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特開2022-8266筆記具用水性インキ組成物及びそれを収容した筆記具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008266
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】筆記具用水性インキ組成物及びそれを収容した筆記具
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/16 20140101AFI20220105BHJP
   B43K 7/01 20060101ALI20220105BHJP
   B43K 8/03 20060101ALI20220105BHJP
   B43K 8/02 20060101ALI20220105BHJP
   B43K 29/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C09D11/16
B43K7/01
B43K8/03 100
B43K8/02
B43K29/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105991
(22)【出願日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2020110379
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勝幸
【テーマコード(参考)】
2C350
4J039
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350GA04
2C350KC11
4J039AD01
4J039AD06
4J039BD03
4J039BE01
4J039BE02
4J039BE12
4J039BE22
4J039CA06
4J039EA29
4J039GA26
4J039GA27
(57)【要約】
【課題】 インキ組成物中で着色剤が浮上又は沈降して局在化して、筆跡が濃色化又は淡色化することが抑制され、特に、比重が大きい着色剤を用いたインキ組成物を収容した筆記具が、正立状態で外部から振動等の刺激が加わったり、長期間に亘って保管されたりする場合に、筆跡が淡色化することなく、発色性に優れる良好な筆跡を形成できる筆記具用水性インキ組成物及びそれを収容した筆記具を提供する。
【解決手段】 顔料又は樹脂粒子から選ばれる着色剤と、少なくとも水と、特定構造のカチオン性高分子と、アクリル系高分子分散剤とを含むビヒクルとからなる筆記具用水性インキ組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料又は樹脂粒子から選ばれる着色剤と、少なくとも水と、下記式(1)乃至(5)から選ばれるカチオン性高分子と、アクリル系高分子分散剤とを含むビヒクルとからなる筆記具用水性インキ組成物。
【化1】
(式中、n1は0又は1の整数を示し、Xは、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、nは自然数を示す。また、質量平均分子量は500~200,000の範囲にある。)
【化2】
(式中、n2a及びn2bは、それぞれ独立に、0又は1の整数を示し、X2a及びX2bは、それぞれ独立に、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。また、質量平均分子量は500~200,000の範囲にある。)
【化3】
(式中、n3a及びn3bは、それぞれ独立に、0又は1の整数を示し、X3a及びX3bは、それぞれ独立に、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。また、質量平均分子量は500~200,000の範囲にある。)
【化4】
(式中、Rは、水素原子、又は、炭素数1~3の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示し、n4は0又は1の整数を示し、Xは、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、nは自然数を示す。また、質量平均分子量は500~200,000の範囲にある。)
【化5】
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Xは、塩素原子、CHSO、CSOのいずれかを示す。また、質量平均分子量は10,000~300,000の範囲にある。)
【請求項2】
n2a及びn2bが、0若しくは1の整数である、又は、n3a及びn3bが、0若しくは1の整数である請求項1記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項3】
2a及びX2bが同一である、又は、X3a及びX3bが同一である請求項2記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項4】
前記カチオン性高分子とアクリル系高分子分散剤の質量比が、1:2.5~1:16である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項5】
20℃において、BL型回転粘度計による回転速度30rpmでの粘度が1~20mPa・sである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項6】
前記着色剤の平均粒子径が、0.01~5μmの範囲にある請求項1乃至5のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項7】
前記顔料が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項8】
前記(ハ)成分が、前記可逆熱変色性組成物全量に対して60~90質量%の範囲にあり、質量平均分子量が250以上であり、且つ、20℃において、水を基準物質とした場合の完全発色状態の前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重が、1.05~1.20である請求項7記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項9】
前記アクリル系高分子分散剤が、側鎖にカルボキシ基を有する櫛形高分子分散剤である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項10】
前記ビヒクルが、90~185の原子量を有する6族元素の酸素酸又はその塩からなる比重調整剤を含んでなる請求項1乃至9のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物を収容してなる筆記具。
【請求項12】
前記筆記具が、毛細間隙が形成された、樹脂加工体又は樹脂成形体からなるマーキングペンチップを備えてなる請求項11記載の筆記具。
【請求項13】
前記筆記具の軸筒内に、繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵してなり、且つ、前記インキ吸蔵体と前記マーキングペンチップが連結されてなるマーキングペンであって、前記インキ吸蔵体に、前記筆記具用水性インキ組成物が含侵されてなるマーキングペンである請求項12記載の筆記具。
【請求項14】
前記筆記具による筆跡を摩擦熱で変色する摩擦部材を備えてなる請求項11乃至13のいずれか一項に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筆記具用水性インキ組成物及びそれを収容した筆記具に関する。さらに詳細には、筆跡の濃淡差を抑制し、発色性に優れる良好な筆跡を形成できる筆記具用水性インキ組成物及びそれを収容した筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水を主溶媒としたインキ(水性インキ)が知られ、低臭気で安全性が高いことから盛んに利用されている。また、耐光性や耐水性に優れることから、インキの着色剤として顔料を用いた水性顔料インキが広く利用されている。通常、顔料は水或いは水性媒体中での分散安定性が不安定であり、顔料が浮上又は沈降してインキ中で局在化してしまうことがある。そこで、各種分散剤や添加剤を用いて、水性インキ中での顔料の分散安定性を向上させたインキ組成物が開示されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
特許文献1には、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、水、高分子凝集剤、分散剤などからなるビヒクルとを用いた筆記具用水性インキ組成物が開示されている。
特許文献2には、顔料、分散剤、水、水溶性溶剤と、アルキル基の炭素数が4~20のアルキルピロリドンを含有させた筆記具用水性顔料インキ組成物が開示されている。
特許文献3には、顔料、水性媒体、分散剤としてN-ビニルピロリドン誘導体とアクリル酸誘導体或いはメタクリル酸誘導体の共重合体からなる水性インキ組成物が開示されている。
上記の水性インキ組成物(水性顔料インキ組成物)は、分散剤を用いる、或いは分散剤と特定の添加剤とを併用することにより、インキ組成物中で顔料を安定的に分散させることができるため、このようなインキ組成物を収容した筆記具は、筆跡の濃色化や淡色化を抑制することができるものである。しかしながら、上記のインキ組成物は、顔料の浮上又は沈降を完全に抑制することは困難であり、特に、比重が大きい顔料を用いたインキ組成物を収容した筆記具が、筆記先端部が上向き状態(正立状態)で外部から振動等の刺激が加わったり、長期間に亘って保管されたりすると、顔料が沈降して筆記先端部からインキが均一に吐出されず、筆跡が淡色化することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-335613号公報
【特許文献2】特開平8-283646号公報
【特許文献3】特開平9-59554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、インキ組成物中で着色剤が浮上又は沈降して局在化して、筆跡が濃色化又は淡色化することを抑制できる筆記具用水性インキ組成物及びそれを収容した筆記具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、顔料又は樹脂粒子から選ばれる着色剤と、少なくとも水と、下記式(1)乃至(5)から選ばれるカチオン性高分子と、アクリル系高分子分散剤とを含むビヒクルとからなる筆記具用水性インキ組成物を要件とする。
【化1】
(式中、n1は0又は1の整数を示し、Xは、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、nは自然数を示す。また、質量平均分子量は500~200,000の範囲にある。)
【化2】
(式中、n2a及びn2bは、それぞれ独立に、0又は1の整数を示し、X2a及びX2bは、それぞれ独立に、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。また、質量平均分子量は500~200,000の範囲にある。)
【化3】
(式中、n3a及びn3bは、それぞれ独立に、0又は1の整数を示し、X3a及びX3bは、それぞれ独立に、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。また、質量平均分子量は500~200,000の範囲にある。)
【化4】
(式中、Rは、水素原子、又は、炭素数1~3の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示し、n4は0又は1の整数を示し、Xは、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、nは自然数を示す。また、質量平均分子量は500~200,000の範囲にある。)
【化5】
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Xは、塩素原子、CHSO、CSOのいずれかを示す。また、質量平均分子量は10,000~300,000の範囲にある。)
さらには、n2a及びn2bが、0若しくは1の整数である、又は、n3a及びn3bが、0又は1の整数であること、X2a及びX2bが同一である、又は、X3a及びX3bが同一であること、前記カチオン性高分子とアクリル系高分子分散剤の質量比が、1:2.5~1:16であること、20℃において、BL型回転粘度計による回転速度30rpmでの粘度が1~20mPa・sであること、前記着色剤の平均粒子径が、0.01~5μmの範囲にあること、前記顔料が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料であること、前記(ハ)成分が、前記可逆熱変色性組成物全量に対して60~90質量%の範囲にあり、質量平均分子量が250以上であり、且つ、20℃において、水を基準物質とした場合の完全発色状態の前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重が、1.05~1.20であること、前記アクリル系高分子分散剤が、側鎖にカルボキシ基を有する櫛形高分子分散剤であること、前記ビヒクルが、90~185の原子量を有する6族元素の酸素酸又はその塩からなる比重調整剤を含んでなることを要件とする。
さらには、前記筆記具用水性インキ組成物を収容してなる筆記具、前記筆記具が、毛細間隙が形成された、樹脂加工体又は樹脂成形体からなるマーキングペンチップを備えてなること、前記筆記具の軸筒内に、繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵してなり、且つ、前記インキ吸蔵体と前記マーキングペンチップが連結されてなるマーキングペンであって、前記インキ吸蔵体に、前記筆記具用水性インキ組成物が含侵されてなるマーキングペンであること、前記筆記具による筆跡を摩擦熱で変色する摩擦部材を備えてなることを要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、インキ組成物中で着色剤が浮上又は沈降して局在化して、筆跡が濃色化又は淡色化することが抑制され、特に、比重が大きい着色剤を用いたインキ組成物を収容した筆記具が、正立状態で外部から振動等の刺激が加わったり、長期間に亘って保管されたりする場合に、筆跡が淡色化することがなく、発色性に優れる良好な筆跡を形成できる筆記具用インキ組成物及び筆記具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図2】色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図3】加熱発色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図4】本発明の筆記具の一実施例を示す説明図である。
図5】本発明の筆記具の他の実施例を示す説明図である。
図6図5の筆記具における樹脂加工ペン体の、A-A線断面図である。
図7】本発明の筆記具の他の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の筆記具用水性インキ組成物(以下、「水性インキ組成物」、「インキ組成物」、又は「インキ」と表すことがある)は、顔料又は樹脂粒子から選ばれる着色剤と、少なくとも水と、上記式(1)乃至(5)から選ばれるカチオン性高分子と、アクリル系高分子分散剤とを含むビヒクルとからなる。以下に、本発明の水性インキ組成物を構成する各成分について説明する。
【0009】
本発明の水性インキ組成物は着色剤として、顔料又は樹脂粒子を含有する。
顔料としては、水性媒体中に分散可能であれば特に限定されるものではなく、無機顔料、有機顔料、光輝性顔料、蛍光顔料、及び蓄光顔料等が挙げられる。さらに、上記の顔料、染料、又は、熱変色性材料や光変色性材料等の機能性材料等をマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料が挙げられる。
樹脂粒子としては、顔料、染料、又は、熱変色性材料や光変色性材料等の機能性材料等を含有する樹脂粒子が挙げられる。
【0010】
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタン、酸化亜鉛、鉄黒、黄色酸化鉄、弁柄、及び群青等を例示できる。
【0011】
有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アントラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料、フタロン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、及び金属錯体系顔料等が挙げられる。
【0012】
また、予め界面活性剤や樹脂を用いて微細に安定的に水性媒体中に分散させた水分散顔料等を用いることもできる。
水分散顔料として具体的には、C.I.Pigment Blue 15:3B〔山陽色素(株)製、製品名:Sandye Super Blue GLL-E(固形分:24%)〕、C.I.Pigment Red 146〔山陽色素(株)製、製品名:Sandye Super Pink FBL(固形分:21.5%)〕、C.I.Pigment Yellow 81〔大日精化工業(株)製、製品名:TC Yellow FG(固形分:約30%)〕、C.I.Pigment Red 220/166〔大日精化工業(株)製、製品名:TC Red FG(固形分:約35%)〕等を例示できる。
なお、顔料を分散する樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、アラビアゴム、セルロース、デキストラン、カゼイン、及びそれらの誘導体、上記した樹脂の共重合体等を例示できる。
【0013】
光輝性顔料としては、ガラス片等の芯物質の表面を金、銀等で被覆した金属光沢顔料、天然雲母、合成雲母、薄片状酸化アルミニウム等の芯物質の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、コレステリック液晶型顔料、金属粉顔料、フィルム等の基材に形成したアルミニウム等の金属蒸着膜を剥離して得られる金属顔料、及び、無色透明又は着色透明フィルムにアルミニウム等の金属蒸着膜を形成し粉末処理した金属顔料等が挙げられる。
【0014】
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が挙げられる。
【0015】
蓄光顔料としては、太陽や電灯等の光線を吸収、蓄積し、暗所において光を徐々に放出して発光する(これを残光とよんでいる)特性を有するものであれば汎用のものが用いられ、例えば、CaS/Bi系、CaSrS/Bi系、ZnS/Cu系、ZnCdS/Cu系、及びSrAl2O4/稀土類金属系等を例示できる。
【0016】
上記した顔料は、一種又は二種以上を適宜混合して用いることができ、インキ組成物全量中に、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~40質量%、さらに好ましくは10~35質量%の範囲で配合される。顔料の配合割合が50質量%を超えると、インキ組成物を収容した筆記具のインキ吐出性が低下し、筆記性能が阻害され易くなる。一方、配合割合が1質量%未満では筆記具としての好適な筆跡濃度が得られ難くなる。
また、着色剤として上記の顔料を用いる場合、必要に応じて顔料分散剤を用いることができる。顔料分散剤としては、アニオン系、ノニオン系等の界面活性剤、ポリアクリル酸、スチレンアクリル酸等のアニオン性高分子、及びPVP、PVA等の非イオン性高分子等が挙げられる。
【0017】
また、本発明に適用される顔料には、顔料、染料、又は、熱変色性材料や光変色性材料等の機能性材料等をマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料も含まれる。顔料、染料、機能性材料等は、マイクロカプセルに内包することにより外部環境から隔離、保護され、内包物の耐光性や耐水性を向上させることができる。
【0018】
顔料又は染料を内包したマイクロカプセル顔料としては、顔料又は染料を油性媒体中に分散又は溶解してなる着色体を内包したマイクロカプセル顔料が挙げられる。
顔料としては、上記した無機顔料、有機顔料、光輝性顔料、蛍光顔料、及び蓄光顔料等を用いることができる。
染料としては、従来公知の油溶性染料、分散染料等を用いることができる。
【0019】
