(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082269
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、ゲーム装置、ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/79 20140101AFI20220525BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20220525BHJP
A63F 13/5375 20140101ALI20220525BHJP
【FI】
A63F13/79
A63F13/69
A63F13/5375
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193738
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲
(72)【発明者】
【氏名】奥山 幹樹
(72)【発明者】
【氏名】川上 智司
(72)【発明者】
【氏名】津原 一成
(72)【発明者】
【氏名】田中 大将
(72)【発明者】
【氏名】北口 里英
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を改善することが可能なゲームプログラムを提供する。
【解決手段】ゲームプログラムは、ゲーム装置の制御部を、第1ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段と、として機能させる。ゲームプログラムは、サーバ装置2bの制御部23bを、第1ゲーム媒体、又は第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理手段234bとして機能させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理手段と、として機能させる
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
前記ゲーム媒体管理手段は、前記所定期間を、前記第1ゲームのサービス提供期間中の時点から、前記第1ゲームのサービス終了時点よりも後の時点までの期間として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲームにおける前記第1ゲーム媒体の利用価値と、前記第2ゲームにおける前記第1ゲーム媒体又は前記第2ゲーム媒体の利用価値との偏差である利用価値変動量に基づいて前記所定期間の長さを設定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲームにおける前記第1ゲーム媒体の利用価値と、前記第2ゲームにおける前記第1ゲーム媒体又は前記第2ゲーム媒体の利用価値との偏差である利用価値変動量に基づいて、前記第2ゲームにおける前記第1ゲーム媒体又は前記第2ゲーム媒体の特性を設定する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲーム及び前記第2ゲームの少なくとも一方の人気度に基づいて前記利用価値変動量を設定する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記第2ゲームが複数存在し、
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第2ゲームの数に基づいて前記利用価値変動量を設定する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第2ゲームの数として、複数の前記第2ゲームのうち、前記ユーザがプレイしている前記第2ゲームの数を用いる
ことを特徴とする請求項6に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
前記所定期間中に前記ユーザが前記第1ゲーム媒体を保有している場合、前記第1ゲームから前記第2ゲームへの移行をユーザに促す画面を表示する表示制御手段として更に機能させる
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータを、
前記所定期間中に前記ユーザが前記第1ゲームにおいて前記第1ゲーム媒体を新たに取得した場合、前記第1ゲームから前記第2ゲームへの移行をユーザに促す画面を表示する表示制御手段として更に機能させる
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
前記第2ゲームが複数存在し、
前記コンピュータを、
前記所定期間が経過したときに複数の前記第2ゲームのうちのいずれかを前記ユーザに選択させる選択手段として更に機能させ、
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲーム媒体を、前記選択手段により選択された前記第2ゲームにおいて利用可能なゲーム媒体に変換する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータを、
前記第1ゲーム媒体に対応したトークンを分散型台帳に記憶して管理する情報管理手段として更に機能させ、
前記分散型台帳は、前記第1ゲームと前記第2ゲームとにおいて共通に利用可能である
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項12】
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行部と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行部と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与部と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理部と、を備える
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項13】
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行部と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行部と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与部と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理部と、を備える
ことを特徴とするゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラム、ゲーム装置、及びゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の電子機器により提供されるオンラインゲームとして、ブロックチェーン技術を用いるものが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オンラインゲームに関しては、ユーザの利便性にさらなる改善の余地がある。
本開示は、ユーザの利便性を改善することが可能なゲームプログラム、ゲーム装置、及びゲームシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の側面は、コンピュータを、
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理手段と、として機能させる
ことを特徴とするゲームプログラムである。
【0006】
第1の側面において、前記ゲーム媒体管理手段は、前記所定期間を、前記第1ゲームのサービス提供期間中の時点から、前記第1ゲームのサービス終了時点よりも後の時点までの期間として設定することができる。
第1の側面において、前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲームにおける前記第1ゲーム媒体の利用価値と、前記第2ゲームにおける前記第1ゲーム媒体又は前記第2ゲーム媒体の利用価値との偏差である利用価値変動量に基づいて前記所定期間の長さを設定することができる。
【0007】
第1の側面において、前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲームにおける前記第1ゲーム媒体の利用価値と、前記第2ゲームにおける前記第1ゲーム媒体又は前記第2ゲーム媒体の利用価値との偏差である利用価値変動量に基づいて、前記第2ゲームにおける前記第1ゲーム媒体又は前記第2ゲーム媒体の特性を設定することができる。
【0008】
第1の側面において、前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲーム及び前記第2ゲームの少なくとも一方の人気度に基づいて前記利用価値変動量を設定することができる。
第1の側面において、前記第2ゲームが複数存在する場合、前記ゲーム媒体管理手段は、前記第2ゲームの数に基づいて前記利用価値変動量を設定することができる。
【0009】
第1の側面において、前記ゲーム媒体管理手段は、前記第2ゲームの数として、複数の前記第2ゲームのうち、前記ユーザがプレイしている前記第2ゲームの数を用いることができる。
第1の側面において、前記コンピュータを、
