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特開2022-82270画像解析システム、画像解析方法、および、画像解析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082270
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】画像解析システム、画像解析方法、および、画像解析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/783 20190101AFI20220525BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220525BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220525BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
G06F16/783
G06T7/00 660Z
H04N7/18 D
G08B25/00 510M
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193739
(22)【出願日】2020-11-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】水口 高宏
(72)【発明者】
【氏名】瀧 直人
(72)【発明者】
【氏名】山邊 幸代
(72)【発明者】
【氏名】花住 真也
(72)【発明者】
【氏名】垂井 俊明
(72)【発明者】
【氏名】小味 弘典
【テーマコード(参考)】
5B175
5C054
5C087
5L096
【Fターム(参考)】
5B175DA04
5B175FB03
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA07
5C054EA05
5C054FC07
5C054FC12
5C054FC15
5C054FE28
5C054GA01
5C054GA02
5C054GA04
5C054GD03
5C054HA18
5C087AA09
5C087DD03
5C087EE05
5C087FF01
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG10
5C087GG19
5C087GG66
5C087GG70
5L096AA06
5L096BA02
5L096BA18
5L096CA04
5L096DA02
5L096GA30
5L096GA51
5L096GA53
5L096HA05
5L096HA11
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】リスク保有者を目視で探索するための有益な情報を提供すること。
【解決手段】画像解析システムは、画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出するリスク保有者特定部22と、リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求める画像解析部24とを有する映像解析サーバ20、および、複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として伝達内容から除外する風体情報抽出部31と、風体情報データをを含む伝達内容関係者の外部端末40に伝達する風体情報送信部34とを有するアプリケーションサーバ30を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出するリスク保有者特定部と、
リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求める画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、
複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外する風体情報抽出部と、
前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達する風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備えることを特徴とする
画像解析システム。
【請求項2】
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、互いに区別可能な属性から構成される属性項目に対して、確度が第1閾値以上であり、かつ、同じ属性項目に属する他の属性の確度との差が第2閾値以上である場合、同じ属性項目に属する確度が高いほうの属性を前記風体情報データとして抽出することを特徴とする
請求項1に記載の画像解析システム。
【請求項3】
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、範囲で判別する属性から構成される属性項目に対して、確度が第1閾値以上であり、かつ、同じ属性項目に属する他の属性の確度との差が第2閾値未満である場合、前記第1閾値以上の確度をもつ複数の属性の範囲を抽象化した1つの範囲の属性を前記風体情報データとして抽出することを特徴とする
請求項1に記載の画像解析システム。
【請求項4】
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、前記第1閾値以上の確度をもつ複数の属性の範囲を抽象化できない場合には、それらの複数の属性の範囲を個別に前記風体情報データとして抽出することを特徴とする
請求項3に記載の画像解析システム。
【請求項5】
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、複数の属性を抽出可能な属性項目に対して、抽出する属性がない場合の確度が第1閾値以上の場合は、その属性項目から属性を抽出しないことを特徴とする
請求項1に記載の画像解析システム。
【請求項6】
前記映像解析サーバは、さらに、画像データに映るリスク保有者について、画像データのフレーム間を追跡することでリスク保有者の移動履歴データを求める人物追跡部を有しており、
前記アプリケーションサーバは、さらに、前記風体情報データに加えて前記移動履歴データを含む前記伝達内容を前記風体情報送信部から前記外部端末に伝達させるために、前記風体情報データと前記移動履歴データとを統合するリスク保有者情報管理部を有することを特徴とする
請求項1に記載の画像解析システム。
【請求項7】
前記風体情報抽出部は、あらかじめ属性項目ごとに設定された前記第1閾値をデータベースから読み取って、前記所定の抽出条件に用いることを特徴とする
請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の画像解析システム。
