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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082484
(43)【公開日】2022-06-02
(54)【発明の名称】簡易ベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 19/12 20060101AFI20220526BHJP
   A47C 19/00 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
A47C19/12
A47C19/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193932
(22)【出願日】2020-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】520034347
【氏名又は名称】株式会社インサイトワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100199107
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 拓司
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 幸代
(57)【要約】
【課題】収納・運搬時のスペース効率に優れ、かつ使用時の組み立て性を向上させた簡易ベッドを提供する。
【解決手段】簡易ベッド1は、複数の立壁12とそれらに接合された複数の筒部15とを備える土台ユニット11が第一方向に複数接合された土台部10と、その上で第一方向に並べられた複数の天面板21を備える天面部20と、その上に配置された板状のマット30と、を備え、天面板21は第一方向の一端と他端との間に設けられた天面曲げ部24において第一方向と直交する第二方向と平行な仮想軸を中心として折り曲げ及び展開が可能であり、マット30は前記第一方向の一端と他端との間に設けられたマット曲げ部31において第二方向と平行な仮想軸を中心として折り曲げ及び展開が可能であり、筒部15は2N角筒でありそれぞれの角において第一方向及び第二方向のいずれにも直交する第三方向と平行な仮想軸を中心として折り曲げおよび展開が可能である。
【選択図】図9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の立壁と前記複数の立壁に接合された複数の筒部とを備える土台ユニットが第一方向に複数接合された土台部と、
前記土台部の上において前記第一方向に並べられた複数の天面板を備える天面部と、
前記天面部の上に配置された板状のマットと、
を備え、
前記天面板は前記第一方向の一端と他端との間に設けられた天面曲げ部において前記第一方向と直交する第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、
前記マットは前記第一方向の一端と他端との間に設けられたマット曲げ部において前記第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、
前記筒部は2N角筒(N≧2の整数)でありそれぞれの角において前記第一方向および前記第二方向のいずれにも直交する第三方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能である、
簡易ベッド。
【請求項2】
前記マット曲げ部は前記マットの第一方向に等間隔に5か所設けられている、
請求項1に記載の簡易ベッド。
【請求項3】
前記土台部の4隅は前記筒部を構成する面のうちの前記4隅における一の面とそれに隣接する面との間の角度を一定に保つ角度保持部を有する隅固定部を備える、
請求項1または請求項2に記載の簡易ベッド。
【請求項4】
前記隅固定部は前記天面部の前記第一方向および前記第二方向への移動を防止する移動防止部を有する、
請求項3に記載の簡易ベッド。
【請求項5】
前記土台部は6つの前記土台ユニットからなり、
前記天面部は3枚の前記天面板からなる、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の簡易ベッド。
【請求項6】
前記立壁と前記筒部と前記天面板とは段ボールで構成されており、
前記立壁および前記筒部の段ボールの目方向は前記第三方向であり、
前記天面板の段ボールの目方向は前記第二方向である、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の簡易ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、簡易ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時の避難所等では、収納・運搬時のスペース効率に優れた簡易ベッドが用いられる(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。特許文献1の簡易ベッドは、2つの切り込み入れた連結板を両端に配置し、その間に3つの切り込みを入れた連結板を複数配置し、それぞれの切り込みを組み合わせることでその土台を構成している。特許文献2の簡易ベッドは、直方体状の包装箱の天部であるフラップを隣接する包装箱の内方に折り曲げることにより縦横に複数連結させることでその土台を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3189242号公報
