(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082511
(43)【公開日】2022-06-02
(54)【発明の名称】改良された、可撓性且つ軽量の太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/048 20140101AFI20220526BHJP
【FI】
H01L31/04 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021186850
(22)【出願日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】2012016
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】311015001
【氏名又は名称】コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク・エ・オ・エネルジ・アルテルナテイブ
(71)【出願人】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(71)【出願人】
【識別番号】521503972
【氏名又は名称】コンセプト・コンポジト・オーベルニュ-2・セ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ゴーム
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ・シェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-バティスト・ビヤール
(72)【発明者】
【氏名】トマ・ゲラン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ルオル
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA05
5F151JA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改良された、可撓性且つ軽量の太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】本発明は、太陽電池モジュール(1)前面の第1層(2)、複数の太陽電池セル(4)、太陽電池セル(4)を封入することができるポリマー封入アセンブリ(3)と、第2層(5)と、封入アセンブリ及び太陽電池セルが第1層と第2層との間に位置し、少なくとも第1層及び第2層が太陽電池ジュール(1)の縁部(1A、1B、1C、1D)を画定し、複数の太陽電池セルが、太陽電池モジュールの少なくとも1つの縁部(1A)から非ゼロ距離D
Aだけ間隔を空けて配置され、太陽電池モジュールが、ポリマー樹脂第3層(15)を含み、層が複数の太陽電池セルよりも下方に及び封入アセンブリの下方部分よりも上方に位置し、少なくとも1つの縁部からモジュールの中心に向かって延在する少なくとも1つの周辺ストリップ(15A)を形成する太陽電池モジュール(1)
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュール(1)の前面を形成する透明な第1層(2)であって、前記面が光束を受け取るように意図されている、第1層(2)と、
並んで配置されるとともに、互いに電気的に接続されている、複数の太陽電池セル(4)と、
前記複数の太陽電池セル(4)を封入することができるとともに、下方部分(3b)及び上方部分(3a)を含み、好ましくはポリマーから作製されている、封入アセンブリ(3)と、
ポリマー樹脂及び繊維をベースとする少なくとも1つの複合材料を含む、第2層(5)と、
を含み、
前記封入アセンブリ(3)及び前記複数の太陽電池セル(4)が前記第1層(2)と前記第2層(5)との間に位置し、
少なくとも前記第1層(2)及び前記第2層(5)が前記太陽電池モジュール(1)の縁部(1A、1B、1C、1D)を画定している、
太陽電池モジュール(1)であって、
前記複数の太陽電池セル(4)が、前記太陽電池モジュール(1)の少なくとも1つの縁部(1A)から非ゼロ距離DAだけ間隔を空けて配置され、前記太陽電池モジュール(1)が、前記複数の太陽電池セル(4)よりも下方に、及び前記封入アセンブリ(3)の前記下方部分(3b)よりも上方に位置する、第3層(15)又は補強層をさらに含み、前記第3層が、前記少なくとも1つの縁部(1A)から前記モジュールの中心に向かって延在する少なくとも1つの周辺ストリップ(15A)を形成し、前記周辺ストリップ(15A)の幅(L15A)が前記距離DA以上であり、前記第3層が、ポリマー樹脂及び繊維をベースとする少なくとも1つの複合材料を含むことを特徴とする、太陽電池モジュール(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの周辺ストリップ(15A)の前記幅(L15A)と、前記複数の太陽電池セル(4)と前記少なくとも1つの縁部(1A)との間の前記距離DAとの差が、30mm以下、好ましくは20mm以下である、請求項1に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項3】
前記第3層(15)及び/若しくは前記第2層(5)が、ポリマー及び繊維をベースとする複合材料から作製されており、
前記ポリマーが、好ましくは、ポリエステル、エポキシ樹脂及び/若しくはアクリル樹脂から選択されており、並びに/又は、
前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維及び/若しくはアラミド繊維から選択されている、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項4】
前記第3層(15)が、前記第2層(5)と同じ複合材料から作製されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項5】
