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特開2022-8229ステアリングホイール作動装置及び車両試験方法
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  • 特開-ステアリングホイール作動装置及び車両試験方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008229
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ステアリングホイール作動装置及び車両試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
G01M17/007 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021104220
(22)【出願日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】2009715.0
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】520483899
【氏名又は名称】アンソニー ベスト ダイナミクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ANTHONY BEST DYNAMICS LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ハバード, マシュー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】チウ, ティン ワー
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、試験、例えばADAS試験において用いられる、車両を操縦するための新規なステアリングホイール作動装置を提供することである。
【解決手段】本発明によるステアリングホイール作動装置は、ステアリングホイールアクチュエータを備える。ステアリングホイールアクチュエータは、試験中に、車両ステアリングホイールに作動力を付与するための係合形態と係合解除形態との間で選択的に可動となっていることを特徴としている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験、例えばADAS試験において車両を操縦するためのステアリングホイール作動装置であって、
当該ステアリングホイール作動装置はステアリングホイールアクチュエータを備え、
前記ステアリングホイールアクチュエータは、試験中に、車両ステアリングホイールに作動力を付与するための係合形態と、係合解除形態との間で選択的に可動である、ステアリングホイール作動装置。
【請求項2】
前記ステアリングホイールアクチュエータは、試験中に、前記ステアリングホイールアクチュエータが前記係合形態と前記係合解除形態との間で選択的に可動であるように、可動に取り付けられている、請求項1に記載のステアリングホイール作動装置。
【請求項3】
前記ステアリングホイールアクチュエータは、前記ステアリングホイールアクチュエータが接触しているステアリングホイールの形状に適合する、請求項1又は2に記載のステアリングホイール作動装置。
【請求項4】
前記ステアリングホイールアクチュエータは、複数の互いに離間された回転部材の上に延びるベルトを備える、請求項3に記載のステアリングホイール作動装置。
【請求項5】
当該ステアリングホイール作動装置は、前記ステアリングホイールアクチュエータを、前記ステアリングホイールアクチュエータの前記係合形態と前記係合解除形態との間で動かすように構成された係合アクチュエータを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のステアリングホイール作動装置。
【請求項6】
当該ステアリングホイール作動装置は、前記ステアリングホイールアクチュエータの前記係合形態と前記係合解除形態との間での前記ステアリングホイールアクチュエータの動きを制御するように前記係合アクチュエータを制御するよう構成された制御ユニットを備える、請求項5に記載のステアリングホイール作動装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記ステアリングホイールアクチュエータの係合形態で、前記ステアリングホイールの作動を制御するように前記ステアリングホイールアクチュエータを制御するように構成されている、請求項6に記載のステアリングホイール作動装置。
【請求項8】
当該ステアリングホイール作動装置は、前記ステアリングホイールアクチュエータが前記ステアリングホイールに係合して、前記ステアリングホイールの回転に対して様々な異なるレベルの抵抗を与えることができるように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のステアリングホイール作動装置。