【特許文献2】実用新案登録第3222272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうした簡易ベッドは、災害は突然に起こるため避難のタイミングは選ぶことができないという状況でありながら、避難所において相当数の連結板または包装箱を組み立てて連結する作業が必要であり、ケガ人等をすぐに横たわらせなければならない状況下では必ずしも簡便であるとは言えない。
【0005】
本開示の目的は、収納・運搬時のスペース効率に優れた構成でありながら使用時の組み立て性を向上させた簡易ベッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の簡易ベッドは、複数の立壁と前記複数の立壁に接合された複数の筒部とを備える土台ユニットが第一方向に複数接合された土台部と、前記土台部の上において前記第一方向に並べられた複数の天面板を備える天面部と、前記天面部の上に配置された板状のマットと、を備え、前記天面板は前記第一方向の一端と他端との間に設けられた天面曲げ部において前記第一方向と直交する第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、前記マットは前記第一方向の一端と他端との間に設けられたマット曲げ部において前記第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、前記筒部は2N角筒(N≧2の整数)でありそれぞれの角において前記第一方向および前記第二方向のいずれにも直交する第三方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、土台部・天面部・マットを適宜折りたたんだ状態でスペース効率よく収納・運搬できるとともに、使用時は、立壁に予め接合された筒部を展開するだけで土台部を使用状態にすることができ、その土台部の上に天面板を乗せて展開し、その上にマットを乗せて展開するだけという非常に簡便な作業で簡易ベッドの組み立てを完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、土台ユニットの使用時を示す平面図である。
図2図2は、土台ユニットの収納・運搬時を示す平面図である。
図3図3は、土台ユニットの使用時を示す斜視図である。
図4図4は、土台部の使用時を示す平面図である。
図5図5は、天面板の使用時を示す平面図である。
図6図6は、天面部の使用時を示す平面図である。
図7図7は、マットの使用時を示す平面図である。
図8図8は、隅固定部の斜視図である。
図9図9は、簡易ベッドの使用時を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の簡易ベッドは、
[1-1]複数の立壁と前記複数の立壁に接合された複数の筒部とを備える土台ユニットが第一方向に複数接合された土台部と、前記土台部の上において前記第一方向に並べられた複数の天面板を備える天面部と、前記天面部の上に配置された板状のマットと、を備え、前記天面板は前記第一方向の一端と他端との間に設けられた天面曲げ部において前記第一方向と直交する第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、前記マットは前記第一方向の一端と他端との間に設けられたマット曲げ部において前記第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、前記筒部は2N角筒(N≧2の整数)でありそれぞれの角において前記第一方向および前記第二方向のいずれにも直交する第三方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能である。
【0010】
同構成によれば、収納・運搬時には折りたたまれた状態であった筒部を展開するだけで、土台部を使用できる状態にすることができる。
【0011】
その使用できる状態になった土台部の上に、収納・運搬時には折りたたまれた状態であった天面板の天面曲げ部を展開して並べて配置するだけで、天面部を使用できる状態にすることができる。
【0012】
その使用できる状態になった天面部の上に、収納・運搬時には折りたたまれた状態であったマットのそれぞれのマット曲げ部を展開して配置するだけで、マットを使用できる状態にすることができる。このように、筒部・天面板・マットのそれぞれを適宜、展開・配置するだけという非常に簡便な作業で簡易ベッドの組み立てを完了させることができる。
【0013】
