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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082427
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】筋力補助装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20220525BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147966
(22)【出願日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0156981
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】521401623
【氏名又は名称】現代ロテム株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI ROTEM COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギュジュン
(72)【発明者】
【氏名】イム、ヒョンソプ
(72)【発明者】
【氏名】パク、サンイン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン、ドンジン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、キヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボムス
(72)【発明者】
【氏名】キム、デジェ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707HT02
3C707HT11
3C707HT21
3C707XK02
3C707XK06
3C707XK17
3C707XK42
3C707XK55Q
3C707XK85
(57)【要約】      (修正有)
【課題】トルクプロファイルを容易に変更することができる筋力補助装置を提供する。
【解決手段】一つ以上のリンクを含むマルチリンク部;前記マルチリンク部の一側と結合され、中心に対して自転可能に備えられるプロファイル調節部;前記マルチリンク部の他側と結合され、前記マルチリンク部に弾性力による力を提供する弾性力提供部;を含み、前記プロファイル調節部が自転することにより、前記マルチリンク部の前記一側が前記中心に対して公転運動をすると、前記マルチリンク部の前記他側が移動することにより、前記弾性力提供部が前記マルチリンク部に加える力が変化する筋力補助装置が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上のリンクを含むマルチリンク部;
前記マルチリンク部の一側と結合され、一部が中心に対して自転可能に備えられるプロファイル調節部;
前記マルチリンク部の他側と結合され、前記マルチリンク部に弾性力による力を提供する弾性力提供部;を含み、
前記プロファイル調節部のうち一部が自転すると、前記マルチリンク部の前記一側は前記中心に対して公転運動ができるように備えられ、
前記プロファイル調節部は、前記マルチリンク部の前記一側の運動を選択的に許容または制限する筋力補助装置。
【請求項2】
前記マルチリンク部は、
一側が前記プロファイル調節部に結合される第1リンク;を含み、
前記プロファイル調節部が自転する場合、前記第1リンクの前記一側は前記中心に対して公転運動をするように備えられることで、前記弾性力提供部が前記マルチリンク部に加える力が変化する、請求項1に記載の筋力補助装置。
【請求項3】
前記マルチリンク部は、
一側が前記弾性力提供部に結合される第2リンク;をさらに含み、
前記プロファイル調節部が自転する場合、前記第2リンクの前記一側が移動するように備えられることで、前記弾性力提供部が前記マルチリンク部に加える力が変化する、請求項2に記載の筋力補助装置。
【請求項4】
前記マルチリンク部は、
第1領域が前記第1リンクの他側に回転可能に結合され、第2領域が前記第2リンクの他側に回転可能に結合される第3リンク;をさらに含む、請求項3に記載の筋力補助装置。
