(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008237
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ポケット及び充填材を有する織りシューアッパー
(51)【国際特許分類】
A43B 23/02 20060101AFI20220105BHJP
D03D 11/00 20060101ALI20220105BHJP
D03D 23/00 20060101ALI20220105BHJP
D03D 15/56 20210101ALI20220105BHJP
【FI】
A43B23/02 101A
D03D11/00 Z
D03D23/00
D03D15/56
【審査請求】有
【請求項の数】47
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021104322
(22)【出願日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】10 2020 207 848.3
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン アレクサンダー トンプセット
(72)【発明者】
【氏名】マティアス エツォルド
(72)【発明者】
【氏名】カンタン フェラーリ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ピット
(72)【発明者】
【氏名】ファイナ チュンハン リアン
(72)【発明者】
【氏名】アダム ジョン メイハー
(72)【発明者】
【氏名】ブリユ ピエール マリ フェロン
【テーマコード(参考)】
4F050
4L048
【Fターム(参考)】
4F050BC00
4F050HA28
4L048AA20
4L048AA24
4L048AA26
4L048AB06
4L048BA09
4L048CA00
4L048CA04
4L048DA00
4L048DA24
4L048EB00
4L048EB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アッパーの外面の長い耐久性と同時に良好な足の環境を有するシューズ用織りアッパーを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの単層部分103と、少なくとも1つの多層部分105とを備える織り要素を備え、単層部分が単一の織り層から形成され、多層部分が少なくとも2つの重なっている織り層から形成され、少なくとも1つの単層部分が少なくとも1つの多層部分に隣接し、多層部分が織り要素の少なくとも1つの突出部102、107を備える、シューズ用アッパーに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の織り層から形成された少なくとも1つの単層部分と、少なくとも2つの重なっている織り層から形成された少なくとも1つの多層部分とを備える織り要素を備え、多層部分が、織り要素の少なくとも1つの突出部を備え、少なくとも1つの単層部分が、少なくとも1つの多層部分に隣接する、シューズ用アッパー。
【請求項2】
織り要素が、シューアッパーの形状に基本的に一致する形状を備える、請求項1に記載のアッパー。
【請求項3】
織り要素が外面と内面とを備え、織り要素の少なくとも1つの突出部が、外面から、及び/又は内面から突出する、請求項1又は2に記載のアッパー。
【請求項4】
多層部分の少なくとも1つの突出部が、シューアッパーの縁に接続されない閉じた周部を備える、請求項1~3のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項5】
多層部分の少なくとも1つの突出部が、シューアッパーの縁で終端となる周部を備える、請求項1~4のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項6】
多層部分が、少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を備える、請求項1~5のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項7】
充填材料が、ポリエステル糸及び/又はTPU糸を含む糸である、請求項6に記載のアッパー。
【請求項8】
多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層間の隙間が約1mm~約12mmである、請求項1~7のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項9】
少なくとも1つの突出部が、真っ直ぐなストライプ、湾曲したストライプ、又は閉じた形状の形状を備える、請求項1~8のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項10】
少なくとも1つの突出部が、第1の単層部分に隣接する外周と、第2の単層部分に隣接する内周とを有する閉じた形状を備える、請求項9に記載のアッパー。
【請求項11】
閉じた形状が、リング、矢じり、又は三星の形状である、請求項1~10のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項12】
多層部分が、シューアッパーの爪先領域、爪革領域、中足領域、ベロ領域、及び踵領域のうちの少なくとも1つに配置された、請求項1~11のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項13】
織り要素が、互いに接続されていない少なくとも2つの多層部分を備える、請求項1~12のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項14】
織り要素が、少なくともその形状及び/又は寸法を異にする少なくとも2つの突出部を備える、請求項1~13のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項15】
織り要素が複数の突出部を備え、突出部の大きさが、シューアッパーの爪先領域から踵領域へ大きくなる、請求項1~14のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項16】
織り要素が複数の突出部を備え、シューアッパーの踵領域のすぐ近くの突出部が最大の大きさを有する、請求項1~15のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項17】
織り要素が、少なくとも使用される糸及び/又はその織り構造を異にする第1のゾーンと第2のゾーンとを備える、請求項1~16のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項18】
織り要素が、ポリエステル糸及び/又はTPU糸及び/又はナイロン糸を備え、第1のゾーンと第2のゾーンが糸組成を異にする、請求項17に記載のアッパー。
【請求項19】
第1のゾーンと第2のゾーンが、使用される糸の線密度を異にする、請求項17又は18に記載のアッパー。
【請求項20】
第1のゾーンがシューアッパーの前足領域にあり、150デニールの線密度の糸を備え、第2のゾーンがシューアッパーの踵領域にあり、300デニールの線密度の糸を備える、請求項19に記載のアッパー。
【請求項21】
第1のゾーンと第2のゾーンが、その織り構造のスレッドカウントを異にする、請求項17~20のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項22】
織り要素が一体の織布である、請求項1~21のいずれか1つに記載のアッパー。
【請求項23】
シューズであって、
請求項1~22のいずれか1つに記載のシューアッパーと、
シューアッパーに取り付けられたソールと
を備えるシューズ。
【請求項24】
シューズ用アッパーを製造する方法であって、
少なくとも1つの単層部分と少なくとも1つの多層部分とを備える織り要素を単一の織り工程で織るステップを含み、
単層部分が単一の織り層から形成され、多層部分が少なくとも2つの重なっている織り層から形成され、多層部分が、織り要素の少なくとも1つの突出部を備え、単層部分が多層部分と隣接する、方法。