[1-2]前記マット曲げ部は前記マットの第一方向に等間隔に5か所設けられていることが好ましい。同構成によれば、マットを2つ折り、または3つ折り、あるいは6つ折りにすることができ、その外形寸法を土台ユニット・天面板の収納・運搬時の寸法と合わせる自由度が増すため、収納・運搬のスペース効率が向上する。
【0014】
本開示の簡易ベッドは、
[2-1]第一方向にスペースを隔てて設けられた2枚の立壁と前記2枚の立壁に接合されることで前記スペースに設けられた2つの筒部とを備える土台ユニットが前記第一方向に複数接合された土台部と、前記土台部の上において前記第一方向に並べられた複数の天面板を備える天面部と、前記天面部の上に配置された板状のマットと、を備え、それぞれの前記スペースに2つずつ設けられた前記筒部は前記スペースにおける前記第一方向に直交する第二方向の一端および他端に互いに間隔をあけて配置され、前記筒部は四角筒でありそれぞれの角において前記第一方向および前記第二方向のいずれにも直交する第三方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、前記立壁における前記第二方向の寸法は前記筒部の前記第二方向の寸法の2倍の寸法に前記筒部の前記第一方向の寸法を加えた寸法以上であり、前記天面板は前記第一方向の一端と他端との間に設けられた天面曲げ部において前記第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、前記天面板の前記第一方向の寸法は前記筒部の前記第一方向の寸法の2倍であり、前記マットの前記第一方向および前記第二方向の寸法は前記天面部の前記第一方向および前記第二方向の寸法と同じである。
【0015】
立壁における第二方向の寸法を筒部の第二方向の寸法の2倍の寸法に筒部の第一方向の寸法を加えた寸法以上とすることで、筒部を折りたたんで収納・運搬する状態にした際、立壁と立壁の間で折りたたまれた2つの筒部は互いに干渉することがないため、土台ユニット全体の第一方向の寸法を一定にすることができ、収納・運搬時のスペース効率に優れる。
【0016】
天面板の第一方向の寸法を筒部の第一方向の寸法の2倍とすることで、収納・運搬の状態では折りたたんであった天面板を土台ユニットの上で展開するだけで土台ユニット2つ分の第一方向の範囲を覆うことができる。
【0017】
マットと天面部の第一方向および第二方向の寸法を同じにすることで、簡易ベッドとして必要十分な範囲をマットで覆うことができる。
【0018】
[2-2]前記マットは前記第一方向の一端と他端との間に設けられた5か所のマット曲げ部において前記第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、前記マットが前記天面部の上に配置された状態で全ての前記マット曲げ部が折り曲げられたときの前記マットの前記第一方向の寸法は前記天面曲げ部が折り曲げられたときの前記天面板の前記第一方向の寸法と同じであることが好ましい。同構成とすることで、折りたたんだ状態の天面板とマットの第一方向の寸法が同じとなり、収納・運搬時のスペース効率に優れる。
【0019】
[3]前記土台部の4隅は前記筒部を構成する面のうちの前記4隅における一の面とそれに隣接する面の間の角度を一定に保つ角度保持部を有する隅固定部を備えることが好ましい。同構成によれば、角度保持部により土台部の4隅の角度を保つことが非常に簡便にできる。
【0020】
[4]上記[3]において、前記隅固定部は前記天面部の前記第一方向および前記第二方向への移動を防止する移動防止部を有することが好ましい。同構成によれば、土台部の4隅に設けられた角度保持部に移動防止部を設けることで、簡易な構成で天面部が第一方向および第二方向に移動することを防止できる。
【0021】
[5]上記[1-2]、[2-2]、[3]、[4]のいずれか1つにおいて、前記土台部は6つの前記土台ユニットからなり、前記天面部は3枚の前記天面板からなることが好ましい。同構成によれば、土台ユニット・天面板・マットをそれぞれ折りたたんで収納・運搬する状態にしたときのスペース効率が向上する。
【0022】
[6]前記立壁と前記筒部と前記天面板とは段ボールで構成されており、前記立壁および前記筒部の段ボールの目方向は前記第三方向であり、前記天面板の段ボールの目方向は前記第一方向であることが好ましい。同構成によれば、目方向と平行な方向に沿った折り曲げおよび展開が目方向と垂直な方向と比して容易であり、かつ目方向と平行な方向からの耐荷重性能は目方向と垂直な方向からの耐荷重性能に比して高く、かつ木材等よりも比重が低いという特性を持つ段ボールを用いることで、収納・運搬時のスペース効率と、使用時のベッドとしての強度を両立することができる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の簡易ベッドの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。図1図2図4図5図6図7の紙面右方向を第一方向(X方向)、同図の紙面上方向を第二方向(Y方向)とする。また、図3および図9の紙面上方向を第三方向(Z方向)とする。
