(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082395
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】レコード針連結部品
(51)【国際特許分類】
G11B 3/42 20060101AFI20220525BHJP
G11B 3/60 20060101ALI20220525BHJP
G11B 3/02 20060101ALI20220525BHJP
G11B 33/02 20060101ALI20220525BHJP
G11B 33/12 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
G11B3/42
G11B3/60 Z
G11B3/02
G11B33/02 301B
G11B33/12 313G
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020204583
(22)【出願日】2020-11-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】518034056
【氏名又は名称】合同会社サウンドロープ
(72)【発明者】
【氏名】諸富 栄治
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手回しで再生できる無電源ポータブルレコードプレーヤーにおける、持続性を高めるレコード針連結部品を提供する。
【解決手段】レコードケース本体の振動板9の端部にレコード針7を取り付けるための連結において、左壁と右壁が底壁によって連結されたコの字型の形状で、左壁は右壁に対して開閉自在で、間に振動板を挟み込む構造で、底壁にレコード針の先端を挿入して固定する針穴を有するレコード針連結部品1を使用する。
【効果】レコード針連結部品でレコードケース本体の振動板を挟み込んで装着することで、レコード針と振動板との密着性が高くなるため、振動の伝達効率が向上し、安定した再生音量を持続させることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手回し式のレコードプレーヤーの振動板の下端部にレコード針を取り付けるための連結部品において、左壁と右壁が底壁によって連結されたコの字型の形状で、左壁と右壁の間に振動板を挟み込む構造で、底壁にレコード針の先端を挿入して固定する針穴を有するレコード針連結部品。
【請求項2】
コの字型の形状の前記レコード針連結部品において、左壁は右壁に対して開閉自在である請求項1記載のレコード針連結部品。
【請求項3】
コの字型の形状の前記レコード針連結部品において、左壁もしくは右壁にレコード針を固定するための窪みが形成されている請求項1又は2記載のレコード針連結部品。
【請求項4】
本体は、水平板とそれに対して垂直になる状態の振動板、その状態を保つための支え板からなり、水平板にレコード盤を支持するための回転軸を有し、回転軸にレコード盤を設置した状態で手動回転させ、レコード針でレコード盤の溝をトレースして音声を再生させるレコードプレーヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手回しで再生できる無電源ポータブルレコードプレーヤーにおいて、レコード針の着脱とレコードケース本体への装着を可能にし、レコード針でレコード盤の溝をトレースする際に抽出した振動をレコードケース本体の振動板に効率的に伝達させるためのレコード針連結部品の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
手回しで再生できる無電源ポータブルレコードプレーヤーは、レコード針とレコードケース本体がレコード針連結部品によって連結されている。レコード盤を回転軸に設置し、レコード針をレコード盤の溝に垂直に接触させた状態で回転させることによって、レコード針がレコード盤の溝をトレースする際に発生する振動をレコード針連結部品を通じてレコードケース本体の振動板に伝達することで、音量が増幅され音声が出力される仕組みとなる。
一方、レコード針連結部品は、ダンボール製のレコードケース本体の端部にスライドさせて固定する仕様となっており、レコード針と本体の直接的な接点はなく、鉄製のレコード針がレコード針連結部品のレバーに固定されているため、取り外すことができない仕様となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レコード盤は、ポリ塩化ビニールの素材で作られているため、それより硬い素材である鉄製のレコード針でレコード盤の溝をトレースすると、溝が破壊されてしまい、再生音質が劣化する問題がある。
スライド式のレコード針連結部品は、ダンボール製のレコードケース本体への装着を繰り返すことで、差し込み箇所が潰れて薄くなるため、レコード針連結部品と本体の密着性が損なわれて振動の伝達が弱まり、再生音量が低くなる問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、レコード盤より柔らかな素材でできたレコード針の使用を可能とする構造により、レコード盤の溝の破壊を防ぎ、レコード針から抽出した振動を効率的に伝導させるためのレコード針連結部品の提供を目的とする。
【課題を解決する手段】
【0005】
本発明の一態様は、手回し式のレコードプレーヤーの振動板の下端部にレコード針を取り付けるための連結部品において、左壁と右壁が底壁によって連結されたコの字型の形状で、左壁と右壁の間に振動板を挟み込む構造で、底壁にレコード針の先端を挿入して固定する針穴を有するレコード針連結部品であることを特徴とする。
【0006】
さらに前記方法は、前記コの字型の形状のレコード針連結部品において、左壁は右壁に対して開閉自在であるレコード針連結部品であることを特徴とする。
【0007】
また、前記方法は、上記コの字型の形状のレコード針連結部品において、左壁もしくは右壁にレコード針を固定するための窪みが形成されているレコード針連結部品であることを特徴とする。
【0008】
