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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082410
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/02 20060101AFI20220525BHJP
   F23D 14/66 20060101ALI20220525BHJP
   F23D 14/12 20060101ALN20220525BHJP
【FI】
F23L15/02
F23D14/66 C
F23D14/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2021066375
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】大橋 武史
【テーマコード(参考)】
3K017
3K023
【Fターム(参考)】
3K017BE05
3K017DC03
3K017DC04
3K023QA16
3K023QB02
3K023QB17
3K023SA00
(57)【要約】
【課題】 対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止(間引き)させた場合に、燃焼を行う対になった蓄熱式バーナーの部分との間で炉内における燃焼排ガスの流れに偏りが生じて、炉内の温度にムラが生じたりするのを抑制し、炉内の温度が均一化されるようにする。
【解決手段】 燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換える対になった複数の蓄熱式バーナー10a,10bの一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった一方の蓄熱式バーナー10aにおいて、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させ、排ガス排出管15から排出される燃焼排ガスを蓄熱室13aに戻して蓄熱材xaにより加熱させて炉1内に導く動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナー10bにおいて、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室13bに導き燃焼排ガスの熱を蓄熱材xbに蓄熱させて排ガス排出管15に導く動作を行う。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、前記の対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させ、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを前記の蓄熱室を通して炉内に導く動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室に導いて、燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に排ガス排出管に導く動作を行うようにしたことを特徴とする蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法。
【請求項2】
燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが複数設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、前記の対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させ、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを前記の蓄熱室を通して炉内に導く動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室に導いて、燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に排ガス排出管に導く動作を行うようにしたことを特徴とする蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、排ガス排出管を通して排出される燃焼排ガスを各蓄熱式バーナーの蓄熱室に導く燃焼排ガス戻し管と、燃焼排ガス戻し管の開閉を行う排ガス戻し用バルブとを設け、燃焼を停止させる蓄熱式バーナーに、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを、前記の蓄熱式バーナーの蓄熱室を通して炉内に導くにあたり、前記の排ガス戻し用バルブを開けて燃焼排ガス戻し管から燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導くようにしたことを特徴とする蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった蓄熱式バーナーにおいて、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させ、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを前記の蓄熱室を通して炉内に導く動作と、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室に導いて、燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に排ガス排出管に導く動作とを、前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換える対になった蓄熱式バーナーに対応させて切り換えるようにしたことを特徴とする蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが1つ又は複数設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法に関するものである。特に、前記の対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させた場合に、燃焼を停止させた対になった蓄熱式バーナーにおける燃焼排ガスの流れが停止されて、燃焼を行う対になった蓄熱式バーナーの部分との間で炉内における燃焼排ガスの流れに偏りが生じて、炉内の温度にムラが生じたりするのを抑制するようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被処理材を熱処理するにあたり、燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが複数設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉が使用されている。