【請求項25】
織り要素を基本的にシューアッパーの形状に織るステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの突出部がシューアッパーの縁に接続されない周部を備える、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの突出部が、シューアッパーの縁で終端となる周部を備える、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項28】
多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を配置するステップをさらに含む、請求項24~27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
充填材料を配置するステップが、織り要素を織っている間に、少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を織るステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
織り要素を織った後に、少なくとも2つの重なっている織り層間の充填材料が、機械的又は化学的な技法によっていくつかの部分又は糸スクラップに壊される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
織り要素を織った後に、少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を配置するステップが実行される、請求項28~30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
充填材料が、ポリエステル糸及び/又はTPU糸を含む糸である、請求項28~31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
織り要素の少なくとも1つの突出部が、織り要素の外面及び/又は織り要素の内面から突出するように織り要素を織るステップをさらに含む、請求項24~32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層間の隙間が約1mm~約12mmである、請求項24~33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つの突出部が、真っ直ぐなストライプ、湾曲したストライプ、又は閉じた形状の形状を備えるように織り要素を織るステップをさらに含む、請求項24~34のいずれか1つに記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1つの突出部が、第1の単層部分に隣接する外周と、第2の単層部分に隣接する内周とを有する閉じた形状を備える、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
多層部分を、シューアッパーの爪先領域、爪革領域、中足領域、ベロ領域、及び踵領域のうちの少なくとも1つに配置するステップをさらに含む、請求項24~36のいずれか1つに記載の方法。
【請求項38】
互いに接続されていない少なくとも2つの多層部分が形成されるように織り要素を織るステップをさらに含む、請求項24~37のいずれか1つに記載の方法。
【請求項39】
少なくともその形状及び/又は寸法を異にする少なくとも2つの突出部が形成されるように織り要素を織るステップをさらに含む、請求項24~38のいずれか1つに記載の方法。
【請求項40】
複数の突出部が形成されるように織り要素を織るステップであって、突出部の大きさが、シューアッパーの爪先領域から踵領域へ大きくなる、ステップをさらに含む、請求項24~39のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
複数の突出部が形成されるように織り要素を織るステップであって、シューアッパーの踵領域のすぐ近くの突出部が最大の大きさを有する、ステップをさらに含む、請求項24~40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
単一の織り工程で織り要素を織って、織り要素の第1のゾーンと第2のゾーンとを形成するステップであって、第1のゾーンと第2のゾーンが、少なくとも使用される糸及び/又はその織り構造を異にする、ステップをさらに含む、請求項24~41のいずれか1つに記載の方法。
【請求項43】
ポリエステル糸及び/又はTPU糸及び/又はナイロン糸で織り要素を織るステップであって、第1のゾーンと第2のゾーンが糸組成を異にする、ステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
第1のゾーンと第2のゾーンが、使用される糸の線密度及び/又はその織り構造のスレッドカウントを異にする、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
1つ又は複数の予め選択された領域において織り要素を熱プレスするステップをさらに含む、請求項24~44のいずれか1つに記載の方法。
【請求項46】
1つ又は複数の予め選択された領域が、織り要素の単層部分にある、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
シューズを製造する方法であって、
請求項24~46のいずれか1つに記載のシューズ用アッパーを製造するステップと、
シューアッパーにソールを取り付けるステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシューズ用アッパー、及びシューズ用アッパーを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
履物物品はいくつかの要件に合致しなければならない。最も重要な態様の1つは、快適な履き心地を確実にすることである。シューズは、個人の足形にぴったりと合うだけでなく、できるだけうまく着用者を支えなければならない。織りシューアッパーを使用すると、所与の足形に柔軟に合うことが確実になる。しかしながら、純粋な織りアッパーは、着用者をうまく支えず、したがって、怪我の危険性が増大する。
【0003】
さらに、織物は、織り糸の組成及び織物の織り構造に応じて外部の影響に非常に弱いことがある。アッパーの表面が硬い物と接触するとすぐに摩耗し、それは、シューズの耐久性を劇的に短縮させる。これに加えて、材料の通気性及び関連する足の環境は、シューズの履き心地への基本的な影響を有する。着用者の主観的な履き心地を向上させるために、また、足から湿気を効果的に取り除くために、シューズの中での良好な空気循環を確実にしなければならない。
【0004】
米国特許出願公開第20130086726号明細書は、衣服の織り物品、及び衣服の織り物品を作るための方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第20130086726号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、アッパーの外面の長い耐久性と同時に良好な足の環境を有するシューズ用織りアッパーを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題は、少なくとも1つの単層部分と、少なくとも1つの多層部分とを備える織り要素を備え、単層部分が単一の織り層から形成され、多層部分が少なくとも2つの重なっている織り層から形成され、少なくとも1つの単層部分が少なくとも1つの多層部分に隣接し、多層部分が織り要素の少なくとも1つの突出部を備える、シューズ用アッパーによって解決される。
【0008】
織り要素は、シューアッパーの形状に基本的に一致する形状を備えてもよい。仕上がり後のシューアッパーは単一の織り工程で織られてもよく、これは、製造の簡略化並びにコスト及び時間の節約に有利である。さらに、潜在的には水膨れや擦り傷を引き起こす可能性のある縫い目の数を大幅に削減することができる。これに代えて、織り要素は、シューアッパーの一部分だけを形成してもよい。すなわち、シューアッパーは、ニット要素、革要素、又は任意の他の布要素などの他の要素をさらに備えてもよい。
【0009】
