(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008243
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ロック機構及びそれを含むバスダクト分岐ボックス
(51)【国際特許分類】
H02G 5/06 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
H02G5/06 311V
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104693
(22)【出願日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】202010588139.8
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】594083128
【氏名又は名称】シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン シキ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジェンリャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ザオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュレスタ スーマン
(72)【発明者】
【氏名】ロン ジャンビン
(72)【発明者】
【氏名】ソン シェンフェン
【テーマコード(参考)】
5G365
【Fターム(参考)】
5G365CC04
5G365CC09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バスダクト分岐ボックスが取り付けられにくいと言う欠点を克服できるバスダクト分岐ボックスを提供する。
【解決手段】係合される構造とロックするためのロック機構に関し、該ロック機構は、駆動方向に移動可能な駆動部材と、駆動方向に対して軸対称に設けられ、駆動部材により駆動されて前記駆動方向に対して横方向又は傾斜になるそれぞれの従動方向に沿って互いに接近又は離間して移動するように駆動部材1と連結される第1従動部材2A及び第2従動部材2Bのそれぞれの従動部材スライドレールは、対応する駆動部材スライドレール及び第2従動部材と、駆動部材を前記駆動方向に移動させるように駆動部材と連結されるアクチュエータハンドル3と、を含む。さらに、一側又は両側に設けられる前記ロック機構を含み、前記ロック機構を介して前記係合される構造であるバスダクトに係合できるバスダクト分岐ボックスにさらに関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合される構造と一体にロックするためのロック機構であって、
駆動方向に移動可能な駆動部材(1)と、
前記駆動方向に対して軸対称に設けられ、前記駆動部材(1)により駆動されて前記駆動方向に対して横方向又は傾斜になるそれぞれの従動方向に沿って互いに接近又は離間して移動するように前記駆動部材(1)と連結される第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)と、
前記駆動部材(1)を前記駆動方向に移動させるように前記駆動部材(1)と連結されるアクチュエータハンドル(3)と、を含む、ロック機構。
【請求項2】
前記駆動部材(1)は、前記駆動方向に対して軸対称であり且つ傾斜する2つの駆動部材スライドレール(11)を含み、第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)は、前記駆動方向に対して傾斜する1つの従動部材スライドレール(21)をそれぞれ含み、前記従動部材スライドレール(21)はそれぞれ、対応する駆動部材スライドレール(11)と嵌装される、請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)は、第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)に互いに接近させる力をかけるように配置されるばね(22)を介して接続され、請求項1に記載のロック機構。
【請求項4】
第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)は、前記係合される構造と係合するための係合爪(23)を含む、請求項1に記載のロック機構。
【請求項5】
カバープレートをさらに含み、
第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)はそれぞれの従動方向と平行して設けられたガイドチャンネルをそれぞれ含み、