前記第3層(15)が、複数の周辺ストリップ(15A、15B、15C、15D)、好ましくは少なくとも2つの対向するストリップ、さらにより好ましくは4つのストリップを形成し、各周辺ストリップが、前記太陽電池モジュール(1)の1つの縁部(1A、1B、1C、1D)から前記モジュールの中心に向かって延在し、各周辺ストリップの幅(L15A、L15B、L15C、L15D)が、前記縁部と前記複数の太陽電池セル(4)との間の距離DA、DB、DC、DD以上であり、各周辺ストリップの幅と前記距離DA、DB、DC、DDとの差が、好ましくは30mm以下、さらにより好ましくは20mm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項6】
前記封入アセンブリ(3)が、前記太陽電池モジュール(1)の前記縁部(1A、1B、1C、1D)まで延在している、請求項1~5のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項7】
前記封入アセンブリ(3)の前記上方部分(3a)が、前記太陽電池モジュール(1)の少なくとも1つの縁部(1A)から距離D3Aだけ間隔を空けて配置され、前記距離D3Aが、非ゼロであるとともに、前記少なくとも1つの縁部と前記複数の太陽電池セルとの間の距離DA未満であり、前記距離DAと前記距離D3Aとの差が、好ましくは、10mm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項8】
前記第2層(5)よりも下方に位置する、好ましくはポリマーから作製された第5層(13)をさらに含み、前記第5層が、前記少なくとも1つの縁部(1A)から前記モジュールの中心に向かって延在する少なくとも1つの周辺ストリップ(13A)を形成し、前記周辺ストリップ(13A)の幅(L13A)が、前記少なくとも1つの縁部と前記複数の太陽電池セルとの間の前記距離DA以上であり、前記幅と前記距離との差が、好ましくは30mm以下、さらにより好ましくは20mm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項9】
前記第5層(13)が、複数の周辺ストリップ(13A、13B、13C、13D)、好ましくは少なくとも2つの対向するストリップ、さらにより好ましくは4つのストリップを形成し、各周辺ストリップが、前記太陽電池モジュール(1)の1つの縁部(1A、1B、1C、1D)から前記モジュールの中心に向かって延在し、各周辺ストリップの幅(L13A、L13B、L13C、L13D)が、前記縁部と前記複数の太陽電池セル(4)との間の距離DA、DB、DC、DD以上であり、前記幅と前記距離との差が、好ましくは30mm以下、さらにより好ましくは20mm以下である、請求項8に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項10】
前記第5層(13)が、前記封入アセンブリの前記材料と同じ熱機械的特性を有する材料、好ましくは前記封入アセンブリ(3)と同じ材料から作製されている、請求項8又は9に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項11】
前記第5層(13)の寸法が、前記第3層(15)の寸法と実質的に等しい、請求項8~10のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項12】
前記太陽電池モジュール(1)の前記背面を形成する第4層(12)であって、前記第2層(5)が、前記封入アセンブリ(3)と前記第4層(12)との間に位置し、前記第4層が、前記第1層(2)を作製する材料と同じ材料から作製されるとともに、前記第1層(2)の厚さ以下の厚さを有する、第4層(12)
をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項13】
前記第1層(2)がポリマーから作製されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項14】
前記第1層(2)が、50μm以下の厚さ(e2)を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項15】
前記封入アセンブリ(3)が、150μm未満の最大厚さ(e3)を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項16】
前記第2層(5)が、150g/m2未満の単位面積当たりの重量を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項17】
前記封入アセンブリ(3)が、前記第1層(2)と前記複数の太陽電池セル(4)との間に配置された上部封入層(3a)と、前記複数の太陽電池セル(4)と前記第2層(5)との間に配置された下部封入層(3b)とを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の選択された太陽電池モジュール(1)を製造する方法であって、前記太陽電池モジュール(1)がそれから作製される前記層の、130℃~170℃、特におよそ150℃の温度での熱ラミネート加工のステップを含み、ラミネート加工サイクルが少なくとも10分間、特に10~20分間続くことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに電気的に接続されている一組の太陽電池セル、好ましくはいわゆる「結晶」太陽電池セル、すなわち、単結晶又は多結晶シリコンをベースとする太陽電池セルを含む太陽電池モジュールの分野に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、超軽量(単位面積当たりの重量が1kg/m2未満又はさらには800g/m2未満、又はさらには600g/m2未満)であり且つ可撓性がある太陽電池モジュールの分野に関する。
【0003】
本発明は、多くの用途に、例えば自律型及び/又は搭載型の用途に適用することができ、特に、超軽量であり、特に、1kg/m2未満及び特に800g/m2未満、又はさらには600g/m2未満の単位面積当たりの重量を有し、厚さが薄い、特に1mm未満である、可撓性(ガラスなし)太陽電池モジュールの使用を必要とする用途に適用可能である。したがって、本発明は、特に、住宅又は事業施設(産業現場、オフィスビル、商業施設等)等の建物(例えばそれらの屋根を製造するため)、都市の街頭備品の設計(例えば、公共空間の照明を提供するため)、道路標識、若しくはさらには電気自動車の充電に適用することができ、又はさらには、携帯用途にも使用することができ、特に、とりわけ飛翔体、車、バス若しくはボートに組み込むことができる。