織り要素は外面と内面とを備えてもよい。織り要素の少なくとも1つの突出部は、外面から、内面から、又は外面と内面の両方から突出してもよい。特に、多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層の1つは外面にあって、他の1つの織り層は内面にある。少なくとも2つの重なっている織り層の少なくとも1つは、それぞれの外面又は内面から突出して織り要素の突出部を形成する。
【0010】
織り要素の少なくとも1つの突出部はシューアッパーの表面に3D構造を形成し、これは、空気の循環の増大、又はシューアッパーの表面の保護を可能にする、局所的に高くなった構造物を形成する。着用時に着用者の足と接触するシューアッパーの内面から突出部が突出する場合、特に激しい身体活動中において、空気の循環、したがってシューズ内の足の環境を改善することができる。突出部がシューアッパーの外面から突出する場合、3D構造は、シューアッパーの最も外側の面において硬い物体からのよりよい保護を提供することができる。したがって、シューアッパーのよりよい耐摩耗性及びより長い耐久性を提供することができる。
【0011】
多層部分の少なくとも1つの突出部は、シューアッパーの縁に接続されない周部を備えてもよい。特に、突出部は、突出部の閉じた境界を形成する閉じた周部を備える。したがって、突出部の少なくとも2つの重なっている織り層間の内部空間は閉じている。閉じられる突出部を製造工程中に同時に密閉すると、製造時間が短くなり、密閉を実行する後続の製造ステップが不要になるので、迅速な製造が可能になる。
【0012】
多層部分の少なくとも1つの突出部は、シューアッパーの縁で終端となる周部を備えてもよい。特に、突出部は開いた周部を備え、したがって、突出部の少なくとも2つの重なっている織り層間に開いた空間を備える。開いた突出部は、織り要素又はシューアッパーの製造工程後に密閉されてもよく、これは、充填材料が突出部内に加えられる場合には有利で、より便利である。多層部分の閉じた突出部に対しては注入の後製造ステップが必要となるので、閉じた突出部に比べて開いた突出部に充填することは容易である。さらに、多層部分の構造の安定性をより高めるために追加の補強材料を突出部内に組み入れることもまたより容易である。
【0013】
多層部分は、少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を備えてもよい。特に、充填材料は、多層部分の少なくとも1つの突出部の内部空間にあってもよい。充填材料は、織り要素の突出部をより安定化させることができる。加えて、充填材料は、充填材料の組成に応じて、シューズ内の熱の貯蔵及び湿度の移動に大きな影響を及ぼすことができる。シューアッパーの外面において、充填材料は緩衝効果を与えることができ、これは、織り要素の突出部によって与えられる耐摩耗性効果と一体となると特に有利である。
【0014】
一実施形態では、充填材料は、ポリエステル糸及び/又は熱可塑性ポリウレタン(TPU:thermoplastic Polyurethane)糸を含む糸であってもよい。ポリエステル材料の使用は、高い対候条件及び耐機械負荷などのいくつかの利点を有する。これに代えて、充填材料は、様々な機能的及び美的な要求を達成するために、再生糸、ポリプロピレン糸、羊毛糸、TPE衝撃吸収糸、織布スクラップ、又は任意の他の適切な材料であってもよい。例えば、充填材料の色及び他の視覚的特性を、シューアッパーの異なる領域において調節して適用することができる。
【0015】
多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層間に約1mm~約12mmの隙間が形成されてもよい。織り要素の突出部において、この隙間はまた、突出部の高さとして理解されてもよい。本発明者は、このような高さを有する突出部がたいていは、本書で言及する有利な効果を提供することを理解した。
【0016】
織り要素の少なくとも1つの突出部は、真っ直ぐなストライプ、湾曲したストライプ、又は閉じた形状の形状を備えてもよい。様々な要件及び要求に応じて、異なる形状が、本書で言及する有利な効果を補助及び提供することができる。さらに、この形状を、アッパーの特定の領域での要件に適合させることができる。
【0017】
一実施形態では、突出部は、第1の単層部分に隣接する外周と、第2の単層部分に隣接する内周とを有する閉じた形状を備えてもよい。突出部のこの形態は、突出部によって生じる高さが紐のもつれを防ぐので、シューアッパーの甲領域で特に有利である。特に、シューアッパーのU字形スロートに使用される突出部は、紐が足の皮膚を締め付けるときに着用者の足に過大な圧力を生じさせる、望ましくない紐の締め付け効果を避けることができる。
【0018】
突出部の閉じた形状は、リング、矢じり、又は三星の形状であってもよい。本書で説明する技法を使用して、それがなければより多くの労力とコストを必要とするような関連形状の突出部を有するアッパーを提供することが可能である。
【0019】
織り要素の多層部分は、シューアッパーの爪先領域、爪革領域、中足領域、ベロ領域、及び踵領域のうちの少なくとも1つに配置されてもよい。加えて、織り要素の多層部分はまた、シューアッパーのカラーパッド領域又は内側裏張り領域に配置されてもよい。
【0020】
織り要素は、互いに接続されておらず、任意選択的に、シューアッパーの異なる領域に配置された少なくとも2つの多層部分を備えてもよい。シューアッパーでの多層部分の分布は、様々なスポーツ及びパーフォーマンスに適用するためのシューズの特別の設計及び要求から生じ、したがってシューズ全体の周り又は内側の空気循環を最適化することができる。
【0021】
織り要素は、少なくともその形状及び/又は寸法を異にする少なくとも2つの突出部を備えてもよい。様々な形状を組み合わせることによって、様々な要求を同時に満たすことができる。例えば、アッパーのいくつかの領域にはかさばった突出部が必要とされるが、他の領域では平べったい突出部が必要とされる。
【0022】
織り要素は複数の突出部を備えてもよく、突出部の大きさは、シューアッパーの爪先領域から踵領域へ大きくなる。この形態によって、シューズの特定の領域に突出部の大きさを適合させることができる。
【0023】
織り要素は複数の突出部を備えてもよく、シューアッパーの踵領域のすぐ近くの突出部は最大の大きさを有する。シューズの踵領域は多くの場合、最も緩衝効果及び保護機能を必要とする。本書で説明する技法を使用して、適切な緩衝突出部を踵領域に配置することによってこのような保護を容易に提供することができる。
【0024】
織り要素の複数の突出部の量、分布、及び寸法は限定されず、シューアッパーの様々な要求に基づいて任意に設計及び選択されてもよいことは理解すべきである。
【0025】
織り要素は、少なくとも使用される糸及び/又はその織り構造を異にする第1のゾーンと第2のゾーンとを備えてもよい。織り要素は、ポリエステル糸及び/又はTPU糸及び/又はナイロン糸を備えてもよく、第1のゾーンと第2のゾーンは糸組成を異にする。異なる糸及び/又は糸組成を使用することによって、アッパーの特定の領域の伸縮性を他の領域よりも高くすることができ、これがシューズへのフィットを改善及び最適化することを可能にする。
【0026】
第1のゾーンと第2のゾーンは、使用される糸の線密度を異にしてもよい。異なる線密度を有するゾーンを組み合わせると、異なる伸縮性及び/又は弾性に加えて、異なる強度、耐久性、引張抵抗、及び通気性を有するゾーンになる。
【0027】
一実施形態では、第1のゾーンはシューアッパーの爪革領域に配置されてもよく、150デニールの線密度の糸を備えてもよく、第2のゾーンはシューアッパーの踵領域に配置されてもよく、300デニールの線密度の糸を備えてもよい。踵領域は爪革領域よりも大きな力に耐えなければならない。一方、爪革領域の通気性は踵領域よりも大きくなければならない。したがって、異なる線質量密度を有するゾーンを組み合わせることは有益である。
【0028】
第1のゾーンと第2のゾーンは、その織り構造のスレッドカウントを異にしてもよい。シューアッパーの特定のゾーンのサポートをより大きくしたい場合、より多くのスレッドを使用すると、より厚くより硬い織り要素が生じる。
【0029】
本発明はまた、本書で説明するようなアッパーと、このアッパーに取り付けられたソールとを備えるシューズに関する。
【0030】
