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特開2022-82531試験測定装置及びネットワークを介して波形データを提供する方法
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  • 特開-試験測定装置及びネットワークを介して波形データを提供する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082531
(43)【公開日】2022-06-02
(54)【発明の名称】試験測定装置及びネットワークを介して波形データを提供する方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 13/20 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
G01R13/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021190155
(22)【出願日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】63/117,202
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/531,335
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521513904
【氏名又は名称】イニシャル・ステート・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Initial State Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・アール・ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ビー・クールマン・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ブイダ
(72)【発明者】
【氏名】アダム・エム・リーブス
(72)【発明者】
【氏名】グレイ・ジェイ・ワルド
(57)【要約】
【課題】ネットワークを通じた大きな波形データの共同作業を容易にする。
【解決手段】試験測定装置12は、試験測定装置12をネットワーク30に接続するように構成された通信ポート22と、メモリ16と、1つ以上のプロセッサ14とを有し、プロセッサ14に、通信ポート22を通してファイル形式が識別されたオリジナル波形を受信させ、元のファイル・サイズを持つオリジナル波形をメモリ16に記憶させ、オリジナル波形を元のファイル・サイズより小さい圧縮ファイル・サイズを有する圧縮波形に圧縮させ、圧縮波形が利用可能なことを1人以上のユーザに通知させ、要求を受けると、圧縮波形をユーザ・デバイス40、42などへ送信させるよう構成されるプログラムを実行するようにプロセッサ14が構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験測定装置であって、
上記試験測定装置をネットワークに接続するように構成された通信ポートと、
メモリと、
1つ以上のプロセッサであって、該プロセッサに、
上記通信ポートを介してファイル形式が識別されたオリジナル波形を受信させ、
オリジナルのファイル・サイズを有する上記オリジナル波形をメモリに記憶させ、
上記オリジナル波形を上記オリジナルのファイル・サイズよりも小さい圧縮ファイル・サイズを有する圧縮波形に圧縮させ、
上記圧縮波形が利用可能であることを1人以上のユーザに通知させ、
要求を受けると、上記圧縮波形をユーザ・デバイスへ送信させる
プログラムを実行するよう構成される上記プロセッサと
を具える試験測定装置。
【請求項2】
上記プログラムが、1つ以上の上記プロセッサに、選択されたズーム・レベルが閾値ズーム・レベルを超えたことを示す信号を上記ユーザ・デバイスから受信させるプログラムを更に有する請求項1の試験測定装置。
【請求項3】
上記プログラムが、ユーザに意識させることなく、ユーザが表示した圧縮波形より低い圧縮レベルを有する圧縮波形又は上記オリジナル波形のいずれかを送信するプログラムを更に有する請求項2の試験測定装置。
【請求項4】
上記プログラムが、1つ以上の上記プロセッサに、上記オリジナル波形を複数のオリジナル・セグメントに分割し、該オリジナル・セグメントの夫々に関するデータを記憶させるプログラムを更に有する請求項1から3のいずれかの試験測定装置。
【請求項5】