【背景技術】
【0004】
太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールの前面を形成する第1層と、太陽電池モジュールの背面を形成する第2層との間に並んで配置されている太陽電池セルのアセンブリである。太陽電池モジュールの前面を形成する第1層は、太陽電池セルが光束を受け取るのを可能にするために透明である。
【0005】
太陽電池セルは、前面側電気接点素子と背面側電気接点素子とにより、互いに電気的に接続することができ、それらの電気接点素子は相互接続部と称され、例えば、太陽電池セルの各々の前面(太陽電池モジュールの前面に面して位置する面、すなわち、光束を受け取るように意図された面)及び背面(太陽電池モジュールの背面に面して位置する面)に接してそれぞれ、又はさらにはIBC太陽電池セル(IBCは、相互嵌合型バックコンタクト(interdigitated back contact)の頭字語である)については背面にのみ配置される、錫めっき銅線によって形成されている。
【0006】
さらに、それぞれ太陽電池モジュールの前面を形成する第1層と背面を形成する第2層との間に位置する太陽電池セルは、封入することができる。
【0007】
特許出願、国際公開第2019224458A1号パンフレットは、
図1に示す超軽量太陽電池モジュールを記載している。太陽電池モジュール1は、
- 太陽電池モジュールの前面を形成するとともに、50μm未満の厚さe2を有する少なくとも1つのポリマーを含む透明な第1層2と、
- 太陽電池モジュールの背面を形成するとともに、ポリマー樹脂及び繊維をベースとする少なくとも1つのプリプレグ複合材料を含み、150g/m
2未満の単位面積当たりの重量を有する、第2層5と、
- 並んで配置されるとともに、相互接続線の形態をとる電気接点素子によって互いに電気的に接続されている複数の太陽電池セル4と、
- 複数の太陽電池セルを封入し、150μm未満の最大厚さe3を有する(2つの層3a及び3bによって形成された)アセンブリ3と、
を含み、封入アセンブリと複数の太陽電池セルは、第1層と第2層との間に位置している。
【0008】
矢印は、太陽電池モジュールの前面を形成する透明な第1層2を介して到達する、光放射に対応する。
【0009】
太陽電池モジュール1は、太陽電池モジュール1を形成する構成層2、3、4、5の熱ラミネート加工の単一ステップにおいて、130℃~170℃の温度で製造され、ラミネート加工サイクルは少なくとも10分間続く。
【0010】
図2に示すように、実際には、第1層及び第2層と太陽電池セルを封入するアセンブリとは、こうした太陽電池モジュール1の少なくとも1つの縁部1Aにおいて太陽電池セルに対して突出部Dを有する。
【0011】
言い換えれば、太陽電池セルは、第1層及び第2層によって並びに太陽電池を封入するアセンブリによって形成されたモジュール縁部から、(突出部Dの値に等しい距離)離れている。これにより、前記セルをより十分に保護することができる。この図では、太陽電池モジュールは、背面にさらなる層10を含み、この層10は、太陽電池モジュール1の前面を形成する第1層2を作製する材料と同じ材料から作製される。
【0012】
図2は、単一の縁部を示すが、突出部は、概してモジュールのすべての縁部に存在し、すべての縁部において概して同じ幅である。
【0013】
封入アセンブリは、概して、モジュールに1000Vの動作電圧がかけられる場合、ラミネート加工作業が実施されたときに電気絶縁を確実にするために、(最後の電気伝導体、セル又は相互接続線の縁部から)少なくとも16mm以上の突出部を有していなければならない。この突出部により、水及び化学物質に対するモジュールの不透過性も確実にすることができる。第1層及び第2層は、封入アセンブリの寸法に従う。使用される材料が非常に高い誘電率を有する場合、モジュールの動作電圧がより低い場合、又はさらにはモジュールの使用の環境条件が水又は化学物質に対する高い不透過性を必要としない場合、この突出部をより小さくすることができる。いずれの場合も、加工を容易にするために、突出部は、非常に多くの場合、少なくとも5mmである。
【0014】
さらに、こうした超軽量太陽電池モジュールの特定の用途(例えば、飛翔体への組込み)では、他の太陽電池モジュール及び/又は他の用途の場合であり得るようなそれらの背面を介するのではなく、モジュールの縁部に位置する締結手段により、太陽電池モジュールを物体に締め付ける必要があることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、本発明者らは、上述したもの等の超軽量太陽電池モジュールでは、ラミネート加工後、得られた構造の非対称性に関する内部応力により、モジュールの縁部が湾曲することになると気づいた。そして、これらの湾曲は、上述した締結手段の使用を複雑にするか、妨げるか、又はさらには阻止する可能性がある。湾曲はさらに、引掛りのリスクを発生させるか、又は風に巻き込まれることにより問題をもたらすか、又はさらには、特定の用途では不適合である、審美的欠陥を引き起こす可能性がある。
【0017】
本発明は、従来技術の上述した欠点を克服することを目的とする。
【0018】
より詳細には、本発明は、縁部に湾曲がほとんど又はまったくなく、それにも関わらず、従来技術による可撓性且つ超軽量太陽電池モジュールのものと少なくとも等価である機械的性能及び電気的性能を有する、可撓性且つ超軽量太陽電池モジュールを提供することを目的とする。言い換えれば、本発明は、可能な限り平坦である、可撓性且つ超軽量太陽電池モジュールを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの欠点が改善されることを可能にする、本発明の第1主題は、
太陽電池モジュールの前面を形成する透明な第1層であって、その面が光束を受け取るように意図されている、第1層と、
並んで配置されるとともに、互いに電気的に接続されている、複数の太陽電池セルと、