【請求項9】
前記ステアリングホイールアクチュエータは、前記係合形態で、前記ステアリングホイールのリムに接触するように配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のステアリングホイール作動装置。
【請求項10】
試験、例えばADAS試験において車両を操縦するためのステアリングホイール作動装置であって、
当該ステアリングホイール作動装置は、車両ステアリングホイールに作動力を付与するためのステアリングホイールアクチュエータを備え、
当該ステアリングホイール作動装置はまた、試験中に、当該ステアリングホイール作動装置が前記ステアリングホイールの回転に対して生成する抵抗の大きさを変化させるように構成されている、ステアリングホイール作動装置。
【請求項11】
前記ステアリングホイールアクチュエータは、試験中に、前記ステアリングホイールアクチュエータが前記ステアリングホイールアクチュエータによってステアリングホイールに加えられる圧力を変化させるために可動であるように、可動に取り付けられている、請求項10に記載のステアリングホイール作動装置。
【請求項12】
車両試験用の車両であって、
ステアリングホイールと、
試験中に前記ステアリングホイールを作動させるように配置された、請求項1~11のいずれか一項に記載のステアリングホイール作動装置と
を備える、車両。
【請求項13】
ステアリングホイール作動装置を使用して、試験、例えばADAS試験中に車両を操縦する方法であって、
前記車両の前記ステアリングホイールにステアリングホイールアクチュエータを係合させるステップと、
前記ステアリングホイールアクチュエータから前記ステアリングホイールに作動力を付与して前記車両を操縦するステップと、
前記ステアリングホイールから前記ステアリングホイールアクチュエータを係合解除するステップと
を含む方法。
【請求項14】
ステアリングホイール作動装置を使用して、試験、例えばADAS試験中に車両を操縦する方法であって、
前記車両のステアリングホイールにステアリングホイールアクチュエータを係合させ、前記ステアリングホイールアクチュエータから前記ステアリングホイールに作動力を付与して前記車両を操縦するステップと、
前記ステアリングホイールに係合された前記ステアリングホイールアクチュエータで、例えば前記ステアリングホイールアクチュエータによって前記ステアリングホイールに加えられる圧力を変化させることにより、前記ステアリングホイールアクチュエータが試験中に前記ステアリングホイールの回転に対して生成する抵抗の大きさを変化させるステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、以下に限定するものではないが、先進運転者支援システム(ADAS)の試験を含む車両試験において車両を操縦する際に使用するためのステアリングホイール作動装置(steering wheel actuation device)に関する。本発明はまた、ステアリングホイール作動装置を備える試験用の車両、及びステアリングホイール作動装置を使用して車両試験中に車両を操縦する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]多くの近代的な車両は、現在、先進運転者支援システム(ADAS)を含む。車両でADASを試験するには、一貫して繰り返し可能な方法で現実世界のシナリオ(計画)を複製し、ADASがどのように反応するかを測定することが望ましい。ADAS試験では、車両のステアリングホイールを制御して、所定の経路又は操作方法に従うように車両を操縦するために、ステアリングホイールアクチュエータが使用され得る。
【0003】
[0003]ADASは、運転者の手がステアリングホイール上にあるか又はステアリングホイールから離れているかを感知するように構成されるようになってきている。運転者の手がステアリングホイールから離れていることをADASが感知した場合、ADASは、例えば、警報を発するように構成されてもよく、かつ/又は、ADASは、運転者の手がステアリングホイール上にあるときにADASがどのように反応するかに対して異なる反応をしてもよい。いくつかのADASでは、このシステムは、運転者がステアリングホイールをどれだけしっかりと把持しているかを測定するように構成されてもよい。
【0004】