なお本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「平行」や「直交」は厳密に平行や直交の場合のみではなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれ、寸法の記述の「同じ」、「2倍」の意味には、その「同じ」、「2倍」に対する±10%の寸法も含まれる。
【0024】
[実施形態1]
(簡易ベッド1の全体構成)
図1図9に示すように、簡易ベッド1は、土台部10と天面部20とマット30とを備える。
【0025】
(土台部10)
土台部10は、図1図4に示すように、6つの土台ユニット11を備える。土台ユニット11は、隣接する土台ユニット11に対してクリップやステープル・紐等で、あるいは接着により、第一方向(X方向)に接合されている。
【0026】
(土台ユニット11)
土台ユニット11には、図1図4に示すように、2枚の立壁12と、その2枚の立壁12の間のスペースにおいて第二方向の一端および他端に互いに間隔をあけて2つの筒部15が配置されている。立壁12と筒部15はクリップやステープル・紐等で、あるいは接着により、第一方向(X方向)に接合されている。
【0027】
(立壁12)
立壁12は段ボールを板状にして用いることで構成されている。本実施形態では、2枚の段ボールが、クリップやステープル・紐等で、あるいは接着により重ねられて接合されている。目方向は第三方向と平行な方向である。段ボールの材質は紙製や樹脂製である。厚み、枚数、接合方法は、その材質とともに、使用時の温度・湿度やユーザーの体重・年齢・健康状態などの使用環境により種々の組み合わせを選択することができる。
【0028】
使用時における立壁12の第二方向の寸法は使用時における後述の筒部15の第二方向の寸法の2倍の寸法に使用時における筒部15の第一方向の寸法を加えた寸法以上とされているので、第一方向視(X方向視)における立壁12と2つの筒部15の最外形部を、第二方向(Y方向)について合致させることができるため、使用状態における部材の無駄がなく、スペース効率も良い。
【0029】
(筒部15)
筒部15は段ボールを用いることで構成されている。目方向は第三方向と平行な方向とされている。段ボールの材質は紙製や樹脂製である。厚み、枚数、接合方法は、その材質とともに、使用時の温度・湿度やユーザーの体重・年齢などの使用環境により種々の組み合わせを選択することができる。
【0030】
筒部15は、筒面部16の一部の筒面合わせ部17がクリップやステープル・紐等で、あるいは接着により他の筒面部16に接合された2N角筒(N≧2の整数)で構成されている。本実施形態では、図1図4に示すように四角筒である。
【0031】
筒部15は、その筒面部16の一部を圧縮して板厚を減ずる、または筒面部16の板厚方向に部分的に切り込みを入れる、または筒面部16に比して柔軟性の高い部材を用いて筒面部16の端部同士を貼り合わせることにより筒角部18が形成され、筒角部18において第三方向(Z方向)と平行な方向の仮想軸を回転中心として筒部全体の折り曲げおよび展開ができる。すなわち収納・運搬時は筒部全体を折りたたんでおき、展開して使用状態にできるようになっている。
【0032】
筒部15は、2枚の立壁12の間において立壁12の第二方向(Y方向)の一端と他端に互いに間隔をあけて2つ配置されている。その間隔は、使用時における筒部15の第一方向(X方向)の寸法と同じかそれ以上とされている。このような間隔としておけば、図2に示すように、使用時には第一方向(X方向)と平行な方向にあった筒面部16を、折りたたんで第二方向(Y方向)と平行な方向に回転・移動させても、隣の筒部15に干渉することがないので、収納・運搬時に折りたたんだ状態の土台ユニットの厚みとなる第一方向(X方向)の寸法を一定にすることができる。
【0033】
(天面部20)
天面部20は、図5および図6に示すように、3つの天面板21を備え、土台部10の上において第一方向(X方向)に並べられている。天面板21は、隣接する天面板21と、その第一方向(X方向)の端部同士を合わせて、またはその第一方向(X方向)の端部同士を重ねて、あるいはその第一方向(X方向)の端部同士に隙間をあけて配置されている。
【0034】
(天面板21)
天面板21は、段ボールを板状にして用いることで構成されている。本実施形態では、2枚の段ボールが、クリップやステープル・紐等で、あるいは接着により重ねられて接合されている。目方向は第一方向(X方向)と平行な方向である。段ボールの材質は紙製や樹脂製である。厚み、枚数、接合方法は、その材質とともに、使用時の温度・湿度やユーザーの体重・年齢・健康状態などの使用環境により種々の組み合わせを選択することができる。
【0035】
天面板21は、図5および図6に示すように、第一方向(X方向)の一端と他端の間において、その天面板21の一部を圧縮して板厚を減ずる、または天面板21の板厚方向に部分的に切り込みを入れることにより天面曲げ部24が形成され、天面曲げ部24において第二方向(Y方向)と平行な方向の仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開ができる。すなわち収納・運搬においては天面板を折りたたんでおき、展開して使用状態にできるようになっている。