複数の太陽電池セルを封入することができるとともに、下方部分及び上方部分を含み、好ましくはポリマーから作製されている、封入アセンブリと、
ポリマー樹脂及び繊維をベースとする少なくとも1つの複合材料を含む、第2層と、
を含み、
封入アセンブリ及び複数の太陽電池セルが第1層と第2層との間に位置し、
少なくとも第1層及び第2層が太陽電池モジュールの縁部を画定している、
太陽電池モジュールであって、
複数の太陽電池セルが、太陽電池モジュールの少なくとも1つの縁部から非ゼロ距離DAだけ間隔を空けて配置され、太陽電池モジュールが、複数の太陽電池セルよりも下方に、及び封入アセンブリの下方部分よりも上方に位置する、第3層又は補強層をさらに含み、前記第3層が、少なくとも1つの縁部から前記モジュールの中心に向かって延在する少なくとも1つの周辺ストリップを形成し、周辺ストリップの幅が距離DA以上であり、前記第3層が、ポリマー樹脂及び繊維をベースとする少なくとも1つの複合材料を含むことを特徴とする、太陽電池モジュールである。
【0020】
好ましくは、少なくとも1つの周辺ストリップの幅と、複数の太陽電池セルと少なくとも1つの縁部との間の距離DAとの差は、30mm以下、より好ましくは20mm以下である。
【0021】
好ましくは、第3層の少なくとも1つの周辺ストリップの幅は、太陽電池セルと少なくとも1つの縁部との間の少なくとも1つの距離よりも、厳密に大きい。
【0022】
好ましくは、第2層は、ポリマー樹脂及び繊維をベースとするプリプレグ材料から作製されている。
【0023】
好ましくは、第3層は、ポリマー樹脂及び繊維をベースとするプリプレグ材料から作製されている。
【0024】
「ストリップ」とは、縁部の方向において長手方向に延在し、幅が太陽電池モジュールの平面において縁部の方向に対して垂直に画定される要素であると理解されなければならない。
【0025】
ストリップは、太陽電池モジュールの縁部に配置されているという点で、「周辺」であると言われる。したがって、周辺ストリップは、太陽電池モジュールの1つの縁部から配置され、その縁部に最も近い太陽電池セル(又は2つ以上の太陽電池セル)に達し、又はさらにはその下に突出する。
【0026】
縁部と複数の太陽電池セルとの間の「距離」は、前記縁部とその縁部に最も近い1つ又は複数の太陽電池セルとの最短距離を意味する。
【0027】
太陽電池モジュールのすべての縁部と複数の太陽電池セルとの間の距離は、すべて同一であり得る。この場合、周辺ストリップ幅もまた、すべて同一であり得る。
【0028】
セル及びさまざまな層、並びに特に周辺ストリップの厚さは、太陽電池モジュールの平面に対して垂直な方向において画定される。
【0029】
「透明な」という用語は、太陽電池モジュールの前面を形成する第1層の材料が、可視光に対して少なくとも部分的に透明であり、この光の少なくとも約80%を透過させることを意味する。
【0030】
太陽電池モジュールの「前面」は、光束を受け取るように意図された面に対応する。それは、「上面」と称することができる。「背面」は、前記モジュールの反対側の面に対応する。それは、「下面」と称することができる。「よりも下方に」及び「下部」又は「下方の」という用語は、太陽電池モジュールの背面に関して理解されるべきである。対照的に、「よりも上方に」及び「上部」又は「上方の」という用語は、太陽電池モジュールの前面に関して理解されるべきである。
【0031】
さらに、「封入する」又は「封入された」という用語は、複数の太陽電池セルが、例えば、液体に対して密閉されており、且つラミネート加工後に互いに接合されて封入アセンブリを形成する封入材料の少なくとも2つの層によって少なくとも部分的に形成されている容積内に、配置されていることと理解されなければならない。
【0032】
具体的には、最初に、すなわち、いかなるラミネート加工作業の前にも、封入アセンブリは、コア層と称する、間に複数の太陽電池が封入される、封入材料の少なくとも2つの層から構成される。しかしながら、層のラミネート加工の作業中、封入材料の層は溶融して、ラミネート加工作業の後、太陽電池セルが埋め込まれるただ1つの凝固層(又はアセンブリ)を形成する。
【0033】
したがって、本発明は、太陽電池セルのない、及び任意選択的に相互接続線のない領域における材料の対称性を、これらの領域にのみ1つ又は複数の周辺ストリップ(補強層)を追加することにより、及び/又はモジュールの他の構成層を変更することにより、改善することを目的とする。これにより、太陽電池モジュールの縁部における湾曲の形成を回避することができる。
【0034】
これらの周辺ストリップは、第2層のポリマー樹脂及び繊維をベースとする複合材料等、太陽電池モジュールにすでに存在する層を作製する材料から作製することができる。縁部に位置するこれらの周辺ストリップの目的は、その縁部において太陽電池モジュールの構造の対称性を高め、より良好には、太陽電池モジュールの目標とする用途によって決まる他のすべての制約を満たしながら、さらに対称性を完全に改善することである。
【0035】
1つの明白な解決法は、
図2の太陽電池モジュールで開始して、さまざまな層を対称にするために、透明な第1層と上部封入層との間に、(第2層として)ポリマー樹脂及び繊維をベースとするプリプレグ複合材料から作製された別の層を配置することであった。本発明は、こうした解決法とは、第3層又は補強層が複数の太陽電池セルと封入アセンブリの下方部分との間に配置されるという点、及び、前記第3層が周辺ストリップ(又は、すべての縁部に第3層のストリップが設けられる場合は周辺フレーム)の形態をとるという点で異なる。これにより、第3層を光線から保護することができ(第3層はセルよりも下方にあり続ける)、性能の低下が防止される(光線は、セルに到達する前に追加の層を通過する必要がない)。本発明によるモジュールを製造する方法は、従来技術による超軽量太陽電池モジュールの方法と同程度に単純である。さらに、縁部に層全体を設けるのではなく単一ストリップを位置決めすることにより、材料を節約することができ、これは、太陽電池モジュールのサイズが大きい場合に非常に有利であり得る。最後に、これにより、太陽電池モジュールに過度の重量が加わることが回避される。
【0036】
したがって、これらの周辺ストリップにより、超軽量且つ平坦な(湾曲のない)太陽電池モジュールを形成することができ、これにより、単位面積当たりの重量とこうしたモジュールの原価とを著しく増大させることなく、太陽電池モジュールを締結するシステムの使用が容易になる。