上記プログラムが、1つ以上のプロセッサに、
選択されたズーム・レベルが閾値ズーム・レベルを超えたことを示す信号を上記ユーザ・デバイスから受信させ、
ユーザが表示したオリジナル波形のセグメントを決定させ、
上記オリジナル・セグメントのデータを上記ユーザ・デバイスへ送信させる
プログラムを更に有する請求項4の試験測定装置。
【請求項6】
ネットワークを通じて波形データを供給する方法であって、
通信ポートを介してファイル形式が識別されたオリジナル波形を受ける処理と、
オリジナルのファイル・サイズを有する上記オリジナル波形をメモリに記憶する処理と、
上記オリジナル波形を上記オリジナルのファイル・サイズより小さい圧縮ファイル・サイズを有する圧縮波形に圧縮する処理と、
上記圧縮波形が利用可能であることを1人以上のユーザに通知する処理と、
要求を受信すると、上記圧縮波形をユーザ・デバイスへ送信する処理と
を具える波形データ供給方法。
【請求項7】
選択されたズーム・レベルが閾値ズーム・レベルを超えたことを示す信号を上記ユーザ・デバイスから受信する処理を更に具える請求項6の波形データ供給方法。
【請求項8】
上記ユーザに気づかせることなしに、上記ユーザが表示した上記圧縮波形よりも低い圧縮レベルを有する圧縮波形又は上記オリジナル波形のいずれかを送信する処理を更に具える請求項7の波形データ供給方法。
【請求項9】
上記オリジナル波形を複数のオリジナル・セグメントに分割する処理と、上記オリジナル・セグメント夫々のデータを記憶する処理とを更に具える請求項6から8のいずれかの波形データ供給方法。
【請求項10】
選択されたズーム・レベルが、上記圧縮波形が上記オリジナル波形と同等でなくなるズーム・レベルを超えたことを示す信号を上記ユーザ・デバイスから受信する処理と、
上記ユーザが表示している上記オリジナル波形のセグメントを決定する処理と、
上記オリジナル・セグメントに関するデータを上記ユーザ・デバイスへ送信する処理と
を更に具える請求項9の波形データ供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、試験測定システムに関し、特に試験測定システムのクラウド・ベースのコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
オシロスコープ(又は、単に「スコープ」)などの試験測定装置は、多くの場合、高密度で大きな波形を生成し、これは、そのサイズ(典型的には、ギガ・バイトのオーダー)のために、他のスコープ/コンピュータ/ビューア/ユーザと共有することが難しい。他のデバイスや人と共有する必要がある場合、実際の波形データを送信する際に、実践上のサイズ制限を回避するため、波形の静止したスクリーン・ショット(一般にビットマップ、JPEG、PNGなどの画像ファイルの形式)が、多くの場合、送信される。種々の測定、詳細の拡大、データの変形などは、静止スクリーン・ショット画像では、困難又は不可能であり、オリジナルの生(Raw:ロー)のスコープ波形ファイルを持っていない人は、データ分析が大幅に制限される。
【0003】
例えば TekCloud(商標) などのクラウド・データ・サービスは、波形ファイルのような捕捉したオシロスコープ・データを複数のユーザや視聴者に簡単に配布できるという利点を提供する。本願で使用する例では、オシロスコープ由来の波形データが含まれるが、試験測定装置によって生成される任意のデータが含まれても良い。複数のユーザに波形ファイルを提供することで、チームの共同作業によるトラブル・シューティングと分析が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6918910号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】テクトロニクスのクラウド・サービス「TekCould」、テクトロニクス、[online]、[2021年11月22日検索]、インターネット<https://www.tekcloud.com/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、分析のためにマルチ・ギガ・バイトの波形をダウンロードするには、時間がかかり、ユーザの体験の質が低下する。ダウンロードされると、そうした大きなファイルを効果的に開いて表示し、操作するために、例えば、TekScope(商標)のような専用のインストール済みソフトウェア・アプリケーションが必要になることがある。
【0007】
