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特開2022-823995年間の使用期限を有するマスクの製造方法
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  • 特開-5年間の使用期限を有するマスクの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082399
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】5年間の使用期限を有するマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220525BHJP
   D04H 3/16 20060101ALI20220525BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20220525BHJP
   B03C 3/28 20060101ALI20220525BHJP
   A62B 18/02 20060101ALN20220525BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
D04H3/16
B01D39/16 A
B03C3/28
A62B18/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204778
(22)【出願日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】202011314962.6
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520487543
【氏名又は名称】深▲せん▼市皓康医▲療▼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130993
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 弘揮
(72)【発明者】
【氏名】林先▲艷▼
【テーマコード(参考)】
2E185
4D019
4D054
4L047
【Fターム(参考)】
2E185BA16
4D019AA01
4D019BA13
4D019BB03
4D019BC01
4D019CB04
4D019CB06
4D019DA02
4D054AA11
4D054BC01
4D054BC16
4L047AB03
4L047BA09
4L047CC12
4L047DA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マスクの通常の保存期間は2年間から3年間であり、資源の浪費を引き起こす問題を解決するために5年間の使用期限を有するマスクの製造方法を提供する。
【解決手段】メルトブロー不織布を生産する工程と、純水を製造する工程と、メルトブロー不織布に対して水流交絡エレクトレット+電気エレクトレットの二重技術を実施する工程と、メルトブロー不織布を乾燥した後、メルトブロー不織布でマスクを製造する工程と、真空包装を行い、5年間の使用期限を有するマスクを得る工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メルトブロー不織布を生産する工程S1と、
純水を製造する工程S2と、
メルトブロー不織布に対して水流交絡エレクトレット+電気エレクトレットの二重技術を実施する工程S3と、
メルトブロー不織布を乾燥した後、メルトブロー不織布でマスクを製造する工程S4と、
真空包装を行い、5年間の使用期限を有するマスクを得る工程S5と、を備えることを特徴とする、5年間の使用期限を有するマスクの製造方法。
【請求項2】
前記S1において、メルトブロー不織布の生産は紡糸口金の孔径を小さくし、紡糸口金の孔密度を大きくすることにより、吐出される糸がより細かくなり、エレクトレット高流動性1500ポリプロピレンが選ばれ、少量のエレクトレットマスターバッチが添加されていることを特徴とする、請求項1に記載の5年間の使用期限を有するマスクの製造方法。
【請求項3】
前記S2において、水道水を水源として選択し、水源をサンドフィルタろ過及び活性炭ろ過し、ろ過された水源に逆浸透薬品及び塩酸を入れ、水源を逆浸透膜による二次ろ過し、ろ過された水源にアルカリ性工業薬品を入れ、純水の製造を完成させることを特徴とする、請求項1に記載の5年間の使用期限を有するマスクの製造方法。
【請求項4】
前記S3において、高圧ポンプを介して製造された純水を扇形ノズルに輸送し、扇形ノズルがメルトブロー不織布に対してジェット水流を噴射し、純水とメルトブロー不織布とが摩擦することにより電荷が生じ、水流交絡エレクトレット及び電気エレクトレットの二重技術を完成させることを特徴とする、請求項1に記載の5年間の使用期限を有するマスクの製造方法。
【請求項5】
前記S4において、乾燥過程で熱風乾燥を用いることを特徴とする、請求項1に記載の5年間の使用期限を有するマスクの製造方法。
【請求項6】
