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▶ コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008246
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】チップ移載プロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021104812
(22)【出願日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】2006667
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランク・フルネル
(72)【発明者】
【氏名】エミリー・ブルジョ
(72)【発明者】
【氏名】セヴリーヌ・シェラミー
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン・メトルジャン
(72)【発明者】
【氏名】ロイック・サンチェス
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044LL01
5F044LL05
5F044PP15
(57)【要約】
【課題】本発明は、第1の支持体(1)から第2の支持体(4)に少なくとも1つのチップ(2)を移載するための方法を提供する。
【解決手段】本方法は、
- チップ(2)が第1の支持体(1)に組み付けられている間の、チップ(2)の前面(22)と第2の支持体(4)の面(41)の組付け表面(411)との間の、それらと接触する液体状態の中間層(3)の形成、および中間層(3)の凝固と、
- 次いで、中間層(3)を固体状態に維持しながらの、第1の支持体(1)からのチップ(2)の取外しとを含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の支持体(1)から第2の支持体(4)に少なくとも1つのチップ(2)を移載するための方法であって、
- 前記チップ(2)が、前記第1の支持体(1)と一体である間の、前記チップ(2)の前面(22)と前記第2の支持体(4)の面(41)の組付け表面(411)との間の、それらと接触する液体状態の中間層(3)の形成、および前記中間層(3)の凝固と、
- 次いで、前記中間層(3)を固体状態に維持しながらの、前記第1の支持体(1)からの前記チップ(2)の取外しと
を含み、
前記凝固が、前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)を前記中間層(3)の凝固温度未満の温度に置くことを含み、
前記中間層(3)の前記形成が、前記チップ(2)の前記前面(22)に前記中間層(3)を形成するように意図される液体皮膜を形成し、次いで、前記液体皮膜と前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)とを接触させるように、前記第1の支持体(1)と前記第2の支持体(4)とを近づけることを含み、
前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)を前記中間層(3)の凝固温度未満の温度に置くことが、前記液体皮膜を前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)と接触させる前に実行される、方法。
【請求項2】
取外し後に、前記中間層(3)の除去、および前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)への前記チップ(2)の前記前面(22)の直接結合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中間層(3)の前記除去が、前記中間層(3)の蒸発を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)が、前記チップ(2)の前記前面(22)と同じ寸法で形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)が、前記第2の支持体(4)の前記面(41)に突き出して設けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記取外し後に、第3の支持体(5)の面(51)に、前記チップ(2)の、前記前面(22)の反対側の後面(21)を定着させるステップ、次いで、前記チップ(2)の前記前面(22)と前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)とを分離するステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記取外し後に、第3の支持体(5)の面(51)に、前記チップ(2)の、前記前面(22)の反対側の後面(21)を定着させるステップ、次いで、前記チップ(2)の前記前面(22)と前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)をと分離するステップをさらに含み、前記中間層(3)が、前記チップ(2)の前記前面(22)の前記分離前に、前記液体状態に戻される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記チップ(2)の前記前面(22)および前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)が、疎水性であり、前記チップ(2)の前記後面(21)を定着させるステップが、
- 前記チップ(2)の前記後面(21)と前記第3の支持体(5)の前記面(51)の組付け表面との間に、それらと接触する液体状態の第2の中間層(6)を形成するステップであり、前記チップ(2)の前記後面(21)および前記第3の支持体(5)の前記面(51)の前記組付け表面が、親水性である、ステップ、を含み、次いで、
- 前記中間層(3)および前記第2の中間層(6)が、前記液体状態にある間に、前記チップ(2)の前記前面(22)と前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)とを分離するステップが、前記第2の支持体(4)および前記第3の支持体(5)の相対変位を含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記分離後に、前記第2の中間層(6)の除去、および前記第3の支持体(5)の前記面(51)の前記組付け表面への前記チップ(2)の前記後面(21)の直接結合を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の支持体(5)の前記面(51)の前記組付け表面が、前記チップ(2)の前記後面(21)と同じ寸法で形成される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記第3の支持体(5)の前記面(51)の前記組付け表面が、前記第3の支持体(5)の前記面に突き出して設けられる、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記チップ(2)の前記前面(22)および前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)が、親水性であり、前記第2の支持体(4)の前記面(41)の前記組付け表面(411)が、疎水性表面によって囲まれる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の支持体(1)が、チップピックアンドプレースヘッドであり、前記取外しが、前記ピックアンドプレースヘッドに前記チップを保持するためのシステムの停止を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記中間層(3)の前記形成が、
