(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082482
(43)【公開日】2022-06-02
(54)【発明の名称】フェイスガード
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220526BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193930
(22)【出願日】2020-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】720009837
【氏名又は名称】玉置 浩之
(72)【発明者】
【氏名】玉置 浩之
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
2E185CC32
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】眼鏡に装着し飛沫の噴出を抑制するフェイスガードを提供する。
【解決手段】本発明のフェイスガードは、フェイスガードを装着した眼鏡の着用者から発生する飛沫の噴出を抑制するためのフェイスガード本体、眼鏡の鼻パッド及びパッド足に装着する固定部、フェイスガードの内側と外側を換気する換気構造体、顔面部への密着を防止する密着防止部が設けられている。また、本発明のフェイスガードは、装着時、係止フック部により平面体から顔面部に沿った湾曲体を形成する。更に固定部と2つの密着防止部が三角形の頂点に位置するため、使用時のフェイスガードを安定させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡の鼻パッド及びパッド足に着脱する固定部と、顔面部を覆うフェイスガード本体と、前記フェイスガード本体の肌への密着を防止する密着防止部であって、
前記フェイスガード本体には、前記フェイスガードを平面体から前記顔面部に沿った湾曲体を形成するための係止フック部を備えることを特徴とするフェイスガード。
【請求項2】
前記密着防止部を2つ備え、前記固定部と前記密着防止部が三角形の頂点の位置関係となり、前記フェイスガード本体と前記フェイスガード装着者の顔面とに空隙を形成することを特徴とする請求項1に記載のフェイスガード。
【請求項3】
前記フェイスガード本体に、前記フェイスガードの内側と外側を換気するための換気構造体を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載のフェイスガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡に着脱するフェイスガードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフェイスガードの中には、眼鏡の着用者も使用できるものがあり、弾性を有する湾曲体と、湾曲体の外面に取り付けられる複数の係止体と、係止体に支持されると共に、係止させて湾曲状に保持される透明性を有する面材とを備えるもので、首を保護すると共に、眼鏡を着用する者も使用できるとされる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、使用者の眼鏡の着用の有無に関わらず、鼻と両耳に架け渡して顔面に装着する固定具と、固定具の外側に取り付けられて顔面を覆い、通気孔を有するシールドと、シールドの下端部に保持されてシールドの下端と顔面との相互間に生じる隙間を覆う受け部材から構成されるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-189543号公報
【特許文献2】特開2006-057202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているフェイスガードは、作業中の装着者が油等の液体や粉塵から顔面を保護することを考慮している。その構造内に設置されている湾曲体が、装着者の首等を外側から挟み込んだ状態で使用される構造である。フェイスガード本体の湾曲体は、顔面全体を覆う形状で装着者の首等に装着されるため、スポーツ等の運動時にフェイスガードを装着した場合、フェイスガードが安定した状態を維持することは難しいと考えられる。
【0006】
特許文献2に記載されているフェイスガードは、その構造内に略眼鏡のフレーム様の固定具と、固定具の外側に顔面全体を覆うシールド、更にはシールドの下端部にシールドと顔面との相互間に生じる隙間を覆う部材が設定された構造である。これは医薬品や食品関係者等の工場の包装工程のラインにおいて、作業者の睫毛や眉毛等の異物が落下して製品の中に混入してしまうことを防止することを考慮している。したがって、身体的に大きな動きを伴うスポーツ等の運動時には、シールド下部の受け部材が運動の障害となる。また、シールドに設けられた通気孔は、フェイスガードの内側と外側を換気する構造体を有していない。
【0007】