本発明はまた、シューズ用アッパーを製造する方法に関する。本方法は、少なくとも1つの単層部分と少なくとも1つの多層部分とを備える織り要素を単一の織り工程で織るステップを含み、単層部分は単一の織り層から形成され、多層部分は少なくとも2つの重なっている織り層から形成され、単層部分は多層部分と隣接し、多層部分は、織り要素の少なくとも1つの突出部を備える。
【0031】
このようなアッパーの利点は上で説明されており、説明を簡潔にするためにここでは繰り返さない。
【0032】
アッパーを製造する方法は、織り要素を基本的にシューアッパーの形状に織るステップをさらに含む。特に、織り要素は、一体の2次元シューアッパーに織られ、これは、シューズ又は履物製品を生産するためにその後の製造に使用される。
【0033】
アッパーを製造する方法は、多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を配置するステップをさらに含んでもよい。充填材料を配置するステップは、織り要素を織っている間に、少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を織るステップを含んでもよい。
【0034】
織り要素を織った後に、少なくとも2つの重なっている織り層間の充填材料は、機械的又は化学的な技法によっていくつかの部分又は糸スクラップに壊されてもよい。
【0035】
織り要素を織った後に、少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を配置するステップが実行されてもよい。
【0036】
充填材料は、ポリエステル糸及び/又はTPU糸を含む糸であってもよい。これに代えて、充填材料は、様々な機能的及び美的な要求を達成するために、再生糸、ポリプロピレン糸、羊毛糸、TPE衝撃吸収糸、又は任意の適切な材料であってもよい。
【0037】
アッパーを製造する方法は、織り要素の少なくとも1つの突出部が、織り要素の外面及び/又は織り要素の内面から突出するように織り要素を織るステップをさらに含んでもよい。
【0038】
一実施形態では、多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層間の隙間は約1mm~約12mmであってもよい。この隙間は約2mm~6mmが好ましく、約2mm~4mmが特に好ましい。
【0039】
アッパーを製造する方法は、少なくとも1つの突出部が、真っ直ぐなストライプ、湾曲したストライプ、又は閉じた形状の形状を備えるように織り要素を織るステップをさらに含んでもよい。
【0040】
少なくとも1つの突出部は、第1の単層部分に隣接する外周と、第2の単層部分に隣接する内周とを有する閉じた形状を備えてもよい。
【0041】
アッパーを製造する方法は、多層部分を、シューアッパーの爪先領域、爪革領域、中足領域、ベロ領域、及び踵領域のうちの少なくとも1つに配置するステップをさらに含んでもよい。
【0042】
アッパーを製造する方法は、互いに接続されていない少なくとも2つの多層部分が形成されるように織り要素を織るステップをさらに含んでもよい。
【0043】
アッパーを製造する方法は、複数の突出部が形成されるように織り要素を織るステップであって、突出部の大きさが、シューアッパーの爪先領域から踵領域へ大きくなる、ステップをさらに含んでもよい。
【0044】
アッパーを製造する方法は、複数の突出部が形成されるように織り要素を織るステップであって、踵領域のすぐ近くの突出部が最大の大きさを有する、ステップをさらに含んでもよい。
【0045】
アッパーを製造する方法は、単一の織り工程で織り要素を織って、織り要素の第1のゾーンと第2のゾーンとを形成するステップであって、第1のゾーンと第2のゾーンが、少なくとも使用される糸及び/又はその織り構造を異にする、ステップをさらに含んでもよい。
【0046】
アッパーを製造する方法は、ポリエステル糸及び/又はTPU糸及び/又はナイロン糸で織り要素を織るステップであって、第1のゾーンと第2のゾーンが糸組成を異にする、ステップをさらに含んでもよい。
【0047】
第1のゾーンと第2のゾーンは、使用される糸の線密度及び/又はその織り構造のスレッドカウントを異にしてもよい。
【0048】
アッパーを製造する方法は、1つ又は複数の予め選択された領域において織り要素を熱プレスするステップをさらに含んでもよい。熱プレスはシーリングよりも迅速である。したがって、製造時間を短縮することができる。さらに、熱プレスは、織り要素のより硬い特性及び耐摩耗性表面を生成することができ、これもまた、シューズにより長い耐久性を与えることができる。
【0049】
1つ又は複数の予め選択された領域は、織り要素の単層部分に配置されてもよい。
【0050】
本発明はまた、本書で説明するシューズ用アッパーを製造するステップと、シューアッパーにソールを取り付けるステップとを含む、シューズを製造する方法に関する。
【0051】
本発明の別の態様は、一体の織り要素を備えるシューズ用アッパーに関し、この織り要素は、踵領域に配置された第1のゾーンと、中足領域に配置された第2のゾーンと、前足領域に配置された第3のゾーンとを備え、これらのゾーンは異なる織り特性を備える。
【0052】
織り要素を一体に製造すると、スポーツ活動中に怪我をもたらし得る縫い目が避けられる。異なる特性を有する異なる織りゾーンを組み合わせると、シューズのそれぞれのゾーンを所望の要件に有益に調節することができる。異なる織り特性は、糸組成及び/又は織り構造であってもよい。
【0053】
これらのゾーンのうちの少なくとも1つは、異なる織り特性を有する少なくとも2つのサブゾーンを備えてもよい。追加のサブゾーンは可能な用途の数を増やすことができ、したがって、このシューズは所望の機能を提供し、様々なスポーツに対して様々な要求を満たすことができる。
【0054】
これらのゾーン及び/又はサブゾーンのうちの少なくとも1つは、他のゾーン及び/又はサブゾーンとは異なる緯糸を備えてもよい。異なる緯糸は、その糸組成、線密度、及び/又はスレッドの数を異にしてもよい。一実施形態では、第1のゾーンは、第2及び第3のゾーンよりも高い線密度、及び/又は多くの数のスレッドを備えてもよい。特に、踵領域において、補強は、運動選手を最適に補助するのに有利であり、これは、より高い線密度、及び/又はより多くの数のスレッドの糸を使用することによって達成することができる。
【0055】
これらのゾーン及び/又はサブゾーンのうちの少なくとも1つは、他のゾーン及び/又はサブゾーンとは異なる織り構造を備えてもよい。織り構造は、織りパターン及び/又は織りパターンの配向を含んでもよい。異なる織りパターンは異なる機械的特性をもたらす。織り構造の異なる配向を使用すると、シューアッパーの異なる領域において必要とされる伸縮性及び/又は弾性の改善された配置を達成することができる。
【0056】
シューアッパーの中足領域に配置された第2のゾーンは平織り構造を有してもよい。平織り材料は滑らかな表面を有し、したがって汚染粒子をはじきやすい。加えて、柔らかな表面によって履き心地が改善される。
【0057】
爪革領域に配置された第3のゾーンは箔によって部分的に覆われてもよい。箔を使用すると、覆われた領域がさらに補強され、シューズの耐水性が向上する。
【0058】
第3のゾーンは穿孔された裏張りをさらに備えてもよい。一方では、裏張りによって蓄熱がよくなる。他方では、これらの孔は、よりよい通気性と湿気の除去を確実にする。
【0059】
本発明はまた、本書で説明するようなアッパーと、このアッパーに取り付けられたソールとを備えるシューズに関する。
【0060】
以下では、本発明の例示的な実施形態が図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】本発明によるシューズを示す好ましい実施形態の例の図である。
【
図2】本発明によるシューズのアッパーの織り要素を示す好ましい実施形態の別の例の図である。
【
図3】本発明によるシューズのアッパーの織り要素を示す好ましい実施形態の別の例の図である。
【
図4A】本発明によるシューズのアッパーの織り要素を示す好ましい実施形態のさらなる例の図である。
【
図4B】本発明によるシューズのアッパーの織り要素を示す好ましい実施形態のさらなる例の図である。
【
図5】本発明によるシューズのアッパーの織り要素を示す好ましい実施形態の別の例の図である。