油溶性染料としては、例えば、C.I.Solvent Black 7、C.I.Solvent Black 123、C.I.Solvent Blue 2、C.I.Solvent Blue 25、C.I.Solvent Blue 55、C.I.Solvent Blue 70、C.I.Solvent Red 8、C.I.Solvent Red 49、C.I.Solvent Red 100、C.I.Solvent Violet 8、C.I.Solvent Violet 21、C.I.Solvent Green 3、C.I.Solvent Yellow 21、C.I.Solvent Yellow 44、C.I.Solvent Yellow 61、C.I.Solvent Orange 37等を例示できる。
分散染料としては、例えば、C.I.Disperse Yellow 82、C.I.Disperse Yellow 3、C.I.Disperse Yellow 54、C.I.Disperse Red 191、C.I.Disperse Red 60、C.I.Disperse Violet 57等を例示できる。
【0020】
油性媒体としては、例えば、一塩基酸エステル、二塩基酸モノエステル、二塩基酸ジエステル、多価アルコールの部分エステル乃至完全エステル等のエステル類、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類、高級アルコール類、ケトン類、及びエーテル類等を例示できる。
上記の油性媒体は、一種又は二種以上を適宜混合して用いることができる。
【0021】
熱変色性材料としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)上記(イ)、(ロ)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物が挙げられる。
可逆熱変色性組成物としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅(ΔH)が比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を用いることができる(図1参照)。
【0022】
また、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報、特開2005-1369号公報等に記載されているヒステリシス幅が大きい特性(ΔH=8~70℃)を示し、温度変化による発色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度t以下の温度域での発色状態、または完全消色温度t以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔発色開始温度t~消色開始温度tの間の温度域(実質二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を用いることもできる(図2参照)。
【0023】
以下に各(イ)、(ロ)、(ハ)成分について具体的に説明する。
(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、及びビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらの中でもフタリド化合物及びフルオラン化合物が好ましい。
フタリド化合物としては、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物及びその誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0024】
電子供与性呈色性有機化合物としては、例えば、
3,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-n-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ビス(N-フェニル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-クロロアミノ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジ-n-ペンチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
6-ジエチルアミノ-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
2-ジエチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ブチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジメチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシキナゾリン、
4,4′-エチレンジオキシ-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を例示できる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共に、ラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、塩素原子等のハロゲン原子)を有する青色又は黒色を呈する化合物等であってもよい。
【0025】
(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、可逆熱変色性組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群〕、及び電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられる。上記の(ロ)成分の中でも、活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
【0026】
活性プロトンを有する化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物及びその誘導体、カルボン酸及びその誘導体、酸性リン酸エステル及びその誘導体、アゾ-ル系化合物及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2~5のハロヒドリン類、スルホン酸及びその誘導体、並びに無機酸類等が挙げられる。カルボン酸及びその誘導体としては、芳香族カルボン酸及びその誘導体、又は、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸及びその誘導体が好ましい。
偽酸性化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、カルボン酸の金属塩、酸性リン酸エステルの金属塩、スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸の混合無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素及びその誘導体、チオ尿素及びその誘導体、グアニジン及びその誘導体、並びにハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
電子空孔を有する化合物群としては、硼酸塩類、硼酸エステル類、及び無機塩類等が挙げられる。
【0027】
上記の(ロ)成分の中でも、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物には、モノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、さらに、ビスフェノール化合物及びトリスフェノール化合物、フェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物は、少なくともベンゼン環を2以上有することが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0028】
フェノール性水酸基を有する化合物等の金属塩が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、及びモリブデン等を例示できる。
【0029】
以下に(ロ)成分の化合物を例示する。
フェノール性水酸基を1有する化合物としては、例えば、
フェノール、
o-クレゾール、
m-クレゾール、
p-クレゾール、
4-エチルフェノール、
4-n-プロピルフェノール、
4-n-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルフェノール、
3-tert-ブチルフェノール、
4-tert-ブチルフェノール、
4-n-ペンチルフェノール、
4-tert-ペンチルフェノール、
4-n-オクチルフェノール、
4-tert-オクチルフェノール、
4-n-ノニルフェノール、
4-n-ドデシルフェノール、
3-n-ペンタデシルフェノール、
4-n-ステアリルフェノール、
1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、
4-クロロフェノール、
4-ブロモフェノール、
4-トリフルオロメチルフェノール、
4-メチルチオフェノール、
4-ニトロフェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2-ベンジルフェノール、
2-ベンジル-4-クロロフェノール、
4-クミルフェノール、
4-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-シクロヘキシルフェノール、
2-ヒドロキシベンジルアルコール、
3-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、
3-メトキシフェノール、
4-エトキシフェノール、
4-n-プロポキシフェノール、
4-n-ブトキシフェノール、
4-n-ヘプチルオキシフェノール、
4-(2-メトキシエチル)フェノール、
α-ナフトール、
β-ナフトール、
2,3-ジメチルフェノール、
2,4-ジメチルフェノール、
2,6-ジメチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,4-ジクロロフェノール、
2,4-ジフルオロフェノール、
チモール、
3-メチル-4-メチルチオフェノール、
2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、
2,3,5-トリメチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、
6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2,6-ジフェニルフェノール、
3-ベンジルビフェニル-2-オール、
3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、
4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、
1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、
4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、
4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル
等を例示できる。
【0030】
フェノール性水酸基を2有する化合物としては、例えば、
レゾルシン、
2-メチルレゾルシン、
4-n-ヘキシルレゾルシン、
4-n-オクチルレゾルシン、
4-tert-オクチルレゾルシン、
4-ベンゾイルレゾルシン、
4-ニトロレゾルシン、
β-レゾルシン酸メチル、
β-レゾルシン酸ベンジル、
2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、
6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、
4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、
ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、
トリメチルヒドロキノン、
カテコール、
4-tert-ブチルカテコール、
1,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,7-ジヒドロキシナフタレン、
1,5-ジヒドロキシナフタレン、
2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン
等を例示できる。
【0031】
さらにビスフェノール化合物としては、例えば、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、
ジフェノール酸、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、
3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、
ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、
4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、
3,3-エチレンオキシジフェノール、
1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、
2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、
2,2′-ビフェノール、
4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ジヒドロキシフェニルスルホン、
4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチル-4′-ヒドロキジシフェニルスルホン、
4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、
ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、
3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、
2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、
4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、
1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、
1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン
等を例示できる。
【0032】
フェノール性水酸基を3有する化合物としては、例えば、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食脂酸、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル等を例示できる。
【0033】
さらにトリスフェノール化合物としては、例えば、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等を例示できる。
【0034】
フェノール性水酸基を4以上有する化合物としては、例えば、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
4,4′,4″,4′″-(1,1,2,2-エタンテトライル)テトラキス(2-メチルフェノール)、
4,4′,4″,4′″-(1,1,2,2-エタンテトライル)テトラキス(2,6
-ジメチルフェノール)、
4,4′,4″,4′″-(1,4-フェニレン)ビス(メチリジン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-p-キシレン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-5-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ビシクロヘキシル、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ベンゼンジオール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔1-(4-ヒドロキシフェニル)エチル〕-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシ-フェニル)ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2,3-ベンゼントリオール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチル-1,2-ベンゼンジオール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2-ベンゼンジオール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-1,2-ベンゼンジオール、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2,3-ベンゼントリオール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス〔3-(α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、
ビス〔3-(α,α-ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス〔3-(α,α-ビス(3,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(α,α-ビス(5-ーシクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等を例示できる。
【0035】
カルボン酸及びその誘導体としては、例えば、
3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸、
4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸、
4-ヒドロキシフェニル安息香酸、
4-クロロ安息香酸、
4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、
4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、
5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、
4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、
3,5-ジスチレン化サリチル酸、
N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、
N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、
N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、
N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、
N-フェニルアミノカルボニル-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸
等を例示できる。
【0036】
酸性リン酸エステル化合物としては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等を例示できる。
【0037】
(ロ)成分として、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましいが、芳香族カルボン酸、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びその金属塩、並びに1,2,3-トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0038】