【0003】
そして、前記のような蓄熱燃焼式工業炉において、被処理材を連続して熱処理するようにした場合、炉内の温度が設定値よりも高くなって、被処理物を処理する処理温度が高くなりすぎるなどの問題が生じた。
【0004】
このため、従来においては、燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えて行う複数の対になった蓄熱式バーナーにおいて、一部の対になった蓄熱式バーナーにおける燃焼動作と蓄熱動作とを停止(間引き)させて、火炎の形成を止めることにより、炉内の温度を設定値に保ち、被処理物を処理する処理温度が高くなりすぎたり、燃焼排ガスの熱を蓄熱する蓄熱材の温度が高くなって劣化したりするのを防止することが提案されている。
【0005】
しかし、前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えて行う複数の対になった蓄熱式バーナーにおいて、一部の対になった蓄熱式バーナーにおける燃焼動作と蓄熱動作とを停止させ、火炎を形成させないようにした場合、停止された対になった蓄熱式バーナーにおいては、燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えて行う対になった蓄熱式バーナーとは異なり、燃焼による燃焼排ガスが炉内に供給されたり、炉内における燃焼排ガスが炉内から吸引されたりせず、炉内における燃焼排ガスの流れに偏りが生じて、炉内の温度にムラが生じたり、停止された対になった蓄熱式バーナーにおいては、蓄熱材に燃焼排ガスが導かれずに、蓄熱材の温度が低下してしまい、燃焼動作と蓄熱動作とを再開させる際に、十分な燃焼が行えなくなったりするという問題があった。
【0006】
このため、一部の対になった蓄熱式バーナーにおける燃焼動作と蓄熱動作とを停止させるにあたり、特許文献1~3に示されるように、燃焼動作と蓄熱動作とを停止させる対になった蓄熱式バーナーの位置やタイミングなどをずられせるようにしたものが提案されている。
【0007】
しかし、特許文献1~3に示されるように、燃焼動作と蓄熱動作とを停止させる対になった蓄熱式バーナーの位置やタイミングなどをずられせるように操作するようにした場合においても、燃焼動作と蓄熱動作とを停止させた対になった蓄熱式バーナーにおいては、燃焼による燃焼排ガスが炉内に供給されたり、炉内における燃焼排ガスが炉内から吸引されたりせず、依然として、炉内における燃焼排ガスの流れに偏りが生じて、炉内の温度にムラが生じたりするのを十分に抑制することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-246427号公報
【特許文献2】特開平11-316018号公報
【特許文献3】特開2000-356321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが1つ又は複数設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0010】
特に、本発明は、前記のような蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させた場合に、燃焼が停止された対になった蓄熱式バーナーにおいて、燃焼排ガスの流れが停止されて、燃焼を行う対になった蓄熱式バーナーの部分との間で炉内における燃焼排ガスの流れに偏りが生じて、炉内の温度にムラが生じたりするのを抑制し、炉内の温度が均一化されるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、前記のような課題を解決するため、燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、前記の対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させ、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを前記の蓄熱室を通して炉内に導く動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室に導いて、燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に排ガス排出管に導く動作を行うようにした。
【0012】
また、本発明においては、前記のような課題を解決するため、燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが複数設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、前記の対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させ、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを前記の蓄熱室を通して炉内に導く動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室に導いて、燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に排ガス排出管に導く動作を行うようにした。
【0013】
ここで、前記のように対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させ、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを前記の蓄熱室を通して炉内に導くようにする一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室に導き燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管に導くようにすると、一方の蓄熱式バーナーから蓄熱室を通して加熱された燃焼排ガスが炉内に供給されると共に、他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスが蓄熱室に導かれ、蓄熱室における蓄熱材に燃焼排ガスの熱が蓄熱されて、排ガス排出管に導かれるようになり、燃焼を停止させる一対の蓄熱式バーナーにおいて、加熱された燃焼排ガスが炉内に供給されるようになると共に、炉内における燃焼排ガスが蓄熱室に導かれて、蓄熱室における蓄熱材に燃焼排ガスの熱が蓄熱されるようになり、燃焼を行う対になった蓄熱式バーナーとの間で、炉内における燃焼排ガスの流れに偏りが生じたり、炉内の温度にムラが生じたりするのが防止されるようになる。
【0014】