【
図6A】本発明によるシューズのアッパーの織り要素を示す好ましい実施形態のさらなる例の図である。
【
図6B】本発明によるシューズのアッパーの織り要素を示す好ましい実施形態のさらなる例の図である。
【
図7】本発明によるシューズのアッパーの織り要素を示す好ましい実施形態の別の例の図である。
【
図8】本発明によるシューズのアッパーの織り要素の断面を示す概略図である。
【
図9】本発明の別の態様によるサイクリングシューズの図である。
【
図10】本発明の他の態様によるサイクリングシューズのアッパーの図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下の詳細な説明では、主にシューズを参照して、本発明の可能な実施形態について説明する。本発明は、これらの実施形態に限定されないことを強調しておく。
【0063】
図1は、本発明によるシューズ100のアッパー101の実施形態を示す。アッパー101は織り単層部分103を備え、織り単層部分103は単一の織り層から形成され、本質的にアッパー101の形状に対応する。アッパー101は織り多層部分105をさらに備え、織り多層部分105は2つの重なっている織り層から形成される。他の実施形態では、織り多層部分105は、3つ以上の織り層によって形成することができる。この構成は、本質的に真っ直ぐなストライプ104の形状の安定した突出部102をもたらす。織り単層部分103は、ナイロン、ポリエステル、及びTPU糸の糸組成を含む。織り多層部分105はTPU糸を含む。
【0064】
アッパー101は、シューズの中足領域、爪革領域、及び爪先領域に配置された、一般に多層部分105に対応した複数の突出部102、107を備える。中足領域の突出部102の寸法は、踵領域から爪先領域の方向に沿って小さくなる。爪先領域の4つの突出部107は、爪先領域の形状の曲率に対応したわずかな曲率を有する。他の実施形態では、突出部102は、アッパーの踵領域及び/又は甲領域に適用することができる。
【0065】
単層部分103は、シューズの外側に面した平坦な外面を有する。突出部102は、隣接する単層部分103の外面に対応する面から突出する。多層部分105の2つの重なっている層の間の隙間は約1mm~約12mmであり、それは、突出部102の高さとして理解することができる。この実施形態では、中足及び爪先領域に配置された突出部102、107の高さは約2~6mmであり、これはおおよそ4mmが好ましい。突出部102、107はTPU糸から作られることが好ましく、これは摩耗を増大させ、これらの位置でのシューズの耐久性を向上させることができる。
【0066】
図1に示された突出部102及び107は、シューアッパーの縁に接続されない、閉じた周部を備える。シューアッパーの縁は、アッパーとソールとの間の縁108、又はベロ領域の隣のアッパーの縁109を指すことができる。したがって、突出部102、107は、それぞれが閉じた内部空間を有する閉じたポケットを形成する。
【0067】
他の実施形態では、突出部は、シューアッパーの縁108、109で終端となる開いた周部を有してもよい(図示せず)。したがって、このタイプの突出部は、開いた内部空間を有する、シューアッパーの開いたポケットを形成する。例えば、中足領域の1つの突出部102の周部の2つの端部は両方とも、ソールの隣のアッパーの縁108で終端となってもよい。したがって、突出部102は縁108において開口を有する、開いたチャネルと同様の開いたポケットを形成してもよい。
【0068】
図1の例示的な実施形態では、閉じたポケット102、107には、ポリエステル糸、好ましくは再生ポリエステル糸が充填される。ポリエステル糸は、織り要素の緯糸と経糸との間に形成された隙間を通して注入することによって、閉じたポケットの内部空間に充填することができ、これは、ポストプロダクション法で、織りシューアッパーの製造後に実施される。突出部が開いたポケットの場合の他の実施形態では、充填糸などの充填材料は、ポケットの開口を通してポケットに加えることができ、その後、ポケットの開口を密閉する、又は縫い合わせる。したがって、開いたポケットに充填材料を供給する製造方法はより容易でより便利になり得る。いくつかの実施形態では、充填糸は、TPU糸、ポリエステル糸、又はポリエステル糸とTPU糸との混合物を含む。
【0069】
これに代えて、充填糸は、機能に対する様々な要求に従って、例えば、疎水性、中空繊維、天然繊維、グラフェン繊維、歪速度依存糸、発泡糸、接着剤無しの発泡体などを選ぶことができる。充填材料は、突出部がさらに変形することができるように、突出部、及び対応する織り要素の多層部分において緩衝効果をもたらす。
【0070】
図2は、本発明によるアッパー200の織り要素を示す。織り要素は、織り単層部分201、並びに複数の織り多層部分202、203、204a、及び204bを含む。織り要素の組成は、単層部分201及び多層部分の両方において、73%のナイロンモノフィラメント糸、1%のポリエステル糸、及び26%のTPU糸である。言い換えれば、単層部分201の単一の織り層と多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層は同じ組成と織り構造を有する。これに代えて、単層部分と多層部分は異なる組成を有してもよい。例えば、多層部分は完全にTPU糸で形成されてもよい。
【0071】
織り多層部分202、203、204a、及び204bは、閉じたポケットとして形成され、ポリエステル糸で充填された突出部を備える。代替の実施形態では、突出部のすべて又はいくつかは、開いたポケット又は開いたチャネルとして形成することができる。
【0072】
2つの突出部202は三星形状を有し、製造後のアッパー201の踵領域及び対応するシューズに配置される。三星形状は閉じた形状であり、第1の単層部分201に隣接する外周、及び第2の単層部分205に隣接する内周を有する。突出部204a及び204bは、アッパー201の中足領域の外側及び内側にそれぞれ配置され、真っ直ぐなストライプの形状を有する。爪革領域に配置された3つの突出部203は、湾曲したストライプで、その寸法が変化して爪先の方へ小さくなる形状を有する。
【0073】
図3は、本発明によるアッパー300の織り要素を示す。織り要素は、織り単層部分301、並びに複数の織り多層部分302及び303を備える。
【0074】
織り多層部分302、303は、閉じたポケットとして形成された突出部を備える。突出部302は、それぞれ、踵領域からアッパー300の内側及び外側に延在する。突出部302は、アッパー300の踵及び中足領域に配置された曲線のような閉じた形状を有することが分かる。突出部303は、アッパーの甲領域から爪革領域に延在し、矢じりのような閉じた形状を有する。同様に、突出部303は、第1の単層部分301に隣接する外周、及び第2の単層部分304に隣接する内周部分を有する。
【0075】
第1の単層部分301と第2の単層部分304は、同じ糸組成又は織り構造を有してもよい。例えば、単層部分301、304の糸組成は、24%のナイロンモノフィラメント糸、25%のポリエステル糸、及び51%のTPUモノフィラメント糸であってもよい。別の例の糸組成は、44%のナイロンモノフィラメント糸、29%のポリエステル糸、及び27%のTPUモノフィラメント糸である。
【0076】
これに代えて、第1の単層部分301と第2の単層部分304は異なる糸組成又は織り構造を有してもよい。例えば、第2の単層部分304は、第1の単層部分301の糸よりも高い線密度、又は多数のスレッドを有する糸から作られてもよい。任意選択的に、織り要素の単層部分301は、ゾーン305、306、及び307を備えてもよく、これらの領域は糸組成を異にして、シューズの異なる領域において、好ましい摩耗、伸縮性、及び引裂き強さなどの異なる特性及び動作機能を与える。ゾーン305は、基本的には爪先領域及び爪革領域に対応し、ゾーン306は甲領域及び中足領域に対応し、一方、ゾーン307は主に踵領域に対応する。高摩耗ポリウレタン(PU:polyurethane)糸、ポリエチレンHDPE糸、ポリアミド(PA:polyamide)糸、高靭性PA糸、ポリエステル(PES)、エラストマー糸、及び撚糸などの様々な糸を様々なゾーンに使用して最適の機能性能を達成することができる。
【0077】
図4A及び