前記所定期間中に前記ユーザが前記第1ゲーム媒体を保有している場合、前記第1ゲームから前記第2ゲームへの移行をユーザに促す画面を表示する表示制御手段として更に機能させることができる。
【0010】
第1の側面において、前記コンピュータを、
前記所定期間中に前記ユーザが前記第1ゲームにおいて前記第1ゲーム媒体を新たに取得した場合、前記第1ゲームから前記第2ゲームへの移行をユーザに促す画面を表示する表示制御手段として更に機能させることができる。
【0011】
第1の側面において、前記第2ゲームが複数存在する場合、
前記コンピュータを、
前記所定期間が経過したときに複数の前記第2ゲームのうちのいずれかを前記ユーザに選択させる選択手段として更に機能させ、
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲーム媒体を、前記選択手段により選択された前記第2ゲームにおいて利用可能なゲーム媒体に変換することができる。
【0012】
第1の側面において、前記コンピュータを、
前記第1ゲーム媒体に対応したトークンを分散型台帳に記憶して管理する情報管理手段として更に機能させ、
前記分散型台帳は、前記第1ゲームと前記第2ゲームとにおいて共通に利用可能とすることができる。
【0013】
第2の側面は、
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行部と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行部と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与部と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理部と、を備える
ことを特徴とするゲーム装置である。
【0014】
第3の側面は、
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行部と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行部と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与部と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理部と、を備える
ことを特徴とするゲームシステムである。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、ユーザの利便性を改善することが可能なゲームプログラム、ゲーム装置、及びゲームシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態のゲームシステムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態の第1サーバ装置及び第2サーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態のノード装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態のゲーム装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】(a),(b)は、第1ゲーム及び第2ゲームの推移をそれぞれ示すタイミングチャートである。
【
図6】実施形態の第1サーバ装置及び第2サーバ装置のそれぞれの制御部により実行される処理の手順を示すシーケンスチャートである。
【
図7】第1変形例の第1サーバ装置及び第2サーバ装置のそれぞれの制御部により実行される処理の手順を示すシーケンスチャートである。
【
図8】第4変形例のゲーム媒体管理手段により用いられるマップの一例を示す図である。
【
図9】第5変形例の表示制御手段により実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】ゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図11】第6変形例の表示制御手段により実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】第7変形例のゲーム装置及び第1サーバ装置のそれぞれの制御部により実行される処理の手順を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
本開示のゲームシステム1の実施形態について図面を参照して説明する。
<ゲームの説明>
図1に示されるゲームシステム1では、第1サーバ装置2a、第2サーバ装置2b、複数のノード装置3、及び複数のゲーム装置5が通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続されており、各サーバ装置2a,2bにより提供されるゲームがゲーム装置5において実行される。以下では、サーバ装置2aにより提供されるゲームを「第1ゲーム」と称し、サーバ装置2bにより提供されるゲームを「第2ゲーム」と称する。第2ゲームは第1ゲームとは別のゲームであるが、それらの概要は以下の通りである。
【0018】
本実施形態の第1ゲーム及び第2ゲームは、ゲームシステム1において実行されるオンラインのゲームである。各ゲームでは、ゲーム装置5のユーザが、単数又は複数のプレイヤキャラクタを仮想ゲーム空間で活動させたり、プレイヤキャラクタを、ノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタと対戦させたりする。プレイヤキャラクタはオブジェクトに相当する。
【0019】
各ゲームでは、ユーザがゲーム媒体を取得することができる。ゲーム媒体とは、各ゲームに関する要素を表した電子データであって、プレイヤが仮想空間において操作するプレイヤキャラクタ、プレイヤキャラクタが仮想ゲーム空間内で使用できる武器、防具、道具等のアイテム、並びに各ゲーム内で使用可能な各種仮想通貨を含む消費媒体等である。ユーザは、ゲーム媒体を、課金による購入や、クエストのクリアや各種ゲーム内イベントの報酬、ガチャと呼ばれる抽選方法等により入手することができる。
【0020】
仮想通貨は、有償の仮想通貨であってもよいし、無償の仮想通貨であってもよい。有償の仮想通貨は、課金により取得される仮想通貨である。無償の仮想通貨は、課金によらずに取得される仮想通貨である。無償の仮想通貨は、例えばゲームのログイン時にユーザに付与される特典(いわゆるログインボーナス)、あるいはクエスト等のゲームイベントのクリアによりユーザに付与される特典等、ゲームの進行に応じて取得可能であってもよい。
【0021】
クエストとは、ゲーム内で達成すべき課題や条件などが関連付けられたゲームコンテンツである。クエストには、そのクリア条件が設定されている。ユーザのゲーム行動によりクエストのクリア条件が達成されるとユーザに所定の報酬が付与される。なお、クエストにはクリア条件以外の課題(いわゆるミッション)が関連付けられていてもよい。当該ミッションを達成しつつクリア条件を成就することで、ユーザにはクリア報酬に加えてミッションクリア報酬が付与される。
【0022】
ガチャとは、所定の選択割合に基づき任意のゲーム媒体を抽選により選択する方法である。選択された任意のゲーム媒体はユーザに付与される。ガチャを行うために消費されるゲーム媒体には、例えば課金操作によりユーザに付与される有償ゲーム媒体である「有償石」や、ゲーム行動を通じてユーザに付与される無償ゲーム媒体である「無償石」がある。なお、「ゲーム媒体をユーザに付与する」とは「ゲーム媒体を、ユーザを示す識別情報と関連付ける」と同義である。また、「ゲーム媒体をユーザが所有する」とは「ゲーム媒体が、ユーザを示す識別情報に関連付けられている」と同義である。
【0023】
本実施形態のゲームは、ゲーム媒体の情報を、複数のノード装置3により構成される分散型ネットワークシステム、具体的にはブロックチェーンシステム4で管理する、いわゆるブロックチェーンゲームである。ブロックチェーンシステム4では、各ゲームのゲーム媒体がNFT(Non Fungible Token)化されて管理されている。NFTとは、代替不可能なトークンを意味し、ゲーム媒体が固有のものであることを証明できるものである。ブロックチェーンシステム4では、各ゲーム媒体に対応するトークンの情報が、複数のノード装置3がそれぞれ保有する分散型台帳に記憶されて管理されている。このようにブロックチェーンゲームではゲーム媒体の固有性を確保できるため、ゲーム媒体の交換や売却を安全に行うことができるだけでなく、例えば第1ゲームで取得したゲーム媒体を第2ゲームで利用すること等が可能となる。
【0024】
このような第1ゲーム及び第2ゲームは、プレイステーション(登録商標)等の家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)等の携帯用ゲーム機、もしくはパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の電子機器であるゲーム装置5を用いて実行される。以下では、ゲーム装置5がスマートフォンである場合を例示する。
【0025】
<ゲームシステム1の概要>
ゲームシステム1は第1サーバ装置2a、第2サーバ装置2b、複数のノード装置3、及び複数のゲーム装置5により構成される。
各サーバ装置2a,2bは、ゲームプログラム及びゲームデータを記憶しており、ゲーム装置5のゲームデータの管理、より詳細にはアカウント毎のゲームデータの管理を行う。