前記カバープレートには、突出部(41)が設けられており、該突出部(41)は、第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)がそれぞれの従動方向に沿って対応する突出部(41)を摺動可能とするように第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)のガイドチャンネル(24)内にそれぞれ係合される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のロック機構。
【請求項6】
第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)のガイドチャンネル(24)は長円形貫通孔であり、前記突出部(41)は該長円形貫通孔を貫通する突柱である、請求項5に記載のロック機構。
【請求項7】
ロック機構のカバープレートに設けられ且つ制限柱(51)を含むトリガースイッチ(5)をさらに含み、前記係合される構造は、トリガースイッチ(5)と接触してトリガースイッチ(5)を移動可能となり、
第1従動部材(2A)及び/又は第2従動部材(2B)は制限突起(25)を含み、
前記制限柱(51)はストッパ面(511)を含み、前記制限突起(25)はストッパ面(251)を含み、
制限柱(51)のストッパ面(511)が制限突起(25)のストッパ面(251)に面するとき、制限柱は第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)が従動方向に沿って互いに接近して移動することを阻止する制限位置にある、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のロック機構。
【請求項8】
トリガースイッチ(5)は制限柱(51)と接続されるリターンばね(52)をさらに含み、該リターンばねは制限柱(51)に制限位置に向かう力をかけるように配置される、請求項7に記載のロック機構。
【請求項9】
制限柱(51)はガイド面(512)を含み、制限突起(25)はガイド面(252)を含み、
制限柱(51)のガイド面(512)及び制限突起(25)のガイド面(252)は対応する従動方向と平行するように配置され、
制限柱(51)のガイド面(512)が制限突起(25)のガイド面(252)に面して接触するとき、制限柱は第1従動部材(2A)及び第2従動部材(2B)がそれぞれの従動方向に沿って互いに離間して移動することを許可する非制限位置にある、請求項8に記載のロック機構。
【請求項10】
アクチュエータハンドル(3)は連結ロッド(31)を介して駆動部材(1)と連結され、アクチュエータハンドル(3)は摺動又は回転することで連結ロッド(31)を移動させて前記駆動部材を駆動する、請求項1に記載のロック機構。
【請求項11】
アクチュエータハンドル(3)は締まり嵌め構造を含み、アクチュエータハンドル(3)は駆動部材(1)を駆動し始める時に、締まり嵌めを克服してから移動する、請求項1に記載のロック機構。
【請求項12】
アクチュエータハンドル(3)は、内部に配置され、アクチュエータハンドル(3)をセルフロック位置にロックできるセルフロックばね(35)を含む請求項1に記載のロック機構。
【請求項13】
バスダクト分岐ボックス(X)であって、一側又は両側に設けられる請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のロック機構を含み、前記ロック機構を介して前記係合される構造であるバスダクト(Y)に係合できる、バスダクト分岐ボックス(X)。
【請求項14】
バスダクト分岐ボックス(X)を前記バスダクト(Y)に沿って移動させるようにガイドするガイドプレート(G)をさらに含む、請求項13に記載のバスダクト分岐ボックス(X)。
【請求項15】
前記バスダクト(Y)の専用スロット(S)にしか挿入できないように配置される保護板(P)をさらに含む、請求項13又は請求項14に記載のバスダクト分岐ボックス(X)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロック機構に関し、さらに該ロック機構を含むバスダクト分岐ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、データセンタ向けの様々なレール式バスが存在しており、それは対応するバスダクトを有し、様々な機能を実現するために、分岐ボックスをバスダクトに取り付ける必要がある場合がある。しかし、従来のバスダクト分岐ボックスは取り付けられにくく、追加のツールが必要であったり、位置を手動で調整する必要であったり、複数の人が協力する必要がある。従って、上記欠点を克服できるバスダクト分岐ボックスが提供されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記目的を実現するために、本発明はロック機構を提供し、該ロック機構は、例えば、バスダクト分岐ボックスに取り付けることができて、バスダクト分岐ボックスをバスダクトに係合しやすくなる。本発明はバスダクト分岐ボックスをさらに提供する。
