置に配置された状態になってもバンド部材2の締付力が不足している場合に、ガイド用突部231をガイド用凹部230に圧入して各締付受部21同士をより接近させてバンド部材2の締付力を強めることができるようになる。
【0041】
そして、ガイド用突部231の基端の外幅Wp2がガイド用凹部230の開口の内幅Wo2よりも小さくなるように形成されていれば、ガイド用突部231が所定位置に配置される前にガイド用突部231の基端側がガイド用凹部230の内周面に干渉してしまうことを防止することもできる。
【0042】
また、ガイド用突部231の外幅の減少率(基端から先端に向かうにつれて外幅が徐々に小さくなる割合)が、ガイド用凹部230の内幅の減少率(開口から底部に向かうにつれて内幅が徐々に小さくなる割合)よりも小さくなるように設定されていれば、ガイド用突部231がガイド用凹部230の広さに対して細身になるため、ガイド用突部231をガイド用凹部230の底部側まで十分に挿し込み易くなり、ガイド用突部231がガイド用凹部230から抜けにくくなる
【0043】
さらに、本実施形態では、ガイド用突部231の長さLpが、ガイド用凹部230の深さDと同一又は略同一となっている。なお、ガイド用突部231の長さLpは、ガイド用凹部230の深さDpよりも短くてもよいし、ガイド用凹部230の深さDpよりも長くてもよいが、ガイド用突部231の先端を全周に亘ってガイド用凹部230の内周面に当接支えることができる長さであればよい。
【0044】
締付部材3は、
図6に示すように、互いの間に間隔をあけた状態で対向配置されている一対の締付受部21に被せる操作カバー部30と、前記案内部22の長手方向に沿って案内される被案内部31と、を有する。
【0045】
操作カバー部30には、一対の締付受部21が挿し込まれる挿込孔300が形成されている。そして、挿込孔300は、開口端(操作カバー部30の外面で開口する開口端)から奥側に向かうにつれて内径が徐々に小さくなるテーパー孔3000と、テーパー孔3000に連通する連通孔3001であって、全長に亘って内径が一定である連通孔3001とで構成されている。
【0046】
図7(a)に示すように、テーパー孔3000の開口端の内径Da1は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるときの各締付受部21の被操作面211の先端の縁部2111を通る仮想円の直径Db1よりも大きくなっていればよい。
【0047】
そして、
図7(b)に示すように、テーパー孔3000の奥側の端(以下、奥端と称する)の内径Da2は、テーパー孔3000の開口端の内径よりも小さく、且つ軸部221の外径よりも大きくなっていればよいが、本実施形態においてテーパー孔3000の奥端の内径Da2は、一対の締付受部21が前記連結状態であるときの各被操作面211の基端の縁部2111よりも先端の縁部2110側の位置において各締付受部21の被操作面211を通る仮想円の直径Db2に合わせて設定されている。なお、台部220の外径は、前記仮想円の直径Db2よりも小さくなっている。
【0048】
また、テーパー孔3000は、深さDsが締付受部21の長さLs以下であり(
図8a参照)、テーパー角が締付受部21の被操作面211のテーパー角以上であることが好ましい。本実施形態では、テーパー孔3000のテーパー角は、締付受部21のテーパー角と同一又は略同一に設定されている。
【0049】
テーパー孔3000のテーパー角が被操作面211のテーパー角以上であれば、テーパー孔3000の内周面の傾きが被操作面211の傾きよりも緩やかになるため、被操作面211がテーパー孔3000の奥側でテーパー孔3000の内周面に当接し易くなる。また、テーパー孔3000の深さDsが締付受部21の長さLs以下であるため、被操作面211は、テーパー孔3000の内周面の奥側により一層当接し易くなる。
【0050】
図6に示すように、被案内部31には、軸部221を螺合可能なねじ孔310が形成されている。ねじ孔310は、連通孔3001に連通している。
【0051】
本実施形態の締付部材3は、装柱物用取付部4を兼ねている。例えば、本実施形態のように、装柱物が腕金である場合は、締付部材3を腕金の内部に固定すればよい。
【0052】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0053】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物に巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物への締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物を装柱物用取付部4に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0054】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、このバンド本体部20全体を柱状構造物の外周面に沿わせて配置する。これにより、バンド本体部20の内側に柱状構造物が配置された状態になる。このとき、各締付受部21は、前記周方向において互いの間に間隔を空けて対向した状態になる(
図8(a)参照)。
【0055】
締付作業では、軸部221を先端部側からテーパー孔3000、連通孔3001に順に挿通し、ねじ孔310に螺合させる。そして、軸部221に対して被案内部31を締め込み続けると、各締付受部21の被操作面211がテーパー孔3000の内面に接触する。
【0056】
そして、軸部221に被案内部31をさらに締め込み続けると、各締付受部21がテーパー孔3000の内周面に押されて互いに接近する方向に動くとともに、各分割体200の被連設部2001が互いに接近する方向に引き寄せられ、これにより、バンド部材2に柱状構造物への締付力が生じる。また、軸部221とねじ孔310とが互いに螺合するため、締付部材3がバンド部材2に対して抜止された状態にもなる(