- 前記チップの初期の支持体(7)からの、前記ピックアンドプレースヘッド(210)による、前記前面(22)の反対側の後面(21)での前記チップ(2)のピックアップであり、前記チップ(2)を保持するための前記システムの起動を含む、ピックアップと、
- 液滴付着ツール(400)への前記ピックアンドプレースヘッドの第1の変位と、
- 前記液滴付着ツール(400)を用いた、前記チップ(2)の前記前面(22)への、前記中間層(3)を形成するように意図される液滴の形成と、
- 前記液滴が前記支持体(4)の前記面(41)に接触するように構成される、前記第2の支持体(4)への前記ピックアンドプレースヘッドの第2の変位と
を連続して含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数のチップに対して、前記ピックアンドプレースヘッドを連続して使用して、前記移載を繰り返して、前記第2の支持体(4)の前記面(41)に前記複数のチップ(2)を置くステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記取外しが、前記第1の支持体(1)と前記チップ(2)との間の機械的結合を破壊するように構成される、前記第1の支持体(1)および前記第2の支持体(4)の相対変位を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記中間層(3)の前記形成前に、
- 前記チップ(2)が、前記第1の支持体(1)の表面層(13)の厚さにわたって含まれる間の、前記チップ(2)と前記表面層(13)との間に少なくとも1つの固着範囲(16)を保ちつつ、前記チップ(2)を切り離すように構成される前記表面層(13)の一部分の除去と、
- 次いで、前記前面(22)の反対側の、前記チップ(2)の後面(21)を解放するように構成される、前記表面層(13)の下にある層(12)の一部分の、前記機械的結合を形成する前記少なくとも1つの固着範囲(16)によって前記チップ(2)を懸垂させるような除去と
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記中間層(3)の前記形成が、前記チップ(2)の前記前面(22)に、前記第1の支持体(1)および前記第2の支持体(4)が置かれる雰囲気の化合物を凝縮させる段階を含む、請求項16または17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエレクトロニクスにおいて使用されるチップの分野に関する。マイクロエレクトロニクスデバイスとは、マイクロエレクトロニクスを用いて生産される任意の種類のデバイスを意味する。これらのデバイスは、マイクロメカニカルデバイスまたはエレクトロメカニカルデバイス(MEMS、NEMS、...)を包含する。
【0002】
本発明は、チップが使用されるあらゆるセクタに用途を見出す。例えば、これらのチップは、イメージャなどのマイクロエレクトロニクスデバイス、またはCMOSトランジスタおよび/もしくはメモリのスタックとの3D集積に関連するデバイスなどの、集積回路を実装する他のデバイスに埋め込まれる支持体自体への集積のために意図することができる。
【背景技術】
【0003】
マイクロエレクトロニクスデバイスへのチップの実装は、一方では、一般に第1の支持体でのそれらの本来の製造に関連するプロセスの一部で、他方では、デバイスへのチップの移載、すなわち、チップが別の媒体に移載されることに関連するプロセスの一部で、チップを処理することとなる。
【0004】
歴史的に、チップは、しばしば個別の処理ツールによって順々に移載されてきた。
【0005】
そのようなチップの一括移載技術が、例えば科学刊行物「A. Jouve、in 2019 IEEE 69th Electronic Components and Technology Conference (ECTC) (2019)、225~234頁」に、より最近提案されている。この文書によれば、出発基板を基にして、最初にチップが個片化され、次いで仮支持体に1つずつ移載され、そこで前処理(例えば個片化の機械的ステップに続く洗浄)を受ける。次いで、チップは目的基板に移載される。この移載のために、この技術は、可能性として各チップと移載基板との間の水滴の形成により、チップをそれに割り当てられる目的基板の範囲に対して自己整合させて、位置ずれに適応することを可能にする技術を実装することによって、チップの直接接着を可能にするという利点を有する。
【0006】
この科学刊行物によるチップ移載を可能にする技術は、しかしながら特に生産率上昇の関連で改良でき、提案された技術はチップの完全な一括移載を可能にしていない。しかしながら、チップの個別処理は、例えばチップのますます縮小する寸法に対するそれらの不十分な分解能に関連する技術的限界を免れない。
【0007】
他の場合には、たとえチップのサイズが依然それらの個別把持を可能としても、部品配置ツール(しばしば「ピックアンドプレース」システムと呼ばれる)のヘッドによって、これらのチップを同じ支持体に個別に設けることに関しては、重大な寸法限界に遭遇する。
【0008】
例えば、例として洗浄または表面活性化などの一部の技術的ステップのために、ハンドル型のものなどの支持体にチップを保持することに関して、当支持体が必然的にチップを互いから離して載せるのは、それらを受けるキャビティが、機械的強度の理由で十分に厚くなければならない壁によって分離されているからである。実際には、そのような支持体上の各チップ間に一般に500μm程の空間が誘発される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】A. Jouve、in 2019 IEEE 69th Electronic Components and Technology Conference (ECTC) (2019)、225~234頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、現行技術の不利点の全部または一部の解決策を提供することである。特に、本発明は、改良された方式の、第1の支持体から第2の支持体への1つまたは複数のチップの移載の解決策を提供する。
【0011】
