(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008247
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】OLED用偏光板及びこれを含む画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104824
(22)【出願日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0077929
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514217912
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132,Yakchon-ro,Iksan-si Jeollabuk-do 570-977,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ドンドク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ フン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,イン ソブ
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AA18
2H149AB12
2H149AB19
2H149AB23
2H149BA02
2H149DA04
2H149DA05
2H149DA27
2H149EA03
2H149EA06
2H149FA02Z
2H149FA03W
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2H149FA08Z
2H149FA26Y
2H149FA34Y
2H149FA63
2H149FA66
2H149FB01
2H149FC03
2H149FD05
2H149FD06
2H149FD18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薄型化が可能であると共に、逆カール化が防止され、且つ偏光子内のヨウ素の移行を防止して下部パネルの金属電極の腐食を防止することができるだけではなく、偏光子脱色などの後処理が容易なOLED用偏光板の提供。
【解決手段】偏光子、透湿防止層、及び位相差層が順次積層されているOLED用偏光板であって、前記透湿防止層は、偏光子の視認側と反対側の面に位置し、且つ450g/m
2・24hr以下の水分透湿度を有し、前記位相差層はλ/4位相差層を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子、透湿防止層及び位相差層が順次積層されているOLED用偏光板であって、
前記透湿防止層は、偏光子の視認側と反対側の面に位置し、且つ450g/m2・24hr以下の水分透湿度を有し、
前記位相差層は、λ/4位相差層を含む、OLED用偏光板。
【請求項2】
前記透湿防止層は、少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上が形成され又は形成されていない環状オレフィン重合体フィルム;少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上が形成され又は形成されていないアクリルフィルム;及び少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上が形成されたトリアセチルセルロースフィルムからなる群より選ばれた一つ以上のフィルムである、請求項1に記載のOLED用偏光板。
【請求項3】
前記透湿防止層の面内位相差Roは10nm以下である、請求項1に記載のOLED用偏光板。
【請求項4】
前記透湿防止層の厚さ方向位相差Rthは40nm以下である、請求項1に記載のOLED用偏光板。
【請求項5】
前記位相差層は、λ/4位相差層であるか、視認側からλ/2位相差層とλ/4位相差層が順次積層された位相差層であるか、又は視認側からλ/4位相差層と正のCプレート層とが順次積層された位相差層である、請求項1に記載のOLED用偏光板。
【請求項6】
前記透湿防止層と位相差層とは、粘接着剤層を介して貼り合わされている、請求項1に記載のOLED用偏光板。
【請求項7】
前記位相差層の視認側と反対側の面に粘着剤層が更に積層されている、請求項1に記載のOLED用偏光板。
【請求項8】
前記偏光子の視認側の面に剥離可能な保護フィルムが積層されている、請求項1に記載のOLED用偏光板。
【請求項9】
前記粘着剤層の視認側と反対側の面に剥離フィルムが更に積層されている、請求項7に記載のOLED用偏光板。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載のOLED用偏光板;及び
前記OLED用偏光板の視認側と反対側の面に積層されたOLEDパネルを含む、画像表示装置。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか一項に記載のOLED用偏光板;
前記OLED用偏光板の視認側と反対側の面に積層されたOLEDパネル;及び
前記OLED用偏光板の視認側の面に透明接着剤層を介して貼り付けられてカバーウィンドウを含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLED用偏光板及びこれを含む画像表示装置に係り、より詳しくは、薄型化が可能であると共に、逆カール化が防止され、且つ偏光子内のヨウ素の移行を防止して下部パネルの金属電極の腐食を防止することができるだけではなく、偏光子脱色などの後処理が容易であり、且つ高湿環境下でも位相差変化を防止することができるOLED用偏光板及びこれを含む画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)パネルは電極露出によって太陽光、照明などのような外光を反射させ得る。このため、有機発光ダイオード(OLED)パネルは反射された外光によって視認性やコントラスト比が低下して表示品質に劣ることがある。
