(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082777
(43)【公開日】2022-06-02
(54)【発明の名称】PEG化薬物リンカー及びその中間体を調製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
A61K 47/60 20170101AFI20220526BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20220526BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220526BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220526BHJP
C07H 15/203 20060101ALI20220526BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220526BHJP
C07K 14/435 20060101ALI20220526BHJP
C07K 1/113 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
A61K47/60
A61K38/05
A61P35/00
A61P35/02
C07H15/203
A61K47/68
C07K14/435
C07K1/113
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022064462
(22)【出願日】2022-04-08
(62)【分割の表示】P 2018548056の分割
【原出願日】2017-03-24
(31)【優先権主張番号】62/313,460
(32)【優先日】2016-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505314468
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ユンユ マオ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ モクイスト
(72)【発明者】
【氏名】アヌスヤ チョウドリー
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデル ダブルデイ
(57)【要約】
【課題】PEG化薬物リンカー及びその中間体を調製するためのプロセスを提供すること。
【解決手段】本発明は、PEG単位を有するアウリスタチン薬物リンカー及びその中間体を調製するための改善されたプロセスを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年3月25日に出願された係属中の米国特許出願第62/313,460号の優先権を主張し、参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府資金による研究開発の下でなされた発明への権利に関する記載
該当なし
【0003】
コンパクトディスクで提出された「配列表」、表、またはコンピュータプログラム一覧の付属物に対する参照
該当なし
【背景技術】
【0004】
発明の背景
細胞毒性物質をがん細胞に標的送達するためのモノクローナル抗体(mAb)の使用に対し、多大な関心が寄せられている。通常はリンカーを介して細胞毒性物質を抗体に結合させることによる、抗体薬物結合体の設計には様々な因子の検討を伴う。このような因子としては、細胞毒性物質を結合するための化学基の個性及び位置、物質放出のメカニズム、(あれば)細胞毒性物質放出をもたらす構造的要素(複数可)、及び(あれば)放出された遊離物質の構造的修飾が挙げられる。加えて、抗体の内部移行後に細胞毒性物質を放出するべきである場合、構造的要素及び物質放出のメカニズムは、当該結合体の細胞内輸送に調和していなければならない。
【0005】
抗体を介した送達について多くの異なる薬物クラスが評価されてきたが、臨床開発を保証する上で、抗体薬物結合体として十分に活性を有し、同時に好適な毒性プロファイルを有することが判明したのは、少数の薬物クラスに過ぎない。このようなクラスの1つがアウリスタチンであり、これは天然物のドラスタチン10に関連する。代表的なアウリスタチンとしては、MMAE(N-メチルバリン-バリン-ドライソロイン-ドラプロイン-ノルエフェドリン)及びMMAF(N-メチルバリン-バリン-ドライソロイン-ドラプロイン-フェニルアラニン)が挙げられる。
【0006】
MMAEは、遊離薬物として活性を有する細胞毒性物質の例の1つであり、モノクローナル抗体(mAb)に結合すると非常に強力であり、細胞への内部移行後に放出される。MMAEは、マレイミドカプロイルーバリン-シトルリン(mc-vc-)及び自壊的p-アミノベンジル-カルバモイル(PABC)基を含有するカテプシンB切断可能ペプチドベースリンカーを介して、MMAEのN末端側アミノ酸で首尾よくmAbに結合して、以下の構造、mAb-(mc-vc-PABC-MMAE)p(式中、pは、抗体当たりの(mc-vc-PABC-MMAE)単位の数を指す)の抗体薬物結合体を生成した。vcペプチドと自壊的PABC基との間の結合が切断される際に、PABC基は自らをMMAEから放出し、遊離MMAEを解放する。
【0007】
もう1つのアウリスタチンであるMMAFは、遊離薬物としては(MMAEに比べると)比較的活性が低いが、それでも抗体に結合し細胞に内部移行すると非常に強力である。MMAFは、マレイミドカプロイルーバリン-シトルリン(mc-vc-)及び自壊的p-アミノベンジル-カルバモイル(PABC)基を含有するカテプシンB切断可能ペプチドベースリンカーを介して、MMAFのN末端側アミノ酸で首尾よくモノクローナル抗体(mAb)に結合して、構造mAb-(mc-vc-PABC-MMAF)p(式中、p
は、抗体当たりの(mc-vc-PABC-MMAF)単位の数を指す)の抗体薬物結合体を生成した。ペプチドリンカーの切断の際に、自壊的PABC基は自らをMMAFから放出し、遊離MMAFを解放する。
【0008】
またMMAFは、薬物リンカーのマレイミドカプロイルMMAF(mcMMAF)を含有する切断不可能結合体として活性を有することも見いだされた。このmAb-(mcMMAF)p結合体が細胞に内部移行したときに、放出される活性種は、cys-mcMMAFである。このリンカーは切断不可能であるため、マレイミドカプロイル及び抗体のシステイン残基はMMAFのN末端に結合したままである。またMMAFは、C末端の結合体として活性を有することも報告されており、自らのC末端側アミノ酸であるフェニルアラニンにおいてペプチド-マレイミドカプロイルリンカーに結合する。この(MMAF-ペプチド-mc)p-mAb結合体が細胞に内部移行すると、活性種であるMMAFは、MMAF(フェニルアラニン)-ペプチド結合の切断後に放出される。
WO2015/057699には、PEG単位を有するmDPR-(マレイミド-ジアミノプロパン酸)グルクロニド-MMAE薬物リンカー化合物(この化合物は、例示的なPEG化アウリスタチン薬物リンカー化合物)の調製、ならびにこの化合物から調製されたADCは薬物動態が改善されることについて説明されている。従来の方法でこのような化合物を生成すると、グルクロニド単位の脱保護中に材料の損失が生じる可能性があり、この損失に由来する不純物は、さらなる収率減少を伴わずに除去することが困難であり得る。したがって、純度及び収率が改善されるように、混入不純物の量を低減して当該薬物リンカー化合物を調製するための改善された方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はとりわけ、グルクロニド単位を含有するPEG化薬物リンカー化合物及びその中間体を生成するための、改善されたプロセスを提供する。本発明の主要な実施形態には、式IE:
【化1】
またはその塩の薬物リンカー中間体を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
2の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基をもたらし、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
当該方法が、以下ステップ:
(c)式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムに接触させることであって、式ICの薬物リンカー中間体化合物が、
【化2】
の構造を有する、接触させることと、
(d)ステップ(c)の生成物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、当該第1の脱保護剤の接触が、Z
1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去して式IEの薬物リンカー中間体化合物を提供する、接触させることと、
を含む、方法が含まれる。
【0011】
他の主要な実施形態には、
【化3】
及び
【化4】
の構造を有する、式12及び式12Aの抗体薬物結合体(任意選択により医薬的に許容される塩形態である)(式中、Abは抗体であり、Sは抗体からの硫黄原子であり、Ab-S-部分は、カルボン酸官能基に対しαまたはβの炭素原子に結合しており、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲であり、下付き文字pは約1~約16の範囲である)から構成される、抗体薬物結合体組成物が含まれ、
当該組成物は、10重量%以下または5重量%以下の式12Aの抗体薬物結合体を含有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の説明
概要
【0013】
本発明は部分的には、ある特定のPEG化アウリスタチン薬物リンカー化合物の合成でグルクロニド単位を脱保護する方法が、所望の生成物の純度及び収率に著明な効果を有し得るという、驚くべき発見に基づいている。具体的には、発明者らは、グルクロニド単位の炭水化物部分におけるアシル保護基を除去するために、LiOHなどの従来から使用されている試薬ではなく、ハロゲン化アルコキシマグネシウムをアルコールを含む溶媒中で使用することで、望ましくないβ脱離不純物が顕著に(約20%から約5%未満に)低減されることを発見した。一部の態様では、ハロゲン化アルコキシマグネシウム試薬は、グリニャール(Gringard)試薬をアルコール含有溶媒に接触させることによって、in situで調製される。このようにして、本発明は、ある特定のPEG化アウリスタチン薬物リンカーを調製するための改善されたプロセスを提供する。
【0014】
定義
【0015】
本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、本明細書で使用する用語は、以下に定義の意味を有する。例えば相互排他的な要素またはオプションを含めることによる、別段の反対指示または暗示がない限り、このような定義にお
いて、そして本明細書全体において、「a」及び「an」という用語は1つまたはそれより多くを意味し、「または」という用語は、文脈により可能な場合、及び/またを意味する。それゆえ、本明細書及び付属の請求項で使用する単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈による別段の明確な定めがない限り、複数の指示対象を含む。
【0016】
本開示の様々な箇所で、例えば、任意の開示された実施形態または請求項において、1つまたはそれより多くの指定された成分、要素、またはステップを「含む」化合物、組成物、または方法について言及されている。また、発明実施形態は、このような指定された成分、要素、またはステップである、あるいはそれらからなる、あるいは本質的にそれらからなる、化合物、組成物、または方法も含む。「~から構成される(comprised of)」という用語は、「含む(comprising)」という用語と互換的に使用され、これらは等価的用語として記述される。例えば、ある成分またはステップを「含む」開示された組成物、デバイス、製造品、または方法はオープンであり、これらは、当該組成物または方法に追加的な成分(複数可)またはステップ(複数可)が加わったものを含む、またはそのように読み取れる。ただし、これらの用語は、意図した目的に関して、開示された組成物、デバイス、製造品、または方法の機能を破壊すると考えられる非列挙要素を包含しない。同様に、ある成分またはステップ「からなる」開示された組成物、デバイス、製造品、または方法はクローズドであり、これらは、認識可能な量の追加的な成分(複数可)または追加的なステップ(複数可)を有する当該組成物または方法を含まず、そのように読み取られることもない。さらに、「~から本質的になる」という用語は、本明細書でさらに定義する意図した目的に関して、開示された組成物、デバイス、製造品、または方法の機能に重大な影響を及ぼさない非列挙要素を含むことを許可する。本明細書で使用している節の見出しは、編成上の目的にとどまるものであり、記載されている主題を制限するものと解釈すべきではない。別段の指示がない限り、質量分析法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技法、及び薬理学の従来方法が用いられる。
【0017】
化合物または組成物の特定の性質を説明するために示される数値または値の範囲と結び付けて使用される場合「約」は、本明細書において使用される場合、当該値または値の範囲が、依然として特定の性質を説明しつつ、当業者に妥当とみなされる程度に逸脱し得ることを示す。妥当な逸脱には、特定の性質を測定する、決定する、または導き出すのに使用する装置(複数可)の正確さまたは精度内にある逸脱が含まれる。具体的には、「約」という用語は、この文脈で使用される場合、数値または値の範囲が、依然として特定の性質を説明しつつ、挙げられた値または値の範囲の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.7%、0.8%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、または0.01%、典型的には10%~0.5%、より典型的には5%~1%変動し得ることを示す。
【0018】
「本質的に保持する」、「本質的に保持(すること)」などの用語は、本明細書において使用される場合、検出可能な程度に変化していない、あるいは関連する構造の化合物もしくは組成物または部分の同じ活性、特徴、または性質の決定の実験誤差内にある化合物もしくは組成物、またはその部分の性質、特徴、機能、または活性ものを指す。
【0019】
「実質的に保持する」、「実質的に保持(すること)」などの用語は、本明細書において使用される場合、関連する構造の別の化合物もしくは組成物または部分の同じ物理的性質の決定とは統計的に異なり得るものの、このような差が、当該活性または性質の評価に好適な生物学的試験システムにおいて、生物学的活性または薬理学的性質の統計的に有意な差または意味のある差には至らない(すなわち、生物学的活性または性質が本質的に保持されている)化合物もしくは組成物、またはその部分の物理的性質または特徴の測定値を指す。したがって、「実質的に保持する」という語句は、化合物または組成物の物理的
性質または特徴が、当該物理的性質または特徴に明白に関連する物理化学的もしくは薬理学的性質または生物学的活性に及ぼす影響に関してなされるものである。
【0020】
「無視可能な程度に」または「無視可能な」とは、本明細書において使用される場合、HPLC分析による定量レベルを下回る不純物の量のことであり、存在する場合、不純物が混入した組成物の約0.5%~約0.1w/w%に相当する。文脈に応じて、これらの用語は、測定値または結果の間で統計的に有意な差が観察されないことや、こういった値を得るのに使用した器具類の実験誤差内であることを代替的に意味し得る。実験で測定されたパラメーターの値の無視可能な差は、当該パラメーターによって特徴づけられる不純物が無視可能な量で存在することを意味するものではない。
【0021】
「優勢的に含有する」、「優勢的に有する」および同様の用語は、本明細書において使用される場合、混合物における主要な成分を指す。混合物が2種の成分の混合物である場合、主要な成分は混合物の50重量%超に相当する。3種またはそれより多種の成分の混合物の場合、優勢的な成分は、混合物中で、最も多い量で存在する成分であり、混合物の質量の大部分に相当する場合も相当しない場合もある。
【0022】
「電子吸引基」は、この用語が本明細書において使用される場合、誘導的に及び/または共鳴を通じて(より支配的なのがどちらであっても(すなわち、官能基または原子は、共鳴を通じて電子供与性であってもよいが、全体としては誘導的に電子求引性であってもよい))結合している原子から離すように電子密度を引き寄せて、アニオンまたは電子豊富な部分を安定化する傾向がある、官能基または電気陰性原子を指す。電子吸引作用は、典型的には、電子吸引基(EWG)によって電子不足になった結合原子に結合している他の原子に対しても、弱まった形態ではあるが誘導的に伝達され、このようにして、さらに離れた反応中心の求電子性にも影響を及ぼす。
【0023】
電子吸引基(EWG)は、典型的には、-C(=O)、-CN、-NO2、-CX3、-X、-C(=O)OR’、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R’)Rop、-C(=O)R’、-C(=O)X、-S(=O)2Rop、-S(=O)2OR’、-SO3H2、-S(=O)2NH2、-S(=O)2N(R’)Rop、-PO3H2、-P(=O)(OR’)(ORop)2、-NO、-NH2、-N(R’)(Rop)、-N(Rop)3
+、及びその塩からなる群から選択され、式中、Xは-F、-Br、-Cl、または-Iであり、Ropは、各出現において独立して、先に任意選択の置換基について記載された分類から選択され、一部の態様ではC1-C6アルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され、R’は水素であり、Ropは、他の箇所で任意選択の置換基について記載されたとおりの分類から選択され、一部の態様ではC1-C12アルキル、C1-C8アルキル、C1-C6アルキル、またはC1-C4アルキルである。また、EWGは、その置換に応じてアリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリール、およびある特定の電子不足のヘテロアリール基(例えば、ピリジン)であってもよい。したがって一部の態様では、「電子吸引基」はさらに、電子求引性置換基でさらに置換された電子不足のC5-C24ヘテロアリール及びC6-C24アリールも含む。より典型的には、電子吸引基は、-C(=O)、-CN、-NO2、-CX3、及び-Xからなる群から選択され、式中、Xはハロゲンであり、典型的には-F及び-Clからなる群から独立して選択される。任意選択により置換されたアルキル部分も、その置換基に応じて電子吸引基となることがあり、よって、このような場合には諸態様が電子吸引基を示す用語に含まれることになる。
【0024】
「電子供与基」は、この用語が本明細書において使用される場合、誘導的に及び/または共鳴を通じて(より支配的なのがどちらであっても(すなわち、官能基または原子は、誘導的に電子吸引性であってもよいが、全体としては共鳴を通じて電子供与性であっても
よい))結合している原子の電子密度を増加させて、カチオンまたは電子欠乏系を安定化する傾向がある、官能基または電気陽性原子を指す。電子供与作用は、典型的には、電子供与基(EDG)によって電子豊富になった結合原子に結合している他の原子に対しても共鳴を通じて伝達され、このようにしてさらに離れた反応中心の求核性にも影響を及ぼす。典型的には、電子供与基は、-OH、-OR’、-NH2、-NHR’、及びN(R’)2からなる群から選択され、式中、各R’は独立して、C1-C12アルキル、典型的にはC1-C6アルキルから選択される。C6-C24アリール、C5-C24ヘテロアリール、または不飽和C1-C12アルキル部分も、その置換基に応じて電子供与基となることがあり、一部の態様では、このような部分は電子吸引基を示す用語に含まれる。
【0025】
「部分」は、本明細書において使用される場合、分子または化合物の特定のセグメント、断片、または官能基を意味する。化学的部分は、分子、化合物、または化学式に埋め込まれたまたは付属した化学的実体(すなわち、置換基または可変基)として示されることがある。