【請求項8】
前記リスク保有者情報管理部は、前記外部端末からフィードバックされたリスク保有者の位置情報を前記移動履歴データに追加することを特徴とする
請求項6に記載の画像解析システム。
【請求項9】
前記リスク保有者情報管理部は、画像データに映るリスク保有者の画像データをデータベースに格納するとともに、その画像データを取得するためのリンク情報をデータベースから受信し、そのリンク情報を前記外部端末に伝達することを特徴とする
請求項6に記載の画像解析システム。
【請求項10】
前記風体情報送信部は、文字情報の前記風体情報データを確度に応じた数値を示すグラフ情報に変換してから、前記外部端末に伝達することを特徴とする
請求項1に記載の画像解析システム。
【請求項11】
画像解析システムは、リスク保有者特定部と、画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、風体情報抽出部と、風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備えており、
前記リスク保有者特定部は、画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出し、
前記画像解析部は、リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求め、
前記風体情報抽出部は、複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外し、
前記風体情報送信部は、前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達することを特徴とする
画像解析方法。
【請求項12】
請求項11に記載の画像解析方法を、前記映像解析サーバおよび前記アプリケーションサーバに、実行させるための画像解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像解析システム、画像解析方法、および、画像解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラで撮影された画像データから物体を自動的に抽出し、抽出した物体の移動を追跡する技術として、特許文献1には、追跡する人物の分類又はタグ付けを行うことが記載されている。さらに、特許文献1の情報処理装置は、人物の分類に影響の大きい特徴量(分類に寄与した特徴量)の説明情報を選択し、表示装置に選択された説明情報を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-156597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像データから自動抽出されたリスク保有者の移動を追跡する方法は、大きく2つに分類される。第1の方法は、画像データのフレーム間をまたいで画像解析により自動追跡する方法である。第2の方法は、リスク保有者の説明情報を店員などの関係者(被伝達者)などに通知し、関係者が目視で店内のリスク保有者を探し回る方法である。カメラは店内の全域を撮影できるとは限らないため、第2の方法も適宜活用される。
【0005】
図18は、リスク保有者を追跡する様々な状況を示す説明図である。
多くの人が行き交う公共スペースでは、検温により検知される発熱者、クレームや万引きなどの迷惑行為を行う不審者、幼児などの迷子などのリスク保有者が、一般人に紛れている。そこで、公共スペースでの一般人へのサービス提供に支障が無いように、関係者などがリスク保有者を探す必要がある。
関係者は自身のスマートデバイスでリスク保有者が歩いた経路を確認し、リスク保有者の捜索を行う。また、リスク保有者が発見されると、スマートデバイスにアラーム通知される。
【0006】
ただし、関係者への伝達内容が他者の一般人の目に触れる可能性があるため、一般人に不快感を与えないためにも、伝達内容からリスク保有者の顔画像などの個人情報を除いたほうがよい。
そのため、リスク保有者を目視で特定する手がかりとして、性別や年齢、服の色などの属性情報を言語化することで人が容易に理解できる伝達内容を作成することを検討する。なお、この関係者への伝達内容は、図19に示すように、多ければ多いほどリスク保有者を絞り込めて有用というわけではない。
【0007】
図19は、確かな属性と不確かな属性の選択例を示すテーブルである。
このテーブルは、性別や年齢などのリスク保有者の特徴を示す属性項目と、その属性項目として取りうる値を示す属性と、各属性の分類結果としての確からしさを示す確度(0~1の範囲で1に近いほど確かである)と、その確度から最終的に伝達内容として通知するか否かを示す結果とを対応付ける。なお、確度1および結果1は第1の分析結果として対応し、確度2および結果2は第2の分析結果として対応する。
【0008】
「属性:確度」の組み合わせで、例えば、「男性:0.9」は男性であると確定し、「男性:0.1」は男性ではないと判断できる。しかし、「男性ではない」という判断は直ちに「女性である」とはならず、女性であるかどうかは「女性」の確度が高いか否かで別途判断される。
第1の分析結果では、属性項目内で1つの確度だけ突出している場合は、その確度を確定できる。例えば、確度1の「男性:0.9」は確度1の「女性:0.1」よりも優位な差(0.9-0.1=0.8)がある。よって、結果1として「男性:0.9」を性別として確定できる。
【0009】
一方、第2の分析結果では、属性項目内で確度が高いものが複数ある場合は、その確度を候補のまま確定できない。例えば、確度2の「男性:0.6」は確度2の「女性:0.5」との差が少ない(0.6-0.5=0.1)。よって、結果2として性別を男性とも女性とも確定できない。
このような「性別は男性とも女性とも確定できない」いう不確かな情報を伝達内容に含めてしまうと、リスク保有者の正確な人物像に結びつかず、関係者が現場でリスク保有者か否かの判断が難しくなってしまう。
なお、特許文献1のような従来の技術では、リスク保有者を自動追跡する第1の方法を前提とするため、説明情報は補助的に用いられるのみで、不確かな情報を含めて送ってしまうため、該当する人物を適切に探すことができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、リスク保有者を目視で探索するための有益な情報を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の画像解析システムは以下の特徴を有する。
本発明は、画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出するリスク保有者特定部と、
リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求める画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、