図4Bは、本発明によるアッパー400の織り要素のさらなる例を示す。織り要素は、複数の織り単層部分401、402、及び複数の織り多層部分403、404、405を備える。
【0078】
織り単層部分401、402は異なる織り構造を有するとともに、異なる外観及び機能特性を有することが分かる。単層部分401、402の位置、寸法、及び形状は異なり、これらは、異なる要件を満たすように調節することができる。例えば、
図4Aと
図4Bの単層部分401、402の分布はまったく異なっている。任意選択的に、単層部分401と単層部分402の糸組成も異なっていてもよい。これらの実施形態では、基本的にシューアッパーの中足領域に対応して、単層部分402に透明な糸を使用して、これらの領域で特別な視覚効果及びよりよい通気性を生じさせる。
【0079】
複数の多層部分403、404、405は、異なる寸法、形状、位置、量、及び他の特性を有することができる。本書で説明するように、多層部分は織り要素の突出部を形成し、織り要素の突出部は、任意選択的に、その内部空間に充填材料を充填することができる。したがって、突出部403、404、405は、緩衝効果及び/又は改善された摩耗機能を提供することができ、任意に設計し、シューズの好ましい領域に配置することができる。
図4A及び
図4Bに示されるように、シューアッパーの前足領域、中足領域、及び踵領域、特に爪革領域、及び中足領域の中央に突出部を配置することが好ましい。
【0080】
図5は、本発明によるアッパー500の織り要素を示す。織り要素500は、織り単層部分501、及び複数の織り多層部分502を備える。この実施形態では、織り要素は、TPU糸、ポリエステル糸、及びモノフィラメント糸の組成のジャガード織布を備える。モノフィラメント糸は、他のフィラメントと撚られた糸のない布に使用されるように強い合成ポリマーの単一フィラメントである。この実施形態では、モノフィラメント糸は、特に、高強度と同時に望ましい透明な視覚効果を提供することができる、TPUモノフィラメント糸及び/又は熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE:Thermoplastic polyester elastomer)糸であってもよい。これに代えて、モノフィラメント糸はまた、ナイロン、グラスファイバー、又は他の適切な材料から作られてもよい。
【0081】
上に示された他の実施形態と同様に、多層部分502は、シューアッパーの様々な領域に配置された複数の突出部及び閉じたポケットを形成する。織り要素、特に突出部502にTPU糸を使用すると、シューアッパーの外面の耐摩耗性を向上させ、同時に、着用者に内側での快適さを提供することができる。
【0082】
突出部502には、充填材料、例えば、新品のポリエステル糸、織布スクラップ、再生ポロエステル糸、又は再生織布スクラップが充填される。充填糸は、短い糸の切れ端ではなく、連続した形態が好ましい。この実施形態では、突出部は閉じたポケットを形成し、したがって、手動のペダル速度制御を用いて細い針で注入することによって充填材料が充填される。突出部の高さ又は厚さは、15%~20%の製造公差で約2mmから8mmまで変わり得る。
【0083】
図6Aは、本発明によるシューアッパー600の織り要素を示す。織り要素600は、織り単層部分601、及び単層部分601に隣接した織り多層部分602を備える織り要素を備える。織り多層部分602は、シューアッパーのベロ領域に配置される突出部及び閉じたポケットを形成する。閉じたポケットには、織り要素の厚さを増すため、したがって、ベロ領域で最適の緩衝効果を提供するために、充填材料を充填することが好ましい。突出部の寸法は、特定の要求に応じて調節することができる。他の実施形態では、織り要素はまた、ベロ領域に配置される、それぞれが互いに分かれたいくつかの多層部分602を有することができる。
【0084】
図6Bは、本発明によるシューアッパー610の別の織り要素を示す。織り要素は3つの片611、612、613を備え、それぞれ、シューアッパーの前足領域、並びにシューアッパーの外側及び内側中足領域に対応する。3つの片611、612、613のそれぞれは、対応する単層部分614によって囲まれた織り多層部分615によって形成される。織り多層部分615は、55~65%のTPUモノフィラメント糸及び35~45%のポリエステル糸を含むことが好ましく、これは、高強度であるが、シューズ着用者に良好な手触りと心地よさを与えることができる。任意選択的に、織り多層部分615には、充填材料、例えば、ポリエステルの織布廃棄スクラップを充填してもよい。織り単層部分614はTPUモノフィラメント糸を含む。
【0085】
織り要素の3つの片611、612、613は互いに組み合わされてもよく、したがって、シューアッパーの少なくとも主要部分を形成する。このように、シューアッパーは、3つの織り片611、612、613、及び、最適には、わずかな追加の要素だけで作ることができ、これによって、シューアッパーの製造方法を簡略化することができる。例えば、これは、あまり複雑でない織物を生成する助けとなって、織る時間/プリント時間を削減し、より原料に近い材料を適用して注入充填で置き換える。加えて、充填された又は入れられた片は、着用者の足のより広い範囲まで心地よさを提供することができる。
【0086】
図7は、本発明によるアッパーの織り要素700を示す。織り要素700は、織り単層部分701及び複数の織り多層部分702を備える。この実施形態は、織り要素が、熱プレスされた予め選択された領域703をさらに備えるという点で前述の他の実施形態と異なる。熱プレスされた領域703が、織り要素700の単層部分701にあることが好ましい。特に、熱プレスされた領域703は、
図7に示されるように、多層部分702に隣接している。
【0087】
織り要素700は、単層部分701及び多層部分702の両方とも、TPUモノフィラメント糸から作られている。一般のTPU糸の融点は約摂氏180~190度である。予め選択された領域703を熱プレスすると、TPU糸を高温溶融する目的が達成され、したがって、これらの予め選択された領域703において織り要素の様々な機能特性が生じる。予め選択された領域703のTPU糸は、部分的又は完全に高温溶融することができる。それらが部分的に溶融されただけのときは、予め選択された領域703の織り要素はまだ織布構造を保持する。それらが完全に溶融されたときには、TPU糸は溶けて連続したTPUフィルムになり、それは、予め選択された領域703においてより高い剛性及びよりよい耐摩耗性を提供し、したがってシューアッパーの耐久性を向上させる。
【0088】
織り多層部分702は、ポリエステル糸が充填された複数の閉じたポケットを形成する。任意選択的に、多層部分702の他の予め選択された領域も高温溶融されて、より高い耐摩耗性を有するより硬い表面を形成することができる。一般のポリエステル糸の溶融温度はTPU糸よりも高いので、TPU糸の融点より高いが、充填ポリエステル糸の融点より低い温度で熱プレスを実行することが好ましく、その結果、ポリエステル糸は溶けず、したがって柔軟性を保つ。このように、織り要素700の閉じたポケットは、硬い外面及び内面を有し、その間により柔らかく、動くことができる充填材料を有して、最適化された緩衝効果を提供する。
【0089】
他の実施形態では、充填材料はまた、TPU糸、又はより低い融点を有する他の材料を含むことができる。したがって、多層部分を予め選択された温度で熱プレスすると、多層部分の重なっている織り層及びその中の充填材料の両方を部分的又は完全に高温溶融することができる。したがって織り要素の機能的な性質及び特性を、織り要素の様々な部分及び領域において設計して調節することができる。例えば、1つの織り要素は、異なる領域で異なる硬さ及び/又は剛性を有することができる。
【0090】
本書で言及した、本発明によるシューアッパーの織り要素の実施形態は、単一の織り工程で少なくとも1つの単層部分と、少なくとも1つの多層部分とを織ることによって製造されることが好ましい。言い換えれば、シューアッパーの織り要素は、一体の織布であることが好ましく、その中で、単層部分は単一の織り層から形成され、多層部分は少なくとも2つの重なった織り層から形成される。多層部分は、単層部分に隣接するように織られる。加えて、多層部分は、織り要素の突出部を少なくとも1つ備えるように織られる。したがって、シューアッパーの織り要素の製造は高効率を有して簡略化され、それは、単一の製造手順でシューアッパーに突出部、すなわち3D構造を製造する可能性をもたらす。特に、織り要素は基本的に、シューアッパーの形状に織られる。
