(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082483
(43)【公開日】2022-06-02
(54)【発明の名称】飛散防止システムおよび既存建物の解体方法
(51)【国際特許分類】
E04G 23/08 20060101AFI20220526BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
E04G23/08 Z
E04G21/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193931
(22)【出願日】2020-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391062377
【氏名又は名称】綜建産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 智一
(72)【発明者】
【氏名】佐々 実
(72)【発明者】
【氏名】石橋 定真
(72)【発明者】
【氏名】腮尾 太
(72)【発明者】
【氏名】金内 健浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 達広
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀明
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA00
2E176BB36
2E176DD61
2E176DD64
(57)【要約】
【課題】既存建物の解体時に破砕物の飛散を容易に防止でき、かつ、解体工事の進捗に伴って適宜昇降可能な、飛散防止システムを提供すること。
【解決手段】飛散防止システム1は、既存建物2の一側面の外側に配置された第1支柱20Aと、既存建物2を挟んで第1支柱20Aの反対側に配置された第2支柱20Bと、支柱20A、20Bの間に昇降可能に架設された屋根ユニット30と、屋根ユニット20に展張される養生シート50と、屋根ユニット20を支柱20A、20Bに対して昇降させるチェーンブロック60と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存建物の解体時の破砕物の飛散を防止する飛散防止システムであって、
前記既存建物の一側面の外側に配置された第1支柱と、
前記既存建物を挟んで前記第1支柱の反対側に配置された第2支柱と、
前記第1支柱と前記第2支柱との間に昇降可能に架設された屋根ユニットと、
前記屋根ユニットに展張される養生シートと、
前記屋根ユニットを前記第1支柱および前記第2支柱に対して昇降させる昇降装置と、を備えることを特徴とする飛散防止システム。
【請求項2】
前記屋根ユニットは、略平行に配置された複数のトラス梁を含んで構成され、
前記各トラス梁は、前記第1支柱に支持されるトラス梁本体と、前記トラス梁本体から水平方向に突没可能に設けられて前記第2支柱に支持される梁長調整部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の飛散防止システム。
【請求項3】
請求項1に記載の飛散防止システムを用いて、既存建物を解体する方法であって、
前記既存建物の外側に外部足場を設置する第1工程と、
前記外部足場に前記第1支柱および前記第2支柱を取り付けて、前記既存建物の上方でかつ前記第1支柱と前記第2支柱との間に屋根ユニットを昇降可能に架設するとともに、前記屋根ユニットに養生シートを展張する第2工程と、
前記屋根ユニットの直下で前記既存建物を所定フロア分解体する第3工程と、
前記昇降装置を駆動して、前記屋根ユニットを前記第1支柱および前記第2支柱に沿って下降させる第4工程と、
前記第3工程および前記第4工程を、前記既存建物の上層階から下層階に向かって繰り返す第5工程と、を備えることを特徴とする既存建物の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛散防止システム、および、この飛散防止システムを用いた既存建物の解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、既存建物の解体工事中に発生する破砕物の飛散を防止するシステムが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1には、飛散防止装置は、建物の側面に沿って建物の上端よりも上方に突出するように配置される4体のネット保持部と、4体のネット保持部に保持されて建物の上面を覆う防護ネットと、を備える飛散防止装置が示されている。4体のネット保持部は、互いに独立して建物に対して鉛直方向に移動可能となっている。
【0003】
特許文献2には、建物の最上階の床材および階下の床材に固定された支柱と、支柱の上方に設けられて建物を覆う飛散防止用ネットと、を備える建物の瓦礫飛散防止構造が示されている。
特許文献3には、解体フロアおよびその下層階フロアに亘って配設された養生シート支持柱挿入孔と、養生シート支持柱挿入孔に挿入されて解体フロアから上方に凸設された養生シート支持柱と、養生シート支持柱の頭頂部に支持された飛散防止養生シートと、を備える上方飛散防止養生システムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-017230号公報