【0003】
そこで、大韓民国特許公開第2009-0122138号に開示されたように、電源offの状態で表面の外光反射を遮断しブラック視感を有するために、線偏光子とλ/4位相差層とを組み合わせた円偏光板をOLEDパネルの視認側に取り付けて用いる手立てが提示されたことがある。
【0004】
近年、ディスプレイ装置の薄型化に伴い偏光板の薄型化も要求されている。また、このような薄型化の要求に応じてOLEDパネルのITO腐食を防止するためのパッシベーション層を無くす傾向にある。これに伴い、偏光子からパネルへのヨウ素の移行を遮断してITOの腐食を防止する必要がある。
【0005】
一方、偏光板はハンドリングが要求されるためカールを最大限に抑制するのが好ましい。カールが発生した偏光板、特に逆カールが発生した偏光板はパネルへの接合の際に接合気泡の発生などといった工程上の問題が生じる。
【0006】
さらに、ディスプレイ装置のカメラのような部品の上に偏光板が位置する場合、カメラレンズの視認性を向上させるために脱色(bleaching)が必要となる。したがって、後処理が容易な偏光板についての開発が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、薄型化が可能であると共に、逆カール化が防止され、且つ偏光子内のヨウ素の移行を防止して下部パネルの金属電極の腐食を防止することができるだけではなく、偏光子脱色などの後処理が容易であり、且つ高湿環境下でも位相差変化を防止することができるOLED用偏光板を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記OLED用偏光板を含む画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一方で、本発明は、偏光子、透湿防止層、及び位相差層が順次積層されているOLED用偏光板であって、
前記透湿防止層は、偏光子の視認側と反対側の面に位置し、且つ450g/m2・24hr以下の水分透湿度を有し、
前記位相差層はλ/4位相差層を含む、OLED用偏光板を提供する。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記透湿防止層は、少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上が形成され又は形成されていない環状オレフィン重合体フィルム;少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上が形成され又は形成されていないアクリルフィルム;及び少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上が形成されたトリアセチルセルロースフィルムからなる群より選ばれた一つ以上のフィルムであってよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記透湿防止層の面内位相差Roは10nm以下であってよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記透湿防止層の厚さ方向位相差Rthは40nm以下であってよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記位相差層は、λ/4位相差層であるか、視認側からλ/2位相差層とλ/4位相差層が順次積層された位相差層であるか、又は視認側からλ/4位相差層と正のCプレート層が順次積層された位相差層であってよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記透湿防止層と位相差層とは、粘接着剤層を介して貼り合わされていてよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記位相差層の視認側と反対側の面に粘着剤層が更に積層されていてよい。
本発明の一実施形態において、前記偏光子の視認側の面に剥離可能な保護フィルムが積層されていてよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記粘着剤層の視認側と反対側の面に剥離フィルムが更に積層されていてよい。
【0017】
他の一方で、本発明は、前記OLED用偏光板;及び
前記OLED用偏光板の視認側と反対側の面に積層されたOLEDパネルを含む、画像表示装置を提供する。
また他の一方で、本発明は、前記OLED用偏光板;
前記OLED用偏光板の視認側と反対側の面に積層されたOLEDパネル;及び
前記OLED用偏光板の視認側の面に透明接着剤層を介して貼り付けられているカバーウィンドウを含む、画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るOLED用偏光板は、薄型化が可能であると共に、逆カール化が防止され、且つ偏光子内のヨウ素の移行を防止して下部パネルの金属電極の腐食を防止することができるだけではなく、偏光子脱色などの後処理が容易であり、且つ高湿環境下でも位相差変化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板の概略的な断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板の概略的な断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板の概略的な断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板の概略的な断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板の概略的な断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0021】