【0036】
天面板21の第一方向の寸法は筒部15の第一方向の寸法の2倍であり、天面曲げ部24は天面板21の第一方向の中間に設けられているので、収納・運搬時にスペース効率に無駄を生じることなく折りたたむことができる。
【0037】
(マット30)
マット30は板状であり、本実施形態ではその素材は発泡ポリウレタンである。マット30は、発泡ポリウレタン・発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンやゴムなど、クッション性を有する部材を、厚み、枚数など、その材質とともに、使用時の温度・湿度やユーザーの体重・年齢・健康状態などの使用環境により種々の組み合わせを選択することができる。
【0038】
マット30の第一方向(X方向)の一端と他端との間には、図7に示すように、マット30の一部を圧縮して板厚を減ずる、またはマット30の板厚方向に部分的に切り込みを入れることにより、マット30の第一方向(X方向)に等間隔にマット曲げ部31が5か所設けられ、マット曲げ部31において第二方向(Y方向)と平行な方向の仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開ができる。すなわち収納・運搬時はマット30を折りたたんでおき、展開して使用状態にできるようになっている。
【0039】
マット30が前記天面部20の上に配置された状態における全てのマット曲げ部31が折り曲げられてマットが折りたたまれたときのマットの第一方向(X方向)の寸法は、天面板21の天面曲げ部24が折り曲げられて天面板が折りたたまれたときの天面板21の第一方向(X方向)の寸法と同じである。
【0040】
マット30の第一方向(X方向)および第二方向(Y方向)の寸法は天面部20の第一方向(X方向)および第二方向(Y方向)の寸法と同じである。
【0041】
(隅固定部40)
土台部10の4隅には、図9に示すように、隅固定部40が設けられている。隅固定部40は、射出成型や押し出し成型、スタンプ成型などで形成された樹脂製のものやプレス成型などで形成された金属製のものなど、使用時の温度・湿度やユーザーの体重・年齢・健康状態などの使用環境により種々の工法・材質の組み合わせを選択することができる。
【0042】
(角度保持部)
隅固定部40には、筒部15を構成する面のうちの4隅における一の筒面部16とそれに隣接する筒面部16の間の角度を一定に保つ角度保持部41が設けられている。より詳しくは、角度保持部41の断面はコの字状であり、2つの筒面部16を挟み込むことで2つの筒面部16の間の角度を一定に保つ。
【0043】
(移動防止部42)
隅固定部40には、天面部20の第一方向(X方向)および第二方向(Y方向)への移動を防止する移動防止部42が設けられている。より詳しくは、移動防止部42は角度保持部41の第三方向(Z方向)の上において壁状に設けられ、天面部20の4隅が第一方向(X方向)および第二方向(Y方向)に向かって突き当てられている。
【0044】
本実施形態の作用効果を説明する。
[1-1]簡易ベッド1は、複数の立壁12と複数の立壁12に接合された複数の筒部15を備える土台ユニット11が第一方向に複数接合された土台部10と、土台部10の上において第一方向に並べられた複数の天面板21を備える天面部20と、天面部20の上に配置された板状のマット30と、を備え、天面板21は第一方向の一端と他端との間に設けられた天面曲げ部24において第一方向と直交する第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、マット30は第一方向の一端と他端との間に設けられたマット曲げ部31において第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、筒部15は2N角筒(N≧2の整数)でありそれぞれの角において第一方向および第二方向のいずれにも直交する第三方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開を可能とした。
【0045】
同構成によれば、収納・運搬時には折りたたまれていた筒部15を展開するだけで、土台部10を使用する状態にすることができる。その使用できる状態になった土台部10の上に、収納・運搬時には折りたたまれていた複数の天面板21の天面曲げ部24を展開して配置するだけで、天面部20の全体が使用できる状態になる。その使用できる状態になった天面部20の上に、収納・運搬時には折りたたまれていたマット30のそれぞれのマット曲げ部31を展開して配置するだけで、マット30が使用できる状態になる。このように、筒部15・天面板21・マット30のそれぞれを展開・配置するだけという非常に簡便な作業で簡易ベッド1の組み立てを完了させることができる。
【0046】