【0026】
ゲーム装置5はユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、ゲーム装置5は通信ネットワーク6を介してサーバ装置2a,2bからゲームプログラム及びゲームデータの受信、具体的にはダウンロード及びインストールを行う。各ユーザには、ゲーム装置5に対応付けられてアカウント情報が割り当てられている。アカウント情報には識別情報及びパスワード等が含まれている。アカウント情報は、ログイン時にゲーム装置5からサーバ装置2a,2bに送信されて、サーバ装置2a,2bにおけるユーザ認証に利用される。
【0027】
ユーザ認証を経てサーバ装置2a,2bとゲーム装置5との相互通信が可能となる。ログイン後、ゲーム装置5は、ゲーム進行に必要なデータ、例えばゲーム進行状況に関するデータをサーバ装置2a,2bから受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像及び音声をディスプレイ61及びスピーカ62からそれぞれ出力しつつ、ゲームを進行させる。
【0028】
本実施形態のゲームシステム1では、第1ゲームのアカウント情報と第2ゲームのアカウント情報とが共通化されている。よって、ユーザは、第1ゲーム及び第2ゲームのいずれか一方のゲームのアカウント情報を有している場合には、そのアカウント情報を用いて他方のゲームをプレイすることが可能である。
【0029】
複数のノード装置3はブロックチェーンシステム4を構成している。ブロックチェーンシステム4は、各ノード装置3が保有する分散型台帳において同一のデータをブロックチェーン技術に基づいて記憶及び同期することにより、データの正確性や耐改ざん性を確保する。本実施形態では、各ゲーム装置5のユーザが所有するゲーム媒体がブロックチェーンシステム4の分散型台帳で管理されている。本実施形態のゲームシステム1では、第1ゲームのゲーム媒体及び第2ゲームのゲーム媒体が共通のブロックチェーンシステム4の分散型台帳で管理されている。換言すれば、ブロックチェーンシステム4の分散型台帳は第1ゲームと第2ゲームとにおいて共通に利用可能である。
【0030】
<ゲームシステム1の構成>
以下、
図2を参照して、サーバ装置2a,2b、ノード装置3、及びゲーム装置5の各ハードウェア構成について説明する。
<第1サーバ装置2aの構成>
第1サーバ装置2aは第1ゲームをゲーム装置5に提供する。
図2に示されるように、第1サーバ装置2aは、ネットワークインターフェース21a、記憶部22a、及び制御部23aを有している。ネットワークインターフェース21a及び記憶部22aはバス29aを介して制御部23aと電気的に接続されている。
【0031】
ネットワークインターフェース21aはインターネット及びLAN等の通信ネットワーク6を介して各ノード装置3及び各ゲーム装置5と通信可能に接続されている。
記憶部22aは、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びSSD(Solid State Drive)等で構成されている。記憶部22aには、本実施形態のゲームプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザDB(Data Base)221a、ゲーム媒体DB222a等の各種データが記憶されている。
【0032】
ユーザDB221aには、ゲームをプレイするユーザの識別番号毎に、ユーザ情報、ユーザが操作するプレイヤキャラクタに関する情報、仮想ゲーム空間内で使用可能な消費媒体の額等が対応付けられて記憶されている。ユーザ情報は、ユーザ名やユーザランク等の情報を含む。プレイヤキャラクタに関する情報は、プレイヤキャラクタのレベルやステータス、当該プレイヤキャラクタに関連付けられた装備品やアイテム等の情報を含む。
【0033】
ゲーム媒体DB222aには、第1ゲームで用いられる全てのゲーム媒体の特性に関する情報が記憶されている。例えばゲーム媒体が、プレイヤキャラクタのヒットポイントを回復するアイテムである場合には、その回復アイテムの回復量に関する情報がゲーム媒体DB222aに記憶されている。
【0034】
制御部23aは、CPU及び半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、第1サーバ装置2aの動作を制御する。制御部23aは、各種プログラムを実行することにより、情報処理手段231a、照合手段232a、サービス管理手段233a、ゲーム媒体管理手段234a、及び抽選実行手段235aとして機能する。本実施形態では、これらの手段231a~235aはそれぞれ、情報処理部、照合部、サービス管理部、ゲーム媒体管理部、及び抽選実行部に相当する。
【0035】
―情報処理手段231a―
情報処理手段231aは各ゲーム装置5との間で各種データを送受信する。情報処理手段231aが受信する主なデータとしては、ゲームプログラムのダウンロード要求情報、ユーザの操作に応じたガチャの抽選要求、アカウント情報、ゲームデータ等が挙げられる。情報処理手段231aが送信する主なデータとしては、ゲームプログラムをゲーム装置5が受信したことを確認するための情報、ガチャで得られたゲーム媒体に関する情報等があげられる。
【0036】
―照合手段232a―
照合手段232aは、ゲーム装置5から受信したユーザの識別情報を用いてユーザアカウントの認証を行う。
―サービス管理手段233a―
サービス管理手段233aは、例えば第1ゲームのサービスが終了する際に、その旨を告知したり、サービスの終了時期を決定したりする。具体的には、サービス管理手段233aは、第1ゲームのサービス終了が決定した場合には、その旨と共に、サービスの終了をユーザに告知する時期、及びサービスの終了時期を第2サーバ装置2bに送信する。サービス管理手段233aは、告知時期になった場合には、例えばインターネットの第1ゲームのホームページ上に、第1ゲームのサービスが終了する旨、及びその終了時期等を掲載することにより、第1ゲームの終了をユーザに告知する。また、サービス管理手段233aは、サービスの終了時期になった場合には、第1ゲームの全サービスを停止するとともに、第1ゲームのサービスが終了した旨を第2サーバ装置2bに送信する。
【0037】
―ゲーム媒体管理手段234a―
ゲーム媒体管理手段234aは、第1ゲームのゲーム媒体に対応するトークをブロックチェーンシステム4の分散型台帳で管理する。
例えば、ゲーム媒体管理手段234aは、第1ゲーム内で所定のゲーム媒体をユーザが取得した場合には、そのゲーム媒体に対応するトークンをブロックチェーンシステム4の分散型台帳に登録する。また、ゲーム媒体管理手段234aは、第1ゲーム内において、異なるユーザ間でゲーム媒体の交換や売却等の各種取引が行われた場合には、そのゲーム媒体に対応するトークンの取引の履歴をブロックチェーンシステム4の分散型台帳に登録する。
【0038】
―抽選実行手段235a―
抽選実行手段235aは、ユーザの抽選要求に応じてゲーム媒体の抽選を実行する。具体的には、ゲーム装置5の制御部56が、まず、タッチパッド63および操作部54を介してユーザからの抽選要求を受け付ける。制御部56は、受け付けた抽選要求を、ネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2aの抽選実行手段235aに送信する。抽選実行手段235aは、抽選要求を受信すると、この要求に応じてゲーム媒体毎の当選確率に基づいて抽選リストの中から1以上のゲーム媒体を抽選により選択する。抽選実行手段235aは、選択したゲーム媒体に関する情報と、抽選要求の送信元となる操作を行ったユーザの識別情報とをブロックチェーンシステム4の分散型台帳において関連付ける。これにより、ユーザには、自身でガチャを引くことにより当選したゲーム媒体が付与される。
【0039】
このように、本実施形態では、抽選実行手段235aが、第1ゲームのゲーム媒体をユーザに付与するゲーム媒体付与手段に相当する。
<第2サーバ装置2bの構成>
第2サーバ装置2bは第2ゲームをゲーム装置5に提供する。第2サーバ装置2bは第1サーバ装置2aと同一の構成を有している。すなわち、第2サーバ装置2bは、ネットワークインターフェース21b、記憶部22b、制御部23b、及びバス29bを有している。記憶部22bにはユーザDB221b及びゲーム媒体DB222bが記憶されている。制御部23bは、各種プログラムを実行することにより、情報処理手段231b、照合手段232b、サービス管理手段233b、ゲーム媒体管理手段234b、及び抽選実行手段235bとして機能する。これらの機能は第1サーバ装置2aと同一であるため、それらの詳細な説明は割愛する。
【0040】
<ノード装置3の構成>
複数のノード装置3はブロックチェーンシステム4の分散型台帳を管理している。複数のノード装置3のそれぞれは互いに同一の構成を有している。
図3に示されるように、ノード装置3は、ネットワークインターフェース31、記憶部32、及び制御部33を有している。ネットワークインターフェース31及び記憶部32はバス39を介して制御部33と電気的に接続されている。
【0041】
ネットワークインターフェース31はインターネット及びLAN等の通信ネットワーク6を介して各サーバ装置2a,2b及び各ゲーム装置5と通信可能に接続されている。
記憶部32は、HDD、RAM、ROM、及びSSD等で構成されている。記憶部32には、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、ブロックチェーンシステム4において用いられる分散型台帳321が記憶されている。