本発明は、偏光子の視認側と反対側の面にのみ透湿防止層が積層され、視認側の面には透湿防止層がなく、偏光子の保護フィルムが剥離されると最外層に偏光子が露出する構造を有するOLED用偏光板に関する。
【0022】
本発明に係るOLED用偏光板は、偏光子の視認側と反対側の面にのみ透湿防止層を備えることで偏光板の薄型化が可能である。また、本発明に係るOLED用偏光板は、偏光子の視認側と反対側の面に透湿防止層が積層される構造を有することで偏光子から下部パネルへのヨウ素の移行が防止され、下部パネルの金属電極の腐食を防止することができるだけではなく、偏光子の乾燥雰囲気での収縮によって偏光板の逆カール化が防止でき、且つ高湿環境下でも位相差変化を防止することができる。乾燥雰囲気下で偏光子は長手方向に収縮するが、透湿防止層の下部に位置する層は透湿防止層が水分を遮断することで寸法変化が偏光子に比べて少なくなる。これにより、偏光子と透湿防止層との間で長さの差が生じるようになり、このとき、偏光子と透湿防止層とが層間接着によって固定されており、視認側方向への正カール化現象が誘導されることで視認側と反対側の面への逆カール化現象を防止することができるようになる。従って、パネルへの偏光板の接合時の接合気泡の発生や、アラインメント不良(misalignment)などの現象を防止することができる。
【0023】
さらに、本発明に係るOLED用偏光板は、偏光子の視認側の面には透湿防止層がなく、偏光子の脱色などの後処理が容易である。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板の構造断面図である。
【0025】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板100は、順次積層された偏光子110、透湿防止層120、及び位相差層130を含む。
【0026】
前記偏光子110は、親水性高分子フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色し配向させて製造され、親水性高分子フィルムとしては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分的にケン化されたポリビニルアルコール系フィルムなどが用いられる。
【0027】
ポリビニルアルコール系フィルムは、重合度が通常500~10,000であり、好ましくは、1,000~6,000であり、より好ましくは、1,400~4,000であるものが用いられてよい。ケン化されたポリビニルアルコール系フィルムの場合、ケン化度は、溶解性の面から、好ましくは、95.0モル%以上、より好ましくは、99.0モル%以上、さらに好ましくは、99.9モル%以上のものが用いられてよい。
【0028】
親水性高分子フィルムとしては、ポリビニルアルコール系フィルムの他にも、ヨウ素又は二色性染料にて染色され得るフィルムであればその種類が特に制限されるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム、セルロースフィルム、及びこれらの部分的にケン化されたフィルムなどのような親水性高分子フィルムと、脱水処理されたポリビニルアルコール系フィルム、及び脱塩酸処理されたポリ塩化ビニルなどのようなポリエン配向フィルムが用いられてよい。
【0029】
前記偏光子110の厚さは、特に制限されないが、例えば、2~40μmの範囲であり、好ましくは、2~30μmの範囲であり、より好ましくは、5~10μmの範囲である。前記偏光子110の厚さが前記範囲であると、偏光板の薄膜化及び乾燥/調湿環境下での偏光子の収縮/膨張による収縮力を低減することができ、カール(curl)発生の最小化が可能である。
【0030】
前記透湿防止層120は、偏光子の視認側と反対側の面に位置するように偏光子110に貼り付けられる。
【0031】
前記透湿防止層120は、低透湿フィルムであって、450g/m2・24hr以下、例えば、0.1~450g/m2・24hrの水分透湿度を有する。
【0032】
前記水分透湿度(water vapor transmission rate)は、単位面積、単位時間の間に当該層(layer)を通過する水分の量を示す。
【0033】
前記水分透湿度は、温度40℃及び相対湿度90%の条件で24時間水分を投入して測定した値である。
【0034】
前記透湿防止層120の水分透湿度が450g/m2・24hr超であると、偏光子から下部パネルへのヨウ素の移行を防止し難く、且つ偏光板の逆カール化が発生することがある。
【0035】
前記透湿防止層120は、面内位相差Roが10nm以下の低位相差層であってよい。前記透湿防止層120の面内位相差Roが10nm超であると、正面反射色相がニュートラルブラックから青みや赤みに変わることがあり、光漏れ現象が起きることがある。
【0036】
前記透湿防止層120は、厚さ方向位相差Rthが40nm以下であってよい。前記透湿防止層120の厚さ方向位相差Rthが40nm超であると、斜面反射色相がニュートラルブラックから青みや赤みに変わることがある。
【0037】
前記透湿防止層120としては、水分透湿度や位相差を考慮したうえで適切な低透湿フィルムを選択して用いてよい。例えば、前記透湿防止層120としては、少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上が形成され又は形成されていない環状オレフィン重合体(COP)フィルム;少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上が形成され又は形成されていないアクリルフィルム;少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上が形成されたトリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどを用いてよく、これらは単独で又は二種以上組み合わせて用いてよい。
【0038】