【0026】
別段の指示がない限り、所与の範囲の炭素原子によって本明細書に記載される任意の置換基または部分に関して、この指定された範囲は、炭素原子の任意の個々の数が記載されていることを意味する。したがって、例えば「任意選択により置換されたC1-C4アルキル」または「任意選択により置換されたC2-C6アルケニル」に対する言及は、それぞれ、本明細書で定義されているとおりの、任意選択により置換された1、2、3、または4個の炭素のアルキル部分が存在すること、あるいは本明細書で定義されているとおりの、任意選択により置換された2、3、4、5、または6個の炭素のアルケニル部分が存在することを特に意味する。全てのこのような数字表示は、個々の炭素原子基の全てを開示することを明確に意図するものであり、したがって、「任意選択により置換されたC1-C4アルキル」には、メチル、エチル、3炭素アルキル、及び4炭素アルキルが含まれ、置換されているか非置換であるかにかかわらず、これらの位置異性体の全てが含まれる。したがって、あるアルキル部分が置換されている場合、数字表示は、非置換のベース部分を指しており、そのベース部分の置換基に存在し得る炭素原子を含むことは意図されていない。所与の範囲の炭素原子により識別される、本明細書で定義されるとおりのエステル、カーボネート、カルバメート、及びウレアについては、表示範囲はそれぞれの官能基のカルボニル炭素を含む。したがって、C1エステルはギ酸エステルを指し、C2エステルは酢酸エステルを指す。
【0027】
本明細書に記載される有機置換基、有機部分、及び有機基において、また本明細書に記載される他の任意の他の部分について、通常は、不安定な部分は除外されるが、このような不安定な部分が、本明細書に記載される用途の1つまたはそれより多くで、十分な化学的安定性を有する化合物を作製するために使用され得る過渡的な種であるような場合は例外である。本明細書で提供する定義の運用により、結果的に五価の炭素を有する置換基、部分、または基は、特定的に除外される。
【0028】
「アルキル」は、それだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、メチルまたは連続した炭素原子の集合を指し、そのうちの1つは一価であり、炭素原子の1つまたはそれより多くが飽和しており(すなわち、1つまたはそれより多くのsp3炭素から構成されており)、ノルマル、第二級、第三級、または環状の配置で、すなわち直鎖状、分枝状、環状の配置またはその何らかの組合せで一つに共有結合している。連続した飽和炭素原子が環状配置である場合、このようなアルキル部分は、一部の態様では、本明細書で定義されているカルボシクリルと呼ばれる。
【0029】
アルキル部分またはアルキル基をアルキル置換基と呼ぶ場合、それが関連するマルクー
シュ構造または別の有機部分に対するこのアルキル置換基は、メチルであるか、または、当該アルキル置換基のsp3炭素を介して当該構造もしくは部分に共有結合している連続した炭素原子の鎖である。そのため、本明細書において使用される場合、アルキル置換基は、少なくとも1つの飽和部分を含有し、また1つまたはそれより多くの不飽和部分または不飽和基を含有し得る。したがって、アルキル置換基は、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの独立して選択された二重結合及び/または三重結合をさらに含有して不飽和アルキル置換基を定めることもあれば、本明細書に記載のとおりの任意選択の置換基を含む他の部分によって置換されていることもある(すなわち、「任意選択により置換されている」)。飽和の非置換アルキル置換基は、飽和炭素原子(すなわち、sp3炭素)を含有し、かつsp2炭素原子もsp炭素原子も含有しない。不飽和アルキル置換基は、それが関連するマルクーシュ構造または他の有機部分への結合部位に対して一価である少なくとも1個の飽和炭素原子を含有し、また互いに共役している少なくとも2個のsp2またはsp炭素原子を含有する。
【0030】
別段の指示または文脈による暗示がない限り、「アルキル」という用語は、飽和の非環式炭化水素ラジカルを指し、当該炭化水素ラジカルはメチルであるか、示された数の、共有結合している飽和炭素原子を有し、例えば、「C1-C6アルキル」または「C1-C6アルキル」は、1個の飽和炭素原子を含有する(すなわち、メチルである)、または2、3、4、5、もしくは6個の連続した非環式の飽和炭素原子を含有する飽和アルキル部分または飽和アルキル基を意味し、「C1-C8アルキル」は、1個の飽和炭素原子を有する、または2、3、4、5、6、7、または8個の連続した飽和の非環式炭素原子を有する飽和アルキル部分または飽和アルキル基を指す。アルキル部分またはアルキル基における飽和炭素原子の数は様々であり得、典型的には1~50個、1~30個、または1~20個、または1~12個、より典型的には1~8個、1~6個、または1~4個である。一部の態様では、アルキルは、飽和C1-C12またはC1-C8アルキル部分を指し、より典型的には飽和C1-C6またはC1-C4アルキル部分であり、後者は低級アルキルと呼ばれることがある。炭素原子の数が示されていない場合、アルキル部分、基、または置換基は、1~8個の飽和炭素原子を有する。一部の態様では、アルキル部分、基、または置換基は非置換である。アルキル置換基が不飽和である場合、典型的にはこのような部分は不飽和C3-C12アルキルまたはC3-C8部分であり、より典型的には不飽和C1-C6アルキル部分である。
【0031】
一部の態様では、アルキル置換基、部分、または基が指定されている場合、種は、親アルカンからの水素原子除去により誘導されるもの(すなわち、一価である)であり、例示としては、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、2-プロピル(イソ-プロピル、-CH(CH3)2)、1-ブチル(n-ブチル)、2-メチル-1-プロピル(イソ-ブチル、-CH2CH(CH3)2)、2-ブチル(sec-ブチル、-CH(CH3)CH2CH3)、2-メチル-2-プロピル(t-ブチル、-C(CH3)3)、アミル、イソアミル、及びsec-アミルが挙げられ、他の態様では、アルキル置換基、部分、または基は、他の直鎖または分枝状鎖のアルキル部分である、あるいはこれらが追加的な例示として挙げられる。
【0032】
「アルキレン」は、それだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、飽和の、分枝状または直鎖の、置換または非置換の炭化水素ジラジカルを指し、このとき、記載された数の炭素原子のうち1つまたはそれより多くの炭素原子(典型的には1~10個の炭素原子)が飽和しており(すなわち、1つまたはそれより多くのsp3炭素から構成され)、該炭化水素ジラジカルは、親アルカンの同じまたは2つの異なる飽和(すなわち、sp3)炭素原子からの2つの水素原子の除去によって誘導される2つのラジカル中心を有する(すなわち、二価である)。一部の態様におけるアルキレン部分は、ジラジカルを形成するように、本明細書
に記載のとおりのアルキルラジカルの飽和炭素の別の炭素からまたはアルキルラジカルのラジカル炭素から1個の水素原子が除去された、本明細書に記載のとおりのアルキルラジカルである。他の態様では、アルキレン部分は、親アルキル部分の飽和炭素原子からの水素原子除去により誘導される二価部分のことであり、またはこの二価部分にさらに含まれ、例示としては、以下に限定するものではないが、メチレン(-CH2-)、1,2-エチレン(-CH2CH2-)、1,3-プロピレン(-CH2CH2CH2-)、1,4-ブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)、及び似たようなジラジカルが挙げられる。典型的には、アルキレンは、sp3炭素のみを含有する(すなわち、ラジカル炭素原子であるにもかかわらず完全に飽和している)分枝状または直鎖の炭化水素であり、一部の態様では非置換である。
【0033】
「カルボシクリル」は、それだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、単環式、二環式、または三環式の環系のラジカルを指し、環系を形成する原子(すなわち、骨格原子)の各々が炭素原子であり、環式環系の各環においてこれらの炭素原子の1つまたはそれより多くが飽和している(すなわち、1個またはそれより多くのsp3炭素から構成されている)。したがって、カルボシクリルは、飽和炭素を環状に配置したものであるが、不飽和炭素原子(複数可)も含むことができ、そのため、その炭素環式環は飽和であっても部分的に不飽和であってもよく、芳香族環系と縮合していてもよく、このとき、炭素環式及び芳香族環系の縮合点は、これらの環系の各々の隣接炭素に対しての縮合点である。
【0034】
カルボシクリルがマルクーシュ基(すなわち、置換基)として使用される場合、カルボシクリルは、カルボシクリル部分の炭素環式環系に関与する炭素原子を通じて、それが関連するマルクーシュ式または別の有機部分に結合しているが、ただしこの炭素原子が芳香族でないことを条件とする。カルボシクリル置換基を含むアルケン部分の不飽和炭素が、それが関連するマルクーシュ式に結合している場合、このカルボシクリルはシクロアルケニル置換基と呼ばれることがある。カルボシクリル部分、基、または置換基における炭素原子数は、その炭素環式環系の骨格原子の総数によって定義される。その数は様々であり得、典型的には3~50個、3~30個、3~20個、または3~12個の範囲であり、より典型的には、別段の指定がない限り、3~8個または3~6個の範囲の骨格炭素原子である。例えば、C3-C8カルボシクリルは、3、4、5、6、7、または8個の炭素環式炭素原子を含有するカルボシクリル置換基、部分、または基を意味し、C3-C6カルボシクリルは、3、4、5、または6個の炭素環式炭素原子を含有するカルボシクリル置換基、部分、または基を意味する。一部の態様におけるカルボシクリルは非置換であり、他の態様におけるカルボシクリルは、親シクロアルカンまたは親シクロアルケンの骨格環原子からの水素原子除去によって誘導される。代表的なC3-C8カルボシクリルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、及びシクロオクタジエニルである。
【0035】
そのため、カルボシクリル置換基、部分、または基は、典型的にはその炭素環式環系内に3、4、5、6、7、8個の炭素原子を有し、そして、環外もしくは環内の二重結合、もしくは環内の三重結合、または両方の組合せを含有してよく、環内の二重もしくは三重結合、または両方の組合せは、4n+2個の電子の環式共役系を形成しない。二環式環系は、1個(すなわち、スピロ環系である)または2個の炭素原子を共有することができ、三環式環系は、合計2、3、または4個の炭素原子(典型的には2個または3個)を共有することができる。したがって、別段の指定がなければ、カルボシクリルは、典型的にはC3-C8カルボシクリルであり、これはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリールについて本明細書に記載された部分で置換さ
れていてもよく(すなわち、任意選択により置換されている)、一部の態様では非置換である。他の態様では、C3-C8シクロアルキル部分、基、または置換基は、シクロプロピル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択されるか、あるいは、その環系内に8個以下の炭素原子を有する他の環式部分に含まれる、またはさらに含まれる。炭素原子の数が示されていない場合、カルボシクリル部分、基、または置換基は、その炭素環式環系内に3~8個の炭素原子を有する。
【0036】
「カルボシクロ」は、それだけでまたは別の用語の一部として、別段の明記または文脈による暗示がない限り、そのシクロアルキル環系のもう1つの水素原子が除去された(すなわち、二価である)、上記で定義されているとおりの任意選択により置換されたカルボシクリルを指し、典型的にはC3-C20またはC3-C12カルボシクロであり、より典型的にはC3-C8またはC3-C6カルボシクロであり、一部の態様では非置換である。炭素原子の数が示されていない場合、カルボシクロ部分、基、または置換基は、その炭素環式環系内に3~8個の炭素原子を有する。
【0037】
「アルケニル」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、1つまたはそれより多くの二重結合官能基(例えば、-CH=CH-部分)、あるいは1、2、3、4、5、もしくは6つ、またはそれより多く、典型的には1、2、または3つのこのような官能基、より典型的には1つのこのような官能基を含む有機部分、置換基、または基を指し、一部の態様では、フェニルなどのアリール部分または基、あるいは結合したノルマル、第二級、第三級、または環式の炭素原子、すなわち直鎖、分枝状、環式、またはその任意の組合せで置換されていてもよい(すなわち、任意選択により置換されている)が、アルケニル置換基、部分、または基がビニル部分(例えば、-CH=CH2部分)である場合を除く。複数の二重結合を有するアルケニル部分、基、または置換基は、連続的に配置された二重結合(すなわち、1,3-ブタジエニル部分)、または1つもしくはそれより多くの介在飽和炭素原子により非連続的に配置された二重結合、あるいはそれらの組合せを有してもよいが、ただし、二重結合の環式の連続的な配置は、4n+2個の電子の環式共役系を形成しない(すなわち、芳香族でない)ことを条件とする。
【0038】
アルケニル部分、基、または置換基は、少なくとも1個のsp2炭素原子(この炭素原子は、それが関連する別の有機部分またはマルクーシュ構造に二重結合している(doubly))を含有するか、または互いに共役している少なくとも2個のsp2炭素原子(この2個のsp2炭素原子の一方は、それが関連する別の有機部分またはマルクーシュ構造に単結合している)を含有する。典型的には、アルケニルがマルクーシュ基として使用される(すなわち、置換基である)場合、アルケニルは、そのアルケン官能基の1つの二重結合されている炭素(すなわち、sp2炭素)を通じて、それが関連するマルクーシュ式または別の有機部分に単結合している。一部の態様では、アルケニル部分、基、または置換基が指定されている場合、含まれる種は、任意選択により置換されたアルキルまたはカルボシクリル、1つまたはそれより多くの内部二重結合を有する本明細書に記載の基、部分、または置換基、及び親アルケン化合物のsp2炭素からの水素原子除去により誘導される一価部分のいずれかである。このような一価の部分の例示としては、以下に限定するものではないが、ビニル(-CH=CH2)、アリル、1-メチルビニル、ブテニル、イソ-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、シクロペンテニル、1-メチル-シクロペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、及びシクロヘキセニルが挙げられる。一部の態様では、アルケニルという用語は、このような及び/または他の、少なくとも1つの二重結合官能基を含有する直鎖状、環式、及び分枝状の鎖の全ての炭素含有部分を含む。アルケニル置換基における炭素原子数は、それをアルケニル置換基と定めるアルケン官能基のsp2炭素原子数と、これらのsp2炭素の各々に付いている連続した非芳香族炭素原子の総数(これは、アルケニル部分が可変基である他の部分またはマルクー
シュ構造の任意の炭素原子を含まない)によって定義される。二重結合官能基がマルクーシュ構造に二重結合している場合(例えば、=CH2)、この数は1~50個、例えば、典型的には1~30個、1~20個、または1~12個、より典型的には、1~8個、1~6個、または1~4個の炭素原子の範囲で変わる可能性があり、あるいは、二重結合官能基がマルクーシュ構造に単結合している場合(例えば、-CH=CH2)には、2~50個、典型的には2~30個、2~20個、または2~12個、より典型的には、2~8個、2~6個、または2~4個の炭素原子の範囲で変わる可能性がある。例えば、C2-C8アルケニルまたはC2-C8アルケニルは、2、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を含有するアルケニル部分を意味し、ここで、少なくとも2個が互いに共役しているsp2炭素原子であり、これらの炭素原子のうち1個が一価であり、C2-C6アルケニルまたはC2-C6アルケニルは、2、3、4、5、または6個の炭素原子を含有するアルケニル部分を意味し、ここで、少なくとも2個が互いに共役しているsp2炭素原子であり、これらの炭素原子のうち1個が一価である。一部の態様では、アルケニル置換基または基は、互いに共役している2個のsp2炭素(これらの炭素原子の一方が一価である)を有するC2-C6またはC2-C4アルケニル部分であり、他の態様では、当該アルケニル部分は非置換である。炭素原子の数が示されていない場合、アルケニル部分、基、または置換基は、2~8個の炭素原子を有する。
【0039】
「アルケニレン」は、それだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、記載された数の炭素原子の、先にアルケニルについて記載したように、1つまたはそれより多くの二重結合部分を含み、親アルケンにおけるアルケン官能基の同じまたは2つの異なるsp2炭素原子からの2個の水素原子除去によって誘導される2つのラジカル中心を有する、有機部分、置換基、または基を指す。一部の態様では、アルケニレン部分は、ジラジカルを提供するように、アルケニルラジカルの二重結合官能基の同じもしくは異なるsp2炭素原子から、または異なる二重結合された部分由来のsp2炭素から水素原子が除去された、本明細書に記載のとおりのアルケニルラジカルのアルケニレン部分である。典型的には、アルケニレン部分は、-C=C-または-C=C-X1-C=C-の構造を含有するジラジカルを含む(式中、X1は、存在しないか、または本明細書で定義されているとおりの任意選択により置換された飽和アルキレンであり、当該飽和アルキレンは典型的にはC1-C6アルキレンであり、より典型的には非置換である)。アルケニレン部分における炭素原子数は、それをアルケニレン部分と定めるそのアルケン官能基(複数可)のsp2炭素原子の数と、そのsp2炭素の各々に付いている連続した非芳香族炭素原子の総数(これは、アルケニル部分が可変基として存在する他の部分またはマルクーシュ構造の任意の炭素原子を含まない)によって定義される。その数は様々であり得るが、別段の指定がない限り、2~50の範囲であり、典型的には2~30、2~20、または2~12、より典型的には2~8、2~6、または2~4の範囲である。例えば、C2-C8アルケニレンまたはC2-C8アルケニレンは、2、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を含有するアルケニレン部分を意味し、ここで、少なくとも2個が互いに共役しているsp2炭素であり、C2-C6アルケニレンまたはC2-C6アルケニレンは、2、3、4、5、または6個の炭素原子を含有するアルケニレン部分を意味し、ここで、少なくとも2個が互いに共役しているsp2炭素である。典型的には、アルケニレン置換基は、互いに共役している2個のsp2炭素を有するC2-C6またはC2-C4アルケニレンであり、それは、一部の態様では非置換である。炭素原子の数が示されていない場合、アルケニレン部分、基、または置換基は、2~8個の炭素原子を有する。
【0040】
「アルキニル」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、1つまたはそれより多くの三重結合官能基(例えば、-C≡C-部分)、あるいはこのような官能基の1、2、3、4、5、もしくは6つ、またはそれより多く、典型的には1、2、または3つを、よ
り典型的には1つのこのような官能基を含む有機部分、置換基、または基を指し、一部の態様では、フェニルなどのアリール部分で、またはアルケニル部分によって、または連結されたノルマル、第二級、第三級、もしくは環式の炭素原子、すなわち直鎖、分枝状、環式、もしくはその任意の組合せによって置換されていてもよい(すなわち、任意選択により置換されている)が、アルキニル置換基、部分、または基が-C≡CHである場合を除く。複数の三重結合を有するアルキニル部分、基、または置換基は、連続的に配置された三重結合、または1個もしくはそれより多くの介在飽和または不飽和炭素原子により非連続的に配置された三重結合、あるいはその組合せを有してもよいが、ただし、三重結合の環式の連続的な配置は、4n+2個の電子の環式共役系を形成しない(すなわち、芳香族でない)ことを条件とする。