【0042】
制御部33は、CPU及び半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、ノード装置3の動作を制御する。制御部33は、各種プログラムを実行することにより、情報管理手段331として機能する。本実施形態では、情報管理手段331が情報管理部に相当する。
【0043】
―情報管理手段331―
情報管理手段331は、ユーザがゲーム媒体を取得した際にサーバ装置2a,2bから送信されるゲーム媒体の登録要求を受信すると、そのゲーム媒体に対応するトークンを分散型台帳321に登録する。
【0044】
情報管理手段331は、トークンを分散型台帳321に登録する際に、そのトークンに関連付けてユーザの識別情報及びゲームの識別情報を登録する。ユーザの識別情報は、そのトークンを所有しているユーザを識別するための情報である。トークンに関連付けられるユーザの識別情報は第1ゲーム及び第2ゲームのユーザの識別情報と共通化されている。また、第1ゲーム及び第2ゲームのユーザの識別情報は異なっていてもよく、その場合には両者を紐付けるための情報も当該トークンに記憶されていてもよい。ゲームの識別情報は、そのトークンに対応するゲーム媒体が付与されたゲームを識別するための情報である。例えばユーザが第1ゲームで所定のゲーム媒体を取得した場合には、そのゲーム媒体のトークンには第1ゲームの識別情報が関連付けられる。第1ゲームの識別情報が関連付けられたトークンに対応するゲーム媒体は、基本的には、第1ゲームのみで利用可能である。同様に、第2ゲームの識別情報が関連付けられたトークンに対応するゲーム媒体は、基本的には、第2ゲームのみで利用可能である。
【0045】
情報管理手段331は、サーバ装置2a,2b又はゲーム装置5から送信されるゲーム媒体の取引履歴に関する情報に基づいて、各ゲーム媒体に対応するトークンの取引履歴の情報を分散型台帳321に登録する。
具体的には、分散型台帳321には、ハッシュ値及びトランザクションのリストを含む複数のブロックが記憶されている。トランザクションは、トークンの取引のデータである。トランザクションは、例えば委譲元に関する情報を示すインプット情報と、移譲先に関する情報を示すアウトプット情報とを含む。ハッシュ値は、一つ前のブロックに含まれる情報から算出される。よって、分散型台帳321には、ハッシュ値により各ブロックがチェーンのように繋がった状態で各トークンの取引履歴、換言すればゲーム媒体の取引履歴が記憶されている。ブロックチェーンシステム4では、このようなトークンの取引履歴が各ノード装置3の分散型台帳321で管理されることにより、各ゲーム媒体の固有性を確保できるようになっている。
【0046】
<ゲーム装置5の構成>
図4に示されるように、ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62、及びタッチパッド63が外部接続又は内蔵されている。また、ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55、及び制御部56を有している。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、及び記憶部55はバス59を介して制御部56と電気的に接続されている。複数のゲーム装置5のそれぞれのハードウェア構成は互いに基本的に同一の構成を有しており、重複説明を繰り返さない。
【0047】
ネットワークインターフェース51は、ゲーム装置5とサーバ装置2a,2bとの間、あるいはゲーム装置5とノード装置3との間で各種データを送受信するために通信ネットワーク6に通信可能に接続されている。
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に基づいて動画形式でゲーム画像を描画する。ゲーム画像には、キャラクタ及び仮想ゲーム空間に関する各種オブジェクトが含まれる。グラフィック処理部52は、例えば液晶型のディスプレイ61に接続されており、動画形式に描画されたゲーム画像をゲーム画面としてディスプレイ61上に表示する。
【0048】
オーディオ処理部53は、スピーカ62に接続されており、制御部56の指示に基づいてゲーム音声を再生及び合成するとともに、そのゲーム音声をスピーカ62から出力させる。
操作部54は、タッチパッド63に接続されており、操作及び入力に関するデータをタッチパッド63との間で送受信する。ユーザはタッチパッド63をタッチ操作することでゲーム装置5に操作信号を入力することができる。
【0049】
記憶部55はHDD、SSD、RAM、及びROM等で構成されている。記憶部55には、サーバ装置2a,2bからダウンロードしたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、ゲーム装置5のアカウント情報等が格納されている。
制御部56は、CPUや半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、ゲーム装置5の動作を制御する。制御部56は、各種プログラムを実行することにより、通信手段561、第1ゲーム実行手段562、第2ゲーム実行手段563、第1ゲーム媒体付与手段564、第2ゲーム媒体付与手段565、音声制御手段566、及び表示制御手段567として機能する。これらの手段561~566はそれぞれ、通信部、第1ゲーム実行部、第2ゲーム実行部、第1ゲーム媒体付与部、第2ゲーム媒体付与部、音声制御部、及び表示制御部に相当する。
【0050】
―通信手段561―
通信手段561はネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2a,2b及び複数のノード装置3と通信を行う。
通信手段561は、例えば操作部54がタッチパッド63から受信した各種操作信号に基づいて、サーバ装置2a,2bが把握可能な情報を生成するとともに、その情報をサーバ装置2a,2bに送信する。例えば通信手段561はアカウント情報、新たなゲームデータのダウンロード要求情報、ガチャ実行要求等をサーバ装置2a,2bに送信する。また、通信手段561は、ダウンロード要求情報に応じてサーバ装置2a,2bから送信される新たなゲームデータ、抽選処理により選択されたゲーム媒体に関する情報等をサーバ装置2a,2bから受信する。
【0051】
―第1ゲーム実行手段562―
第1ゲーム実行手段562はゲーム装置5において第1ゲームを実行する。具体的には、第1ゲーム実行手段562は、ユーザによるタッチパッド63の操作に基づいて、第1ゲームのデータに含まれる仮想ゲーム空間オブジェクト及びテクスチャ等のデータを記憶部55から読み込む、又はサーバ装置2a,2bから受信する。第1ゲーム実行手段562は、仮想ゲーム空間オブジェクト及びテクスチャ等のデータを用いてゲームプログラムを実行しつつ、2次元又は3次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部52により処理されることで、その処理後のゲーム画像がディスプレイ61に逐次表示される。
【0052】
第1ゲーム実行手段562は、ゲーム画像上に、ゲーム装置5のユーザの操作に基づいてキャラクタを配置させて、そのユーザの操作及びゲームの進行状況に応じて仮想ゲーム空間におけるキャラクタの行動を制御する。
―第2ゲーム実行手段563―
第2ゲーム実行手段563はゲーム装置5において第2ゲームを実行する。第2ゲーム実行手段563の基本的な機能は第1ゲーム実行手段562と同一であるため、その詳細な説明は割愛する。
【0053】
―ゲーム媒体付与手段564,565―
第1ゲーム媒体付与手段564は、第1ゲームのゲーム行動に基づいてユーザにゲーム媒体を付与する。例えば、第1ゲーム媒体付与手段564は、ユーザのゲーム行動によりクエストのクリア条件が満たされた場合には、そのクエストに対応した報酬をユーザに付与する。同様に、第2ゲーム媒体付与手段565は、第2ゲームのゲーム行動に基づいてユーザにゲーム媒体を付与する。
【0054】
―音声制御手段566―
音声制御手段566は、ゲームの実行にあたり、ゲーム装置5に対するユーザの操作等に基づいてスピーカ62の音声出力を制御する。
―表示制御手段567―
表示制御手段567は、ゲームの実行にあたり、ゲーム装置5に対するユーザの操作等に基づいてディスプレイ61の表示出力を制御する。
【0055】
<サーバ装置2a,2bのゲーム媒体管理手段234a,234bの処理>
以上のような構成を有するゲームシステム1では、例えば何らかの理由により第1ゲームのサービスを終了せざるを得ない場合、ユーザが第1ゲームで取得したゲーム媒体を利用できなくなるため、これにユーザが不満を感じるおそれがある。
【0056】
そこで、本実施形態のゲームシステム1では、第1ゲームを提供する事業者と、第2ゲームを提供する事業者との間で予め定められた契約に基づいて、一方のゲームのサービスを終了する際に、一方のゲームでユーザが取得したゲーム媒体を他方のゲームにおいて期間限定で利用できるようになっている。
【0057】
以下、ゲームシステム1において行われる処理、特にサーバ装置2a,2bのゲーム媒体管理手段234a,234bにより行われる処理について具体的に説明する。なお、ゲーム媒体管理手段234a,234bにより実行される処理は基本的に同一であるため、以下では、第1ゲームのサービスが終了する場合を例に挙げて説明する。
【0058】