【特許文献2】特開2019-127809号公報
【特許文献3】特開2019-183608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、既存建物の解体時に破砕物の飛散を容易に防止でき、かつ、解体工事の進捗に伴って適宜昇降可能な、飛散防止システムおよび既存建物の解体方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の飛散防止システム(例えば、後述の飛散防止システム1)は、既存建物(例えば、後述の既存建物2)の解体時の破砕物の飛散を防止する飛散防止システムであって、前記既存建物の一側面の外側に配置された第1支柱(例えば、後述の第1支柱20A)と、前記既存建物を挟んで前記第1支柱の反対側に配置された第2支柱(例えば、後述の第2支柱20B)と、前記第1支柱と前記第2支柱との間に昇降可能に架設された屋根ユニット(例えば、後述の屋根ユニット30)と、前記屋根ユニットに展張される養生シート(例えば、後述の養生シート50)と、前記屋根ユニットを前記第1支柱および前記第2支柱に対して昇降させる昇降装置(例えば、後述のチェーンブロック60)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、既存建物を挟んで第1支柱および第2支柱を設け、これら支柱同士の間に屋根ユニットを架設して、この屋根ユニットに養生シートを展張した。これにより、養生シートが既存建物を上から覆うので、既存建物の解体時に破砕物の飛散が防止される。
また、屋根ユニットを昇降させる昇降装置を設けたので、解体工事の進捗に伴って、屋根ユニットを適宜昇降させて、既存建物を円滑に解体できる。
【0008】
第2の発明の飛散防止システムは、前記屋根ユニットは、略平行に配置された複数のトラス梁(例えば、後述のトラス梁31)を含んで構成され、前記各トラス梁は、前記第1支柱に支持されるトラス梁本体(例えば、後述のトラス梁本体34)と、前記トラス梁本体から水平方向に突没可能に設けられて前記第2支柱に支持される梁長調整部(例えば、後述の梁長調整部35)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、屋根ユニットを複数のトラス梁を含んで構成し、各トラス梁を、トラス梁本体と、このトラス梁本体に突没可能に設けられた梁長調整部と、を含んで構成した。よって、既存建物の幅によって第1支柱と第2支柱との間の距離が変化しても、梁長調整部のトラス梁本体からの突出寸法を適宜調整することで容易に追従でき、屋根ユニットの転用が容易となる。
【0010】
第2の発明の既存建物の解体方法は、上述の飛散防止システムを用いて、既存建物を解体する方法であって、前記既存建物の外側に外部足場(例えば、後述の枠組足場10)を設置する第1工程(例えば、後述のステップS1)と、前記外部足場に前記第1支柱および前記第2支柱を取り付けて、前記既存建物の上方でかつ前記第1支柱と前記第2支柱との間に屋根ユニットを昇降可能に架設するとともに、前記屋根ユニットに養生シートを展張する第2工程(例えば、後述のステップS3)と、前記屋根ユニットの直下で前記既存建物を所定フロア分解体する第3工程(例えば、後述のステップS4)と、前記昇降装置を駆動して、前記屋根ユニットを前記第1支柱および前記第2支柱に沿って下降させる第4工程(例えば、後述のステップS5)と、前記第3工程および前記第4工程を、前記既存建物の上層階から下層階に向かって繰り返す第5工程(例えば、後述のステップS7)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、養生シートが既存建物を上から覆うので、既存建物の解体時に破砕物の飛散が防止される。また、解体工事の進捗に伴って、屋根ユニットを適宜昇降させて、既存建物を円滑に解体できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既存建物の解体時に破砕物の飛散を容易に防止でき、かつ、解体工事の進捗に伴って適宜昇降可能な、飛散防止システムおよび既存建物の解体方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る飛散防止システムの側面図である。
【
図3】
図1の飛散防止システムの破線Aで囲んだ部分の拡大図である。
【
図4】
図3の飛散防止システムの破線Bで囲んだ部分の拡大図である。
【
図5】
図2の飛散防止システムの破線Cで囲んだ部分の拡大図である。
【
図6】
図2の飛散防止システムの破線Dで囲んだ部分の拡大図である。
【
図7】飛散防止システムを用いて既存建物を解体する手順のフローチャートである。
【
図8】既存建物を解体する手順の説明図(その1)である。
【
図9】既存建物を解体する手順の説明図(その2)である。
【
図10】既存建物を解体する手順の説明図(その3)である。
【
図11】既存建物を解体する手順の説明図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、既存建物の解体時の破砕物の飛散を防止する飛散防止システム、および、この飛散防止システムを用いた既存建物の解体方法である。飛散防止システムは、建物の外側に支柱を配置し、対向する支柱間に飛散防止養生シートが展張された屋根ユニットを架設したものである。飛散防止システムを用いた既存建物の解体方法では、外部足場に設置した昇降装置を駆動して、飛散防止養生シート付きの屋根ユニットを上層階から下層階に向かって移動させながら、既存建物を解体する。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る飛散防止システム1の側面図であり、