また、本発明の蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法においては、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、排ガス排出管を通して排出される燃焼排ガスを各蓄熱式バーナーの蓄熱室に導く燃焼排ガス戻し管と、燃焼排ガス戻し管の開閉を行う排ガス戻し用バルブとを設け、燃焼を停止させる蓄熱式バーナーに、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを、前記の蓄熱式バーナーの蓄熱室を通して炉内に導くにあたり、前記の排ガス戻し用バルブを開けて燃焼排ガス戻し管から燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導くようにすることができる。このようにすると、燃焼を停止させる各蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に対して、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを簡単に導くことができるようになる。
【0015】
また、本発明の蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法においては、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった蓄熱式バーナーにおいて、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させ、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを前記の蓄熱室を通して炉内に導く動作と、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室に導いて、燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に排ガス排出管に導く動作とを、前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換える対になった蓄熱式バーナーに対応させて切り換えるように前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換える対になった蓄熱式バーナーに対応させて切り換えるようにすることができる。このようにすると、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させる場合においても、燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えて行う蓄熱式バーナーと同様の気流が保てるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明における蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法においては、前記のように対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させ、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを前記の蓄熱室を通して炉内に導く動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室に導いて、燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に排ガス排出管に導く動作を行うようにしたため、燃焼を停止させる一方の蓄熱式バーナーからは、蓄熱室を通して加熱された燃焼排ガスが炉内に供給されると共に、他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスが蓄熱室に導かれ、この燃焼排ガスの熱が蓄熱室における蓄熱材に蓄熱されて排ガス排出管に導かれるようになる。
【0017】
この結果、本発明における蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法においては、複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるようにした場合においても、燃焼を停止させる一対の蓄熱式バーナーにおいて、加熱された燃焼排ガスが炉内に供給されるようになると共に、炉内における燃焼排ガスが蓄熱室に導かれて、蓄熱室における蓄熱材に燃焼排ガスの熱が蓄熱され、燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えて行う場合と同様の気流が保てるようになり、燃焼を行う対になった蓄熱式バーナーとの間で、炉内における燃焼排ガスの流れに偏りが生じるのが防止されると共に、炉内の温度にムラが生じるのも抑制され、炉内の温度が均一化されるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態において、対になった複数の蓄熱式バーナーにおいて燃焼動作と蓄熱動作とを行う状態を示した概略摸式説明図である。
図2】同実施形態において、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させる状態を示した概略摸式説明図である。
図3】同実施形態において、対になった蓄熱式バーナーにおいて燃焼動作と蓄熱動作とを行う状態を示した概略断面図である。
図4】同実施形態において、対になった蓄熱式バーナーにおいて燃焼を停止させるにあたり、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させ、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを燃焼排ガス戻し管から蓄熱室を通して炉内に導く動作と、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室に導き燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管に導く動作とを行う状態を示した概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法は、特に下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0020】
ここで、この実施形態においては、蓄熱燃焼式工業炉として、図1等に示すように、炉1の両側の側壁1aに対向するようにして対になった蓄熱式バーナー10a,10bを、炉1の長手方向に所要間隔を介するようにして複数設けたもの用いている。
【0021】