第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、第1ゲームのサービスの終了に伴って第1サーバ装置2aのサービス管理手段233aから送信されるサービスの終了通知を受信すると、まず、第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで利用可能な期間を設定する。具体的には、
図5に示されるように、例えば第1サーバ装置2aのサービス管理手段233aから通知されるサービス終了の告知時期を「t1」とし、第1ゲームのサービス終了時期を「t2」とするとき、ゲーム媒体管理手段234bは、告知時期t1を開始時期tsとして設定するとともに、サービス終了時期t2よりも遅い時期を終了時期teとして設定する。そして、ゲーム媒体管理手段234bは、開始時期tsから終了時期teまでの期間を、第2ゲームにおいて第1ゲームのゲーム媒体を利用することが可能な期間として設定する。以下では、この期間を「利用可能期間T」と称する。本実施形態では、この利用可能期間Tが所定期間に相当する。
【0059】
一方、第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで利用可能とする場合、そのゲーム媒体の特性の情報を第2サーバ装置2bが入手する必要がある。そこで、第1サーバ装置2aのゲーム媒体管理手段234aは、第1ゲームのサービスが終了する際に、ゲーム媒体DB222aに記憶されている第1ゲームのゲーム媒体特性情報を第2サーバ装置2bに送信する。第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、第1サーバ装置2aから送信される第1ゲームのゲーム媒体特性情報を受信すると、これをゲーム媒体DB222bに記憶させる。
【0060】
さらに、第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、利用可能期間Tの開始時期tsにおいて、第2ゲームにおける第1ゲームのゲーム媒体の利用を許可する。具体的には、ゲーム媒体管理手段234bは、ブロックチェーンシステム4の分散型台帳321に登録されているトークンのうち、第2ゲームの識別情報が付与されているトークンだけでなく、第1ゲームの識別情報が付与されているトークンの利用を第2ゲームにおいて許可する。
【0061】
以上により、第2ゲームにおいて第1ゲームのゲーム媒体がそのままの特性で利用可能となる。本実施形態では、このように第1ゲームの特性をそのまま有して第2ゲームにおいて利用可能なゲーム媒体が「第1ゲーム媒体」に相当する。
第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、利用可能期間Tの終了時期teになった場合には、第2ゲームにおける第1ゲームのゲーム媒体の利用を禁止する。具体的には、ゲーム媒体管理手段234bは、ブロックチェーンシステム4の分散型台帳321に登録されているトークンのうち、第2ゲームの識別情報が付与されているトークンの利用だけを第2ゲームにおいて許可し、第1ゲームの識別情報が付与されているトークンの利用を第2ゲームにおいて禁止する。これにより、利用可能期間Tに限って第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで利用することが可能となる。
【0062】
なお、本実施形態のゲームシステム1では、第1ゲーム、第2ゲーム、及びブロックチェーンシステム4の分散型台帳321の全てで共通の(または、互いに紐付けられた)ユーザの識別情報が用いられている。そのため、ユーザは、利用可能期間Tであれば、第1ゲームのアカウント情報を用いて第2ゲームにログインするだけで、第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで利用可能である。
【0063】
第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、利用可能期間Tにおいて、第1ゲームのゲーム媒体が第2ゲームで使用されたり、ユーザ間での交換や売却等の取引に用いられたりした場合には、その使用履歴や取引履歴をブロックチェーンシステム4の分散型台帳321に登録する。
【0064】
<ゲームシステム1の動作の流れ>
次に、
図6を参照して、第1ゲームのサービスが終了する際にサーバ装置2a,2bのそれぞれの制御部23a,23bにより実行される処理の流れについて説明する。
【0065】
図6に示されるように、第1ゲームのサービスが終了することが決定すると、第1サーバ装置2aのサービス管理手段233aはサービス終了通知を第2サーバ装置2bに送信する(ステップS10)。サービス終了通知には、第1ゲームのサービスが終了する旨、サービス終了の告知時期t1、及びサービス終了時期t2等の情報が含まれている。また、第1サーバ装置2aのゲーム媒体管理手段234aは、第1ゲームのゲーム媒体特性情報を第2サーバ装置2bに送信する(ステップS11)。
【0066】
第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、第1サーバ装置2aから送信されるサービス終了通知を受信するとともに(ステップS20)、第1ゲームのゲーム媒体特性情報を受信する(ステップS21)。ゲーム媒体管理手段234bは、サービス終了通知に含まれるサービス終了の告知時期t1及びサービス終了時期t2に基づいて、
図5に示されるように利用可能期間Tを決定する(ステップS22)。また、ゲーム媒体管理手段234bは、第1サーバ装置2aから送信されるゲーム媒体特性情報をゲーム媒体DB222bに記憶させる(ステップS23)。
【0067】
続いて、ゲーム媒体管理手段234bは、利用可能期間Tの開始時期tsになったか否かを判断して(ステップS24)、開始時期tsになった場合には(ステップS24:YES)、第2ゲームにおける第1ゲームのゲーム媒体の利用を許可する(ステップS25)。その後、ゲーム媒体管理手段234bは、利用可能期間Tの終了時期teになったか否かを判断して(ステップS26)、終了時期teになった場合には(ステップS26:YES)、第2ゲームにおける第1ゲームのゲーム媒体の利用を禁止する(ステップS27)。
【0068】
以上をまとめると、ゲーム装置5の制御部33(コンピュータ)を、第1ゲームを実行する第1ゲーム実行手段(562)と、第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行手段(563)と、第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段(564)と、として機能させる。また、第1サーバ装置2aの制御部23a(コンピュータ)を、第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段(235a)として機能させる。さらに、第2サーバ装置2bの制御部23b(コンピュータ)を、第1ゲーム媒体を、第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理手段(234b)として機能させる。
【0069】
<効果>
以上のようなゲームシステム1によれば、ユーザは利用可能期間Tにおいて第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで利用することができる。これにより、第1ゲームでユーザに付与されたゲーム媒体がそのまま消滅することを回避できるため、ユーザの不満を軽減することができる。
【0070】
ゲーム媒体管理手段234bは、
図5に示されるように、利用可能期間Tを、第1ゲームのサービス提供期間中の時点tsから、第1ゲームのサービス終了時点t2よりも遅れた時点teまでの期間として設定する。この構成によれば、第1ゲームのサービスが終了した後においても、ユーザは第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームにおいて利用可能であるため、ユーザの不満を更に解消することができる。また、第2ゲームにおいて当該ゲーム媒体を利用可能な期間を制限することにより、当該ゲーム媒体が第1ゲームからもたらされることによる第2ゲームのゲームバランスが変化することへの影響を抑制することができる。
【0071】
<第1変形例>
次に、上記実施形態のゲームシステム1の第1変形例について説明する。
上記実施形態では、第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームでそのまま用いる構成を例に挙げて説明したが、そのような構成の場合、第2ゲームのゲーム性が損なわれる可能性がある。
【0072】
例えば第1ゲームのゲーム媒体が回復アイテムであり、その回復量が「1000」に設定されているとする。第1ゲームのプレイヤキャラクタの最大ヒットポイントが「5000」である場合、回復アイテムの効果は、プレイヤキャラクタのヒットポイントを1/5だけ回復する効果となり、それほど大きな回復効果ではない。しかしながら、第2ゲームのプレイヤキャラクタの最大ヒットポイントが「1000」である場合、「1000」の回復効果を有する回復アイテムは最大の回復効果を有することとなる。したがって、この第1ゲームの回復アイテムを第2ゲームでそのまま用いると、第2ゲームのゲーム性が大きく損なわれてしまう。
【0073】