そこで本発明に係るフェイスガードは、上記事情に基づいてなされたものである。眼鏡の着用者が装着することで飛沫の噴出を抑制し、スポーツ等の運動を行う際に使用しても、フェイスガードを安定した状態で装着できること、また、フェイスガードの内側と外側を換気する換気構造体を有することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のフェイスガードは、眼鏡の鼻パッド及びパッド足に着脱する固定部と、顔面部を覆うフェイスガード本体と、前記フェイスガード本体の肌への密着を防止する密着防止部と、前記フェイスガード本体には、前記フェイスガードを平面体から顔面部に沿った湾曲体を形成するための係止フック部と、を備えている。
前記密着防止部を2つ備え、前記固定部と前記密着防止部は三角形の頂点の位置関係となるため、眼鏡の着用者が前記フェイスガードを安定した状態で装着することが可能となる。また、前記フェイスガード本体に、フェイスガードの内側と外側を換気するための換気構造体を備えることで、フェイスガードや眼鏡の内側が呼気により曇ることを抑制する。この際、前記フェイスガード本体と装着者の顔面とに空隙を形成することで、前記換気構造体を設置することが容易となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記の通り、フェイスガードを装着した眼鏡の使用者が、フェイスガードの固定部と密着防止部により、フェイスガードを安定した状態で装着できる。フェイスガードの内側と外側を換気するための換気構造体は、飛沫の噴出や眼鏡の曇りを抑制する。また、フェイスガードは部材のプレス加工で成形できるため製造コストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のフェイスガードの使用時を示す斜視図である。
【
図2】眼鏡の鼻パッド及びパッド足にフェイスガードの固定部により装着した状態を示すフェイスガード上部の裏面図である。
【
図6】(a)係止フックの正面図、(b)切り込み部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係るフェイスガードの構成について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明のフェイスガードを眼鏡に装着し使用した実施例の斜視図である。フェイスガード1は、眼鏡の鼻パッド及びパッド足に着脱する固定部20と、略正面下側の顔面部を覆うフェイスガード本体10と、フェイスガード本体10の左右上辺の側辺近傍に、フェイスガード本体10の左右上辺の側辺近傍の内面が頬部の肌へ密着することを防止する密着防止部40から形成される。また、フェイスガード本体10の左右両側に換気構造体30A~30C、フェイスガード正面中央部に換気構造体60及び正面下部に換気構造体70を備える。
【0013】
図2は、眼鏡の鼻パッド及びパッド足に固定部20により装着したフェイスガード1の上部の裏面図である。フェイスガード1の正面中央上部の三角状の固定部20は、三角状の内側に略V字形の開口部21を有する。開口部21の形状、大きさは問わない。開口部21に眼鏡の鼻パット及びパット足を嵌通させることでフェイスガード1が眼鏡に装着される。また、固定部20と2つの密着防止部40が三角形の頂点の位置関係となることにより、安定した状態でフェイスガード1を使用できる。そのため、フェイスガード1を装着させた眼鏡を着用し、敏速で不規則な身体の運動が発生するスポーツ等を実施する際にも、フェイスガード1を安定した状態で使用することができ、運動意識への影響が抑えられる。
【0014】
図3は本発明のフェイスガード1の立体正面図である。フェイスガード本体10の正面下部の換気構造体70は、下部近傍に係止フック部50を備える。
【0015】
フェイスガード1の使用時は、フェイスガード1の平面体から、係止フック部50の係止により、顔面部に沿った湾曲体とする。更に、開口部21に眼鏡の鼻パッド及びパッド足を嵌通させ、フェイスガード1を眼鏡に巾着させる。
【0016】
固定部20の形状、大きさ及び部材は、所定の強度と耐性を有し、繰り返しの眼鏡への着脱や、眼鏡着用時の環境状況に影響されないことが望ましい。特に身体が大きく動揺し、不規則な動作が発生するスポーツ等の実施時にフェイスガードを使用するためには、装着したフェイスガード1による運動意識への影響が抑制できる部材とすることが望ましい。
【0017】
図4に示した密着防止部40は、フェイスガード本体10の左右上辺の側辺近傍に設置される。密着防止部40は、フェイスガード本体10と顔面部とに空隙を設け、フェイスガード本体10の左右上辺の側辺近傍の内面が頬部の肌へ密着することを防止する。密着防止部40は、略L字状に屈曲させた長辺部40C及び短辺部40Dから形成される。前記長辺部40C及び前記短辺部40Dは、フェイスガード本体10の左右上辺の側辺近傍に略コ字形の切り込み部40Aと折り曲げ線40Bからなる矩形部を、フェイスガード本体10の内側に起曲後、前記矩形部の先端に設置する前記短辺部40Dを屈曲させ形成する。この際、前記短辺部40Dの屈曲方向は問わず、顔面接触部である短辺部40Dが顔面部の肌と接触する。また、密着防止部40は、フェイスガード1が持つ弾性力により、短辺部40Dが所定の押圧力により顔面部に接触するため、フェイスガード1は安定した状態となる。
【0018】
ここで、2つの密着防止部40と固定部20は、三角形の頂点の位置関係となるため、フェイスガード1を使用する際、フェイスガード1は安定した状態となる。また、密着防止部40の設置によりフェイスガード本体10と装着者の顔面部とに空隙を形成するため、換気構造体30A~30Cの設置が容易となる。更に、フェイスガード1内の呼気がフェイスガード1の上方へ流出しやすい形態となる。