【請求項5】
前記マルチリンク部、前記プロファイル調節部及び前記弾性力提供部を収容する胴体部;をさらに含み、
前記マルチリンク部は、
一側が前記胴体部に対して固定され、他側が前記第1領域に回転可能に結合される第4リンク;をさらに含む、請求項4に記載の筋力補助装置。
【請求項6】
前記マルチリンク部は、
一側が前記胴体部に対して固定され、他側が前記第3リンクの第3領域に回転可能に結合される第5リンク;をさらに含む、請求項5に記載の筋力補助装置。
【請求項7】
一側が前記胴体部に対して回転可能に結合され、他側が前記弾性力提供部に結合されるエンドリンク部;をさらに含む、請求項6に記載の筋力補助装置。
【請求項8】
前記弾性力提供部は、複数のばねを含み、
前記複数のばねの一側は、それぞれ前記第2リンクの他側に結合され、
前記複数のばねの他側は、それぞれ前記エンドリンク部の前記他側に結合される、請求項7に記載の筋力補助装置。
【請求項9】
前記プロファイル調節部は、
一側が前記第1リンクに結合され、前記中心に対して自転可能に備えられる第1ギヤ;を含む、請求項2に記載の筋力補助装置。
【請求項10】
前記プロファイル調節部は、
前記第1ギヤと噛み合うように備えられる第2ギヤ;をさらに含む、請求項9に記載の筋力補助装置。
【請求項11】
前記プロファイル調節部は、
前記第1ギヤに固定して結合され、前記中心に対して自転可能に備えられる第3ギヤ;をさらに含む、請求項10に記載の筋力補助装置。
【請求項12】
前記第1ギヤの大きさは、前記第3ギヤの大きさよりも大きい、請求項11に記載の筋力補助装置。
【請求項13】
前記プロファイル調節部は、
前記第3ギヤの外側に備えられる歯車と干渉されることにより、前記第3ギヤの回転を制限するストッパ;をさらに含む、請求項11に記載の筋力補助装置。
【請求項14】
前記第3ギヤの周縁のうち前記第1ギヤと前記第1リンクが互いに結合される領域には、前記中心に向かう方向に湾入された形状を有する湾入部が備えられる、請求項11に記載の筋力補助装置。
【請求項15】
前記プロファイル調節部は、
一側が前記第1リンクに結合され、前記中心に対して自転可能に備えられる第1プーリ;
前記第1プーリから離隔されるように備えられる第2プーリ;及び
前記第1プーリと前記第2プーリとの外側を覆うように備えられるベルト;を含む、請求項2に記載の筋力補助装置。
【請求項16】
前記プロファイル調節部は、
前記第1ギヤと噛み合うように備えられるワーム(worm);をさらに含む、請求項9に記載の筋力補助装置。
【請求項17】
一つ以上のリンクを含むマルチリンク部;
前記マルチリンク部の一側と結合され、一部が中心に対して自転可能に備えられるプロファイル調節部;
前記マルチリンク部の他側と結合され、前記マルチリンク部に弾性力による力を提供する弾性力提供部;及び
前記プロファイル調節部に動力を提供する動力提供部;を含み、
前記プロファイル調節部のうち一部が前記動力提供部によって自転すると、前記マルチリンク部の前記一側は前記中心に対して公転運動ができるように備えられ、
前記プロファイル調節部は、前記マルチリンク部の前記一側の運動を選択的に許容または制限する筋力補助装置。
【請求項18】
前記マルチリンク部、前記プロファイル調節部及び前記弾性力提供部を収容する胴体部;
前記胴体部の一側に備えられる支持部;及び
前記支持部の内側面に備えられ、圧力を感知する圧力センサ;をさらに含む、請求項17に記載の筋力補助装置。
【請求項19】
前記圧力センサに加えられた前記圧力の大きさに応じて前記動力提供部の駆動を制御する制御部;をさらに含む、請求項18に記載の筋力補助装置。
【請求項20】
前記第1リンクは、
前記第4リンクに向かって撓う形状を有する、請求項5に記載の筋力補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力補助装置に関し、より詳しくは、人の作業時に補助的な力を提供することができる筋力補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の作業時に人の筋力を補助するための装置の一つとして、人の腕に装着されて筋力を補助する上腕筋力補助装置を挙げることができる。このような上腕筋力補助装置の場合、人の腕の重さ及び人の腕が支えている物の重さによる荷重を補助するためのトルクを形成するメカニズムが取り付けられている。例えば、上腕筋力補助装置の場合、装置の回転角度によって異なる大きさのトルクを有することになるが、これはトルクの大きさが回転角度に応じて決定される一種の関数関係を有するようになる。このような関数関係をトルクプロファイルという。