[0004]ADAS試験を含む車両試験に使用される現在のステアリングホイールアクチュエータは、通常、ステアリングホイールの慣性に影響を与える。したがって、これらのアクチュエータは、このアクチュエータがそれ自体抵抗力を与えないときであっても、運転者の手がステアリングホイールから離れているときを完全にシミュレートすることができないことが確認されている。また、上記アクチュエータは、運転者がステアリングホイールをどれだけしっかりと把持しているかをシミュレートすることもできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]本発明は、上述した問題のうちの少なくともいくつかに対処又はいくつかを緩和しようとするものである。代替的に又は追加的に、本発明は、車両試験において車両を操縦するための改良されたステアリングホイール作動装置を提供しようとするものである。代替的に又は追加的に、本発明は、車両試験用の改良された車両を提供しようとするものである。代替的に又は追加的に、本発明は、車両試験中に車両を操縦する改良された方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本発明の第1の態様によれば、車両試験において車両を操縦するためのステアリングホイール作動装置が提供され、この作動装置は、
ステアリングホイールアクチュエータ
を備え、
ステアリングホイールアクチュエータは、試験中に、車両ステアリングホイールに作動力を付与するための係合形態と係合解除形態との間で選択的に可動である。
【0007】
[0007]ステアリングホイールアクチュエータは、試験中に、係合形態と係合解除形態との間で選択的に可動であるため、ステアリングホイールアクチュエータは、(試験中に)車両を操縦するために係合形態に、又は運転者がステアリングホイールから自分の手を離すのをシミュレートするために(例えば、試験がADAS試験である実施形態では、ADASがどのように応答するかを試験するために)係合解除形態に選択的に動かすことができる。ステアリングホイールアクチュエータがその係合解除形態にあるとき、ステアリングホイールアクチュエータは、例えば接触から外れた結果として、ステアリングホイールにいかなる作動力も付与することができないことが理解されよう。したがって、係合解除形態では、ステアリングホイールアクチュエータはステアリングホイールの慣性に影響を与えず、それによって運転者の手がホイールから離れていることを正確にモデル化し得る。係合解除形態では、ステアリングホイールアクチュエータの、ステアリングホイールに接続されている部分、そうでなければステアリングホイールに影響を及ぼす部分がないことが好ましい。ステアリングホイールアクチュエータが係合解除形態にあるとき、ステアリングホイールは、ステアリングホイールのデフォルト(非試験)形態であってもよい(例えば、ステアリングホイールは、車両と共に販売され使用されるよう意図されたステアリングホイールの形態であってもよい)。係合形態は係合位置であってもよい。係合解除形態は係合解除位置であってもよい。係合解除位置では、ステアリングホイールアクチュエータはステアリングホイールから離れていてもよい。ステアリングホイールアクチュエータが係合解除位置にあるとき、ステアリングホイールは、好ましくは動作可能なままである(例えば、ステアリングホイールは、好ましくはステアリングコラム及びステアリングシャフトに結合されたままである)。
【0008】
[0008]本発明の実施形態は車両試験に適用可能である。車両試験は、車両システム試験(すなわち、車両上の1つ又は複数のシステムの試験)であってもよい。試験は、より好ましくはADAS試験である。いくつかの実施形態では、試験は動力学試験であってもよい。いくつかの実施形態では、試験は耐久性試験であってもよい。車両は非自律車両(例えば、手動運転車)であってもよい。いくつかの実施形態では、車両は自律性又は半自律性であってもよい。
【0009】
[0009]任意的であるが、ステアリングホイールアクチュエータは、試験中に、ステアリングホイールアクチュエータが係合形態と係合解除形態との間で選択的に可動であるように、可動に取り付けられる。さらに、これにより、例えば係合アクチュエータ(下記参照)を使用して、選択的係合及び係合解除を自動化することが可能になり、このことは、特定の試験で係合及び係合解除の迅速かつ正確な制御が必要とされ得る試験中の使用に特に有利である。ステアリングホイールアクチュエータは、ステアリングホイールから離れた場所に取り付けられてもよい。
【0010】
[0010]ステアリングホイールアクチュエータは、試験中、アームがステアリングホイールアクチュエータを係合形態と係合解除形態との間で動かすために可動であるように可動に取り付けられたアーム上に取り付けられてもよい。
【0011】
[0011]ステアリングホイールアクチュエータが係合形態にあるとき、ステアリングホイールアクチュエータは、原理上、このアクチュエータがステアリングホイールを作動させるようにステアリングホイールの任意の部分に接触し得る。好ましい実施形態では、ステアリングホイールアクチュエータはステアリングホイールリムに接触する。リムに接触することは、リムが、運転者が通常はホイールを操縦するために自分の手を置くはずの場所であるため、特に有利である。