そこで、本変形例の第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、第1ゲームのゲーム媒体を利用可能とする際に、そのゲーム媒体の特性を調整する。例えば、ゲーム媒体管理手段234bは、上記の回復アイテムの場合、その回復効果を1/5の「200」に設定する。
【0074】
以上のような第1ゲームのゲーム媒体の特性の調整は例えば第2ゲームを提供する事業者により行われて、その調整内容が第2サーバ装置2bのゲーム媒体DB222bに記憶される。第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、ゲーム媒体DB222aに記憶されている調整内容に基づいて、第2ゲームのゲーム媒体を第1ゲームで用いる際の特性を決定する。
【0075】
あるいは、第1ゲームのゲーム媒体の特性の調整は第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bにより行われてもよい。具体的には、ゲーム媒体管理手段234bは、ゲーム媒体DB222bに記憶されている第2ゲームのゲーム媒体特性情報と、第1サーバ装置2aから送信される第1ゲームのゲーム媒体特性情報とを比較することにより、第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで用いる際の調整量を演算式等により演算するとともに、演算された調整量をゲーム媒体毎にゲーム媒体DB222bに記憶させる。そして、ゲーム媒体管理手段234bは、第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで実際に用いる場合には、ゲーム媒体DB222bに記憶されている第1ゲームのゲーム媒体特性情報と調整量とに基づいて第1ゲームのゲーム媒体の特性を決定する。
【0076】
第1ゲームのゲーム媒体の特性の調整が第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bにより行われる場合、ゲームシステム1は例えば
図7に示されるように動作する。
図7に示されるように、第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、ステップS23の処理に続いて、第1ゲームのゲーム媒体の特性を調整する必要があるか否を判断する(ステップS30)。ゲーム媒体管理手段234bは、例えば第1ゲームのゲーム媒体に類似する第2ゲームのゲーム媒体を抽出した上で、それらの効果の値に大きな差異が存在する場合には、その第1ゲームのゲーム媒体の特性を調整する必要があると判断する(ステップS30:YES)。この場合、ゲーム媒体管理手段234bは、上述のような調整量の演算を行うことにより、第1ゲームのゲーム媒体の特性を調整する(ステップS31)。
【0077】
第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、ステップS31の処理を実行した後、ステップS24以降の処理を実行する。また、ゲーム媒体管理手段234bは、ステップS30の処理で否定的な判断を行った場合にも(ステップS30:NO)、すなわちゲーム媒体の特性の調整が必要ない場合にも、ステップS24以降の処理を実行する。
【0078】
なお、ステップS30及びS31の処理は、第2ゲームで利用可能な第1ゲームの複数のゲーム媒体に対して個別に行われる。すなわち、特性の調整は第1ゲームの複数のゲーム媒体に対して個別に行われる。
本変形例のゲームシステム1では、特性の調整が行われないゲーム媒体に関しては、第1ゲームにおける特性が維持されたまま、第2ゲームで用いられることとなる。本変形例では、第1ゲームにおける特性が維持されたまま第2ゲームで用いられるゲーム媒体が「第1ゲーム媒体」に相当する。また、第1ゲームにおける特性が調整されて第2ゲームで用いられるゲーム媒体が、第1ゲーム媒体に対応する「第2ゲーム媒体」に相当する。なお、以下では、第1ゲーム媒体及び第2ゲーム媒体の文言を、このような定義で用いる。
【0079】
以上のような本変形例のゲームシステム1の構成によれば、第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで利用可能とする際に、第2ゲームのゲーム性が損なわれることを回避できる。
<第2変形例>
次に、上記実施形態のゲームシステム1の第2変形例について説明する。
【0080】
第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで利用する際に、第1ゲームのゲーム媒体に対応するゲーム媒体が第2ゲームに存在しない場合が想定される。例えば、第1ゲームでは、攻撃手段として、マジックポイントを消費する攻撃手段が存在するが、第2ゲームには、マジックポイントを消費する攻撃手段が存在しない場合、マジックポイントを回復するアイテムは第1ゲームには存在するが第2ゲームには存在しないことになる。このような場合、第1ゲームのゲーム媒体をそのまま第2ゲームで用いることはできない。
【0081】
そこで、本変形例の第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234aは、
図7に示されるステップS31の処理において、第1ゲームのゲーム媒体に対応するゲーム媒体が第2ゲームに存在しない場合、その第1ゲームのゲーム媒体の特性を第2ゲームで利用可能な特性に変更する。例えば、第2ゲームにおいてスタミナを消費する攻撃手段が存在する場合には、ゲーム媒体管理手段234aは、マジックポイントを回復するアイテムの効果を、スタミナを回復する効果に変更する。本変形例では、特性が変更された後のゲーム媒体が第2ゲーム媒体に相当する。
【0082】
このような第1ゲームのゲーム媒体の特性の実際の調整は、例えば第2ゲームを提供する事業者により行われて、その調整内容が第2サーバ装置2bのゲーム媒体DB222bに記憶される。ゲーム媒体管理手段234bは、ゲーム媒体DB222bに記憶されている調整内容に基づいて、第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで用いる際の特性を決定する。
【0083】
以上のような本変形例のゲームシステム1の構成によれば、第1ゲームのゲーム媒体が第2ゲームに存在しない場合であっても、第1ゲームのゲーム媒体に対応するゲーム媒体を第2ゲームで利用することが可能であるため、ユーザの不満を更に解消することが可能となる。
【0084】
<第3変形例>
次に、上記実施形態のゲームシステム1の第3変形例について説明する。
第1ゲームのゲーム媒体を第1ゲーム媒体又は第2ゲーム媒体として第2ゲームで利用可能とする場合、そのゲーム媒体の利用価値が変動する可能性がある。例えば第1ゲームの人気度よりも第2ゲームの人気度の方が高い場合、第1ゲームのゲーム媒体を第1ゲームで利用する場合の利用価値よりも、そのゲーム媒体を第2ゲームで利用する場合の利用価値の方が高くなる。このような場合、例えば第1ゲームのゲーム媒体をそのまま第2ゲームで利用可能とすると、第2ゲームのユーザが不満を感じるだけでなく、悪くすると第2ゲームのゲーム性が大きく損なわれる可能性がある。
【0085】
そこで、本実施形態のゲーム媒体管理手段234bは、第1ゲームにおけるゲーム媒体の利用価値と、そのゲーム媒体を第1ゲーム媒体又は第2ゲーム媒体として第2ゲームで用いる際の利用価値との偏差である利用価値変動量に基づいて利用可能期間Tを変更する。
例えば、ゲーム媒体管理手段234bは、ゲーム媒体の利用価値を第1ゲーム及び第2ゲームのそれぞれの人気度に基づいて定める。具体的には、ゲーム媒体管理手段234bは、第1ゲーム及び第2ゲームのそれぞれのプレイヤ数等に基づいて、第1ゲーム及び第2ゲームのそれぞれの人気度を数値化する。そして、ゲーム媒体管理手段234bは、第2ゲームの人気度から第1ゲームの人気度を減算した値を利用価値変動量として用いるとともに、この利用価値変動量から演算式やマップを用いて利用可能期間Tを演算する。演算式やマップでは、例えば利用価値変動量が大きくなるほど、すなわち第1ゲームに対して第2ゲームの人気度が相対的に高くなるほど、利用可能期間Tが短くなるように設定される。
【0086】
なお、ゲーム媒体管理手段234bは、第1ゲームの人気度のみを用いて、あるいは第2ゲームの人気度のみを用いて利用価値変動量を決定してもよい。すなわち、ゲーム媒体管理手段234bは、第1ゲーム及び第2ゲームの少なくとも一方の人気度に基づいて利用価値変動量を定めるものであればよい。
【0087】
一方、上記実施形態では、第1ゲームのゲーム媒体を、第2サーバ装置2bにより提供されるゲームのみで利用可能な場合について例示したが、第1ゲームのゲーム媒体は、第2サーバ装置2bにより提供されるゲームだけでなく、他のサーバ装置により提供されるゲームでも利用可能であってもよい。すなわち、第1ゲームのゲーム媒体が複数の第2ゲームで利用可能であってもよい。このような場合、ゲーム媒体管理手段234bは、第1ゲームのゲーム媒体を利用可能な第2ゲームの数を利用価値変動量として用いることが可能である。なお、第1ゲームのゲーム媒体を利用可能な第2ゲームの数は、例えば事業者等により予めカウントされて第2サーバ装置2bの記憶部22aに記憶される。ゲーム媒体管理手段234bは、利用価値変動量から演算式やマップを用いて利用可能期間Tを演算する。演算式やマップでは、例えば利用価値変動量が大きくなるほど、すなわち第1ゲームのゲーム媒体を利用可能な第2ゲームの数が多くなるほど、利用可能期間Tが短くなるように設定される。
【0088】