【0004】
本発明の第1態様によれば、係合される構造とロックされるためのロック機構を提供し、該ロック機構は、駆動方向に移動可能な駆動部材と、駆動方向に対して軸対称に設けられ、駆動部材により駆動されて前記駆動方向に対して横方向又は傾斜になるそれぞれの従動方向に沿って互いに接近又は離間して移動するように駆動部材と連結される第1従動部材及び第2従動部材と、駆動部材を前記駆動方向に移動させるように駆動部材と連結するアクチュエータハンドルと、を含む。
【0005】
さらに、ロック機構において、駆動部材は、駆動方向に対して軸対称であり且つ傾斜する2つの駆動部材スライドレールを含み、第1従動部材及び第2従動部材は、駆動方向に対して傾斜する1つの従動部材スライドレールをそれぞれ含み、従動部材スライドレールが対応する駆動部材スライドレールとそれぞれ嵌装される。
【0006】
さらに、ロック機構において、第1従動部材及び第2従動部材は、第1従動部材及び第2従動部材に対して互いに接近させる力をかけるように配置されるばねを介して接続されている。
【0007】
さらに、ロック機構において、第1従動部材及び第2従動部材は、前記係合される構造と係合するための係合爪を含む。
【0008】
さらに、ロック機構において、カバープレートをさらに含み、第1従動部材及び第2従動部材はそれぞれの従動方向と平行して設けられたガイドチャンネルをそれぞれ含み、前記カバープレートに突出部が設けられており、該突出部は第1従動部材及び第2従動部材がそれぞれの従動方向に沿って対応する突出部を摺動可能とするように、第1従動部材及び第2従動部材のガイドチャンネル内にそれぞれ係合される。
【0009】
さらに、ロック機構において、第1従動部材及び第2従動部材のガイドチャンネルは長円形貫通孔であり、前記突出部は該長円形貫通孔を貫通する突柱である。
【0010】
さらに、ロック機構において、ロック機構のカバープレートに設けられ且つ制限柱を含むトリガースイッチをさらに含み、前記係合される構造は、トリガースイッチと接触してトリガースイッチを移動可能に構成され、第1従動部材及び/又は第2従動部材は制限突起を含み、前記制限柱はストッパ面を含み、前記制限突起はストッパ面を含み、制限柱のストッパ面が制限突起のストッパ面に面するとき、制限柱は第1従動部材及び第2従動部材が従動方向に沿って互いに接近して移動することを阻止する制限位置にある。
【0011】
さらに、ロック機構において、トリガースイッチは制限柱と接続されるリターンばねをさらに含み、該リターンばねは制限柱に制限位置に向かう力をかけるように配置される。
【0012】
さらに、ロック機構において、制限柱はガイド面を含み、制限突起はガイド面を含み、制限柱のガイド面及び制限突起のガイド面は対応する従動方向と平行するように配置され、制限柱のガイド面が制限突起のガイド面に面して接触するとき、制限柱は第1従動部材及び第2従動部材がそれぞれの従動方向に沿って互いに離間して移動することを許可する非制限位置にある。
【0013】
さらに、ロック機構において、アクチュエータハンドルは連結ロッドを介して駆動部材と連結され、アクチュエータハンドルは摺動又は回転することで連結ロッドを移動させて、前記駆動部材を駆動する。
【0014】
さらに、ロック機構において、アクチュエータハンドルは締まり嵌め構造を含み、アクチュエータハンドルは駆動部材を駆動し始める時に、締まり嵌めを克服してから移動する。
【0015】
さらに、ロック機構において、アクチュエータハンドルはその内部に配置されるセルフロックばねを含み、該セルフロックばねはアクチュエータハンドルをセルフロック位置にロックできる。
【0016】
本発明の第2態様は、一側又は両側に設けられる前記ロック機構を含み、前記ロック機構を介して前記係合される構造であるバスダクトに係合可能とされるバスダクト分岐ボックスを提供する。
【0017】
さらに、バスダクト分岐ボックスは、バスダクト分岐ボックスを前記バスダクトに沿って移動させるようにガイドするガイドプレートをさらに含む。
【0018】
さらに、バスダクト分岐ボックスは、前記バスダクトの専用スロットにしか挿入できないように配置される保護板をさらに含む。
【0019】
本発明のロック機構及び該ロック機構を応用したバスダクト分岐ボックスは複数の利点を有し、例えば、1)ロック機構全体は安全で信頼でき、操作しやすく、任意の位置で挿入でき、追加の取付ツールを必要とせず、一人で取り付けることを実現でき、簡単で効率的であり、2)保護板を有し、逆に取り付けられることを防止する設計として、事故を回避し、安全で信頼でき、3)アクチュエータハンドルはセルフロック機能を有し、トリガースイッチは着脱過程において自動的に開閉し、係合爪は自動的にバスダクトを押し付けることができる。当業者は、該ロック機構が任意の他の物体を係合される構造に係合することに用いてもよいことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るロック機構及び該ロック機構を含むバスダクト分岐ボックスの図である。