【0003】
一方、人が行う作業の種類によって筋力補助装置に求められるトルクの大きさが異なる。例えば、上腕筋力補助装置の回転角度が同一であるとしても、人が行う作業の種類によって人に加えられる荷重の程度が変わる。したがって、人が行う作業の種類が変わる場合、上腕筋力補助装置に求められるトルクプロファイルも変わる必要がある。
【0004】
しかし、従来の技術によれば、トルクプロファイルを変更するためには筋力補助装置内部の構成等(例えば、ばね)を交替するか、内部構成等の物性(例えば、ばねの引張力)を調節しなければならない。したがって、従来の技術によれば、筋力補助装置のトルクプロファイルを変更するのが煩わしいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、トルクプロファイルを容易に変更することができる筋力補助装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の一側面によれば、一つ以上のリンクを含むマルチリンク部;前記マルチリンク部の一側と結合され、一部が中心に対して自転可能に備えられるプロファイル調節部;前記マルチリンク部の他側と結合され、前記マルチリンク部に弾性力による力を提供する弾性力提供部;を含み、前記プロファイル調節部のうち一部が自転すると、前記マルチリンク部の前記一側は前記中心に対して公転運動ができるように備えられ、前記プロファイル調節部は、前記マルチリンク部の前記一側の運動を選択的に許容または制限する筋力補助装置が提供される。
【0007】
前記マルチリンク部は、一側が前記プロファイル調節部に結合される第1リンク;を含み、前記プロファイル調節部が自転する場合、前記第1リンクの前記一側は前記中心に対して公転運動をするように備えられることで、前記弾性力提供部が前記マルチリンク部に加える力が変化し得る。
【0008】
前記マルチリンク部は、一側が前記弾性力提供部に結合される第2リンク;をさらに含み、前記プロファイル調節部が自転する場合、前記第2リンクの前記一側が移動するように備えられることで、前記弾性力提供部が前記マルチリンク部に加える力が変化することができる。
【0009】
前記マルチリンク部は、第1領域が前記第1リンクの他側に回転可能に結合され、第2領域が前記第2リンクの他側に回転可能に結合される第3リンク;をさらに含んでよい。
【0010】
前記マルチリンク部、前記プロファイル調節部及び前記弾性力提供部を収容する胴体部;をさらに含み、前記マルチリンク部は、一側が前記胴体部に対して固定され、他側が前記第1領域に回転可能に結合される第4リンク;をさらに含んでよい。
【0011】
前記マルチリンク部は、一側が前記胴体部に対して固定され、他側が前記第3リンクの第3領域に回転可能に結合される第5リンク;をさらに含んでよい。
【0012】
一側が前記胴体部に対して回転可能に結合され、他側が前記弾性力提供部に結合されるエンドリンク部;をさらに含んでよい。
【0013】
前記弾性力提供部は複数のばねを含み、前記複数のばねの一側はそれぞれ前記第2リンクの他側に結合され、前記複数のばねの他側はそれぞれ前記エンドリンク部の前記他側に結合されてよい。
【0014】
前記プロファイル調節部は、一側が前記第1リンクに結合され、前記中心に対して自転可能に備えられる第1ギヤ;を含んでよい。
【0015】
前記プロファイル調節部は、前記第1ギヤと噛み合うように備えられる第2ギヤ;をさらに含んでよい。
【0016】
前記プロファイル調節部は、前記第1ギヤに固定して結合され、前記中心に対して自転可能に備えられる第3ギヤ;をさらに含んでよい。
【0017】
前記第1ギヤの大きさは、前記第3ギヤの大きさよりも大きくてよい。
【0018】
前記プロファイル調節部は、前記第3ギヤの外側に備えられる歯車と干渉されることにより、前記第3ギヤの回転を制限するストッパ;をさらに含んでよい。
【0019】
前記第3ギヤの周縁のうち前記第1ギヤと前記第1リンクが互いに結合される領域には、前記中心に向かう方向に湾入された形状を有する湾入部が備えられてよい。
【0020】