また、第1ゲームのゲーム媒体を利用可能な第2ゲームが複数存在するものの、複数の第2ゲームのうちの少数のゲームしかユーザがプレイしていない可能性がある。このような場合、ゲーム媒体管理手段234bは、複数の第2ゲームのうち、ユーザが実際にプレイしている第2ゲームの数に基づいて利用価値変動量を定めてもよい。なお、ユーザが実際にプレイしている第2ゲームの数の情報は、例えば複数の第2ゲームでユーザのアカウント情報が共通化されている場合には、複数のサーバ装置2bのそれぞれのユーザDB221aに記憶されているユーザの識別情報の数をカウントすることで得ることができる。
【0089】
ユーザが実際にプレイしている第2ゲームの数の情報は、トークンとして分散型台帳321に記憶されていてもよい。この場合、ユーザの各プレイログの一部をトークンに記憶してもよいし、プレイログが所定の条件を満たしたことを示す情報をトークンに記憶してもよい。これにより、プレイログが当該所定の条件を満たした第2ゲームの数の情報を、トークンに記憶された情報に基づいて特定することができる。プレイログがユーザの特定の第2ゲームのプレイ時間やゲームの進捗情報である場合、所定の条件として、所定時間以上の特定の第2ゲームのプレイ時間、特定の場面までゲームを進行させたこと、を採用できる。また、所定の条件を満たすプレイログは特定の第2ゲームの利用規約に同意したことであってもよい。この場合にも、ユーザが第2ゲームを少なくともプレイしたことがあることを特定し得る。このように、所定の条件を満たした特定の第2ゲームの数を特定することにより、ユーザが実際にプレイしている第2ゲームの数の情報を特定できる。
【0090】
以上のように、本変形例のゲーム媒体管理手段234bは、第1ゲームにおけるゲーム媒体の利用価値と、第2ゲームにおけるゲーム媒体の利用価値との偏差である利用価値変動量に基づいて利用可能期間Tを設定する。これにより、より適切に利用可能期間Tを設定することができるため、ユーザの不満を更に解消することが可能となる。
【0091】
<第4変形例>
次に、上記実施形態のゲームシステム1の第4変形例について説明する。
本変形例の第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bは、
図7に示されるステップS31の処理において、第3変形例で説明した利用価値変動量を用いて、第1ゲームのゲーム媒体を第1ゲーム媒体又は第2ゲーム媒体として第2ゲームで用いる際の特性を調整する。
【0092】
具体的には、ゲーム媒体管理手段234bは、利用価値変動量として、第1ゲームの人気度、第1ゲームのゲーム媒体を利用可能な第2ゲームの数、複数の第2ゲームのうちユーザが実際にプレイしている第2ゲームの数を用いる。第2サーバ装置2bの記憶部22bには、例えば
図8に示されるような第1ゲームの人気度等の利用価値変動量からゲーム媒体の効果及び有効期間を定めることが可能なマップが予め記憶されている。
【0093】
図8に示されるマップでは、第1ゲームのゲーム媒体の種別、第1ゲームの人気度、第1ゲームのゲーム媒体を利用可能な第2ゲームの総数、複数の第2ゲームのうちユーザが実際にプレイしている第2ゲームの実プレイ数、並びに第1ゲームのゲーム媒体を第1ゲーム媒体又は第2ゲーム媒体として用いる際の効果及び有効期間が対応付けられている。このマップでは、第1ゲームの人気度等の各パラメータが、最高のレベルを示す「A」、中間のレベルを示す「B」、及び最低のレベルを示す「C」に層別されている。例えばゲーム媒体が回復アイテムI1~I4である場合、効果が「A」に設定されている回復アイテムI1は、プレイヤキャラクタのHP(ヒットポイント)及びMP(マジックポイント)を共に全回復する効果を有する。効果が「B」に設定されている回復アイテムI3及びI4は、プレイヤキャラクタのHPを全回復し、且つMPを半分だけ回復する効果を有する。効果が「C」に設定されている回復アイテムI2は、プレイヤキャラクタのHPのみを全回復する効果を有する。
【0094】
この変形例では、
図8に示される第1ゲームのゲーム媒体を第1ゲーム媒体又は第2ゲーム媒体として用いる際の効果及び有効期間が、第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで用いる際の特性に相当する。
なお、
図8に示されるマップは、第2ゲームを提供する事業者が作成してもよいし、第2サーバ装置2bのゲーム媒体管理手段234bが作成してもよい。ゲーム媒体管理手段234bは、
図8に示されるマップを用いることにより、第1ゲームのゲーム媒体を第1ゲーム媒体又は第2ゲーム媒体として用いる際の特性を決定する。
【0095】
以上のように、本変形例のゲーム媒体管理手段234bは、第1ゲームにおけるゲーム媒体の利用価値と、第2ゲームにおけるゲーム媒体の利用価値との偏差である利用価値変動量に基づいて、第2ゲームにおけるゲーム媒体の特性を設定する。これにより、第1ゲームのゲーム媒体を第2ゲームで用いる際のゲーム媒体の特性を、より適切に設定することができるため、ユーザの不満を更に解消することが可能となる。
【0096】
<第5変形例>
次に、上記実施形態のゲームシステム1の第5変形例について説明する。
本変形例のゲーム装置5の表示制御手段567は
図9に示される処理を実行する。
図9に示されるように、表示制御手段567は、まず、利用可能期間Tに該当しているか否かを判断する(ステップS40)。表示制御手段567は、利用可能期間Tに該当していると判断した場合には(ステップS40:YES)、第2ゲームで利用可能なゲーム媒体を第1ゲームのゲーム行動やガチャ等によりユーザが新たに取得したか否かを判断する(ステップS41)。表示制御手段567は、第2ゲームで利用可能なゲーム媒体を新たに取得したと判断した場合には(ステップS41:YES)、
図10に示されるような報知画面70をディスプレイ61に表示する(ステップS42)。
【0097】
図10に示されるように、報知画面70には、例えばゲーム媒体としてアイテムAを新たにユーザが取得した場合には、そのアイテムAが他のゲームで利用可能であることが文章により表示される。なお、報知画面70では、新たに取得したアイテムAを利用可能な第2ゲームとして「ゲームB」及び「ゲームC」の2つのゲームが存在する場合について例示している。
【0098】
報知画面70には移行ボタン71,72が設けられている。移行ボタン71,72は、ゲームB及びゲームCをそれぞれプレイするためのボタンである。すなわち、ユーザは、移行ボタン71又は72を操作することで、第1ゲームからゲームB又はゲームCに移行することができる。
【0099】
以上のように、本変形例の表示制御手段567は、利用可能期間Tにおいてユーザが第2ゲームにおいて利用可能なゲーム媒体を第1ゲームで新たに取得した場合、
図10に示されるような第1ゲームから第2ゲームへの移行をユーザに促す報知画面70を表示する。これにより、ユーザを第1ゲームから第2ゲームに促し易くなる。
【0100】
<第6変形例>
次に、上記実施形態のゲームシステム1の第6変形例について説明する。
本変形例のゲーム装置5の表示制御手段567は
図11に示される処理を実行する。
図11に示されるように、表示制御手段567は、まず、利用可能期間Tに該当しているか否かを判断する(ステップS50)。表示制御手段567は、利用可能期間Tに該当していると判断した場合には(ステップS50:YES)、ユーザに付与されている第1ゲームのゲーム媒体のうち、第2ゲームで利用可能なゲーム媒体が存在するか否かを判断する(ステップS51)。なお、本変形例では、第1ゲームのゲーム媒体のうち、一部のみが第2ゲームで利用可能な場合を想定している。
【0101】
表示制御手段567は、第2ゲームで利用可能なゲーム媒体が存在すると判断した場合には(ステップS51:YES)、その対象となるゲーム媒体の一覧が記載されたゲーム媒体一覧画面をディスプレイ61に表示する(ステップS52)。このゲーム媒体一覧画面には、
図10に示されるような第1ゲームからゲームB又はゲームCへの移行を促す移行ボタン71,72が設けられている。
【0102】
以上のように、本変形例の表示制御手段567は、利用可能期間Tにおいてユーザが第2ゲームにおいて利用可能なゲーム媒体を第1ゲームで保有している場合、第1ゲームから第2ゲームへの移行をユーザに促す画面を表示する。これにより、ユーザを第1ゲームから第2ゲームに促し易くなる。
【0103】
<第7変形例>
次に、上記実施形態のゲームシステム1の第7変形例について説明する。
図4に破線で示されるように、本変形例のゲーム装置5の制御部56は選択手段568として更に機能する。選択手段568は
図12に示される処理を実行する。選択手段568は、利用可能期間Tが経過したか否かを判断する(ステップS60)。選択手段568は、利用可能期間Tが経過したと判断した場合(ステップS60:YES)、複数の第2ゲームのうちのいずれかをユーザに選択させるための画面をディスプレイ61に表示するように表示制御手段567に指示する(ステップS61)。
【0104】
続いて、選択手段568は、複数の第2ゲームのうちのいずれかが選択されたか否かを判断して(ステップS62)、選択されたと判断した場合には(ステップS62:YES)、その選択された第2ゲームの情報を第1サーバ装置2aに送信する(ステップS63)。
【0105】
第1サーバ装置2aのゲーム媒体管理手段234aは、第1サーバ装置2aから送信される第2ゲームの選択情報を受信すると(ステップS70)、第1ゲームにおいてユーザが所有しているゲーム媒体の全て又は一部を、第2ゲームで利用可能なゲーム媒体に強制的に変換する(ステップS71)。このゲーム媒体の変換は、例えば第1変形例や第2変形例で説明したような特性の調整等を伴って行われる。