本発明のその他の目的、特徴および利点は、以下の説明および添付の図面を吟味すれば明らかになるであろう。他の利点が組み込まれ得ることが理解される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの実施形態によれば、第1の支持体から第2の支持体に少なくとも1つのチップを移載するための方法であって、
- チップが第1の支持体と一体である間の、チップの前面と第2の支持体の面の組付け表面との間の、それらと接触する液体状態の中間層の形成、および中間層の凝固と、
- 次いで、中間層を固体状態に維持しながらの、第1の支持体からのチップの取外しと
を含む、方法の提供がなされる。
【0013】
そのため、通常は直接接着によって組み付けられるべき2つの部品の相対位置を調整することとの関連で使用される、水の液滴を付着させる技術が流用される。ここで、液体は、やはり水とすることができ、第2の支持体とチップとの間のより強力な取付けをもたらす機能を有する。
【0014】
1つの態様によれば、取外しは、第1の支持体および第2の支持体の相対移動を含むことができる。
【0015】
非限定的な態様によれば、取外しは、第1の支持体とチップとの間の機械的結合を破壊するように構成される、第1の支持体のおよび第2の支持体の相対変位を含む。そのため、中間層によって提供される取付けは、第1の支持体とチップとの間の、固着などの結合力に打ち勝つのに十分なように選ばれる。
【0016】
別の非限定的な態様によれば、取外しは、第1の支持体にチップを支持するためのシステムの停止、例えば真空システムの切断またはクランプの開放を含む。
【0017】
中間層が液体状態で生成されるので、その形成は、例えば液滴の形態で、容易である。それは、必要であれば精密に位置付けることができる。事前に低温(中間層を凝固させるのに十分低い)に置かれた第2の支持体を近づけることで、その面が事前の液体層にドッキングするとほぼ瞬時に中間層を凝固させることを可能にすることができる。第2の支持体は代替的にそれの液体中間層との接触後に冷却できる。
【0018】
1つの態様によれば、中間層は移載後に除去される。また、第1の液体中間層の使用は、例えば単純な蒸発によってこの除去を可能にする。特に、そのため第2の支持体の組付け表面へのチップの前面の直接接着を達成することが可能である。
【0019】
1つの態様によれば、非限定的な方式で、この移載は一括して、すなわち同時に幾つかのチップに対して実行される。これにより、個別のチップ処理ツールの体系的使用を回避する。
【0020】
別の態様によれば、移載は、1つまたは複数のチップに対して個別に実行される。同チップは、そのため例えば互いに密接に第2の支持体に維持できる。
【0021】
本発明の趣旨、目的の他に特徴および利点は、以下の添付の図面によって例示されるその実施形態の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】チップが製造された第1の支持体の一例を示す。
図2A】第1の支持体に対するチップの固着を低減させることとなるエッチング前のマスキングステップを示す図である。
図2B】前図のステップの上面図であり、前図は、図2Bの線A-Aに沿った断面に対応する。
図3】2つの前図のステップ後のステップを示す図である。
図4】チップが懸垂される第1の支持体を反映する図である。
図5】液滴などの液体皮膜の形成を示す図である。
図6】チップと第2の支持体との間の中間層の形成を示す図である。
図7】第1の支持体からのチップの取外しを反映する図である。
図8】第2の支持体へチップを接着した潜在的な最終結果を示す図である。
図9】第2の移載のための第2の中間層を伴う変形例を示す図である。
図10】第2の移載の結果を示す図である。
図11】チップの自己整合を伴う変形実施形態を示す図である。
図12】チップの自己整合を伴う変形実施形態を示す図である。
図13】チップの自己整合を伴う変形実施形態を示す図である。
図14】チップを生産するための方法のための考え得る出発点を示す図である。
図15】チップを生産するための方法のための考え得る出発点を示す図である。
図16】チップを移載するためのチップの一連の変位の可能性を例示する図である。
図17】連続したチップ移載ステップを示す図である。
図18】連続したチップ移載ステップを示す図である。
図19】連続したチップ移載ステップを示す図である。
図20】連続したチップ移載ステップを示す図である。
図21】その変形実施形態を提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面は例として与えられており、本発明を限定するものではない。それらは、本発明の理解を容易にすると意図される概略原理表現を構成しており、必ずしも実際的応用の縮尺であるわけではない。
【0024】
本発明の実施形態の詳細な検討を始める前に、任意選択で組み合わせてまたは代替的に使用され得る任意選択の特徴が以下に述べられる:
- 凝固は、第2の支持体4の面41の組付け表面411を中間層3の凝固温度より下の温度に置くことを含む。そのため熱伝導が、層3を冷却するおよびそれを凝固させる役目をする。
- 中間層3の形成は、チップ2の前面22に液体皮膜を形成し、次いで液体皮膜および第2の支持体(4)の面41の組付け表面411を接触させるように第1の支持体1および第2の支持体4を近づけることを含む。層3は、そのため可能性として、平坦であり得る表面に従来技術で形成される。
- 第2の支持体4の面41の組付け表面411を中間層3の凝固温度より下の温度に置くことは、液体皮膜を第2の支持体4の面41の組付け表面411と接触させる前に実行される。これにより、例えば本方法を高速化できる。例えば第1の支持体1に幾つかのチップがある場合には、接触後に冷却することも可能であり、接触は、層3が迅速に固体状態に移らなければより良好である。
- 中間層3の形成は、チップ2の前面22に、第1の支持体1および第2の支持体4が置かれる雰囲気の化合物を凝縮させる段階を含む。
- 本方法は、好ましくは取外し後に、中間層3の除去、および第2の支持体4の面41の組付け表面411へのチップ2の前面22の直接接着を含む。これにより簡単に直接移載を可能にし、中間層の材料は、そのため有利にも3つの状態:液体、固体および気体を通る。
- 中間層3の除去は中間層3の蒸発から成り、これは、第2の支持体4を中間層3の蒸発温度を越えて加熱することによって行うことができる。加熱して液体状態に戻し、その上液体が追加熱なしで蒸発するのを可能にすることも可能であり、この目的で、全体が、水蒸気が不飽和の雰囲気に置かれ、プロセスを高速化するために、雰囲気の湿度を低下でき、この目的で、デシケータを使用でき、乾性ガスを導入できまたは雰囲気の温度を上昇でき、湿度を低下させる。チップを不安定にし得る煮沸に達することもなく、液体の温度を上昇させることも可能である。そのため少なくともこの層の変態相の一部の間、第2の支持体の温度により中間層の挙動を制御することが可能である。
- 第2の支持体4の面41の組付け表面411はチップ2の前面22と同じ寸法で形成される。
