(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082456
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】タービンブレードシュラウドの剛性カップリングおよび振動減衰
(51)【国際特許分類】
F01D 5/16 20060101AFI20220525BHJP
F01D 25/06 20060101ALI20220525BHJP
F01D 5/20 20060101ALI20220525BHJP
F01D 11/12 20060101ALI20220525BHJP
F02C 7/28 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
F01D5/16
F01D25/06
F01D5/20
F01D11/12
F02C7/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188243
(22)【出願日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】16/953,633
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391020182
【氏名又は名称】ソウラー タービンズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SOLAR TURBINES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ズオン・ロック クアン
(72)【発明者】
【氏名】ラミク・オリバー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202BB01
3G202BB03
3G202KK04
3G202KK17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガスタービンエンジンのタービンブレードの剛性カップリングおよび振動減衰に関する。
【解決手段】スロット248は、各シュラウドのラビリンスシールセグメント246の端部に形成される。前負荷されたばねストリップ700がスロットを通して挿入される。
隣接するシュラウドを連結する一方で、タービンブレードの固有周波数が動作速度範囲にドリフトするのを防止し、および/または未調整のブレードモードに振動減衰をもたらす。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンブレード内の振動減衰のためのばねストリップであって、前記ばねストリップが、
平坦部分と、
前記平坦部分に接続される第一の端部と、前記平坦部分の反対側の第二の端部とを有する湾曲部分とを含み、
前記湾曲部分の前記第二の端部が、前記湾曲部分の前記第一の端部から離れた方向にタブに曲がるように可鍛性がある、ばねストリップ。
【請求項2】
前記平坦部分が、
前記湾曲部分の前記第一の端部から第一の方向に延在する第一の部分と、
前記湾曲部分の前記第一の端部から第二の方向に延在する第二の部分と、を含み、前記第二の方向が前記第一の方向と反対であり、前記第二の部分が、前記第一の部分が前記第一の方向に延在するよりも前記第二の方向により少ないように延在する、請求項1に記載のばねストリップ。
【請求項3】
前記平坦部分が、前記湾曲部分の前記第一の端部から単一の方向に延在する単一の部分からなる、請求項1に記載のばねストリップ。
【請求項4】
前記平坦部分が、
第一の部分と、
前記第一の部分から延在し、前記第一の部分に向かって曲げ戻される第二の部分と、を含む、請求項1に記載のばねストリップ。
【請求項5】
タービンブレードであって、
エーロフォイルと、
前縁部および前記前縁部の反対側の後縁部を有するシュラウドであって、
前記エーロフォイルの第一の端部に接続される基材と、
前記基材から前記前縁部に沿って延在する第一のラビリンスシールセグメントと、を含む、シュラウドとを含み、
前記第一のラビリンスシールセグメントが、請求項1に記載の前記ばねストリップを受けるように構成される第一のスロットを含む、タービンブレード。
【請求項6】
前記第一の端部の反対側にある前記エーロフォイルの第二の端部に取り付けられるプラットフォームと、
前記エーロフォイルの前記第二の端部とは反対側の前記プラットフォーム上に前記プラットフォームから延在するルートとであって、タービンローターディスクに接続するように構成される、ルートとをさらに含み、