【0012】
[0012]ステアリングホイール作動装置は、ステアリングホイールアクチュエータが係合形態にあるときにステアリングホイールアクチュエータが摩擦力によってステアリングホイールに作動力を付与するためのものであるように構成され得る。これは、例えばアクチュエータを動かしてステアリングホイールと接触及び非接触にすることにより、アクチュエータをステアリングホイールと係合及び係合解除させる便利な方法を容易にし得る。ステアリングホイール作動装置は、ステアリングホイールアクチュエータがステアリングホイールに接触している係合形態から、ステアリングホイールアクチュエータがステアリングホイールから離れている係合解除形態へのアクチュエータの自動化された係合及び係合解除を提供するように構成され得る。
【0013】
[0013]これは、摩擦力のみによるものであり得る。この点において、ステアリングホイール作動装置は、ステアリングホイールアクチュエータが係合形態にあるときにステアリングホイールアクチュエータがステアリングホイールに固定して装着されないように構成され得る。
【0014】
[0014]ステアリングホイールアクチュエータは、ステアリングホイールとの転がり接触によってステアリングホイールに作動力を付与するように構成され得る。この点において、ステアリングホイールアクチュエータは、ステアリングホイールに接触してステアリングホイールに作動力を付与するための駆動可能な転動面を備えてもよい。
【0015】
[0015]任意的であるが、ステアリングホイールアクチュエータは、ステアリングホイールアクチュエータが接触しているステアリングホイールの形状に適合する。これにより、ステアリングホイール作動装置を異なる形状のステアリングホイールと共に使用することが可能になり得る。例えば、ステアリングホイールアクチュエータは、アクチュエータが接触しているステアリングホイールの形状に適合する1つ又は複数の接触面を有してもよい。1つ又は複数の接触面は弾性材料を含んでいてもよい。このような弾性材料は、係合形態で、ステアリングホイールリムの形状にぴったり合うように変形してもよい。1つ又は複数の接触面は、可撓性材料を含む比較的薄いシートを備えてもよい。このようなシートは、係合形態で、ステアリングホイールリムの形状に適合するようにたわみ、例えばステアリングホイールリムを包み込んでもよい。代替的に又は加えて、1つ又は複数の接触面は、係合形態で、比較的大きな表面積にわたってステアリングホイールと接触するように構成され得る。例えば、1つ又は複数の接触面は、係合形態で、ステアリングホイールの外周の約4~5%にわたってステアリングホイールと接触するように構成され得る。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、ステアリングホイールアクチュエータはベルトを備えてもよい。ベルトは、複数の離間された回転部材の上に延びていてもよい。これにより、ステアリングホイールに力を比較的均一に分散されるように付与する効果的な手段が提供され得る。これにより、ステアリングホイールを選択に係合及び係合解除させる比較的信頼性の高い便利な方法も提供され得る。ベルト及び回転部材は、係合形態にあるときにステアリングホイールの、ベルトが接触している部分の形状にベルトが適合できるようにベルトが可撓性を有するくらいベルトの張力が低くなるように構成され得る。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態では、ステアリングホイールアクチュエータは、ステアリングホイールに係合するための複数又は多数のローラを備えてもよい。ローラは、ステアリングホイールに係合すると、各ローラが当該付勢力によってステアリングホイールの表面に対して押しやられるように、延長位置の方へ付勢され得る。多数のローラは、アクチュエータが接触しているステアリングホイールの形状に適合し得る。
【0018】
[0018]任意的であるが、作動装置は、ステアリングホイールアクチュエータを、このアクチュエータの係合形態と係合解除形態との間で動かすように構成された係合アクチュエータを備える。
【0019】
[0019]係合形態では、ステアリングホイールアクチュエータは、ステアリングホイールに対して付勢され得る。例えば、作動装置は、ステアリングホイールアクチュエータをステアリングホイールに対して付勢するように構成された付勢部材を備えてもよい。係合形態では、ステアリングホイールアクチュエータは、ジョイントの周りで可動、例えば回転可能であり得る。付勢部材は、ジョイントの周りでステアリングホイールアクチュエータを付勢するように構成され得る。このような構成により、ステアリングホイールアクチュエータは、そのステアリングホイールが回転するときに非円形ステアリングホイールと接触したままであることが可能になり得る。
【0020】