【0037】
本発明による太陽電池モジュールは、以下の特徴のうちの1つ又は複数を単独で、又は任意の技術的に可能な組合せで、さらに含むことができる。言い換えれば、以下に示す実施形態は、ある実施形態が別の実施形態に対して代替的であることに明示的に問題がない限り、ともに組み合わせることができる。
【0038】
1つの実施形態によれば、第3層及び/若しくは第2層は、ポリマー及び繊維をベースとする複合材料から作製されており、ポリマーは、好ましくは、ポリエステル、エポキシ樹脂及び/若しくはアクリル樹脂から選択され、並びに/又は、繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及び/若しくはアラミド繊維から選択されている。
【0039】
1つの好ましい実施形態によれば、第3層は、第2層と同じ複合材料から作製されている。
【0040】
1つの特定の実施形態によれば、第3層は、複数の周辺ストリップ、好ましくは少なくとも2つの対向するストリップ、さらにより好ましくは4つのストリップを形成し、各周辺ストリップは、太陽電池モジュールの1つの縁部から前記モジュールの中心に向かって延在し、各周辺ストリップの幅は、前記縁部と複数の太陽電池セルとの間の距離DA、DB、DC、DD以上である。好ましくは、各周辺ストリップの幅と距離DA、DB、DC、DDとの差は、30mm以下、さらにより好ましくは20mm以下である。
【0041】
好ましくは、第3層の各周辺ストリップの幅は、距離DA、DB、DC、DDよりも厳密に大きい。
【0042】
1つの実施形態によれば、封入アセンブリは、太陽電池モジュールの縁部まで延在している。
【0043】
先行する実施形態に対する1つの代替実施形態によれば、封入アセンブリの上方部分は、太陽電池モジュールの少なくとも1つの縁部から距離D3Aだけ間隔を空けて配置され、距離D3Aは、非ゼロであるとともに、前記少なくとも1つの縁部と複数の太陽電池セルとの間の距離DA未満であり、距離DAと距離D3Aとの差は、好ましくは、10mm以下である。特に、封入アセンブリの上方部分は、太陽電池モジュールの各縁部から非ゼロ距離D3A、D3B、D3C、D3Dだけ間隔を空けて配置することができ、距離D3A、D3B、D3C、D3Dと、前記縁部と複数の太陽電池セルとの間の距離DA、DB、DC、DDとの差は、好ましくは、10mm以下である。
【0044】
1つの実施形態によれば、太陽電池モジュールは、第2層よりも下方に位置する、好ましくはポリマーから作製された第5層をさらに含み、前記第5層は、少なくとも1つの縁部から前記モジュールの中心に向かって延在する少なくとも1つの周辺ストリップを形成し、周辺ストリップの幅は、前記少なくとも1つの縁部と複数の太陽電池セルとの間の距離DA以上である。好ましくは、前記幅と前記距離との差は、30mm以下、さらにより好ましくは20mm以下である。
【0045】
1つの特定の実施形態によれば、第5層は、複数の周辺ストリップ、好ましくは少なくとも2つの対向するストリップ、さらにより好ましくは4つのストリップを形成し、各周辺ストリップは、太陽電池モジュールの1つの縁部から前記モジュールの中心に向かって延在し、各周辺ストリップの幅は、前記縁部と複数の太陽電池セルとの間の距離DA、DB、DC、DD以上である。好ましくは、各周辺ストリップの幅と距離DA、DB、DC、DDとの差は、30mm以下、さらにより好ましくは20mm以下である。
【0046】
好ましくは、第5層の各周辺ストリップの幅は、距離DA、DB、DC、DDよりも厳密に大きい。
【0047】
前記第5層は、好ましくは、封入アセンブリの材料と同じポリマー、又は少なくとも同じ熱機械的特性を有するポリマーから作製されている。
【0048】
1つの特定の実施形態によれば、第5層の寸法は、第3層の寸法と実質的に等しい。
【0049】
1つの実施形態によれば、太陽電池モジュールは、
- 太陽電池モジュールの背面を形成する第4層であって、第2層が、封入アセンブリと前記第4層との間に位置し、前記第4層が、第1層を作製する材料と同じ材料から作製されるとともに、第1層の厚さ以下の厚さを有する、第4層
をさらに含む。
【0050】
太陽電池モジュールは、以下のさらなる特徴を、単独で又は互いに組み合わせて、先行する特徴のうちの1つ又は複数とともに、さらに有することができる。
- 第1層は、ポリマーから作製されており、
- 第1層は、50μm以下の厚さを有し、
- 封入アセンブリは、150μm未満の最大厚さを有し、
- 第2層は、150g/m2未満の単位面積当たりの重量を有し、
- 封入アセンブリは、第1層と複数の太陽電池セルとの間に配置された上部封入層と、複数の太陽電池セルと第2層との間に配置された下部封入層とを含む。
【0051】
本発明の第2主題は、こうした太陽電池モジュールを製造する方法であって、少なくとも、太陽電池モジュールを形成する層の、130℃~170℃、特におよそ150℃の温度での熱ラミネート加工のステップを含み、ラミネート加工サイクルが少なくとも10分間、特に10~20分間続く、方法である。
【0052】
本発明による太陽電池モジュール及び製造方法は、上述した特徴のうちの任意の1つを、単独で又は他の特徴との任意の技術的に可能な組合せで含むことができる。
【0053】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、例示として与えられるとともに非限定的である以下の説明を読むことで明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】従来技術の1つの太陽電池モジュールを示す。
【
図2】従来技術の1つの特定の太陽電池モジュールを示す。
【
図3】本発明による太陽電池モジュールの第1実施形態を断面図及び分解図で示す。
【
図4】上方から見た、本発明による太陽電池モジュールの第1実施形態の具現化の1つの特定の例を示す。
【
図5】本発明による太陽電池モジュールの第1実施形態の1つの変形を断面図及び分解図で示す。
【
図6】本発明による太陽電池モジュールの第2実施形態を断面図及び分解図で示す。
【
図7】本発明による太陽電池モジュールの第3変形を断面図及び分解図で示す。