さらに前記方法は、本体は、水平板とそれに対して垂直になる状態の振動板、その状態を保つための支え板からなり、水平板にレコード盤を支持するための回転軸を有し、回転軸にレコード盤を設置した状態で手動回転させ、レコード針でレコード盤の溝をトレースして音声を再生させるレコードプレーヤーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレコード針連結部品を用いることで、レコード針の着脱が可能となり、竹針や爪楊枝などのレコード盤よりも柔らかな素材を研磨したものをレコード針として使用することで、レコード盤の溝が破壊されなくなるため、安定した再生音質を保つことができる。レコード針連結部品でレコードケース本体の振動板を挟み込んで装着することで、レコード針と振動板との密着性が高くなるため、振動の伝達効率が向上し、安定した再生音量を持続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るレコード針連結部品の第1又は第2、第3の実施形態を示す立体図である。
【
図2】本発明に係るレコード針連結部品の第1又は第2、第3の実施形態を示す立体図である。
【
図3】本発明に係るレコード針連結部品の第1又は第2、第3の実施形態を示す立体図である。
【
図4】本発明に係るレコードプレーヤーの第4の実施形態を示す立体図である。
【
図5】本発明に係るレコードプレーヤーの第4の実施形態を示す立体図である。
【
図6】本発明に係るレコードプレーヤーの第4の実施形態を示す立体図である。
【
図7】本発明に係るレコードプレーヤーの第4の実施形態を示す立体図である。
【
図8】本発明に係るレコードプレーヤーの第4の実施形態を示す立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1と
図2、
図3は、レコード針連結部品を用いて、レコードケース本体の振動板の端部にレコード針を取り付けて連結する図となり、請求項1又は請求項2、請求項3の実施形態を示す。
図1において、レコード針連結部品は、左壁と右壁が底壁によって連結されており、左壁は右壁に対して開閉自在で嵌合突起部と嵌合突起部の窪みを有し、底壁にレコード針を挿入するための針穴を有する。素材はポリスチレンなどの柔らかな素材が望ましく、底壁にある針穴に研磨したレコード針の先端を挿入して押し込むことで、針穴の伸縮によりレコード針が固定される。
図2において、レコード針を挿入し固定した状態で、左壁を閉じると左壁の先端にある嵌合突起部が右壁の上部に嵌合することで、コの字型の形状になる。レコード針を取り外しは、嵌合突起部に爪をかけて左壁を開いた状態で、レコード針を抜くことで可能となる。
図3において、固定されたレコード針とレコード針連結部品の間に振動板を挟み込んで、左壁の嵌合突起を固定穴に通し、嵌合突起部の窪みにレコード針をはめ込んで、右壁と嵌合させることで、レコード針と振動板が密着した状態で、レコード針連結部品を本体にしっかりと装着できる。
図4と
図5は、レコードケース本体の水平板にレコード盤を配置するための回転軸を有し、レコード盤の溝をレコード針でトレースするための前記レコード針連結部品が装着された振動板と、レコード盤に対して振動板が垂直な状態に保つための支え板で構成されているレコードプレーヤーの図となり、請求項4の実施形態を示す。
図4は、レコードケース本体の展開図となり、組み立てを想定した折り曲げ線が数カ所あり、レコード盤を配置する箇所に回転軸が設けられている。
レコード針連結部品を装着する箇所には固定穴が空いており、湾曲型振動板を固定するための差込口がある。レコード針の先端を研磨するための紙やすりを隅に貼り付けている。
図5は、レコード盤にレコード針を接触させた状態で、手で回転して再生している図である。レコードケースの回転軸にレコード盤を設置して、レコード盤の溝にレコード針を垂直に落とした状態で、手でレコード盤を回転させることによって、レコード針の先端が溝をトレースして振動が発生する。その振動をレコード針が抽出して、レコード針連結部品を通じてレコードケース本体に振動を伝達して共鳴させることによって、音量が増幅され音声が出力する仕組みとなる。
湾曲型振動板を装着することで、レコード盤の溝をレコード針でトレースした際に発生する振動がレコード針連結部品を通じて湾曲型振動板に振動伝達され、放射状に広がる振動を湾曲面で効率的に増幅させることで、再生音質を向上させることができる。
図6は、前記レコードケースの水平部と支え板、振動板が折り重なって、前記レコード針連結部品と前記回転軸が収納される図となる。
レコード盤と湾曲型振動板をレコードケースに畳んで入れて、レコードケースのベロをレコードケース差込口に差し込むことで、すべての部材をコンパクトに折りたたんで収納することができる。
図5と
図7は、レコードケース本体に音質向上のための湾曲型振動板を装着した図となり、ひとつの実施形態を示す。
図7は、湾曲型振動板の端部を前記レコード針連結部品に装着し、湾曲型振動板の折り目の通りに折り曲げて、湾曲させた状態で湾曲型振動板のベロを、前記レコードケースの振動板上部にある湾曲型振動板の差込口に差し込んで固定する構造である。
図8は、前記レコードケースの水平板に設置された紙やすりでレコード針の先端を研磨する図となり、ひとつの実施形態を示す。レコード盤より柔らかな素材のレコード針は、複数回のトレースにより先端が摩耗してしまうため、定期的にレコード針を取り外して研磨を行う必要がある。本体に貼り付けた紙やすりでレコード針の先端を鋭く研磨して、再度レコード針連結部品に取り付けて使用することで、半永久的に再生を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0012】
1. レコード針連結部品
2. 針穴
3. 嵌合突起部
4. 左壁
5. 右壁
6. 底壁
7. レコード針
8. レコードケース
9. 振動板
10.支え板
11.水平板
12.蓋板
13.固定穴
14.差込口
15.ベロ
16.折れ線
17.回転軸
18.紙やすり
19.湾曲型振動板
20.湾曲型振動板の折れ線
21.湾曲型振動板のベロ
22.湾曲型振動板の差込口
23.レコードプレーヤー
24.レコード盤
25.手
26.嵌合突起部の窪み