そして、前記の対になった各蓄熱式バーナー10a,10bにおいて、燃焼動作を行う場合には、燃料ガス供給管11(11a,11b)に設けられた第1バルブB1a,B1bを開けて、燃料ガスを燃料ガス供給管11a,11bを通してバーナー部12a,12bに供給すると共に、空気供給管14(14a,14b)に設けられた第2バルブB2a,B2bを開けて、燃焼用空気を空気送風機21により空気供給管14(14a,14b)を通して蓄熱室13a,13bに導き、蓄熱室13a,13bに収容された蓄熱材xa,xbの熱により燃焼用空気を加熱させてバーナー部12a,12bに供給して、前記の燃焼ガスを燃焼させるようにしている。
【0022】
一方、前記の対になった各蓄熱式バーナー10a,10bにおいて、蓄熱動作を行う場合には、排ガス排出管15(15a,15b)に設けられた第3バルブB3a,B3bを開けて、炉1内において燃焼ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを、排ガス吸引機22により炉1内から蓄熱室13a,13bに導き、蓄熱室13a,13bに収容された蓄熱材xa,xbに燃焼排ガスの熱を蓄熱させた後、この燃焼排ガスを、排ガス排出管15(15a,15b)を通して煙突23に導いて排気させるようにしている。
【0023】
また、この実施形態においては、排ガス排出管15(15a,15b)を通して煙突23に導かれる燃焼排ガスを、各蓄熱式バーナー10a,10bにおける蓄熱室13a,13bに導く燃焼排ガス戻し管16(16a,16b)を設けると共に、前記の燃焼排ガスを燃焼排ガス戻し管16(16a,16b)に送る排ガス戻し機24(24a,24b)を設け、前記の燃焼排ガス戻し管16(16a,16b)に設けた第4バルブB4a,B4bを開けて、前記の排ガス戻し機24(24a,24b)により燃焼排ガスを燃焼排ガス戻し管16(16a,16b)を通して各蓄熱式バーナー10a,10bにおける蓄熱室13a,13bに導き、この燃焼排ガスを蓄熱室13a,13bに収容された蓄熱材xa,xbに蓄熱された熱で加熱させ、このように加熱された燃焼排ガスを、各蓄熱式バーナー10a,10bにおけるバーナー部12a,12bを通して炉1内に供給するようにしている。
【0024】
ここで、この実施形態における各図においては、前記の第1バルブB1a,B1b、第2バルブB2a,B2b、第3バルブB3a,B3b、第4バルブB4a,B4bが開いた状態を白抜きで、閉じた状態を黒塗りで示した。
【0025】
そして、この実施形態において、図1に示す場合には、対になった複数の各蓄熱式バーナー10a,10bにおいては、それぞれ隣り合う対になった蓄熱式バーナー10a,10bにおいて燃焼動作と蓄熱動作とが逆になるようにして、それぞれ燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにしている。
【0026】
また、この実施形態において、図2に示す場合には、前記の対になった複数の蓄熱式バーナー10a,10bにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、燃焼を停止させる対になった蓄熱式バーナー10a,10bと、燃焼動作と蓄熱動作とを行う対になった蓄熱式バーナー10a,10bとが、炉1の長手方向に交互に配置されるようにしている。
【0027】
ここで、前記のように対になった蓄熱式バーナー10a,10bにおいて燃焼動作と蓄熱動作とを行うにあたっては、図3に示すように、前記の燃焼排ガス戻し管16(16a,16b)に設けた前記の第4バルブB4a,B4bの両方を閉じた状態にする。そして、燃焼動作を行う一方の蓄熱式バーナー10aにおいては、前記の一方の燃料ガス供給管11aに設けられた第1バルブB1aを開けて、燃料ガスを燃料ガス供給管11aからバーナー部12aに供給すると共に、前記の一方の空気供給管14aに設けられた第2バルブB2aを開けて、燃焼用空気を空気送風機21により空気供給管14aを通して蓄熱室13aに導き、この蓄熱室13aに収容された蓄熱材xaの熱により燃焼用空気を加熱させてバーナー部12aに供給し、前記の燃焼ガスと混合させて燃焼させるようにしている。なお、この場合には、前記の排ガス排出管15aに設けられた第3バルブB3aを閉じて、蓄熱室13aに導かれた燃焼用空気が排ガス排出管15aに導かれないようにしている。
【0028】
一方、蓄熱動作を行う他方の蓄熱式バーナー10bにおいては、前記の燃料ガス供給管11bに設けられた第1バルブB1bを閉じて、燃料ガスが燃料ガス供給管11bからバーナー部12bに供給されないようにすると共に、前記の空気供給管14bに設けられた第2バルブB2b閉じて、燃焼用空気が空気供給管14bを通して蓄熱室13bに導かれないようにし、この状態で、前記の排ガス排出管15bに設けられた第3バルブB3bを開けて、前記のように炉1内において燃焼ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを、前記の排ガス吸引機22により炉1内から蓄熱室13bに導き、この蓄熱室13bに収容された蓄熱材xbに燃焼排ガスの熱を蓄熱させた後、この燃焼排ガスを、前記の排ガス排出管15bを通して煙突23に導いて排気させるようにしている。
【0029】
そして、前記のように対になった蓄熱式バーナー10a,10bにおいては、前記のような燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えて行うようにしている。
【0030】
また、この実施形態において、図2に示すように、対になった複数の蓄熱式バーナー10a,10bにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、燃焼を停止させる対になった蓄熱式バーナー10a,10bにおいては、図4に示すように、一方の蓄熱式バーナー10aにおいて、前記の燃料ガス供給管11aに設けられた第1バルブB1aを閉じて、燃料ガスが燃料ガス供給管11aからバーナー部12aに供給されないようにすると共に、前記の空気供給管14aに設けられた第2バルブB2aを閉じて、燃焼用空気が空気供給管14aを通して蓄熱室13aに導かれないようにして、この蓄熱式バーナー10aにおける燃料ガスの燃焼を停止させると共に、前記の排ガス排出管15aに設けられた第3バルブB3aを閉じて、炉1内における燃焼排ガスが排気されないようにする。そして、この状態で、前記の燃焼排ガス戻し管16aに設けた第4バルブB4aを開け、前記の排ガス排出管15を通して煙突23に導かれる燃焼排ガスを、前記の排ガス戻し機24により前記の燃焼排ガス戻し管16(16a,16b)に送り、この燃焼排ガスを前記の第4バルブB4aを開けた一方の燃焼排ガス戻し管16aから一方の蓄熱式バーナー10aの蓄熱室13aに導き、この蓄熱室13aに収容された蓄熱材xaの熱により前記の燃焼排ガスを加熱させて、バーナー部12aを通して炉1内に導くようにしている。
【0031】