TACフィルムは、水分透湿度が1,000g/m2・24hr以上であるので、少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上を形成させて用いられる。このとき、ハードコーティング層は、TACフィルムの視認側又は視認側と反対側の面のいずれにも位置してよい。前記紫外線硬化型接着剤層は、TACフィルムの視認側に位置してTACフィルムの水分透湿度を下げると共にTACフィルムを偏光子に貼り付ける役割をすることができる。
【0039】
例えば、前記少なくとも一方の面にハードコーティング層及び紫外線硬化型接着剤層のうちの一つ以上が形成されたトリアセチルセルロース(TAC)フィルムは、視認側から紫外線硬化型接着剤層及びTACフィルムが順次積層された構造、紫外線硬化型接着剤層、TACフィルム及びハードコーティング層が順次積層された構造、TACフィルム及びハードコーティング層が順次積層された構造、ハードコーティング層及びTACフィルムが順次積層された構造などであってよい。
【0040】
前記環状オレフィン重合体(COP)フィルム及びアクリルフィルムは、水分透湿度が450g/m2・24hr以下であるので、別途のハードコーティング層又は紫外線硬化型接着剤層なしでも透湿防止層120に適用され得る。なお、前記環状オレフィン重合体(COP)フィルム及びアクリルフィルムもまた、必要に応じてハードコーティング層及び/又は紫外線硬化型接着剤層を備えてよい。
【0041】
前記ハードコーティング層は、当該技術分野において通常用いられるハードコーティング組成物を用いて形成されてよい。
【0042】
前記ハードコーティング組成物は、透光性樹脂、光開始剤及び溶剤を含んでよい。
【0043】
前記透光性樹脂は光硬化型樹脂であり、当該光硬化型樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はモノマーを含んでよい。
【0044】
前記光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを用いてよい。
【0045】
前記モノマーは、通常用いるものを制限なしに用いてよく、光硬化型官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などの不飽和基を分子内に有するモノマーが好ましい。
【0046】
前記光開始剤は、光照射によってラジカルを形成できるものであって当該技術分野において用いられるものであれば制限されずに用いてよい。例えば、ヒドロキシケトン類、アミノケトン類、水素引き抜き型光開始剤などを用いてよい。
【0047】
前記溶剤は、当該技術分野において用いられるものであれば制限されずに用いてよく、例えば、アルコール系、ケトン系、アセテート系、ヘキサン系、ベンゼン系、エーテル系などが用いられてよい。
【0048】
前記ハードコーティング組成物は、前記らの成分以外にも、当該技術分野において一般に用いられる成分、例えば、レベリング剤、紫外線安定剤、熱安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、潤滑剤、防汚剤などが更に含まれてよい。
【0049】
前記ハードコーティング層は、前記ハードコーティング組成物を塗布し硬化させることで製造してよい。
【0050】
前記ハードコーティング層の厚さは特に限定されず、例えば、1~30μm、好ましくは、3~20μmであってよい。前記ハードコーティング層の厚さが前記範囲内で含まれると、水分透湿度が450g/m2・24hr以下に制御可能となり、且つ優れた硬度及び耐屈曲性を得ることができる。
【0051】
前記紫外線硬化型接着剤層は、当該技術分野において通常用いられる紫外線硬化型接着剤から形成されてよい。
【0052】
前記紫外線硬化型接着剤としては、(メタ)アクリレート系接着剤、エン・チオール系接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤などの光ラジカル重合反応を用いる接着剤やエポキシ系接着剤、オキセタン系接着剤、エポキシ・オキセタン系接着剤、ビニルエーテル系接着剤などの光カチオン重合反応を用いる接着剤などが挙げられる。
【0053】
前記紫外線硬化型接着剤層の厚さは特に限定されず、例えば、0.01~10μm、好ましくは、0.5~5μmであってよい。前記紫外線硬化型接着剤層の厚さが前記範囲内で含まれると、水分透湿度が450g/m2・24hr以下に制御可能となり、且つ優れた接着力及び耐屈曲性を得ることができる。
【0054】
前記透湿防止層120は、接着剤層(図示せず)を介して偏光子110に貼り付けられてよい。このとき、透湿防止層120として紫外線硬化型接着剤層が形成された低透湿フィルムを用いる場合は、別途の接着剤層が不要になることがある。
【0055】
前記接着剤層は、水系接着剤又は紫外線硬化型接着剤から形成されたものであってよい。
【0056】
前記水系接着剤は、接着成分を水に溶解又は分散させた接着剤であって、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を含み、接着性を向上させるためにイソシアネート系化合物やエポキシ化合物などの架橋剤又は硬化性化合物を含んでよい。
【0057】
前記紫外線硬化型接着剤は前述したものと同じものを用いてよい。
【0058】
前記接着剤層の厚さは特に限定されず、例えば、0.01~10μm、好ましくは、0.5~5μmであってよい。前記接着剤層の厚さが前記範囲内で含まれると、優れた接着力及び耐屈曲性を得ることができる。
【0059】
前記透湿防止層120の厚さは5~60μmの範囲であり、好ましくは、5~50μmの範囲であり、より好ましくは、10~40μmの範囲である。前記透湿防止層120の厚さが5μm未満であると、偏光板の製作や、取り扱いの際に剥離、割れ現象が生じ易く、また60μm超であると、偏光板の薄型化を具現し難くなることがある。
【0060】
前記透湿防止層120の視認側と反対側の面に位相差層130が積層される。
【0061】
前記位相差層130は、例えば、延伸され又は延伸されていない高分子フィルムであってよく、反応性液晶化合物を硬化させてなる液晶層であってよい。
【0062】
例えば、前記位相差層130が液晶層から製造される場合は、光学異方性を有し、光又は熱による架橋性を有する液晶化合物である反応性液晶化合物(RM)を用いてよい。