複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外する風体情報抽出部と、
前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達する風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備えることを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リスク保有者を目視で探索するための有益な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に関する画像解析システムの構成図である。
図2】本実施形態に関するリスク保有者情報テーブルである。
図3】本実施形態に関する属性分類テーブルである。
図4】本実施形態に関する閾値テーブルである。
図5】本実施形態に関する図3で規定したグループごとの属性の抽出条件を示すテーブルである。
図6】本実施形態に関する画像解析システムのハードウェア構成図である。
図7】本実施形態に関する映像解析サーバの処理を示すフローチャートである。
図8】本実施形態に関するリスク保有者の位置情報の説明図である。
図9】本実施形態に関する画像データである。
図10】本実施形態に関するリスク保有者の説明図である。
図11】本実施形態に関する人物特徴量・属性の抽出処理の一例を示す説明図である。
図12】本実施形態に関するアプリケーションサーバの処理を示すフローチャートである。
図13】本実施形態に関する属性情報の抽出処理の詳細を示すフローチャートである。
図14】本実施形態に関する図12の処理の具体例を示す説明図である。
図15】本実施形態に関するリスク保有者データをわかりやすい形式に変換して表示例を示す画面図である。
図16】本実施形態に関する図12の変形例として、関係者からの位置情報を受信する処理を追加したフローチャートである。
図17】本実施形態に関する図12の変形例として、リスク保有者の画像を関係者に取得させる処理を追加したフローチャートである。
図18】本実施形態に関するリスク保有者を追跡する様々な状況を示す説明図である。
図19】本実施形態に関する確かな属性と不確かな属性の選択例を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本実施形態を説明する。
【0015】
図1は、画像解析システムの構成図である。
画像解析システムは、映像撮影装置11と、リスク判定装置12と、映像解析サーバ20と、アプリケーションサーバ30と、外部端末40とを有する。なお、映像解析サーバ20とアプリケーションサーバ30とは、同一の筐体に収容してもよい。
映像撮影装置11は、リスク保有者を含む通行人を撮影する。リスク判定装置12は、映像撮影装置11により撮影された通行人がリスク保有者か否かを判定する装置であり、例えば、発熱者を検温により検知するサーマルカメラの検温装置である。
【0016】
映像解析サーバ20は、映像撮影装置11の映像データと、リスク判定装置12の判定結果をもとに、リスク保有者を追跡する。アプリケーションサーバ30は、映像解析サーバ20が追跡するリスク保有者の風体情報(性別、年齢など)を抽出する。
外部端末40は、関係者に所持されるスマートデバイスであり、アプリケーションサーバ30から通知されるリスク保有者の風体情報を、リスク保有者の手がかりとして関係者に伝達する。
【0017】
映像解析サーバ20は、映像データ処理部21と、リスク保有者特定部22と、一時記録部23と、画像解析部24と、人物追跡部25とを有する。これらの映像解析サーバ20の各処理部の詳細は、図7のフローチャートで明らかにする。
アプリケーションサーバ30は、風体情報抽出部31と、リスク保有者情報管理部32と、DB33と、風体情報送信部34とを有する。これらのアプリケーションサーバ30の各処理部の詳細は、図12のフローチャートで明らかにする。
なお、DB33には、リスク保有者情報テーブル33A(詳細は図2)と、属性分類テーブル33B(詳細は図3)と、閾値テーブル33C(詳細は図4)とが格納される。
【0018】
図2は、リスク保有者情報テーブル33Aである。
リスク保有者情報テーブル33Aは、リスク保有者IDごとに、風体情報抽出部31が抽出した風体情報と、人物追跡部25が追跡した位置情報とを対応付ける。
例えば、リスク保有者ID「001」の風体情報は、男性、30代~であり、その位置情報として10:30にはA店に居たが、11:00にはB店に移動した旨の経路情報が示されている。
【0019】
図3は、属性分類テーブル33Bである。
属性分類テーブル33Bは、12個の属性項目を3つのグループに分類した結果を示す。各グループに属する属性項目は、属性分類テーブル33Bの説明列に示す特徴が互いに類似する。
例えば、グループG1は、明確に区別されていないと関係者がリスク保有者か否かを判別することが難しい属性項目として、性別、髪型、上半身服装、下半身服装、履物が存在する。つまり、男性と女性という2つの属性を明確に区別せずに、双方の性別を同時に伝達情報に含めてしまうと、その伝達情報を受けた関係者が目の前の通行人をリスク保有者か否かを判別できない。
これらのグループ分けは、図5で後記するように、各グループに適した属性の抽出条件を選択する用途で使用される。
【0020】
グループG1には、以下に示すように、一人のリスク保有者に対して明確に区別されていないと判別が難しい属性項目(互いに区別可能な属性から構成される属性項目)が含まれる。
属性項目「性別」は、属性「男性、女性」のいずれかである。
属性項目「髪型」は、属性「なし、短髪、長髪」のいずれかである。
属性項目「上半身服装」は、属性「袖なし、短袖、長袖、カジュアル、フォーマル、ジャケット、スーツ、セーター、Tシャツ、Vネック、ロゴ付き、粗いストライプ、細かいストライプ、格子縞、その他」のいずれかである。
属性項目「下半身服装」は、属性「カジュアル、フォーマル、スーツ、ジーンズ、ロングスカート、ショートスカート、ホットパンツ、ショートパンツ、カプリパンツ、スラックス、ロゴ付き、細かいストライプ、格子縞」のいずれかである。
属性項目「履物」は、属性「ブーツ、革靴、サンダル、シューズ、スニーカー、ストッキング」のいずれかである。
【0021】
グループG2には、以下に示すように、一人のリスク保有者に対してある程度の範囲でしか判別できない属性項目(範囲で判別する属性から構成される属性項目)が含まれる。例えば、赤色と橙色は似ているため判断が難しいので、暖色や赤系統のように1つの属性に抽象化される。
属性項目「年齢」は、属性「15才以下、30才以下、45才以下、60才以下、61才以上」などの値を取りうる。
属性項目「髪色」は、属性「赤、橙、黄、緑、紫、茶、灰、白、黒」などの値を取りうる。
属性項目「上半身服装色」、「下半身服装色」、「履物色」は、それぞれ属性「赤、橙、黄、緑、青、紫、桃、茶、灰、白、黒」などの値を取りうる。
【0022】