図8(b)参照)。
【0057】
また、一対の締付受部21を連結準備状態にした際に、向かい合わせにした対向面210の相対位置が面方向(対向面210の面方向)でずれていたとしても、一対の締付受部21が互いに接近する方向に動く際に、ガイド用突部231がガイド用凹部230に入り、ガイド用突部231の内周面によってガイド用突部231が所定位置にガイドされると、ガイド用突部231とともに前記他方の締付受部21が前記一方の締付受部21に対して位置ずれなく向かい合わせになる位置まで動くため、各締付受部21の対向面210の位置ずれが解消されるようになっている。
【0058】
さらに、本実施形態では、締付部材3が装柱物Oに対して一体的に取り付けられているため、締付作業が完了するとともに取付作業も完了した状態になる。
【0059】
続いて、本発明の第二実施形態にかかる装柱バンドについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0060】
本実施形態の装柱バンドも、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態においても装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0061】
図9に示すように、本実施形態の装柱バンド1は、柱状構造物Pに巻付可能であるバンド部材2と、柱状構造物Pに巻き付けた状態のバンド部材2に柱状構造物Pへの締付力を生じさせるための締付部材3と、バンド部材2に装柱物Oを取り付ける装柱物用取付部4と、を備えている。
【0062】
なお、以下の説明において、柱状構造物Pの軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向と前記周方向とに直交する方向(すなわち、柱状構造物Pの径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、前記径方向において外側に向かう方向を径外方向、前記径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0063】
バンド部材2は、締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0064】
本実施形態のバンド部材2は、前記周方向に沿って湾曲した形状となるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、締付部材3の動きを案内するための案内部22と、を有する。また、バンド部材2では、開閉連結部2Sがバンド本体部20の後述する被連設部2001と締付受部21とで構成されている。
【0065】
バンド本体部20は、分割可能となるように構成されており、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0066】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が連設される被連設部2001と、を有する。本実施形態に係る分割体200は、帯板状の部材を湾曲させて形成されており、長手方向における一端部が連結部2000、他端部が被連設部2001となっている。
【0067】
本実施形態の各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されるが、本実施形態では互いの連結部2000が直接的に連結可能となるように構成されている。
【0068】
より具体的に説明すると、一方の分割体200の連結部2000には、連結部2000の厚み方向で貫通する連結孔2000aが形成されている。なお、一方の分割体200の連結部2000には、複数の連結孔2000aが前記周方向で間隔を空けて並べて形成されている。
【0069】
他方の分割体200の連結部2000には、前記連結孔2000aに引掛可能な連結用引掛部2000bが形成されている。
【0070】
各締付受部21は、被連設部2001から前記径外方向に延出している。そのため、締付受部21は、バンド本体部200から柱状構造物の径外方向に向かって延出する延出部となっている。
【0071】
各締付受部21は、
図10(a)に示すように、被連設部2001の先端から前記径外方向に向かって延出する平板状の基端側平板部210と、基端側平板部210の先端から隣り合う基端側平板部210に向かって延出する先端側平板部211と、を有する。本実施形態の締付受部21は、屈曲した板状となっており、屈曲位置よりも被連設部2001側が基端側平板部210となり、屈曲位置よりも被連設部2001とは反対側が先端側平板部211となっている。
【0072】
基端側平板部210の一方の板面は、隣り合う基端側平板部210に向けて配置される対向面2100であり、他方の板面は、締付部材3から押し操作される被操作面2101となっている。
【0073】
各締付受部21の対向面2100は、バンド部材2で柱状構造物を締め付ける際に互いの間に間隔をあけて対向配置され、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられていない連結準備状態から、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられた連結状態に切り替わる際に、互いの間の間隔も狭まるようになっている。
【0074】
また、各締付部材21の基端側平板部210は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるとき、基端から先端に向かうにつれて互いに徐々に接近した姿勢となる。
【0075】
各先端側平板部211は、前記径内方向に向けて配置される内面2110と、前記径外方向に向けて配置される外面2111と、を有する。