前記シュラウドが、前記後縁部に沿って前記基材から前記第一のラビリンスシールセグメントに平行に延在する第二のラビリンスシールセグメントをさらに含み、前記第二のラビリンスシールセグメントが、前記ばねストリップを受けるように構成される第二のスロットを含み、
前記第一のラビリンスシールセグメントおよび前記第二のラビリンスシールセグメントの両方が、第一の端部および第二の端部を有し、前記第一のスロットが前記第一のラビリンスシールセグメントの前記第一の端部上にあり、前記第二のスロットが前記第二のラビリンスシールセグメントの前記第二の端部上にあり、
前記第一のスロットおよび前記第二のスロットが、それぞれ、前記それぞれのラビリンスシールセグメントの三つの表面および三つの開放側によって画定される、直方体である、請求項5に記載のタービンブレード。
【請求項7】
前記複数のタービンブレードが、前記複数のタービンブレードのそれぞれの前記ルートが前記タービンローターディスクに接続され、前記複数のタービンブレードのそれぞれの前記エーロフォイルが前記タービンローターディスクと前記複数のタービンブレードのそれぞれのシュラウドとの間を半径方向に延在する状態で、前記タービンローターディスクの周りに円周方向に配置され、前記複数のタービンブレードのそれぞれの前記シュラウドが、対向面上に前記複数のタービンブレードの二つの隣接するシュラウドに当接して、前記複数のタービンブレードの前記エーロフォイルおよび前記タービンローターディスクの周りで連続的な環状シュラウドを形成する、前記タービンローターディスクと、請求項6に記載の複数の前記タービンブレードとを含む、タービンローターアセンブリー。
【請求項8】
前記複数のタービンブレードのそれぞれの前記第一のラビリンスシールセグメントが、対向面上に二つの隣接する第一のラビリンスシールセグメントに当接して、第一の連続環状ラビリンスシールを形成し、前記複数のタービンブレードのそれぞれの前記第二のラビリンスシールセグメントが、対向面上に二つの隣接する第二のラビリンスシールセグメントに当接して、第二の連続環状ラビリンスシールを形成し、
前記タービンローターアセンブリーが、複数の前記ばねストリップをさらに含み、前記複数のばねストリップの各々が、前記第一のスロットまたは前記第二のスロットのうちの一つを通って延在し、前記第一のスロットおよび前記第二のスロットの各々が、それを通って延在する、前記複数のばねストリップのうちの一つを有する、請求項7に記載のタービンローターアセンブリー。
【請求項9】
前記複数のばねストリップの各々が、前記平坦部分が前記それぞれの連続的な環状ラビリンスシールの外部表面と接触し、前記タブが前記それぞれの連続的な環状ラビリンスシールの内部表面と接触して、位置付けられる、請求項8に記載のタービンローターアセンブリー。
【請求項10】
前記複数のばねストリップのそれぞれの前記タブが、前記第一のスロットおよび前記第二のスロットの幅よりも長く、または前記タブが、前記平坦部分が位置する平面からの前負荷距離である平面に位置する、請求項9に記載のタービンローターアセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、一般に、ガスタービンエンジンのブレードに向けられ、より具体的には、タービンブレードの剛性カップリングおよび振動減衰に向けられる。
【背景技術】
【0002】
動作中、ブレード付きローターディスクは、通常、ノード直径で表される平面外振動を経験する。この平面外振動は、一般的に、隣接するブレードのシュラウド間の相対的な反相運動(すなわち分離)をもたらす。相対的な反相運動は、隣接するシュラウド間の接合境界面でのフレッチングおよび劣化、ならびに各シュラウドの前縁部およびラビリンスシールでのひび割れを含む、隣接するシュラウドへの損傷をもたらし得る。この反相運動はまた、ブレードの固有周波数を減少させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
米国特許第10,301,948号は、エーロフォイルの振動応答を減衰させるために前負荷されたばねを含む、充填剤で充填された中空のエーロフォイルを開示する。しかしながら、こうしたエーロフォイルは、充填剤を受けるためのポケットを必要とし、これは、製造コストおよび複雑さを増加させ、ブレード間相互作用からの振動(すなわち、ノード直径タイプの振動)に特に対処しない。
【0004】
本開示は、発明者によって発見された問題の一つまたは複数を克服することに向けられる。
【0005】