共同作業(コラボレーション)チームでは、全てのチーム・メンバーのコンピュータに専用ソフトウェアをインストールするのは、実際的ではないこともあるし、会社のITポリシーのために、少なくとも不都合な場合がある。また、このような専用ソフトウェアは、一部のコンピュータの種類や環境設定(configuration:機器構成)では使用できない場合がある。このために、データ分析の共同作業の可能性が制限される。
【0008】
共同作業ワークフローのより優れたアプローチとしては、例えば、今日のSaaS(Software as a service)ソリューションに見られるようなWebブラウザ・ベースのツールなど、インストールを必要とせず、複数のデバイスや環境設定で広くサポートされているソフトウェア・ツールを提供することである。しかし、Webブラウザ・ベースのアプリケーションでは、メモリ管理に限界があり、マルチ・ギガ(数ギガ)バイトの波形ファイルを、高い応答性能で読み込みや表示するのは、非常に困難又は不可能になる。
【0009】
開示された技術の実施形態は、これら及び他の先行技術の欠点に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示技術の実施形態には、大まかに言えば、サーバ側での大きな波形ファイルの選択的な処理があり、これにより、複数のユーザとの柔軟な共有と、複数のユーザ間の共同作業(コラボレーション)が可能になる。ユーザ・ワークフローの一例において、本開示技術のいくつかの実施形態によれば、オシロスコープのような試験測定装置(本願では、装置とも呼ぶ)が、波形を取得する。
【0011】
試験測定装置は、ファイル形式の識別子を使って、TekDrive(商標)などのクラウド・サービスに波形をアップロードする。識別子は、ユーザによって手動で指定されたファイルの拡張子を含んでいても良いし、又は、検査時に自動的に検出されても良い。クラウド・サービスは、複数のユーザに利用可能であることを通知しても良い。クラウド・サービスが、通知するこれらユーザをどのようにして知るかの例としては、これらのユーザが、波形を予約(subscribe)していたか若しくは以前に要求していても良いし、又は、試験測定装置が特定のユーザ・グループに「属」していても良い。アップロード後、クラウド・サービスは波形を圧縮し、ユーザは圧縮された波形を共有できる。これにより、帯域幅が節約され、システム全体の負荷が軽減される。共同作業(コラボレーション)は、より実用的で迅速になる。
【0012】
本願で使用される「クラウド・サービス」又は「クラウド」という用語は、1つ以上のサーバを意味し、それぞれが試験測定装置からネットワーク接続を介して受信したデータを操作する1つ以上のプロセッサを有する。ネットワークとしては、特定の企業、建物若しくはネットワークのユーザのみが利用できる閉じたネットワーク、オープン・ネットワーク、仮想プライベート・ネットワークなどがあっても良い。ユーザ・デバイス及び試験測定装置は、有線又は無線ネットワークを介してネットワークに接続されても良いし、近距離通信、赤外線又はBluetooth(登録商標)によって接続されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、クラウド・ベースのサーバとリモート・ユーザ・デバイスに接続された試験測定装置を含むシステムを示す。
図2図2は、波形ファイルを圧縮する方法の具体例のフローチャートを示す。
図3図3は、圧縮波形ファイルをユーザ・デバイスに配信する一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、試験測定装置12がクラウド・サービスに接続するシステム10の実施形態を示す。試験測定装置12には、プロセッサ14、メモリ16、ディスプレイ18、そして、ユーザ・インタフェース20が有り、これは、タッチ・スクリーン・ディスプレイの一部として存在するか又は操作ノブやその他のユーザ入力装置の形態をとっても良い。試験測定装置12には、通常、ケーブル又は他の接続部24によって接続された少なくとも1つの被試験デバイス26がある。このデバイスの試験や分析により、クラウドにアップロードする波形が生じる。ネットワーク・ポート22と接続部28により、試験測定装置12は、ネットワーク30を経由して、クラウド・サービスに波形をアップロードすることが可能になる。また、クラウド・サービス34は、接続部32を経由して、ネットワーク30に接続される。
【0015】