(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、及び酸アミド類が挙げられる。
本発明に適用される着色剤として、可逆熱変色性組成物を内包するマイクロカプセル顔料を用いる場合、低分子量の(ハ)成分は高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
【0039】
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を例示できる。
【0040】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、例えば、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、4-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等を例示できる。
【0041】
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールとのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝若しくは置換基を有する飽和脂肪酸と、分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
上記のエステル化合物としては、例えば、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等を例示できる。
【0042】
さらに、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールとのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールとのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールとのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールとのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等を例示できる。
【0043】
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと、炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
上記の脂肪酸エステル化合物としては、例えば、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等を例示できる。
【0044】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、例えば、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を例示できる。
さらには、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を例示できる。
【0045】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を例示できる。
【0046】
酸アミド類としては、例えば、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等を例示できる。
【0047】
また、(ハ)成分として下記式(6)で示される化合物であってもよい。
【化6】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X及びXのいずれか一方は-(CHOCOR又は-(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、r及びpはそれぞれ独立して、1~3の整数を示す。〕
式(6)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好ましく、さらにRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好ましい。
なお、式(6)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(7)で示される化合物である。
【化7】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、好ましくは炭素数10~24のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。)
式(7)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル等を例示できる。
【0048】
さらに、(ハ)成分として下記式(8)で示される化合物であってもよい。
【化8】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ独立して、1~3の整数を示し、X及びYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(8)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチル等を例示できる。
【0049】
さらに、(ハ)成分として下記式(9)で示される化合物であってもよい。
【化9】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
式(9)で示される化合物としては、例えば、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル等を例示できる。
【0050】
さらに、(ハ)成分として下記式(10)で示される化合物であってもよい。
【化10】
(式中、Rは炭素数1~21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
式(10)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0051】
さらに、(ハ)成分として下記式(11)で示される化合物であってもよい。
【化11】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
式(11)で示される化合物としては、例えば、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル等を例示できる。
【0052】
さらに、(ハ)成分として下記式(12)で示される化合物であってもよい。
【化12】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
式(12)で示される化合物としては、例えば、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル等を例示できる。
【0053】
さらに、(ハ)成分として下記式(13)で示される化合物であってもよい。
【化13】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基又は炭素数3~18の脂肪族アシル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(13)で示される化合物としては、例えば、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテル等を例示できる。
【0054】
さらに、(ハ)成分として下記式(14)で示される化合物であってもよい。
【化14】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
式(14)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルの4-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ドデシルの2-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステル等を例示できる。
【0055】
さらに、(ハ)成分として下記式(15)で示される化合物であってもよい。
【化15】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数6~11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5~7のシクロアルキル基、炭素数3~18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(15)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテル等を例示できる。
【0056】
さらに、(ハ)成分として下記式(16)で示される化合物であってもよい。
【化16】
(式中、Rは炭素数3~8のシクロアルキル基又は炭素数4~9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
式(16)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル等を例示できる。
【0057】
さらに、(ハ)成分として下記式(17)で示される化合物であってもよい。
【化17】
(式中、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは1~3の整数を示す。)
式(17)で示される化合物としては、例えば、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0058】
また、電子受容性化合物として没食子酸エステル(特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報)等を用いた加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を適用することもできる(図3参照)。
【0059】
上記の可逆熱変色性組成物は、上記の(イ)成分、(ロ)成分、及び(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分5~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~100の範囲である(上記した割合はいずれも質量部である)。
【0060】
光変色性材料としては、太陽光、紫外光、又は、ピーク発光波長が400~495nmの範囲にある青色光を照射すると発色し、照射を止めると消色する従来公知のスピロオキサジン誘導体、スピロピラン誘導体、及びナフトピラン誘導体等のフォトクロミック化合物が挙げられる。
スピロオキサジン誘導体としては、従来公知のインドリノスピロベンゾオキサジン系化合物、インドリノスピロナフトオキサジン系化合物、インドリノスピロフェナントロオキサジン系化合物、及びインドリノスピロキノリノオキサジン系化合物等を例示できる。
さらに、光メモリー性(色彩記憶性光変色性)を有するフォトクロミック化合物として従来公知のフルギド誘導体、ジアリールエテン誘導体等を例示できる。
【0061】
また、光変色性材料として、上記のフォトクロミック化合物を各種オリゴマーに溶解した可逆光変色性組成物を用いることもできる。
オリゴマーとしては、スチレン系オリゴマー、アクリル系オリゴマー、テルペン系オリゴマー、及びテルペンフェノール系オリゴマーが挙げられる。
スチレン系オリゴマーとしては、例えば、低分子量ポリスチレン、スチレン-α-メチルスチレン共重合体、α-メチルスチレン重合体、及びα-メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体等を例示できる。
アクリル系オリゴマーとしては、例えば、アクリル酸エステル共重合体等を例示できる。
テルペン系オリゴマーとしては、例えば、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、及びd-リモネン重合体等を例示できる。
テルペンフェノール系オリゴマーとしては、例えば、α-ピネン-フェノール共重合体等を例示できる。
フォトクロミック化合物を各種オリゴマーに溶解することにより、フォトクロミック化合物の耐光性を向上させると共に、発色濃度の向上、さらには変色感度を調整することができる。
【0062】
スチレン系オリゴマーとしては、質量平均分子量が200~6000、好ましくは200~4000のものが用いられる。スチレン系オリゴマーの質量平均分子量が6000を超えると、光照射により色残りが発生し、且つ、発色濃度が低くなり易く、また、変色感度の調整が困難となり易い。一方、質量平均分子量が200未満では、含有モノマーが多くなり安定性に欠けるため、耐光性を損ない易くなる。
アクリル系オリゴマーとしては、質量平均分子量が12000以下、好ましくは1000~8000、より好ましくは1500~6000のものが用いられる。アクリル系オリゴマーの質量平均分子量が12000を超えると、変色感度の調整が困難となり易い。一方、質量平均分子量が1000未満では、含有モノマーが多くなり安定性に欠けるため、発色濃度が低くなり易いと共に、耐光性を損ない易くなる。
テルペン系オリゴマーとしては、質量平均分子量が250~4000、好ましくは300~4000のものが用いられる。テルペン系オリゴマーの質量平均分子量が4000を超えると、光照射により色残りが発生し、且つ、発色濃度が低くなり易く、また、変色感度の調整が困難となり易い。一方、質量平均分子量が250未満では、含有モノマーが多くなり安定性に欠けるため、耐光性を損ない易くなる。
テルペンフェノール系オリゴマーとしては、質量平均分子量が200~2000、好ましくは500~1200のものが用いられる。テルペンフェノール系オリゴマーの質量平均分子量が2000を超えると、変色感度の調整が困難となり易い。一方、質量平均分子量が200未満の場合、含有モノマーが多くなり安定性に欠けるため、発色濃度が低くなり易くなる。
なお、上記のオリゴマーの質量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法)により測定した値である。
また、上記のオリゴマーは、一種又は二種以上を適宜混合して用いることができる。
【0063】
フォトクロミック化合物:スチレン系オリゴマー、又は、フォトクロミック化合物:アクリル系オリゴマーの質量比は、1:1~1:10000であることが好ましく、1:5~1:500であることがより好ましい。
また、フォトクロミック化合物:テルペン系オリゴマーの質量比は、1:1~1:5000であることが好ましく、1:5~1:500であることがより好ましい。
また、フォトクロミック化合物:テルペンフェノール系オリゴマーの質量比は、1:1~1:50であることが好ましく、1:2~1:30であることがより好ましい。
フォトクロミック化合物とオリゴマーの質量比が上記の範囲内にあることにより、フォトクロミック化合物が発消色機能を十分に発現すると共に、十分な発色濃度を示し易くなる。
【0064】
マイクロカプセル顔料のマイクロカプセル化は、従来公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン-ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。カプセルの材質としては、例えば、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂等を例示できる。
さらにマイクロカプセルの表面には、目的に応じてさらに二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0065】
また、本発明に適用される着色剤として、顔料、染料、又は、熱変色性材料や光変色性材料等の機能性材料を含有する樹脂粒子を用いることができる。
顔料を含有する樹脂粒子としては、樹脂粒子中に顔料が均質に分散された樹脂粒子、樹脂粒子の表面が顔料で被覆された樹脂粒子等が挙げられる。
顔料としては、樹脂粒子を構成する樹脂に分散又は吸着可能であれば特に制限されるものではなく、上記した無機顔料、有機顔料、光輝性顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等を用いることができる。なお、上記の顔料は、樹脂粒子を構成する樹脂に対する分散性又は吸着性を向上させる目的で、従来公知の種々の方法により表面処理したものであってもよい。
樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド、ウレタン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、アクリル-ウレタン共重合樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、エチレン-プロピレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合樹脂、及びアクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂等を例示できる。
【0066】
染料を含有する樹脂粒子としては、樹脂粒子中に染料が均質に溶解又は分散された樹脂粒子、樹脂粒子に染料が染着された樹脂粒子等が挙げられる。
染料としては、樹脂粒子を構成する樹脂に溶解、分散、又は染着可能なものであれば特に限定されるものではなく、酸性染料、塩基性染料、直接染料の他、上記した油溶性染料、分散染料等を用いることができる。
【0067】
酸性染料としては、例えば、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等を例示できる。
塩基性染料としては、例えば、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等を例示できる。
直接染料としては、例えば、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファーストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等を例示できる。
【0068】
樹脂粒子が染料を含有する場合、樹脂粒子を構成する樹脂としては特に限定されるものではなく、上記した、顔料を含有する樹脂粒子を構成する樹脂と同様のものを用いることができるが、これらの樹脂の中でも熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂と比較して、耐溶剤性や耐熱性に優れると共に、含有される染料の耐移行性にも優れており、樹脂から染料が溶出することを抑制できるため好適である。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドエステル、尿素樹脂、シリコーン樹脂、及び不飽和ポリエステル等を例示できる。これらの樹脂の中でも染料の溶出をいっそう抑制できることから、グアナミン樹脂又はメラミン樹脂が好ましい。
【0069】
熱変色性材料又は光変色性材料を含有する樹脂粒子としては、樹脂粒子中に、上記した熱変色性材料又は光変色性材料が均質に分散された樹脂粒子等が挙げられる。
【0070】
樹脂粒子を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリメタクリル酸メチル、アクリル-ウレタン共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、エチレン-プロピレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合樹脂、及びアクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂等の熱可塑性樹脂、
エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドエステル、尿素樹脂、シリコーン樹脂、及び不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を、それぞれ例示できる。
【0071】
上記した樹脂粒子は、粉砕法、スプレードライング法、水性又は油性媒体中において、顔料、染料、熱変色性材料、又は光変色性材料の存在下で重合する重合法により製造することができる。重合法としては、懸濁重合法、懸濁重縮合法、分散重合法、乳化重合法等が挙げられる。