【0076】
そして、一方の締付受部21の先端側平板部211の外面2111には、案内部22が立設されている。案内部22は、軸状に形成されており、案内部22自身の軸線方向が一方の先端側平板部211の外面2111に対して直交した状態で、一方の先端側平板部211の外面2111に立設されている。また、案内部22の外周面にはねじ山が形成されている。他方の締付受部21の先端側平板部211には、前記周方向において抜差可能な抜差凹部2101cが形成されている(
図10(b)参照)。
【0077】
そして、一対の締付受部21が前記連結準備状態になると、一方の先端側平板部211の外面2111と他方の先端側平板部211の内面2110とが重なり合う。このとき,一方の先端側平板部211は,他方の先端側平板部211よりも前記径内方向側に入り込み,案内部22が抜差凹部2101cに挿入される(挿入可能な状態となる)。
【0078】
なお、抜差凹部2101cの幅は、案内部22の外径よりも僅かに小さくなるように形成されていることが好ましい。このようにすれば、一対の締付受部21を前記連結準備状態にしたときに案内部22が他方の先端側平板部211に噛み合うため、一対の締付受部21の前記連結準備状態が解除されにくくなる。
【0079】
締付部材3は、
図11に示すように、互いの間に間隔をあけた状態で対向配置されている一対の締付受部21に被せる操作カバー部30と、前記操作カバー部30に設けられ、且つ前記案内部22によって、前記案内部22の長手方向に沿って案内される被案内部31と、被案内部31に対して操作カバー部30を相対回転可能となるように保持するカバー保持部32と、を備えている。
【0080】
操作カバー部30は、一対の締付受部21が挿し込まれる挿込孔3000と挿込孔3000に連通する連通孔3001とが形成されているカバー本体部300と、カバー本体部300の外周全周から突出する鍔状の抜止部301と、を有する。
【0081】
本実施形態の挿込孔3000は、
図12に示すように、開口側から見た形状が矩形状となるように形成されている。また、挿込孔3000の内面のうち、一対の締付受部21が前記連結準備状態、若しくは前記連結状態であるときに各基端側平板部210が並ぶ方向において対向する一対の面は、開口端側から奥側に向かうにつれて互いの間隔が徐々に狭まるように形成された傾斜面3000aとなっており、前記軸線方向で対向する一対の面は、互いに平行な平行面3000bとなっている。また、平行面3000b同士の間の間隔は、締付受部21の幅(前記軸線方向に対応する方向での幅)と同一又は略同一に設定されている。
【0082】
図13(a)に示すように、挿込孔3000の開口端(開口端の位置での傾斜面3000a同士の間隔)の内幅Da1は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるときの一方の被操作面2101の先基端側と他方の被操作面2101の先端側との距離Db1よりも大きくなっていればよく、本実施形態では、一方の被操作面2101の基端側と他方の被操作面2101の基端側との距離と同一又は略同一に設定されている。
【0083】
そして、
図13(b)に示すように、挿込孔3000の奥側の端(以下、奥端と称する)の内幅(奥端の位置での傾斜面3000a同士の間隔)Da2は、挿込孔3000の開口端の内幅Da1よりも小さく、且つ軸部221の外径よりも大きくなっていればよいが、本実施形態において挿込孔3000の奥端の内幅Da1は、一対の締付受部21が前記連結状態であるときの一方の被操作面2101の先端側と他方の被操作面2101の先端側との距離Db2と同一又は略同一に設定されている。
【0084】
また、挿込孔3000の深さDsは、締付受部21の長さ(被連設部2001からの延出量)以下となり、挿込孔3000のテーパー角は、締付受部21(被操作面211)のテーパー角以下となっていることが好ましい。このようにすれば、挿込孔3000の奥側まで締付受部21を十分に差し込み易くなる。
【0085】
連通孔3001の内径は、案内部22の外径よりも大きく設定されていればよい。
【0086】
被案内部31には、
図11に示すように、案内部22を螺合可能なねじ孔310が形成されており、該ねじ孔310は連通孔3001に連通している。
【0087】
カバー保持部32には、操作カバー部30を回転可能に収容する収容空間320が形成されている。収容空間320には、カバー本体部300が収容される第一空間3200と、抜止部301が収容される第二空間3201とが含まれており、第二空間3201の内径が第一空間3200の内径よりも大きくなっている。
【0088】
第一空間3200はカバー本体部300の外形に合わせて円形状に形成された穴によって構成されており、第一空間3200の内径は、操作カバー部30の外径よりも大きく且つ抜止部301の外径よりも小さくなっている。
【0089】
第二空間3200は、抜止部301が回転した際に、第二空間3200の内面(カバー保持部32の内面のうち第二空間3200を形成している部分)と抜止部301とが干渉しないように形成されていれば、形状は特に問わない。
【0090】
本実施形態の締付部材3は、装柱物用取付部4を兼ねている。例えば、本実施形態のように、装柱物が腕金である場合は、締付部材3を腕金の内部に固定すればよい。
【0091】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0092】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物に巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物への締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物を装柱物用取付部4に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0093】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、このバンド本体部20全体を柱状構造物の外周面に沿わせて配置する。これにより、バンド本体部20の内側に柱状構造物が配置された状態になる。このとき、各締付受部21は、前記周方向において互いに接近する方向への動き代が形成された状態で対向配置される。