【0041】
アルキニル部分、基、または置換基は、少なくとも2個のsp炭素原子を含有し、ここで、前記炭素原子は互いに共役しており、前記sp炭素原子の一方は、それが関連する別の有機部分またはマルクーシュ構造に単結合している。アルキニルがマルクーシュ基として使用される(すなわち、置換基である)場合、アルキニルは、そのアルキン官能基の1つの三重結合されている炭素(すなわち、sp炭素)を通じて、それが関連するマルクーシュ式または別の有機部分に単結合している。一部の態様では、アルキニル部分、基、または置換基が指定されている場合、含まれる種は、任意選択により置換されたアルキルまたはカルボシクリル、1つまたはそれより多くの内部三重結合を有する本明細書に記載の基、部分、または置換基、及び親アルキン化合物のsp炭素からの水素原子除去により誘導される一価部分のいずれかである。このような一価部分の例示としては、以下に限定するものではないが、-C≡CH、及び-C≡C-CH3、及び-C≡C-Phが挙げられる。
【0042】
アルケニル置換基における炭素原子数は、それをアルケニル置換基と定めるアルケン官能基のsp2炭素原子の数と、これらのsp2炭素の各々に付いている連続した非芳香族炭素原子の総数(これは、アルケニル部分が可変基である他の部分またはマルクーシュ構造の任意の炭素原子を含まない)によって定義される。三重結合官能基がマルクーシュ構造に単結合している場合(例えば、-CH≡CH)、この数は、2~50個、典型的には2~30個、2~20個、または2~12個、より典型的には2~8個、2~6個、または2~4個の炭素原子の範囲で変わる可能性がある。例えば、C2-C8アルキニルまたはC2-C8アルキニルは、2、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を含有するアルキニル部分を意味し、ここで、少なくとも2個が互いに共役しているsp炭素原子であり、これらの炭素原子のうち1個が一価であり、C2-C6アルキニルまたはC2-C6アルキニルは、2、3、4、5、または6個の炭素原子を含有するアルキニル部分を意味し、ここで、少なくとも2個が互いに共役しているsp炭素であり、これらの炭素原子のうち1個が一価である。一部の態様では、アルキニル置換基または基は、互いに共役している2個のsp炭素(これらの炭素原子の一方が一価である)を有するC2-C6またはC2-C4アルキニル部分であり、他の態様では、当該アルキニル部分は非置換である。炭素原子の数が示されていない場合、アルキニル部分、基、または置換基は、2~8個の炭素原子を有する。
【0043】
「アリール」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、環ヘテロ原子を含まず、1、2、3、または4~6つの芳香環、典型的には1~3つの芳香環、より典型的には1または2つの芳香環を含む、芳香族環系または縮合芳香族環系を有する有機部分、置換基、または基を指し、ここで、前記環は、4n+2個の電子(ヒュッケル則)、典型的には6、10、または14個の電子の環式共役系に関与する炭素原子のみから構成され、炭素原子の一部はさらにヘテロ原子との環外共役(交差共役、例えばキノン)に関与することがある。アリール置換基、部分、または基は、6、8、10個、またはそれより多く、最
大で、C6-C24アリールを含むように24個の芳香族炭素原子によって、典型的には形成される。アリール置換基、部分、または基は、任意選択により置換され、一部の態様では非置換であるか、または、本明細書で任意選択の置換基について定義されているとおりの1つまたは2つの独立して選択された置換基で置換されている。例示的なアリールは、C6-C10アリール、例えば、フェニル及びナフタレニル及びフェナントリルである。中性のアリール部分における芳香族性には偶数の電子が必要であるため、当該部分に対する所与の範囲は、奇数の芳香族炭素を有する種を含まないことが理解されよう。アリールがマルクーシュ基(すなわち、置換基)として使用される場合、アリールは、アリール基の芳香族炭素を通じて、それが関連するマルクーシュ式または別の有機部分に結合している。
【0044】
「アリーレン」または「ヘテロアリーレン」は、それだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、オルト、メタ、またはパラ配置をとることができる、2つの共有結合(すなわち二価である)を別の部分内で形成する芳香族またはヘテロ芳香族のジラジカル部分である。アリーレン及びヘテロアリーレンは、本明細書で定義されているとおりの親アリールまたはヘテロアリールの部分、基、または置換基からの水素原子除去による二価の種を含む。ヘテロアリーレンはさらに、ヘテロ原子(複数可)が親アリーレンの芳香族炭素原子の全てではないが1つまたはそれより多くと置き換わったものを含む。例示的なアリーレンとしては、限定するものではないが、以下の構造に示すようなフェニル-1,2-エン、フェニル-1,3-エン、及びフェニル-1,4-エンがある。
【化5】
【0045】
「アリールアルキル」または「ヘテロアリールアルキル」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、アルキル部分に結合しているアリールまたはヘテロアリール部分、すなわち、(アリール)-アルキル-を指す(ここで、アルキル及びアリール基は上記の通りである)。典型的には、アリールアルキルは、(C6-C24アリール)-C1-C12アルキル部分、基、または置換基であり、ヘテロアリールアルキルは、(C5-C24ヘテロアリール)-C1-C12アルキル部分、基、または置換基である。(ヘテロ)アリールアルキルがマルクーシュ基(すなわち、置換基)として使用される場合、(ヘテロ)アリールアルキルのアルキル部分は、そのアルキル部分のsp3炭素を通じて、それが関連するマルクーシュ式に結合している。一部の態様では、アリールアルキルは(C6-C10アリール)-C1-C12アルキルであり、より典型的には、非限定的な例示としてC6H5-CH2-、C6H5-CH(CH3)CH2-、及びC6H5-CH2-CH(CH2CH2CH3)-が挙げられる(C6-C10アリール)-C1-C6である。
【0046】
「アルキルアリール」または「アルキルへテロアリール」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、アリールまたはヘテロアリール部分に結合しているアルキル部分、すなわち-(ヘテロ)アリール-アルキルであり、ここで、(ヘテロ)アリール及びアルキル基は、上記の通りである。典型的には、アルキルアリールは、(C1-C12アルキル)-C6-C24アリール-部分、基、または置換基であり、アルキルヘテロアリールは、(C1-C12アルキル)-C5-C24ヘテロアリール-部分、基、または置換基である。アルキル(ヘテロ)アリールがマルクーシュ基(すなわち、置換基)として使用される場合、アルキル(ヘテロ)アリールの(ヘテロ)アリール部分は、そのアリール部分
またはヘテロアリール部分の芳香族炭素原子またはヘテロ原子を通じて、それが関連するマルクーシュ式に結合している。一部の態様では、アルキルアリールは、(C1-C12アルキル)-C6-C10アリール-または(C1-C6アルキル)-C6-C10アリール-のことであり、非限定的な例示としては、例えば、-C6H4-CH3または-C6H4-CH2CH(CH3)2が挙げられる。
【0047】
「ヘテロシクリル」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、骨格炭素原子のうちの全てではないが1個またはそれより多くが、炭素環式環系内のそれらの結合している水素原子と共に、独立して選択されたヘテロ原子(可能な場合には任意選択により置換されている)で置き換えられたカルボシクリルを指し、ヘテロ原子としては、以下に限定するものではないが、N/NH、O、S、Se、B、Si、及びPが挙げられ、ここで、2個またはそれより多くのヘテロ原子は、互いに隣接していても、同じ環系内の1個またはそれより多くの炭素原子、典型的には1~3個の原子によって分離されていてもよい。このようなヘテロ原子は、典型的にはN/NH、O、及びSである。ヘテロシクリルは、典型的にはヘテロ環式環系内に合計1~10個のヘテロ原子を含有し(ただし、ヘテロ環式環系内の任意の一つの環の骨格原子の全てがヘテロ原子であるわけではないことを条件とする)、環(複数可)内の各ヘテロ原子(可能な場合には任意選択により置換されている)は、独立して、N/NH、O、及びSからなる群から選択されるが、ただし、任意の一つの環が、2個の隣接したO原子もS原子も含有しないことを条件とする。例示的なヘテロシクリル及びヘテロアリールは総称的にヘテロ環と呼ばれ、Paquette,Leo
A.;“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968)(特にChapter 1、3、4、6、7、及び9)、“The Chemistry of
Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York, 1950から現在)(特に、Volume 13、14、16、19、及び28)、及びJ.Am.Chem.Soc.1960,82:5545-5473(特に5566-5573)に示されている。
【0048】
ヘテロシクリルがマルクーシュ基(すなわち、置換基)として使用される場合、ヘテロシクリルの飽和または部分的不飽和のヘテロ環式環は、当該ヘテロ環式環の炭素原子またはヘテロ原子を通じて、それが関連するマルクーシュ構造または他の部分に結合しており、ここで、このような結合が、当該炭素またはヘテロ原子の不安定なまたは許容されない形式的な酸化状態をもたらすことはない。この文脈におけるヘテロシクリルは、それをヘテロシクリルと定めるヘテロ環式環系のヘテロ環式環が非芳香族である一価部分であるが、炭素環式、アリール、またはヘテロアリール環と縮合していてもよく、フェニル-(すなわち、ベンゾ)縮合ヘテロ環式部分を含む。
【0049】
典型的には、ヘテロシクリルは、そのシクロアルキル環系の1、2、または3個の炭素が、それの結合している水素と共に、任意選択により置換されたN/NH、O、及びSからなる群から選択されるヘテロ原子で置き換えられたC3-C20カルボシクリルであり、したがってC3-C20ヘテロシクリルであり、より典型的にはC3-C12ヘテロシクリル、またはC5-C12、C3-C6、もしくはC5-C6ヘテロシクリルである(式中、下付き文字は、ヘテロシクリルのヘテロ環式環系の骨格原子(その炭素原子及びヘテロ原子を含む)の総数を示す)。一部の態様では、ヘテロシクリルは0~2個のN原子、0~2個のO原子、もしくは0~1個のS原子、またはその何らかの組合せを含有し、ただし、前述のヘテロ原子のうち少なくとも1個が環式環系内に存在することを条件とし、当該環式環系は、ピロリジン-2-オンの場合と同様に炭素原子においてオキソ(=O)部分で置換されてもよく、酸化ヘテロ原子(例示として-N(=O)、-S(=O)-
、または-S(=O)2-が挙げられるが、これらに限定されない)を含有するようにヘテロ原子において1つもしくは2つのオキソ部分で置換されてもよい。より典型的には、ヘテロシクリルは、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、及びピペラジニルからなる群から選択される。
【0050】
「ヘテロアリール」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、アリールの芳香族環系の芳香族炭素の全てではないが1個またはそれより多くがヘテロ原子で置き換えられた、本明細書で定義されているとおりのアリール部分、基、または置換基を指す。ヘテロアリールは、典型的にはヘテロアリール環系の環(複数可)内に合計1~4個のヘテロ原子を含有し(ただし、ヘテロアリールにおける任意の一つの環系の骨格原子の全てがヘテロ原子(可能な場合には任意選択により置換されている)であるわけではないことを条件とする)、0~3個のN原子、1~3個のN原子、または0~3個のN原子を有し、典型的には0~1個のO原子及び/または0~1個のS原子を有し、ただし、少なくとも1個のヘテロ原子が存在することを条件とする。ヘテロアリールは、単環式、二環式、または多環式であり得る。単環式へテロアリールは、典型的にはC5-C24ヘテロアリール、より典型的にはC5-C12またはC5-C6ヘテロアリールのことであり、式中、下付き文字は、ヘテロアリールの芳香族環系(複数可)の骨格原子(その炭素原子及びヘテロ原子を含む)の総数を示す。一部の態様では、ヘテロアリールは、芳香環(複数可)の炭素原子の一つの1、2、または3個、及び親アリール部分のそれらの結合している水素原子が、N/NH、O、及びSを含めたヘテロ原子(可能な場合には任意選択により置換されている)で置き換えられている(ただし、アリール部分における任意の一つの芳香族環系の骨格原子の全てがヘテロ原子で置き換えられるわけではないことを条件とする)、より典型的には、酸素(-O-)、硫黄(-S-)、窒素(=N-)、または任意選択により窒素ヘテロ原子が置換されるように-NR-(式中、Rは、-H、窒素保護基、または任意選択により置換されたC1-C20アルキルであるか、あるいはビアリールを形成するために、任意選択により置換されたC6-C24アリールまたはC5-C24ヘテロアリールである)で置き換えられている、アリール部分である。他の態様では、芳香環(複数可)の炭素原子の一つの1、2、または3個、及び親アリール部分のそれらの結合している水素原子は、環式共役系を保持する方法で、別の有機部分で置換された窒素によって置き換えられている。諸態様では、窒素、硫黄、または酸素ヘテロ原子は、環系における隣接原子とのパイ結合を通じて、またはヘテロ原子の孤立電子対を通じて、共役系に関与する。さらに他の態様では、ヘテロアリールは、その環系が芳香族化された、本明細書で定義されているとおりのヘテロシクリルの構造を有する。
【0051】
典型的には、ヘテロアリールは単環式であり、一部の態様では、5員または6員のヘテロ芳香族環系を有する。5員のヘテロアリールは、そのヘテロ芳香族環系内に1~4個の芳香族炭素原子及び必須数の芳香族ヘテロ原子を含有する、単環式のC5ヘテロアリールである。6員のヘテロアリールは、そのヘテロ芳香族環系内に1~5個の芳香族炭素原子及び必須数の芳香族ヘテロ原子を含有する、単環式のC6ヘテロアリールである。5員のヘテロアリールは、4、3、2、または1個の芳香族ヘテロ原子(複数可)を有し、6員のヘテロアリールは、5、4、3、2、または1個の芳香族ヘテロ原子(複数可)を有するヘテロアリールを含む。C5ヘテロアリールは、可能な場合には親芳香族ヘテロ環化合物(これは、一部の態様では、ピロール、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、及びテトラゾールからなる群から選択される)から、骨格芳香族炭素からの水素原子除去によりまたは骨格芳香族ヘテロ原子からの電子除去により、誘導される一価部分である。6員のC6ヘテロアリールは、可能な場合には親芳香族ヘテロ環化合物(これは、一部の態様では、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、及びトリアジンからなる群から選択される)から、芳香族炭素からの水素原子除去によりまたは芳香族ヘテロ原子からの電子除去に
より、誘導される一価部分である。
【0052】
「5員の窒素含有へテロアリール」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、一価であり、かつ5員のヘテロ芳香族環内に骨格芳香族窒素原子を含有する、任意選択により置換されたヘテロアリールを指し、典型的には単環式のヘテロアリールであるか、またはアリールもしくは別のヘテロアリール環系と縮合して、典型的には6,5-縮合環系を形成し、このとき5員のヘテロ芳香環は、一部の態様では、N/NH、O、及びSからなる群から選択される、1個またはそれより多くの他の独立して選択されたヘテロ原子(これは、可能な場合には任意選択により置換されている)を含有する。5員の窒素含有へテロアリールの非限定的な例示としては、チアゾール、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、及びトリアゾールが挙げられる。
【0053】
「6員の窒素含有へテロアリール」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、一価であり、かつ骨格芳香族窒素原子を含有する、任意選択により置換された6員のヘテロ芳香環を含有するヘテロアリールを指す。一部の態様では、6員の窒素含有へテロアリールは単環式のヘテロアリールであり、他の態様では、アリールまたは別のヘテロアリール環と縮合して、典型的には6,5-または6,6-縮合環系を形成し、このとき6員のヘテロ芳香環は、N/NH、O、及びSからなる群から選択される1個またはそれより多くの他の独立して選択されたヘテロ原子(これは、可能な場合には任意選択により置換されている)を含有してもよい。6員の窒素含有へテロアリールの非限定的な例示としては、ピリジン、ピリミジン、及びピラジンが挙げられる。
【0054】
「ヘテロシクロ」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、上記で定義されているとおりのヘテロシクリル部分、基、または置換基であって、可能な場合には異なる炭素原子からの、水素原子もしくは電子、または、存在するならば窒素環原子からの電子が、除去されて二価の部分をもたらすヘテロシクリル部分、基、または置換基を指す。
【0055】
「ヘテロアリーレン」は、この用語がそれだけでまたは別の用語の一部として本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、上記で定義されているとおりのヘテロアリール部分、基、または置換基であって、可能な場合には異なる芳香族炭素原子からの、水素原子もしくは電子、または、存在するならば芳香族窒素環原子からの電子が、除去されて二価の部分をもたらすヘテロアリール部分、基、または置換基を指す。「5員の窒素含有へテロアリーレン」は、そのヘテロ芳香族環系内に少なくとも1個の芳香族窒素原子を含有し、二価であり、また上記のとおりの5員の窒素含有へテロアリールに対し、構造において同様の関連を有する。同様に、「6員の窒素含有へテロアリーレン」は二価であり、上記のとおりの6員の窒素へテロアリールに対し、構造において同様の関連を有する。
【0056】
「ヘテロアルキル」は、それだけでまたは別の用語との組合せで本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、任意選択により置換された直鎖または分枝状鎖の炭化水素を指し、ヘテロアルキルは完全に飽和であるか、または1~3の不飽和度を含有し、1~12個の炭素原子と、O、N、Si、及びSからなる群から選択される1~6個のヘテロ原子、典型的には1~5個のヘテロ原子、より典型的には1個または2個のヘテロ原子(可能な場合には任意選択により置換されている)からなり、また、各々が独立してN-オキシド、スルホキシドまたはスルホンへと任意選択により酸化される窒素及び硫黄原子を含むか、あるいは窒素原子の1つは任意選択により四級化されている。ヘテロ原子(複数可)のO、N、S,及び/またはSiは、ヘテロアルキル基
の任意の内部位置に配置されても、ヘテロアルキルの任意選択により置換されたアルキル基の末端位置に配置されてもよい。一部の態様では、ヘテロアルキルは完全に飽和であるか、または1の不飽和度を含有し、1~6個の炭素原子と1個または2個のヘテロ原子からなり、他の態様では、当該ヘテロアルキルは非置換である。非限定的な例は、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2-S(O)-CH3、-NH-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-O-CH3、及び-CH=CH-N(CH3)-CH3である。2個までのヘテロ原子が連続していてもよく、例示としては、-CH2-NH-OCH3及び-CH2-O-Si(CH3)3が挙げられる。典型的にはヘテロアルキルは、別段の指示または文脈による指示がない限り、そのアルキル部分の、その連続したヘテロ原子(複数可)及び非芳香族炭素原子の数によって示される。したがって、-CH2-CH2-O-CH3及び-CH2-CH2-S(O)-CH3はいずれもC4ヘテロアルキルであり、-CH2-CH=N-O-CH3及び-CH=CH-N(CH3)-CH3はいずれもC5ヘテロアルキルである。