[1-2]マット曲げ部31はマット30の第一方向に等間隔に5か所設けた。同構成によれば、マット30を2つ折り、または3つ折り、あるいは6つ折りにすることができ、その外形寸法を土台ユニット11・天面板21の収納・運搬時の寸法と合わせる自由度が増すため、収納・運搬時のスペース効率が向上する。
【0047】
[2-1]簡易ベッド1は、 第一方向にスペースを隔てて設けられた2枚の立壁12と2枚の立壁12に接合されることでそのスペースに設けられた2つの筒部15とを備える土台ユニット11が第一方向に複数接合された土台部10と、土台部10の上において第一方向に並べられた複数の天面板21を備える天面部20と、天面部20の上に配置された板状のマット30と、を備え、それぞれのスペースに2つずつ設けられた筒部15はそのスペースにおける第一方向に直交する第二方向の一端および他端に互いに間隔をあけて配置され、筒部15は四角筒でありそれぞれの角において第一方向および第二方向のいずれにも直交する第三方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、立壁12における第二方向の寸法は筒部15の第二方向の寸法の2倍の寸法に筒部15の第一方向の寸法を加えた寸法以上であり、天面板21は第一方向の一端と他端との間に設けられた天面曲げ部24において第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、天面板21の第一方向の寸法は筒部15の第一方向の寸法の2倍であり、マット30の第一方向および第二方向の寸法は天面部20の第一方向および第二方向の寸法と同じとした。
【0048】
同構成のように立壁12における第二方向の寸法を筒部15の第二方向の寸法の2倍の寸法に筒部15の第一方向の寸法を加えた寸法以上とすることで、筒部15が折りたたまれて収納・運搬される状態にした際、立壁12と立壁12の間で折りたたまれた2つの筒部15は互いに干渉することがないため、土台ユニット11全体の第一方向の寸法を一定にすることができ、収納・運搬時のスペース効率に優れる。天面板21の第一方向の寸法を筒部15の第一方向の寸法の2倍とすることで、収納・運搬時に折りたたまれていた天面板21を土台ユニット11の上で展開するだけで土台ユニット11の2つ分の第一方向の範囲を覆うことができる。マット30と天面部20の第一方向および第二方向の寸法を同じにすることで、簡易ベッド1として必要十分な範囲をマット30で覆うことができる。
【0049】
[2-2]マット30は第一方向の一端と他端との間の5か所のマット曲げ部31において第二方向と平行な仮想軸を回転中心として折り曲げおよび展開が可能であり、マット30が天面部20の上に配置された状態で全てのマット曲げ部31が折り曲げられたときのマット30の第一方向の寸法は天面板21天面曲げ部24が折り曲げられたときの天面板21の第一方向の寸法と同じとした。同構成とすることで、折りたたまれた状態の天面板21とマット30の第一方向の寸法が同じとなり、収納・運搬におけるスペース効率に優れる。
【0050】
[3]土台部10の4隅には筒部15を構成する面のうちの4隅における一の面とそれに隣接する面の間の角度を一定に保つ角度保持部41を有する隅固定部40を設けた。同構成によれば、角度保持部41により土台部10の4隅の角度を保つことが非常に簡便にできる。
【0051】
[4]上記[3]において、隅固定部40には天面部20の第一方向および第二方向への移動を防止する移動防止部42を設けた。同構成によれば、土台部10の4隅に設けられている角度保持部41に移動防止部42を設けることで、簡易な構成で天面部20が第一方向および第二方向に移動することを防止できる。
【0052】
[5]上記[1-2]、[2-2]、[3]、[4]のいずれか1つにおいて、土台部10は6つの土台ユニット11で構成し、天面部20は3枚の天面板21で構成した。同構成によれば、土台ユニット11・天面板21・マット30をそれぞれ折りたたんで収納・運搬する状態にしたときのスペース効率を向上させることができる。
【0053】
[6]立壁12と筒部15と天面板21とは段ボールで構成されており、立壁12および筒部15の段ボールの目方向は第三方向であり、天面板21の段ボールの目方向は第一方向とした。同構成によれば、木材等よりも比重が低く、目方向と平行な方向に沿って折り曲げおよび展開することが目方向と垂直な方向と比して容易であり、かつ目方向と平行な方向からの耐荷重性能は目方向と垂直な方向からの耐荷重性能に比して高い、という特性を持つ段ボールを用いることで、収納・運搬時のスペース効率と、使用時のベッドとしての強度を両立することができる。
【0054】
なお上述したのはあくまでも一実施形態であり、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 簡易ベッド
10 土台部
11 土台ユニット
12 立壁
15 筒部
16 筒面部
17 筒面合わせ部
18 筒角部
20 天面部
21 天面板
24 天面曲げ部
30 マット
31 マット曲げ部
40 隅固定部
41 角度保持部
42 移動防止部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9