【
図3】本発明に係るロック機構の部分拡大図である。
【
図4】本発明に係るロック機構の部分拡大図である。
【
図7】本発明に係るロック機構を含むバスダクト分岐ボックスの図である。
【
図8】本発明に係るバスダクト分岐ボックスの図であり、トリガースイッチが押圧された状況を示す。
【
図9】本発明に係るバスダクト分岐ボックスの図であり、保護板がバスダクトにより止められていない状況を示す。
【
図10】バスダクトと本発明に係るバスダクト分岐ボックスを係合する前の図である。
【
図11】バスダクトと本発明に係るバスダクト分岐ボックスを係合した後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明はロック機構を提供し、該ロック機構はバスダクト分岐ボックスXの両側に取り付けられることができて、バスダクト分岐ボックスXをバスダクトYに掛着するようにする。該ロック構造は、他の物体を任意の構造に掛着して該物体を係合される構造とロックすることに用いることもできるのを理解すべきである。
【0022】
図1及び2に示すように、好ましい実施例に係るロック機構は主に、駆動部材1と、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bと、アクチュエータハンドル3と、を含む。
【0023】
駆動部材1は駆動方向に移動可能とされる。該駆動方向は、例えば、図面に示される垂直方向D1である。
【0024】
第1従動部材2A及び第2従動部材2Bは、駆動方向に対して軸対称に設けられ且つ駆動部材1と連結されて、駆動部材1により駆動されてそれぞれの従動方向に沿って互いに接近又は離間して移動するようにする。前記従動方向は前記駆動方向に対して横方向又は傾斜になる。ここで、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bのそれぞれの従動方向は、例えば、垂直方向に対して横方向になる水平方向であり、又は本発明の好ましい実施例では駆動方向D1に対してそれぞれ右及び左へ傾斜する方向D2A及びD2Bであり(図面に示される)、従動方向D2Aは第1従動部材2Aに対応し、従動方向D2Bは第2従動部材2Bに対応する。なお、駆動部材は駆動方向に往復移動可能とされ、そして、2つの従動部材もそれぞれの従動方向に往復移動可能とされる。
【0025】
アクチュエータハンドル3は、駆動部材1を前記駆動方向に移動させるように駆動部材1と連結される。
【0026】
なお、異なる応用場面に応じて、駆動方向及び従動方向は本明細書の記載とは異なってもよく、ロック機構が係合する構造に基づいて特定されるべきであり、例えば、ロック機構がある構造と水平に係合される場合、駆動方向は水平方向になる。
【0027】
好ましい実施例によれば、
図2及び3に示すように、駆動部材1は、駆動方向に対して軸対称であり且つ傾斜する2つの駆動部材スライドレール11を含む。これに伴い、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bは、駆動方向に対して傾斜する1つの従動部材スライドレール21をそれぞれ含む。第1従動部材2A及び第2従動部材2Bのそれぞれの従動部材スライドレール21は、対応する駆動部材スライドレール11とそれぞれ嵌装される。具体的には、スライドレール11及び21のそれぞれは、具体的にグルーヴ及びフランジを含んでもよく、スライドレール21のフランジがスライドレール11のグルーヴに嵌合され、スライドレール11のフランジがスライドレール21のグルーヴに嵌合される。
図3の角形拡大部分は、駆動部材スライドレール11の一方と第1従動部材2Aの従動部材スライドレール21との嵌装を示している。
【0028】
さらに、駆動部材スライドレール11及び従動部材スライドレール21の傾斜方向は、駆動部材1が駆動方向に沿って移動するとき、駆動部材スライドレール11が従動部材スライドレール21を摺動して、従動部材スライドレール21を推進し、さらに第1従動部材2A及び第2従動部材2Bを互いに接近又は離間して移動するように推進するように設定される。
【0029】
好ましい実施例では、駆動部材スライドレール11及び従動部材スライドレール21によって駆動部材1による第1従動部材2A及び第2従動部材2Bへの駆動を実現することにより、簡単で信頼できる駆動方式を提供しているが、他の手段、例えば、それらの間に設けられたギア駆動機構、リンク駆動機構等によって駆動部材1による2つの従動部材2A及び2Bへの駆動を実現してもよく、駆動部材1による2つの従動部材2A及び2Bへの上記駆動を実現すればよいと理解すべきである。
【0030】