クラウド又はクラウド・サービス34には、36のような1つ以上のサーバが有り、それぞれが1つ以上のプロセッサを有しても良い。各サーバは、各自が専用メモリを持つか、共通のストレージ38を共有(share:シェア)するか、又は、これらの両方であっても良い。メモリによって、クラウドは、オリジナル(元の)波形をネイティブ形式で保存でき、また、以下で説明するオリジナルの波形に基づく1つ以上の圧縮データ・ファイルやセグメント化(分割)されたデータ・ファイルを保存できる。一旦、アップロードすれば、複数のユーザが、同時に、少なくとも部分的に同時に、又は、順次に(sequentially)、圧縮ファイルをダウンロードして操作することができる。40、42のようなユーザ・デバイスは、それぞれネットワーク接続部46及び44によってクラウドに接続される。これらのデバイスだけでなく、多くのデバイスが波形を利用できる。
【0016】
全体のプロセスは、1つのワークフローから構成されるかもしれないが、説明を簡単にするために、説明は、最初にアップロードと圧縮について扱い、次に、様々な形式での波形のダウンロードと管理を扱う。図2は、波形データをアップロードして1つ以上の圧縮バージョンに圧縮する方法の実施形態を示す。本願で使用される「圧縮」という用語は、ファイル・サイズを小さくする何らかの方法を意味する。これには、不可逆圧縮(lossy:劣化を伴う)又は可逆圧縮(lossless:ロスレス、損失なし)が含まれても良い。可逆圧縮では、LZ77方式のように、通常、値が保持され、ファイル・サイズを小さくできる。不可逆圧縮は、通常、冗長な情報を排除することでファイル・サイズを縮小するもので、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、間引き(decimation)などがある。圧縮されたファイルが表示及び分析に必要な情報を保持している限り、特定の圧縮技法や規格である必要はなく、任意のものが利用できる。
【0017】
図2において、クラウド・サービスは、50において、試験測定装置からオリジナルの(元の)波形を受信する。このサービスは、必要に応じてオリジナル波形を提供できるように、52において、オリジナル波形を記憶する。このサービスは、54において、波形を圧縮する。単純な実施形態では、システムは波形を圧縮し、オリジナル波形よりも小さいサイズのファイルを生成する。他の実施形態では、このサービスが、55において、様々な圧縮レベルでオリジナル波形を圧縮し、結果として、様々なサイズを有する複数のファイルのグループ(set:組)が生じるが、全てが、オリジナル波形のファイル・サイズよりも小さくなる。これに代えて又はこれに加えて、このサービスが、オリジナル波形を小さなセグメント(部分、断片)に分割(セグメント化)し、56において、各セグメントを元の解像度(resolution)で保存しても良い。
【0018】
圧縮されると、58において、何らか形式で、ユーザは波形が共有されたという通知を受け取る。次いで、このサービスは、60において、権限が与えられた(authorized)ユーザからの要求に応じて、圧縮された波形をユーザへ送信する。その後、これらユーザは、Webブラウザ、又は TekDrive(商標)のような特定のWebブラウザ・アプリケーションによって、圧縮波形を表示できる。これにより、波形全体をTekScope(商標)のような専用のソフトウェア・アプリケーションにダウンロードすることなく、圧縮波形を表示できる。
【0019】
この技術の利点の1つは、このサービスが、マルチ・ギガ(数ギガ)バイトの波形の1つ以上の圧縮バージョンを一旦作成すれば、それを複数のユーザが繰り返し使いつくすことができ、複数のユーザの全員が、オリジナル波形をダウンロードしたら生じるであろう帯域幅とネットワーク・リソースに対する大きなストレスを生じることがない。複数のユーザは、任意のアプリケーションのダウンロードを必要とせずに、任意の場所から、このデータを表示できる。これにより、共同作業(コラボレーション)が、実用的で迅速になる。
【0020】
図3は、ユーザがダウンロードした波形を管理する方法の実施形態を示す。このサービスは、70において、圧縮された波形をユーザのWebブラウザへ送信する。次いで、このサービスは、ユーザの波形とのインラクティブな操作を監視(モニタ)し、72において、ユーザが「オーバー・ズーム(過剰な拡大)」をしたか、つまり、ズーム閾値を超えたかを判断する。これは、ユーザが、圧縮波形を表示できるよりも高い倍率又はズーム・レベルで波形を表示しようと試みかを意味する。
【0021】
次いで、このサービスは、74において、1つ以上の別の形式で波形を送信しても良い。1つの実施形態では、このサービスは、75において、ユーザが選択したズーム・レベルで詳細を示す、もっと圧縮の小さいバージョンの波形を送信するであろう。上述の通り、このサービスは、この応答を可能にするために、オリジナル波形に複数のレベル(multiple levels:マルチ・レベル)の圧縮を適用しても良い。