図2は、飛散防止システム1の平面図である。
飛散防止システム1は、既存建物2の解体時の破砕物の飛散を防止するものである。
既存建物2の外側には、この既存建物2の側面に沿って外部足場としての枠組足場10が設置されている。
飛散防止システム1は、枠組足場10に仮固定された第1支柱20Aと、既存建物2を挟んで第1支柱20Aの反対側の枠組足場10に仮固定された第2支柱20Bと、第1支柱20Aと第2支柱20Bとの間に昇降可能に架設された複数の屋根ユニット30と、屋根ユニット30の下面に展張される養生シート50と、屋根ユニット30を支柱20A、20Bに対して昇降させる昇降装置としてのチェーンブロック60と、を備える。
養生シート50は、屋根ユニット30の下面を全面に亘って覆う面状体、または、紐状部材を格子状に配置したネットである。
【0015】
図2に示すように、第1支柱20Aは、既存建物2の一側面に沿って一列に設けられており、第2支柱20Bは、既存建物2の一側面の反対側の側面に沿って一列に設けられている。
屋根ユニット30は、一列に並んだ第1支柱20Aと第2支柱20Bとの間に複数並んで配置されている。この屋根ユニット30は、略平行に配置された3本のトラス梁31と、これら3本のトラス梁31同士を連結する連結梁32と、これらトラス梁31と連結梁32とで囲まれた水平面内に設けられた水平ブレース33と、を備える。
【0016】
図3は、
図1の飛散防止システム1の破線Aで囲んだ部分の拡大図である。
図4は、
図3の飛散防止システム1の破線Bで囲んだ部分の拡大図である。
図5は、
図2の飛散防止システム1の破線Cで囲んだ部分の拡大図である。
図6は、
図2の飛散防止システム1の破線Dで囲んだ部分の拡大図である。
各トラス梁31は、第1支柱20Aに支持されるトラス梁本体34と、トラス梁本体34から水平方向に突没可能に設けられて第2支柱20Bに支持される梁長調整部35と、を備える。
トラス梁本体34および梁長調整部35は、それぞれ、略水平に延びる下弦材70と、この下弦材70の上方でかつ下弦材70に略平行に設けられた上弦材71と、下弦材70と上弦材71とを連結する連結材72と、を備える。
トラス梁本体34の下弦材70の内部には、梁長調整部35の下弦材70が摺動可能に挿入されている。また、トラス梁本体34の上弦材71の内部には、梁長調整部35の上弦材71が摺動可能に挿入されている。これにより、梁長調整部35は、トラス梁本体34に突没可能となっている。
【0017】
このトラス梁31の上弦材71の上には、所定間隔おきに吊りピース36が設けられている。
また、トラス梁31の下弦材70および上弦材71の両端部には、水平方向を回転軸として回転可能なガイド部材37が設けられている。このガイド部材37の先端面の上下端部は、面取りされて曲面となっており、これにより、ガイド部材37の先端面は、後述の支柱20A、20Bの後述の底板22の表面に円滑に摺動可能となっている。このガイド部材37には、水平方向に貫通孔38が形成されている。
また、トラス梁31の下弦材70には、方杖材39が回動可能に設けられている。この方杖材39の先端には、貫通孔40が設けられている。
【0018】
第1支柱20Aおよび第2支柱20Bは、上下方向に延びる支柱部材21を上下に複数連結したものである。
支柱部材21は、それぞれ、断面略コの字形状であり、上下方向に延びる底板22と、この底板の水平方向両端に設けられて上下方向に延びる一対の側板23と、を備える。
底板22には、上下方向に所定間隔おきにクランプ24が設けられ、このクランプ24は、枠組足場10の建地11に仮固定されている。
【0019】
側板23には、上下方向に所定間隔おきに貫通孔25が形成されている。屋根ユニット30のガイド部材37を第1支柱20Aおよび第2支柱20Bの所定位置に位置決めして、ガイド部材37の貫通孔38および側板23の貫通孔25にピン26を挿通することで、屋根ユニット30が第1支柱20Aおよび第2支柱20Bに仮固定される。
また、屋根ユニット30の方杖材39を第1支柱20Aおよび第2支柱20Bに位置決めして、方杖材39の貫通孔40および側板23の貫通孔25にピン27を挿通することで、屋根ユニット30の方杖材39が第1支柱20Aおよび第2支柱20Bに仮固定される。これにより、トラス梁31は、方杖材39で下から支持される。
なお、隣り合う屋根ユニット30同士の境界部分では、
図6に示すように、支柱20A、20Bは、
図5に示す支柱20A、20Bが2つ並んで一体となった構造となっている。
【0020】
図3に戻って、枠組足場10には、ブラケット12が仮固定されており、チェーンブロック60は、このブラケット12に吊り下げ支持されている。このチェーンブロック60は、平面視で、屋根ユニット30の四隅に配置される(
図2参照)。チェーンブロック60のフック61を屋根ユニット30の吊りピース36に連結し、チェーンブロック60を操作することで、屋根ユニット30が支柱20A、20Bに案内されて昇降する。
【0021】
以下、上述の飛散防止システム1を用いて、n階建ての既存建物2を解体する方法について、