【0057】
「ヘテロアルキレン」は、それだけでまたは別の用語との組合せで本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、(上記で論じられている)ヘテロアルキルから、以下に限定するものではないが-CH2-CH2-S-CH2-CH2-及び-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-が例示となる二価の部分を提供するように親ヘテロアルキルからの水素原子またはヘテロ原子の電子を除去することにより誘導される二価の基を意味する。ヘテロアルキレンについては、そのヘテロ原子(複数可)は、その任意選択により置換されたアルキレン鎖の内部にあってもよく、一方または両方の末端を占有してもよい。
【0058】
「アミノアルキル」は、それだけでまたは別の用語との組合せで本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、塩基性窒素がさらに置換されていない第一級アミンを提供するように、または第二級もしくは第三級アミンであって、塩基性アミンがそれぞれ上記のとおりの1つもしくは2つの独立して選択された任意選択の置換C1-C12アルキル部分によってさらに置換されている第二級もしくは第三級アミンを提供するように、上記で定義されているとおりのアルキレン部分の1つのラジカル末端に結合している塩基性窒素を有する部分、基、または置換基を指す。一部の態様では、任意選択により置換されたアルキルはC1-C8アルキルまたはC1-C6アルキルであり、他の態様では、そのアルキルは非置換である。さらに他の態様では、塩基性窒素はその置換基と共に、骨格原子として塩基性窒素を含有するC3-C8ヘテロシクリルを定め、典型的には窒素含有C3-C6またはC5-C6ヘテロシクリルの形態をとる。アミノアルキルがマルクーシュ構造に対する可変基として使用される場合、アミノアルキルのアルキレン部分は、それが関連するマルクーシュ式にアルキレン部分のsp3炭素(これは、一部の態様では前述のアルキレンの他方のラジカル末端である)を通じて結合する。アミノアルキルは、典型的には、そのアルキレン部分の連続した炭素原子の数によって示される。したがって、C1アミノアルキルの例示としては、以下に限定するものではないが、-CH2NH2、-CH2NHCH3、及び-CH2N(CH3)2が挙げられ、C2アミノアルキルの例示としては、以下に限定するものではないが、-CH2CH2NH2、-CH2CH2NHCH3、及び-CH2CH2N(CH3)2が挙げられる。
【0059】
「任意選択により置換されたアルキル」、「任意選択により置換されたアルケニル」、「任意選択により置換されたアルキニル」、「任意選択により置換されたアルキルアリール」、「任意選択により置換されたアリールアルキル」、「任意選択により置換されたヘテロ環」、「任意選択により置換されたアリール」、「任意選択により置換されたヘテロ
アリール」、「任意選択により置換されたアルキルヘテロアリール」、「任意選択により置換されたヘテロアリールアルキル」および同様の用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキルヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、アルキルへテロアリール、ヘテロアリールアルキル、または本明細書で定義または開示されているとおりの他の置換基、部分、もしくは基を指し、ここで、当該置換基、部分、または基の水素原子(複数可)は、任意選択により異なる部分(複数可)または基(複数可)で置き換えられているか、あるいはこのような置換基、部分、または基の1つを含む脂環式炭素鎖は、当該鎖の炭素原子(複数可)を異なる部分(複数可)または基(複数可)で置き換えることによって中断される。一部の態様では、アルケン官能基がアルキル置換基の2つの連続したsp3炭素原子と置き換わり(ただし、アルキル部分のラジカル炭素が置き換えられないことを条件とする)、その結果、この任意選択により置換されたアルキルは不飽和のアルキル置換基となる。
【0060】
前述の置換基、部分、または基のいずれか1つにおける水素(複数可)と置き換わる任意選択の置換基は独立して、C6-C24アリール、C5-C24ヘテロアリール、ヒドロキシル、C1-C20アルコキシ、C6-C24アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、C1-C20フルオロアルコキシ、及びアミノ(これは、-NH2、ならびに一置換、二置換、及び三置換されたアミノ基を含む)、ならびにその保護誘導体からなる群から選択され、あるいは-X、-OR’、-SR’、-NH2、-N(R’)(Rop)、-N(Rop)3、=NR’、-CX3、-CN、-NO2、-NR’C(=O)H、-NR’C(=O)Rop、-NR’C(=O)Rop、-C(=O)R’、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R’)Rop、-S(=O)2Rop、-S(=O)2NH2、-S(=O)2N(R’)Rop、-S(=O)2NH2、-S(=O)2N(R’)Rop、、-S(=O)2OR’、-S(=O)Rop、-OP(=O)(OR’)(ORop)、-OP(OH)3、-P(=O)(OR’)(ORop)、-PO3H2、-C(=O)R’、-C(=S)Rop、-CO2R’、-C(=S)ORop、-C(=O)SR’、-C(=S)SR’、-C(=S)NH2、-C(=S)N(R’)(Rop)2、-C(=NR’)NH2、-C(=NR’)N(R’)Rop、及びその塩からなる群から選択され、式中、各Xは独立して、ハロゲン:-F、-Cl、-Br、及び-Iからなる群から選択され、各Ropは独立して、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C6-C24アリール、C3-C24ヘテロシクリル、C5-C24ヘテロアリール、保護基、及びプロドラッグ部分からなる群から選択され、あるいはRopの2つは、それらが結合するヘテロ原子と共にC3-C24ヘテロシクリルを定め、R’は水素またはRopであり、式中、Ropは、C1-C20アルキル、C6-C24アリール、C3-C24ヘテロシクリル、C5-C24ヘテロアリール、及び保護基からなる群から選択される。
【0061】
典型的には、存在する任意選択の置換基は、-X、-OH、-ORop、-SH、-SRop、-NH2、-NH(Rop)、-NR’(Rop)2、-N(Rop)3、=NH、=NRop、-CX3、-CN、-NO2、-NR’C(=O)H、NR’C(=O)Rop、-CO2H、-C(=O)H、-C(=O)Rop、-C(=O)NH2、-C(=O)NR’Rop、-S(=O)2Rop、-S(=O)2NH2、-S(=O)2N(R’)Rop、-S(=O)2NH2、-S(=O)2N(R’)(Rop)、-S(=O)2OR’、-S(=O)Rop、-C(=S)Rop、-C(=S)NH2、-C(=S)N(R’)Rop、-C(=NR’)N(Rop)2及びその塩からなる群から選択され、式中、各Xは独立して、-F及び-Clから選択され、Ropは、典型的には、C1-C6アルキル、C6-C10アリール、C3-C10ヘテロシクリル、C5-C10ヘテロアリール、及び保護基からなる群から選択され、R’は独立して、典型的には水素、C1-C6アルキル、C6-C10アリール、C3-C10ヘテロシクリル、C5-C10ヘテロアリール、及び保護基(Ropから独立して選択される)からなる群
から選択される。
【0062】
より典型的には、存在する任意選択の置換基は、-X、-Rop、-OH、-ORop、-NH2、-NH(Rop)、-N(Rop)2、-N(Rop)3、-CX3、-NO2、-NHC(=O)H、-NHC(=O)Rop、-C(=O)NH2、-C(=O)NHRop、-C(=O)N(Rop)2、-CO2H、-CO2Rop、-C(=O)H、-C(=O)Rop、-C(=O)NH2、-C(=O)NH(Rop)、-C(=O)N(Rop)2、-C(=NR’)NH2、-C(=NR’)NH(Rop)、-C(=NR’)N(Rop)2、保護基、及びその塩からなる群から選択され、式中、各Xは-Fであり、Ropは独立して、C1-C6アルキル、C6-C10アリール、C5-C10ヘテロアリール、及び保護基からなる群から選択され、R’は、水素、C1-C6アルキル、及び保護基(Ropから独立して選択される)からなる群から選択される。
【0063】
一部の態様では、存在する任意選択のアルキル置換基は、-NH2、-NH(Rop)、-N(Rop)2、-N(Rop)3、-C(=NR’)NH2、-C(=NR’)NH(Rop)、及び-C(=NR’)N(Rop)2からなる群から選択され、式中、R’及びRopは、上記R’基またはRop基のいずれか1つについて定義されている通りである。これらの態様の一部では、R’及び/またはRop置換基は、それらが結合している窒素原子と共に、Ropが独立して水素及びC1-C6アルキルからなる群から選択される場合と同様に、塩基性単位(BU)の塩基性官能基を提供する。上記のとおりのアルキレン、カルボシクリル、カルボシクロ、アリール、アリーレン、ヘテロアルキル、ヘテロアルキレン、ヘテロシクリル、ヘテロシクロ、ヘテロアリール、及びヘテロアリーレン基は、同様に置換されているか、または非置換である。
【0064】
「任意選択により置換されたヘテロ原子」は、本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、官能基または他の有機部分内のヘテロ原子であって、当該ヘテロ原子は、さらに置換されていない、または一価の炭素原子を有する前述の部分(以下に限定するものではないが、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、及び(ヘテロ)アリールアルキル-を含む)のいずれか1つによって置換されている、または1つまたは2つの=O置換基での置換によって酸化されている、ヘテロ原子を指すか、あるいは官能基または他の有機部分内の-NH-部分であって、その水素原子が、一価の炭素原子を有する前述の部分(以下に限定するものではないが、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、及び(ヘテロ)アリールアルキル-を含む)のいずれか1つで任意選択により置き換えられている、または=O部分で置き換えられてN-オキシドを形成する、-NH-部分を指す。
【0065】
そのため、一部の態様では、存在する窒素原子の任意選択の置換基は、任意選択により置換されたC1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C6-C24アリール、C5-C24ヘテロアリール、(C6-C24アリール)-C1-C20アルキル-、及び(C5-C24ヘテロアリール)-C1-C20アルキル-からなる群から選択され、これらの用語は本明細書で定義されている通りである。他の態様では、存在する窒素原子の任意選択の置換基は、任意選択により置換されたC1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、C6-C24アリール、C5-C24ヘテロアリール、(C6-C24アリール)-C1-C12アルキル-、及び(C5-C24ヘテロアリール)-C1-C12アルキル-からなる群、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C6-C10アリール、C5-C10ヘテロアリール、(C6-C10アリール)-C1-C8アルキル-、及び(C5-C10ヘテロアリール)-C1-C8アルキルからなる群、またはC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C6-C10アリール、C5-C10
ヘテロアリール、(C6-C10アリール)-C1-C6アルキル-、及び(C5-C10ヘテロアリール)-C1-C6アルキル-からなる群から選択される。
【0066】
一部の態様では、存在する任意選択の置換基は、アルキルまたはアルキレン部分、基、または置換基の非環式炭素鎖内の炭素原子と置き換わって、C3-C12ヘテロアルキルまたはC3-C12ヘテロアルキレンを提供し、この目的上、当該置換基は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-NH-、-NHC(=O)-、-C(=O)NH-、S(=O)2NH-、-NHS(=O)2-、-OC(=O)NH-、及び-NHC(=O)Oからなる群から選択され、ここで-NH-は、-NH-任意選択置換基について先に説明した群からの独立して選択された置換基でその水素原子を置き換えることによって、任意選択により置換されたヘテロ原子である。
【0067】
「O-結合部分」、「O-結合置換基」および同様の用語は、本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、O-結合部分または置換基の酸素原子を直接通じて、それが関連するマルクーシュ構造または他の有機部分に結合している部分、基、または置換基を指す。一価のO-結合部分または置換基は、典型的には-OH、-OC(=O)Rb(アシルオキシ)であり、式中、Rbは、-H、任意選択により置換されたC1-C20アルキル、任意選択により置換されたC3-C20シクロアルキル、任意選択により置換されたC3-C20アルケニル、任意選択により置換されたC2-C20アルキニル、任意選択により置換されたC6-C24アリール、任意選択により置換されたC5-C24ヘテロアリール、または任意選択により置換されたC3-C24ヘテロシクリルであり、あるいは、Rbは、任意選択により置換されたC1-C12アルキル、任意選択により置換されたC3-C12シクロアルキル、任意選択により置換されたC3-C12アルケニル、または任意選択により置換されたC2-C12アルキニルであり、一価のO-結合部分はさらに、C1-C12アルキルオキシ(すなわち、C1-C12脂肪族エーテル)であるエーテル基(任意選択により置換されている)を含み、ここで、アルキル部分は飽和または不飽和である。
【0068】
他の態様では、一価のO-結合部分、基、または置換基は、任意選択により置換されたフェノキシ、任意選択により置換されたC1-C8アルキルオキシ(すなわち、C1-C8脂肪族エーテル)、及び-OC(=O)Rbからなる群から選択され、式中、Rbは、任意選択により置換されたC1-C8アルキルであり、それは典型的には飽和であるか、または不飽和のC3-C8アルキルである。
【0069】
他の態様では、O-結合置換基は、-OH、飽和C1-C6アルキルエーテル、不飽和C3-C6アルキルエーテル、フェノキシ、及び-OC(=O)Rb(式中、Rbは、典型的には、任意選択により置換された、C1-C6飽和アルキル、C3-C6不飽和アルキル、C3-C6シクロアルキル、C2-C6アルケニル、またはフェニルである)からなる群から選択される一価の部分であるか、あるいは、-OHを除き、かつ/または飽和C1-C6アルキルエーテル及びフェノキシが非置換であり、Rbが飽和C1-C6アルキルもしくは不飽和C3-C6アルキルである前記群から選択される。
【0070】
他の例示的なO-結合置換基は、本明細書で開示されているとおりのカルバメート、エーテル、及びカーボネートについての定義によって提供されており、ここで、カルバメート、エーテル、及びカーボネート官能基の一価の酸素原子は、それが関連するマルクーシュ構造または他の有機部分に結合している。
【0071】
他の態様では、炭素へのO-結合部分は二価であり、=O及び-X-(CH2)n-Y-を含み、式中、X及びYは独立してS及びOであり、下付き文字nは2または3であり
、X及びYがいずれも結合している炭素と共にスピロ環系を形成する。
【0072】
「ハロゲン」は、本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指し、典型的には-Fまたは-Clである。
【0073】
「保護基」は、本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、それが結合している原子または官能基の能力が望ましくない反応に関与することを防止または実質的に低減する部分を指す。原子または官能基用の典型的な保護基は、Greene(1999),“Protective groups in organic synthesis,3rd ed.”,Wiley Interscienceに示されている。酸素、硫黄、及び窒素などのヘテロ原子用の保護基は、求電子性化合物とのそれらの望ましくない反応を最小化または回避するために使用されることがある。他の場合には、保護基は、保護されていないヘテロ原子の求核性及び/または塩基性を低減または除去するために使用される。保護酸素の非限定的例は-ORPRによって示され、式中、RPRはヒドロキシル用の保護基であり、ヒドロキシルは典型的にはエステル(例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、または安息香酸エステル)として保護される。ヒドロキシル用の他の保護基は、有機金属試薬または他の強塩基性試薬の求核性へのそれの干渉を回避し、その目的上、ヒドロキシルは典型的にはエーテルとして保護され、エーテルとしては、以下に限定するものではないが、アルキルまたはヘテロシクリルエーテル(例えば、メチルまたはテトラヒドロピラニルエーテル)、アルコキシメチルエーテル(例えば、メトキシメチルまたはエトキシメチルエーテル)、任意選択により置換されたアリールエーテル、及びシリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBS/TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、及び[2-(トリメチルシリル)エトキシ]-メチルシリル(SEM))が挙げられる。窒素保護基としては、-NHRPRまたは-N(RPR)2におけるのと同様に第一級または第二級アミン用のものが挙げられ、式中、RPRの最低限一つが窒素原子保護基であるか、または両方のRPRが共に窒素原子保護基を定める。
【0074】
保護基が保護に好適であるのは、分子内の他の場所で所望の化学的変換(複数可)をもたらすのに必要とされる反応条件下で、および所望であれば新たに形成された分子を精製する間に、それが、望ましくない副反応及び/または保護基の早期損失を防止または実質的に回避することができる場合、ならびに、この新たに形成された分子の構造または立体化学的完全性に有害な影響を及ぼさない条件下で、それが除去され得る場合である。一部の態様では、好適な保護基は、官能基の保護に関して先に記載した保護基である。他の態様では、好適な保護基は、ペプチドカップリング反応で使用される保護基である。例えば、非環式または環式の塩基性基の塩基性窒素原子に好適な保護基は、t-ブチルオキシカルボニル(BOC)のような、酸不安定性のカルバメート保護基である。
【0075】
「エステル」は、本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、エステル官能基を定める-C(=O)-O-の構造を有する置換基、部分、または基を指し、当該構造のカルボニル炭素原子は、別のヘテロ原子に対して直接結合していないが、水素、またはそれが関連する有機部分の別の炭素原子に直接結合しており、一価の酸素原子は、同じ有機部分へ、異なる炭素原子において結合してラクトンを提供するか、または何らかの他の有機部分へ結合している。典型的には、エステルは、エステル官能基に加えて、1~50個の炭素原子、典型的には1~20個の炭素原子、またはより典型的には1~8個、1~6個、もしくは1~4個の炭素原子と、独立して選択された0~10個のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si、ただし通常はO、S、及びN)、典型的には0~2個のヘテロ原子(この場合、有機部分は-C(=O)-O-構造を通
じて(すなわち、エステル官能基を通じて)結合している)とを含有する有機部分を含む、または該有機部分からなる。
【0076】