また、樹脂粒子の形状としては特に限定されるものではなく、真球状、楕円球状、略球状等の球状、多角形状、扁平状等の樹脂粒子を用いることができるが、球状の樹脂粒子を用いることが好ましい。
【0072】
顔料、顔料若しくは染料を内包するマイクロカプセル顔料、又は、顔料若しくは染料を含有する樹脂粒子は、インキ組成物全量中に、好ましくは0.5~15質量%、より好ましくは1~10質量%の範囲で配合される。上記の顔料、マイクロカプセル顔料、又は樹脂粒子の配合割合が15質量%を超えると、インキ組成物の粘度が高くなり易く、インキ組成物を収容した筆記具のインキ吐出性が低下し、筆記性能が阻害され易くなる。一方、配合割合が0.5質量%未満では筆記具としての好適な筆跡濃度が得られ難くなる。
熱変色性材料若しくは光変色性材料を内包するマイクロカプセル顔料、又は、熱変色性材料若しくは光変色性材料を含有する樹脂粒子は、インキ組成物全量中に、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~40質量%、さらに好ましくは15~35質量%の範囲で配合される。上記のマイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の配合割合が40質量%を超えると、インキ組成物の粘度が高くなり易く、インキ組成物を収容した筆記具のインキ吐出性が低下し、筆記性能が阻害され易くなる。一方、配合割合が5質量%未満では好適な変色性、及び筆記具としての好適な筆跡濃度が得られ難く、変色機能を十分に満たすことができ難くなる。
【0073】
また、本発明に適用される着色剤としては、粒子内部に空隙のない中実樹脂粒子や、粒子内部に空隙のある中空樹脂粒子等を用いることもできる。
中空樹脂粒子は、粒子内部に空隙を有し、空隙は空気で満たされており、粒子の外殻は架橋されたポリマー層である。中空樹脂粒子に入射する光は、ポリマー層と中空樹脂粒子が分散する分散媒の境界面、及び、ポリマー層と空隙との境界面でそれぞれ反射するため、中実樹脂粒子に比べて光の散乱が生じ易いものである。よって、中空樹脂粒子は白色を呈すると共に、隠蔽効果を有する顔料として用いることができる。また、樹脂内部に空隙を有する中空構造であることから、一般的な顔料と比較して、比重が小さい特性を有する。
中実樹脂粒子、又は、中空樹脂粒子の外殻のポリマー層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、マレイン酸樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-アクリル共重合樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、及びこれらの変性体等を例示できる。
【0074】
中実樹脂粒子又は中空樹脂粒子は、インキ組成物全量中に、好ましくは5~15質量%、より好ましくは5~10質量%の範囲で配合される。中実樹脂粒子又は中空樹脂粒子の配合割合が15質量%を超えると、インキ組成物の粘度が高くなり易く、インキ組成物を収容した筆記具のインキ吐出性が低下し、筆記性能が阻害され易くなる。一方、配合割合が5質量%未満では筆記具としての好適な筆跡濃度及び隠蔽効果が得られ難くなる。
【0075】
上記の可逆熱変色性組成物又は可逆光変色性組成物は、マイクロカプセルに内包させて、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆光変色性マイクロカプセル顔料を形成したり、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂中に分散させて、可逆熱変色性樹脂粒子又は可逆光変色性樹脂粒子を形成したりすることができるが、上記の可逆熱変色性組成物又は可逆光変色性組成物は、マイクロカプセルに内包させてマイクロカプセル顔料として使用することが好ましい。これは、マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成することができ、さらに、種々の使用条件において、可逆熱変色性組成物又は可逆光変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
【0076】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆光変色性マイクロカプセル顔料は、内包物:壁膜の質量比が7:1~1:1であることが好ましく、内包物と壁膜の質量比が上記の範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下が防止される。より好ましくは、内包物:壁膜の質量比が6:1~1:1である。
壁膜に対する内包物の比率が上記の範囲を超えると、マイクロカプセル顔料の壁膜の厚みが肉薄となり、熱や圧力に対して破壊され易くなる。一方、内包物に対する壁膜の比率が上記の範囲を超えると、発色時の色濃度及び鮮明性が低下し易くなる。
【0077】
本発明に適用される着色剤の平均粒子径は、0.01~5μmであることが好ましく、0.05~4μmであることがより好ましく、0.1~3μmであることがさらに好ましく、0.5~3μmであることが特に好ましい。着色剤の平均粒子径が5μmを超えると、筆記具に用いた場合に良好なインキ吐出性が得られ難くなる。一方、平均粒子径が0.01μm未満では、高濃度の発色性を示し難くなる。
なお、平均粒子径の測定は、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア〔(株)マウンテック製、製品名:マックビュー〕にて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。
また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター(株)製、製品名:Multisizer 4e〕にて、コールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
さらに、上記のソフトウェア又はコールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にして、キャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製、製品名:LA-300〕にて、体積基準の粒子径及び平均粒子径を測定しても良い。
【0078】
本発明に適用されるビヒクルは、水と、必要により有機溶剤を含む水性ビヒクルである。
水としては特に制限されるものではなく、例えば、水道水、イオン交換水、限外ろ過水、及び蒸留水等を例示できる。
有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、及びN-メチル-2-ピロリドン等を例示できる。
水、又は、水及び有機溶剤は、インキ組成物全量中に、好ましくは30~80質量%、より好ましくは40~70質量%の範囲で配合される。
【0079】
本発明に適用されるビヒクルは、上記式(1)乃至(5)から選ばれるカチオン性高分子を含有する。上記のカチオン性高分子は、アミン系高分子化合物であり、水溶性である。ここで、高分子(高分子化合物)には、一種類の単量体(モノマー)が複数重合した重合体だけでなく、二種類以上の単量体が複数重合した共重合体も含まれる。
上記のカチオン性高分子は、インキ組成物中で着色剤表面に吸着して、着色剤を正の電荷に帯電させる。
【0080】
式(1)において、n1が0であるカチオン性高分子は下記式(18)で示され、一級アミンのカチオンを有するアリルアミンを繰り返し単位とする重合体である。
【化18】
(式中、nは自然数を示す。)
また、式(1)において、n1が1であるカチオン性高分子は下記式(19)で示され、一級アミンのカチオンを有するアリルアミンの酸塩を繰り返し単位とする重合体である。
【化19】
(式中、Xは、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、nは自然数を示す。)
式(1)で示されるカチオン性高分子の質量平均分子量は500~200,000の範囲にあり、nは、質量平均分子量が500~200,000となるのに必要な重合度を示す。
式(1)で示されるカチオン性高分子として具体的には、ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-01,PAA-03、PAA-05、PAA-08、PAA-15、PAA-15C,PAA-25、PAA-HCl-01、PAA-HCl-03、PAA-HCl-05、PAA-HCl-3L、PAA-HCl-10L、PAA-SA等を例示できる。
【0081】
式(2)において、n2a及びn2bが0であるカチオン性高分子は下記式(20)で示され、一級アミンのカチオンを有するアリルアミンと、二級アミンのカチオンを有するジアリルアミンとからなる共重合体である。
【化20】
(式中、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。)
また、式(2)において、n2aが1、且つ、n2bが0であるカチオン性高分子は下記式(21)で示され、一級アミンのカチオンを有するアリルアミンの酸塩と、二級アミンのカチオンを有するジアリルアミンとからなる共重合体である。
【化21】
(式中、X2aは、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。)
また、式(2)において、n2aが0、且つ、n2bが1であるカチオン性高分子は下記式(22)で示され、一級アミンのカチオンを有するアリルアミンと、二級アミンのカチオンを有するジアリルアミンの酸塩とからなる共重合体である。
【化22】
(式中、X2bは,塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。)
また、式(2)において、n2a及びn2bが1であるカチオン性高分子は下記式(23)で示され、一級アミンのカチオンを有するアリルアミンの酸塩と、二級アミンのカチオンを有するジアリルアミンの酸塩とからなる共重合体を示す。
【化23】
(式中、X2a及びX2bは、それぞれ独立に、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。)
式(2)で示されるカチオン性高分子の質量平均分子量は500~200,000の範囲にあり、m及びnは、質量平均分子量が500~200,000となるのに必要な重合度を示す。
式(2)で示されるカチオン性高分子として具体的には、ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-D11-HCl、PAA-D41-HCl、PAA-D19-HCl、PAA-D19A等を例示できる。
【0082】
式(3)において、n3a及びn3bが0であるカチオン性高分子は下記式(24)で示され、一級アミンのカチオンを有するアリルアミンと、三級アミンのカチオンを有するジメチルアリルアミンとからなる共重合体である。
【化24】
(式中、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。)
また、式(3)において、n3aが1、且つ、n3bが0であるカチオン性高分子は下記式(25)で示され、一級アミンのカチオンを有するアリルアミンの酸塩と、三級アミンのカチオンを有するジメチルアリルアミンとからなる共重合体である。
【化25】
(式中、X3aは、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。)
また、式(3)において、n3aが0、且つ、n3bが1であるカチオン性高分子は下記式(26)で示され、一級アミンのカチオンを有するアリルアミンと、三級アミンのカチオンを有するジメチルアリルアミンの酸塩とからなる共重合体である。
【化26】
(式中、X3bは、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。)
また、式(3)において、n3a及びn3bが1であるカチオン性高分子は下記式(27)で示され、一級アミンのカチオンを有するポリアリルアミンの酸塩と、三級アミンのカチオンを有するジメチルアリルアミンの酸塩とからなる共重合体である。
【化27】
(式中、X3a及びX3bは、それぞれ独立に、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。)
式(3)で示されるカチオン性高分子の質量平均分子量は500~200,000の範囲にあり、m及びnは、質量平均分子量が500~200,000となるのに必要な重合度を示す。
式(3)で示されるカチオン性高分子として具体的には、ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-1112、PAA-1112CL等を例示できる。
【0083】
式(4)において、n4が0であり、且つ、Rが水素原子であるカチオン性高分子は下記式(28)で示され、二級アミンのカチオンを有するジアリルアミンを繰り返し単位とする重合体である。
【化28】
(式中、nは自然数を示す。)
また、式(4)において、n4が1であり、且つ、Rが水素原子であるカチオン性高分子は下記式(29)で示され、二級アミンのカチオンを有するジアリルアミンの酸塩を繰り返し単位とする重合体である。
【化29】
(式中、Xは、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、nは自然数を示す。)
また、式(4)において、n4が0であり、且つ、Rが、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基であるカチオン性高分子は下記式(30)で示され、三級アミンのカチオンを有するアルキルジアリルアミンを繰り返し単位とする重合体である。
【化30】
(式中、R′は、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、nは自然数を示す。)
また、式(4)において、n4が1であり、且つ、Rが、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基であるカチオン性高分子は下記式(31)で示され、三級アミンのカチオンを有するアルキルジアリルアミンの酸塩を繰り返し単位とする重合体である。
【化31】
(式中、R′は、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Xは、塩酸、アミド硫酸、酢酸のいずれかを示し、nは自然数を示す。)
炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等を例示できる。
式(4)で示されるカチオン性高分子の質量平均分子量は500~200,000の範囲にあり、nは、質量平均分子量が500~200,000となるのに必要な重合度を示す。
式(4)で示されるカチオン性高分子として具体的には、ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAS-21、PAS-21CL、PAS-M-1L、PAS-M-1、PAS-22SA-40、PAS-M-1A等を例示できる。
【0084】
式(5)で示されるカチオン性高分子は、四級アミンのカチオンを有するジアリルジアルキルアンモニウム塩を繰り返し単位とする重合体である。
【化32】
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Xは、塩素原子、CHSO、CSOのいずれかを示し、nは自然数を示す。)
炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等を例示できる。
式(5)で示されるカチオン性高分子の質量平均分子量は10,000~300,000の範囲にあり、nは、質量平均分子量が10,000~300,000となるのに必要な重合度を示す。
式(5)で示されるカチオン性高分子として具体的には、ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAS-H-5L、PAS-H-10L、PAS-24等を例示できる。
【0085】
さらにカチオン性高分子として、下記式(32)で示される重合体を用いることもできる。式(32)で示される重合体は、式(1)おいてn1が0であるカチオン性高分子の一級アミンを部分的に、カルボニル基を有する基で置換した重合体である。
【化33】
(式中、Rは、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルコキシ基、アミノ基のいずれかを示し、m及びnは、それぞれ独立に自然数を示す。)
炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等を、
炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基等を、それぞれ例示できる。
式(32)で示されるカチオン性高分子の質量平均分子量は500~200,000の範囲にあり、m及びnは、質量平均分子量が500~200,000となるのに必要な重合度を示す。
式(32)で示されるカチオン性高分子として具体的には、ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-U5000、PAA-U7030、PAA-AC5050A、PAA-N5000、PAA-N5050CL等を例示できる。
【0086】
本発明に適用されるカチオン性高分子は、式(1)で示されるカチオン性高分子において、n1が0である、又は、n1が1であり、且つ、Xが塩酸若しくはアミド硫酸であることが好ましい。
また、式(2)で示されるカチオン性高分子において、n2a及びn2bが0又は1であることが好ましく、n2a及びn2bが0である、又は、n2a及びn2bが1であり、且つ、X2a及びX2bが同一であることがより好ましく、n2a及びn2bが0である、又は、n2a及びn2bが1であり、且つ、X2a及びX2bが塩酸若しくは酢酸であることがさらに好ましい。
また、式(3)で示されるカチオン性高分子において、n3a及びn3bが0又は1であることが好ましく、n3a及びn3bが0である、又は、n3a及びn3bが1であり、且つ、X3a及びX3bが同一であることがより好ましく、n3a及びn3bが0である、又は、n3a及びn3bが1であり、且つ、X3a及びX3bが塩酸であることがさらに好ましい。
また、式(4)で示されるカチオン性高分子において、Rが水素原子又はメチル基であることが好ましく、Rが水素原子である場合において、n4が0である、若しくは、n4が1であり、且つ、Xが塩酸である、又は、Rがメチル基である場合において、n4が1であり、且つ、Xが塩酸若しくはアミド硫酸であることがより好ましい。
また、式(5)で示されるカチオン性高分子において、R及びRがメチル基である、又は、R及びRの一方がメチル基であり、他方がエチル基であることが好ましく、R及びRがメチル基である場合において、Xが塩素原子である、又は、R及びRの一方がメチル基であり、他方がエチル基である場合において、XがCSOであることがより好ましく、R及びRがメチル基であり、且つ、Xが塩素原子であることがさらに好ましい。
また、式(32)で示されるカチオン性高分子において、Rがメチル基、メトキシ基、アミノ基のいずれかであることが好ましい。
上記のカチオン性高分子は、着色剤表面への吸着性に優れ、着色剤をより安定的に正の電荷に帯電させることができるため、好適に用いられる。
【0087】
本発明に適用される、式(1)乃至(4)で示されるカチオン性高分子の質量平均分子量は、500~200,000の範囲にあれば特に限定されるものではないが、800~100,000の範囲にあることが好ましく、1,000~50,000の範囲にあることがより好ましい。また、式(5)で示されるカチオン性高分子の質量平均分子量は、10,000~300,000の範囲にあれば特に限定されるものでないが、25,000~250,000の範囲にあることが好ましく、50,000~250,000の範囲にあることがより好ましい。
【0088】
本発明に適用されるビヒクルは、上記のカチオン性高分子と共に、さらにアクリル系高分子分散剤を含有する。カチオン性高分子とアクリル系高分子分散剤を併用することにより、カチオン性高分子により正の電荷に帯電した着色剤と、アニオン性を示すアクリル系高分子分散剤との間でイオン的相互作用が働き、アクリル系高分子分散剤が、正の電荷に帯電した着色剤間のゆるい橋かけ作用を生じさせ、着色剤が緩やかな凝集体を形成する。そのため、着色剤が密着して凝集することが抑制され、着色剤の分離を抑制すると共に、分離しても容易に再分散させることができる。そして、インキ組成物を筆記具に収容して実用に供する際に、着色剤が浮上又は沈降して筆跡が濃色化又は淡色化することを抑制し、特に、比重が大きい着色剤を用いたインキ組成物を収容した筆記具が、正立状態で外部から振動等の刺激が加わったり、長期間に亘って保管したりした際に、着色剤が沈降して筆跡が淡色化することを抑制することができる。