- チップ2の前面22および第2の支持体4の面41の組付け表面411は親水性であり、そして第2の支持体4の面41の組付け表面は疎水性表面によって囲まれる。これにより自己整合の現象を可能にする。これは、第3の基板の組付け表面511にも当てはまることができる。
- 第2の支持体4の面41の組付け表面411は、第2の支持体4の面に突き出して設けられる。それは、そのため物理的に個別化されており、液滴などの、中間層の液体を位置付ける精度に有利であり得る。これは、第3の基板の組付け表面511にも当てはまることができる。
- チップ2の前面22および第2の支持体4の面41の組付け表面411は疎水性である。この任意選択は、例えば、後に別の親水性の支持体への密着を促進することを可能にしており、疎水結合は親水性表面のそれより弱い。
- 本方法は、取外し後に、第3の支持体5の面51にチップ2の、前面22の反対側の後面21を定着させるステップ、次いでチップ2の前面22および第2の支持体4の面41の組付け表面411を分離するステップを更に含み得る。中間層3は、チップ2の前面22の分離前に液体状態に戻すことができる。
- 本方法は、取外し後に、
・ 前面22の反対側のチップ2の後面21と第3の支持体5の面51の組付け表面との間に、かつそれらと接触して第2の中間層6を液体状態に形成するステップであり、チップ2の後面21および、第3の支持体5の面51の組付け表面が親水性である、ステップと、次いで、
・ 中間層3および第2の中間層6が液体状態にある間に、第2の支持体4および第3の支持体5の相対変位によってチップ2の前面22および第2の支持体4の面41の組付け表面411を分離するステップとを任意選択で含む。
- 1つの可能性によれば、本方法は、分離後に、第2の中間層6の除去、および第3の支持体5の面51の組付け表面へのチップ2の後面21の直接接着を含む。
- 第3の支持体5の面51の組付け表面511はチップ2の後面21と同じ寸法で形成される。
- 第3の支持体5の面51の組付け表面511は、第3の支持体5の面に突き出して設けられる。
- 中間層3および/または第2の中間層6は膜によって形成でき、これにより、例えばこの層を幾つかのチップのために共有することを可能にする。例えば、第3の支持体5への移載は一括とすることができ、そのため膜がこの支持体の表面に生成されて、一連の液滴の付着を回避する。
【0025】
任意選択で、本方法は、中間層3の形成前に、
チップ2が第1の支持体1の表面層13の厚さにわたって含まれる間の、チップ2と表面層13との間に少なくとも1つの固着範囲16を保ちつつチップ2を切り離すように構成される表面層13の一部分の除去と、
- 次いで、前面22の反対側のチップ2の後面21を解放するように構成される、表面層13の下にある層12の一部分の、少なくとも1つの固着範囲16によってチップ2を懸垂させるような除去とを含む。この配置により、チップは第1の支持体に僅かに支持されるだけである。一般に、本実施形態において、本方法は、好ましくは、第1の支持体に対するチップの固着を低減させる段階であり、チップとこの支持体との間の結合の破壊限界値を低下させることを可能にする、段階を含む。
【0026】
1つの実施形態において、第1の支持体1はチップピックアンドプレースヘッドであり、そして取外しは、ピックアンドプレースヘッドにチップを保持するためのシステムの停止を含む。
【0027】
中間層3の形成は、連続して、
- チップの初期の支持体7からのピックアンドプレースヘッド210による、前面22の反対側の後面21でのチップ2のピックアップであり、チップ2を保持するためのシステムの起動を含む、ピックアップと、
- 液滴付着ツール400へのピックアンドプレースヘッドの第1の変位と、
- 液滴付着ツール400を用いたチップ2の前面22への、中間層3を形成すると意図される液滴の形成と、
- 液滴が支持体4の面41に接触するように構成される、第2の支持体4へのピックアンドプレースヘッドの第2の変位とを含むことができる。
【0028】
任意選択で、移載は、複数のチップに対して、連続してピックアンドプレースヘッドを使用して繰り返されて、第2の支持体4の面41に複数のチップ2を置く。
【0029】
1つの可能性によれば、フレキシブルドナー基板、典型的に第1の支持体1が使用される。
【0030】
本方法は、複数のチップに対して同時に動作させることができる。
【0031】
それは、特に、個別に処理するのが困難である、超小型チップの移載に応用され得る。
しかし別の応用が、キャリアの面に密接するチップの個別移載である。
【0032】
本発明の文脈では、用語「上に」または「より上に」が必ずしも「と接触して」を意味するわけではないことが指定される。そのため、例えば、別の層への層の堆積は、必ずしも2つの層が互いと直接接触していることを意味するわけではなく、それは、層の一方が、他方と直接接触していることによってか、膜、でなければ別の層または別の要素によってそれから分離されていることによってか、他方を少なくとも部分的に覆うことを意味する。層は、同じ材料のまたは異なる材料の幾つかの副層から構成することもできる。
【0033】
本発明との関連では、層のまたは基板の厚さが、この層またはこの基板がその最大伸張を有する表面に垂直な方向に測定されることが指定される。層が、特にそれが上記層の露出面に目立つようである欠陥を有する理由で完全に平坦でなければ、厚さはその不備を除いたこの層の寸法を意味する。
【0034】
本発明との関連では、用語「チップ」が、デバイスに、特にチップより大寸法の支持体に移載されると意図される任意のマイクロエレクトロニクス素子を意味すると理解されることが指定される。これらのチップは、シリコンからもしくは、例えばInPなどの他の材料から加工、でなければ作製され、またはAsGa、SiC、シリカ、ゲルマニウム、サファイアからも作製され、かつシリカ、窒化ケイ素、銅もしくはチタンなどの金属、などの材料の表面層上の層、およびマイクロエレクトロニクスにとって公知の全ての他の層(HfO2、SiOC、AlN、Al2O3、GaN、...)を有することができる。
【0035】
典型的に、チップは集積回路を含むことができ、それらは電気相互接続部品を用いて外部に接続できる。これらの相互接続は接着界面で直接行うことができる。これらの電気接続部品は5μm未満の寸法を有し得るが、例えばマイクロメートル台の非常に高いチップ配置精度を意味している。
【0036】
チップは、ここで提案される移載の実装より前の処理の対象とすることができるが、後処理の対象でもあることができる。そのような処理は、回路、ビアまたは任意の能動もしくは受動部品の集積に相当することができる。例えば、本発明に従って記載される移載は、可能性としてまだ単に後に変形されると意図される均一材料の単純なブロックから成る、まだ完全には形成されていないチップを基にして実施できる。
【0037】
チップは、平行六面体形状、好ましくは矩形を有し、かつ少なくとも、矩形、でなければ正方形横断面を有し得、そのような横断面形状を有する前面および後面を画定することを可能にする。例として、本発明は、非常に小さな寸法、例えばそれらの最長寸法が250μm未満のチップで実装できる。
【0038】
本発明の1つの態様は、チップの面とその支持体との間の中間層の凝固を利用して、支持体からチップを引き出す。