【0022】
別の実施形態では、このサービスは、76において、ユーザがズームした波形のセグメント(部分、断片)に対応するオリジナル波形データのセグメントを送信しても良い。この理由だけのために、このサービスは、波形をセグメント化(分割)し、これらセグメントを元の非圧縮形式で保存しても良い。
【0023】
別の実施形態では、このサービスは、オリジナルの波形の全体を送信しても良い。これは、ユーザのWebブラウザを使用しても良いし、又は、このサービスが、特定のアプリケーションに切り替えることだけをユーザに通知しても良い。また、システムは、ズーム・レベルが圧縮の「解像度」を超えたことをユーザに通知するだけで、アプリケーションに切り替えるかどうかをユーザが選択できるようにしても良い。
【0024】
しかし、要求されたときに、システムがほぼ瞬時に表示した方が、ユーザ・フレンドリーに見えるであろう。様々な圧縮レベル・ファイル又はセグメント・データ・セット間の切り替えは、このサービスがデータ・セットを切り替えていることをユーザに示唆したり表示することなく、バックグラウンドで行うことができよう。ユーザは、高い応答性能と良い体験を維持しながら、自分の波形をシンプルに見られる。このように、このサービスによれば、システムと利用可能な帯域幅に過剰な負荷をかけないようにしながら、ユーザに気づかせることなく(transparently:ユーザにその存在を意識させることなく:トランスパレントに)、ユーザが様々な波形を共有、表示、分析、ズーム・イン(拡大表示)できる。
【0025】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0026】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0027】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0028】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
【0029】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0030】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。

実施例
【0031】
以下では、本開示技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0032】
実施例1は、試験測定装置であって、試験測定装置をネットワークに接続するように構成された通信ポートと、メモリと、1つ以上のプロセッサであって、該プロセッサに、上記通信ポートを介してファイル形式が識別されたオリジナルの波形を受信させ、オリジナルのファイル・サイズを有するオリジナルの波形をメモリに記憶させ、上記オリジナルの波形を上記オリジナルのファイル・サイズよりも小さい圧縮ファイル・サイズを有する圧縮波形に圧縮させ、上記圧縮波形が利用可能であることを1人以上のユーザに通知させ、要求を受信すると上記圧縮波形をユーザ・デバイスへ送信させるプログラム(code)を実行するよう構成される上記プロセッサとを具えている。
【0033】
実施例2は、実施例1の試験測定装置であって、1つ以上のプロセッサにオリジナルの波形を圧縮させるプログラムが、1つ以上のプロセッサにオリジナルの波形を、それぞれ異なるレベルの圧縮を有する複数の圧縮波形に圧縮させるプログラムを有する。
【0034】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかの試験測定装置であって、上記プログラムが、1つ以上のプロセッサに、選択されたズーム・レベルが閾値ズーム・レベルを超えたことを示す信号をユーザ・デバイスから受信させるプログラムを更に有する。
【0035】
実施例4は、実施例3の試験測定装置であって、上記プログラムが、ユーザに気づかせることなく(transparently:ユーザにその存在を意識させることなく:トランスパレントに)、ユーザが表示した圧縮波形より低い圧縮レベルを有する圧縮波形又はオリジナルの波形のいずれかを送信するプログラムを更に有する。
【0036】
実施例5は、実施例3又は4のいずれかの試験測定装置であって、上記プログラムが、1つ以上のプロセッサに、ユーザに対して、閾値ズーム・レベルを超えたことを通知するために、ユーザ・デバイスへメッセージを送信させるプログラムを更に有する。