前述の効果は、汎用の顔料よりも平均粒子径が大きく、マイクロカプセル中に内包する物質により特に比重が大きくなり易い可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に対して有効であり、インキ組成物中でのマイクロカプセル顔料の分離を抑制すると共に、分離しても容易に再分散させることができるため好適に用いられる。
【0089】
アクリル系高分子分散剤としては、カルボキシ基を有するアクリル系高分子分散剤であることが好ましく、側鎖にカルボキシ基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤であることがより好ましく、側鎖に複数のカルボキシ基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤であることがさらに好ましい。
側鎖に複数のカルボキシ基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤として具体的には、日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000を例示できる。
【0090】
本発明に適用されるカチオン性高分子の中でも、アクリル系高分子分散剤とのイオン的相互作用に優れることから、式(1)で示されるカチオン性高分子において、n1が0である、又は、n1が1であり、且つ、Xが塩酸若しくはアミド硫酸であることが好ましい。
また、式(2)で示されるカチオン性高分子において、n2a及びn2bが1であり、且つ、X2a及びX2bが塩酸又は酢酸であることが好ましい。
また、式(4)で示されるカチオン性高分子において、Rが水素原子であり、n4が0である、又は、Rが水素原子であり、n4が1であり、且つ、Xが塩酸であることが好ましい。
また、式(32)で示されるカチオン性高分子において、Rがアミノ基であることが好ましい。
上記のカチオン性高分子は、アクリル系高分子分散剤との間で働くイオン的相互作用に優れ、着色剤の分離を抑制すると共に、分離しても容易に再分散させることができる効果をよりいっそう向上させることができる。また、インキ組成物を筆記具に収容して実用に供する際に、着色剤が浮上又は沈降して筆跡が濃色化又は淡色化することをよりいっそう抑制し、特に、着色剤の比重が大きい場合に、筆記具が正立状態で外部から振動等の刺激が加わったり、長期間に亘って保管したりした際に、着色剤が沈降して筆跡が淡色化することをよりいっそう抑制して良好な筆跡を形成することができるため、好適に用いられる。
【0091】
また、式(1)乃至(5)で示されるカチオン性高分子は、過度な温度変化による影響を受け難く、着色剤表面に強く吸着し、また、アクリル系高分子分散剤とのイオン的相互作用により形成される緩やかな凝集体も、過度な温度変化による影響を受け難いため、本発明の水性インキ組成物中の着色剤は、保管される温度環境によらず凝集することが抑制される。よって、インキ組成物が凍結、解凍され、インキ組成物の状態が液体から固体、又は固体から液体に変化した場合に、着色剤が凝集して分離することが抑制され、インキ組成物を筆記具に収容して実用に供する際に、インキが凍結する0℃未満の低温域に放置したり、高温域、例えば、50℃の環境下で放置したりした際にも、着色剤が凝集してインキ流動性が低下することを抑制し、筆記具のペン先からのインキ吐出性を損ない難くすることができる。
前述の効果は、経時により凝集してハードケーキ層を形成し易い可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子に対して有効であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子が凝集することを抑制し、また容易に再分散させることができ、インキ組成物を収容した筆記具の、ペン先からのインキ吐出性に優れることから、好適に用いられる。
【0092】
本発明の水性インキ組成物において、カチオン性高分子とアクリル系高分子分散剤の質量比が、1:2.5~1:16であることが好ましく、1:3~1:12であることがより好ましい。カチオン性高分子とアクリル系高分子分散剤の質量比が上記の範囲内にあることにより、カチオン性高分子とアクリル系高分子分散剤により形成される着色剤の緩やかな凝集体の凝集力を向上させて、インキ組成物中で安定的に分散させることができ、着色剤が浮上又は沈降して局在化することを抑制することができる。
【0093】
また、本発明の水性インキ組成物における、カチオン性高分子とアクリル系高分子分散剤とのイオン的相互作用は、比重の大きい顔料又は樹脂粒子のような、インキ組成物中で沈降を生じ易い着色剤に対しても有効であり、これらの着色剤が沈降して局在化し、筆跡が淡色化することを抑制する効果を奏する。
比重の大きい顔料としては、例えば、酸化チタン及びこれを内包したマイクロカプセル顔料、光輝性顔料及びこれを内包したマイクロカプセル顔料、ヒステリシス幅(ΔH)が大きい可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料等を例示できる。
また、比重の大きい樹脂粒子としては、例えば、酸化チタンを含有する樹脂粒子、光輝性顔料を含有する樹脂粒子、ヒステリシス(ΔH)の大きい可逆熱変色性組成物を含有する可逆熱変色性樹脂粒子等を例示できる。
本発明に適用される着色剤としては、可逆熱変色性組成物中の(ハ)成分が、可逆熱変色性組成物全量に対して60~90質量%の範囲にあり、(ハ)成分の質量平均分子量が250以上であり、且つ、20℃において、水を基準とした場合の、完全発色状態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重が、1.05~1.20である可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が好適である。上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、ヒステリシス幅(ΔH)が大きい性質を示し、このような可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、加熱することにより消色し、特定温度域で消色させた状態を保持させることができることから筆記具分野のみならず幅広い分野で広く利用されるが、ヒステリシス幅(ΔH)が大きい可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、(ハ)成分として分子内にベンゼン環を2以上有する化合物を用いることが多いことから比重が大きくなり易く、インキ組成物中で沈降して分離し易い傾向にあり、特に、外部から振動等の刺激が加わる場合や、長期間に亘って保管される場合に着色剤が沈降して分離し、さらに、再分散させることが困難となる問題があった。しかしながら、本発明の水性インキ組成物は、着色剤として上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料のような比重の大きい着色剤を用いた場合にも、着色剤の分離を抑制することができ、さらに、インキ組成物に外部から振動等の刺激が加わる場合や、長期間に亘って保管される場合にも、着色剤の分離を抑制し、また、分離しても容易に再分散させることができるため、好適に用いられる。
本発明の水性インキ組成物中における上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の分散安定性を考慮すると、可逆熱変色性組成物中の(ハ)成分が、可逆熱変色性組成物全量に対して65~85質量%の範囲にあり、(ハ)成分の質量平均分子量が250以上であり、且つ、20℃において、水を基準とした場合の、完全発色状態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重が、1.05~1.20である可逆熱変色性マイクロカプセル顔料がより好ましく、上記の可逆熱変色性マイクロカプセルにおいて、完全発色状態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重が、1.10~1.20であることが好ましく、1.12~1.15であることがより好ましい。
さらに、可逆熱変色性組成物中の(ハ)成分が、可逆熱変色性組成物全量に対して70~85質量%の範囲にあり、(ハ)成分の質量平均分子量が250以上であり、且つ、20℃において、水を基準とした場合の、完全発色状態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重が、1.05~1.20である可逆熱変色性マイクロカプセル顔料がさらに好ましく、上記の可逆熱変色性マイクロカプセルにおいて、完全発色状態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重が、1.10~1.20であることが好ましく、1.12~1.15であることがより好ましい。
可逆熱変色性組成物全量に対する可逆熱変色性組成物中の(ハ)成分の割合が、上記の範囲内にあることにより、可逆熱変色性組成物を繰り返し温度変化させても、高温側変色点(完全消色温度)以上の温度域で消色状態となり、低温側変色点(完全発色温度)以下の温度域で発色状態となる可逆熱変色機能を損ない難いと共に、発色時の色濃度が鮮明であり、着色剤として十分な色濃度を有する。
なお、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重は、下記の方法により測定することができる。
【0094】
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重測定方法)
1.スクリュー管瓶にグリセリン水溶液30mlと完全発色状態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料1gを投入、混合し、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料分散液を調製する。
2.上記のマイクロカプセル顔料分散液30mlを20℃に調温し、回転数1,000rpm、30秒間の遠心条件で遠心分離機にかける。なお、遠心分離機としては、冷却・卓上遠心機〔(株)コクサン製、製品名:H103N〕を用いることができる。
3.マイクロカプセル顔料分散液を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半がビーカー底部に沈降した状態を確認した場合、この時のグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を上げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半が液面に浮上した状態を確認した場合は、この時のグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を下げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
上記の一連の操作は、マイクロカプセル顔料の大半が液面に沈降している、又は浮上している状態ではなく、グリセリン水溶液の液面やスクリュー管瓶底部付近以外の部分が均一に着色している状態が目視で確認されるまで繰り返す。この状態が観察された際のグリセリン水溶液の比重を測定し、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重とする。なお、グリセリン水溶液の比重は、20℃に調温した水溶液を、JIS K0061 7.1項記載の浮ひょう法により測定することができる。
【0095】
さらに、本発明に適用されるビヒクルには、比重調整剤を配合することにより、インキ組成物が低粘度でありながらも、インキ組成物中で着色剤が浮上又は沈降して局在化することをいっそう抑制し、着色剤の分散安定性を向上させることができる。
着色剤の分散安定性は、ビヒクルと着色剤との比重差が極小のときに最大となり、比重調整剤は、ビヒクルの比重を着色剤の比重に近づけるものである。ビヒクルの比重は、ビヒクル中に溶解させた水溶性物質の比重とその添加量に左右され、ビヒクル中に比重の大きい比重調整剤をより多く添加し、溶解させると、ビヒクルの比重をより大きくすることができる。
【0096】
比重調整剤としては、例えば、原子量90~185の範囲に含まれる6族元素の酸素酸及びその塩を例示できる。
このような比重調整剤は、ビヒクルの比重を、比重の大きい着色剤に近づくように調整することができ、インキ組成物が低粘度でありながらも、外部から振動等の刺激が加わったり、長期間に亘って保管したりすることにより、着色剤が沈降して筆跡が淡色化することを抑制することができるため、好ましく用いられる。
【0097】
上記の酸素酸及びその塩は、遷移金属元素の酸素酸及びその塩からなる群から選択されるものであり、その酸素酸イオンは金属原子等に酸素原子が通常4若しくは6配位した四面体又は八面体を形成してなるものといわれている。
四面体又は八面体ユニットとしては、単独のものでもよいし、それらが稜、頂点を介して結合した構造を持つポリ酸及びその塩であるポリ酸塩であってもよい。ポリ酸は金属元素の酸素酸が縮合生成した多重酸であるが、ただ一種類の金属によって構成され、縮合する陰イオンが全て同じ型のポリ酸をイソポリ酸といい、二種類以上の陰イオンが縮合したポリ酸をヘテロポリ酸という。そして、それぞれの塩をイソポリ酸塩、ヘテロポリ酸塩という。上記のポリ酸にはイソポリ酸、ヘテロポリ酸等が、上記のポリ酸塩にはイソポリ酸塩、ヘテロポリ酸塩等が含まれる。
【0098】
比重調整剤としては、単独の酸素酸及びその塩、イソポリ酸及びその塩、ヘテロポリ酸及びその塩等が挙げられる。
単独の酸素酸としては、例えば、モリブデン酸、タングステン酸等を例示でき、さらに単独の酸素酸の塩としては、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸リチウム、及びタングステン酸マグネシウム等を例示できる。
イソポリ酸としては、例えば、メタモリブデン酸、パラモリブデン酸、メタタングステン酸、パラタングステン酸、及びイソタングステン酸等を例示でき、さらに、イソポリ酸塩としては、例えば、メタモリブデン酸ナトリウム、メタモリブデン酸カリウム、メタモリブデン酸アンモニウム、パラモリブデン酸ナトリウム、パラモリブデン酸カリウム、パラモリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、及びイソタングステン酸ナトリウム等を例示できる。
ヘテロポリ酸としては、例えば、モリブドリン酸、モリブドケイ酸、タングストリン酸、及びタングストケイ酸等を例示でき、さらに、ヘテロポリ酸塩としては、例えば、モリブドリン酸ナトリウム、モリブドケイ酸ナトリウム、タングストリン酸ナトリウム、及びタングストケイ酸ナトリウム等を例示できる。
上記の酸素酸及びその塩は、一種又は二種以上を適宜混合して用いることができる。
【0099】
上記の比重調整剤の中でも、メタタングステン酸、パラタングステン酸、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、イソタングステン酸ナトリウム、タングストリン酸、タングストケイ酸、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウムが好ましく、イソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸ナトリウムがより好ましい。
上記のイソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、及びパラタングステン酸ナトリウムは安全性が高いだけでなくそれ自体が高比重のため、添加量に応じて高比重の液体を調整することが容易であり、好適に用いられる。
【0100】
比重調整剤はインキ組成物全量中に、好ましくは2~20質量%、より好ましくは5~15質量%の範囲で配合される。比重調整剤の配合割合が20質量%を超えると、着色剤が凝集し易くなる。一方、配合割合が2質量%未満では、ビヒクルの比重調整効果が乏しくなる。
また、着色剤と比重調整剤の質量比は、1:0.05~1:4であることが好ましく、1:0.075~1:2であることがより好ましく、1:0.1~1:1.5であることがさらに好ましい。
【0101】
上記の比重調整剤を配合したビヒクルは、比重の大きい顔料又は樹脂粒子等の着色剤に特に有効であり、インキ組成物が低粘度でありながらも、外部から振動等の刺激が加わる場合や、長期間に亘って保管する場合に、インキ組成物中で着色剤が沈降することを抑制し、着色剤の分散安定性を向上させることができる。
比重の大きい顔料としては、例えば、酸化チタン及びこれを内包したマイクロカプセル顔料、光輝性顔料及びこれを内包したマイクロカプセル顔料、ヒステリシス(ΔH)の大きい可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料等を例示できる。
また、比重の大きい樹脂粒子としては、例えば、酸化チタンを含有する樹脂粒子、光輝性顔料を含有する樹脂粒子、ヒステリシス(ΔH)の大きい可逆熱変色性組成物を含有する可逆熱変色性樹脂粒子等を例示できる。
上記の顔料又は樹脂粒子等の着色剤の比重は、20℃において水を基準物質とした場合、1.05~1.20であることが好ましく、1.10~1.20であることがより好ましく、1.12~1.15であることがさらに好ましい。着色剤の比重が上記の範囲内にあることにより、比重調整剤を含有するインキ組成物中での、上記の顔料又は樹脂粒子の分散安定性がいっそう向上し、インキ組成物に外部から振動等の刺激が加わったり、長期間に亘って保管したりした際に、ビヒクルが低粘度でありながらも着色剤が沈降して局在化することをいっそう抑制することができる。
なお、上記の顔料又は樹脂粒子等の着色剤の比重は、前述の「可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重測定方法」と同様の手順にて測定することができる。
本発明のインキ組成物による筆跡の発色性や流動性は、着色剤の粒子径の影響を受けやすく、上記した数値範囲外の平均粒子径を有する着色剤は、発色濃度が低いか或いは流動性が劣る傾向にあるが、着色剤全体に含まれる含有量は少量であり、インキ組成物の性能に与える影響は小さいものである。そのような数値範囲外の平均粒子径を有する着色剤は、上記の数値範囲内に平均粒子径を有する着色剤と比較して、比重が軽いか或いは重く、上記で調整されたグリセリン水溶液中ではスクリュー管瓶底部に沈殿するか、液面に浮上する。しかしながら、上記の数値範囲内に平均粒子径を有する着色剤はグリセリン水溶液中で浮遊するため、このときの水溶液の比重をビヒクルの比重とすることで、優れた分散安定性と筆跡の良好な発色性とを有するインキ組成物とすることができる。
【0102】
また、上記の比重調整剤を配合したビヒクルは、20℃において水を基準物質とした場合、1.00~1.30の範囲の比重を有しており、さらに、比重は1.05~1.20であることが好ましく、1.08~1.18であることがより好ましい。
さらに、ビヒクルの比重が、上記の顔料又は樹脂粒子等の着色剤の比重に対して、0.90~1.20倍であることが好ましく、0.95~1.10倍であることがより好ましい。
ビヒクルの比重が上記の範囲内にあると共に、着色剤の比重に対するビヒクルの比重が上記の範囲内にあると、インキ組成物に外部から振動等の刺激が加わる場合や、長期間に亘って保管する場合に、ビヒクルを低粘度としながらも、インキ組成物中で着色剤が沈降して局在化することをよりいっそう抑制して、着色剤の分散安定性をよりいっそう向上させることができる。
【0103】
さらに、本発明に適用されるビヒクルには、水溶性有機溶剤を配合することにより、インキ組成物の水分蒸発を抑制し、インキ組成物の比重変動を防いで着色剤の良好な分散安定性を維持すると共に、カチオン性高分子とアクリル系高分子分散剤とが形成する緩やかな凝集体の構造を安定化することができる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、及びN-メチル-2-ピロリドン等を例示できる。
着色剤としてヒステリシス幅(ΔH)の大きい可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子を用いる場合、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子の比重は1より大きく、インキ組成物の比重を調整する際に、水より比重が大きい水溶性有機溶剤を用いると比重の調整を容易とし易いことから、水溶性有機溶剤として、比重が1.1を超えるグリセリン等を用いることが好ましい。