【0094】
そして、抜差凹部2101cに案内部22を挿し込むと、各締付受部21の互いに離れる方向への動きが抑制された状態になる(
図14(a)参照)。
【0095】
そして、締付作業では、案内部22を先端部側からテーパー孔、連通孔3001に順に挿通する。
【0096】
このとき、挿込孔3000に一対の締付受部21が挿し込まれると、各締付受部21の端面(前記軸線方向での端面)が平行面3000bのそれぞれに当接するため、締付受部21に対する操作カバー部30の回転が規制される。これにより、締付部材3のうちの被案内部31とカバー保持部32とが操作カバー部30に対して回転可能な状態になる。
【0097】
そして、締付部材3に固定されている装柱物Oとともに被案内部31(及びカバー保持部32)を回転させると、被案内部31が案内部22に螺合する。
【0098】
そして、被案内部31に対する締め込み操作を続けると、各締付受部21が挿込孔3000の傾斜面3000aに押されて互いに接近する方向に動くとともに、各分割体200の被連設部2001が互いに接近する方向に引き寄せられ、これにより、バンド部材2に柱状構造物への締付力が生じる。また、案内部22とねじ孔310とが互いに螺合するため、締付部材3がバンド部材2に対して抜止された状態にもなる(
図14(b)参照)。
【0099】
さらに、本実施形態では、締付部材3に対して装柱物が一体的に取り付けられているため、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0100】
続いて、本発明の第三実施形態にかかる装柱バンドについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0101】
本実施形態の装柱バンドも、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態においても装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0102】
図15に示すように、本実施形態の装柱バンド1は、柱状構造物に巻付可能であるバンド部材2と、柱状構造物Pに巻き付けた状態のバンド部材2に柱状構造物Pへの締付力を生じさせるための締付部材3と、バンド部材2に装柱物Oを取り付ける装柱物用取付部4と、を備えている。
【0103】
なお、以下の説明において、柱状構造物の軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向と前記周方向とに直交する方向(すなわち、柱状構造物の径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、径方向において外側に向かう方向を径外方向、径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0104】
バンド部材2は、締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0105】
本実施形態のバンド部材2は、前記周方向に沿って湾曲した形状となるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、締付部材3の動きを案内するための案内部22と、を有する。また、バンド部材2では、開閉連結部2Sがバンド本体部20の後述する被連設部2001と締付受部21とで構成されている。
【0106】
バンド本体部20は、分割可能となるように構成されており、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0107】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が連設される被連設部2001と、を有する。本実施形態に係る分割体200は、帯板状の部材を湾曲させて形成されており、長手方向における一端部が連結部2000、他端部が被連設部2001となっている。
【0108】
本実施形態の各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されるが、本実施形態では互いの連結部2000が直接的に連結可能となるように構成されている。
【0109】
より具体的に説明すると、一方の分割体200の連結部2000には、連結部2000の厚み方向で貫通する連結孔2000aが形成されている。なお、一方の分割体200の連結部2000には、複数の連結孔2000aが前記周方向で間隔を空けて並べて形成されている。
【0110】
他方の分割体200の連結部2000には、前記連結孔2000aに引掛可能な連結用引掛部2000bが形成されている。
【0111】
各締付受部21は、被連設部2001から前記径外方向に延出している。そのため、締付受部21は、バンド本体部200から柱状構造物の径外方向に向かって延出する延出部となっている。
【0112】
各締付受部21は、
図16(a)に示すように、被連設部2001の先端から前記径外方向に向かって延出する平板状の基端側平板部210と、基端側平板部210の先端から隣り合う基端側平板部210に向かって延出する先端側平板部211と、を有する。本実施形態の締付受部21は、屈曲した板状となっており、屈曲位置よりも被連設部2001側が基端側平板部210となり、屈曲位置よりも被連設部2001とは反対側が先端側平板部211となっている。
【0113】