グループG3には、以下に示すように、一人のリスク保有者に対して重複する可能性がある属性項目(複数の属性を抽出可能な属性項目)が含まれる。例えば、1人のリスク保有者がバックパックと傘など両方を保持している場合がある。
属性項目「装飾品」は、属性「マスク、ヘアバンド、帽子、ヘッドフォン、スカーフ、マフラー、ショール、サングラス、なし」のいずれか1つ以上である。
属性項目「持ち物」は、属性「ベビーカー、バックパック、フォルダー、キャリーケース、メッセンジャーバッグ、プラスチックバッグ、ショッピングカート、スーツケース、傘、その他、持ち物なし」のいずれか1つ以上である。
【0023】
図4は、閾値テーブル33Cである。
閾値テーブル33Cには、属性を満たすか否かを判定するための確度閾値が格納される。閾値テーブル33Cは、図3のグループごとに確度閾値を設定するテーブル33C1としてもよいし、属性項目ごとに確度閾値を設定するテーブル33C2としてもよいし、その2つのテーブルを併用してもよい。テーブル33C2を閾値テーブル33Cとして用いることで、図5の抽出条件となる確度閾値を個別化できる。
【0024】
以下、「男性」という属性の確度が「0.6」であるとき、「男性:0.6」と表記する。例えば、グループG1の確度閾値が「0.5」なので、グループG1に属する性別の確度が「男性:0.6」のように「0.5」以上なら、その確度の属性「男性」は抽出される。また、髪型の確度閾値が「0.4」なので、「長髪:0.5」のように「0.4」以上なら、その確度の属性「長髪」は抽出される。
以上、リスク保有者情報テーブル33Aはアプリケーションサーバ30が計算した結果であり、属性分類テーブル33Bおよび閾値テーブル33Cは、それぞれ設定データとして、管理者が事前にアプリケーションサーバ30内に用意しておく。
そのため、外部端末40は、DB33内の各テーブル(リスク保有者情報テーブル33Aと、属性分類テーブル33Bと、閾値テーブル33C)を表示したり、関係者に編集させたりしてもよい。
【0025】
図5は、図3で規定したグループごとの属性の抽出条件を示すテーブルである。このテーブルは、グループごとに、適用される抽出条件と、その抽出条件のIDとを対応付ける。このようにグループごとに個別に抽出条件を設けることで、顧客環境に合う形に抽出条件を調整し、顧客要望に適応した発見や追跡が可能となる。図5のテーブルも設定データとして、管理者が事前にアプリケーションサーバ30内に用意しておく。
【0026】
グループG1(明確に区別されていないと判別が難しいもの)は、G11→G12→G13の順に、抽出条件から属性が適用される。なお、例えば、G11の抽出条件に(例、0.5以上)の記載があるが、この「0.5」は閾値テーブル33Cにあらかじめ設定された確度閾値(第1閾値)である。
例えば「男性:0.6、女性:0.5」の場合、G11(0.5以上)を男性も女性も満たすが、その2つの確度の差0.1が0.3(第2閾値)以上ではないため、G12を満たさない。よって、「男性:0.6、女性:0.5」からは属性が抽出されない。
【0027】
属性項目「性別」の抽出例として、抽出条件「確度が0.5以上かつ相対の差が0.3以上のものを抽出」に従い、以下が挙げられる。
・属性「男性:0.9、女性:0.4」からの抽出属性は「男性」である。
・属性「男性:0.6、女性:0.4」からの抽出属性は「不明(抽出しない)」である。
・属性「男性:0.4、女性:0.1」からの抽出属性は「不明(抽出しない)」である。
【0028】
グループG2(ある程度の範囲でしか判別できないもの)は、G21→G22またはG21→G23の順に、抽出条件から属性が適用される。例えば、「赤色:0.8、橙色:0.7、他:0.1」の場合、G21(第1閾値=0.5以上)を満たす赤と橙とは、2つの確度の差0.1が0.3(第2閾値)以上ではない。よって、赤と橙とを明確に区別できないが、G23で赤系統のように抽象化できる。これにより、高精度なリスク保有者の発見が可能となる。
一方、「青:0.9,白:0.8,他:0.1」の場合、G21(0.5以上)を満たす青色、白色は、G23ではこの2色を抽象化できないので、青色、白色が個別に抽出される。
【0029】
属性項目「年齢」の抽出例として、抽出条件「確度が0.5以上のものを抽出し、確度が0.5以上のものが連続していた場合、まとめて抽出」に従い、以下が挙げられる。
・属性「0~15才:0.9、16~30才:0.2、31~45才:0.1」からの抽出属性は「0~15才」である。
・属性「0~15才:0.9、16~30才:0.8、31~45才:0.1」からの抽出属性は「0~30才(まとめて、大きな分類として抽出)」である。
・属性「0~15才:0.9、16~30才:0.2、31~45才:0.9」からの抽出属性は「不明(抽出しない)」である。もし確度の高い0~15才と31~45才とを、0~45才と抽象化してしまうと、確度が低い16~30才も含まれてしまうからである。
【0030】
属性項目「髪色」の抽出例として、抽出条件「確度が0.5以上のものを抽出し、0.5以上のものが複数ある場合、色系統が近い場合まとめて抽出する一方で、系統が遠い場合それぞれ抽出する」に従い、以下が挙げられる。
・属性「赤:0.9、橙:0.2、白:0.3、青:0.1」からの抽出属性は「赤」である。
・属性「赤:0.9、橙:0.9、白:0.3、青:0.1」からの抽出属性は「赤系統(まとめて、大きな分類として抽出)」である。
・属性「赤:0.1、橙:0.3、白:0.9、青:0.9」からの抽出属性は「白、青(複数抽出)」である。
【0031】
グループG3(重複するもの)は、G31→G32の順に、抽出条件から属性が適用される。例えば、G31で「なし」のみ他の属性との両立ができないが、G32で「鞄」、「傘」の所持は両立する。
属性項目「装飾品」の抽出例として、抽出条件「確度が0.5(第1閾値)以上のものをすべて抽出し、属性[なし]が抽出された場合、装飾品の属性を1つも抽出しない」に従い、以下が挙げられる。
・属性「A:0.8、B:0.9、C:0.1、D:0.1、なし:0.1」からの抽出属性は「A、B」である。
・属性「A:0.8、B:0.1、C:0.1、D…:0.1、なし:0.9」からの抽出属性は「なし(抽出しない)」である。
【0032】
図6は、画像解析システムのハードウェア構成図である。
映像解析サーバ20やアプリケーションサーバ30などのコンピュータ900は、CPU901と、RAM902と、ROM903と、HDD904と、通信I/F905と、入出力I/F906と、メディアI/F907とを有する。
通信I/F905は、外部の通信装置915と接続される。入出力I/F906は、入出力装置916と接続される。メディアI/F907は、記録媒体917からデータを読み書きする。さらに、CPU901は、RAM902に読み込んだプログラム(アプリケーションや、その略のアプリとも呼ばれる)を実行することにより、各処理部を制御する。そして、このプログラムは、通信回線を介して配布したり、CD-ROM等の記録媒体917に記録して配布したりすることも可能である。