一方、燃焼を停止させる他方の蓄熱式バーナー10bにおいては、前記の燃料ガス供給管11bに設けられた第1バルブB1bを閉じて、燃料ガスが燃料ガス供給管11bからバーナー部12bに供給されないようにすると共に、前記の空気供給管14bに設けられた第2バルブB2bを閉じて、燃焼用空気が空気供給管14bを通して蓄熱室13bに導かれないようにし、また前記の燃焼排ガス戻し管16bに設けた第4バルブB4bを閉じた状態にする。そして、このようにした状態で、前記の排ガス排出管15bに設けられた第3バルブB3bを開け、炉1内における燃焼排ガスを、前記の排ガス吸引機22により炉1内から蓄熱室13bに吸引し、この蓄熱室13bに収容された蓄熱材xbに燃焼排ガスの熱を蓄熱させた後、この燃焼排ガスを前記の排ガス排出管15bに導き、この排ガス排出管15bに導かれた前記の燃焼排ガスを、前記の排ガス戻し機24により前記の燃焼排ガス戻し管16に送り、第4バルブB4aを開けた一方の燃焼排ガス戻し管16aから一方の蓄熱式バーナー10aの蓄熱室13aに導くようにしている。
【0032】
そして、前記のように燃焼を停止させる対になった蓄熱式バーナー10a,10bにおいて、一方の蓄熱式バーナー10aと他方の蓄熱式バーナー10bとにおいて、前記のような動作を交互に切り換えて行うようにしている。
【0033】
このようにすると、燃焼を停止させる一対の蓄熱式バーナー10a,10bにおいて、排ガス排出管15a,15bから排出される燃焼排ガスが蓄熱室13a,13bに収容された蓄熱材xa,xbにより加熱された状態で炉1内に供給されるようになると共に、炉1内における燃焼排ガスが蓄熱室13a,13bに導かれて、燃焼排ガスの熱が蓄熱材xa,xbに蓄熱されるようになり、このような動作を(火炎を形成させずに)交互に切り換えて行うと、前記のように燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えて行う対になった蓄熱式バーナー10a,10bとの間で、燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換える(火炎を形成させる)場合と同様の気流が保てるようになり、炉1内における燃焼排ガスの流れに偏りが生じるのが防止されると共に、炉1内の温度にムラが生じるのが抑制されて、炉1内の温度が均一化されるようになる。
【0034】
なお、前記の実施形態おいては、対になった複数の蓄熱式バーナー10a,10bにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、燃焼を停止させる対になった蓄熱式バーナー10a,10bと、燃焼動作と蓄熱動作とを行う対になった蓄熱式バーナー10a,10bとを、炉1の長手方向に交互に配置されるようにしたが、炉1内の温度を適切に制御するために、燃焼動作と蓄熱動作とを行う対になった蓄熱式バーナー10a,10bの数と、燃焼を停止させる対になった蓄熱式バーナー10a,10bの数とを変更させるようにすることもできる。
【0035】
また、前記の実施形態おいては、複数の対になった蓄熱式バーナー10a,10bを設けたものを示したが、一対の蓄熱式バーナー10a,10bを設けたバッチ式のものにおいても、前記のようにして燃焼を停止させるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0036】
1 :炉
1a :側壁
10 :蓄熱式バーナー
10a,10b :蓄熱式バーナー
11(11a,11b) :燃料ガス供給管
12a,12b :バーナー部
13a,13b :蓄熱室
14(14a,14b) :空気供給管
15(15a,15b) :排ガス排出管
16(16a,16b) :燃焼排ガス戻し管
21(21a,21b) :空気送風機
22(22a,22b) :排ガス吸引機
23 :煙突
24 :排ガス戻し機
B1a,B1b :第1バルブ
B2a,B2b :第2バルブ
B3a,B3b :第3バルブ
B4a,B4b :第4バルブ
xa,xb :蓄熱材
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、前記の対になった蓄熱式バーナーにおける燃焼を停止させるにあたり、前記の対になった蓄熱式バーナーに燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に、前記の対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室を通して一方の排ガス排出管から排出させる動作を行わないようにする一方、前記の対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスをこの他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後、前記の燃焼排ガスを他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導く動作を行うようにしたことを特徴とする蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法。
【請求項2】
燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが複数設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、前記の対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、前記の対になった蓄熱式バーナーに燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に、前記の対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室を通して一方の排ガス排出管から排出させる動作を行わないようにする一方、前記の対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスをこの他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に、前記の燃焼排ガスを他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導く動作を行うようにしたことを特徴とする蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、排ガス排出管を通して排出される燃焼排ガスを各蓄熱式バーナーの蓄熱室に導く燃焼排ガス戻し管と、燃焼排ガス戻し管の開閉を行う排ガス戻し用バルブとを設け、燃焼を停止させる対になった蓄熱式バーナーに、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に、前記の対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