【0063】
前記位相差層130は、λ/4位相差層を含む。
【0064】
λ/4位相差層は、入射した線偏光を楕円偏光又は円偏光に変換させ、逆に入射した楕円偏光又は円偏光を線偏光に変換させることができる。これにより、λ/4位相差層は、OLEDパネルに適用されて外光の反射を防止することができるので、電源offの状態でブラック視感を具現することができる。
【0065】
前記位相差層130は、単一層構造であるか又は2つ以上の層が積層された多層構造を有してよい。前記位相差層130が単一層構造である場合、前記位相差層130は、λ/4位相差層からなるものであってよい。前記位相差層130が多層構造を有する場合、前記位相差層130は、λ/4位相差層を必須として含み、λ/2位相差層と正のCプレート層のうちの一つ以上を更に含んでよい。このとき、各層は、粘着剤又は接着剤を介して貼り合わされてよく又は直接コーティングによって互いに積層されていてよい。前記λ/2位相差層と正のCプレート層は、反射色相のブラック視感を改善するために用いられてよい。
【0066】
前記粘着剤又は接着剤は、当該技術分野においてよく知られている種々の粘着剤又は接着剤を用いてよく、その種類が特に制限されるものではない。
【0067】
例えば、前記粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などが挙げられる。
【0068】
さらに、前記接着剤としては、光硬化性接着剤が挙げられ、その種類が特に制限されるものではない。
【0069】
前記光硬化性接着剤は、紫外線(Ultraviolet、UV)、電子線(Electron Beam、EB)などの活性エネルギー線を受けて架橋及び硬化されることで強い接着力を示すものであって、反応性オリゴマー、反応性モノマー、光重合開始剤などから構成されてよい。
【0070】
前記反応性オリゴマーは接着剤の特性を決める重要な成分であって、光重合反応により高分子結合を形成して硬化被膜を形成する。使用可能な反応性オリゴマーとしては、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコン系樹脂などが挙げられる。
【0071】
前記反応性モノマーは、前述した反応性オリゴマーの架橋剤、希釈剤としての役割をし、接着特性に影響を及ぼす。使用可能な反応性モノマーとしては、単官能性モノマー、多官能性モノマー、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル類、環状エーテル類などが挙げられる。
【0072】
前記光重合開始剤は、光エネルギーを吸収してラジカル或いはカチオンを生成させて光重合を開始する役割をするものであって、光重合樹脂に応じて適合したものを選択して用いてよい。
【0073】
例えば、
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板100Aは、視認側から偏光子110、透湿防止層120、及びλ/4位相差層131が順次積層された構造を有し、
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板100Bは、視認側から偏光子110、透湿防止層120、λ/2位相差層132、及びλ/4位相差層131が順次積層された構造を有し、
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板100Cは、視認側から偏光子110、透湿防止層120、λ/4位相差層131、及び正のCプレート層133が順次積層された構造を有する。
【0074】
さらに、前記透湿防止層120と位相差層130とは、粘接着剤層125を介して貼り合わされてよい。
【0075】
前記粘接着剤層125は、当該技術分野においてよく知られている種々の粘着剤又は接着剤を用いて形成されてよく、その種類が特に制限されるものではない。
【0076】
例えば、前記粘接着剤層125に使用可能な粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などが挙げられる。
【0077】
さらに、前記粘接着剤層125に使用可能な接着剤としては、光硬化性接着剤が挙げられ、その種類が特に制限されるものではない。
【0078】
前記光硬化性接着剤は、紫外線(Ultraviolet、UV)、電子線(Electron Beam、EB)などの活性エネルギー線を受けて架橋及び硬化されることで強い接着力を示すものであって、反応性オリゴマー、反応性モノマー、光重合開始剤などで構成されてよい。
【0079】
前記反応性オリゴマーは接着剤の特性を決める重要な成分であって、光重合反応により高分子結合を形成して硬化被膜を形成する。使用可能な反応性オリゴマーとしては、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコン系樹脂などが挙げられる。
【0080】
前記反応性モノマーは、前述した反応性オリゴマーの架橋剤、希釈剤としての役割をし、接着特性に影響を及ぼす。使用可能な反応性モノマーとしては、単官能性モノマー、多官能性モノマー、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル類、環状エーテル類などが挙げられる。
【0081】
前記光重合開始剤は、光エネルギーを吸収してラジカル或いはカチオンを生成させて光重合を開始する役割をするものであって、光重合樹脂に応じて適合したものを選択して用いてよい。
【0082】
前記粘接着剤層125の厚さは、0.1~10μmが好ましいが、加工性や耐久性の特性を損なわない範囲で薄く塗るのが好ましく、より好ましくは、1~5μmである。前記粘接着剤層125の厚さが0.1μm未満であると、面内一様な密着性を発現することができず、また10μmを超えると、偏光板の薄型化の具現が難しくなることがある。
【0083】