【0033】
図7は、映像解析サーバ20の処理を示すフローチャートである。
映像撮影装置11は、通行人の映像データを撮影する(S101)。映像データ処理部21は、映像撮影装置11を制御する。この制御内容は、例えば、映像撮影装置11の撮影パラメータ(画角など)を指示したり、映像撮影装置11から受信した映像データのフォーマットを画像解析がしやすい形式に変換したりするものである。映像データ処理部21は、S101の映像データを受信し、画像データに変換する(S102)。
【0034】
リスク判定装置12は、画像データに映るリスク保有者の位置情報を判定する(S103)。なお、S101の撮影処理と、S103のリスク判定処理とは、実際には同じ公共スペースで並列に行われる。
リスク保有者特定部22は、S102の画像データおよびS103のリスク保有者の位置情報から、リスク保有者の画像データ内の人物範囲を検出し(S104)、その検出したリスク保有者の画像データを一時記録部23に一時記録する(S105)。
【0035】
画像解析部24は、一時記録された画像データを取得し(S111)、その画像データから人物の特徴量および属性を抽出する(S112)。そして、画像解析部24は、S112の抽出結果である人物情報解析データ(人物の特徴量および属性)を、アプリケーションサーバ30に出力する(S113)。
【0036】
人物追跡部25は、S101の映像データを構成する各画像データのフレーム間を追跡することで、リスク保有者の移動履歴データを求める。そのため、人物追跡部25は、通行人ごとの人物IDおよび人物特徴量を取得し(S121)、その人物特徴量から同一人物(リスク保有者)を検出する(S122)。そして、人物追跡部25は、S122の同一人物を追跡した結果を移動履歴データとして、アプリケーションサーバ30に出力する(S123)。
【0037】
図8は、S103で判定されたリスク保有者の位置情報100の説明図である。
ここでは、リスク判定装置12は、画像データ内のリスク保有者が映っている位置情報(X座標=100 Y座標=80 人物範囲の幅=95 人物範囲の高さ=240)と、リスクの内訳(37.5度の発熱)とを、あるリスク保有者情報101として検出して映像解析サーバ20に送信する。
【0038】
図9は、S102で変換された画像データ110である。この画像データ111には以下の2人が映っている。
・「人物ID:1」は、「X座標=386 Y座標=224 人物範囲の幅=95 人物範囲の高さ=240」に位置する(符号112)。
・「人物ID:2」は、「X座標=100 Y座標=80 人物範囲の幅=95 人物範囲の高さ=240」に位置する(符号113)。
【0039】
図10は、S104で検出されたリスク保有者の説明図である。
検出結果120には、「人物ID:1」の人物範囲を含む画像データ121と、「人物ID:1」の詳細情報122とが含まれる。詳細情報122は、リスク保有者情報101と、符号112の位置情報とを、同じ位置により対応づけたものである。
【0040】
図11は、S112の人物特徴量・属性の抽出処理の一例を示す説明図である。
画像解析部24は、人物検出画像130を人工知能のDeep Learningモジュールの畳み込み層140(第1層141、第2層142、第3層143)に入力する。そして、人物検出画像130の特徴は、全結合層150(第1層151、第2層152、第3層153)を経て、属性ごとの確度160として抽出される。第1層151は特徴量を示し、第3層153の各ノードは各属性に対応し、確度160が1に近いほどその属性を持つといえる。
なお、画像解析部24は、Deep Learningモジュールに限定せずに、任意の分類器を用いて人物検出画像130から確度160を求めてもよい。
【0041】
図12は、アプリケーションサーバ30の処理を示すフローチャートである。
風体情報抽出部31は、S113で出力される人物情報解析データを取得し(S201)、図5の抽出条件を満たす属性情報を抽出する(S202、詳細は図13)。そして、風体情報抽出部31は、S202の抽出結果を風体情報データとしてリスク保有者情報管理部32に出力する(S203)。
リスク保有者情報管理部32は、S123の移動履歴データを取得し(S211)、S203の風体情報データとS211の移動履歴データとを統合する(S212)。
【0042】
リスク保有者情報管理部32は、S212の統合結果をリスク保有者データとして、リスク保有者情報テーブル33Aに出力する(S213)。風体情報送信部34は、リスク保有者情報テーブル33Aのリスク保有者データを関係者の外部端末40に伝達する(S214)。
なお、リスク保有者データを外部端末40に伝達する契機としては、リスク保有者データの計算後に風体情報送信部34から各外部端末40に自律的に伝達してもよい(Push型の伝達)。または、外部端末40から、現状の問い合わせを受けたときに、風体情報送信部34から問い合わせに対する返答としてリスク保有者データを伝達してもよい(Pull型の伝達)。
【0043】
図13は、属性情報の抽出処理(S202)の詳細を示すフローチャートである。風体情報抽出部31は、属性分類テーブル33Bと、閾値テーブル33Cと、図5の抽出条件を示すテーブルとを参照して、以下のフローチャートを実行する。
風体情報抽出部31は、一定値(G11,G21,G32で確度閾値として定義)以上の確度を持つ属性を含む属性項目があるか否かを判定する(S301)。S301でYesならS302に進み、NoならS344に進む。
【0044】
風体情報抽出部31は、S301に該当する属性項目を選択し(S302)、その選択した属性項目がG3に該当するか否かを判定する(S331)。S331でYesならS332に進み、NoならS311に進む。
風体情報抽出部31は、属性「なし」より高い確度の属性がない(G31に該当する)か否かを判定する(S332)。S332でYesならS344に進み、NoならS333に進む。風体情報抽出部31は、G32に該当する確度が一定以上の属性を選択する(S333)。
【0045】
風体情報抽出部31は、選択した属性項目内の最も高い確度と次点に一定値以上の差があるか否か(G12に該当するか否か)を判定する(S311)。S311でYesならS312に進み、NoならS321に進む。風体情報抽出部31は、G13に該当する確度が最も高い属性を選択する(S312)。
風体情報抽出部31は、S302で選択した属性項目がG2に該当するか否かを判定する(S321)。S321でYesならS322に進み、NoならS344に進む。風体情報抽出部31は、G23に該当する複数の属性を抽象化して選択する(S322)。
【0046】
風体情報抽出部31は、S312,S322,S333で選択された属性を抽出する(S341)。または、風体情報抽出部31は、S302で選択された属性項目から属性を抽出しない(S344)。