実施形態では、平坦部分、平坦部分に接続される第一の端部と平坦部分の反対側の第二の端部を有する湾曲部分を含み、および湾曲部分の第二の端部が、湾曲部分の第一の端部から離れて、かつ平坦部分から前負荷距離でタブに曲がるように可鍛性がある、タービンブレードにおける振動減衰のためのばねストリップが開示される。
【0006】
一実施形態では、タービンローターディスクと、タービンローターディスクの周囲に円周方向に配置され、タービンローターディスクから半径方向に延びる複数のタービンブレードとを含み、複数のタービンブレードのそれぞれは、エーロフォイルと、前縁部と前縁部の反対側の後縁部を有するシュラウドとを含み、シュラウドは、エーロフォイルの半径方向外向きの端部に接続された基材と、シュラウドの第一の端部からシュラウドの第一の端部の反対側にあるシュラウドの第二の端部まで前縁部に沿って基材から延在する第一のラビリンスシールセグメントであって、シュラウドの第一の端部に第一のスロットと、を含む第一のラビリンスシールセグメントと、シュラウドの第一の端部からシュラウドの第二の端部まで後縁部に沿って基材から延在し、第一のラビリンスシールセグメントに平行な第二のラビリンスシールセグメントであって、シュラウドの第二の端部に第二のスロットを含む第二のラビリンスシールセグメントとを含む、タービンローターアセンブリーが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の実施形態の詳細は、それらの構造および動作の両方に関して、添付の図面の検討によって部分的に収集することができ、同様の参照番号は同様の部品を指す。
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態による、ガスタービンエンジンの概略図を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態による、タービンローターアセンブリーの断面図を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態による、タービンブレードのシュラウドの上面斜視図を示す。
【
図4】
図4は、一実施形態による、二つの隣接するタービンブレードの上面斜視図を示す。
【
図5】
図5は、一実施形態による、平面外振動を呈する二つの隣接するタービンブレードの上面斜視図を示す。
【
図6】
図6は、一実施形態による、二つの隣接するタービンブレードのシュラウドの正面斜視図を示す。
【
図7】
図7は、一実施形態による、前負荷されたばねストリップを示す。
【
図8】
図8は、一実施形態による、スロットの拡大斜視図を示す。
【
図9】
図9は、一実施形態による、スロットを通るばねストリップの挿入および前負荷を示す。
【
図10】
図10は、一実施形態による、スロットを通るばねストリップの挿入および前負荷を示す。
【
図11】
図11は、一実施形態による、スロットを通るばねストリップの挿入および前負荷を示す。
【
図12】
図12は、代替的な実施形態によるばねストリップを示す。
【
図13】
図13は、代替的な実施形態によるばねストリップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、さまざまな実施形態の説明として意図されており、本開示が実施され得る唯一の実施形態を表すことを意図していない。詳細な説明は、実施形態の完全な理解を提供する目的での具体的な詳細を含む。しかしながら、本発明の実施形態がこれらの具体的な詳細なしに実施できることは、当業者には明らかであろう。一部の実例では、周知の構造および構成要素は、説明の簡潔さのために簡略化された形態で示される。
【0010】
説明の明確さおよび容易さのために、一部の表面および詳細は、本説明および図で省略され得る。さらに、本明細書の「上流」および「下流」への言及は、別段の指定がない限り、燃焼プロセスで使用される一次ガス(例えば、空気)の流方向に対するものである。「上流」は、一次ガスの供給源に近い位置、または一次ガスの供給源に向かう方向を指し、また「下流」は、一次ガスの供給源からより遠い位置、または一次ガスの供給源から離れた方向を指すことが理解されるべきである。従って、構成要素(例えば、羽根)の後縁部または端部は、同じ構成要素の前縁部または端部から下流にある。また、本明細書で使用される場合、用語“side”、“top”、“bottom”、“front”、および“rear”は、理解の便宜上、互いに対するさまざまな構成要素の相対的位置を伝えるために使用され、それらの構成要素の任意の特定の配向を絶対的な用語(例えば、外部環境または地面に対する)で暗示しないことが理解されるべきである。