前記粘接着剤層125は、前記透湿防止層120又は位相差層130のうちのいずれか一方の面に粘着剤及び/又は接着剤を塗布する方法にて形成されてよく、離型シート上に粘着剤及び/又は接着剤を塗布した後に乾燥又は硬化させて製造される粘着シートを前記透湿防止層120又は位相差層130のうちのいずれか一方の面に貼り付ける方法にて形成されてもよい。
【0084】
前記位相差層130の視認側と反対側の面には、粘着剤層135が更に積層されていてよい。前記粘着剤層135は、OLED用偏光板100をOLEDパネル10に貼り付ける役割をする。
【0085】
前記粘着剤層135の材料及び形成方法は、前記粘接着剤層125に用いられた粘着剤と同じものであってよい。
【0086】
前記粘着剤層135の厚さは、10~30μmが好ましいが、加工性や耐久性の特性を損なわない範囲で薄く塗るのが好ましく、より好ましくは、15~25μmである。前記粘着剤層135の厚さが10μm未満であると、パネル内の凹み、損傷などを埋め込むことができず欠点が視認されることがあり、また30μmを超えると、偏光板の薄型化の具現が難しくなることがある。
【0087】
図5に示すように、本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板100は、前記偏光子110の視認側の面に剥離可能な保護フィルム150が積層されてよい。
前記剥離可能な保護フィルム150は、基材、及び該基材の一方の面に形成された粘着剤層を含む。前記粘着剤層は偏光子に貼り付けられ、カバーウィンドウに偏光板を貼り付ける際に前記粘着剤層が偏光子から剥離されて保護フィルム150が容易に除去できる。前記粘着剤層の材料及び形成方法は、前記粘接着剤層125に用いられた粘着剤と同じものであってよい。
【0088】
前記保護フィルム150の基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム;又はポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムなどが挙げられる。
本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板100は、前記保護フィルム150が剥離された後に最外層に偏光子110が位置してよい。
【0089】
前記保護フィルム150の厚さは、10~150μm、好ましくは、25~130μmであってよい。前記保護フィルム150の厚さが10μm未満であると、保護フィルムの剥離が容易にならないことがあり、また150μmを超えると、偏光子との密着性が低下することがある。
【0090】
また、
図5に示す、本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板100は、前記粘着剤層135の視認側と反対側の面に剥離フィルム140が更に積層されてよい。
前記剥離フィルム140は、OLED用偏光板100をOLEDパネル10に貼り付ける際に除去される。
【0091】
前記剥離フィルム140の基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム;又はポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムなどが挙げられる。
【0092】
前記剥離フィルム140の基材は、粘着剤層135と接する表面が離型処理されてよい。前記離型処理は、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキルグラフト化ポリマー系離型剤などの離型剤やプラズマ処理によって表面処理する方法などを用いてよい。
【0093】
前記剥離フィルム140の厚さは、10~150μm、好ましくは、25~130μmであってよい。前記剥離フィルム140の厚さが10μm未満であると、剥離フィルムの剥離が容易にならないことがあり、また150μmを超えると、前記粘着剤層135との密着性が低下することがある。
【0094】
本発明の一実施形態に係るOLED用偏光板100は、視認側と反対側の面にのみ透湿防止層が積層されて薄型化が可能になることにより、全体厚さが100μm以下、例えば、20~90μm、好ましくは、30~80μmであってよい。このとき、OLED用偏光板100の全体厚さは、保護フィルム150と剥離フィルム140の厚さは除いた厚さである。
【0095】
本発明の一実施形態は、前記OLED用偏光板100を含む画像表示装置に関する。
図6を参照すると、本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、前記OLED用偏光板100;及び
前記OLED用偏光板100の視認側と反対側の面に積層されたOLEDパネル(10)を含む。
【0096】
また、本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、
図6に示すように、前記OLED用偏光板100の視認側の面に透明接着剤層20を介して貼り付けられているカバーウィンドウ30を含んでよい。
【0097】
前記透明接着剤層20は、例えば、光学透明粘着剤(optically clear adhesive、OCA)、光学透明レジン(optically clear resin、OCR)などのような粘接着剤を含んでよい。
【0098】
前記カバーウィンドウ30は、外部衝撃に対する耐久性と、ユーザが視認し得る透明性を有する材質であってよい。例えば、前記カバーウィンドウ30は、ガラス又は柔軟性を有する高分子フィルムであってよい。前記ガラスは、フレキシブル特性が具現されたガラス素材を含んでもよい。例えば、前記柔軟性を有する高分子フィルムは、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリエーテルスルホン(polyethersulphone、PES)、ポリアクリレート(polyacrylate、PAR)、ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene napthalate、PEN)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリアリレート(polyarylate)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、セルローストリアセテート(cellulose triacetate、TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate、CAP)などを含んでよい。前記柔軟性を有する高分子フィルムは、少なくとも一方の面上にハードコーティング層が形成されたものであってもよい。前記ハードコーティング層は、前述したハードコーティング組成物を用いて形成されてよい。