【0091】
織り要素の製造は、多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層の間に充填材料を配置するステップ、言い換えれば、多層部分によって形成された突出部又はポケットに充填材料を充填するステップをさらに含むことができる。充填材料は、一体の織り要素を織った後に、例えば注入技法によって、多層部分に充填することができる。これに代えて、充填材料を、単一の織り工程中に、織り要素と一緒に織ることができる。
【0092】
図8は、本発明によるアッパーの織り要素800の断面を示す概略図である。織り要素800は、織り単層部分801及び織り多層部分802を備える。この実施形態では、充填材料803は、織り要素800と一緒に織られ、多層部分802内を浮遊している糸である。言い換えれば、単層部分801、多層部分802、及び充填材料803を含む織り要素800は、単一の織り工程後には完全に一緒に製造されている。充填材料803は、任意選択的には、単一の織り工程後の追加の製造ステップとして、機械的又は化学的な技法によっていくつかの部分又は糸スクラップに壊されることができる。任意選択的に、織り要素に使用される糸は、シューアッパーの好ましい美観を提供するように様々な色を有していてもよい。
【0093】
図9は、本発明の別の態様、すなわち、スポーツシューズ900、特にサイクリングシューズの一体設計された織りシューアッパー901を示す。織りシューアッパー901は、それぞれ、前足領域902、中足領域903及び904、並びに踵領域905に位置する3つのゾーンを備える。これらの織りゾーンは、異なる領域で異なる機能的要件を提供するために、異なる糸組成及び/又は織り構造などの異なる特性を有する。例えば、シューズの踵領域905においては、より高い剛性、強度、及び安定性を有することが好ましく、これは、より厚い織り要素によって達成することができる。一方では、前足領域902においては、より柔らかく、より柔軟性があり、より快適な布が、シューズ着用者のためには望まれ、これは、より高い通気性のあるより薄い織り要素によって提供することができる。
【0094】
この実施形態では、異なるゾーンは、例えば、異なる線密度、及び、任意選択的には、異なる織り構造を有する異なる糸組成を備える。特に、シューアッパー901の内側から外側に延びる各ゾーンの緯糸だけが異なっている。シューアッパー901の爪先領域から踵領域に延び、例えば150デニールの線密度を有する、様々なゾーンに使用される経糸は同じである。
【0095】
前足領域902において、緯糸は150デニールの線密度を有する。中足領域903、904、及び踵領域905において、緯糸は300デニールの線密度を有する。しかしながら、ゾーン904とゾーン905の織り構造は織りパターンを異にするが、ゾーン903とゾーン905は本質的に同じ織りパターンを有するが異なる配向のパターンである。
【0096】
ゾーン903とゾーン904は、シューアッパー901の上側(外面)と裏側(内面)両方に平織り構造を有する。シューアッパー901の裏側(内面)では、ゾーン904の緯糸は部分的に表面から浮いており、これは、着用者の足に対してより柔らかい触感及びさらなる快適さを生成する。ゾーン904は特に、シューズのアイステイ側に配置される。
【0097】
踵領域905及び中足領域903、904では、300デニールの線密度の同じ糸が緯糸に使用されるが、ゾーン1005のスレッドカウントは、ゾーン903、904のスレッドカウントより多い。例えば、ゾーン905の織り要素の同じ方形領域に、2倍の量の緯糸の量が使用される。この結果、踵領域のゾーン905の織り要素はより厚く、より硬くなり、したがって、着用者の踵をよりしっかり支える。
【0098】
任意選択的に、様々なゾーンに使用される糸は、シューアッパーの好ましい美観を提供するように様々な色を有してもよい。
【0099】
加えて、シューアッパー901を使用してシューズを製造するとき、着用者に対してさらなる支えと快適さを提供するために、詰め物と一緒になった追加のヒールカウンタをシューアッパー901の踵領域905の内側に付け加えてもよい。
【0100】
任意選択的に、シューアッパーの先芯を補強し、同時に、シューアッパーの前足領域902における快適さと通気性を保つために、先芯においてシューアッパー901に箔を追加することができる。また、前足領域の内面に穿孔された裏張り又は補強部を追加することができる。
図10は、本発明の他の態様の図を示す。アッパー1001は、ゾーン1002、1003、1004、及び1005を備える。ゾーン1002は前足領域に位置し、均一な構造の平織部である。ゾーン1003とゾーン1004は中足領域に位置し、織り構造の配向を異にする。ゾーン1005は踵領域に位置し、糸の方向が異なる3つの部分又はサブゾーンを備える。
【0101】
以下では、特定の織り構造を有するアッパーに関する本発明の他の態様の実施形態を説明する。
1.シューズ用アッパーであって、
踵領域に配置された第1のゾーンと、
中足領域に配置された第2のゾーンと、
前足領域に配置された第3のゾーンとを備え、
これらのゾーンが異なる織り特性を備える単一の織り片を備えるシューズ用アッパー。
2.これらのゾーンのうちの少なくとも1つが、異なる糸組成及び/又は織り構造を有する少なくとも2つのサブゾーンを備える、実施形態1に記載のアッパー。
3.これらのゾーン及び/又はサブゾーンのうちの少なくとも2つの緯糸が、その線密度及び/又は単位面積当たりのスレッドの本数を異にする、実施形態1~2のいずれか1つに記載のアッパー。
4.これらのゾーン及び/又はサブゾーンのうちの少なくとも1つが、その織り構造及び/又は糸組成及び/又は糸特性を異にする、実施形態1~3のいずれか1つに記載のアッパー。
5.第1のゾーンが、他のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンの糸よりも線密度が高い及び/又は単位面積当たりのスレッドの本数が多い糸を備える、実施形態1~4のいずれか1つに記載のアッパー。
6.織り構造が、織りパターン及び/又は織りパターンの配向を含む、実施形態4に記載のアッパー。
7.第2のゾーンが平織り構造を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のアッパー。
8.第3のゾーンが箔によって部分的に覆われる、及び/又は、穿孔された裏張りを備える、実施形態1~7のいずれか1つに記載のアッパー。
9.実施形態1~8のいずれか1つに記載のシューアッパーと、シューアッパーに取り付けられたソールとを備えるシューズ。
【0102】
さらに、本発明は以下の実施形態を含む。
[1]単一の織り層から形成された少なくとも1つの単層部分と、少なくとも2つの重なっている織り層から形成された少なくとも1つの多層部分とを備える織り要素を備え、多層部分が、織り要素の少なくとも1つの突出部を備え、少なくとも1つの単層部分が、少なくとも1つの多層部分に隣接する、シューズ用アッパー。
[2]織り要素が、シューアッパーの形状に基本的に一致する形状を備える、[1]に記載のアッパー。
[3]織り要素が外面と内面とを備え、織り要素の少なくとも1つの突出部が、外面から、及び/又は内面から突出する、[1]又は[2]に記載のアッパー。
[4]多層部分の少なくとも1つの突出部が、シューアッパーの縁に接続されない閉じた周部を備える、[1]~[3]のいずれか1つに記載のアッパー。
[5]多層部分の少なくとも1つの突出部が、シューアッパーの縁で終端となる周部を備える、[1]~[4]のいずれか1つに記載のアッパー。
[6]多層部分が、少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を備える、[1]~[5]のいずれか1つに記載のアッパー。
[7]充填材料が、ポリエステル糸及び/又はTPU糸を含む糸である、[6]に記載のアッパー。
[8]多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層間の隙間が約1mm~約12mmである、[1]~[7]のいずれか1つに記載のアッパー。