さらに好ましくは、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bはばね22を介して接続されてもよい。該ばね22は第1従動部材2A及び第2従動部材2Bに対して互いに接近させる力をかけることができる。具体的には、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bがそれぞれの従動方向に沿って互いに離間して移動するとき、ばね22は常に第1従動部材2A及び第2従動部材2B間に引張力をかけて、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bに互いに接近して移動する傾向を有させる。それにより、後述するトリガースイッチ5による制限が解除されるとき、ばね22は自動的に第1従動部材2A及び第2従動部材2Bを互いに接近するように引っ張ることができ、そして、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bは駆動部材1を、駆動方向に沿って下向きに移動させるように推進することができる。
【0031】
好ましくは、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bは、係合される構造と係合するための係合爪23をそれぞれ含んでもよい。係合爪23は、
図2に示すように、例えば、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bのエンド端に設けられる。さらに、係合される構造の対応する部分と係合するために、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bの端部以外の他の位置に他の係合爪又は係合部を設けてもよい。
【0032】
好ましくは、ロック機構は、カバープレート、例えば、リアカバープレート4及びフロントカバープレート6をさらに含む。なお、フロントカバープレート4及びリアカバープレート6はロック機構の様々な部材を覆って収容するためのハウジングとして統合されてもよい。
【0033】
好ましい実施例によれば、例えば、前記リアカバープレート4には、例えば、突柱41である突出部41が設けられている。第1従動部材2A及び第2従動部材2Bはそれぞれの従動方向と平行して設けられたガイドチャンネル24をそれぞれ含み、該ガイドチャンネルは、
図2に示すように、例えば、長い貫通孔24である。該突出部41はそれぞれ第1従動部材2A及び第2従動部材2Bのガイドチャンネル24内に係合されて、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bがそれぞれの従動方向に沿って対応する突出部41を摺動できるようにする。示される実施例では、突柱41は第1従動部材2A及び第2従動部材2Bの長い貫通孔24を貫通して、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bが従動方向に沿って突柱41を摺動できるようにする。
【0034】
長い貫通孔24がこのように配置されるため、駆動部材1が駆動方向に沿って第1従動部材2A及び第2従動部材2Bを駆動する場合、2つの従動部材2A及び2Bは長い貫通孔24及び内部の突柱41のガイド作用でそれぞれの従動方向に沿って互いに離間するが、2つの従動部材2A及び2Bはばね22により引っ張られる場合、2つの従動部材2A及び2Bが長い貫通孔24及び突柱41によりガイドされて互いに接近して移動する。
【0035】
好ましくは、各長い貫通孔24は長円形貫通孔であり、突出部41は突柱41であり、且つ各長い貫通孔24内に2つの突柱41が収容されている。なお、各突柱41はフロントカバープレート6と接続されてもよい。例えば、好ましくは、突柱41はナットコラムであり、リアカバープレート4及び/又はフロントカバープレート6に螺合可能とされる。
【0036】
示される実施例では、長円形貫通孔と突柱とを合わせて、従動部材を互いに離間/接近して移動させるようにガイドするが、当業者はその原理を理解した後、他の構造を用いてこのようなガイド作用を実現してもよく、例えば、ガイドチャンネル及び突出部は、あり溝とほぞの嵌合構造を用いてもよい。
【0037】
また、本発明の好ましい実施例のように、各従動部材の従動方向が駆動方向に対して傾斜する(横方向ではない)ように設定される場合、2つの従動部材2A及び2Bはばね22による力が加えられるため、両者は常に従動方向に沿って傾斜下向きに移動する傾向がある。このようにして、係合される構造に傾斜下向きの押圧力が掛けられて、ロック機構と前記係合される構造との係合をよりよく確保して、抜けないようにする。
【0038】
さらなる好ましい実施例によれば、ロック機構はトリガースイッチ5をさらに含む。
図3及び
図4の円形拡大図及び
図5に示すように、トリガースイッチ5は、ロック機構のリアカバープレート4に設けられて、制限柱51を含んでもよい。これに伴い、第1従動部材2A及び/又は第2従動部材2Bは制限突起25を含んでもよく、示される実施例では、第1従動部材2Aの制限突起25のみが示されている。他の実施例では、第2制限部材2Aに制限突起を設け、これに伴ってトリガースイッチ5を設けるようにしてもよい。さらなる実施例では、第1従動部材2A及び第2従動部材2Aにそれぞれ制限突起25を設け、これに伴って2つのトリガースイッチ5を設けるようにしてもよい。