エステルが、それが関連するマルクーシュ構造または他の有機部分の置換基または可変基である場合、当該置換基は、それが一価のO-結合置換基(これは、アシルオキシと呼ばれることもある)となるように、エステル官能基の一価の酸素原子を通じて前記構造または他の有機部分に結合している。このような場合、エステル官能基のカルボニル炭素に結合している有機部分は、典型的にはC1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C6-C24アリール、C5-C24ヘテロアリール、C3-C24ヘテロシクリル、もしくはこれらのいずれか1つの置換された誘導体(例えば、1、2、3、もしくは4つの置換基を有するもの)であり、より典型的にはC1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、C6-C10アリール、C5-C10ヘテロアリール、C3-C10ヘテロシクリル、もしくはこれらのいずれか1つの置換された誘導体(例えば、1、2、もしくは3つの置換基を有するもの)であるか、またはC1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、もしくはフェニル、もしくはこれらのいずれか1つの置換された誘導体(例えば、1つもしくは2つの置換基を有するもの)であり、ここで、独立して選択された置換基の各々は、任意選択のアルキル置換基について本明細書で定義されている通りのものであるか、または非置換のC1-C6アルキルもしくは非置換のC2-C6アルケニルである。
【0077】
限定としてではなく例としての、例示的なエステルは、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソプロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、吉草酸エステル、イソ吉草酸エステル、カプロン酸エステル、イソカプロン酸エステル、ヘキサン酸エステル、ヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、フェニル酢酸エステル、及び安息香酸エステルであるか、または-OC(=O)Rbの構造を有する(式中、Rbは、アシルオキシO-結合置換基について定義されている通りのものであり、典型的にはメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、3-メチル-プロパ-1-イル、3,3-ジメチル-プロパ-1-イル、プロパ-2-エン-1-イル、及びビニルからなる群から選択される)。
【0078】
「エーテル」は、本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、カルボニル部分(複数可)に結合していない1、2、3、4またはそれより多く(典型的には1つまたは2つ)の-O-(すなわち、オキシ)部分を含む有機部分、基、または置換基を指し、ここで、2つの-O-部分が互いに直接隣接している(すなわち、直接結合している)ことはない。典型的には、エーテルは-O-有機部分の式を含有し、ここで、有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分について記載されたものと同様であるか、または任意選択により置換されたアルキル基について本明細書に記載されたものと同様である。エーテルが、それが関連するマルクーシュ構造または他の有機部分の置換基または可変基として挙げられる場合、エーテル官能基の酸素は、それが関連するマルクーシュ式に結合しており、また、例示的なO-結合置換基である「アルコキシ」基と称されることがある。一部の態様では、エーテルO-結合置換基は、任意選択により1、2、3、または4つの置換基、典型的には1、2、3つの置換基で置換されたC1-C20アルコキシまたはC1-C12アルコキシであり、他の態様では、任意選択により1つまたは2つの置換基で置換されたC1-C8アルコキシまたはC1-C6アルコキシであり(ここで、独立して選択された置換基の各々は、任意選択のアルキル置換基について本明細書で定義された通りのものである)、さらに他の態様では、エーテルO-結合置換基は、非置換の、飽和または不飽和のC1-C4アルコキシ(限定としてではなく例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、ブトキシ、及びアリルオキシ(すなわち、-OCH2CH=CH2))である。
【0079】
「アミド」は、本明細書において使用される場合、別段の明記または文脈による暗示がない限り、R-C(=O)N(Rc)-または-C(=O)N(Rc)2の構造を有する任意選択により置換された官能基を有する部分を指し、式中、他のヘテロ原子はカルボニル炭素に直接結合しておらず、各Rcは独立して、水素、保護基、または有機部分であり、Rは水素または有機部分であり、ここで、独立して選択される有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分について本明細書に記載されたものと同様であるか、または任意選択により置換されたアルキル基について本明細書に記載されたものと同様である。アミドが、それが関連するマルクーシュ構造または他の有機部分の置換基または可変基として挙げられる場合、アミドの窒素原子、またはアミド官能基のカルボニル炭素原子は、前記構造または他の有機部分に結合している。アミドは、典型的には、酸塩化物などの酸ハロゲン化物を、第一級または第二級アミンを含有する分子と縮合させることによって調製される。代替方法として、ペプチド合成の分野で周知のアミドカップリング反応(カルボン酸含有分子の活性化エステルを通じて進行することが多い)が使用される。ペプチドカップリング法を通じたアミド結合の調製の例は、Benoiton(2006)“Chemistry of peptide synthesis”,CRC Press、Bodansky(1988)“Peptide synthesis:A practical textbook”Springer-Verlag、Frinkin,M.et al.“Peptide Synthesis”Ann.Rev.Biochem.(1974)43:419-443に示されている。活性化カルボン酸の調製で使用される試薬は、Han,et al.“Recent development of peptide coupling agents in organic synthesis”Tet.(2004)60:2447-2476に示されている。
【0080】
「カーボネート」は、本明細書において使用される場合、カーボネート官能基を定める構造-O-C(=O)-O-を有する官能基を含有する置換基、部分、または基を意味する。典型的には、カーボネート基は、本明細書において使用される場合、-O-C(=O)-O-構造に結合している有機部分から構成され、当該有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分について本明細書に記載されたものと同様であり、例えば、有機部分-O-C(=O)-O-である。カーボネートが、それが関連するマルクーシュ構造または他の有機部分の置換基または可変基として挙げられる場合、カーボネート官能基の一価の酸素原子の一方は前記構造または有機部分に結合しており、他方は、エステル官能基に結合している有機部分について先に記載したように、別の有機部分の炭素原子に結合しているか、または任意選択により置換されたアルキル基について本明細書に記載されたものと同様である。このような場合、カーボネートは例示的なO-結合置換基である。
【0081】
「カルバメート」は、本明細書において使用される場合、-O-C(=O)N(Rc)-、または-O-C(=O)N(Rc)2、または-O-C(=O)NH(任意選択により置換されたアルキル)、または-O-C(=O)N(任意選択により置換されたアルキル)2によって表される、任意選択により置換されたカルバメート官能基構造を含有する置換基、部分、または基を意味し、ここで、任意選択により置換されたアルキル(複数可)は、例示的なカルバメート官能基置換基であり、Rc及び任意選択により置換されたアルキルは独立して選択され、独立して選択されたRcは水素、保護基、または有機部分であり、当該有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分について本明細書に記載されたものと同様であるか、または任意選択により置換されたアルキル基について本明細書に記載されたものと同様である。典型的には、カルバメート基は、Rcから独立して選択される有機部分からさらに構成され(ここで、当該有機部分は、エステル官能基に結合している有機部分について本明細書に記載されたものと同様である)、-O-C(=O)-N(Rc)-構造を通じて結合しており、得られた構造は、有機部分-O-C(=O)-N(Rc)-または-O-C(=O)-N(Rc)-有機部分の式を有する。カルバメートが、それが関連するマルクーシュ構造または他の有機部分の置換基または可変基とし
て挙げられる場合、カルバメート官能基の一価の酸素(O-結合)または窒素(N-結合)は、それが関連するマルクーシュ式に結合している。カルバメート置換基の結合は、明示的に記述されている(N-またはO-結合)か、または当該置換基が言及される文脈において暗黙的である。本明細書に記載されているO-結合カルバメートは、例示的な一価のO-結合置換基である。
【0082】
「医薬的に許容される塩」は、本明細書において使用される場合、化合物の医薬的に許容される有機塩または無機塩を指す。当該化合物は、典型的には少なくとも1つのアミノ基を含有し、したがって、酸付加塩は、このアミノ基を用いて形成され得る。例示的な塩としては、以下に限定するものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))が挙げられる。
【0083】
医薬的に許容される塩は、別の分子(例えば、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオン)を含むことを伴い得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化する任意の有機部分または無機部分であってよい。さらに、医薬的に許容される塩は、その構造内に1個超の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が医薬的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを有し得る。したがって、医薬的に許容される塩は、1つもしくはそれより多くの荷電原子及び/または1つもしくはそれより多くの対イオンを有し得る。典型的には、四級化ツブリシン薬物単位は医薬的に許容される塩の形態である。
【0084】
典型的には、医薬的に許容される塩は、P.H.Stahl and C.G.Wermuth編,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Weinheim/Zuerich:Wiley-VCH/VHCA,2002に記載のものから選択される。塩の選択は、製剤が示さなければならない性質に依存し、この性質には、意図される投与経路(複数可)に応じた様々なpHにおける妥当な水溶性、操作に好適な流動特性及び低吸湿性(すなわち、相対湿度に対する水吸収)を伴う結晶性、ならびに加速条件下(すなわち、40℃かつ75%相対湿度で保管した場合の分解または固体状態の変化を決定するための条件)における化学的及び固体状態の安定性を測定することによる、必要とされる貯蔵寿命が含まれる。
【0085】
本明細書において使用される場合、「PEG単位」とは、
【化6】
の式を有するエチレングリコールサブユニットの繰り返しを有するポリエチレングリコール部分(PEG)を含む基を指す。
【0086】
PEG単位は、少なくとも2個のサブユニット、少なくとも3個のサブユニット、少なくとも4個のサブユニット、少なくとも5個のサブユニット、少なくとも6個のサブユニット、少なくとも7個のサブユニット、少なくとも8個のサブユニット、少なくとも9個のサブユニット、少なくとも10個のサブユニット、少なくとも11個のサブユニット、
少なくとも12個のサブユニット、少なくとも13個のサブユニット、少なくとも14個のサブユニット、少なくとも15個のサブユニット、少なくとも16個のサブユニット、少なくとも17個のサブユニット、少なくとも18個のサブユニット、少なくとも19個のサブユニット、少なくとも20個のサブユニット、少なくとも21個のサブユニット、少なくとも22個のサブユニット、少なくとも23個のサブユニット、または少なくとも24個のサブユニットを含み得る。一部のPEG単位は、最大72個のサブユニットを含む。
【0087】
本明細書において使用される場合、「PEGキャッピング単位」とは、PEG単位の自由で繋がれていない端部を終了させる有機部分または官能基のことであり、PEGキャッピング単位は、水素以外であり、一部の態様では、メトキシ、エトキシ、または他のC1-C6エーテルであり、あるいは-CH2-CO2H、または他の好適な部分である。したがって、エーテル、-CH2-CO2H、-CH2CH2CO2H、または他の好適な有機部分がPEG単位における末端PEGサブユニットのキャップとして作用する。
【0088】
PEGには、多分散PEG、単分散PEG、及び分離PEGが含まれる。多分散PEGは、種々のサイズ及び分子量による異種混合物であり、一方単分散PEGは典型的には異種混合物から精製されるため、単一の鎖長及び分子量を与える。分離PEGは、重合化プロセスを介さずにステップワイズ方式で合成された化合物である。分離PEGは、定義及び指定された鎖長を有する単一の分子をもたらす。
【0089】
本明細書において使用される場合、「抗体」は最も幅広い意味で使用され、具体的には、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の生物学的活性を示す抗体断片(ただし、当該抗体断片が薬物リンカーの結合部位を必須数有することを条件とする)を網羅する。抗体のネイティブな形態は四量体であり、2つの同一な免疫グロブリン鎖の対からなり、各対は1つの軽鎖及び1つの重鎖を有する。各対において、軽鎖及び重鎖の可変領域(VL及びVH)はいずれも、主として抗体への結合を担当する。軽鎖及び重鎖の可変ドメインは、3つの超可変領域によって中断されたフレームワーク領域からなり、これは「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる。定常領域は、免疫系に認識され免疫系と相互作用する可能性がある(例えば、Janeway et al.,2001,Immunol.Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New
Yorkを参照)。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、またはサブクラスのものであり得る。抗体は、任意の好適な種から誘導され得る。一部の実施形態では、抗体はヒトまたはマウス由来のものである。抗体は、例えば、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体であり得る。抗体またはその抗体断片は、抗体リガンド単位として本発明のLDCに対応する、または組み込まれる例示的な標的化物質である。
【0090】
一部の態様では、抗体は、過剰増殖細胞または過剰刺激哺乳類細胞(すなわち、異常細胞)のエピトープに対し、選択的及び特異的に結合する。当該エピトープは、正常細胞と対比して、異常細胞が優先的に提示するまたはより特徴を有する、あるいは、異常細胞に局在しない正常細胞と対比して、異常細胞付近にある正常細胞が優先的に提示するまたはより特徴を有するものである。このような態様において、哺乳類細胞とは、典型的にはヒト細胞のことである。リガンド単位に組み込まれる抗体の他の態様は、リガンド薬物結合体についての実施形態で説明する。
【0091】
本明細書において「モノクローナル抗体」とは、実質的に同質の抗体集団(すなわち、集団を構成する個々の抗体が、軽微な量で存在し得る天然存在の変異を除いて同一である
)から得られた抗体を指す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同質の抗体集団から得られたというこの抗体の特徴を示し、何らかの特定の方法による抗体生成を要すると解釈すべきものではない。
【0092】
「抗原」とは、結合体化していない抗体もしくはその断片に対し、または当該抗体もしくはその断片に対応する、またはそれを組み込む抗体リガンド単位を含むADCに対し、選択的結合が可能な実体のことである。一部の態様では、当該抗原は、正常細胞に比べて異常細胞または他の望ましくない細胞が優先的に提示する、細胞外にアクセス可能な細胞表面タンパク質、糖タンパク質、または炭水化物である。ある場合において、抗原を有する望ましくない細胞とは、哺乳類における過剰増殖細胞のことである。他の場合において、抗原を有する望ましくない細胞とは、哺乳類における過剰活性化免疫細胞のことである。他の態様では、特異的に結合する抗原は、このような異常細胞の不在下で正常細胞が典型的に経験する環境とは異なり、哺乳類における過剰増殖細胞または過剰活性化免疫細胞の特定の環境に存在する。さらに他の態様では、細胞表面抗原は、ADC化合物が選択的に結合すると内部移行可能であり、また、過剰増殖細胞または過剰刺激免疫細胞が見いだされる環境に特有の細胞に、このような異常細胞の不在下で関連する。抗原とは、抗体薬物結合体の例示的な標的部分であり、その標的化抗体リガンド単位は、標的抗原に対する抗体に対応するかまたは標的抗原に対する抗体を取り込んでおり、選択的結合を通じて当該抗原を優先的に認識することができる。
【0093】
がん細胞に関連し、ADCがアクセス可能な細胞表面である抗原としては、非限定的な例として、CD19、CD70、CD30、CD33、CD48、NTB-A、αvβ6、及びCD123が挙げられる。
【0094】
本明細書で使用する用語「抗体薬物結合体」または「ADC」とは、介在するリンカー単位を通じて薬物単位と共有結合している、一部の態様では抗体リガンド単位と呼ばれる抗体残基を指す。当該用語はしばしば、同じ抗体リガンド単位、薬物単位、及びリンカー単位を有する結合体化合物の集合(すなわち、集団または複数のもの)を指し、一部の態様では、このような集合は、各抗体に結合しているリンカー薬物部分の搭載及び/または分布が可変である(例えば、複数のADC化合物における任意の2つのADC化合物の薬物単位(D)の数が同じであるが標的化部分への結合部位の位置は異なる場合)。このような場合、ADCは、これらの結合体化合物における平均の薬物搭載によって説明される。ADC組成物における、抗体リガンド単位またはその断片1つ当たりの平均薬物単位数(すなわち、一部の態様では、主として、集団内に存在するADC化合物の各々における抗体リガンド単位上の結合体化薬物単位の数が異なる、及び/またはそれらの位置が異なるADC結合体化合物の集団についての平均数)。この文脈において、pは、約2~約24、または約2~約20の範囲の数字であり、典型的には約2、約4、または約8である。他の文脈において、pは、抗体薬物結合体化合物の集団内におけるACDの単一の抗体リガンド単位に共有結合している薬物単位数を表し、一部の態様では、この集団の化合物は、主として結合体化薬物単位の数及び/または位置が異なる。この文脈において、pはp’と称され、1~24または1~20の範囲の整数であり、典型的には1~12または1~10、より典型的には1~8の範囲の整数である。
【0095】
結合体化反応からの調製における抗体リガンド単位一つ当たりの平均薬物単位数は、質量分析法、ELISAアッセイ、HIC及び/またはHPLCなどの従来的な方法によって特性決定することができる。p’に関する結合体化合物の定量的分布も決定することができる。ある場合において、p’が、他の薬物搭載を伴うものからのリガンド薬物結合体組成物からのある特定の値の場合における、同質のリガンド薬物結合体化合物の分離、精製、及び特性決定は、逆相HPLCまたは電気泳動などの方法によって達成することがで
きる。
【0096】
「治療有効量」という用語は、哺乳類における疾患または障害の処置に有効な、薬物または薬物の抗体結合体の量を指す。がんの場合、治療有効量の薬物は、がん細胞の数を低減する、腫瘍サイズを低減する、がん細胞が周辺臓器に浸潤するのを阻害する(すなわち、ある程度遅らせ、好ましくは停止させる)、腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度遅らせ、好ましくは停止させる)、腫瘍成長をある程度阻害する、及び/または、がんに関連する症状のうちの1つまたはそれより多くをある程度緩和することができる。薬物が成長を阻害し、及び/または既存のがん細胞を殺滅し得る程度において、薬物は細胞増殖抑制性及び/または細胞傷害性であり得る。がん治療については、有効性は、例えば無増悪期間(TTP)の評価及び/または奏効率(RR)の決定によって測定することができる。