[0020]作動装置は制御ユニットを備えてもよい。制御ユニットは、ステアリングホイールアクチュエータの係合形態と係合解除形態との間でのステアリングホイールアクチュエータの動きを制御するように係合アクチュエータを制御するように構成され得る。制御ユニットは、例えば、ステアリングホイールアクチュエータがステアリングホイールに接触している係合形態とステアリングホイールアクチュエータがステアリングホイールから離れている係合解除形態との間のアクチュエータの自動化された選択的係合及び係合解除を可能にし得る。制御ユニットは、係合形態で、ステアリングホイールアクチュエータによってステアリングホイールに加えられる圧力を制御するように係合アクチュエータを制御するように構成され得る。係合アクチュエータはリニアアクチュエータを備えてもよく、リニアアクチュエータには制御ユニットが接続される。制御ユニットは、係合形態と係合解除形態との間の選択的動きを自動化するようにリニアアクチュエータを制御し得る。
【0021】
[0021]代替的に、又は追加的に、制御ユニットは、ステアリングホイールアクチュエータの係合形態で、ステアリングホイールの作動を制御するようにステアリングホイールアクチュエータを制御するように構成され得る。
【0022】
[0022]任意的であるが、作動装置は、ステアリングホイールアクチュエータがステアリングホイールに係合して、ステアリングホイールの回転に対して様々な異なるレベルの抵抗を与えることができるように構成される。このような構成により、作動装置は、係合形態で、運転者による様々な握力をシミュレートすることが可能になり得る。ステアリングホイールアクチュエータは、ステアリングホイールの回転に対して対応する様々な異なるレベルの抵抗を与えるために、異なる付勢力で(例えば、付勢部材又はアクチュエータを介して)ステアリングホイールに対して押しやられるように構成され得る。
【0023】
[0023]任意的であるが、ステアリングホイールアクチュエータは、係合形態で、ステアリングホイールリムに接触するように配置される。ステアリングホイールリムは略円形であってもよい。ステアリングホイールリムは略非円形であってもよい。
【0024】
[0024]本発明の第2の態様によれば、車両試験、例えばADAS試験において車両を操縦するためのステアリングホイール作動装置が提供され、この作動装置は、
車両ステアリングホイールに作動力を付与するためのステアリングホイールアクチュエータ
を備え、
本作動装置はまた、試験中に本作動装置がステアリングホイールの回転に対して生成する抵抗の大きさを変化させるように構成される。
【0025】
[0025]これにより、運転者がステアリングホイールをどれだけしっかりと把持しているかを測定するか、そうでなければ影響を受ける車両システムの試験が可能になり得る、というのは、ステアリングホイール作動装置は、本作動装置がステアリングホイールの回転に対して生成する抵抗の大きさを変化させることによりその把持力をシミュレートすることができるからである。
【0026】
[0026]任意的であるが、ステアリングホイールアクチュエータは、試験中に、このアクチュエータが試験中にステアリングホイールの回転に対して生成する抵抗の大きさを変化させるために可動であるように、可動に取り付けられる。例えば、ステアリングホイールアクチュエータは、ステアリングホイールアクチュエータによってステアリングホイールに加えられる圧力を変化させるために可動であるアーム上に取り付けられてもよい。
【0027】
[0027]ステアリングホイールアクチュエータは、本アクチュエータが係合形態にあるときに車両ステアリングホイールに作動力を付与するとともに、アクチュエータが係合形態にあるときに本アクチュエータによってステアリングホイールに加えられる接触圧力を変化させるように構成され得る。ステアリングホイールアクチュエータはまた、係合解除形態に可動であってもよい。係合解除形態では、ステアリングホイールアクチュエータは、もはやステアリングホイールと接触していなくてもよい。
【0028】
[0028]本発明の第3の態様によれば、試験用の車両が提供され、この車両は、ステアリングホイールと、試験中にステアリングホイールを作動させるように配置された、本発明の第1の態様か第2の態様のどちらかによるステアリングホイール作動装置と、を備える。
【0029】
[0029]本発明の第4の態様によれば、ステアリングホイール作動装置を使用して、試験、例えばADAS試験中に車両を操縦する方法が提供され、この方法は、
車両のステアリングホイールにステアリングホイールアクチュエータを係合させるステップと、
ステアリングホイールアクチュエータからステアリングホイールに作動力を付与して車両を操縦するステップと、
ステアリングホイールからステアリングホイールアクチュエータを係合解除するステップと、
を含む。
【0030】