【0039】
図1から図8は、一連の潜在的なステップに対応する。
【0040】
本発明の第1の実施形態。この例は、一括してかつ/またはチップをピックアンドプレースするためのツールに頼る必要なく、チップを処理するために特に適合される。
【0041】
第1に、図1から図4は、チップのための、好ましくは複数のチップのための出発基板を構成できる第1の支持体1の準備の一例を与える。実際、本発明の1つの利点は、チップ移載ステップの全部または一部を一括して実装することができることである。そのため、チップに関して以下に与えられる説明は、第1の支持体からの幾つかのチップの同時移載のために一般化できる。
【0042】
図1において、この支持体1は、非限定的に、頭字語SOIによって知られている、半導体型(典型的にシリコン)オンインシュレータの基板の形態で表現される。例えば、ベース層11が、支持体1の厚さの大部分を形成し、かつ一般に酸化ケイ素から形成される、例えば誘電性の埋込層12が上に載っている。層12は例示として400nmの厚さを表現し得る。それの上に表面層13が載っており、一般に非常に薄く(例えば100nm)、例えば、チップなどのマイクロエレクトロニクスデバイスの以降の部品を構築するために使用される、単結晶シリコンから作製されている。この例では、チップ2は、層13へ組み込まれている、または単に引き出したいその層の一部分である。それは層13の厚さ全体に沿って内部を延び、その結果、以降前面22と称される、チップ2の上面が表面層13の面14に露出される。好ましくは、表面22の反対側の後面21は、下層12との界面に位置付けられる。
【0043】
そのような構造は、ここで第1の支持体1に対するチップ2の固着を限定し、次いで取外しを可能にするために利用される。
【0044】
これとの関連で、図2Aは、露出されたままである面14の表面を画定する、例えばフォトリソグラフィ樹脂から作製される層15によってマスキングするステップを図示する。図2Bにより詳細に図示されるように、マスキングは、チップ2とそれが収容される表面層13との間に小さな接続部分だけが残るように組織化される。特に、固着画定範囲141が、最終的にチップ2の小さな接続部分だけが残るのを可能にする。
【0045】
図2Bに図示されるように、層13の非マスク範囲が輪郭を形成しており、チップ2の断面周りに全体的に相似であり得る。しかしながら、この輪郭は、範囲141が不連続であるという意味で閉じていない。必要であれば、マスクによって定められる輪郭の連続性の単一の切れ目で十分である。そのために形成されるトレンチは、例えばチップ周りに50μm幅でよい。チップは、図示の例では、正方形断面の、例えば0.5x0.5mmである。
【0046】
そのため、表面層13にエッチング(特にイオンエッチング)が実行されると、面14の非マスク範囲を通して、チップ2を大部分切り離すことが可能であり、マスクに事前に定められるブリッジによって形成される固着範囲16だけによって表面層に接続される。これが図3に図示される結果である。上に挙げた寸法例では、アンカブリッジ、特に4つのアンカブリッジが50μmの個々の幅で残ることができる。固着範囲16の破壊強度が、第2の支持体4によって印加されることになる取外し力によってそれに打ち勝つことができるように適合されることが後に分かるであろう。
【0047】
チップ2は、次いで下層12の掘削によって懸垂される。下層が酸化ケイ素から作製されている場合には、エッチングは液相でまたは気相で、特にフッ化水素酸によって実施できる。エッチング時間制御により層12における所望のキャビティ121の形状を保証する。チップ2が、断面が減少した固着範囲16だけによって第1の支持体1に接続されることが明らかである。
【0048】
第1の支持体1に対して例示される実施形態は限定的ではない。特に、ここで支持体とは、チップを、少なくとも一時的に受けることが可能な任意の要素を意味する。上記したSOI基板の場合のように、それは、平板、単純なまたはより複雑な基板であり得る。そしてさらに、図14から図21の例示を参照しつつ、それは機械部材、そして例えば個別または一括チップ変位ヘッドでもあり得、例えば、それはピックアンドプレースツールのヘッドであり得る。第1の支持体1が、接着フィルムが上に載っているキャリアフィルムから形成されるフレキシブル基板(テープ)であることも可能である。キャリアフィルムは、例えばポリマー(例えばPETまたはPVC)に基づいても、そして接着フィルムは、例えばアクリレートまたはシリコーンに基づいてもよい。チップ2は、そのため接着フィルムと一体である。接着フィルムに、例えば一列でまたは行列の形状で規則的な配置に複数のチップ2を設けることができる。フレキシブルフィルムは、任意選択でキャリアフィルムの側で剛性支持体に定着できる。
【0049】
図5は、中間層3をこの段階では液体状態に形成すると意図される液滴を形成するステップを図示する。好ましくは、使用される液体は水であり、または質量で、大部分が水に基づく。しかしながら、例えば凝固点または露点または作業温度での所望の粘度を調整するために他の液体が使用されることが除外されるわけではない。
【0050】
非限定的な実施形態によれば、チップ2の前面22は、それを親水化するために事前に処理でき、この処理により有利にも第1の支持体1の面の残りを節約する。
【0051】
例えば、これは、2分間のUV/オゾンによる処理であり得る。代替的にまたは加えて、所望の毛管力差を得るように、一部の表面を疎水化でき、この処理は、チップのまたは支持体の対応する面がシリコンから作製されていれば、例えばフッ化水素酸で実装される。
【0052】
親水特性とは水との親和性を指すが、拡大解釈により、この用語はここで、たとえ水の問題でないとしても、より一般に、層3のために(およびさらに層6のために)使用される液体との表面の親和性を示すためにも使用される。疎水特性は、水との低親和性および、拡大解釈により、使用される液体との低親和性を意味すると理解される。ここで、疎水性として定義される表面より親水性の表面が、ここで親水性表面を意味する。親水性表面は、疎水性表面より液体を広げる傾向を有し、液滴に対しては、表面と液滴のその底面における接線とによって定められる角度は疎水性液体に関して大きくなる。それは、親水性表面に関して鋭角であり、疎水性表面に関して鈍角とすることができる。
【0053】
この処理により、液滴(水の)の付着はチップ2の前面22の表面に精密に画定できる。前面22は、チップ2の後面21より同じく有利に親水性である。
【0054】
動作の間、液体水を保つために、第1の支持体1を低温に置くことが有益であり得る。例えば、第1の支持体は3℃の設定値で冷却できる。累積的にまたは代替的に、第1の支持体を取り囲む雰囲気の湿度は、液体、この場合、図の場合には液滴が蒸発しないまたはそれほど蒸発しないように制御できる。例えば、液体層の形成を実行するための雰囲気は、第1の支持体1の温度、またはこの温度の直下に対する飽和蒸気圧を50%未満に含むことができる(例えば3℃の温度に対して、ほぼ6.6mbarの部分蒸気圧で十分であり、圧力がこの圧力より50%低い(すなわち約4mbar)であれば、露点温度は-4℃である).