前記プロファイル調節部は、一側が前記第1リンクに結合されて前記中心に対して自転可能に備えられる第1プーリ;前記第1プーリから離隔されるように備えられる第2プーリ;及び前記第1プーリと前記第2プーリの外側を覆うように備えられるベルト;を含んでよい。
【0021】
前記プロファイル調節部は、前記第1ギヤと噛み合うように備えられるワーム(worm);をさらに含んでよい。
【0022】
前記目的を達成するための本発明の他の側面によれば、一つ以上のリンクを含むマルチリンク部;前記マルチリンク部の一側と結合され、一部が中心に対して自転可能に備えられるプロファイル調節部;前記マルチリンク部の他側と結合され、前記マルチリンク部に弾性力による力を提供する弾性力提供部;及び前記プロファイル調節部に動力を提供する動力提供部;を含み、前記プロファイル調節部のうち一部が前記動力提供部によって自転すると、前記マルチリンク部の前記一側は前記中心に対して公転運動ができるように備えられ、前記プロファイル調節部は、前記マルチリンク部の前記一側の運動を選択的に許容または制限する筋力補助装置が提供される。
【0023】
前記マルチリンク部、前記プロファイル調節部及び前記弾性力提供部を収容する胴体部;前記胴体部の一側に備えられる支持部;及び前記支持部の内側面に備えられ、圧力を感知する圧力センサ;をさらに含んでよい。
【0024】
前記圧力センサに加えられた前記圧力の大きさに応じて前記動力提供部の駆動を制御する制御部をさらに含んでよい。
【0025】
前記第1リンクは、前記第4リンクに向かって撓う形状を有してよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、トルクプロファイルを容易に変更できる筋力補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る筋力補助装置の構造を概略的に示した概念図である。
図2】本発明の第1実施形態による筋力補助装置の内部構造を示した図である。
図3】本発明の第1実施形態による筋力補助装置で第1胴体と第2胴体との間の回転による多様な駆動例示を示した図である。
図4】本発明の第1実施形態による筋力補助装置でプロファイル調節部を用いて回転力のプロファイルを調節する多様な駆動例示を示した図である。
図5】本発明の第1実施形態による筋力補助装置でプロファイル調節部を用いて回転力のプロファイルを調節する多様な駆動例示を示した図である。
図6】本発明の第1実施形態による筋力補助装置でプロファイル調節部を用いて回転力のプロファイルを調節する多様な駆動例示を示した図である。
図7】本発明の第1実施形態による筋力補助装置でプロファイル調節部を用いて回転力のプロファイルを調節する多様な駆動例示を示した図である。
図8】本発明に係る筋力補助装置によって形成され得る多様な種類の回転角度-回転力関数関係の例示を示したグラフである。
図9】本発明の第2実施形態による筋力補助装置でプロファイル調節部を拡大して示した図である。
図10】本発明の第3実施形態による筋力補助装置でプロファイル調節部を拡大して示した図である。
図11】本発明に係る筋力補助装置の他の例を示した図である。
図12】本発明に係る筋力補助装置のまた他の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参考にしつつ、本発明に係る筋力補助装置を説明する。
【0029】
筋力補助装置
図1は、本発明に係る筋力補助装置の構造を概略的に示した概念図であり、図2は、本発明の第1実施形態による筋力補助装置の内部構造を示した図である。
【0030】
図1に示すように、本発明に係る筋力補助装置10は、一つ以上のリンクを含むマルチリンク部100を含んでよい。より詳しくは、マルチリンク部100は複数のリンクを含んでよい。より好ましくは、マルチリンク部100は、複数のリンクが互いに回転可能に連結されているリンケージ(linkage)構造を有してよい。一例として、マルチリンク部100に備えられる複数のリンクは、同一平面上で互いに回転可能に連結されていてよい。
【0031】
また、筋力補助装置10は、マルチリンク部100の一側と結合され、中心Cに対して自転可能に備えられるプロファイル調節部200を含んでよい。より詳しくは、プロファイル調節部200のうち一部が前記中心Cに対して自転する場合、マルチリンク部100の前記一側が中心Cに対して公転できるように、マルチリンク部100の一側は、前記プロファイル調節部200の一つの構成に固定して結合されてよい。プロファイル調節部200の役割及び構成に対しては後述する。