【0106】
このような構成によれば、ユーザを第1ゲームから第2ゲームに更に移行し易くなる。
[他の実施形態]
上記実施形態において説明した各種制御手段及び処理手順は一例であり、本発明、その適用物、又はその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段及び処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0107】
例えば各ゲーム媒体の特性をサーバ装置2a,2bのゲーム媒体DB222a,222bで管理するという方法に代えて、ブロックチェーンシステム4の分散型台帳321において各ゲーム媒体の特性を管理してもよい。
図6に示される利用可能期間Tは適宜変更可能である。例えば利用可能期間Tの開始時期tsを第1ゲームのサービス終了時期t2に設定したり、サービス終了時期t2よりも後の時点に設定したりしてもよい。また、利用可能期間Tの終了時期teを第1ゲームのサービス終了時期t2に設定したり、第1ゲームのサービス終了時期t2よりも前の時点に設定したりしてもよい。
【0108】
第1ゲーム及び第2ゲームは、異なるサーバ装置2a,2bで提供されるものに限らず、共通の一つのサーバ装置により提供されるものであってもよい。
ユーザに付与されているゲーム媒体の情報は、ブロックチェーンシステム4の分散型台帳321に限らず、各サーバ装置2a,2bで管理されていてもよい。すなわち、上記実施形態及び変形例のゲームシステム1の構成は、分散管理型のゲームシステムに限らず、中央集権型のゲームシステムにも適用可能である。
【0109】
上記の実施形態では、ゲーム装置5がスマートフォンである場合を例示したが、ゲーム装置5は、ゲームセンター等に提供されるアミューズメント機器であってもよい。
上記のゲームは、アクションゲーム、シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、及びパズルゲーム等であってもよく、様々な種類のゲームに適用することができる。
【0110】
上記の実施形態では、オブジェクトがプレイヤキャラクタである場合を例示したが、これに限定されない。例えば、オブジェクトは、仮想ゲーム空間内で使用されるカードやアイテム(武器、防具等の装備品)等であってもよい。
上記の実施形態では、サーバ装置2a,2b及び複数のゲーム装置5が一体となってゲームプログラムを機能させる場合を例示したが、これに限定されない。ゲームプログラムのすべての手段、すなわちゲーム媒体管理手段234a,234b、抽選実行手段235a,235b、情報管理手段331、第1ゲーム実行手段562、第2ゲーム実行手段563、ゲーム媒体付与手段564,565、表示制御手段567、及び選択手段568等が、サーバ装置2a,2b単体、ゲーム装置5単体、サーバ装置2a,2b及びゲーム装置5とは別の通信端末単体、これらのうちの組み合わせ可能な2つの装置(例えばサーバ装置2a,2bとゲーム装置5での分散処理等)に備えられていてもよい。また、サーバ装置2a,2b、ゲーム装置5、通信端末を一体となって機能させる場合、どの手段をどの装置にて機能させるかに関しても適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態で例示したゲーム装置5の第1ゲーム実行手段562、第2ゲーム実行手段563、ゲーム媒体付与手段564,565、表示制御手段567、選択手段568について、サーバ装置2a,2bの制御部23a,23bが、各種プログラムを実行することにより、これらの手段として機能してもよい。
【0111】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、及び他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0112】
1…ゲームシステム
2a,2b…サーバ装置
5…ゲーム装置
23a,23b,33,56…制御部(コンピュータ)
234a,234b…ゲーム媒体管理手段(ゲーム媒体管理部)
235a,235b…抽選実行手段(ゲーム媒体付与手段,ゲーム媒体付与部)
331…情報管理手段
562…第1ゲーム実行手段(第1ゲーム実行部)
563…第2ゲーム実行手段(第2ゲーム実行部)
564,565…ゲーム媒体付与手段(ゲーム媒体付与部)
567…表示制御手段
568…選択手段
【手続補正書】
【提出日】2022-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理手段と、として機能させ、
前記ゲーム媒体管理手段は、前記所定期間を、前記第1ゲームのサービス提供期間中の時点から、前記第1ゲームのサービス終了時点よりも後の時点までの期間として設定する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
コンピュータを、
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理手段と、として機能させ、
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲームにおける前記第1ゲーム媒体の利用価値と、前記第2ゲームにおける前記第1ゲーム媒体又は前記第2ゲーム媒体の利用価値との偏差である利用価値変動量に基づいて前記所定期間の長さを設定する
ゲームプログラム。
【請求項3】
コンピュータを、
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理手段と、として機能させ、
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲームにおける前記第1ゲーム媒体の利用価値と、前記第2ゲームにおける前記第1ゲーム媒体又は前記第2ゲーム媒体の利用価値との偏差である利用価値変動量に基づいて、前記第2ゲームにおける前記第1ゲーム媒体又は前記第2ゲーム媒体の特性を設定する
ゲームプログラム。
【請求項4】
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲーム及び前記第2ゲームの少なくとも一方の人気度に基づいて前記利用価値変動量を設定する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記第2ゲームが複数存在し、
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第2ゲームの数に基づいて前記利用価値変動量を設定する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第2ゲームの数として、複数の前記第2ゲームのうち、前記ユーザがプレイしている前記第2ゲームの数を用いる
ことを特徴とする請求項5に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理手段と、
前記所定期間中に前記ユーザが前記第1ゲーム媒体を保有している場合、前記第1ゲームから前記第2ゲームへの移行をユーザに促す画面を表示する表示制御手段と、として機能させる
ゲームプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームとは別の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理手段と、
前記所定期間中に前記ユーザが前記第1ゲームにおいて前記第1ゲーム媒体を新たに取得した場合、前記第1ゲームから前記第2ゲームへの移行をユーザに促す画面を表示する表示制御手段と、として機能させる
ゲームプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
第1ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームとは別の複数の第2ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、
前記第1ゲームにおいてユーザに第1ゲーム媒体を付与するゲーム媒体付与手段と、
前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第2ゲームにおいて所定期間だけ利用可能にするゲーム媒体管理手段と、
前記所定期間が経過したときに複数の前記第2ゲームのうちのいずれかを前記ユーザに選択させる選択手段と、として機能させ、
前記ゲーム媒体管理手段は、前記第1ゲーム媒体を、前記選択手段により選択された前記第2ゲームにおいて利用可能なゲーム媒体に変換する
ゲームプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、
前記第1ゲーム媒体に対応したトークンを分散型台帳に記憶して管理する情報管理手段として更に機能させ、
前記分散型台帳は、前記第1ゲームと前記第2ゲームとにおいて共通に利用可能である
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、を備える
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載のゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、を備える
ことを特徴とするゲームシステム。