【0055】
液体層3は、水の液滴を付着させることによって生成でき、例えば、既存の滴付着ツールによってチップの表面の直径が100μmの液滴を付着できる。生成される結果は図5のそれに対応する。チップ2の前面22の選択的親水特性は液体層の形成の範囲を精密に画定する。
【0056】
第2の支持体4への移載自体を次いで開始できる。
【0057】
図6は、この第2の支持体4の、第2の支持体4の面41にチップを組み付けるための表面とチップ2の前面22との間の界面を形成する中間層3を生成するような、液体材料の方向へのそのドッキングまでの接近を図示する。
【0058】
1つの実施形態において、第2の支持体4は、チップが、第3の支持体への別の移載の前に中間的に移載されるハンドルである。これとの関連で、それは、例えばシリコンから作製される一体基板でよい。別の実施形態によれば、第2の支持体4はチップ2のための目的基板である。
【0059】
第2の支持体4の接近は、この支持体4が保持される従来のマンドレル機上で実施できる。
【0060】
好ましくは、中間層3の材料を凝固させることが可能であるのは第2の支持体4の温度によってである。このために、第2の支持体4は、その後の図6に図示されるそのドッキングに向けたその接近の前に適切な温度に、すなわち層3の液体の凝固温度より下に置くことができる。例えば、水の場合には、支持体4は-3℃の温度に置くことができる。概して関連したデバイス部品、特に第2の支持体4の温度を制御するために、ペルチエ効果を使用する種類の冷却技術を使用し得る。
【0061】
好ましくは、支持体1および4を取り囲む雰囲気は、第2の支持体4の表面の温度より低い露点温度にある。このために、必要であれば層3への第2の支持体4のドッキング直前に湿度が低下される。
【0062】
第2の支持体4が層3に接触すると、後者が凝固する(すなわち水の場合凍結する)ことが理解される。
【0063】
このプロセスにより第2の支持体4へのチップ2の比較的高密着を保証する。密着のレベルは、結合16の破壊限界と対応して選択され、その結果、第2の支持体が第1の支持体1から離れるとチップ2は第2の支持体4と一体であり続ける。任意選択で、除去されるのは第1の支持体(または両支持体)である。有利には、支持体1および4の相対移動は結合16(1つまたは複数の梁またはブリッジの形態とすることができる)に曲げ応力を誘発する。
【0064】
支持体1のこの取外しが図7に概略的に図示されており、破壊された結合16は簡略化のためもはやそこに表現されない。図7の場合のように機械的部分を破壊することによってまたは任意の他の手段によって、任意の他の形態の定着も本発明の範囲内である。
【0065】
図8に図示される可能性によれば、次のステップは層3を除去することである。このために、第2の支持体4の温度を、例えば20℃まで上昇させて、最初に氷の形態の水の液滴を溶かすことが可能である。好ましくは、この加熱の間、100℃の閾値は超えられない。
【0066】
層3が完全に除去されると、結果は第2の支持体4へのチップ2の前面22の直接接着である。
【0067】
1つの可能性によれば、層3を形成する液体皮膜に第2の支持体4を近づけてドッキングさせる段階の前に、第2の支持体4の温度は、使用される液体の凝固温度より上に(典型的に水の場合0℃より上に)留まる。第2の支持体4の温度は、その後にだけ、この凝固温度より下に低下される。この手順は、幾つかのチップの一括移載の場合に特に有利である。実際、液体の即時凝固なしでドッキングが起こることは、この場合にはより簡単である。
【0068】
別の変形例によれば、液体中間層3の形成のために、動作は、第1の支持体1の温度を、それがこの第1の支持体1を取り囲む雰囲気(典型的に空気)の露点温度より下に置かれるまで低下させることによって、凝縮により実行される。例えば、露点温度が6℃であるように雰囲気の湿度を固定できる。第1の支持体1は、そのため露点温度未満の温度、例えば4℃に置かれる。特に疎水性部分を損なうほど親水性部分に液滴が生じる。凝縮は、そのためチップの前面22に集中する。
【0069】
任意選択で、中間層3に第2の支持体4をドッキングさせた後に、空気の湿度を、より低い露点温度、例えば-5℃を有するように低下でき、そして第2の基板の温度は事前の計画通りに、例えば-3℃に低下される。この変形例では、前の場合のように、第1の支持体1に対するチップの取外しは、中間層3が固体であるときに行われて、結合16を破壊する。同じく前のように、次いで液体を排除して直接結合へ移ることができるが、これは好ましくは、直接接着によって関与される表面の親水特性に従うことによって自己整合される。
【0070】
前述した1つの可能性によれば、第2の支持体4は単に一過性である。この変形例は図9および図10の実施形態に相当する。
【0071】
そのため、図9において、第1の支持体1に対するチップ2の取外し後に、チップ2は、依然固体状態にある中間層3によって第2の支持体4に保持される。この状態により、追加処理が第3の支持体5の面51に向けて再びチップ2を移載するのを可能にする。
【0072】
この移載は液体状態の中間層6を使用する。この層6は基板5の面51に形成される。使用される液体は上のように水とすることができる。層3との関連で与えられた説明は、液滴付着によるまたは凝縮による、層6の形成のために使用できる。
【0073】
例えば、第3の基板5の面51にわたって広げられる水、有利には脱イオン水の膜を形成するための技術を実装することも可能である。例えば20秒間、30rpmで遠心方法を使用して、面51に50から75μm程の厚さで水の膜だけを残すことが可能である。この手順は、複数のチップ2の一括移載の場合に有用な、面51の完全被覆を保証するという利点を有する。
【0074】
第3の支持体5がチップ2の後面21から第2の支持体4に近づけられると、この後面21と第3の支持体5の面51との間に毛管ブリッジが現れることが理解される。この接近およびドッキング段階は、中間層3が依然固体状態にある間に実施できるが、第2の支持体4を加熱することによって層3が既に液体状態に戻った間にも実施できる。
【0075】
中間層6による面21と面51との間の毛管力が中間層3による面22と面41との間のそれより大きいことを保証するために注意が払われたことになる。
【0076】
このように、2つの支持体4、5が互いから離れて移動されると、中間層3が液体状態にあり、チップ2は、第2の支持体4を損なうほど第3の支持体5と一体であり続ける。例えば水を乾燥させることによる層6の除去後に、チップ2は第3の支持体5に直接接着によって接着される。
【0077】
層3によって生成されるものと層6によって生成されるものとの間で差が生じる毛管力を保証するために、層3によって接続される表面22および41に対して、層6によって接続される表面21および51のより多くの親水特性に従うことが可能である。特に、表面21および51に表面処理が実行されて、それらを親水化できる。上に示したような処理を実装できる。
【0078】