風体情報抽出部31は、S302でまだ選択されていない属性項目が存在するか否かを判定する(S342)。S342でYesならS343に進み、Noなら図13の処理を終了する。風体情報抽出部31は、未選択の(別の)属性項目を新たに選択し(S343)、S331に処理を戻す。
【0047】
図14は、図12の処理の具体例を示す説明図である。
テーブル201は、風体情報抽出部31がS201で取得した人物情報解析データを示す。テーブル201には、「女性:0.8」のような確度の高い属性も、「青い靴:0.2」のような確度の低い属性も、混在している。よって、テーブル201をそのまま外部端末40に通知してしまうと、確度の低い属性がノイズとなって通行人からリスク保有者を絞り込む妨げとなる。
【0048】
テーブル202は、風体情報抽出部31がS202で抽出条件を満たす属性情報をテーブル201から抽出した結果を示す。テーブル202の抽出された属性(抽出属性)は、抽出条件を満たす確かな属性だけがテーブル201から選別されている。このように確度が高い属性に絞り報告することにより、目的人物の発見を容易にする。
風体情報データ203は、風体情報抽出部31がテーブル202の抽出属性を言語化した文字情報としてまとめたものであり、S203でリスク保有者情報管理部32に出力されるデータである。風体情報抽出部31が図11で説明した生データ(数値の羅列)から文字情報に変換することで、関係者が読み取れる形式になり、関係者によるリスク保有者の捜索が容易になる。
【0049】
移動履歴データ204は、リスク保有者情報管理部32がS211で取得するデータであり、風体情報データ203のリスク保有者の移動経路(リスク保有者データが発見された位置と時刻)を示す。移動履歴データ204には現在位置までのリスク保有者の移動経路が含まれるため、リスク保有者の絞り込みに役立つ。
なお、移動履歴データ204は、人物追跡部25が出力した画像解析の結果(機械的な追跡結果)としてもよいし、関係者から報告された人的探索の結果としてもよいし(詳細は図16)、その双方を併用してもよい。
【0050】
リスク保有者データ205は、リスク保有者情報管理部32がS212において、風体情報データ203と、移動履歴データ204とを統合したデータであり、S214で外部端末40にメールなどで伝達される。なお、リスク保有者データ205には、リスク保有者の顔画像を閲覧するためのリンクを含めてもよい(詳細は図17)。
【0051】
図15は、リスク保有者データ205をわかりやすい形式に変換して表示例を示す画面図である。
表示欄211は、図14のテーブル202の「女性:0.8」をグラフに変換した表示例を示す。このグラフは、文字情報の風体情報データを確度に応じた数値を示すグラフ情報に変換したものであり、左側に近づくほど男性の確度が増し、右側に近づくほど女性の確度が増す。例えば、(女性の確度)÷((男性の確度)+(女性の確度))の値に応じた位置に星マークを表示させることで、単に男性か女性かを示すよりも、女性の確度を関係者が直観的に理解できる。
【0052】
また、表示欄211には、「年齢:10代」を示すグラフも表示される。このグラフは、左側は0才で右側が100才とし、10代の対応する期間を強調することで、「年齢:10代」を関係者が直観的に理解できる。
表示欄212は、図14の移動履歴データ204を平面地図の形式に変換した表示例を示す。検温で発熱者と認定されたリスク保有者の移動経路を関係者が直観的に理解できる。
【0053】
図16は、図12の変形例として、関係者からの位置情報を受信する処理を追加したフローチャートである。
図16では、図12の処理に対して、新たにS221,S222を追加した。リスク保有者情報管理部32は、外部端末40からリスク保有者の位置情報(発見位置、発見時刻)を受信すると(S221、Yes)、その受信した位置情報を移動履歴データ204に追加することで、位置情報を更新する(S222)。
これにより、人物追跡部25による機械的な追跡結果に加え、関係者からフィードバックされた人的探索の結果も含めた詳細な移動履歴データ204を関係者に提供でき、高精度な追跡が可能となる。
【0054】
図17は、図12の変形例として、リスク保有者の画像を関係者に取得させる処理を追加したフローチャートである。
図17では、図12の処理に対して、新たにS211B,S11Cを追加し、S212をS212Bに置き換えた。
リスク保有者情報管理部32は、映像撮影装置11からリスク保有者の画像を取得し(S211B)、その画像をDB33に保存し、保存先のリンクを取得する(S211C)。
そして、リスク保有者情報管理部32は、S203の風体情報データと、S211の移動履歴データと、S211Cの保存先のリンクとを統合する(S212B)。
【0055】
これにより、図14のリスク保有者データ205で示した通り、伝達情報に画像のリンクが含まれる。よって、関係者は、通行人が多く表示画面ののぞき見が懸念される場所(レジなど)では画像のリンクをクリックしないことで、プライバシーを守る。一方、関係者は、通行人が少ない場所(控室など)では画像のリンクをクリックすることで、リスク保有者の画像を確認でき、高精度な追跡が可能となる。
【0056】
以上説明した本実施形態では、アプリケーションサーバ30の風体情報抽出部31が、複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外する。そして、風体情報送信部34は、風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末40に伝達する。
これにより、属性項目に属する属性間の確度を比較することで、図19の確度2で示したような、同じ属性項目内に、確度が高い属性が複数存在するものは、所定の抽出条件を満たさない不確かな情報として適切に除外できる。よって、図19の確度1で示したような、リスク保有者を目視で探索するための有益な情報(所定の抽出条件を満たす確度)に絞り込んで外部端末40に提供できる。
【0057】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、さまざまな変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。
また、前記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
例として、テキスト読み上げソフトウェアを風体情報送信部34に追加することで、音声での伝達方式が可能である。また、風体情報抽出部31において言語化された風体情報をもとに、3D-CGソフトウェアを使用して3D-CGに変換することで、個人情報を除いた視覚的に確認できる情報の伝達が可能である。
【0058】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体におくことができる。また、クラウドを活用することもできる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
さらに、各装置を繋ぐ通信手段は、無線LANに限定せず、有線LANやその他の通信手段に変更してもよい。