【0097】
「処置する」、「処置」などの用語は、文脈による別段の指示がない限り、治療的処置、及び再発を防止するための予防的手段を指し、ここでは、望ましくない生理学的変化または障害、例えば、がんの発生もしくは拡散、または慢性的炎症からの組織損傷を阻害するもしくは遅らせる(少なくする)ことが目的である。典型的には、このような治療的処置における有益なまたは所望の臨床的結果としては、以下に限定するものではないが、症状の緩和、疾患程度の減弱、疾患状態の安定化(すなわち、悪化していないこと)、疾患進行の遅延または緩速化、疾患状態の改善または軽減、及び寛解(部分的または全体的)が挙げられ、検出可能なものも検出不可能なものも含まれる。また、「処置」は、処置を受けない場合に予想される生存期間またはクオリティーオブライフと比較した、生存期間またはクオリティーオブライフの延長も意味し得る。処置を必要とする者としては、既に状態または障害を有する者、ならびに状態または障害を有する傾向がある者が挙げられる。
【0098】
がんの文脈において、「処置(すること)」という用語は、腫瘍細胞、がん細胞、もしくは腫瘍の成長の阻害、腫瘍細胞もしくはがん細胞の複製の阻害、腫瘍細胞またはがん細胞の播種の阻害、全体的な腫瘍量の低減もしくはがん細胞数の減少、またはがんに関連する1つもしくはそれより多くの症状の改善、のうちのいずれかまたは全てを含む。
【0099】
本明細書において「医薬的に許容される塩」とは、ある化合物の医薬的に許容される有機塩または無機塩を指す。当該化合物は、典型的には少なくとも1つのアミノ基を含有するため、酸付加塩は、このアミノ基を用いて形成され得る。例示的な塩としては、以下に限定するものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩が挙げられる。
【0100】
医薬的に許容される塩は、他の分子(例えば、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオン)を含むことを伴い得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化する任意の有機部分または無機部分であることができる。さらに、医薬的に許容される塩は、その構造内に2つ以上の荷電原子を有することがある。複数の荷電原子が医薬的に許容される塩の一部である場合は複数の対イオンを有し得る。したがって、医薬的に許容される塩は、1つもしくはそれより多くの荷電原子及び/または1つもしくはそれより多くの対イオンを有し得る。典型的には、抗体薬物結合体は医薬的に許容される塩の形態をとる。
【0101】
典型的には、医薬的に許容される塩は、P.H.Stahl and C.G.Wermuth編,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Weinheim/Zuerich:Wiley-VCH/VHCA, 2002に記載のものから選択される。塩の選択は、製剤が示さなければならない性質に依存し、この性質には、意図される投与経路(複数可)に応じた様々なpHにおける妥当な水溶性、操作に好適な流動特性及び低吸湿性(すなわち、相対湿度に対する水吸収)を伴う結晶性、ならびに加速条件下(すなわち、40℃かつ75%相対湿度で保管した場合の分解または固体状態の変化を決定するための条件)における化学的及び固体状態の安定性を決定することによる、必要とされる貯蔵寿命が含まれる。
【0102】
実施形態
【0103】
以下に本発明における複数の実施形態を記載し、その次に、構成要素(例えば、本発明のプロセスに有用な基、試薬、及びステップ)についてのさらに詳細な考察を記載する。当該プロセスの構成要素についての任意の選択された実施形態は、本明細書で説明される本発明の各々の及びあらゆる態様に適用されてもよく、あるいは単一の態様に関連してもよい。選択された実施形態は、薬物リンカー化合物またはその中間体の調製に適した任意の組合せで、一緒に組み合わせることができる。
【0104】
ある群の実施形態では、式ID:
【化7】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
Z
1は第1の好適なアミン保護基であり、
R
7はC
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)、
当該方法が、ステップ:
式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムに接触させることであって、式ICの薬物リンカー中間体化合物が、
【化8】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
R
6の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、残りの可変基は先に定義の通りである)、
当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、ヒドロキシル保護基を選択的に除去し、それにより式IDの化合物またはその塩が得られる、接触させること
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0105】
別の群の実施形態では、式IE:
【化9】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(c)式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムに接触させることであって、式ICの薬物リンカー中間体化合物が、
【化10】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
Z
1は第1の好適なアミン保護基であり、
R
6及びR
7の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、残りの可変基は先に定義の通りである)、
当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、ヒドロキシル保護基を選択的に除去して式ID:
【化11】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(d)式IDの薬物リンカー中間体化合物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、
当該第1の脱保護剤の接触が、アミン保護基及びカルボン酸保護基を除去し、それによって式IEの薬物リンカー中間体化合物またはその塩が得られる、接触させることと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0106】
別の群の実施形態では、式ID:
【化12】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
Z
1は第1の好適なアミン保護基であり、
L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロから選択される基であり、
R
7は、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(a)式IAの薬物リンカー中間体化合物を、第2の脱保護剤に接触させることであって、式IAの化合物が、
【化13】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
Z
2は第2の好適なアミノ保護基であり、
R
6の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供する)、
当該第2の脱保護剤の接触が、Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式IB:
【化14】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(b)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式iv
【化15】
(式中、R
8は活性化エステルであり、
下付き文字nは2~24の範囲の整数である)
の化合物に接触させること、
あるいは
(b’)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式IC:
【化16】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する)、
と、
(c)式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、
当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、ヒドロキシル保護基を選択的に除去して、式IDの薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、接触させることと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0107】
別の群の実施形態では、式IE:
【化17】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
下付き文字はが2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(a)式IAの薬物リンカー中間体化合物を、第2の脱保護剤に接触させることであって、式IAの薬物リンカー中間体化合物が、
【化18】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
R
6の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)、
当該第2の脱保護剤の接触が、Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式IB:
【化19】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)
を提供する、接触させることと、
(b)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化20】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に接触させること、
あるいは
(b’)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、第1の活性化剤の存在下で、好適な溶媒中で式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、下付き文字nは2~24の範囲の整数である)に接触させること
(ここで、当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式IC:
【化21】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物
(式中、可変基は先に定義の通りである))を提供する、
と、
(c)式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、
当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、ヒドロキシル保護基を選択的に除去して式ID:
【化22】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(d)式IDの薬物リンカー中間体化合物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、
当該第1の脱保護剤の接触が、Z
1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去し、それによって式IEの薬物リンカー中間体化合物またはその塩が得られる、接触させることと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0108】
別の群の実施形態では、式I:
【化23】
またはその塩の薬物リンカー中間体もしくは薬物リンカー化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1、L
2、及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロから選択される基であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(c)式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、式ICの化合物が、
【化24】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
残りの可変基は先に定義の通りである)、
当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、ヒドロキシル保護基を選択的に除去して式ID:
【化25】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物
(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(d)式IDの薬物リンカー中間体化合物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、
当該脱保護剤の接触が、Z
1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去して、式IE:
【化26】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物
(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(e)式IEの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式v:
【化27】
またはその塩の化合物(式中、L
2は先に定義の通りである)に、第2の活性化剤の存在下で接触させることであって、
当該式vの接触が、式Iの薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物を提供する、接触させることと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0109】
別の群の実施形態では、式I:
【化28】
またはその塩の薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物を調製する方法であって、(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1、L
2、及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロから選択される基であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(a)式IAの薬物リンカー中間体化合物を、第2の脱保護剤に接触させることであって、式IAの薬物リンカー中間体化合物が、
【化29】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
R
6及びR
7の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフ
ェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数であり、
残りの可変基は先に定義の通りである)、
当該第2の脱保護剤の接触が、Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式IB:
【化30】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(b)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化31】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、
下付き文字nが2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
に接触させること、
あるいは
(b’)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、第1の活性化剤の存在下で、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に接触させること
(ここで、当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式IC:
【化32】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)
を提供する)、
と、
(c)式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって
、
当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、ヒドロキシル保護基を選択的に除去して式ID:
【化33】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(d)式IDの薬物リンカー中間体化合物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、
当該第1の脱保護剤の接触が、Z
1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去して、式IE:
【化34】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(e)式IEの薬物リンカー中間体化合物を、式v:
【化35】
またはその塩の化合物(式中、L
2が先に定義の通りである)に、第2の活性化剤の存在下で接触させることであって、
当該式vの接触が、式Iの薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物を提供する、接触させることと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0110】
別の群の実施形態では、式I:
【化36】
またはその塩の薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物を調製する方法であって、(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1、L
2、及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロから選択される基であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(b)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化37】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に接触させること、
あるいは
(b’)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に、第1の活性化剤の存在下で、接触させること
(ここで、式IBの薬物リンカー中間体化合物は、
【化38】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
6及びR
7の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数であり、
残りの可変基は先に定義の通りである)
当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式IC:
【化39】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである))を提供する、
と、
(c)式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、