【
図8】上方から見た、本発明による太陽電池モジュールの第3実施形態の具現化の1つの特定の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
これらすべての図において、同一の参照符号は、同一であるか又は類似する要素を示すことができる。
【0056】
加えて、図に示すさまざまな部分は、図を読みやすくするために、必ずしも正確な縮尺では示されていない。
【0057】
図1及び
図2は、従来技術に関するセクションにおいてすでに説明されている。
【0058】
すべての断面図において、矢印は光放射に対応する。
【0059】
図3、
図5、
図6及び
図7は、本発明による製造プロセスのラミネート加工ステップの前の、3つの太陽電池モジュール実施形態及び1つの太陽電池モジュール変形の分解XZ断面に対応することが留意されよう。ラミネート加工ステップが実施されると、すなわち、真空下での熱間プレスが実施されると、さまざまな層が、実際に、主XY平面において互いに重ね合わされる。
【0060】
図4は、第1実施形態の具現化の1つの特定の例の上方からのXY図に対応する。
【0061】
図8は、第3実施形態の具現化の1つの特定の例の上方からのXY図に対応する。
【0062】
図3~
図8のすべてにおいて、より全体的には本発明の文脈において、太陽電池モジュールは、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0063】
好ましくは、第1層2と、適切な場合は第4層12とは、少なくとも1種のポリマーを含む。
【0064】
第1層2の(且つ適切な場合は第4層12の)ポリマーは、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、フルオロポリマー、特にポリフッ化ビニル(PVF)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)及び/又はフッ化エチレンプロピレン(FEP)から選択することができる。
【0065】
第1層2(及び適切な場合は第4層12)は、50μm未満の厚さ、有利には5μm~25μmの厚さを有する。
【0066】
封入アセンブリ3(及び適切な場合は第5層13)は、酸コポリマー、イオノマー、ポリ(エチレン酢酸ビニル)(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)等の酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリ(塩化ビニル)、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリオレフィンコポリマーエラストマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー及びエチレンブチルアクリレートコポリマー等のα-オレフィン及びα,β-エチレン性不飽和カルボン酸エステルのコポリマー、シリコーンエラストマー及び/又はエポキシ樹脂から選択された少なくとも1種のポリマーから作製することができる。
【0067】
封入アセンブリ3は、150μm以下、好ましくは20~100μm、より好ましくは50μm~75μmの総厚さe3を有する。
【0068】
封入アセンブリ3は、特に、2つのポリマー層3a(上部封入層)及び3b(下部封入層)から製造することができる。それは、ポリ(エチレン酢酸ビニル)(EVA)の2つの層か又はイオノマーの2つの層かという問題である可能性があり、それらの層の間に太陽電池セル4が配置される。各層3a、3bは、75μm以下、好ましくは50μm以下の厚さe3a、e3bを有することができる。これらの層3a及び3bは、好ましくは同一の性質のものであるが、異なる光学特性を有する場合もある。
【0069】
太陽電池セル4は、単結晶シリコン(c-Si)及び/又は多結晶シリコン(mc-Si)をベースとするホモ接合又はヘテロ接合太陽電池セル、及び/又はIBC太陽電池セル、及び/又はアモルファスシリコン(a-Si)、微結晶シリコン(μC-Si)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅インジウム(CIS)及び二セレン化銅インジウム/ガリウム(CIGS)からの少なくとも1つの材料を含む太陽電池セル、又はさらには多接合(III/V)セルから選択することができる。それらの厚さは、1~300μm、特に1~200μmの間に含まれる。
【0070】
太陽電池セル4は、1~300μm、特に1~250μm、又はさらには1~200μm、及び有利には70μm~150μmの厚さe4を有することができる。
【0071】
さらに、2つの近接する又はさらには連続するか若しくは隣接する太陽電池セルの間の間隔は、0.5mm以上、特に、1~30mm、好ましくは2mmに等しくすることができる。
【0072】
さらに、太陽電池セル4は、はんだ付けされた錫めっき銅から作製された電線によって相互接続することができる。太陽電池セルを相互接続する電線の厚さは、ラミネート加工プロセス及び封入アセンブリの薄い厚さと適合性があるように調整される。セルを相互接続する電線は、100μm未満の厚さと3mm未満の幅とを有することができる。
【0073】
第2層5は、150g/m2未満及び有利には50g/m2~115g/m2の単位面積当たりの重量を有する、ポリマー樹脂及び繊維をベースとするプリプレグ複合材料を含む。それは、例えば、前記少なくとも1つの複合材料から作製することができる。プリプレグの織物は、50g/m2以下の単位面積当たりの重量を有することができ、ポリマー樹脂の含浸の程度は、30~70wt%であり得る。
【0074】
第2層5の複合材料は、ポリマー樹脂及び繊維をベースとするプリプレグとすることができ、ポリマーは、ポリエステル、エポキシ樹脂及び/又はアクリル樹脂から選択され、繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及び/又はアラミド繊維から選択される。
【0075】
第2層5は、特に、100μm以下、特に50μm~80μmの厚さe5を有することができる。
【0076】