【0099】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、有機EL表示装置であってよく、通常のフラットディスプレイ、フレキシブルディスプレイ又は折り畳み式ディスプレイの形態であってよい。
【0100】
以下、実施例及び実験例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例及び実験例は、単に本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではないことは当業者にとって自明である。
【0101】
製造例1:偏光子の製造
平均重合度約2,400、加水分解度99.9モル%以上の厚さ20μmのポリビニルアルコール樹脂フィルム(Kuraray社製)を蒸留水に浸漬させて膨潤させた後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水を重量比10/5/100で混合した水溶液に53℃で1分間浸漬しながら約5倍に一軸延伸した。しかる後、15℃の純水で1.5秒間洗浄してから50℃で5分間乾燥させ、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された厚さ8μmの偏光子を製造した。
【0102】
製造例2:水系接着剤の製造
水100重量部に、完全ケン化型ポリビニルアルコール(Kuraray社製、クラレポバール117H)3重量部、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、ゴーセファイマーZ-200)3重量部、塩化亜鉛(ナカライテスク社製)0.18重量部、及びグリオキサル(ナカライテスク社製)1.4重量部を溶解させて水系接着剤を製造した。
【0103】
実施例1:偏光板の製作
下記方法に従い
図3の実施形態と同じ構造で偏光板を製作した。
【0104】
前記製造例1で製造した偏光子110の視認側と反対側の面に、前記製造例2の水系接着剤を用いて、透湿防止層120として厚さ25μmのCOPフィルム(水分透湿度:10g/m2・24hr)を貼り合わせた。このとき、前記水系接着剤は、60℃のオーブンにて5分間乾燥して硬化させた。
【0105】
厚さ2μmのλ/2位相差層(ディスコチック液晶層)132と厚さ1μmのλ/4位相差層(ネマチック液晶層)131とを紫外線硬化型接着剤(ADEKA社製、KR-70T)を用いて貼り合わせて位相差層130を製造した。このとき、紫外線硬化型接着剤は、2μmの厚さで塗布した後、メタルハライドランプにて250mJ/cm2の積算光量で照射して硬化させた。
【0106】
前記透湿防止層と前記位相差層とを粘接着剤層125を介して貼り合わせた。このとき、前記粘接着剤層としては、厚さ5μmのアクリル系粘着剤(Lintec社製、商品名:#L2)を用いた。
【0107】
前記位相差層の視認側と反対側の面に粘着剤層135を貼り合わせた。このとき、前記粘着剤層としては、厚さ15μmのアクリル系粘着剤(Lintec社製、商品名:#L1)を用いた。
【0108】
実施例2:偏光板の製作
透湿防止層として厚さ20μmのアクリルフィルム(水分透湿度:150g/m2・24hr)を用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。
【0109】
実施例3:偏光板の製作
透湿防止層として厚さ40μmのアクリルフィルム(水分透湿度:100g/m2・24hr)を用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。
【0110】
実施例4:偏光板の製作
透湿防止層として一方の面に厚さ7μmのハードコーティング層が形成された、厚さ25μmのTACフィルム(Toppan社製、商品名:25KCHC-TC、水分透湿度:450g/m2・24hr)を用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。このとき、ハードコーティング層が偏光子の反対側の面に位置するように偏光子と透湿防止層とを貼り合わせた。
【0111】
実施例5:偏光板の製作
透湿防止層として一方の面に厚さ2μmの紫外線硬化型接着剤層が形成された、厚さ25μmのTACフィルム(水分透湿度:400g/m2・24hr)を用い、偏光子と透湿防止層との貼り合わせの際に水系接着剤は特に用いず、前記紫外線硬化型接着剤層を介して貼り合わせたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。このとき、前記紫外線硬化型接着剤層はADEKA社製の紫外線硬化型接着剤(KR-70T)を用いて形成し、2μmの厚さで塗布した後、メタルハライドランプにて250mJ/cm2の積算光量で照射して硬化させた。
【0112】
比較例1:偏光板の製作
透湿防止層として厚さ25μmのTACフィルム(水分透湿度:1,100g/m2・24hr)を用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。
【0113】
比較例2:偏光板の製作
透湿防止層として厚さ40μmのTACフィルム(水分透湿度:800g/m2・24hr)を用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。
【0114】
比較例3:偏光板の製作