【符号の説明】
【0059】
11 映像撮影装置
12 リスク判定装置
20 映像解析サーバ
21 映像データ処理部
22 リスク保有者特定部
23 一時記録部
24 画像解析部
25 人物追跡部
30 アプリケーションサーバ
31 風体情報抽出部
32 リスク保有者情報管理部
33 DB(データベース)
33A リスク保有者情報テーブル
33B 属性分類テーブル
33C 閾値テーブル
34 風体情報送信部
40 外部端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2021-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出するリスク保有者特定部と、
リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求める画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、
複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外する風体情報抽出部と、
前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達する風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備え
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、互いに区別可能な属性から構成される属性項目に対して、確度が第1閾値以上であり、かつ、同じ属性項目に属する他の属性の確度との差が第2閾値以上である場合、同じ属性項目に属する確度が高いほうの属性を前記風体情報データとして抽出することを特徴とする
画像解析システム。
【請求項2】
画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出するリスク保有者特定部と、
リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求める画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、
複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外する風体情報抽出部と、
前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達する風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備え
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、範囲で判別する属性から構成される属性項目に対して、確度が第1閾値以上であり、かつ、同じ属性項目に属する他の属性の確度との差が第2閾値未満である場合、前記第1閾値以上の確度をもつ複数の属性の範囲を抽象化した1つの範囲の属性を前記風体情報データとして抽出することを特徴とする
画像解析システム。
【請求項3】
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、前記第1閾値以上の確度をもつ複数の属性の範囲を抽象化できない場合には、それらの複数の属性の範囲を個別に前記風体情報データとして抽出することを特徴とする
請求項2に記載の画像解析システム。
【請求項4】
画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出するリスク保有者特定部と、
リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求める画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、
複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外する風体情報抽出部と、
前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達する風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備え
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、複数の属性を抽出可能な属性項目に対して、抽出する属性がない場合の確度が第1閾値以上の場合は、その属性項目から属性を抽出しないことを特徴とする
画像解析システム。
【請求項5】
前記風体情報抽出部は、あらかじめ属性項目ごとに設定された前記第1閾値をデータベースから読み取って、前記所定の抽出条件に用いることを特徴とする
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像解析システム。
【請求項6】
画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出するリスク保有者特定部と、
リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求める画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、
複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外する風体情報抽出部と、
前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達する風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備え
前記映像解析サーバは、さらに、画像データに映るリスク保有者について、画像データのフレーム間を追跡することでリスク保有者の移動履歴データを求める人物追跡部を有しており、
前記アプリケーションサーバは、さらに、前記風体情報データに加えて前記移動履歴データを含む前記伝達内容を前記風体情報送信部から前記外部端末に伝達させるために、前記風体情報データと前記移動履歴データとを統合するリスク保有者情報管理部を有しており、
前記リスク保有者情報管理部は、前記外部端末からフィードバックされたリスク保有者の位置情報を前記移動履歴データに追加することを特徴とする
画像解析システム。
【請求項7】
画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出するリスク保有者特定部と、
リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求める画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、
複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外する風体情報抽出部と、