図示する実施形態では、第3層15(又は補強層)もまた、ポリマー樹脂及び繊維をベースとするプリプレグ複合材料から作製される。これは、第2層5に関して上記に列挙した材料のうちの1つであり得る。
【0077】
1つの好ましい実施形態では、第3層15は、第2層5と同じ材料から作製される。
【0078】
第3層15は、特に、50g/m2~150g/m2の単位面積当たりの重量を有することができる。第3層は、特に、100μm以下、特に、50μm~80μmの厚さe15を有することができる。
【0079】
太陽電池モジュールの第1層及び/又は第2層は、1つ又は複数の部分から形成することができ、すなわち、それらは単層又は多層であり得ることが留意されよう。
【0080】
図3は、太陽電池モジュール1の第1実施形態を断面図及び分解図で示し、太陽電池モジュール1は
- 太陽電池モジュールの前面を形成する透明な第1層2であって、上記面が光束を受け取るように意図されている、第1層2と、
- 並んで配置されるとともに互いに電気的に接続されている、複数の太陽電池セル4と、
- 複数の太陽電池セル4よりも上方に配置された上部封入層3aと、複数の太陽電池セル4よりも下方に配置された下部封入層3bとを含み、複数の太陽電池セル4を封入することができる、封入アセンブリ3と、
- ポリマー樹脂及び繊維をベースとする少なくとも1つの複合材料を含む、第2層5と、
を含み、
封入アセンブリ3及び複数の太陽電池セル4が、第1層と第2層との間に位置している。
【0081】
第1層2及び第2層5は、太陽電池モジュール1の縁部まで延在する封入アセンブリと同様に、太陽電池モジュール1の縁部を画定する。
【0082】
さらに、複数の太陽電池セル4は、太陽電池モジュール1の1つの縁部1Aから距離DAだけ離れている。
【0083】
太陽電池モジュール1は、複数の太陽電池セル4よりも下方に、及び下部封入層3bよりも上方に位置する、第3層15又は補強層も備える。この第3層は周辺ストリップ15Aを形成し、周辺ストリップ15Aは、縁部1Aから延在するとともに、縁部1Aに最も近い太陽電池セル41(又は複数の太陽電池セル)の下に突出する。したがって、この周辺ストリップの幅L15Aは、距離DAよりも大きい。
【0084】
例として、距離DAは50mmに等しく、周辺ストリップ15Aの幅L15Aは70mmに等しくすることができる。より概略的には、幅L15Aと距離DAとの差は、30mm以下、好ましくは20mm以下、さらにより好ましくは10~20mmである。
【0085】
図4は、
図3の実施形態の具現化の一例の上方からの図に対応する。
【0086】
太陽電池セルは、太陽電池モジュール1のすべての縁部1A、1B、1C、1Dから距離DA、DB、DC、DDだけ離れていることを見ることができる。4つの太陽電池セル41、42、43、44が示されているが、この数は非限定的であり、それよりも多いか又は少ない場合もあり得る。
【0087】
したがって、第3層15は、縁部1A、1B、1C、1Dごとに1つ、4つの周辺ストリップ15A、15B、15C、15Dを形成する。各周辺ストリップは、1つの縁部から延在し、その縁部に最も近い2つの太陽電池セルの下に突出する。各周辺ストリップの幅L15A(L15B、L15C、L15Dそれぞれ)は、前記ストリップに平行な縁部と複数の太陽電池セル(4)との間の距離DA(DB、DC、DDそれぞれ)よりも大きい。
【0088】
図4に簡略化して示す実施形態では、ストリップの幅と同様に、すべての距離が実質的に等価であるが、これは常に当てはまるとは限らない。
【0089】
例として、距離DA、DB、DC、DDは50mmに等しく、周辺ストリップ15A、15B、15C、15Dの幅L15A、L15B、L15C、L15Dは70mmに等しくすることができる。
【0090】
より概略的には、第3層15のストリップの幅L15A(L15B、L15C、L15Dそれぞれ)と前記ストリップに平行な縁部とセルとの間の距離DA(DB、DC、DDそれぞれ)との差は、30mm以下、好ましくは20mm以下、さらにより好ましくは10~20mmである。
【0091】
対照的に、周辺ストリップの長さは、凹み加工を必要とすることなく縁部のすべてを覆うために必ずしも等しくはなく、したがって、フレームを形成する(そうでない場合、各周辺ストリップが45°の角度の等脚台形の形状であることを想定することができる)。別法として、フレームは一体であり得る。
【0092】
図5は、第1実施形態の1つの変形を断面図及び分解図で示す。
【0093】
図5の太陽電池モジュールは、上述した特徴、及び特に
図3及び
図4を参照して記載した特徴のうちのすべて又はいくつかを含むことができ、したがってそれらの特徴については再度記載しない。しかしながら、この変形では、太陽電池モジュール1は、太陽電池モジュール1の背面を形成する第4層12を含み、第2層5は、第4層12と封入アセンブリ3との間に位置している。
【0094】
この第4層12は、太陽電池モジュール1の前面を形成する第1層2を作製する材料と同じ材料から作製される。有利には、この材料は、Halar(登録商標)という名称でも知られるエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)に対応する。
【0095】
さらに、第4層12は、
図5のこの変形では、第1層2の厚さe2以下の厚さe12を有する。
【0096】
第4層12は、有利には、モジュール1が誘電的に及び化学的に隔離されることを可能にする。
【0097】
背面を形成する第4層12は、
図6及び
図7にも示されている。しかしながら、これは省略することができる。
【0098】
図6は、太陽電池モジュールの第2実施形態を断面図及び分解図で示す。
【0099】
図6の太陽電池モジュールは、上述した特徴、及び特に
図3~
図5を参照して記載した特徴のうちのすべて又はいくつかを含むことができ、したがってそれらの特徴については再度記載しない。
【0100】
しかしながら、この第2実施形態では、上部封入層(3a)は、太陽電池モジュールの縁部1Aから距離D3だけ離れている。この距離D3は距離DAよりも小さく、このため、上部封入層(3a)は、依然として、太陽電池セルを保護することができる。
【0101】
上部封入層(3a)は、太陽電池モジュールのすべての縁部から離れている場合があり、特に、例えば
図4及び