[0030]本発明の第5の態様によれば、ステアリングホイール作動装置を使用して、試験、例えばADAS試験中に車両を操縦する方法が提供され、この方法は、
車両のステアリングホイールにステアリングホイールアクチュエータを係合させ、ステアリングホイールアクチュエータからステアリングホイールに作動力を付与して車両を操縦するステップと、
ステアリングホイールに係合されたステアリングホイールアクチュエータで、例えばステアリングホイールアクチュエータによってステアリングホイールに加えられる圧力を変化させることにより、ステアリングホイールアクチュエータが試験中にステアリングホイールの回転に対して生成する抵抗の大きさを変化させるステップと、
を含む。
【0031】
[0031]当然のことながら、本発明の一態様に関連して説明された特徴は、本発明の他の態様に組み込まれ得ることが理解されよう。例えば、本発明の任意の態様の方法は、本発明の任意の態様の装置を参照して説明した特徴のいずれかを組み込んでいてもよく、逆の場合も同様である。本発明の好ましい実施形態では、試験はADAS試験である。別段の指定がない限り、ADAS試験を参照して本明細書に記載されている特徴は、他の試験のための実施形態(例えば、システム、動力学及び/又は耐久性試験)に等しく適用可能であり、逆の場合も同様であり得る。
【0032】
[0032]本発明の他の好ましい及び有利な特徴は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0033】
[0033]本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態によるステアリングホイール作動装置と、この装置のステアリングホイールアクチュエータが係合解除形態にある場合のステアリングホイールとの斜視図である。
図2】ステアリングホイールアクチュエータが図1に示す形態にある場合のステアリングホイール作動装置の正面図である。
図3図1の斜視図に対応するが、ステアリングホイールアクチュエータが係合形態にある場合の図である。
図4図2の正面図に対応するが、ステアリングホイールアクチュエータが係合形態にある場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[0036]図1図4を参照すると、本発明の一実施形態によるステアリングホイール作動装置1と、この装置の先進運転者支援システム(ADAS)の試験を受けている車両のステアリングホイール2とが示されている。
【0036】
[0037]今説明している実施形態では、車両は四輪自動車である。しかしながら、ステアリングホイール作動装置1は、ADAS試験又は他の車両試験において車両を操縦するために、どのようなタイプの操縦可能な車両でも使用され得ることは理解されよう。
【0037】
[0038]ステアリングホイール作動装置1は、ベルト3の形態をとるステアリングホイールアクチュエータを備え、ステアリングホイールアクチュエータは、ADAS試験中に、車両を操縦するために車両ステアリングホイール2に作動力を付与するための係合形態(図3及び図4に示す)と係合解除形態(図1及び図2に示す)との間で選択的に可動である。
【0038】
[0039]作動装置1は、第1の端部11から第2の端部12まで長手方向に延びる細長い取付アーム4(図2参照)と、アーム4の第1の端部11及び第2の端部12の方にそれぞれアーム4に回転可能に取り付けられた第1のローラ6及び第2のローラ7とを備える。
【0039】
[0040]アーム4は、横方向に離間された第1のプレート4a及び第2のプレート4bを備え、ローラ6、7は、プレート4aとプレート4bとの間に回転可能に取り付けられる。各ローラ6、7は、ローラ6、7がアーム4の横方向に平行な軸線を中心に回転可能であるように、プレート4a、4bの整列した開口部内に受容された当該シャフト上に取り付けられる。
【0040】
[0041]ベルト3は細長であり、ローラ6、7上に取り付けられる。ベルト3は、第1のローラ6から第2のローラ7へ長手方向に走り、第2のローラ7の周りを通って第1のローラ6に戻り、第1のローラ6の周りを通って無端ループを形成する。この点において、ベルト3は、ローラ6、7が回転するにつれて回転するようにローラ6、7上に取り付けられた無端コンベヤベルトである。
【0041】
[0042]第1のローラ6は、ベルト3を長手方向に駆動するように電気モータ8(図2参照)によって回転駆動される。電気モータ8は、ベルト3、したがってステアリングホイール2を両回転方向に駆動するように両回転方向に駆動可能である(後述する)。
【0042】
[0043]アーム4は、アームの第1の端部11において、回転ジョイント14によって取付フレーム13に枢動可能に取り付けられる。取付フレーム13は支持ロッド15の端部に装着され、支持ロッドは、使用中にステアリングホイールアクチュエータ3によって生成された力に反応するように、吸着カップ取付具16を介して車両ウインドスクリーンなどの車両支持構造に取り付けられる。