基端側平板部210の一方の板面は、隣り合う基端側平板部210に向けて配置される2100であり、他方の板面は、締付部材3から押し操作される被操作面2101となっている。
【0114】
各締付受部21の対向面2100は、バンド部材2で柱状構造物を締め付ける際に互いの間に間隔をあけて対向配置され、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられていない連結準備状態から、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられた連結状態に切り替わる際に、互いの間の間隔も狭まるようになっている。
【0115】
また、各締付部材21の基端側平板部210は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるときに、基端から先端に向かうにつれて徐々に接近した姿勢となる。
【0116】
各先端側平板部211は、前記径内方向に向けて配置される内面2110と、前記径外方向に向けて配置される外面2111と、を有する。
【0117】
そして、一方の締付受部21の先端側平板部211の外面2111には、案内部22が立設されている。案内部22は、軸状に形成されており、案内部22自身の軸線方向が一方の先端側平板部211の外面2111に対して直交した状態で、一方の先端側平板部211の外面2111に立設されている。また、案内部22の外周面にはねじ山が形成されている。他方の締付受部21の先端側平板部211には、前記周方向において抜差可能な抜差凹部2101cが形成されている(
図16(b)参照)。
【0118】
そして、一対の締付受部21が前記連結準備状態になると、一方の先端側平板部211の外面2111と他方の先端側平板部211の内面2110とが重なり合う。このとき,一方の先端側平板部211は,他方の先端側平板部211よりも前記径内方向側に入り込み、案内部22が抜差凹部2101cに挿入される(挿入可能な状態となる)。
【0119】
さらに、一方の締付受部21の先端側平板部211の外面2111には、案内部22が立設されており、他方の締付受部21の先端側平板部211には、前記周方向において抜差可能な抜差凹部2101cが形成されている。
【0120】
なお、抜差凹部2101cの幅は、案内部22の外径よりも僅かに小さくなるように形成されていることが好ましい。このようにすれば、一対の締付受部21を前記連結準備状態にしたときに案内部22が他方の先端側平板部211に噛み合うため、一対の締付受部21の前記連結準備状態が解除されにくくなる。
【0121】
案内部22は、
図16(a)に示すように、軸状に形成されており、案内部22自身の軸線方向が一方の先端側平板部211の外面2111に対して直交した状態で、一方の先端側平板部211の外面2111に立設されている。また、案内部22の外周面にはねじ山が形成されている。
【0122】
締付部材3は、
図17に示すように、互いの間に間隔をあけた状態で対向配置されている一対の締付受部21に被せる操作カバー部30と、前記操作カバー部30に設けられ、且つ前記案内部22によって、前記案内部22の長手方向に沿って案内される被案内部31と、を有する。
【0123】
操作カバー部30には、一対の締付受部21が挿し込まれる挿込孔3000と、挿込孔3000に連通する連通孔3001とからなる挿込孔300が規制されている。
【0124】
挿込孔3000は、
図18に示すように、開口の正面視形状が矩形状となるように形成されている。また、挿込孔3000の内面のうち、一対の締付部材21が前記連結準備状態、若しくは前記連結状態であるときに各基端側平板部210が並ぶ方向において対向する一対の面は、開口端側から奥側に向かうにつれて互いの間隔が徐々に狭まるように形成された傾斜面3000aとなっており、前記軸線方向で対向する一対の面は、互いに平行な平行面3000bとなっている。また、平行面3000b同士の間の間隔は、締付受部21の前記軸線方向での幅と同一又は略同一に設定されている。
【0125】
図19(a)に示すように、挿込孔3000の開口端の内幅Da1は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるときの一方の被操作面2101の先基端側と他方の被操作面2101の先端側との距離Db1よりも大きくなっていればよく、本実施形態では、一方の被操作面2101の基端側と他方の被操作面2101の基端側との距離と同一又は略同一となっている。
【0126】
そして、
図19(b)に示すように、挿込孔3000の奥側の端(以下、奥端と称する)の内幅Da2は、挿込孔3000の開口端の内径よりも小さく、且つ軸部221の外径よりも大きくなっていればよいが、本実施形態において挿込孔3000の奥端の内幅Da1は、一対の締付受部21が前記連結状態であるときの一方の被操作面2101の先端側と他方の被操作面2101の先端側との距離Db2と同一又は略同一となっている。
【0127】
また、挿込孔3000の深さDsは、締付受部21の長さ(被連設部2001からの延出量)Ls以下となり、挿込孔3000のテーパー角(傾斜面3000aの傾斜角)は、締付受部21(被操作面211)のテーパー角以下となっていることが好ましい。このようにすれば、挿込孔3000の奥側まで締付受部21を到達させ易くなる。
【0128】
連通孔3001の内径は、案内部22の外径よりも大きく設定されていればよい。
【0129】
被案内部31には、
図17に示すように、案内部22を螺合可能なねじ孔310が形成されている。
【0130】
本実施形態では、操作カバー部30と、被案内部31とが別体で構成されており、一対の締付受部21に操作カバー部30を被せた後に、案内部22に被案内部31のねじ孔310を螺合させるようになっている。
【0131】
また、被案内部31は、装柱物に固定されており、本実施形態では、装柱物としての腕金の内部に固定されている。そのため、本実施形態では、被案内部31が装柱物用取付部4を兼ねている。