当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、ヒドロキシル保護基を選択的に除去して式ID:
【化40】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(d)式IDの薬物リンカー中間体化合物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、
当該第2の脱保護剤の接触が、Z
1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去して、式IE:
【化41】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(e)式IEの薬物リンカー中間体化合物を、第2の活性化剤の存在下で、式v:
【化42】
またはその塩の化合物(式中、L
2は先に定義の通りである)に接触させることであって、
当該式vの接触が、式Iの薬物リンカー中間体もしくは薬物リンカー化合物またはその塩を提供する、接触させることと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0111】
他の実施形態では、式IID:
【化43】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
7は、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)、
当該方法が、ステップ:
(c)式IICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、式IICの薬物リンカー中間体化合物が、
【化44】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
R
6の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、
残りの可変基は先に定義の通りである)
当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、薬物リンカー中間体である式IICの化合物またはその塩を提供する、接触させること
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0112】
他の実施形態では、式IID:
【化45】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
7は、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、-OR
7が好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)、
当該方法が、ステップ:
(a)式IIAの薬物リンカー中間体化合物を、第2の脱保護剤に接触させることであって、式IIAの薬物リンカー中間体化合物が、
【化46】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
Z
2は第2の好適なアミノ保護基であり、
R
6の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供する)、
当該第2の脱保護剤の接触が、Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式IIB:
【化47】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(b)式IIBの薬物リンカー中間体を、好適な溶媒中で、式iv:
【化48】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に接触させること、
あるいは
(b’)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、式ivの化合物(式中、R
8は-CO
OHであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式IIC:
【化49】
の薬物リンカー中間体化合物を提供する)と、
(c)式IICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、
当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、式IIDの薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、接触させることと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0113】
他の実施形態では、式IID:
【化50】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
7は、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、-OR
7が好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(b)式IIBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化51】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に接触させること、
あるいは
(b’)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、式IIBの薬物リンカー中間体化合物は、
【化52】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
R
6の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、残りの可変基は先に定義の通りである)
当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式IIC:
【化53】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する)
と、
(c)式IICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニ
ャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、
当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、式IIDの薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、接触させることと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0114】
他の実施形態では、式IIE:
【化54】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(c)式IICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることと、
(d)ステップ(c)の生成物を脱保護剤に接触させることであって、当該脱保護剤が好適な塩基の水含有溶液である、接触させることと、
を含み、
式IICの薬物リンカー中間体化合物が、
【化55】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
6及びR
7の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
残りの可変基は先に定義の通りである)
当該ステップ(c)及び(d)の接触が式IIEの薬物リンカー中間体化合物を提供する、
方法が本明細書で提供される。
【0115】
他の実施形態では、式IIE:
【化56】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(b)式IIBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化57】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に接触させること、
あるいは
(b’)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、nは2~24の範囲の整数である)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、式IIBの薬物リンカー中間体化合物は、
【化58】
の構造を有し、
当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式IC:
【化59】
の薬物リンカー中間体化合物を提供する)と、
(c)式IICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることと、
(d)ステップ(c)の生成物を第2の脱保護剤に接触させることであって、第2の脱保護剤が好適な塩基の水含有溶液である、接触させることと、
を含み、
当該ステップ(c)及び(d)の接触が式IIEの薬物リンカー中間体化合物を提供する、
方法が本明細書で提供される。
【0116】
他の実施形態では、式IIE:
【化60】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(a)式IIAの薬物リンカー中間体化合物を、第2の脱保護剤に接触させることであって、式IIAの薬物リンカー中間体化合物が、
【化61】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、
R
6及びR
7の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供する)当該第2の脱保護剤の接触が、Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式IIB:
【化62】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(b)式IIBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化63】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に接触させること、
あるいは
(b’)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式IIC:
【化64】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する)
と、
(c)式IICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムに接触させることと、
(d)ステップ(c)の生成物を第1の脱保護剤に接触させることであって、第1の脱保護剤が好適な塩基の水含有溶液である、接触させることと、
を含み、
当該ステップ(c)及び(d)の接触が式IIEの薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、
方法が本明細書で提供される。
【0117】
他の実施形態では、式IIF:
【化65】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
Z
3は、酸不安定性の第3の好適なアミノ保護基であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(c)式IICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることと、
(d)ステップ(c)の生成物を、好適な塩基の水含有溶液である第1の脱保護剤に接
触させること
(ここで、式IICの薬物リンカー中間体化合物は、
【化66】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
6及びR
7の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
残りの可変基は先に定義の通りである)
当該ステップ(c)または(d)の接触は、式IIEの薬物リンカー中間体化合物を提供し、
式IIEの薬物リンカー中間体化合物は、
【化67】
またはその塩の構造(式中、可変基は先に定義の通りである)を有する)
と、
式IIEの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式v:
【化68】
またはその塩の化合物に、第1の活性化剤の存在下で接触させることであって、当該式vの接触が、式IIFの薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、接触させることと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0118】
他の実施形態では、式IIF:
【化69】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
Z
3は、酸不安定性の第3の好適なアミノ保護基であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(b)式IIBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化70】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に接触させること、
あるいは
(b’)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、式IIBの薬物リンカー中間体化合物は、
【化71】
の構造を有し、
(式中、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
6及びR
7の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
残りの可変基は先に定義の通りである)
当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式IIC:
【化72】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する)
と、
(c)式IICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムに接触させることと、
(d)ステップ(c)の生成物を第1の脱保護剤に接触させることであって、第1の脱保護剤が好適な塩基の水含有溶液である、接触させること
(ここで、当該ステップ(c)または(d)の接触は、式IIEの薬物リンカー中間体化合物を提供し、
式IIEの薬物リンカー中間体化合物は、
【化73】
またはその塩の構造(式中、可変基は先に定義の通りである)を有する)
と、
(e)式IIEの薬物リンカー中間体化合物を、第2の活性化剤の存在下で、式v:
【化74】
またはその塩の化合物に接触させることであって、
当該式vの接触が、式IIFの薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、接触させることと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0119】
他の実施形態では、式IIF:
【化75】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物部分であり、
Z
3は、酸不安定性の第3の好適なアミノ保護基であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
(a)式IIAの薬物リンカー中間体化合物を、第2の脱保護剤に接触させることであって、式IIAの薬物リンカー中間体化合物が、
【化76】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
Z
2は第2の好適なアミノ保護基であり、
R
6及びR
7の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供する)当該第2の脱保護剤の接触が、Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式IIB:
【化77】
またはその塩の化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、接触させることと、
(b)式IIBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化78】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に接触させること、
あるいは
(b’)式IIBの薬物リンカー中間体化合物を、式ivの化合物(式中、R
8は-C
OOHであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式IIC:
【化79】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する)
と、
(c)式IICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムに接触させることと、
(d)ステップ(c)の生成物を、好適な塩基の水含有溶液である第1の脱保護剤に接触させること
(ここで、当該ステップ(c)及び(d)の接触は、式IIE:
【化80】
の薬物リンカー化合物を提供する)と、
(e)式IIEの薬物リンカー中間体を、第2の活性化剤の存在下で、式v:
【化81】
の化合物(式中、Z
3は先に定義の通りである)に接触させて、式IIFの薬物リンカー中間体化合物またはその塩を形成することと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0120】
他の実施形態では、式II:
【化82】
またはその塩の薬物リンカー化合物を調製する方法であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物部分であり、
下付き文字nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)
当該方法が、ステップ:
式IIFの薬物リンカー中間体化合物を、酸性の水含有溶媒である第3の脱保護剤に接触させることであって、式IIFの化合物が、
【化83】
またはその塩の構造を有し、
(式中、Z
3は、酸不安定性の第3のアミノ保護基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)
式IIFの薬物リンカー中間体化合物が、当該化合物を提供する前述の方法のいずれか1つに従って調製される、接触させること
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0121】
前述の方法のいずれか1つの選択された実施形態では、式I、式IA、式IB、式IC、式ID、式IE、式II、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式IIE、及び/または式IIFの化合物におけるアウリスタチン薬物単位(D)は、
【化84】
の構造を有する
(式中、波線は、Dと薬物リンカー化合物構造における薬物リンカー中間体の残部との共有結合を示し、
R
11は、H及びC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、
R
12は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、
R
13は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、
R
14は、H及びメチルからなる群から選択され、
あるいは、R
13及びR
14は、一緒になって炭素環式環を形成し、式-(CR
aR
b)
n-(式中、R
a及びR
bは独立して、H、C
1-C
8アルキル、及びC
3-C
8炭素環からなる群から選択され、nは、2、3、4、5、及び6からなる群から選択される)を有し、
R
15は、H及びC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、