【0032】
一方、筋力補助装置10は、マルチリンク部100の他側と結合され、マルチリンク部100に弾性力による力を提供する弾性力提供部300をさらに含んでよい。より詳しくは、弾性力提供部300はばね310を含んでよい。より好ましくは、弾性力提供部300は複数のばね310を含んでよい。図2には、弾性力提供部300が3つのばね310で構成された様子が示されている。
【0033】
一方、図2を参考にすれば、本発明に係る筋力補助装置10は、マルチリンク部100、プロファイル調節部200及び弾性力提供部300を収容する胴体部400をさらに含んでよい。より詳しくは、胴体部400は、マルチリンク部100、プロファイル調節部200及び弾性力提供部300を収容する第1胴体410、及び第1胴体410に対して回転可能に結合される第2胴体420を含んでよい。例えば、第1胴体410及び第2胴体420は、前記中心Cに対して相対的に回転できるように互いにピボット結合されてよい。
【0034】
一例として、本発明に係る筋力補助装置10は、使用者の腕及び肩に装着され得、この際に筋力補助装置10は、前記中心Cが腕と肩が当接する関節領域に対向するように装着されてよく、第1胴体410は腕に装着されてよく、第2胴体420は肩に装着されてよい。
【0035】
したがって、本発明に係る筋力補助装置10は、腕の回転角度に応じて使用者に求められる筋力を補助する役割を行うことができる。すなわち、腕が回転することにより、第2胴体420に対して第1胴体410が中心Cに対してピボット回転する場合、複数のリンクがリンケージ結合されたマルチリンク部100の構造によってマルチリンク部100の前記他側と弾性力提供部300との間の相対的な位置が変わるようになる。よって、マルチリンク部100の前記他側と連結されている弾性力提供部300がマルチリンク部100に提供する弾性力もまた変わるようになるので、使用者の腕の回転角度に応じて中心Cで互いに異なる大きさの回転力を使用者に提供するようになる。
【0036】
したがって、本発明に係る筋力補助装置10で使用者に提供される回転力は、第1胴体410と第2胴体420との間の回転角度による関数関係と理解され得る。さらに、本発明に係る筋力補助装置は、別途の部品の交換など煩わしい作業なしに簡単な操作だけで第1胴体410と第2胴体420との間の回転角度による回転力が多様な種類の関数関係を有するようにできる。したがって、筋力補助装置を使用しようとする使用者にそれぞれ最適化された回転力を提供することができる。
【0037】
前記目的を達成するため、本発明に係る筋力補助装置10のプロファイル調節部200は、マルチリンク部100の前記一側の公転運動を選択的に許容または制限することができる。以下、前記目的を達成するための、本発明に係る筋力補助装置10のマルチリンク部100及びプロファイル調節部200の細部構成を説明する。
【0038】
図1及び図2に示すように、マルチリンク部100は、一側がプロファイル調節部200に結合される第1リンク110、及び一側が弾性力提供部300に結合される第2リンク120を含んでよい。
【0039】
一方、マルチリンク部100は、第1領域Z1が第1リンク110の他側に回転可能に結合され、第2領域Z2が第2リンク120の他側に回転可能に結合される第3リンク130をさらに含んでよい。すなわち、前述した第1から第3リンク110、120、130は、胴体部400内で胴体部400に対して相対的に移動可能に備えられてよい。
【0040】
引き続き図1及び図2を参考にすれば、マルチリンク部100は、一側が胴体部400に対して固定され、他側が第3リンク130の第1領域Z1に回転可能に結合される第4リンク140をさらに含んでよい。より詳しくは、第4リンク140の前記一側は、第1胴体410の内側に固定して結合されてよい。したがって、第1領域Z1では、第1リンク110、第3リンク130及び第4リンク140が共に結合されてよい。一方、第1リンク110は、図2に示すように、第4リンク140に向かって撓う形状を有してよいが、第1リンク110の具体的な形状は図2に示す内容のみに制限されない。
【0041】