【0039】
本実施例では、制限柱51はストッパ面511を含み、制限突起25はストッパ面251を含む。制限柱51のストッパ面511が制限突起25のストッパ面251に面するとき、制限柱51は第1従動部材2A及び第2従動部材2Bが従動方向に沿って互いに接近して移動することを阻止する制限位置(
図4に示される位置)にある。つまり、制限位置では、駆動部材1又は他の外力が2つの従動部材2A及び2Bに作用しても、従動部材2A及び2Bが互いに接近して移動せず、事故を回避する。
【0040】
明確にするために、
図4における制限柱51のストッパ面511及び制限突起25のストッパ面251は間隔をおいて示されているが、本実施例では、ばね22が常に第1従動部材2A及び第2従動部材2Bに対して、互いに向かって引き付ける力をかけるため、制限突起25のストッパ面251が制限柱51のストッパ面511を押し付けて、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bが互いに接近して移動することを阻止する。
【0041】
さらに好ましくは、トリガースイッチ5は制限柱51と接続されるリターンばね52をさらに含み、該リターンばね52は制限柱51に制限位置に向かう力をかける。
【0042】
さらに、該トリガースイッチ5はさらに、係合される構造によって駆動されるように配置される。
図3、4及び
図7~9に示すように、例えばバスダクトYのような構造がトリガースイッチ5の制限柱51のトップ部に接触してそれを下向きに押圧すると、トリガースイッチ5は、制限柱51のストッパ面511が制限突起25のストッパ面251から離れるまでリターンばね52のばね力を抗して下向きに移動し、制限柱51による制限突起25への制限が解除されて、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bがばね22のばね力(又は駆動部材1の駆動)で互いに接近して移動し、係合される構造(例えばバスダクトY)に係合される。
【0043】
さらに好ましくは、制限柱51はガイド面512を含んでもよく、制限突起25もガイド面252を含んでもよい。好ましくは、ガイド面512及びガイド面252は、例えば、図面に示すように、対応する従動方向と平行するように配置されてもよい。換言すれば、ガイド面512及びガイド面252は、トリガースイッチ5が位置する側の従動部材(図面において第1従動部材2Aであり、もちろん、第2従動部材2Bであってもよい)の従動方向と略平行するように配置され、さらに、対応するガイドチャンネルの傾斜方向と一致するとも言える。
【0044】
このように配置されるため、本実施例では、トリガースイッチ5が係合される構造により押圧され且つ第1従動部材2A及び第2従動部材2Bが前記構造に係合された後、リターンばね52は制限柱51に制限位置に向かう力を掛けて、制限柱51のガイド面512と制限突起25のガイド面252を互いに対向して接触させる。この時に制限柱51は非制限位置にある。ユーザーが後述するアクチュエータハンドル3を介して駆動部材1を駆動方向に沿って移動させる場合、駆動部材1が上記のように第1従動部材2A及び第2従動部材2Bを互いに離間して移動させる。制限柱51のガイド面512と制限突起25のガイド面252は、上記のように配置されるため、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bがスムーズにそれぞれの従動方向に沿って互いに離間して移動することを許可する。
【0045】
図5にはトリガースイッチ5の1つの好ましい構造が示されており、固定部材53を介してロック機構のリアカバープレート4に取り付けられ、固定部材53は制限柱51及びばね52を収容するためのキャビティを含む。さらに、制限柱51のストッパ面511及びガイド面512は固定部材53の開口から露出して、それぞれが制限位置又は非制限位置で制限突起25のストッパ面251及びガイド面252に当接する。なお、トリガースイッチはフロントカバープレート6に固定されてもよく、これに伴い、従動部材の制限突起を変更すればよい。
【0046】
当業者は上記原理を理解した後、トリガースイッチ及び従動部材の制限構造の他の形態を設計できる。
【0047】
次に、
図6を参照してアクチュエータハンドル3を説明する。アクチュエータハンドル3は、駆動部材1と連結される連結ロッド31を含み、好ましい実施例では、アクチュエータハンドル3は回転することで連結ロッド31を移動させる。具体的には、アクチュエータハンドル3は回転軸32の周りで枢動可能にフロントカバープレート6に固定される。ユーザーがアクチュエータハンドル3を上向きに枢動させるとき、連結ロッド31は駆動部材1を駆動方向に沿って移動させるように連動する。なお、アクチュエータハンドル3の目的は駆動部材1を駆動方向に沿って移動させることであり、従って、該目的を実現すれば、アクチュエータハンドル3を、例えば直線に沿って摺動する構造に変形してもよい。