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、
図8に示すように、既存建物2の外側に枠組足場10を設置する。このとき、枠組足場10を、上下方向に所定間隔おきに設置された壁繋ぎ13で既存建物2に連結する。また、枠組足場10の外側側面には、垂直ネット14を張るととともに、図示しない防音パネルを設置する。
ステップS2では、
図8に示すように、既存建物2の屋上階に解体重機80を搬入し、この解体重機80で既存建物2の屋上階を解体する。このとき、既存建物2の解体対象階の直下階には、サポート81を所定間隔おきに設置して床スラブを補強しておく。
【0022】
ステップS3では、
図9に示すように、枠組足場10に第1支柱20Aおよび第2支柱20Bを取り付けて、既存建物2の上方でかつ第1支柱20Aと第2支柱20Bとの間に屋根ユニット30を架設する。
具体的には、地上にて、トラス梁31、連結梁32、および水平ブレース33を組み立てて屋根ユニット30を地組みし、この屋根ユニット30の下面に養生シート50を展張する。次に、この地組みした屋根ユニット30および養生シート50をクレーン82で吊り上げて、支柱20A、20B間に配置し、屋根ユニット30のガイド部材37および方杖材39を支柱20A、20Bに仮固定する。これにより、屋根ユニット30が支柱20A、20Bと一体化される。その後、頂部の壁繋ぎ13を下階に盛り替える。
【0023】
ステップS4では、
図10に示すように、屋根ユニット30の直下で、解体重機80で既存建物2を2フロア分解体する。このとき、サポート81および壁繋ぎ13を適宜取り外して下階に盛り替える。
ステップS5では、
図11に示すように、チェーンブロック60を設置して、このチェーンブロック60を駆動して、屋根ユニット30を第1支柱20Aおよび第2支柱20Bに沿って下降させて仮固定する。
具体的には、チェーンブロック60で屋根ユニット30を吊り下げ支持し、この状態で、屋根ユニット30のガイド部材37および方杖材39の仮固定を解除する。次に、チェーンブロック60を操作して、屋根ユニット30を第1支柱20Aおよび第2支柱20Bに沿って下降させ、その後、再度、屋根ユニット30のガイド部材37および方杖材39を、支柱20A、20Bに仮固定する。
ステップS6では、枠組足場10の上端部つまり屋根ユニット30よりも上側の部分を解体するとともに、支柱20A、20Bの最上段の支柱部材21を取り外して、最下段に盛り替える。
ステップS7では、既存建物2の上層階から下層階に向かって、上述のステップS4~S6を繰り返す。
【0024】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)既存建物2を挟んで第1支柱20Aおよび第2支柱20Bを設け、これら支柱20A、20B同士の間に屋根ユニット30を架設して、この屋根ユニット30に養生シート50を展張した。これにより、養生シート50が既存建物2を上から覆うので、既存建物2の解体時に破砕物の飛散が防止される。
また、屋根ユニット30を昇降させるチェーンブロック60を設けたので、解体工事の進捗に伴って、屋根ユニット30を適宜昇降させて、既存建物2を円滑に解体できる。
【0025】
(2)屋根ユニット30を複数のトラス梁31を含んで構成し、各トラス梁31を、トラス梁本体34と、このトラス梁本体34に突没可能に設けられた梁長調整部35と、を含んで構成した。よって、既存建物2の幅によって第1支柱20Aと第2支柱20Bとの間の距離が変化しても、梁長調整部35のトラス梁本体34からの突出寸法を適宜調整することで容易に追従でき、屋根ユニット30の転用が容易となる。
【0026】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態では、養生シート50を、屋根ユニット30の下面に展張したが、これに限らず、屋根ユニット30の上面に展張してもよい。
また、上述の実施形態では、ステップS2において解体重機80で既存建物2の屋上階を解体した後、ステップS3において既存建物2の上方に屋根ユニット30を架設したが、これに限らない。例えば、このステップS2およびステップS3の順番を逆にして、既存建物2の上方に屋根ユニット30を架設し、その後、屋根ユニット30下方の既存建物2を解体してもよい。
また、上述の実施形態では、トラス梁31を構成する梁長調整部35をトラス梁31の梁端部に設けたが、この梁長調整部35の設置位置は特に限定されず、トラス梁31の梁中央部に設けてもよい。
また、上述の実施形態では、梁長調整部35を、各トラス梁31の1箇所に設けたが、これに限らず、複数箇所に設けてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1…飛散防止システム 2…既存建物
10…枠組足場(外部足場) 11…建地 12…ブラケット 13…壁繋ぎ
14…垂直ネット
20A…第1支柱 20B…第2支柱 21…支柱部材 22…底板 23…側板
24…クランプ 25…貫通孔 26…ピン 27…ピン
30…屋根ユニット 31…トラス梁 32…連結梁 33…水平ブレース
34…トラス梁本体 35…梁長調整部 36…吊りピース 37…ガイド部材
38…貫通孔 39…方杖材 40…貫通孔
50…養生シート
60…チェーンブロック(昇降装置) 61…フック
70…下弦材 71…上弦材 72…連結材
80…解体重機 81…サポート 82…クレーン