チップ2を取り囲む雰囲気の湿度(または露点温度)を変化させることによって第2の中間層6を作成することも可能である。実際、露点温度が支持体4およびチップ2の温度を超えるように湿度が上昇されれば、チップ2の親水性面(ここでは後面21)に水滴が現れることになる。乾燥した支持体5が、次いで近づけられてチップ2の後面21上の水滴と接触できる。親水性表面の露点温度が常に疎水性表面の露点温度より僅かに低いので、温度が親水性の露点温度より直ぐ上であれば、チップ2の背面21に水の液滴を得るだけであることが可能である。しかしながら、たとえ温度が疎水性表面の露点温度より上であるとしても、チップ2は第2の支持体4と同じ平面にはないので、基板5によりチップだけと接触して移載させることが常に可能であろう。
【0079】
図11から図13は、前の指示と組み合わせることができる別の変形実施形態を図示する。
【0080】
実際、移載動作中に第1の支持体と第2の支持体との間のオフセット調整を使用することが可能である。図11は、前のように、チップ2が支持体に対して弱結合で懸垂される第1の支持体1を図示する。中間層3が、上のように液滴の形態で、チップ2の前面22を覆う。
【0081】
今回、第2の支持体4は、チップ2との組付け表面を達成する表面411が設けられる面41を有しており、表面411は面41の周囲面412に対して突き出ている。この配置により、層3の材料を表面412とよりはむしろ表面411と接触させることを支持することを可能にすることが理解される。好ましくは、表面411がその上親水性である(前述した親水化する処理を再び参照できる)一方で、表面412は疎水性である。表面411の周囲の側面は好ましくは疎水性表面の一部である。
【0082】
この理化学的構成のため、液滴は、組付け表面411に密着する自然の傾向を有することになる。たとえ横ずれがあるとしても、チップ2と組付け表面411との間の第1の支持体1の面14の平面において。このずれは、ここで図11に寸法dによって表現される。
【0083】
図12は、ずれにもかかわらず、層3が表面411と前面22との間に毛管ブリッジを形成することを図示する。層3の排除後に、生成された直接接着は、それ故、図13に図示されるように、所望の組付け表面411に精密に局所化される。
【0084】
そのため第2の支持体4に使用される組付け表面411の突出配置、および有利には周囲面412に対する親水性が、図9に図示されるように第2の移載を引き起こす実施形態の場合には、必要な変更を加えて応用できることが理解される。この場合、親水性のかつ/または突き出た組付け表面を、それを囲む面51の範囲に対して有する面51を有するように構成されるのは有利には第3の支持体5である。
【0085】
好ましくは、チップと協働すると意図される親水性のかつ/または突き出た表面は、それが第2の支持体4の場合であろうと第3の支持体5の場合であろうと、対応するチップの面と同じ寸法を有する。
【0086】
図14から図21は、別の実施形態に係る一連の潜在的なステップを図示する。この例は、第2の支持体の面でチップの間隔が小さい、チップの個別移載のために特に有利である。これにより例えば後の追加移載を可能にしており、これは、高最終チップ密度および/または各チップの精密アライメントで第3の支持体に一括とすることができる。
【0087】
図14において、チップを製造するためのベースであると意図される材料のプレート10が使用される。例えば、それは、約350μm(+/-25μm)の厚さの、潜在的に直径が50mmのInPプレートであり得る。有利には、例えば、プレートの前面に接触しないようにプレートをその縁によって保持する機械で、遠心塗布(スピンコーティングとして知られている)によって非粘着フィルムが成膜される。
【0088】
図15は、プレート10からのチップ2の個片化を図示する。これは切断でよい。チップのサイズは限定的でないが、それらは10x10mm程のチップとすることができる。ここで前面が参照22に、後面が参照21に対応する。非粘着フィルムを受けてこの面を疎水化するのは表面22である。
【0089】
各チップ2は、ピックアンドプレースヘッド110を備える変位装置100によって把持できる。上に示したように、「ピックアンドプレース」として知られている技術をここで使用できる。ピックアンドプレースヘッド110はチップ保持システムを含む。このために、それは、チップ2の面に向かって位置決めされると意図されるその部品に、チップを少なくとも部分的に受けることが可能なキャビティを備えてよい。このキャビティのピラミッド形状により、面の境界への接触を制限することによって、キャビティへ嵌まるチップの面に接触しないことを可能にする。チップの支持は、チップを縁によって支持するクランプ技術によって、または低圧効果(真空によって達成される吸引効果)によってもしくはベンチュリ効果によって実施できる。これらのケースは限定的でない。一般に、ピックアンドプレースヘッドにチップを保持するための任意のシステムを使用できる。そのようなシステムを起動することでチップを支持することになり、逆にそれを停止することでそれを解放することを可能にすることになる。
【0090】
ヘッド110は、図16のケースに従って、例えばハンドルである、初期の支持体7上のチップ2がある場所に置くことを可能にする。ハンドルは、単に平面を持つプレートの形態に図式化された。しかしながら、それは、例えば個別のチップ受けキャビティを含む種類の、より複雑なハンドルでよい。このステップは、チップ2の、特に後面21の表面処理を実行するために有用とすることができる。例えば、それは炭化水素の除去であることができ、二酸素プラズマで実施できる。加えてまたは代替的に、それは、典型的にメガソニック処理による微粒子除去とすることができる。
【0091】
新たなチップ移載2を行うためにプレースメント装置200が使用される。装置200は、初期変位装置100に対して上記した種類でよい。それは、任意選択で同じ装置でよい。本実施形態において、そのピックアンドプレースヘッドを用いて第1の支持体1を提供するのは装置200である。このステップでは、チップ2は、それ故、装置200のヘッドによって形成される支持体1と一体であり、チップ2を支持するために、このヘッドを保持するためのシステムが起動される。
【0092】
この新たな変位の間に、チップ2の前面22に液滴31の形態の液体皮膜を付着させることを可能にする液滴付着ツール400に達する。商標Microdrop(登録商標)下で販売されているものなど、市場に存在する液滴付着ツールを使用することができる。
【0093】
任意選択で、液滴31があまりに急速に蒸発するのを防止するために、ツール400を取り囲む雰囲気の湿度を制御できる。
【0094】
図16のさらに右に行くと、装置200は、その面22が液滴31を保持するチップ2を第2の支持体4に向けて変位させるために再び使用される。ここで再び、あまりに急速な蒸発を回避するために雰囲気を制御できる。上の混合点線フレームがこの雰囲気を図式化している。
【0095】
第2の基板4の面41と液滴31を接触させる結果として中間層3となる。第2の基板4は、液滴31との接触が凝固をもたらすように構成される温度に置かれる。前例のように、面41への接触に対して事前にまたは事後に冷却を実施できる。しかしながら、複数のチップ2の移載の場合には、チップ2を置く前に第2の支持体4を冷却するように選ぶことが可能である。
【0096】
面41上でのチップ2の位置決めを、基板4に存在し、かつ装置200によって検出できる位置合せマークに関して決定した方式で実施できる。位置決め精度は、例えば±10μm台で達成できる。
【0097】
支持体4は、例えば一時基板とすることができる。その面41は、有利にはチップ受け表面において、それらを保持するために個別のキャビティを設ける必要なく、平坦である。有利には、面41はチップ2の面22のように疎水性である。