【0104】
水溶性有機溶剤はインキ組成物全量中に、好ましくは1~40質量%、より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは10~25質量%の範囲で配合される。水溶性有機溶剤の配合割合が40質量%を超えるとインキ粘度が高くなり易く、インキ組成物を収容した筆記具のインキ吐出性が低下し、筆記性能が阻害され易くなる。一方、配合割合が1質量%未満では水分蒸発を抑制する効果に乏しく、インキ組成物の比重変動を防ぎ難くなる。
【0105】
さらに、本発明に適用されるビヒクルには、水溶性樹脂を配合することにより、紙面への固着性や粘性を付与できると共に、カチオン性高分子とアクリル系高分子分散剤の、インキ組成物中での安定性を向上させることができる。
水溶性樹脂としては、例えば、水溶性のアルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びデキストリン等を例示できる。
また、アクリル系高分子分散剤の安定性に優れることから、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコールが好ましく、部分けん化型のポリビニルアルコールがより好ましく、70~89mol%のけん化度を有する部分けん化型のポリビニルアルコールがさらに好ましい。
水溶性樹脂として具体的には、日本酢ビ・ポバール(株)製、製品名:Jポバール JPシリーズ、JLシリーズ、JRシリーズ、
三菱ケミカル(株)製、製品名:G型ゴーセノール、K型ゴーセノール、
(株)クラレ製、製品名:PVA203、同205、同210、同217、同217E、同217EE、同220、同220E、同224、同224E、同235、同403、同405、同420、同420H、同424H、同505、同L-8、同L-9、同L-9-78、同L-10等を例示できる。
【0106】
水溶性樹脂はインキ組成物全量中に、好ましくは0.1~1.5質量%、より好ましくは0.5~1質量%の範囲で配合される。水溶性樹脂の配合割合が上記の範囲内にあることにより、アクリル系高分子分散剤の安定性が良好となり、また、着色剤に可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子を用いた場合に、これら着色剤の発色性や変色性を損ない難くなる。
【0107】
本発明の水性インキ組成物中には、その他必要に応じて、カオリン、タルク、マイカ、クレー、ベントナイト、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、セリサイト、及びチタン酸カリウム等の体質材、フッ素系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤等の濡れ剤、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、アルキッド樹脂、スルフォアミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-マレイン酸エステル共重合樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合樹脂、シアネート変性ポリアルキレングリコール、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、尿素アルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂及びその水添化合物、ロジンフェノール樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアミド、ポリオレフィン、ナイロン樹脂、ポリエステル、並びにシクロヘキサノン系樹脂等の、定着剤として用いる樹脂において水溶性を有する樹脂、水不溶性の樹脂からなるエマルジョン、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、及びフッ素樹脂等からなる樹脂粒子、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、及び水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、及びサポニン等の防錆剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等の二糖類、オリゴ糖、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、及びピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、粘度調整剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を配合することもできる。
【0108】
本発明の水性インキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、上記の各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、又はホモミキサー等の各種攪拌機やビーズミル等の各種分散機等にて混合し、製造することができる。
【0109】
本発明に適用される着色剤として、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料若しくは可逆熱変色性樹脂粒子、又は、可逆光変色性マイクロカプセル顔料若しくは可逆光変色性樹脂粒子を用いる場合、マイクロカプセル顔料若しくは樹脂粒子中、又は、インキ組成物中に、上記の無機顔料、有機顔料、光輝性顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等の顔料や、染料等の非変色性着色剤及びこれらを内包したマイクロカプセル顔料、又は、上記の非変色性着色剤を含有する樹脂粒子等を配合することにより、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈することができる。
【0110】
本発明の水性インキ組成物の粘度は、20℃の環境下において、回転数30rpmの条件で測定した場合の粘度が、1~20mPa・sであることが好ましく、1~10mPa・sであることがより好ましく、1~7mPa・sであることがさらに好ましい。インキ組成物の粘度が上記の範囲内にあることにより、インキ組成物中での着色剤の局在化を抑制すると共に、インキ組成物を収容した筆記具のペン先からのインキ吐出性を向上させて、カスレや線飛び等の筆記不良を抑制して、発色良好な筆跡を形成できるインキ組成物とすることができる。
なお、粘度は、BL型回転粘度計〔東機産業(株)製、製品名:TVB-M型粘度計、L型ローター〕を用いて、インキ組成物を20℃の環境下に置いて、測定した値である。
【0111】
本発明の水性インキ組成物の表面張力は、20℃の環境下において、25~50mN/mであることが好ましく、25~45mN/mであることが好ましく、30~45mN/mであることがさらに好ましい。インキ組成物の表面張力が上記の範囲内にあることにより、インキ組成物を収容した筆記具を用いて筆記する際に、筆跡にカスレが生じ難く、インキが凍結する0℃未満の温度域で放置したり、高温域、例えば50℃の環境下で放置したりした際にもインキ吐出性が損なわれることなく、保存環境や使用環境による筆跡濃度や筆記幅のばらつきを生じ難くなる。また、筆跡の滲みや、紙面への裏抜けを抑制することが容易であると共に、インキ組成物の紙面に対する濡れ性を向上させることができる。
なお、表面張力は、表面張力計測器〔協和界面化学(株)製、製品名:DY-300〕を用いて、インキ組成物を20℃の環境下に置いて、ガラスプレートを用いた垂直平板法により測定した値である。
【0112】
さらに、本発明の水性インキ組成物のpHは、3~8であることが好ましく、4~7であることがより好ましく、5~7であることがさらに好ましい。インキ組成物のpHが上記の範囲内にあることにより、インキ組成物中に含有される着色剤、特に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子の低温域での凝集又は沈降を抑制することができる。また、pHが8を超えると、低温域、即ち、インキが凍結する温度域でインキ組成物を収容した筆記具を放置した時のインキ吐出性を損ない易くなる。一方、pHが3未満では、着色剤として可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子を用いた場合に、可逆熱変色性組成物の発色性が強くなり、消色時に色残りが発生する不具合を生じ易くなる。
なお、pHは、pHメーター〔東亜ディーケーケー(株)製、製品名:IM-40S〕を用いて、インキ組成物を20℃の環境下に置いて、測定した値である。
【0113】
本発明の水性インキ組成物は、筆記具に収容されて用いられる。
筆記具としては、例えば、ボールペン、マーキングペン、万年筆、筆ペン、カリグラフィーペン等の各種筆記具を例示できる。
【0114】
本発明の水性インキ組成物がボールペンに用いられる場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、ボールペンチップと、インキ充填機構とを備えたボールペンレフィル又はボールペンに充填して用いられる。
【0115】
ボールペンチップは、チップ本体と、チップ本体の前端に備えられるボールとからなり、例えば、金属製のパイプからなるチップ本体の先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属材料からなるチップ本体に、ドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、上記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を例示できる。
なお、チップ本体及びボールの材質としては特に限定されるものではなく、例えば、超硬合金(超硬)、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、及びゴム等を例示できる。
ボールの直径は、0.1~3.0mmであることが好ましく、0.2~2.0mmであることがより好ましく、0.3~1.0mmであることがさらに好ましい。またボールには、DLCコート等の表面処理を施すこともできる。
【0116】
インキ充填機構としては、例えば、インキ組成物を直に充填することのできるインキ収容体を例示できる。
インキ収容体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体や、金属製管状体が用いられる。
インキ収容体に、ボールペンチップを直接、又は接続部材を介して連結させ、インキ収容体にインキを直接充填することにより、ボールペンレフィル(以下、「レフィル」と表すことがある)を形成することができる。このレフィルを軸筒内に収容することでボールペンを形成することができる。
【0117】
インキ収容体に充填されるインキの後端にはインキ逆流防止体が充填される。インキ逆流防止体としては、液栓又は固体栓が挙げられる。
液栓は不揮発性液体及び/又は難揮発性液体からなり、例えば、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマー又はコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、及び脂肪酸変性シリコーンオイル等を例示できる。
不揮発性液体及び/又は難揮発性液体は、一種又は二種以上を適宜混合して用いることができる。
【0118】
不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましい。
増粘剤としては、例えば、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイト等の粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、及びステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、並びにセルロース系化合物等を例示できる。
【0119】
固体栓としては、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、及びポリメチルペンテン製等の固体栓を例示できる。
インキ逆流防止体として、上記した液栓と固体栓を併用して用いることもできる。
【0120】
また、軸筒自体をインキ充填機構とし、軸筒内にインキを直接充填すると共に、軸筒の前端部にボールペンチップを装着することで、ボールペンチップと、インキ充填機構とを備えたボールペンを形成することもできる。
【0121】
インキ充填機構に充填されるインキが低粘度である場合、ボールペンチップと、インキ充填機構とを備えたボールペンは、さらに、インキ充填機構に充填されるインキをペン先に供給するためのインキ供給機構を備えていてもよい。
インキ供給機構としては特に限定されるものではなく、例えば、(1)繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として備え、これを介在させてインキをペン先に供給する機構、(2)櫛溝状のインキ流量調節体を備え、これを介在させてインキをペン先に供給する機構、(3)多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ充填機構からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を介して、インキをペン先に供給する機構等が挙げられる。
ペン芯の材質としては、多数の円盤体を櫛溝状とした構造に射出成形できる合成樹脂であれば特に制限されるものではない。合成樹脂としては、例えば、汎用のポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等を例示できる。特に、成形性が高く、ペン芯性能を得られ易いことから、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)が好適に用いられる。
【0122】
ボールペンが上記のインキ供給機構を備えてなる場合、インキ充填機構としては、上記したインキ収容体や軸筒のほか、インキを充填できるインキ吸蔵体を用いることができる。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させた繊維集束体であり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲になるように調整して構成されたものである。
【0123】
また、インキ収容体にインキを含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するようにインキ供給機構が、インキ収容体の前端に備えられると共に、インキ供給機構に接続するようにボールペンチップを、直接又は接続部材を介してインキ供給機構に連結させることにより、ボールペンチップと、インキ充填機構と、インキ供給機構とを備えたボールペンレフィルを形成することもできる。或いは、インキ収容体にインキを含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するようにインキ供給機構が、インキ収容体の内部に備えられると共に、インキ供給機構に接続するようにボールペンチップを、直接又は接続部材を介してインキ収容体に連結させることによっても、ボールペンレフィルを形成することができる。
【0124】
本発明によるインキ組成物を収容するボールペンの構成として具体的には、(1)軸筒内に、インキを充填したインキ収容体を有し、インキ収容体には、直接又は接続部材を介してボールペンチップが連結され、インキの端面にはインキ逆流防止体が充填されたボールペン、(2)軸筒内に直接インキが充填され、櫛溝状のインキ流量調節体や、繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として介在させてインキをペン先に供給する機構が備えられるボールペン、(3)軸筒内に直接インキが充填され、上記のペン芯を介してインキをペン先に供給する機構が備えられるボールペン、(4)軸筒内に、インキを含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体が収容され、繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として介在させてインキをペン先に供給する機構が備えられるボールペン等を例示できる。
【0125】
また、本発明によるインキ組成物がマーキングペンに用いられる場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、マーキングペンチップと、インキ充填機構とを備えたマーキングペンレフィル又はマーキングペンに充填して用いられる。
【0126】
マーキングペンチップとしては、例えば、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の、従来より汎用の気孔率が概ね30~70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材、又は、軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有する合成樹脂の押出成形体等を例示でき、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
【0127】
インキ充填機構としては、例えば、インキを充填できるインキ吸蔵体を例示できる。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させた繊維集束体であり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲に調整して構成される。
軸筒内に、インキを含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するようにマーキングペンチップを、直接又は接続部材を介して軸筒に連結させることにより、マーキングペンを形成することができる。
また、インキ収容体にインキを含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するようにマーキングペンチップを、直接又は接続部材を介してインキ収容体に連結させることにより、マーキングペンレフィル(以下、「レフィル」と表すことがある)を形成することができる。このレフィルを軸筒に収容することでマーキングペンを形成することができる。
インキ収容体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体や、金属製管状体が用いられる。
【0128】
マーキングペンチップと、インキ充填機構とを備えたマーキングペンは、さらに、インキ充填機構に充填されるインキ組成物をペン先に供給するためのインキ供給機構を備えていてもよい。
インキ供給機構としては特に限定されるものではなく、例えば、(1)繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として備え、これを介在させてインキをペン先に供給する機構、(2)櫛溝状のインキ流量調節体を備え、これを介在させてインキをペン先に供給する機構、(3)多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ充填機構からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を介して、インキをペン先に供給する機構、(4)弁機構によるインキ流量調節体を備え、開弁によりインキをペン先に供給する機構等が挙げられる。
ペン芯の材質としては、多数の円盤体を櫛溝状とした構造に射出成形できる合成樹脂であれば特に制限されるものではない。合成樹脂としては、例えば、汎用のポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等を例示できる。特に、成形性が高く、ペン芯性能を得られ易いことから、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)が好適に用いられる。