【0011】
図1は、一実施形態による、ガスタービンエンジン100の概略図を示す。ガスタービンエンジン100は、中央長手方向軸Lを有するシャフト102を含む。ガスタービンエンジン100の他のいくつかの構成要素は、長手方向軸Lと同心であり、長手方向軸Lに対して環状であり得る。半径方向、軸方向、円周方向に対する本明細書における参照は長手方向軸Lを基準にしている。半径方向軸は、
図1の半径方向軸Rのように、長手方向軸Lに対して実質的に直交する角度で長手方向軸Lから外向きに放射する任意の軸または方向を指すことができる。本明細書で使用される場合、用語「軸」は、長手方向軸Lに実質的に平行な任意の軸または方向を指す。
【0012】
一実施形態では、ガスタービンエンジン100は、上流端部から下流端部まで、入口110、コンプレッサー120、燃焼器130、タービン140、および排気出口150を含む。さらに、ガスタービンエンジン100の下流端部は、電力出力カップリング104を含んでもよい。潜在的に全てのこれらの構成部品を含む、これらのガスタービンエンジン100の一つまたは複数の構成要素は、ステンレス鋼および/または“スーパー合金”として知られる耐久性のある高温材料から作製され得る。超合金は、高温、良好な表面安定性、および耐腐食性および耐酸化性において、優れた機械的強度および耐クリープ性を示す合金である。超合金の例としては、Hastelloy、Inconel、Waspaloy、Rene合金、Haynes合金、Incoloy、MP98T、TMS合金、およびCMSX単結晶合金が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
入口110は、作動流体F(例えば、空気などの一次ガス)を、長手方向軸Lの周りの環状流路112に流すことができる。作動流体Fは、入口110を通ってコンプレッサー120内に流れる。作動流体Fは、特定の方向から入口110内に流れ、長手方向軸Lに実質的に直交する角度で図示されるが、入口110は、任意の方向から、かつ、ガスタービンエンジン100の特定の適用に適切な任意の角度で、作動流体Fを受けるように構成され得ることが理解されるべきである。作動流体Fは、主に本明細書では空気として記述されるが、作動流体Fは、他のガスを含む他の流体を含むことができることが理解されるべきである。
【0014】
コンプレッサー120は、一連のコンプレッサーローターアセンブリー122およびステータアセンブリー124を含み得る。各コンプレッサーローターアセンブリー122は、複数のローターブレードが円周方向に配置される、ローターディスクを含む。ローターディスク内のローターブレードは、軸軸に沿って、ステータアセンブリー124によって隣接するディスク内のローターブレードから分離される。コンプレッサー120は、各コンプレッサーローターアセンブリー122に対応する一連のステージを通して、作動流体Fを圧縮する。次に、圧縮された作動流体Fは、コンプレッサー120から燃焼器130に流れる。
【0015】
燃焼器130は、一つまたは複数、および一般に複数の燃料インジェクタ134を収容する燃焼器ケース132を含んでもよい。複数の燃料インジェクタ134を有する一実施形態では、燃料インジェクタ134は、燃焼器ケース132内の長手方向軸Lの周りに周方向に等距離間隔で配置され得る。燃焼器ケース132は、作動流体Fを拡散させ、燃料インジェクタ(複数可)134は、作動流体Fに燃料を注入する。この注入された燃料は、一つまたは複数の燃焼チャンバー136で燃焼反応を生じるように点火される。燃焼燃料-ガス混合物はタービン140を駆動する。
【0016】
タービン140は、一つまたは複数のタービンローターアセンブリー142およびステータアセンブリー144を含み得る。各タービンローターアセンブリー142は、複数のステージまたは一連のステージのうちの一つに対応し得る。タービン140は、燃焼燃料-ガス混合物からエネルギーを抽出し、各ステージを通過する。タービン140によって抽出されたエネルギーは、電力出力カップリング104を介して(例えば、外部システムに)伝達され得る。
【0017】
タービン140からの排気Eは、排気出口150に流れ込み得る。排気出口150は、排気Eを拡散する排気ディフューザー152、および排気Eを収集、リダイレクト、および出力する排気収集器154を含んでもよい。排気収集器154によって出力される排気Eは、例えば、有害な放射を低減し、熱を回収するなどのために、さらに処理し得ることが理解されるべきである。さらに、排気Eは、特定の方向で、かつ長手方向軸Lに実質的に直交する角度で排気出口150から流れ出ているものとして図示されるが、排気出口150は、任意の方向に向かって、かつガスタービンエンジン100の特定の用途に適切な任意の角度で排気Eを出力するように構成され得ることが理解されるべきである。