また、マルチリンク部100は、一側が胴体部400に対して固定され、他側が第3リンク130の第3領域Z3に対して回転可能に結合される第5リンク150をさらに含んでよい。より詳しくは、第5リンク150の前記一側は、第1胴体410の内側に固定して結合されてよい。一方、第3リンク130は、前述したように第1から第3領域Z1、Z2、Z3を含んでよいが、より詳しくは、第3リンク130は図2に示すように、第1から第3領域Z1、Z2、Z3を隅角にして中央領域が空いている形状を有してよい。
【0042】
一方、図2を参考にすれば、本発明の第1実施形態によれば、プロファイル調節部200は一側が第1リンク110に結合され、中心Cに対して自転可能に結合して備えられる第1ギヤ210、及び第1ギヤ210と噛み合うように備えられる第2ギヤ220を含んでよい。したがって、第2ギヤ220が自転する場合、第2ギヤ220と噛み合っている第1ギヤ210は、中心Cを基準に自転することができる。
【0043】
また、プロファイル調節部200は第1ギヤ210に固定して結合され、中心Cに対して自転可能に備えられる第3ギヤ230をさらに含んでよい。すなわち、本発明の第1実施形態によれば、第1ギヤ210と第3ギヤ230は互いに対して固定されているので、中心Cに対して一体に自転運動をすることができる。より詳しくは、第1ギヤ210の外径の大きさは、第3ギヤ230の外径の大きさよりも大きくてよい。
【0044】
引き続き図2を参考にすれば、プロファイル調節部200は、第3ギヤ230の外側に備えられる歯車と干渉されることにより、第3ギヤ230の回転を制限するストッパ240をさらに含んでよい。
【0045】
前述した内容に基づき、本発明の第1実施形態による筋力補助装置10の作動方式を説明する。
【0046】
図3は、本発明の第1実施形態による筋力補助装置で第1胴体と第2胴体との間の回転による多様な駆動例示を示した図である。
【0047】
図3に示すように、筋力補助装置10を着用した使用者の動きによって第1胴体410が第2胴体420に対して相対的に回転する場合にも、第1リンク110のうち第1ギヤ210に結合された領域は、第1胴体410に対して固定されている。これは、プロファイル調節部に備えられているストッパ240が第3ギヤ230の歯車と干渉されることにより、第3ギヤ230及び第3ギヤ230に固定して結合されている第1ギヤ210の回転を制限しているためである。一方、第1リンク110の一側が第1ギヤ210に固定されていても、第1胴体410の第2胴体420に対する回転によってマルチリンク部100内の他のリンク等は、第1胴体410に対して相対的な移動をすることになる。それにより、弾性力提供部300が第2リンク120またはマルチリンク部100に提供する弾性力もまた変わるようになり、結果的に筋力補助装置10が使用者に提供する回転力もまた第1胴体410の第2胴体420に対する回転角度によって変わるようになる。例えば、図3の左側に示された筋力補助装置10は、筋力補助装置を着用した使用者が腕を上方に持ち上げた際の様子を示したものであり、図3の中央に示された筋力補助装置10は、使用者が腕を水平方向に持ち上げた際の様子を示したものであり、図3の右側に示された筋力補助装置10は、使用者が腕を下方に下ろした際の様子を示したものである。このとき、前述した内容を参考にすれば、本発明に係る筋力補助装置10は、使用者が腕を上方に持ち上げた際に筋力補助装置で形成される回転力、使用者が腕を水平方向に持ち上げた際に筋力補助装置で形成される回転力、及び使用者が腕を下方に下ろした際に筋力補助装置で形成される回転力は互いに異なることがある。特に、後述するように、本発明によれば、使用者が腕を持ち上げる角度が同一であるとしても、プロファイル調節部での操作により筋力補助装置で形成される回転力は変わり得る。
【0048】
図4から図7は、本発明の第1実施形態による筋力補助装置でプロファイル調節部を用いて回転力のプロファイルを調節する多様な駆動例示を示した図である。
【0049】