[9]少なくとも1つの突出部が、真っ直ぐなストライプ、湾曲したストライプ、又は閉じた形状の形状を備える、[1]~[8]のいずれか1つに記載のアッパー。
[10]少なくとも1つの突出部が、第1の単層部分に隣接する外周と、第2の単層部分に隣接する内周とを有する閉じた形状を備える、[9]に記載のアッパー。
[11]閉じた形状が、リング、矢じり、又は三星の形状である、[1]~[10]のいずれか1つに記載のアッパー。
[12]多層部分が、シューアッパーの爪先領域、爪革領域、中足領域、ベロ領域、及び踵領域のうちの少なくとも1つに配置された、[1]~[11]のいずれか1つに記載のアッパー。
[13]織り要素が、互いに接続されていない少なくとも2つの多層部分を備える、[1]~[12]のいずれか1つに記載のアッパー。
[14]織り要素が、少なくともその形状及び/又は寸法を異にする少なくとも2つの突出部を備える、[1]~[13]のいずれか1つに記載のアッパー。
[15]織り要素が複数の突出部を備え、突出部の大きさが、シューアッパーの爪先領域から踵領域へ大きくなる、[1]~[14]のいずれか1つに記載のアッパー。
[16]織り要素が複数の突出部を備え、シューアッパーの踵領域のすぐ近くの突出部が最大の大きさを有する、[1]~[15]のいずれか1つに記載のアッパー。
[17]織り要素が、少なくとも使用される糸及び/又はその織り構造を異にする第1のゾーンと第2のゾーンとを備える、[1]~[16]のいずれか1つに記載のアッパー。
[18]織り要素が、ポリエステル糸及び/又はTPU糸及び/又はナイロン糸を備え、第1のゾーンと第2のゾーンが糸組成を異にする、[17]に記載のアッパー。
[19]第1のゾーンと第2のゾーンが、使用される糸の線密度を異にする、[17]又は[18]に記載のアッパー。
[20]第1のゾーンがシューアッパーの前足領域にあり、150デニールの線密度の糸を備え、第2のゾーンがシューアッパーの踵領域にあり、300デニールの線密度の糸を備える、[19]に記載のアッパー。
[21]第1のゾーンと第2のゾーンが、その織り構造のスレッドカウントを異にする、[17]~[20]のいずれか1つに記載のアッパー。
[22]織り要素が一体の織布である、[1]~[21]のいずれか1つに記載のアッパー。
[23]シューズであって、
[1]~[22]のいずれか1つに記載のシューアッパーと、
シューアッパーに取り付けられたソールと
を備えるシューズ。
[24]シューズ用アッパーを製造する方法であって、
少なくとも1つの単層部分と少なくとも1つの多層部分とを備える織り要素を単一の織り工程で織るステップを含み、
単層部分が単一の織り層から形成され、多層部分が少なくとも2つの重なっている織り層から形成され、多層部分が、織り要素の少なくとも1つの突出部を備え、単層部分が多層部分と隣接する、方法。
[25]織り要素を基本的にシューアッパーの形状に織るステップをさらに含む、[24]に記載の方法。
[26]少なくとも1つの突出部がシューアッパーの縁に接続されない周部を備える、[24]又は[25]に記載の方法。
[27]少なくとも1つの突出部が、シューアッパーの縁で終端となる周部を備える、[24]又は[25]に記載の方法。
[28]多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を配置するステップをさらに含む、[24]~[27]のいずれか1つに記載の方法。
[29]充填材料を配置するステップが、織り要素を織っている間に、少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を織るステップを含む、[28]に記載の方法。
[30]織り要素を織った後に、少なくとも2つの重なっている織り層間の充填材料が、機械的又は化学的な技法によっていくつかの部分又は糸スクラップに壊される、[29]に記載の方法。
[31]織り要素を織った後に、少なくとも2つの重なっている織り層間に充填材料を配置するステップが実行される、[28]~[30]のいずれか1つに記載の方法。
[32]充填材料が、ポリエステル糸及び/又はTPU糸を含む糸である、[28]~[31]のいずれか1つに記載の方法。
[33]織り要素の少なくとも1つの突出部が、織り要素の外面及び/又は織り要素の内面から突出するように織り要素を織るステップをさらに含む、[24]~[32]のいずれか1つに記載の方法。
[34]多層部分の少なくとも2つの重なっている織り層間の隙間が約1mm~約12mmである、[24]~[33]のいずれか1つに記載の方法。
[35]少なくとも1つの突出部が、真っ直ぐなストライプ、湾曲したストライプ、又は閉じた形状の形状を備えるように織り要素を織るステップをさらに含む、[24]~[34]のいずれか1つに記載の方法。
[36]少なくとも1つの突出部が、第1の単層部分に隣接する外周と、第2の単層部分に隣接する内周とを有する閉じた形状を備える、[35]に記載の方法。
[37]多層部分を、シューアッパーの爪先領域、爪革領域、中足領域、ベロ領域、及び踵領域のうちの少なくとも1つに配置するステップをさらに含む、[24]~[36]のいずれか1つに記載の方法。
[38]互いに接続されていない少なくとも2つの多層部分が形成されるように織り要素を織るステップをさらに含む、[24]~[37]のいずれか1つに記載の方法。
[39]少なくともその形状及び/又は寸法を異にする少なくとも2つの突出部が形成されるように織り要素を織るステップをさらに含む、[24]~[38]のいずれか1つに記載の方法。
[40]複数の突出部が形成されるように織り要素を織るステップであって、突出部の大きさが、シューアッパーの爪先領域から踵領域へ大きくなる、ステップをさらに含む、[24]~[39]のいずれか1つに記載の方法。
[41]複数の突出部が形成されるように織り要素を織るステップであって、シューアッパーの踵領域のすぐ近くの突出部が最大の大きさを有する、ステップをさらに含む、[24]~[40]のいずれか1つに記載の方法。
[42]単一の織り工程で織り要素を織って、織り要素の第1のゾーンと第2のゾーンとを形成するステップであって、第1のゾーンと第2のゾーンが、少なくとも使用される糸及び/又はその織り構造を異にする、ステップをさらに含む、[24]~[41]のいずれか1つに記載の方法。
[43]ポリエステル糸及び/又はTPU糸及び/又はナイロン糸で織り要素を織るステップであって、第1のゾーンと第2のゾーンが糸組成を異にする、ステップをさらに含む、[42]に記載の方法。
[44]第1のゾーンと第2のゾーンが、使用される糸の線密度及び/又はその織り構造のスレッドカウントを異にする、[42]又は[43]に記載の方法。
[45]1つ又は複数の予め選択された領域において織り要素を熱プレスするステップをさらに含む、[24]~[44]のいずれか1つに記載の方法。
[46]1つ又は複数の予め選択された領域が、織り要素の単層部分にある、[45]に記載の方法。
[47]シューズを製造する方法であって、
[24]~[46]のいずれか1つに記載のシューズ用アッパーを製造するステップと、
シューアッパーにソールを取り付けるステップとを含む、方法。
【符号の説明】
【0103】
100 シューズ
101 アッパー
102 突出部
103 単層部分
104 真っ直ぐなストライプ
105 多層部分
107 突出部
108 縁
109 縁
200 アッパー
201 単層部分
202 多層部分
203 多層部分
204a 多層部分
204b 多層部分
205 単層部分
300 アッパー
301 単層部分
302 多層部分
303 多層部分
304 単層部分
305 ゾーン
306 ゾーン
307 ゾーン
400 アッパー
401 単層部分
402 単層部分
403 多層部分
404 多層部分
405 多層部分
500 アッパー
501 単層部分
502 多層部分
600 アッパー
601 単層部分
602 多層部分
610 アッパー
611 織り片
612 織り片
613 織り片
614 単層部分
615 多層部分
700 織り要素
701 単層部分
702 多層部分
703 予め選択された領域
800 織り要素
801 単層部分
802 多層部分
803 充填材料
900 スポーツシューズ
901 アッパー
902 前足領域
903 中足領域
904 中足領域
905 踵領域
1001 アッパー
1002 ゾーン
1003 ゾーン
1004 ゾーン
1005 ゾーン
【外国語明細書】