【0018】
図2は、一実施形態によるタービンローターアセンブリー142の断面図を示す。
図2は、単一のタービンブレード200と、単一のタービンブレード200を支持するタービンローターディスク300の単一のスライスを示す。実際には、タービンローターアセンブリー142は、タービン140の長手方向軸Lの周りで連続的に回転する複数のかかるスライスを含み、複数のタービンブレード200は長手方向軸Lの周りで放射状に外向きに延在する。複数のタービンブレード200のそれぞれを含む各スライスは、互いに同一であり得る。しかしながら、代替的な実施形態では、一つまたは複数のスライスまたはタービンブレードは、一つまたは複数の他のスライスまたはタービンブレードとは異なってもよい。
【0019】
実施形態では、タービンブレード200は、放射状軸Rに沿った内側から外側への位置から、ルート210、プラットフォーム220、エーロフォイル230、およびシュラウド240を含み得る。ルート210は、タービンローターディスク300の周囲で対応する溝310と嵌合するように構成され得る。ルート210は、“モミの木”、“電球”、または“ばち形”の形状を含み得る。ルート210が溝310を充填するように、溝310は、ルート210をしっかりと受けるように、互恵的に形状付けられ得る。従って、各タービンブレード200のルート210は、タービンローターディスク300のそれぞれの溝310内にしっかりと保持されるように、摺動(例えば、下流または上流に)し得る。ルート210と溝310との間のこの係合は、タービンローターディスク300内にタービンブレード200を保持し、タービンブレード200がタービンローターディスク300に対して半径方向および横方向に移動するのを防止する。
【0020】
ルート210は、プラットフォーム220の半径方向内向きの面に接続され、エーロフォイル230は、プラットフォーム220の対向する半径方向外向きの表面から半径方向外側に延在する。エーロフォイル230は、放射状軸Rに沿って変化する複雑な形状を有し得る。例えば、エーロフォイル230の断面は、プラットフォーム220とシュラウド240との間で放射状軸Rに沿って形状を延ばし、厚くし、ねじれ、および/またはそうでなければ形状を変化させ得る。当然のことながら、エーロフォイル230の全体的な形状は、使用される特定の用途に応じて変化し得る。
【0021】
図3は、一実施形態による、タービンブレード200のシュラウド240の上面斜視図を示す。シュラウド240は、基材242と、基材242の対向面から半径方向外側に延在するアバットメント244Aおよび244Bと、基材242の対向面から半径方向外側に延び、かつ実質的に互いに平行なラビリンスシールセグメント246Aおよび246Bとを含み得る。複数のタービンブレード200のシュラウド240は、タービンローターディスク300の周りに円周方向に配置される場合、アバットメント244で側面で互いに当接するように構成される。図示するように、これらの当接側面は、互いに緊密な嵌合を形成する対応する非直線縁で構成され得る。特に、隣接するシュラウド240のラビリンスシールセグメント246も、これらの縁で当接する。
【0022】
さらに、各ラビリンスシールセグメント246は、ラビリンスシールセグメント246の縁を通して凹部またはスロット248を含んでもよい。同一のシュラウド240上のラビリンスシールセグメント246Aおよび246Bについて、それらのラビリンスシールセグメント246を通るスロット248は、シュラウド240の対向する対角角上に位置付けられてもよい。例えば、図示するように、スロット248Aは、上流ラビリンスシールセグメント246Aの第一の端部を通して位置付けられ、一方、スロット248Bは、下流ラビリンスシールセグメント246Bの第一の端部の反対側の第二の端部を通して位置付けられる。代替的な実施形態では、位置は逆転し得ることが理解されるべきである。一実施形態では、各スロット248は、三つの側面がそのそれぞれのラビリンスシールセグメント246の三つの接続表面によって画定され、残りの三つの残りの側面が開いている、直方体(潜在的には、立方体を含む)である。
【0023】