図4から図7を参考にすれば、使用者がストッパ240を操作してストッパ240と第3ギヤ230との間の干渉を解除した後、第2ギヤ220を回転させると、第2ギヤ220と固定して結合されている第1ギヤ210が中心Cに対して自転するようになる。このとき、第1ギヤ210は、第1リンク110の一側と固定して結合されているので、第1リンク110の一側もまた中心Cに対して公転するようになる。第1リンク110の一側が中心Cに対して公転することにより、マルチリンク部100内のリンク間の結合構造によって第2リンク120と弾性力提供部300との間の相対的な位置が変わるようになる。よって、図4から図7に示すように、第1胴体410と第2胴体420との間の回転角度が変わらなくても、中心Cで筋力補助装置が使用者に加える回転力が変わるようになる。したがって、本発明によれば、筋力補助装置を使用しようとする使用者に最適化された回転力を提供することができる。
【0050】
図8は、本発明に係る筋力補助装置によって形成され得る多様な種類の回転角度-回転力関数関係の例示を示したグラフである。
【0051】
図8のx軸は、第1胴体410と第2胴体420との間の回転角度であり、y軸は、筋力補助装置が使用者に提供する回転力の大きさを示す。図8に示すように、初期位置(initial position)で設定された回転角度と回転力との関係が使用者の要求と合わない場合、第2ギヤ220を介して第1ギヤ210を回転させることにより、図8のグラフをx軸に水平方向に平行移動させることができる。
【0052】
例えば、20度から30度の回転角度範囲で使用者に提供される回転力が最大(図8のinitial positionとして示されたグラフ参照)に調節されていた筋力補助装置の第1ギヤ210を回転させることにより、-10度から0度の回転角度範囲で使用者に提供される回転力が最大(図8のIとして示されたグラフ参照)になるように筋力補助装置の回転力を調節することができる。
【0053】
前述した内容を総合すれば、本発明によれば、プロファイル調節部200、すなわち、第1ギヤ210が自転することにより、第1リンク110の一側が中心Cに対して公転運動をし、それにより第2リンク120の一側もまた移動するようになるので、弾性力提供部300がマルチリンク部100に加える力が変化し得る。特に、本発明によれば、第1胴体410と第2胴体420との間の回転角度がそのまま維持された状態でも、第1リンク110の一側が中心Cに対して公転運動をすることができるので、使用者の腕の回転角度が同一である場合にも筋力補助装置が使用者に提供する回転力が互いに変わり得るように、回転角度と回転力との関係を調節することができる。
【0054】
再び図2を参考にすれば、本発明に係る筋力補助装置10は、一側が胴体部400に対して回転可能に結合され、他側が弾性力提供部300、すなわち、ばね310に結合されるエンドリンク部500をさらに含んでよい。このとき、弾性力提供部300に備えられる複数のばね310の一側は、それぞれ第2リンク120の前記他側に結合されてよい。
【0055】
また、図2に示すように、本発明によれば、第3ギヤ230の周縁のうち第1ギヤ210と第1リンク110が互いに結合される領域には中心Cに向かう方向に湾入された形状を有する湾入部232が備えられてよい。湾入部232は、第1ギヤ210と第1リンク110との間の結合領域で第3ギヤ230が干渉することを防止するための構成であってよい。
【0056】
一方、ストッパ240は、一つの構成が第3ギヤ230に向かって前進または後進して第3ギヤ230の周縁に備えられた歯車と干渉するか、歯車から離隔されることにより、第3ギヤ230との干渉の可否を制御することができる。
【0057】
図9は、本発明の第2実施形態による筋力補助装置におけるプロファイル調節部を拡大して示した図である。下記では、本発明の第1実施形態との相違点を中心に本発明の第2実施形態による筋力補助装置を説明する。
【0058】
図9に示すように、本発明の第2実施形態によれば、プロファイル調節部200は、一側が第1リンク110に結合され、中心Cに対して自転可能に備えられる第1プーリ250、第1プーリ250から離隔されるように備えられる第2プーリ260、及び第1プーリ250と第2プーリ260の外側を覆うように備えられるベルト270を含んでよい。
【0059】
本発明の第2実施形態によれば、使用者は、第2プーリ260を回転してベルト270を移動させることにより、第1プーリ250を回転させることができ、それにより前述した回転角度と回転力との関係を調節することができる。湾入部232を始めとした他の構成に対する内容及び筋力補助装置の作動原理に対する内容は、本発明の第1実施形態に対して前述した内容をもって代える。