弁機構としては、チップの押圧により開放する、従来より汎用のポンピング式形態が使用でき、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
【0129】
マーキングペンがインキ供給機構を備えてなる場合、インキ充填機構としては、上記したインキ吸蔵体のほか、インキを直接充填できるインキ収容体を用いることができる。また、軸筒自体をインキ充填機構として、インキを直接充填してもよい。
また、インキ収容体にインキを含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するようにインキ供給機構が、インキ収容体の前端に備えられると共に、インキ供給機構に接続するようにマーキングペンチップを、直接又は接続部材を介してインキ供給機構に連結させることにより、マーキングペンチップと、インキ充填機構と、インキ供給機構とを備えたマーキングペンレフィルを形成することもできる。或いは、インキ収容体にインキを含浸させたインキ吸蔵体を収容し、インキ吸蔵体に接続するようにインキ供給機構が、インキ収容体の内部に備えられると共に、インキ供給機構に接続するようにマーキングペンチップを、直接又は接続部材を介してインキ収容体に連結させることによっても、マーキングペンレフィルを形成することができる。
【0130】
本発明によるインキ組成物を収容するマーキングペンの構成として具体的には、(1)軸筒内に、インキを含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体が収容され、毛細間隙が形成された、繊維加工体又は樹脂成形体からなるマーキングペンチップが、インキ吸蔵体とチップが接続するように、直接又は接続部材を介して軸筒に連結されたマーキングペン、(2)軸筒内に直接インキが充填され、櫛溝状のインキ流量調節体や繊維束等からなるインキ誘導芯をインキ流量調節体として介在させてインキをペン先に供給する機構が備えられるマーキングペン、(3)軸筒内に直接インキが充填され、上記のペン芯を介してインキをペン先に供給する機構が備えられるマーキングペン、(4)チップの押圧により開弁する弁機構を介してチップとインキ収容体とが備えられ、インキ収容体に直接インキが充填されるマーキングペン、(5)軸筒内に、インキを含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体を収容したインキ収容体を有し、毛細間隙が形成された、繊維加工体又は樹脂成形体からなるマーキングペンチップが、インキ吸蔵体とチップが接続するように、直接又は接続部材を介してインキ収容体に連結されたマーキングペン等を例示できる。
【0131】
また、ボールペン又はマーキングペンが、インキを直接充填するものである場合、着色剤の再分散を容易とするために、インキが充填されるインキ収容体又は軸筒に、インキを攪拌する攪拌ボール等の攪拌体を内蔵させてもよい。攪拌体の形状としては、球状体、棒状体等が挙げられる。攪拌体の材質としては特に限定されるものではなく、例えば、金属、セラミック、樹脂、硝子等を例示できる。
【0132】
さらに、上記したボールペン又はマーキングペンには、着脱可能な構造としてインキカートリッジ形態とすることもできる。この場合、筆記具のインキカートリッジに収容されるインキ組成物を使い切った後に、新たなカートリッジと取り替えることで使用することができる。
インキカートリッジとしては、筆記具本体に接続することで筆記具を構成する軸筒を兼ねたものや、筆記具本体に接続した後に軸筒(後軸)を被覆して保護するものが用いられる。なお、後者においては、インキカートリッジ単体で用いるほか、使用前の筆記具において、筆記具本体とインキカートリッジが接続されているものや、筆記具のユーザーが使用時に軸筒内のインキカートリッジを接続して使用を開始するように非接続状態で軸筒内に収容したもののいずれであっても良い。
【0133】
さらに、上記した構成の筆記具には、筆記先端部(チップ先端部)を覆うように装着されるキャップを設けたり、筆記具本体(軸筒)から筆記先端部が出没可能とする出没機構を設けたりすることが好ましく、筆記先端部が乾燥して筆記できなくなることや、筆記先端部が汚染・破損されることを防ぐことができる。
出没機構を設けた筆記具は、筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができ、例えば、上記したボールペンレフィル又はマーキングペンレフィルを作製し、レフィルを軸筒内に収容して出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造とすることにより、出没機構を設けた筆記具(出没式筆記具)を作製することができる。
また、ボールペン形態の筆記具に出没機構を設ける場合、軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒開口部から出没させる複合タイプの出没式筆記具(出没式ボールペン)とすることもできる。
【0134】
出没機構としては、例えば、(1)軸筒の後部側壁より前後方向に移動可能な操作部(クリップ)を径方向外方に突設させ、操作部を前方にスライド操作することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させるサイドスライド式の出没機構、(2)軸筒後端に設けた操作部を前方に押圧することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させる後端ノック式の出没機構、(3)軸筒側壁外面より突出する操作部を径方向内方に押圧することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させるサイドノック式の出没機構、(4)軸筒後部の操作部を回転操作することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させる回転式の出没機構等を例示できる。
【0135】
さらに、ボールペンやマーキングペンの形態は上記した構成に限らず、相異なる形態のチップを装着させたり、相異なる色調のインキを導出させるペン先を装着させたりするほか、相異なる形態のチップを装着させると共に、各チップから導出されるインキの色調が相異なる複合式筆記具(両頭式やペン先繰り出し式等)であってもよい。
【0136】
本発明の水性インキ組成物を収容した筆記具として好ましくは、ペン先として、毛細間隙が形成された、樹脂加工体又は樹脂成形体からなるマーキングペンチップを備えてなる筆記具である。本発明の水性インキ組成物は、着色剤が緩やかな凝集体を形成することによりマーキングペンチップの毛細間隙で凝集することが抑制され、筆記具のペン先からインキが安定的に吐出されるため、カスレ等の筆記不良を抑制して良好な筆跡を形成できる筆記具(マーキングペン)として、好適に用いられる。
また、本発明の水性インキ組成物を収容した筆記具としてより好ましくは、ペン先として、毛細間隙が形成された、樹脂加工体又は樹脂成形体からなるマーキングペンチップを備えてなり、マーキングペンチップは直接或いは中継部材を介して筆記具の軸筒に装着され、さらに、軸筒内に、インキ充填機構として繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵してなり、インキ吸蔵体とマーキングペンチップが連結されてなるマーキングペンであって、インキ吸蔵体にインキ組成物が含侵されてなるマーキングペンである。上記構成の筆記具は、筆記具のペン先からインキが安定的に吐出されるという前述の効果に加え、繊維集束体からなるインキ吸蔵体が、着色剤の緩やかな凝集体の分散性をより安定的に保持でき、筆跡が濃色化又は淡色化することを抑制して、発色性に優れるよりいっそう良好な筆跡を形成できることから、より好適に用いられる。
【0137】
また、水性インキ組成物を収容する筆記具は、筆記先端部が乾燥して筆記不良を生じ易いため、上記構成の筆記具には、筆記先端部の乾燥を防ぐ目的で、筆記先端部を覆うようにキャップを設けることが好ましい。
【0138】
本発明において、着色剤として可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は可逆熱変色性樹脂粒子を用いた可逆熱変色性水性インキ組成物を筆記具に収容する場合、この筆記具を用いて被筆記面に筆記して得られる筆跡は、指による擦過や、加熱具又は冷熱具により変色させることができる。
加熱具としては、PTC素子等の抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等の媒体を充填した加熱変色具、スチームやレーザー光等を用いた加熱変色具、ヘアドライヤーの適用等が挙げられるが、簡便な方法により変色させることができることから、摩擦部材及び摩擦体が好ましい。
冷熱具としては、ペルチエ素子等を用いた通電冷熱変色具、冷水や氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、蓄冷剤、冷蔵庫や冷凍庫の適用等が挙げられる。
【0139】
摩擦部材及び摩擦体としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好ましいが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛等を用いることもできる。
なお、鉛筆による筆跡を消去するために用いられる一般的な消しゴムを使用して、筆跡を擦過してもよいが、擦過時に消しカスが発生するため、消しカスが殆ど発生しない上記の摩擦部材及び摩擦体が好適に用いられる。
摩擦部材及び摩擦体の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体)等を例示できる。シリコーン樹脂は擦過により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれる傾向にあるため、SEBS樹脂がより好適に用いられる。
【0140】
上記の摩擦部材又は摩擦体は筆記具とは別体の任意形状の部材であってもよいが、筆記具に設けることにより、携帯性に優れるものとすることができる。また、筆記具と、筆記具とは別体の任意形状の摩擦部材又は摩擦体とを組み合わせて、筆記具セットを得ることもできる。
【0141】
筆記具がキャップを備える場合、摩擦部材又は摩擦体を設ける箇所は特に限定されるものではなく、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、さらにクリップを設ける場合には、クリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)或いは軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)等に摩擦部材を設けることができる。
筆記具が出没式筆記具の場合、摩擦部材又は摩擦体を設ける箇所は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、さらにクリップを設ける場合には、クリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)或いはノック部等に摩擦部材を設けることができる。
【実施例0142】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の部は質量部を示す。
【0143】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aの調製
(イ)成分として3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン3部と、(ロ)成分として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン3部、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部とからなる可逆熱変色性組成物を、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー35部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、平均粒子径が1.9μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを得た。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aは完全発色温度tが-20℃、完全消色温度tが60℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
また、完全発色状態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aは、20℃において、水を基準とした場合の比重が、1.08~1.09であった。
【0144】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bの調製
(イ)成分として3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン3部と、(ロ)成分として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン3部、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部と、(ハ)成分として4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル50部とからなる可逆熱変色性組成物を、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー35部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液から遠心分離法により、平均粒子径が1.9μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを得た。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bは完全発色温度tが-20℃、完全消色温度tが62℃であり、温度変化により青色から無色に可逆的に変化した。
また、完全発色状態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bは、20℃において、水を基準とした場合の比重が、1.13~1.14であった。
【0145】
実施例1
水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-03(濃度:20%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン25部と、消泡剤0.01部と、水51.69部とを混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、樹脂粒子〔(株)日本触媒製、製品名:エポスターMA-1002〕20部と、上記のビヒクルとを混合し、水性インキ組成物を調製した。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:8である。
【0146】
中詰式筆記具の作製
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に上記の水性インキ組成物を含侵させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、ホルダーを介して軸筒先端部にポリエステル繊維からなる樹脂加工ペン体(砲弾型)を接続状態に組み立て、キャップを装着して中詰式筆記具(マーキングペン)を三本作製した。
【0147】
実施例2
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-03(濃度:20%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン25部と、消泡剤0.01部と、水48.69部とを混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)23部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:8である。
【0148】
中詰式筆記具の作製(図4参照)
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体2内に上記のインキ組成物を含侵させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4内に収容し、ホルダー5を介して軸筒先端部にポリエステル繊維からなる樹脂加工ペン体3(チゼル型)を接続状態に組み立て、キャップ6を装着して中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
キャップの頂部には、摩擦部材7としてSEBS樹脂を装着してなる。
【0149】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0150】
実施例3
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-03(濃度:20%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン10部と、消泡剤0.1部と、pH調整剤(10%リン酸水溶液)1部と、水54.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕10部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料B(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.155であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.01~1.02倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:8である。
【0151】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体2内に上記のインキ組成物を含侵させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4内に収容し、ホルダー5を介して軸筒先端部に、軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有するポリアセタール樹脂の押出成形体からなる樹脂加工ペン体3(砲弾型)を接続状態に組み立て、キャップ6を装着して中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
キャップの頂部には、摩擦部材7としてSEBS樹脂を装着してなる。
【0152】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0153】
実施例4
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-HCl-03(濃度:40%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン24部と、消泡剤0.1部と、水45.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕6部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.150であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.06~1.07倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:4である。
【0154】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
実施例3と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0155】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0156】
実施例5