図4は、一実施形態による、二つの隣接するタービンブレード200Aおよび200Bの上面斜視図を示す。図示するように、第一のタービンブレード200A上の第一のシュラウド240Aのアバットメント244Bは、第二のタービンブレード200B上の第二の隣接するシュラウド240Bのアバットメント244Aに当接する。図示されていないが、第一のタービンブレード200A上の第一のシュラウド240Aのアバットメント244Aは、第二のタービンブレード200Bとして第一のタービンブレード200Aの対向側上にある第三のタービンブレード200上の第三のシュラウド240のアバットメント244Bに当接することが理解されるべきである。複数のタービンブレード200は、このように、タービンローターディスク300の周りに円周方向に配置され、各タービンブレード200は、二つの隣接するタービンブレード200の間に位置し、各シュラウド240は、二つの隣接するシュラウド240の間にサンドイッチされ、それらと当接する。集合的に、シュラウド240は、タービンローターディスク300を囲む連続的な環状シュラウドを形成し、その間にエーロフォイル230を含む。特に、このように組み立てられるとき、ラビリンスシールセグメント246Aは、完全なアセンブリーの上流側上の環状シュラウド全体の周りで第一の連続ラビリンスシールを形成して当接し、ラビリンスシールセグメント246Bは、完全なアセンブリーの下流側上の環状シュラウド全体の周りで第二の連続ラビリンスシールを形成して当接する。
【0024】
さらに、このように組み立てられると、各スロット248は四つの側面で囲まれる。特に、各スロット248は、三つの側面がそのそれぞれのラビリンスシールセグメント246の三つの接続表面によって画定され、および一つの側面が隣接するラビリンスシールセグメント246の当接する端部表面によって画定される、直方体になる。残りの二つの側面は、ラビリンスシールを通して開口を形成するために、互いに正反対に開いたままである。
【0025】
図5は、一実施形態による、ガスタービンエンジン100の動作中、隣接するタービンブレード200の当接シュラウド240の間で発生し得る平面外振動を示す、二つの隣接するタービンブレード200の上面斜視図を示す。典型的には、これらの振動は、隣接するシュラウド240のアバットメント244間の境界面におけるフレッチングおよび劣化、および/または各シュラウド240の上流または前縁部のラビリンスシールセグメント246Aにおけるひび割れを引き起こす可能性がある。従って、開示された実施形態は、特に未調整モードに対して、これらの振動の振幅を許容可能な低サイクル疲労(LCF)レベル、高サイクル疲労(HCF)レベルに減少させるための減衰を提供し得る。さらに、開示された実施形態は、ブレードを共鳴状態に曝露し得るブレード間剛性カップリングの軟化の結果として、あらかじめ調整された周波数が動作速度範囲にドリフトすることを防止し得る。
【0026】
図6は、一実施形態による、二つの隣接するタービンブレード200のシュラウド240の正面斜視図を示す。図示するように、各ラビリンスシールセグメント246は、ラビリンスシールセグメント246の縁を通るスロット248を含んでもよい。シュラウド240が連続的な環状シュラウドを形成するように、タービンブレード200が組み立てられるとき、スロット248Aは、ラビリンスシールセグメント246Aによって形成される上流ラビリンスシールを通して固定間隔で配置され、スロット248Bは、ラビリンスシールセグメント246Bによって形成される下流ラビリンスシールを通して固定間隔で配置される。スロット248Aの固定間隔は、スロット248Bの固定間隔と等しい。しかしながら、スロット248Aおよび248Bは、ラビリンスシールセグメント246の異なる端部を通して位置付けられるため、スロット248Aおよび248Bは互いにわずかにシフトする。このアセンブリーでは、各スロット248は、そのそれぞれのラビリンスシールセグメント246の表面によって三つの側面上に、および隣接するラビリンスシールセグメント246の当接端部表面によって第四の側面上に囲まれる、直方体である。二つの対向する側面は、スロット248の上流および下流側上で開いたままであり、隣接するラビリンスシールセグメント246によって形成されるラビリンスシールを通して開口を形成する。これらの開口の各々は、長手方向軸Lに平行な軸に沿ってラビリンスシールを通る通路を提供することが理解されるべきである。実施形態では、各スロット248は、この通路を通して挿入されるばねストリップを保持するように構成される。
【0027】