室を通して一方の排ガス排出管から排出させる動作を行わないようにする一方、炉内における燃焼排ガスを対になった他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に、前記の燃焼排ガスを他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導くにあたり、一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に前記の燃焼排ガスを導く前記の燃焼排ガス戻し管に設けた排ガス戻し用バルブを開けて燃焼排ガス戻し管から前記の燃焼排ガスを一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導くようにしたことを特徴とする蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった蓄熱式バーナーにおいて、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に前記の対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室を通して一方の排ガス排出管から排出させる動作を行わないようにする一方、炉内における燃焼排ガスを対になった他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に、前記の燃焼排ガスを他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導く動作、前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換える対になった蓄熱式バーナーに対応させて切り換えるようにしたことを特徴とする蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明においては、前記のような課題を解決するため、燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、前記の対になった蓄熱式バーナーにおける燃焼を停止させるにあたり、前記の対になった蓄熱式バーナーに燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に、前記の対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室を通して一方の排ガス排出管から排出させる動作を行わないようにする一方、前記の対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスをこの他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後、前記の燃焼排ガスを他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導く動作を行うようにした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、本発明においては、前記のような課題を解決するため、燃料ガス供給管から供給された燃料ガスを燃焼させるバーナー部と、蓄熱材を収容させた蓄熱室と、蓄熱室に燃焼用空気を供給する空気供給管と、燃料ガスを燃焼させた後の燃焼排ガスを炉内から蓄熱室を通して排出させる排ガス排出管とを有する対になった蓄熱式バーナーが複数設けられ、対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、前記のバーナー部に空気供給管から蓄熱室を通して燃焼用空気を導くと共に、前記の燃料ガス供給管から燃料ガスを噴射させて燃焼させる燃焼動作を行う一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを前記の蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させて排ガス排出管から排出させる蓄熱動作を行い、対になった蓄熱式バーナーにおける前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えるようにした蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法において、前記の対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、前記の対になった蓄熱式バーナーに燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に、前記の対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室を通して一方の排ガス排出管から排出させる動作を行わないようにする一方、前記の対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスをこの他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に、前記の燃焼排ガスを他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導く動作を行うようにした。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
ここで、前記のように対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、前記の対になった蓄熱式バーナーに燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に、前記の対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室を通して一方の排ガス排出管から排出させる動作を行わないようにする一方、前記の対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスをこの他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に、前記の燃焼排ガスを他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導くようにすると燃焼を停止させる前記の一対の蓄熱式バーナーにおいて、加熱された燃焼排ガスが一方の蓄熱式バーナー側から炉内に供給されるようになると共に、炉内における燃焼排ガスが他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導かれて、蓄熱室における蓄熱材に燃焼排ガスの熱が蓄熱されるようになり、燃焼を行う対になった蓄熱式バーナーとの間で、炉内における燃焼排ガスの流れに偏りが生じたり、炉内