前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達する風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備え
前記映像解析サーバは、さらに、画像データに映るリスク保有者について、画像データのフレーム間を追跡することでリスク保有者の移動履歴データを求める人物追跡部を有しており、
前記アプリケーションサーバは、さらに、前記風体情報データに加えて前記移動履歴データを含む前記伝達内容を前記風体情報送信部から前記外部端末に伝達させるために、前記風体情報データと前記移動履歴データとを統合するリスク保有者情報管理部を有しており、
前記リスク保有者情報管理部は、画像データに映るリスク保有者の画像データをデータベースに格納するとともに、その画像データを取得するためのリンク情報をデータベースから受信し、そのリンク情報を前記外部端末に伝達することを特徴とする
画像解析システム。
【請求項8】
前記風体情報送信部は、文字情報の前記風体情報データを確度に応じた数値を示すグラフ情報に変換してから、前記外部端末に伝達することを特徴とする
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の画像解析システム。
【請求項9】
画像解析システムは、リスク保有者特定部と、画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、風体情報抽出部と、風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備えており、
前記リスク保有者特定部は、画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出し、
前記画像解析部は、リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求め、
前記風体情報抽出部は、複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外し、
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、互いに区別可能な属性から構成される属性項目に対して、確度が第1閾値以上であり、かつ、同じ属性項目に属する他の属性の確度との差が第2閾値以上である場合、同じ属性項目に属する確度が高いほうの属性を前記風体情報データとして抽出し、
前記風体情報送信部は、前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達することを特徴とする
画像解析方法。
【請求項10】
画像解析システムは、リスク保有者特定部と、画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、風体情報抽出部と、風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備えており、
前記リスク保有者特定部は、画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出し、
前記画像解析部は、リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求め、
前記風体情報抽出部は、複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外し、
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、範囲で判別する属性から構成される属性項目に対して、確度が第1閾値以上であり、かつ、同じ属性項目に属する他の属性の確度との差が第2閾値未満である場合、前記第1閾値以上の確度をもつ複数の属性の範囲を抽象化した1つの範囲の属性を前記風体情報データとして抽出し、
前記風体情報送信部は、前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達することを特徴とする
画像解析方法。
【請求項11】
画像解析システムは、リスク保有者特定部と、画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、風体情報抽出部と、風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備えており、
前記リスク保有者特定部は、画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出し、
前記画像解析部は、リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求め、
前記風体情報抽出部は、複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外し、
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、複数の属性を抽出可能な属性項目に対して、抽出する属性がない場合の確度が第1閾値以上の場合は、その属性項目から属性を抽出しないこととし、
前記風体情報送信部は、前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達することを特徴とする
画像解析方法。
【請求項12】
請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の画像解析方法を、前記映像解析サーバおよび前記アプリケーションサーバに、実行させるための画像解析プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の画像解析システムは以下の特徴を有する。
本発明は、画像データに映る人物からリスク保有者の人物範囲を検出するリスク保有者特定部と、
リスク保有者の人物範囲を画像解析し、その結果としてリスク保有者の属性およびその確度の組み合わせを人物情報解析データとして求める画像解析部とを有する映像解析サーバ、および、
複数の属性から構成される属性項目に属する属性間の確度を比較する旨の所定の抽出条件を満たす属性を、前記人物情報解析データから伝達内容に含める風体情報データとして抽出する一方、前記所定の抽出条件を満たさない属性を不確かな情報として前記伝達内容から除外する風体情報抽出部と、
前記風体情報データを含む前記伝達内容を関係者の外部端末に伝達する風体情報送信部とを有するアプリケーションサーバを備え
前記風体情報抽出部は、前記所定の抽出条件として、互いに区別可能な属性から構成される属性項目に対して、確度が第1閾値以上であり、かつ、同じ属性項目に属する他の属性の確度との差が第2閾値以上である場合、同じ属性項目に属する確度が高いほうの属性を前記風体情報データとして抽出することを特徴とする。
その他の手段は、後記する。