【0019】
密着防止部40は、フェイスガード本体10の部材から形成する以外に、別途形成された略L字状の密着防止体を接着し、同様の目的とすることを問わない。
【0020】
換気構造体30A~30Cは、略等脚台形の下底以外の三辺が切り込まれ、下底に沿い略等脚台形部を起曲させた換気窓を有し、フェイスガード本体10内に併設される。また、換気構造体30A~30Cは、眼鏡の着用者がフェイスガード1を装着した際、呼気や顔面部の温度上昇によるフェイスガード1や眼鏡の内側の曇りを抑制する。
【0021】
ここで、換気構造体30A~30Cの前記換気窓は、フェイスガード本体10からの起曲方向や角度は問わず、起曲しないことも可能である。換気構造体の形状、大きさ、数は問わない。また、換気構造体30A~30Cを設置しないことも可能である。
【0022】
図1、
図3に示すように、フェイスガード本体10の左右最上部の換気構造体30Aとフェイスガード本体10の左右中間部の換気構造体30Bは、主にフェイスガード1の内気をフェイスガード1の外側へ排出するため、換気窓をフェイスガードの内側下方に起曲している。また、フェイスガード本体10の左右最下部の換気構造体30Cは、主に装着者の呼気をフェイスガード1の外側に排出するため、換気窓をフェイスガード1の内側上方に起曲している。
【0023】
図5は、フェイスガードの平面表図である。フェイスガード1はフェイスガード本体10の中央下部の左右内側の辺縁部に、切り込まれ形成される屈曲部61Aと屈曲部61Bを有する。前記屈曲部61Aと前記屈曲部61Bの形状、大きさは問わない。また、フェイスガード本体10の左右下部の辺縁部に、切り込まれ形成される屈曲部71Aと屈曲部71Bを有する。前記屈曲部71Aと前記屈曲部71Bの形状、大きさは問わない。
【0024】
ここで、換気構造体60は、前記屈曲部61Aと前記屈曲部61Bが、フェイスガード1の平面体から顔面部に合わせた湾曲体を形成する際、重なり合うことにより形成される。また、換気構造体60は、フェイスガード1の装着者の口の略正面に略正対する。そのため、装着者の飛沫の噴出を抑制すると共に、重ね合わせた屈曲部間に形成された隙間により、フェイスガード1の内側と外側の換気が可能となる。
【0025】
同様に、換気構造体70は、前記屈曲部71Aと前記屈曲部71Bが、フェイスガード1の平面体から顔面部に合わせた湾曲体を形成する際、重なり合うことにより形成される。また、換気構造体70は、フェイスガード1の装着者の下顎部の下面前方に略正対する。そのため、装着者の顔面の下方向からのフェイスガード1の内側への異物の侵入を抑制すると共に、重ね合わせた屈曲部間に形成された隙間により、フェイスガード1の内側と外側の換気が可能となる。
【0026】
図6(a)及び(b)に示すように、前記屈曲部71Aと前記屈曲部71Bは係止フック部50を備えている。係止フック部50は、左右いずれかの屈曲部の下部の側辺近傍に、三角形の二辺の長さの切り込み部50Aと一辺の略半分の長さの切り込み部50Bを備えた係止フックと、前記屈曲部の反対側に相対する屈曲部の下部の側辺近傍の切り込み部50Cから構成される。
【0027】
ここで、係止フック部50は、フェイスガード1が湾曲体となることで発生する張力により、前記係止フックが切り込み部50Cに緩嵌合し係止する。係止フック部50は、形状及び大きさを問わないが、係止が容易に解除されないことが望ましい。また、係止フック部を設置せず、屈曲部を夫々接着し、フェイスガードの湾曲体を形成することを問わない。
【0028】
フェイスガード1は、装着者の飛沫の噴出を抑制するだけではなく、他者からの飛沫が顔面部に付着することも抑制する。フェイスガード1の材質としては、眼鏡に装着しても違和感のない軽量なものにすることが望ましい。フェイスガード1の部材は厚みを薄くしても高強度なPET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチックシート等が一例となる。
【0029】
図5に示すように、フェイスガード1はフェイスガードの部材全体を上からのプレス加工で成形できる形状を有するため、製造コストを抑制することが想定される。
【0030】
なお、フェイスガード1の湾曲体は、係止フック部50により緩嵌合しているため、フェイスガード本体10の略鼻を覆う部分を頂点とする凸形状を形成する。フェイスガード1をスキーの際に使用した場合、前記凸形状は下方向の雪面からの雪の跳ね返りや光の反射を遮り、視界への影響を軽減することが期待される。
【符号の説明】
【0031】
1 フェイスガード
10 フェイスガード本体
20 眼鏡の鼻パッド及びパッド足に装着する固定部
21 開口部
30A 換気構造体(フェイスガード本体左右最上部)
30B 換気構造体(フェイスガード本体左右中間部)
30C 換気構造体(フェイスガード本体左右最下部)
40 密着防止部
40A 切り込み部
40B 折り曲げ線
40C 矩形長辺部
40D 矩形短辺部(顔面接触部)
50 係止フック部
50A~50C 切り込み部
60 換気構造体(フェイスガード本体正面中央部)
61A 屈曲部
61B 屈曲部
70 換気構造体(フェイスガード本体正面下部)
71A 屈曲部
71B 屈曲部