【0060】
図10は、本発明の第3実施形態による筋力補助装置でプロファイル調節部を拡大して示した図である。
【0061】
図10に示すように、本発明の第3実施形態によれば、プロファイル調節部200は、第1ギヤ210及び第1ギヤ210と噛み合うように備えられるワーム(worm)280を含んでよい。
【0062】
本発明の第3実施形態によれば、使用者はワーム280を回転させることにより、第1ギヤ210を回転させることができ、それにより前述した回転角度と回転力との関係を調節することができる。湾入部232を始めとした他の構成に対する内容及び筋力補助装置の作動原理に対する内容は、本発明の第1実施形態に対して前述した内容をもって代える。
【0063】
図11は、本発明に係る筋力補助装置の他の例を示した図である。
【0064】
本発明に係る筋力補助装置の回転力を調節することは手動で行われてもよいが、別途の動力源を用いて自動で行われてもよい。例えば、本発明の第1実施形態による第2ギヤ220(図2参照)、本発明の第2実施形態による第2プーリ260、(図9参照)、及び本発明の第3実施形態によるワーム280(図10参照)の駆動は使用者によって手動で行われてもよいが、別途の動力源によって自動で行われてもよい。
【0065】
より詳しくは、図11を参考にすれば、本発明に係る筋力補助装置10は、プロファイル調節部200(図1など参照)に動力を提供する動力提供部600をさらに含んでよい。より詳しくは、動力提供部600は、プロファイル調節部に備えられる第2ギヤ220(図2参照)、第2プーリ260(図9参照)またはワーム280(図10)に回転力を提供する動力提供部600をさらに含んでよい。動力提供部600は、例えば、電気モータであってよいが、動力提供部には多様な形態の動力源が適用されてもよい。本発明の他の例によれば、プロファイル調節部200(図1など参照)のうち一部が動力提供部600によって自転すると、マルチリンク部100(図1など)の一側は前記中心に対して公転運動ができるように備えられてよい。
【0066】
図12は、本発明に係る筋力補助装置のまた他の例を示した図である。
【0067】
図12に示すように、本発明に係る筋力補助装置10は、胴体部400の一側に備えられる支持部700をさらに含んでよい。支持部700は、使用者の腕を支持する構成であってよい。
【0068】
また、筋力補助装置10は、支持部700の内側面に備えられて圧力を感知する圧力センサ710をさらに含んでよい。前述したように、支持部700は、使用者の腕を支持する構成であってよいので、圧力センサ710は使用者の腕によって加えられる圧力を測定することができる。したがって、圧力センサ710は、作業過程で使用者の腕に加えられる荷重をリアルタイムで測定することができる。
【0069】
一方、筋力補助装置10は、圧力センサ710に加えられた圧力の大きさに応じて動力提供部の駆動を制御する制御部(図示せず)をさらに含んでよい。したがって、本発明によれば、圧力センサ710は、使用者の腕に加えられる荷重をリアルタイムで測定した後、それに対する情報を制御部に伝送することができ、制御部は荷重に対する情報に基づいて動力提供部600の駆動を制御し、使用者に求められる回転力をリアルタイムで調節することができる。
【0070】
以上で本発明は、たとえ限定された実施形態と図面によって説明されたとしても、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な実施が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
10:筋力補助装置
100:マルチリンク部
110:第1リンク
120:第2リンク
130:第3リンク
140:第4リンク
150:第5リンク
200:プロファイル調節部
210:第1ギヤ
220:第2ギヤ
230:第3ギヤ
232:湾入部
240:ストッパ
250:第1プーリ
260:第2プーリ
270:ベルト
280:ワーム
300:弾性力提供部
310:ばね
400:胴体部
410:第1胴体
420:第2胴体
500:エンドリンク部
600:動力提供部
700:支持部
710:圧力センサ
C:中心
Z1:第1領域
Z2:第2領域
Z3:第3領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12