図7は、一実施形態による、前負荷されたばねストリップ700を示す。ばねストリップ700は、各スロット248を通して挿入され、前負荷され得る。各ばねストリップ700は、適切な金属(例えば、ステンレス鋼300または400シリーズ)、または適切な特性(例えば、可鍛性)を有する他の材料から作製され得る。ばねストリップ700の材料は、ばねストリップ700が接触境界面でラビリンスシールセグメントを侵食しないように、ラビリンスシールセグメント246が製造された材料よりも軟質であり、ばねストリップ700が、その接触境界面で摩擦によって劣化した場合に安価に交換され得るように、安価であることが好ましい。図示した実施形態では、各前負荷されたばねストリップ700は、平坦部分710、湾曲部分720、およびタブ730を含む。平坦部分710は、対向する側上に第一の部分712および第二の部分714を含み、平坦部分710と湾曲部分720との間の接合の反対方向に延在することができる。しかしながら、代替的な実施形態では、平坦部分710が第一の部分712のみからなるように、第二の部分714は省略され得る。タブ730は、平坦部分710よりも湾曲部分720の反対側の端にあり、平坦部分710に対して平行な平面にあり得る。平坦部分710およびタブ730が位置する平面は、前負荷長さδによって分離され得る。
【0028】
図8は、一実施形態によるスロット248の拡大斜視図を示す。図示するように、スロット248は、三つの接続表面S1、S2、およびS3によって画定される、直方体として成形される。表面S1およびS3は、スロット248の対向する側面で互いに面しており、両方とも表面S2に直交する。シュラウド240が隣接するシュラウド240と組み立てられる時、その隣接するシュラウド240のラビリンスシールセグメント246の縁部が、スロット248の対向する面S2に面し、かつ面S1およびS3に直交する第四の表面を形成し、その結果、スロット248はラビリンスシールを通して長方形の開口となる。
【0029】
図9~11は、一実施形態による、スロット248を通したばねストリップ700の挿入および前負荷を示す。最初に、
図9に示すように、ばねストリップ700の湾曲部分720は、ラビリンスシールセグメント246のスロット248を通して挿入され、平坦部分710は、隣接するラビリンスシールセグメント246の上流または下流の表面に接触する。この時点で、タブ730はばねストリップ700にまだ形成されていない。実施形態では、各ばねストリップ700は、ラビリンスシールの外側からラビリンスシールの内側(すなわち、シュラウド240の内部に向かって)への方向に挿入される。しかしながら、代替的な実施形態では、各ばねストリップ700は、ラビリンス取引の内側からラビリンスシールの外側まで(すなわち、シュラウド240の外側に向かって)、反対方向に挿入され得る。
【0030】
図10に示すように、ばね力は、平坦部分710が隣接するラビリンスシールセグメント246との完全な接触境界面を形成するように、スロット248を通して未完のタブ730とともに湾曲部分720を完全に挿入して印加される。この時点で、湾曲部分720はその最終湾曲に形成される。次に、
図11に図示するように、タブ730は、タブ730が、平坦部分710と隣接するラビリンスシールセグメント246との間の接触境界面の平面から前負荷長さδでラビリンスシールセグメント246との完全な接触境界面を形成するように、湾曲部分720に対して曲げられ、かつ平坦部分710から離れるように、適切に可鍛材料から作製さる。当然のことながら、前負荷長さδは、ラビリンスシールセグメント246の幅と実質的に同じであり得る。さらに、タブ730は、ばねストリップ700がスロット248から外れるのを防ぐために、スロット248の幅よりも長くすべきである。
【0031】
特に、湾曲部分720によって接合される平坦部分710およびタブ730は、隣接するシュラウド240の隣接するラビリンスシールセグメント246によって形成されるラビリンスシールの対向する表面に接触する。例えば、ばねストリップ700が外側から挿入される実施形態では、平坦部分710はラビリンスシールの外側表面と接触し、タブ730はラビリンスシールの内側表面と接触する。逆に、ばねストリップ700が内側から挿入される代替的な実施形態では、平坦部分710は、ラビリンスシールの内側表面と接触し、タブ730は、ラビリンスシールの外側表面と接触する。いずれの場合も、あらかじめ負荷されたダンパー力が、平坦部分710とラビリンスシールセグメント246との間の接触境界面に印加される。
【0032】
図12および13は、代替的な実施形態によるばねストリップ700を示す。特に、
図12は、組立前のばねストリップ700のこの代替的な実施形態の輪郭を示し、
図13は、挿入および前負荷後のばねストリップ700のこの代替的な実施形態の輪郭を示す。この代替的な実施形態と