【0098】
前の通り、中間層3の材料の冷却により、それを凝固させる。チップ2はこの段階の間、第2の支持体4に安定化および定着される。
【0099】
チップ2は次いで第1の支持体から解放できる。取外しは、チップへのそのような部材の把持を解除すること(例えば:クランプの開放、真空のまたはベンチュリ効果の排除)によって実施できる。
【0100】
好ましくは、目下、支持体4に複数のチップが存在しており、装置100、200の変位操作を繰り返す。チップは、第2の支持体4の面41上で共に非常に密であり得る。例えば、チップ間の距離は100μm以下でよく、これは個々のチップ受けキャビティが設けられる支持体にチップを保持するための従来技術では達成され得ない。
【0101】
下の混合点線フレームによって図16に図示される、第2の基板4を取り囲む空間は、凝縮を防止するためにその雰囲気の湿度に関して制御できる。この目的で、雰囲気は十分に乾燥した二酸化炭素であることができ、この二酸化炭素の空間より上に存在する窒素(チップの上部を取り囲む雰囲気を形成する)が、液滴31があまりに急速に蒸発するのを防止するために、異なりかつ十分な湿度を有することができる。
【0102】
その後、第3の支持体5へのチップ2の移載を実行することが可能である。
【0103】
図17から図20における一連のステップにより一例を挙げる。
【0104】
図17において、依然として中間層3を固体状態に維持する温度の第2の支持体4がマンドレル301に置かれる。一般に、この段階では、層3を固体状態に維持することが必要であろう。特に、マンドレルを冷却できる。第3の支持体5のドッキングの準備をするために、後に提示される、第3の支持体5をドッキングさせるときの目標間隔を定めるように、例示のケースでは、支持体4の面41上にウエッジ303が位置決めされる。チップが厚さ350μmのプレートの個片化から得られる例では、チップの厚さ寸法に応じて、高さ375μmのウエッジが、場合により+/-5μmのマージンで適切であり得る。
【0105】
好ましくは、凝縮を回避するために、マンドレル301を取り囲む雰囲気も制御される。
【0106】
マンドレル301を保持する機械は、その上、万力機能を提供するように、第1のマンドレル301に近づいてまたは離れて移動する並進移動が可能な第2のマンドレル302を含む。
【0107】
図18は、第2の支持体4、液滴3およびチップ2によって形成されるスタックより上の第3の支持体5の配置を図示する。事前に、チップ2の面21を受けると意図される第3の支持体5の面51上に液体皮膜が形成される。有利には、面51はチップ2の面21のように親水性である。
【0108】
この皮膜は、中間層3のために挙げた例に従うことができ、かつ特に水または水性とすることができるが、有利には膜の形態で成膜される。それは、面51にわたって広げられる脱イオン水の膜であり得る。上で提供された広がりパラメータが適切である。
【0109】
もちろん、各チップに対して液滴形成を使用することも可能である。しかしながら、膜を作ることで、移載される必要がある全てのチップに対する液体界面を単一ステップで得ることを可能にする。
【0110】
第3の支持体5が、好ましくは第2の支持体4に対して少なくとも+/-100μmの精度でのアライメントで置かれると、それはウエッジ303によって保持される。同時に、膜(または液滴)の厚さは、第3の支持体5の面51が液体と接触されるように構成される。そのためチップ2の面21と第3の支持体5の面51との間に第2の中間層6が形成される。
【0111】
例えばマンドレル301の冷却を止めることによって第2の支持体4の温度を上昇させることによって、中間層3は液体状態に戻る。
【0112】
好ましくは、この加熱は100℃に達せず、周囲の雰囲気は、第2の中間層6があまりに急速に蒸発するのを防止する湿度のレベルを保つ。
【0113】
第2のマンドレル302の下降が図19に図示され、例えば吸引によって第3の支持体5の反対側の面にドッキングする。図19におけるステップは中間層3の液化の前に行うことができる。
【0114】
しかしながら、液体状態へのこの復帰は、第2の基板4からチップ2を取り外す前に行われる。図20に提供される例では、取外しは第2のマンドレル302の上昇によってもたらされて、それと共に第3の支持体5を取り上げる。
【0115】
上記したように、表面の親水性または疎水性に従って第2の支持体4からチップ2を引き出すことが可能である。特に、中間層3を介して関連する、チップ2の後面22のおよび第2の支持体4の面41の表面は好ましくは疎水性であろう。同時に、第2の中間層6を通して接続される、チップ2の前面21のおよび第3の支持体5の面51の表面は好ましくは親水性であろう。疎水性または親水特性を得るために前に挙げた例は本実施形態においても使用できる。
【0116】
親水性および疎水性表面によって誘発される毛管力差は、第3の支持体5にチップ2を支持することを可能にする。
【0117】
好ましくは、中間層6が次いで除去される。それは、数時間の水の自然蒸発とすることができる。チップ2は、最終基板であり得る基板5に直接接着によって接着される。
【0118】
前例のように、面51は、チップの面21との組付け表面の周りに、接着の部位を位置付けるように疎水性の周囲面を含んでよい。この話題に関して、図11から図13を参照しつつ記載したアライメントずれの吸収の現象を参照できる。この場合、加えてまたは代替例として、面51の周囲面512に対して突き出ている組付け表面511を有する面51を使用することも可能である。このケースは図21に相当する。
【0119】
図に図示される様々な実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、それらの特徴の全部または一部の組合せの対象であり得る。これは、支持体へのチップの接着を位置付ける際のアライメントおよび精度を管理するための親水性および疎水性表面の利用において特に当てはまる。これは、液体状態に成膜される層3、6の凝固および液化相の管理に対しても当てはまる。
【0120】
本発明は、上記した実施形態に限定されず、請求項によって包含される全ての実施形態に拡張する。
【符号の説明】
【0121】
1 第1の支持体
2 チップ
3 中間層
4 第2の支持体
5 第3の支持体
6 中間層
7 初期の支持体
10 プレート
11 ベース層
12 埋込層
13 表面層
14 面
15 層
16 固着範囲
21 後面
22 前面
31 液滴
41 面
51 面
100 変位装置
110 ピックアンドプレースヘッド
121 キャビティ
141 固着画定範囲
200 プレースメント装置
210 ピックアンドプレースヘッド
301 第1のマンドレル
302 第2のマンドレル
303 ウエッジ
400 液滴付着ツール
411 表面
412 周囲面
511 組付け表面
512 周囲面
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
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図20
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【外国語明細書】