図8のタイプの構成におけるように、太陽電池モジュールのすべての縁部から同じ距離D
3だけ離れている場合がある。
【0102】
例として、距離DAは、50mmに等しく、周辺ストリップ15Aの幅L15Aは70mmに等しく、距離D3は30mmに等しくすることができる。
【0103】
より概略的には、幅L15A(L15B、L15C、L15Dそれぞれ)と距離DA(DB、DC、DDそれぞれ)との差は、30mm以下、好ましくは20mm以下、さらにより好ましくは10~20mmであり、DA(DB、DC、DDそれぞれ)とD3との差は10mm以下である。
【0104】
図7は、太陽電池モジュールの第3実施形態を断面図及び分解図で示す。
【0105】
図7の太陽電池モジュールは、上述した特徴、及び特に
図3~
図5を参照して記載した特徴のうちのすべて又はいくつかを含むことができ、したがってそれらの特徴については再度記載しない。しかしながら、この第3実施形態では、太陽電池モジュールは、第2層5よりも下方に及び第4層12よりも上方に位置する第5層13を含む。
【0106】
この第5層は、1つの縁部1Aから延在する少なくとも1つの周辺ストリップ13Aを形成するとともに、縁部1Aに最も近い太陽電池セル41(又は複数の太陽電池セル)よりも下方に突出する。この周辺ストリップの幅L13Aは、距離DAよりも大きい。
【0107】
第5層13は、好ましくは、封入アセンブリ3と同じ材料から作製される。別法として、第5層は、封入アセンブリの材料とは異なる材料から作製されるが、少なくとも同じ熱機械的特性を有していなければならない。
【0108】
この第5層の利点は、上記縁部及び/又は複数の縁部を対称にすることである。
【0109】
例として、距離DAは50mmに等しく、周辺ストリップ15Aの幅L15Aは70mmに等しく、周辺ストリップ13Aの幅L13Aは70mmに等しくすることができる。
【0110】
より概略的には、幅L13Aと距離DAとの差は、30mm以下、好ましくは20mm以下、さらにより好ましくは10~20mmである。
【0111】
好ましくは、幅L13Aは幅L15Aに等しい。
【0112】
図8は、第3実施形態の具現化の1つの特定の例の上方からの図に対応し、この図では、(下部)第4層12と、第5層13と、4つの太陽電池セル41、42、43、44とのみが示されている(層13とセルとの間の層5、3b、15は、存在するが図を分かりやすくするために示されておらず、セルよりも上方の層に関しても同様である)。
【0113】
太陽電池セルは、太陽電池モジュール1のすべての縁部1A、1B、1C、1Dから距離DA、DB、DC、DDだけ離れていることを見ることができる。4つのセルが示されているが、この数は非限定的であり、それよりも多いか又は少ない場合もあり得る。
【0114】
したがって、第5層13は、例えば
図8の構成に示すように、縁部ごとに1つ、4つの周辺ストリップを形成し、したがって、フレームも形成することができる。フレームは一部品であり得る。
【0115】
図8に簡略化して示す実施形態では、ストリップの幅と同様に、すべての距離が実質的に等価であるが、これは常に当てはまるとは限らない。
【0116】
例として、距離DA、DB、DC、DDは50mmに等しく、周辺ストリップ13A、13B、13C、13Dの幅L13A、L13B、L13C、L13Dは70mmに等しくすることができる。
【0117】
より概略的には、第5層のストリップ幅L13A(L13B、L13C、L13Dそれぞれ)と距離DA(DB、DC、DDそれぞれ)との差は、30mm以下、好ましくは20mm以下、さらにより好ましくは10~20mmである。
【0118】
好ましくは、第5層13のストリップ幅L13A(L13B、L13C、L13Dそれぞれ)は、第3層15のストリップ幅L15A(L15B、L15C、L15Dそれぞれ)に等しい。
【0119】
第5層13は、好ましくは、第3層15と同じ幾何学的形状であり、それによりそれらは重なることができる。
【0120】
第5層13は、特に、150μm以下、又はさらには100μm以下の厚さe13を有することができる。
【0121】
例として、及び上記提示した実施形態のすべて又は各々に対して、
- 第2層5の材料及び第3層15の材料は、Hexcel社のHexply M77等のエポキシ樹脂を含浸させたガラスクロスからなるプリプレグ複合材のフィルムとすることができ、
- 前面を形成する第1層2は、およそ20μmの厚さの、Rayotec社の(Halarという名称で知られる)エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)ECT020のフィルムとすることができ、
- 封入層3a及び3bは、およそ50μmの厚さの、Juraplast社によって販売されているJurasolTM系列から得られるイオノマーフィルムとすることができ、含まれる場合は、第5層13の場合も同様であり、
- 太陽電池セル4は、およそ115μmの厚さの単結晶及びアモルファスシリコン、又はおよそ160μmの厚さのIBCセルをベースとするヘテロ接合セルとすることができる。
【0122】
太陽電池モジュール1は、太陽電池モジュール1を形成する構成層の、130℃~170℃、特におよそ150℃の温度での熱ラミネート加工の単一ステップで製造され、ラミネート加工サイクルは、少なくとも10分間、特に10~20分間続く。
【0123】
さまざまな提示した実施形態を互いに組み合わせることができる。
【0124】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されず、請求項の範囲内にある任意の実施形態を包含する。
【符号の説明】
【0125】
1 太陽電池モジュール
1A、1B、1C、1D 縁部
2 第1層
3 封入アセンブリ
3a 上部封入層
3b 下部封入層
4 太陽電池セル
5 第2層
10 層
12 第4層
13 第5層
13A、13B、13C、13D 周辺ストリップ
15 第3層
15A、15B、15C、15D 周辺ストリップ
41 太陽電池セル
42 太陽電池セル
43 太陽電池セル
44 太陽電池セル
D 突出部
DA、DB、DC、DD 距離
D3A 距離
L13A、L13B、L13C、L13D 幅
L15A、L15B、L15C、L15D 幅
e2 厚さ
e3 厚さ
【外国語明細書】