透 湿防止層として厚さ60μmのTACフィルム(水分透湿度:500g/m2・24hr)を用いたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。
【0115】
比較例4:偏光板の製作
透湿防止層として一方の面に厚さ5μmの粘着剤層が形成された、厚さ25μmのTACフィルム(水分透湿度:1,000g/m2・24hr)を用い、偏光子と透湿防止層との貼り合わせの際に水系接着剤は特に用いず、前記粘着剤層を介して貼り合わせたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。このとき、前記粘着剤層は、Lintec社製の粘着剤(商品名:#L2)を用いて形成した。
【0116】
比較例5:偏光板の製作
透湿防止層として一方の面に厚さ15μmの粘着剤層が形成された、厚さ25μmのTACフィルム(水分透湿度:900g/m2・24hr)を用い、偏光子と透湿防止層との貼り合わせの際に水系接着剤は特に用いず、前記粘着剤層を介して貼り合わせたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。このとき、前記粘着剤層は、Lintec社製の粘着剤(商品名:#L1)を用いて形成した。
【0117】
比較例6:偏光板の製作
透湿防止層を偏光子の視認側に貼り合わせたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。
【0118】
比較例7:偏光板の製作
透湿防止層を偏光子の視認側と反対側の面と視認側の面との両面に貼り合わせたことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。このとき、視認側の面には厚さ7μmのハードコーティング層が形成された、厚さ25μmのTACフィルム(Toppan社製、商品名:25KCHC-TC、水分透湿度:450g/m2・24hr)を用い、視認側と反対側の面には厚さ25μmのCOPフィルム(水分透湿度:10g/m2・24hr)を用いた。
【0119】
比較例8:偏光板の製作
偏光子、位相差層、及び透湿防止層の積層順に積層したことを除いては、前記実施例1と同様な方法に従い偏光板を製作した。
【0120】
比較例9:偏光板の製作
偏光子、位相差層、及び透湿防止層の積層順に積層したことを除いては、前記実施例2と同様な方法に従い偏光板を製作した。
【0121】
比較例10:偏光板の製作
偏光子、位相差層、及び透湿防止層の積層順に積層したことを除いては、前記実施例4と同様な方法に従い偏光板を製作した。
【0122】
実験例:
前記実施例及び比較例で製造された偏光板の物性を、下記の方法にて測定し、その結果を下記表1に表した。
【0123】
(1)金属腐食の評価
実施例及び比較例の偏光板を50mm×50mm大きさに切断し、偏光子の視認側に厚さ150μmの光学透明粘着剤(3M社製)を介して厚さ500μmのカバーガラスを貼り合わせた。次いで、偏光板の粘着剤層135上にアルミニウム(Al)パターン層が備えられたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り合わせて試片を製作した。
【0124】
前記試片を85℃、85%RHの条件下で240時間放置してから腐食発生の有無を確認し、下記の評価基準によって評価した。
<評価基準>
◎:全く変化なし
○:弱く腐食発生
△:腐食が発生したが、完全透明に変化していない
×:完全透明に腐食
(2)カール特性
実施例及び比較例の偏光板を70mm×150mm大きさに切断し、粘着剤層135が上部に位置するようにガラス板の上に置いた。次いで、前記偏光板を23℃、55%RHの条件下で1時間放置してから、最も高い部分のガラス板からの高さを測定した。
【0125】
(3)位相差変化
実施例及び比較例の偏光板の偏光子上に3mLの水を盛り込み、7日間放置してから、水を除去し面内位相差Ro値の変化を測定した。
【0126】
【0127】
前記表1に表したように、本発明に係る、偏光子の視認側と反対側の面にのみ450g/m2・24hr以下の水分透湿度を有する透湿防止層が積層され、視認側の面には透湿防止層がなく、偏光子の保護フィルムが剥離されると最外層に偏光子が露出する構造を有する実施例1~5の偏光板は、偏光子から下部パネルへのヨウ素の移行が防止されて下部パネルの金属腐食を防止することができるだけではなく、偏光板の逆カール化が防止され、高湿環境下でも位相差変化を防止できることを確認することができる。
【0128】
一方、450g/m2・24hr超の水分透湿度を有する透湿防止層が積層された比較例1~5の偏光板は、偏光子から下部パネルへのヨウ素移行を防止することができず下部パネルの金属腐食が発生するだけでなく、偏光板の逆カール化防止が難しく、高湿環境下で位相差変化が大きいことを確認することができる。また、透湿防止層を偏光子の視認側に貼り合わせた比較例6、透湿防止層を偏光子の視認側と反対側の面と視認側の面との両面に貼り合わせた比較例7、及び偏光子、位相差層、及び透湿防止層の積層順に積層させた比較例8~10の偏光板は、下部パネルの金属腐食を防止し難く、又は偏光板の逆カール化が発生し、又は高湿環境下で位相差変化が大きいことを確認することができる。
【0129】
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような具体的な記述は単に好適な具現例であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容を基に本発明の範疇内で種々の応用および変形を行うことが可能であろう。
【0130】
したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とその等価物によって定義されると言えよう。
【符号の説明】
【0131】
10 OLEDパネル
20 透明接着剤層
30 カバーウィンドウ
100 OLED用偏光板
110 偏光子
120 透湿防止層
125 粘接着剤層
130 位相差層
131 λ/4位相差層
132 λ/2位相差層
133 正のCプレート層
135 粘着剤層
140 剥離フィルム
150 保護フィルム