前記S5において、それぞれの包装袋に1粒の乾燥剤を割り当ててから密封し真空包装を行うと同時に、包装箱に1粒の乾燥剤を割り当てることを特徴とする、請求項1に記載の5年間の使用期限を有するマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク製造の技術分野に関し、特に5年間の使用期限を有するマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メルトブロー不織布のろ過性は主として静電吸着によるものであり、静電気の強弱はメルトブロー不織布の効率を決める。従来の製作技術で静電気を印加しない場合、ろ過布のろ過性は30~50%のみであり、静電気を印加したろ過性は95%、99%、さらにそれ以上に達することができる。それとともに問題もあり、静電減衰により、直接メルトブロー不織布の保存期間の短縮、又はマスクにした効率の低下を引き起こし、時間が長くなるほど多く減衰するので、マスクの使用期限が短縮される。
【0003】
現在、国際的にはコロナウイルスの予防治療状況が依然として非常に深刻である。マスクの通常の保存期間は2年間から3年間である。重要な国家戦略医療用備蓄物資として、より長い保存使用期限は、将来繰り返し変化する可能性のある疫病の流行状況において、肝心な役割を果たすことや、備蓄が早すぎて廃棄することによる資源の浪費を回避することが可能である。
【発明の概要】
【0004】
マスクの通常の保存期間は2年間から3年間であり、資源の浪費を引き起こすという問題を解決するために、本発明は5年間の使用期限を有するマスクの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は下記の技術的手段を用いる。
【0006】
メルトブロー不織布を生産する工程S1と、
純水を製造する工程S2と、
メルトブロー不織布に対して水流交絡エレクトレット+電気エレクトレットの二重技術を実施する工程S3と、
メルトブロー不織布を乾燥した後、メルトブロー不織布でマスクを製造する工程S4と、
真空包装を行い、5年間の使用期限を有するマスクを得る工程S5と、を備える5年間の使用期限を有するマスクの製造方法。
【0007】
好ましくは、前記S1において、メルトブロー不織布の生産は紡糸口金の孔径を小さくし、紡糸口金の孔密度を大きくすることにより、吐出される糸がより細かくなり、エレクトレット高流動性1500ポリプロピレンが選ばれ、少量のエレクトレットマスターバッチが添加されている。
【0008】
好ましくは、前記S2において、水道水を水源として選択し、水源をサンドフィルタろ過及び活性炭ろ過し、ろ過された水源に逆浸透薬品及び塩酸を入れ、水源を逆浸透膜による二次ろ過し、ろ過された水源にアルカリ性工業薬品を入れ、純水の製造を完成させる。
【0009】
好ましくは、前記S3において、高圧ポンプを介して製造された純水を扇形ノズルに輸送し、扇形ノズルがメルトブロー不織布に対してジェット水流を噴射し、純水とメルトブロー不織布とが摩擦することにより電荷が生じ、水流交絡エレクトレット+電気エレクトレットの二重技術を完成させる。
【0010】
好ましくは、前記S4において、乾燥過程で熱風乾燥を用いる。
【0011】
好ましくは、前記S5において、それぞれの包装袋に1粒の乾燥剤を割り当ててから密封し真空包装を行うと同時に、包装箱に1粒の乾燥剤を割り当てる。
【0012】
従来技術に比べ、本発明は以下の効果を実現した。本発明で製造されたマスクは水道水を水源として選択し、エレクトレットマスターバッチを入れると同時に水流交絡エレクトレットを実施する。このように細菌阻止率が95%~99.9%に達することができる。本発明で製造されたマスクの内外包装袋に乾燥剤をさらに入れ、5年後にマスクは依然として細菌阻止率≧95%の合格な医療用マスクである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下に添付図面及び具体的実施の態様を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
【0014】
図1】本発明のArrhenius式の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に特定の具体的実施例により、本発明の実施の態様を説明する。当業者は、本明細書に開示される内容から本発明の他のメリット及び効果を容易に理解することが可能である。
【0016】
図1を参照する。本明細書に添付される図面に示す構造、比例、寸法等は、全て明細書に開示される内容に合わせて、当業者に理解及び閲読させるものであり、本発明の実施可能な限定条件を制限するものではないので、技術上の実質的な意義を有していない。いかなる構造の修飾、比例関係の変更又は寸法の調整は、本発明で発生できる効果及び達成できる目的に影響しないことを踏まえて、全て本発明に開示される技術内容がカバーできる範囲にあるべきである。また、本明細書に援用される「上」、「下」、「左」、「右」、「中間」及び「1つ」等のような用語も、はっきり説明しやすいためのものに過ぎず、本発明の実施可能な範囲を限定することに使用されるものではない。その相対的関係の変更又は調整は、技術内容を実質的に変更することなく、本発明の実施可能な範囲とも見なすべきである。
実施例1
【0017】
メルトブロー不織布を生産する工程S1と、
純水を製造する工程S2と、
メルトブロー不織布に対して水流交絡エレクトレット+電気エレクトレットの二重技術を実施する工程S3と、
メルトブロー不織布を乾燥した後、メルトブロー不織布でマスクを製造する工程S4と、
真空包装を行い、5年間の使用期限を有するマスクを得る工程S5と、を備える5年間の使用期限を有するマスクの製造方法。
【0018】