【0132】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0133】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物に巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物への締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物を装柱物用取付部4に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0134】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、このバンド本体部20で柱状構造物を取り囲む。これにより、バンド本体部20の内側に柱状構造物が配置された状態になる。
【0135】
そして、一対の締付部材21を組み合わせて一方の先端側平板部211に設けられている案内部22を他方の先端側平板部211に形成されている抜差凹部2101cに挿し込み、固定部22と他方の先端側平板部211とがかみ合うと、バンド部材2が柱状構造物に巻き付けられ、且つ一対の締付部材21が組合された状態でバンド部材2が柱状構造物に仮止めされる(
図20(a)参照)。
【0136】
締付作業では、一対の締付受部21に操作カバー部30を被せる。具体的には、案内部22を連通孔3001に通し、続いて、一対の締付受部21が挿込孔3000に入る位置まで操作カバー部30を移動させる。
【0137】
また、挿込孔3000に一対の締付受部21が挿し込まれると、各締付受部21の端面(前記軸線方向での端面)が平行面3000bのそれぞれに当接するため、操作カバー部30は、締付受部21に対する回転が規制された状態になる。
【0138】
そして、この状態でねじ孔310を案内部22に螺合させ、装柱物Oとともに被案内部31を回転させると、被案内部31が操作カバー部30を押しながら案内部22の基端側に動く。このようにすると、各締付受部21が挿込孔3000の傾斜面3000aに押されて互いに接近する方向に動くとともに、各分割体200の被連設部2001が互いに接近する方向に引き寄せられるため、バンド部材2に柱状構造物への締付力が生じる。また、案内部22とねじ孔310とが互いに螺合するため、締付部材3がバンド部材2に対して抜止された状態にもなる(
図20(b)参照)。
【0139】
また、本実施形態では、締付部材3に対して装柱物Oが一体的に取り付けられているため、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0140】
続いて、本発明の第四実施形態にかかる装柱バンドについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0141】
本実施形態の装柱バンドも、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態においても装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0142】
図21に示すように、本実施形態の装柱バンド1は、柱状構造物Pに巻付可能であるバンド部材2と、柱状構造物Pに巻き付けた状態のバンド部材2に柱状構造物Pへの締付力を生じさせるための締付部材3と、バンド部材2に装柱物Oを取り付ける装柱物用取付部4と、を備えている。
【0143】
なお、以下の説明において、柱状構造物の軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向と前記周方向とに直交する方向(すなわち、柱状構造物の径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、前記径方向において外側に向かう方向を径外方向、前記径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0144】
バンド部材2は、
図22に示すように、締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0145】
本実施形態のバンド部材2は、前記周方向に沿って湾曲した形状となるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、を有する。また、バンド部材2では、開閉連結部2Sが締付受部21で構成されている。
【0146】
バンド本体部20は、分割可能となるように構成されており、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0147】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が連設される被連設部2001と、を有する。本実施形態に係る分割体200は、帯板状の部材を湾曲させて形成されており、長手方向における一端部が連結部2000、他端部が被連設部2001となっている。
【0148】
本実施形態の各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されるが、本実施形態では互いの連結部2000が直接的に連結可能となるように構成されている。
【0149】
より具体的に説明すると、一方の分割体200の連結部2000には、連結部2000の厚み方向で貫通する連結孔2000aが形成されている。なお、一方の分割体200の連結部2000には、複数の連結孔2000aが前記周方向で間隔を空けて並べて形成されている。
【0150】
他方の分割体200の連結部2000には、前記連結孔2000aに引掛可能な連結用引掛部2000bが形成されている。
【0151】