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-HCl-3L(濃度:50%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン10部と、消泡剤0.1部と、pH調整剤(10%リン酸水溶液)1部と、水54.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕10部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料B(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.155であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.01~1.02倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:3.2である。
【0157】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
実施例3と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0158】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0159】
実施例6
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-D41-HCl(濃度:40%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン25部と、消泡剤0.01部と、水50.69部とを混合してビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:4である。
【0160】
中詰式筆記具の作製(図6参照)
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体2内に上記の水性インキ組成物を含侵させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4内に収容し、ホルダー5を介して軸筒先端部にポリエステル繊維からなる樹脂加工ペン体3(砲弾型)を接続状態に組み立て、キャップ6を装着して中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
キャップの頂部には、摩擦部材7としてSEBS樹脂を装着してなる。
【0161】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0162】
実施例7
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-D19-HCl(濃度:21%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン24部と、消泡剤0.1部と、水45.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕6部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.150であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.06~1.07倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:7.6である。
【0163】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
実施例3と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0164】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0165】
実施例8
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-D19A(濃度:20%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン24部と、消泡剤0.1部と、水45.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕6部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.150であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.06~1.07倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:8である。
【0166】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
実施例3と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0167】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0168】
実施例9
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAS-21CL(濃度:25%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン24部と、消泡剤0.1部と、水45.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕6部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.150であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.06~1.07倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:6.4である。
【0169】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
実施例3と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0170】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0171】
実施例10
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-AC5050A(濃度:15%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン10部と、消泡剤0.1部と、pH調整剤(10%リン酸水溶液)1部と、水54.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕10部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料B(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.155であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.01~1.02倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:10.7である。
【0172】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
実施例3と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0173】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0174】
実施例11
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAA-N5000(濃度:15%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン10部と、消泡剤0.1部と、pH調整剤(10%リン酸水溶液)1部と、水54.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕10部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料B(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.155であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.01~1.02倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:10.7である。
【0175】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
実施例3と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0176】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0177】
実施例12
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAS-H-10L(濃度:28%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン10部と、消泡剤0.1部と、pH調整剤(10%リン酸水溶液)1部と、水54.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕10部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料B(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.155であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.01~1.02倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:5.7である。
【0178】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
実施例3と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0179】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0180】
比較例1
水性インキ組成物の調製
アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン25部と、消泡剤0.01部と、水54.19部とを混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、樹脂粒子〔(株)日本触媒製、製品名:エポスターMA-1002〕20部と、上記のビヒクルとを混合し、水性インキ組成物を調製した。
【0181】
中詰式筆記具の作製
実施例1と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を三本作製した。
【0182】
比較例2
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン25部と、消泡剤0.01部と、水51.19部とを混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)23部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
【0183】
中詰式筆記具の作製(図4参照)
実施例2と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0184】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0185】
比較例3
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)製、製品名:PAS-H-1L(濃度:28%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン24部と、消泡剤0.1部と、水45.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕6部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.150であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.06~1.07倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:5.7である。
【0186】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
実施例3と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0187】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0188】
比較例4
可逆熱変色性水性インキ組成物の調製
カチオン性高分子〔ニットーボーメディカル(株)、製品名:PAA-1151(濃度:20%)〕と、水とを混合し、10%水溶液を調製した。
上記の10%水溶液2.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン24部と、消泡剤0.1部と、水45.6部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)〔SOMETU社製、製品名:SPT〕6部を加えて混合し、ビヒクルを調製した。
さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-20℃以下に冷却して青色に発色させたもの)21部と、上記のビヒクルとを混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
上記のビヒクルは、水を基準物質とし、20℃において測定した比重が1.150であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の比重に対する、ビヒクルの比重は1.06~1.07倍であった。
なお、カチオン性高分子:アクリル系高分子分散剤の質量比は、1:8である。
【0189】
中詰式筆記具の作製(図5参照)
実施例3と同様の手順で中詰式筆記具1(マーキングペン)を三本作製した。
【0190】
上記のマーキングペンを用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成した。
筆跡は、室温(20℃)環境下では青色を呈しており、キャップに装着した摩擦部材を用いて擦過すると、該筆跡は消色して無色となり、この状態は室温環境下では保持されており、-20℃以下に冷却すると元の青色に復色した。前述の変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0191】
粘度測定
実施例1~12、及び、比較例1~4で調製した各水性インキ組成物について、BL型回転粘度計〔東機産業(株)製、製品名:TVB-M型粘度計 L型ローター〕を用いて、室温(20℃)環境下で、回転速度30rpmの条件で粘度を測定した。
【0192】
表面張力測定
実施例1~12、及び、比較例1~4で調製した各水性インキ組成物について、自動表面張力計〔協和界面科学(株)製、製品名:DY-300〕を用いて、室温(20℃)環境下で、ガラスプレートを用いた垂直平板法により、表面張力を測定した。
【0193】
pH測定
実施例1~12、及び、比較例1~4で調製した各水性インキ組成物について、pHメーター〔東亜ディーケーケー(株)製、製品名:IM-40S〕を用いて、室温(20℃)環境下で、pHを測定した。
【0194】
着色剤の分散性の評価
実施例1~12、及び、比較例1~4で調製した各水性インキ組成物を、スクリュー管瓶に入れ、室温(20℃)環境下で30日間静置し、静置後の着色剤の分散性を、下記基準で評価した。
A:着色剤は分離せず、容易に再分散させることができた。
B:着色剤は分離してハードケーキ層を形成し、再分散させることができなかった。
【0195】
初期筆記性能の評価
実施例1及び比較例1で作製した各三本の筆記具について、室温(20℃)環境下で、A4サイズの黒紙〔(株)長門屋商店製、製品名:カラーペーパーA4中厚口(厚み:0.09mm、密度:80g/m)〕(縦向き)の短手方向と平行方向に、長径15mm、短径8mm程度の楕円形状の丸を1行あたり15個、丸が互いに接するように螺旋状に手書きで連続筆記し、これを10行分連続筆記した。
実施例2~12、及び、比較例2~4で作製した各三本の筆記具について、砲弾型の樹脂加工ペン体を備えるマーキングペンは、室温(20℃)環境下で、A4サイズの白紙(縦向き)の短手方向と平行方向に、長径15mm、短径8mm程度の楕円形状の丸を1行あたり15個、丸が互いに接するように螺旋状に手書きで連続筆記し、これを10行分連続筆記した。また、チゼル型の樹脂加工ペン体を備えるマーキングペンは、室温(20℃)環境下で、A4サイズの白紙(縦向き)の短手方向と平行方向に、ペン体の幅広面を紙面に密着させて15cm直線筆記し、これを10行分行った。なお、白紙には旧JIS P3201に準拠した筆記用紙Aを用いた。
次いで、得られた筆跡を目視にて確認し、下記基準で初期筆記性能を評価した。
A:筆跡にカスレがなく、発色良好な筆跡が得られた。
B:筆跡にカスレがやや確認される又は筆跡濃度がやや低いが、実用上問題のないレベルであった。
C:筆跡にカスレが多数確認される若しくは筆跡濃度が低い、又は筆記不能であり、発色良好な筆跡が得られなかった。
【0196】
振動試験
前述の筆記試験にて使用した各三本の筆記具のうち一本にキャップを嵌めて、振盪機〔(株)タイテック製、製品名:レシプロシェイカー〕に筆記先端部が上向き(正立状態)でセットして、40℃の環境下で、284rpmで12時間縦方向に振動を加えた。
【0197】
経時保存
前述の筆記試験にて使用した各三本の筆記具のうち、残りの二本にキャップを嵌めて、室温(20℃)環境下で、筆記先端部が上向き(正立状態)で7日間及び15日間静置した。
【0198】
振動試験後の筆記性能の評価
振動試験後の各筆記具について、前述の、初期筆記性能の評価と同様の試験方法で、筆記試験行った。
次いで、得られた筆跡を目視にて確認し、下記基準で振動試験後の筆記性能を評価した。
A:初期と同等レベルであり、発色良好な筆跡が得られた。
B:初期と比較して、筆跡にカスレがやや確認される又は筆跡濃度がやや低いが、実用上問題のないレベルであった。
C:初期と比較して、筆跡にカスレが多数確認される若しくは筆跡濃度が低い、又は、筆記不能であり、発色良好な筆跡が得られなかった。
【0199】
経時保存後の筆記性能の評価
室温で7日間、及び15日間経時保存した各筆記具について、前述の、初期筆記性能の評価と同様の試験方法で、筆記試験を行った。
次いで、得られた筆跡を目視にて確認し、下記基準で経時保存後の筆記性能を評価した。
A:初期と同等レベルであり、発色良好な筆跡が得られた。
B:初期と比較して、筆跡にカスレがやや確認される又は筆跡濃度がやや低いが、実用上問題のないレベルであった。
C:初期と比較して、筆跡にカスレが多数確認される若しくは筆跡濃度が低い、又は、筆記不能であり、発色良好な筆跡が得られなかった。
【0200】
以下の表1及び表2に、実施例1~12、及び、比較例1~4で調製した各水性インキ組成物の粘度、表面張力、pHの値を示す。
また、表3及び表4に、実施例1~12、及び、比較例1~4で調製した各水性インキ組成物における着色剤の分散性の評価、並びに、作製した各筆記具の初期筆記性能の評価、振動試験後の筆記性能の評価、7日間及び15日間経時保存後の筆記性能の評価の結果を示す。
【0201】
【表1】
【0202】
【表2】
【0203】
【表3】
【0204】
【表4】
【符号の説明】
【0205】
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
完全消色温度
消色開始温度
発色開始温度
完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 筆記具
2 インキ吸蔵体
3 樹脂加工ペン体(チップ)
4 軸筒
5 ホルダー
6 キャップ
7 摩擦部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7