前記S1において、メルトブロー不織布の生産は紡糸口金の孔径を小さくし、紡糸口金の孔密度を大きくすることにより、吐出される糸がより細かくなり、エレクトレット高流動性1500ポリプロピレンが選ばれ、少量のエレクトレットマスターバッチが添加されている。このように製造したメルトブロー不織布は、静電気を印加しなくても、ろ過効率が95%~99.9%に達することができ、従来の静電気を印加しないメルトブロー不織布に比べ、効率が約1倍も高くなるので、僅かに静電気を印加すればメルトブロー不織布のろ過効率は99%以上に達することができる。
【0019】
前記S2において、水道水を水源として選択し、水源をサンドフィルタろ過及び活性炭ろ過し、ろ過された水源に逆浸透薬品及び塩酸を入れ、水源を逆浸透膜による二次ろ過し、ろ過された水源にアルカリ性工業薬品を入れ、純水の製造を完成させる。
【0020】
前記S3において、高圧ポンプを介して製造された純水を扇形ノズルに輸送し、扇形ノズルがメルトブロー不織布に対してジェット水流を噴射し、純水とメルトブロー不織布とが摩擦することにより電荷が生じ、水流交絡エレクトレット+電気エレクトレットの二重技術を完成させる。
【0021】
前記S4において、乾燥過程で熱風乾燥を用いる。
【0022】
前記S5において、それぞれの包装袋に1粒の乾燥剤を割り当ててから密封し真空包装を行うと同時に、包装箱に1粒の乾燥剤を割り当てる。
【0023】
なかでも、メルトブロー不織布の生産に1600mmメルトブロー機が用いられる。1600mmメルトブロー機は全て改良されたダイを用い、紡糸口金の孔径が0.22mmであり、さらにブレーク技術が用いられている。流路は最も進んだテーパ状設計及び水素化仕上げを行った流路技術を用い、スムーズな吐糸を確保し、膨張率が低く、均一に発散しフィラメント形成し、吐糸の起毛効果を大幅に向上した。
【0024】
メルトブロー設備には、大きくし長くし厚くしたスクリュー、多層の400メッシュの高級フィルタ、カスタム格子状スクリーン、及び恒温恒湿負圧ルーム並びに20個の6万ボルトの静電エレクトレットが取り付けられている。
【0025】
輸入した高メルトインデックスPP原料、及び進化した第2世代マスターバッチを選ぶ。PP原料にメタロセン触媒を用い、分子量分布が狭く、微結晶が小さく、抗衝撃強度及び靭性が非常に優れている。進化した第2世代マスターバッチは電力貯蔵及び分布均一性がよく、上記組合せは、通常のPP材料及びマスターバッチの親和性が悪く、灰分が高く、有機過酸化物開始剤による可塑化不足、及び過酸化物残留問題によるフィラメントが荒く形成し、硬脆化する等の問題を効果的に回避することができる。
【0026】
フィラメント形成及びラッピングが均一であり、繊維の直径が小さく、十分に冷却され、長く充電できるので、メルトブロー不織布は細かく、白く、厚く、柔らかく、滑らかであり、ろ過効率の等級が高く安定している等の特徴を有する。製品が包装された後、不織布の品質及び静電気の安定性が極めて高く、負荷試験及び劣化試験に合格でき、18~25℃の遮光乾燥環境で、3~5年間経っても黄変、硬化、脆化及びろ過効率の大幅な低減という問題が発生しない。
実施例2
【0027】
実験により検証した。サンプルの型式は、使い捨ての医療用無菌マスク(耳かけ型)という規格を選んだ。テスト結果は前記全ての規格の製品の加速劣化性能を表すことができる。加速劣化設備はプログラム化できる恒温恒湿テストチャンバ(FCH-I00-011)である。
【0028】
【表1】
【0029】
基本原理
原材料分解反応がArrhenius式に適合すると仮定することに基づき、加速劣化テストを行う。Arrhenius式は反応速率の温度に対する依頼関係を明らかにするものであり、10℃につき上がったり下がったりする場合、反応速度は約2倍に向上するか、半分に低減する。即ち、温度が高くなると、劣化因子が大きくなり、劣化時間が減少する。しかし、温度を向上し劣化時間を短縮することで、製品の性能に影響し生成したリスクは室温の場合と同様であるべきである。相対湿度レベルが高いか、又は低いことにより多くの材料の劣化破損が深刻になる可能性があるが、加速劣化時間の計算は湿度の増加によるものではなく、温度に基づくものである。
【0030】
加速劣化条件及び時間の確定
本製品は温度が60℃、湿度が80%RHとし、Q10=2.0、TRT=25℃とし、図1の公式に従い計算した結果、AAF=2.0(60-22)/10=2.03.8=13.93であり、有効期限1年間の加速劣化時間:AAT=365日間/13.93=26.2日間、即ち26日間であり、有効期限2年間の加速劣化時間:26日間*2=52日間であり、有効期限3年間の加速劣化時間:26日間*3=78日間であり、有効期限4年間の加速劣化時間:26日間*4=104日間であった。各サンプルを取り出し、検出結果としてBFE値が何れも95%以上であり、全て合格した。
【0031】
【表2】
【0032】
前記実施例は単なる本発明の原理及びその効果を例示的に説明するものに過ぎず、本発明を制限するものではない。当業者は全て本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、上記実施例を修飾又は変化させることができる。このため、所属技術分野において一般知識を有する者が本発明に開示される趣旨及び技術思想を逸脱することなく完成した全ての等価な修飾又は変化は、本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。

図1