【0048】
好ましくは、アクチュエータハンドル3は内部に配置されるセルフロックばね35を含んでもよく、該セルフロックばねはアクチュエータハンドル3をセルフロック位置にロックできる。ハンドルが内側へ閉位置に回転するとき、ばね力でアクチュエータハンドル3はセルフロック状態にあり、それにより、作動状態で揺れたり跳ねたりしない。
【0049】
好ましくは、アクチュエータハンドル3は、締まり嵌め構造を含んでもよく、
図6の拡大図に示すように、アクチュエータハンドル3の固定部材33は孔又は凹部331を有し、アクチュエータハンドル3は突出ヘッド34を有しており、突出ヘッド34が該孔又は凹部331内に位置すると、それらは締まり嵌め構造を構成する。従って、アクチュエータハンドル3は駆動部材1を駆動し始める時に、該締まり嵌めを克服してから移動する。このように配置することで、ミスタッチ及び偶発的な振動によるアクチュエータハンドルの跳ね等の状況を効果的に防止し、さらに機構の安定性及び安全性を向上させることができる。
【0050】
次に、
図7~11を参照して本発明に係るロック機構の1つの好ましい応用を説明する。
【0051】
図7に示すように、バスダクト分岐ボックスXは一側又は両側に設けられる本発明のロック機構を含み、バスダクト分岐ボックスXは前記ロック機構を介してバスダクトYに係合でき、バスダクトYは上記の係合される構造である。
【0052】
図7にはバスダクト分岐ボックスXの取り付け前の状態が示されており、トリガースイッチ5(該実施例では、トリガースイッチ5は第2従動部材2Bと相互作用するように配置されている)は制限位置にあり、従って、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bは互いに離間する状態にあり且つ互いに接近するように移動できない。
【0053】
図8にはバスダクト分岐ボックスXがバスダクトYに取り付けられたことが示されており、バスダクトYの底部がトリガースイッチ5を押圧して、トリガースイッチ5による制限が解除され、第1従動部材2A及び第2従動部材2Bがばね22のばね力で自動的に互いに接近して移動し、係合爪23がバスダクトYの対応する構造に係合されて、バスダクト分岐ボックスXがバスダクトYの下方にロックして掛着される。
【0054】
好ましくは、バスダクト分岐ボックスXはガイドプレートGを含んでもよく、該ガイドプレートGは、バスダクト分岐ボックスXをバスダクトYに沿って移動させるようにガイドできる。それにより、バスダクト分岐ボックスXがスムーズにバスダクトYと係合することに有利である。
【0055】
好ましくは、バスダクト分岐ボックスXは保護板Pを含んでもよく、該保護板Pは、例えば、バスダクト分岐ボックスXのトップ部に設けられ、且つバスダクトYの専用スロットSにしか挿入できない。
図9にはバスダクト分岐ボックスXがバスダクトYと間違って位置合わせする状況が示されており、保護板PがバスダクトYの底部により止められて、バスダクト分岐ボックスXの各端子がバスダクトYの対応するスロットにさらに挿入できなくなり(バスダクト分岐ボックスXが逆に取り付けられたことも示されている)、それにより、事故を回避する。保護板PのバスダクトYの専用スロットSに挿入可能な場合のみ、バスダクト分岐ボックスXの各端子はバスダクトYの対応するスロットにさらに挿入可能とされている。
【0056】
図10及び11にはバスダクト分岐ボックスXとバスダクトYとの係合過程が示されている。
図10においては、アクチュエータハンドルが上向きに回転されて、第1従動部材及び第2従動部材を互いに離間させてバスダクトYと係合する準備完了するように、駆動部材を移動させるように連動し、且つ、トリガースイッチ5がポップアップされて、制限位置にある。
図11においては、バスダクト分岐ボックスXがバスダクトYに挿入された状況が示されており、第1従動部材及び第2従動部材が互いに接近して移動した後に係合爪を介してバスダクトYに係合され、アクチュエータハンドルが戻り且つ位置をロックして、バスダクト分岐ボックスXがバスダクトYの下方にロックして掛着される。
【0057】
本発明のロック機構及び該ロック機構を応用したバスダクト分岐ボックスは複数の利点を有し、例えば、1)ロック機構全体は安全で信頼でき、操作しやすく、任意の位置で挿入でき、追加の取付ツールを必要とせず、一人で取り付けることを実現でき、簡単で効率的であり、2)保護板を有し、逆に取り付けられることを防止する設計として、事故を回避し、安全で信頼でき、3)アクチュエータハンドルはセルフロック機能を有し、トリガースイッチは着脱過程において自動的に開閉し、係合爪は自動的にバスダクトを押し付けることができる。当業者は、該ロック機構が任意の他の物体を係合される構造に係合することに用いてもよいことを理解すべきである。