各締付受部21は、被連設部2001から前記径外方向に延出している。そのため、締付受部21は、バンド本体部200から柱状構造物の径外方向に向かって延出する延出部となっている。
【0152】
各締付受部21は、被連設部2001の先端から前記径外方向に向かって延出する平板状の基端側平板部210と、基端側平板部210の先端から隣り合う基端側平板部210に向かって延出する先端側平板部211と、を有する。本実施形態の締付受部21は、屈曲した板状となっており、屈曲位置よりも被連設部2001側が基端側平板部210となり、屈曲位置よりも被連設部2001とは反対側が先端側平板部211となっている。
【0153】
各締付受部21は、被連設部2001の先端から前記径方向において、被連設部2001よりも外側に向かって延出する平板状の平板部210を有する。
【0154】
平板部210の一方の板面は、隣り合う平板部210に向けて配置される対向面2100であり、他方の板面は、締付部材3から押し操作される被操作面2101となっている。
【0155】
各締付受部21の対向面2100は、バンド部材2で柱状構造物を締め付ける際に互いの間に間隔をあけて対向配置され、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられていない連結準備状態から、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられた連結状態に切り替わる際に、互いの間の間隔も狭まるようになっている。
【0156】
また、各締付部材21の平板部210は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるときに、基端から先端に向かうにつれて徐々に接近した姿勢となる。
【0157】
締付部材3は、前記連結準備状態の一対の締付受部21に被せる操作カバー部30と、操作カバー部30をバンド部材2に固定する固定構造31と、操作カバー部30を締付受部21に被せた状態を維持するための保持部32と、を有している。
【0158】
操作カバー部30には、
図23に示すように、一対の締付受部21を挿込可能な挿込領域300が形成されている。
【0159】
本実施形態の操作カバー部30は、各締付受部21の被操作面2101を接近させる方向に押操作する一対の押操作面301を有しており、該一対の押操作面301の間が挿込領域300となっている。
【0160】
ここで、固定構造31は、バンド本体部20(被連設部2001)と柱状構造物との間に挿し込まれるベース部310と、ベース部310に対して操作カバー部30を回転可能に連結する回転連結部311と、を有する。また、回転連結部311は、操作カバー部30の回転中心となる回転軸3110を有しており、この回転軸3110は、一対の締付受部21の上に横たわった状態で配置される。
【0161】
そのため、操作カバー部30は、回転軸3110を中心とする周方向の一方側(
図26における時計回り方向)への回転に伴い、一対の締付受部21に対して上方から被さった状態に切り替わり、回転軸3110を中心とする周方向の他方側(
図26における反時計回り方向)への回転に伴い、一対の締付受部21から上方に離れた状態に切り替わるように構成されている。
【0162】
以下、
図24(a)、
図24(b)を参照しつつ押操作面301の説明を行うが、一対の押操作面301が並ぶ方向(
図24(a)、
図24(b)の左右に対応する方向)を並び方向、前記径方向のうち前記並び方向に直交する方向(
図24(a)の上下に対応する方向)を内外方向、並び方向と内外方向とに直交する方向を上下方向(
図24(b)の上下に対応する方向)と称する。
【0163】
各押操作面301は、
図24(a)に示すように、一対の締付受部21に被せられている操作カバー部30を上方から見た状態において内外方向における内側の一端から他端に向かうにつれて前記並び方向での間隔が徐々に狭まるように形成されている。
【0164】
また、押操作面301の前記上下方向における下端301aは、前記並び方向において締付受部21よりも外側に位置するように形成され、押操作面301の前記上下方向における上端301bは、前記並び方向において締付受部21よりも内側に位置するように形成されている。
【0165】
さらに、各押操作面301は、
図24(b)に示すように、一対の締付受部21に被せられている操作カバー部30を内外方向における外側から見た状態で、下端301aから上端301bに向かうにつれて前記並び方向での間隔が徐々に狭まるように形成されている。
【0166】
保持構造32は、
図23に示すように、操作カバー部30の下端に設けられたカバー側掛止部320と、ベース部310に取り付けられたベース側掛止部321であって、一対の締付受部21に操作カバー部30を被せた状態において、カバー側掛止部320に掛止した状態と、カバー側掛止部320に対する掛止を解除した状態とに切替可能なベース側掛止部321と、を有する。
【0167】
カバー側掛止部320は、前記径方向において各傾斜面3000aよりも外側に位置する一対の突出片部3200を有しており、各突出片部3200には、掛止孔(貫通孔)3201が形成されている。
【0168】
ベース側掛止部321は、ベース部310の前面(柱状構造物側に向けて配置される面とは反対側の面)に固定されている固定部3210と、固定部3210から互いに相反する方向に向かって延出する一対のアーム部3211と、アーム部3211の先端部から隣り合うアーム部3211とは反対側に向かって突出するように形成された掛止突部3212であって、掛止孔3201に掛止可能な掛止突部3212とを有しており、一対の締付受部21に操作カバー部30を被せた状態にすると、掛止突部3212を掛止孔3201に掛止した状態と、掛止孔3201に対する掛止を解除した状態とに切り替え可能となる。
【0169】