【0043】
[0044]リニアアクチュエータ19(図2及び図4に概略的に示されているが、図1及び図3には示されていない)は、ベルト3を係合解除形態(図1及び図2に示す)と係合形態(図3及び図4に示す)との間で回転させるようにアーム4を、回転ジョイント14を中心に回転させるように構成される。
【0044】
[0045]この点において、リニアアクチュエータ19の第1の端部はフレーム13に取り付けられ、リニアアクチュエータ19の第2の端部は枢着レバーアーム18に接続される。レバーアーム18は、ばね17(図1及び図2には部分的にしか見えないが、図3及び図4には完全に示されており、プレート13は部分的に透明に示されている)の一端に装着される。ばね17の反対端はアーム4の下側に装着され、したがって、リニアアクチュエータ19によるレバーアーム18の動きが(ばね17を介して)アーム4をステアリングホイール2の方へ引っ張って、ステアリングホイールアクチュエータがステアリングホイールを押圧するようにする。これにより、ステアリングホイールアクチュエータが係合形態になる。レバーアーム18の動き、及び結果として生じるアーム4上のステアリングホイールアクチュエータの動きは、図1及び図2図3及び図4と比較すると明らかである。逆に、アクチュエータ19は、レバーアーム18を反対方向に回転させ、それによって(ばね17を介して)アーム4をステアリングホイールから離れる向きに押す。
【0045】
[0046]レバーアーム18に接続されたリニアアクチュエータ19は制御ユニット20に接続され(図2及び図4に概略的に示す)、制御ユニットは、ADAS試験中に、係合形態と係合解除形態との間でのアーム4及びベルト3の選択的動きを制御するようにリニアアクチュエータ19を制御するように構成される。
【0046】
[0047]制御ユニット20はまた、係合形態において、ベルト3によってステアリングホイール2のリムに加えられる接触圧力を制御可能に変化させるようにリニアアクチュエータ19を制御するように構成される。これにより、運転者がステアリングホイール2をどれだけしっかりと把持しているかを測定するADASシステムの試験が可能となり得る、というのは、ステアリングホイール作動装置1は、ベルト3によってステアリングホイール2に加えられる圧力を変化させることにより、その把持力、及び回転に対する抵抗の変化をシミュレートすることができるからである。
【0047】
[0048]制御ユニット20はまた、ベルト3がホイール2に係合しているときにホイール2の操縦を制御するために、ベルト3の回転を制御するようにモータ8を制御するように構成される(以下に記述される)。
【0048】
[0049]現在説明している実施形態では、制御ユニット20は、作動装置1の上記の制御を自動化するためにソフトウェアで適切にプログラムされたコンピュータ処理ユニットを備える。しかしながら、この制御はソフトウェア以外の手段によって達成され得ることが理解されよう。例えば、適切に構成された電子回路が、プログラマブル処理ユニットを備えるか否かにかかわらず、同等の機能を達成することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニット20は省略されてもよく、作動装置1は、例えば運転車の席に座っている人によって手動で制御される。しかしながら、ベルト3とステアリングホイール2との選択的係合を制御するとともに、ベルト3によるホイール2の操縦を制御するためにアクチュエータ19及び制御ユニット20を使用することは、特定の試験で迅速かつ正確な制御が必要とされ得るADAS試験にとって特に有利である。
【0049】
[0050]ベルト3が係合形態にあるとき、ベルトは、(アーム4の回転位置によって)ステアリングホイール2のリムと転がり接触して配置される。ベルト3の接触面とステアリングホイールリムの接触面との間の摩擦力は、ステアリングホイール2を回転させるように作用する作動力をステアリングホイールリムに付与する。
【0050】
[0051]この点において、ベルト3は、ステアリングホイール2に固定して装着されず、この摩擦力によってのみステアリングホイール2を回転させる。これは、ベルトが、ベルト3を動かしてステアリングホイールリムと接触状態及び非接触状態にするだけで、ベルト3をステアリングホイール2に選択的に係合及び係合解除させる比較的簡単な方法を提供するという点で有利である。
【0051】