の温度にムラが生じたりするのが防止されるようになる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明の蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法においては、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、排ガス排出管を通して排出される燃焼排ガスを各蓄熱式バーナーの蓄熱室に導く燃焼排ガス戻し管と、燃焼排ガス戻し管の開閉を行う排ガス戻し用バルブとを設け、燃焼を停止させる対になった蓄熱式バーナーに、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に、前記の対になった一方の蓄熱式バーナーにおいて、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室を通して一方の排ガス排出管から排出させる動作を行わないようにする一方、炉内における燃焼排ガスを対になった他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に、前記の燃焼排ガスを他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導くにあたり、一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に前記の燃焼排ガスを導く前記の燃焼排ガス戻し管に設けた排ガス戻し用バルブを開けて、他方の排ガス排出管から前記の燃焼排ガスを、この燃焼排ガス戻し管を通して一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導くようにすることができる。このようにすると、燃焼を停止させる各蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に対して、排ガス排出管から排出される燃焼排ガスを簡単に導くことができるようになる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、本発明の蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法においては、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった蓄熱式バーナーにおいて、燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に対になった一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室を通して燃焼排ガスを一方の排ガス排出管から排出させる動作を行わないようにする一方、炉内における燃焼排ガスを対になった他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に、前記の燃焼排ガスを他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導く動作、前記の燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換える対になった蓄熱式バーナーに対応させて切り換えるようにすることができる。このようにすると、対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させる場合においても、燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えて行う蓄熱式バーナーと同様の気流が保てるようになる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明における蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法においては、前記のように対になった複数の蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるにあたり、対になった蓄熱式バーナーに燃焼用空気及び燃料ガスを供給するのを停止させると共に、前記の対になった一方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスを蓄熱室を通して一方の排ガス排出管から排出させる動作を行わないようにする一方、前記の対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスをこの他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導いて燃焼排ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させた後に、前記の燃焼排ガスを他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導く動作を行うようにしたため、燃焼を停止させる一方の蓄熱式バーナーからは、蓄熱室を通して加熱された燃焼排ガスが排ガス排出管から排出されなくなると共に、他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスが蓄熱室に導かれ、この燃焼排ガスの熱が蓄熱室における蓄熱材に蓄熱された後、この燃焼排ガスが他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導かれ、この蓄熱室における蓄熱材により加熱されて炉内に供給されるようになる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
この結果、本発明における蓄熱燃焼式工業炉の燃焼制御方法においては、複数の対になった蓄熱式バーナーにおける一部の燃焼を停止させるようにした場合においても、燃焼を停止させる一対の蓄熱式バーナーにおける一方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスが蓄熱室を通して一方の排ガス排出管から排出されなくなる一方、対になった他方の蓄熱式バーナーにおいては、炉内における燃焼排ガスが、他方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導かれて、燃焼排ガスの熱が蓄熱材に蓄熱された後、この燃焼排ガスが他方の排ガス排出管から前記の一方の蓄熱式バーナーにおける蓄熱室に導かれ、この蓄熱室における蓄熱材により加熱されて炉内に供給されるようになり、燃焼動作と蓄熱動作とを交互に切り換えて行う場合と同様の気流が保てるようになり、燃焼を行う対になった蓄熱式バーナーとの間で、炉内における燃焼排ガスの流れに偏りが生じるのが防止されると共に、炉内の温度にムラが生じるのも抑制され、炉内の温度が均一化されるようになった。