なお、一対のアーム部3211は、弾性変形可能な構成とすることで、互いの先端部が接離するように撓ませることができるようになっていることが好ましい。このようにすれば、各アーム部3211の先端部に形成されている掛止突部3212の動きも許容されるため、掛止突部3212を掛止孔3201に掛止した状態と、掛止孔3201に対する掛止を解除した状態とに切り替え易くなる。
【0170】
本実施形態の締付部材3は、装柱物用取付部4を兼ねている。例えば、本実施形態のように、装柱物Oが腕金である場合は、締め付け部材3を腕金の内部に固定すればよい。
【0171】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0172】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物に巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物への締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物Oを装柱物用取付部4に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0173】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、このバンド本体部20で柱状構造物を取り囲む。これにより、バンド本体部20の内側に柱状構造物が配置された状態になる。
【0174】
締付作業では、一対の締付部材21を接近させた状態のまま、柱状構造物とバンド本体部20(具体的には、被連設部2001)との間にベース部310を配置した状態で、操作カバー部30を回転させることによって一対の締付受部21に被せる(
図25参照)。
【0175】
これに伴い、各締付部材21の被操作面211への押操作面301の当接位置が下端301a側から上端301b側に移るにつれて、押操作面301によって各締付部材21が互いに接近する方向に案内される。これに伴い、各バンド本体部20の被連設部2001同士が互いに接近する方向に引き寄せられ、バンド部材2に柱状構造物への締付力が生じる。
【0176】
さらに、掛止突部3212が掛止孔3201に掛止された状態になると、操作カバー部30の回転が規制されるため、操作カバー部30を一対の締付受部21に被せた状態、すなわち、バンド部材2に柱状構造物への締付力を生じさせている状態が解除されてしまうことが防止される。
【0177】
また、本実施形態では、締付部材3に対して装柱物Oが一体的に取り付けられているため、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0178】
以上のように、上記第1実施形態に係る装柱バンド1によれば、バンド本体部20を柱状構造物Pの外周面に沿わせて配置し、一対の締付部材21を前記周方向において互いの間に隙間が形成されるようにして対向配置した状態で一対の締付部材21に操作カバー部30を被せると、操作カバー部30により一対の締付部材21が前記周方向において互いに接近する方向に押し操作される。そのため、バンド部材2の両端部が前記周方向において互いに接近する方向に引き操作され、これにより、バンド部材2に柱状構造物Pへの締付力が生じるようになっている。
【0179】
従って、従来の装柱バンドのようなねじ締め作業ではなく、一対の締付部材21にカバー操作部30を被せるという簡単な操作によってバンド部材に柱状構造物Pへの締付力を生じさせることができるため、簡単な作業で柱状構造物に固定することが可能であり、装柱作業の簡素化を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【0180】
また、第二実施形態の装柱バンド1、第三実施形態の装柱バンド1は、第一実施形態に係る第一実施形態に係る装柱バンド1のように、一対の締付部材21に対して前記径方向外方から操作カバー部30を被せることができ、第四実施形態の装柱バンド1では、操作カバー部30を回転させて一対の締付部材21に被せることができるため、第二実施形態の装柱バンド1、第三実施形態の装柱バンド1、第四実施形態の装柱バンド1も第一実施形態の装柱バンド1と同様に、装柱作業の簡素化を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【0181】
さらに、第二実施形態の装柱バンド1においては、先端側平板部211の外面2111と被案内部31との間に挿込孔3000の底部が介在するため、装柱物Oとともに被案内部31が回転する際に、先端側平板部211の外面2111と被案内部31との摺動を防止することができる。
【0182】
また、第三実施形態の装柱バンド1においても、先端側平板部211の外面2111と被案内部31との間に挿込孔3000の底部が介在するため、装柱物Oとともに被案内部31が回転する際に、先端側平板部211の外面2111と被案内部31との摺動を防止することができる。
【0183】
従って、第二実施形態の装柱バンド1においても、第三実施形態の装柱バンド1においても、先端側平板部211の消耗を抑えることができる。
【0184】
なお、本発明に係る装柱バンドは、上記第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態、第四実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0185】
上記第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態の装柱バンド1、第四実施形態の装柱バンド1の使用方法では、締付作業が完了するとともに装柱物Oがバンド部材2に固定された状態になっていたが、この構成に限定されない。例えば、締付作業を完了させた後に装柱物Oをバンド部材2に固定してもよい。
【符号の説明】
【0186】
1…装柱バンド、2…バンド部材、3…締付部材、P…柱状構造物、O…装柱物