図7に示す実施形態との間の差異は、平坦部分710の構成にある。具体的には、この代替的な実施形態では、平坦部分710は、第一の部分712および第二の部分716を有するクリップを形成するために、それ自体で曲げ戻され得る。
図13に示すように、スロット248に挿入されると、第二の部分716は、スロット248が形成されるラビリンスシールセグメント246に隣接するラビリンスシールセグメント246の一方の側面によって第一の部分712に向かって圧縮され、第二の部分716と隣接するラビリンスシールセグメント246との間に接触境界面を形成する。さらに、タブは、湾曲部分720の端部に対して、かつ平坦部分710から離れて実質的に直交する角度に曲げられ、タブ730と、スロット248を有するラビリンスシールセグメント246の(第二の部分716が接合される側面と対向する)側面との間の接触境界面を形成する。要約すると、本実施形態は、二つのばね力を直列に有する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
ばねストリップ700がスロット248を通して挿入され、前負荷されると、隣接するシュラウド240を隣接するラビリンスシールセグメント246で一緒に連結する。各ばねストリップ700は、共鳴条件に供されるとき、シュラウドに、法線方向の剛性k
Nおよび接線剛性k
T(
図7に図示)から構成される剛性k(
図6に図示)、および摩擦係数μ(
図6に図示)を有する接触境界面を付与する。ラビリンスシールの対向する面上のスロット248Aおよび248Bの各ばねストリップ700の対は、前負荷法線力N
1およびN
2(
図6に図示)が互いに対向するように、逆に配置される。しかしながら、代替的な実施形態では、ばねストリップ700は、両方のラビリンスシール(すなわち、上流および下流の両方のラビリンスシール)ではなく、単一のラビリンスシール(例えば、上流ラビリンスシールまたは下流ラビリンスシール)のみのスロット248に設けられてもよい。
【0034】
共鳴条件下で、ばねストリップ700の対は、接触境界面におけるクーロン摩擦Fを介してタービンブレード200の接線方向の振動を低減する:
F=μN
N=K
Nδ
式中、μは、接触境界面の摩擦係数であり、Nは、ラビリンスシールセグメント246の面に対して法線となる前負荷力であり、k
Nは、ばねストリップ700の法線剛性であり、(
図7に図示される)、δは、ばねストリップ700の前負荷長さである。
【0035】
摩擦損失エネルギーEは、kNおよびδの関数:
E=FS=μ(KNδ)S
であり、式中、Sは、摺動距離である。アンダーダンプ振幅は、ばねストリップ700の対における剛性kの組み合わせによって主に制御され得る。有利なことに、ラビリンスシールセグメント246の間のスロット248内のばねストリップ700の実施形態は、あらかじめ調整されたタービンブレード200の固有周波数が動作速度範囲にドリフトするのを防止し、および/または未調整のブレードモードに振動減衰をもたらす。例えば、開示された実施形態の実験では、振動振幅範囲は、ばねストリップ700のないアセンブリーと比較して、10倍以上減少し、より速い減衰速度を示した。
【0036】
上述の利益および利点は、一実施形態に関連してもよく、またはいくつかの実施形態に関連し得ることが理解されよう。一実施形態に関連して説明される態様は、他の実施形態とともに使用することができることが意図される。一実施形態に関連する任意の説明は、他の実施形態の類似の特徴に適用され、複数の実施形態の要素は、他の実施形態を形成するために組み合わせることができる。実施形態は、記載される問題のいずれかまたは全てを解決するもの、または記載される利益および利点のいずれかまたは全てを有するものに限定されるものではない。
【0037】
前述の詳細な説明は、単に本質的に例示的なものであり、本発明または本発明の用途および使用を制限することを意図していない。記載した実施形態は、特定のタイプのタービンブレードと併用して使用することに限定されない。従って、本実施形態は、説明の便宜上、特定のタービンに実装されるとして図示および説明されるが、さまざまな他のタイプのタービン、ガスタービンエンジン、およびローターブレードを有する機械、ならびにさまざまな他のシステムおよび環境で実装され得ることが理解される。さらに、前項に定めるいずれの理論にも拘束される意図はない。当然のことながら、図は、示される参照される項目をより良く図示するための誇張された寸法およびグラフィック表現を含んでもよく、明示的にそのように記載されない限り、制限を考慮されない。