【0037】
実施例6は、実施例1から5のいずれかの試験測定装置であって、上記プログラムが、1つ以上のプロセッサに、オリジナルの波形を複数のオリジナル・セグメントに分割し、オリジナル・セグメントのそれぞれに関するデータを記憶させるプログラムを更に有する。
【0038】
実施例7は、実施例6の試験測定装置であって、上記プログラムが、1つ以上のプロセッサに、選択されたズーム・レベルが閾値ズーム・レベルを超えたことを示す信号をユーザ・デバイスから受信させ、ユーザが表示したオリジナルの波形のセグメントを決定させ、そのオリジナル・セグメントのデータをユーザ・デバイスへ送信させるプログラムを更に有する。
【0039】
実施例8は、実施例1から7のいずれかの試験測定装置であって、1つ以上のプロセッサに、圧縮波形をユーザ・デバイスへ送信させるプログラムは、1つ以上のプロセッサに、圧縮波形を複数のユーザへ送信させるプログラムを含む。
【0040】
実施例9は、実施例1から8のいずれかの試験測定装置であって、1つ以上のプロセッサに圧縮波形をユーザ・デバイスへ送信させるプログラムは、1つ以上のプロセッサに、圧縮波形を表示する専用アプリケーションを必要とせずに、圧縮波形をユーザ・デバイスへ送信させる。
【0041】
実施例10は、ネットワークを通じて波形データを供給する方法であって、通信ポートを介してファイル形式が識別されたオリジナルの波形を受ける処理と、オリジナルの(元の)ファイル・サイズを有するオリジナルの(元の)波形をメモリに記憶する処理と、オリジナルの波形をオリジナルのファイル・サイズより小さい圧縮ファイル・サイズを有する圧縮波形に圧縮する処理と、圧縮波形が利用可能であることを1人以上のユーザに通知する処理と、要求を受信すると、圧縮波形をユーザ・デバイスへ送信する処理とを具える。
【0042】
実施例11は、実施例10の方法であって、オリジナルの波形を圧縮する処理は、オリジナルの波形を様々な圧縮レベルで圧縮して、複数のファイルを生成し、複数のファイルを記憶する処理を含む。
【0043】
実施例12は、実施例10又は11のいずれかの方法であって、選択されたズーム・レベルが閾値ズーム・レベルを超えたことを示す信号をユーザ・デバイスから受信する処理を更に具える。
【0044】
実施例13は、実施例12の方法であって、ユーザに気づかせることなしに(transparently)、ユーザが表示した圧縮波形よりも低い圧縮レベルを有する圧縮波形又はオリジナルの波形のいずれかをユーザへ送信する処理を更に具える。
【0045】
実施例14は、実施例12又は13のいずれかの方法であって、閾値ズーム・レベルを超えたことをユーザに通知するメッセージをユーザ・デバイスへ送信する処理を更に具える。
【0046】
実施例15は、実施例10から14のいずれかの方法であって、オリジナルの波形を複数のオリジナル・セグメントに分割する処理と、オリジナル・セグメント夫々のデータを記憶する処理とを更に具える。
【0047】
実施例16は、実施例15の方法であって、選択されたズーム・レベルが、圧縮波形がオリジナルの波形と同等でなくなるズーム・レベルを超えたことを示す信号をユーザ・デバイスから受信する処理と、ユーザが表示しているオリジナルの波形のセグメントを決定する処理と、そのオリジナル・セグメントに関するデータをユーザ・デバイスへ送信する処理とを更に具える。
【0048】
実施例17は、実施例10から16のいずれの方法であって、圧縮波形をユーザ・デバイスへ送信する処理が、圧縮波形を複数のユーザへ送信する処理を含む。
【0049】
実施例18は、実施例17の方法であって、圧縮波形を複数のユーザへ送信する処理が、同時、一部同時、又は、順次のいずれかで生じる。
【0050】
実施例19は、実施例10から17の方法であって、圧縮波形をユーザ・デバイスへ送信する処理が、圧縮波形を表示する専用アプリケーションを必要とせずに、圧縮波形をユーザ・デバイスへ送信する処理を含む。
【0051】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0052】
10 システム
12 試験測定装置
14 プロセッサ
16 メモリ
18 ディスプレイ
20 ユーザ・インタフェース
22 ネットワーク・ポート
24 接続部
26 被試験デバイス
28 接続部
30 ネットワーク
32 接続部
34 クラウド・サービス
36 サーバ
38 共通ストレージ
40 ユーザ・デバイス
42 ユーザ・デバイス
44 ネットワーク接続部
46 ネットワーク接続部
図1
図2
図3
【外国語明細書】