[0052]ベルト3及びローラ6、7は、ステアリングホイールリムの、ベルトが接触している部分の形状に適合するくらいベルト3が可撓性であるほどベルト3の張力が低くなるように構成される。これは、このことでステアリングホイール作動装置1を様々な異なる形状のステアリングホイール2と共に使用することが可能になるという点で有利である。ばね17及び回転ジョイント14が存在することで、非円形ステアリングホイールを収容する構成も可能になる。この点において、ステアリングホイールアクチュエータが係合形態にあるとき、ばね17はアーム4をホイールの方へ付勢する(それによって、ステアリングホイールリムの接触領域での局所半径が減少するときに接触が確実に維持される)のに対して、ジョイント14は逆の動きも可能にする(それによって、ステアリングホイールリムの接触領域での局所半径が増大するときに接触が確実に維持される)。
【0052】
[0053]ベルト3が係合解除形態にあるとき、アーム4は、ベルト3がステアリングホイール2と接触しないように回転位置にある。この位置では、ベルト3は、ステアリングホイール2に作動力を付与することができない。したがって、係合解除形態では、ベルト3は、ステアリングホイール2の慣性に影響を与えない場合がある。これは、ベルト3がもはやステアリングホイール2に追加の慣性を加えず、したがってADASは、これを運転者がホイール2から自分の手を離したと解釈するはずであるという点で有利である。
【0053】
[0054]要約すると、ベルト3は、ADAS試験中に、係合形態と係合解除形態との間で選択的に可動であるため、ベルトは、(ADAS試験中に)車両を操縦するために係合形態に、又は運転者がステアリングホイール2から自分の手を離すのをシミュレートして、ADASがどのように応答するかを試験するために係合解除形態に選択的に可動である。また、作動装置1は、ステアリングホイールによって示される回転に対する抵抗を調整するために、ベルト3によってステアリングホイール2のリムに加えられる接触圧力を変化させることができる。作動装置は、運転者がステアリングホイール2をどれだけしっかりと把持しているかに影響を受けるか、又はこれを測定するシステムを試験するために使用され得る。
【0054】
[0055]本発明について、特定の実施形態を参照して説明及び例示してきたが、本発明は、本明細書に具体的には示されていない様々な変形形態に役立つことが当業者には理解されよう。
【0055】
[0056]例えば、記載されている実施形態では、ベルト3は、ベルト3をベルトの係合形態と係合解除形態との間で動かすために回転するアーム4上に取り付けられる。代替的に、又は追加的に、ベルト3は、ベルトがベルトの係合形態と係合解除形態との間を移動するように可動に取り付けられてもよい。
【0056】
[0057]記載されている実施形態では、ステアリングホイールアクチュエータはベルト3である。しかしながら、任意の適切なタイプのステアリングホイールアクチュエータが使用され得ることが理解されよう。例えば、ステアリングホイールアクチュエータは、ステアリングホイールに係合するための複数又は多数のローラを備えてもよい。ローラは、ステアリングホイールに係合すると、各ローラが当該付勢力によってステアリングホイールの表面に対して押しやられるように、延長位置の方へ付勢され得る。多数のローラは、アクチュエータが接触しているステアリングホイールの形状に適合し得る。
【0057】
[0058]記載されている実施形態では、ベルト3が係合形態にあるとき、ベルトはステアリングホイール2のリムに接触する。ベルトは、原理上、ベルトがステアリングホイールを作動させるようにステアリングホイールの任意の部分に接触し得る。しかしながら、リムに接触することは、リムが、運転者が通常はホイール2を操縦するために自分の手を置くはずの場所であるため、特に有利である。
【0058】
[0059]前述の説明において、既知の、自明の、又は予測可能な均等物を有する整数又は要素が言及されている場合、そのような均等物は、個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本発明の真の範囲を決定するために特許請求の範囲を参照すべきであり、本発明の真の範囲は、任意のかかる均等物を包含するように解釈されるべきである。好ましい、有利な、便利な、などと記載されている本発明の整数又は特徴は任意選択であり、独立請求項の範囲を限定するものではないことも読者によって理解されるであろう。さらに、そのような任意選択の整数又は特徴は、本発明のいくつかの実施形態では考えられる利点であるが、他の実施形態では望ましくない場合があり、したがって存在しない場合があることを理解されたい。
【符号の説明】
【0059】
1…ステアリングホイール作動装置、2…ステアリングホイール、3…ベルト/ステアリングホイールアクチュエータ、4…アーム、4a…第1のプレート、4b…第2のプレート、6…第1のローラ、7…第2のローラ、8…電気モータ、11…第1の端部、12…第2の端部、13…取付フレーム/プレート14…回転ジョイント、15…支持ロッド、16…吸着カップ取付具、17…ばね、18…レバーアーム、19…リニアアクチュエータ、20…制御ユニット
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】