R
16は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、
各R
17は独立して、H、OH、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、及びO-(C
1-C
8アルキル)からなる群から選択され、
R
18は、H及びC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、
R
19は、-C(R
17)
2-C(R
17)
2-アリール、-C(R
17)
2-C(R
17)
2-(C
3-C
8ヘテロ環)、-C(R
17)
2-C(O)-ZR
20、及び-C(R
17)
2-C(R
17)
2-(C
3-C
8炭素環)からなる群から選択され、
Zは-O-または-NH-であり、
R
20は、H、C
1-C
8アルキル、アリール、及びC
3-C
8ヘテロシクリルからなる群から選択される)。
【0122】
これらの実施形態の一部では、アウリスタチン薬物単位は、式D
E-1、D
E-2、またはD
F-1:
【化85】
の構造によって表される
(式中、Arは、任意選択により置換されたフェニルまたはC
3-C
8ヘテロシクリルである)。
【0123】
一部の実施形態では、前述の方法のいずれか1つにおける式I、式IA、式IB、式IC、式ID、式IE、式II、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式IIE、及び/または式IIFの化合物のアウリスタチン薬物単位は、式DE-1、DE-2、またはDF-1のものであり、式中、R11は好ましくはメチルである。
【0124】
他の実施形態では、前述の方法のいずれか1つにおける式I、式IA、式IB、式IC、式ID、式IE、式II、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式IIE、及び/または式IIFの化合物のアウリスタチン薬物単位は、式DE-1またはDE-2の構造を有し、式中、Arは好ましくは、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換された2-ピリジルである。
【0125】
他の実施形態では、前述の方法のいずれか1つにおける式I、式IA、式IB、式IC、式ID、式IE、式II、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式IIE、及び/または式IIFの化合物のアウリスタチン薬物単位は、式DF-1によって表され、好ましくは-Z-は-O-であり、R20は低級アルキルである。代替的に、好ましくは、Zは-NH-であり、R20は、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換されたヘテロアリールである。
【0126】
より好ましい実施形態では、前述の方法のいずれか1つにおける式I、式IA、式IB、式IC、式ID、式IE、式II、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式IIE、及び/または式IIFの化合物のアウリスタチン薬物単位は、D
F/E-3:
【化86】
の構造を有する
(式中、R
13はイソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phであり、波線は、当該化合物構造の残部に対する結合部位を示す)。
【0127】
特に好ましい実施形態では、前述の方法のいずれか1つにおける式I、式IA、式IB、式IC、式ID、式IE、式II、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式IIE、及び/または式IIFの化合物のアウリスタチン薬物単位は、
【化87】
の構造を有する
(式中、波線は、当該化合物構造の残部に対する結合部位を示す)。
【0128】
別の群の実施形態では、式10:
【化88】
またはその塩の薬物リンカー化合物を調製する方法であって、
(式中、
nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数であり、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリール、C
5-C
10ヘテロアリール、またはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5または-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)
当該方法が、ステップ:
(a)式4:
【化89】
の薬物リンカー中間体化合物
(式中、
R
6及びR
7の各々は独立して、C
1-C
8アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるアシル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミン保護基である)
を、第2の脱保護剤と接触させることであって、当該第2の脱保護剤の接触が、Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式5:
【化90】
の薬物リンカー化合物を提供する、接触させることと、
(b)式5の薬物リンカー中間体を、好適な溶媒中で、式iv:
【化91】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に接触させること、
あるいは
(b’)式5の薬物リンカー中間体化合物を、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数である)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、当該ステップ(b)または(b’)の接触は、式6:
【化92】
の薬物リンカー中間体化合物を提供する)と、
(c)式6の薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、ヒドロキシル保護基を選択的に除去して、式7:
【化93】
の薬物リンカー中間体化合物を提供する、接触させることと、
(d)式7の化合物を、好適な塩基の水性溶液に接触させることであって、当該接触が
Z
1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去して、式8:
【化94】
の薬物リンカー中間体化合物を提供する、接触させることと、
(e)式8の薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、第2の活性化剤(second
activating)の存在下で、式v:
【化95】
の化合物(式中、Z
3は第3の好適なアミノ保護基である)に接触させることであって、当該式vの接触が、式9:
【化96】
の薬物リンカー中間体化合物を提供する、接触させることと、
(f)式9の薬物リンカー中間体化合物を、第3の脱保護剤に接触させることであって、当該接触がZ
3アミノ保護基を除去して、式10の薬物リンカー化合物を提供する、接触させることと、
を含む、方法が本明細書で提供される。
【0129】
一部の好ましい実施形態では、式10の薬物リンカー化合物の可変基は、以下の通り:R1は水素またはメチルであり、R2は水素であり、Tは-CH(OR4)-R5(式中、R4は水素またはメチルであり、R5はC6-C10アリール、例えば、任意選択により置換されたフェニルである)である。より好ましくは、R1はメチルであり、R2は水素であり、TはCH(OH)Phである。
【0130】
式10の薬物リンカー化合物を調製する方法における一部の実施形態では、式vの化合物は、以下の化学構造:
【化97】
を有し、
式9の薬物リンカー中間体化合物は、以下の化学構造:
【化98】
を有する
(式中、残りの可変基は先に定義の通りである)。
【0131】
式10の薬物リンカー化合物を調製する方法における一部の実施形態では、式vの化合物は、以下の化学構造:
【化99】
を有し、
式9の薬物リンカー中間体は、以下の化学構造:
【化100】
を有する
(式中、残りの可変基は先に定義の通りである)。
【0132】
本発明の方法におけるある特定の実施形態では、式10の薬物リンカー化合物は、式10-(S)もしくは式10-(R):
【化101】
またはその塩の構造を有する。
【0133】
前述の方法のいずれか1つにおけるある特定の実施形態では、式IA、式IB、式IC
、式IIA、式IIB、式IIC、式4、式5、及び/または式6の薬物リンカー中間体化合物における各R6は、C1-C4アルキルである。より好ましくは、各R6はメチルである。
【0134】
前述の方法のいずれか1つにおけるある特定の実施形態では、式IA、式IB、式IC、式ID、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式4、式5、式6、及び/または式7の薬物リンカー中間体化合物におけるR7は、C1-C4アルキルである。より好ましくは、R7はメチルである。
【0135】
特に好ましい実施形態では、式IA、式IB、式IC、式IIA、式IIB、式IIC、式4、式5、及び/または式6の薬物リンカー中間体化合物におけるR6及びR7の各々は、C1-C4アルキルである。このような実施形態では、R6及びR7の各々がメチルであることがとりわけ好ましい。
【0136】
本発明の方法における選択された実施形態では、式IA、式IB、式IC、式ID、式IE、及び/または式Iの化合物のL1は、任意選択により置換されたC1-C6アルキレンまたは任意選択により置換されたC4-C10ヘテロアルキレンであり、好ましくは、L1はC1-C6アルキレンであり、より好ましくは、L1は非置換のC2アルキレンである。
【0137】
本発明の方法における他の選択された実施形態では、式I及び/または式vの化合物のL2は、任意選択により置換されたC1-C6アルキレンまたは任意選択により置換されたC4-C10ヘテロアルキレンである。好ましくは、L2は置換されたC1-C6アルキレンであり、より好ましくは、L2は-CH2NH2またはCH2NHZ3(式中、Z3はアミノ保護基である)で置換されたメチレンである。一部の好ましい実施形態では、L2は-CH(CH2NHBoc)-である。
【0138】
本発明の方法におけるある特定の実施形態では、式IA、式IB、式IC、式ID、式IE、及び/または式Iの化合物におけるL3は、任意選択により置換されたC1-C6アルキレンまたは任意選択により置換されたC4-C10ヘテロアルキレンである。好ましくは、L3はC1-C6アルキレンであり、より好ましくは、L3は非置換のC4アルキレンであり、さらにより好ましくは、L3はn-ブチレンである。
【0139】
本発明の方法における一部の実施形態では、式IA、式IB、式IC、式ID、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式4、式6、及び/または式7の薬物リンカー中間体化合物における第1のアミノ保護基Z1は、当該化合物を塩基に接触させることによって選択的に除去され得るアミノ保護基である。一部の好ましい実施形態では、Z1はFMOCである。様々な塩基をZ1の除去に使用することができる。好ましい塩基としては、NaOH、KOH、NaHCO3、及びLiOHが挙げられる。最も好ましくは、塩基はLiOHである。
【0140】
本発明の方法における選択された実施形態では、式IIA及び式4の化合物における第2のアミノ保護基Z
2は、酸不安定性のアミン保護基である。このような方法におけるある特定の好ましい実施形態では、Z
2は式:
【化102】
を有する
(式中、YはHまたは-OMeであり、波線は、当該化合物構造の残部に対する結合部位を示す)。最も好ましくは、Z
2はMMTr(Y=-OMe)である。
【0141】
保護基Z2の除去は、任意の好適な方法で行われ得る。本願で特許請求する方法における一部の実施形態では、Z2の除去は酸との接触によって達成される。任意の好適な酸、好ましくは約0から約3の間のpKaを有する酸を使用することができる。より好ましくは、酸はトリクロロ酢酸またはトリフルオロ酢酸である。
【0142】
本発明の方法における選択された実施形態では、式ivの化合物におけるR8は、活性化エステル基である。
【0143】
本明細書において使用される場合、活性化エステル基とは、自発的にアミノ基と反応してアミドを形成し得るエステル基である。一部の実施形態では、活性化エステル基は、p-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、及びスクシンイミドから選択される。より好ましい実施形態では、式ivの化合物は、構造:
【化103】
を有する
(式中、nは2~24の範囲である、または2~24の範囲の整数であり、好ましくは8~16の範囲の整数である)。最も好ましくは、nは12である。
【0144】
本願で特許請求する方法における一部の実施形態では、式ivの化合物におけるR8が-COOHである場合、当該式ivの、式IBまたは式IIBの薬物リンカー中間体化合物との接触は、好適な第1の活性化剤の存在下で行われる。好ましくは、当該第1の活性化剤は、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩/N-ヒドロキシスクシンイミド、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、ジフェニルホスホリルアジド
(DPPA)、クロロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムテトラフルオロホウ酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、1,1’-カルボニルジイミダゾール、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド、またはプロピルホスホン酸無水物の溶液から選択される。
【0145】
任意の好適な溶媒または溶媒の混合液を、式ivの化合物の、式IBまたは式IIBの薬物リンカー中間体化合物との接触に使用することができる。一部の実施形態では、溶媒は非プロトン性溶媒であり、これには、アセトニトリル、THF、2-メチル-THF、ジクロロメタン、ジオキサン、DMF、NMP、及びその混合液からなる群から選択される溶媒が含まれる。好ましくは、溶媒はジクロロメタンを含む。
【0146】
前述の方法のいずれかにおける選択された実施形態では、グリニャール試薬は式RgMgXを有し、式中、RgはC1-C5アルキルまたはフェニルであり、XはI、Br、またはClである。好ましい実施形態では、グリニャール試薬はMeMgIである。
【0147】
前述の方法のいずれかにおけるある特定の実施形態では、ハロゲン化アルコキシマグネシウムは式RgOMgXを有し、式中、RgはC1-C5アルキルまたはフェニルであり、XはI、Br、またはClである。好ましい実施形態では、ハロゲン化アルコキシマグネシウムはMeOMgClである。
【0148】
前述の方法におけるある特定の実施形態では、当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの、式IC、式IIC、または式6の薬物リンカー中間体化合物との接触は、好適なアルコール含有溶媒中で行われる。好ましくは、アルコール含有溶媒は、C1-C4アルコール、より好ましくはメタノールまたはエタノール、最も好ましくはメタノールから構成される。一部の実施形態では、好適なアルコール含有溶媒は、C1-C4アルコールと、アルコール以外の1種またはそれより多くの他の溶媒との混合液である。好ましくは、この他の溶媒はTHFまたは2-メチル-THFである。
【0149】
一部の実施形態では、当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの、式IC、式IIC、または式6の薬物リンカー中間体化合物との接触は、メタノール及び2-メチル-THFの1:1(V/V)混合液中で行われる。一部の実施形態では、式IC、式IIC、または式6の薬物リンカー中間体化合物を、メタノール及び2-メチル-THFの1:1(v/v)混合液、またはメタノール及びTHFの1:1(v/v)混合液に溶解し、式IC、式IIC、または式6の薬物リンカー中間体化合物の溶液を、グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムに接触させる。好ましい実施形態では、アルコール含有ハロゲン化アルコキシマグネシウム溶液は、アルコール含有溶媒中でグリニャール試薬に接触させることによってin situで形成され、これを式IC、式IIC、または式6の薬物リンカー中間体化合物溶液に接触させる。
【0150】
ステップ(c)を挙げている方法実施形態において、式IC、式IIC、または式6の薬物リンカー中間体化合物を、グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのアルコール含有溶液に接触させることは、HPLCによる決定で、約10%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、または約3重量%未満の不純物を含有する、式ID、式IID、または式7の脱保護された薬物リンカー中間体生成物を提供し、この生成物においては、R
6C(=O)-ヒドロキシル保護基がエス
テル交換によって除去され、不純物は、
【化104】
の構造を有するベータ脱離グルクロン酸部分を含み、
式中、波線は、式ID、式IID、または式7の薬物リンカー中間体化合物のPAB(p-アミノベンジル)自壊的スペーサー単位のフェニル部分との結合部位を示す。前述の方法におけるある特定の実施形態では、式IC、式IIC、または式6の薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させたことによる生成物は、HPLCによる決定で、約90%より高い純度、約93%より高い純度、約94%より高い純度、約95%より高い純度、約96%より高い純度、または約97%より高い純度である。
【0151】
前述の方法における一部の実施形態では、式IC、式IIC、または式6の薬物リンカー中間体化合物を、アルコール含有グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウム溶液に接触させたことによる生成物は、Z1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去する第2の脱保護剤(Z1及びR7は先に定義の通りである)に接触させて、式IE、式IIE、または式8の薬物リンカー中間体化合物を提供する。好ましくは、当該第2の脱保護剤の接触は、当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムを接触させたことによる式ID、式IID、または式7の薬物リンカー中間体生成物を単離することなく行われる。一部の好ましい実施形態では、当該グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触、及び当該第2の脱保護剤の接触は、ワンポットで順次行われる。一部の好ましい実施形態では、第2の脱保護剤は、塩基の水含有溶液である。好ましくは、塩基はLiOHである。
【0152】
前述の方法における選択された実施形態では、当該式vを、式IE、式IIE、及び/または式8の薬物リンカー中間体化合物に接触させて式IIFもしくは式9の薬物リンカー中間体化合物または式IIの薬物リンカー化合物を提供することは、第2の活性化剤の存在下で行われる。好ましくは、第2の活性化剤は、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩/N-ヒドロキシスクシンイミド、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、クロロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムテトラフルオロホウ酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、1,1’-カルボニルジイミダゾール、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド、またはプロピルホス
ホン酸無水物の溶液である。好ましくは、第2の活性化剤は、EDC・HCl、EEDQ、及びCOMUの溶液から選択される。最も好ましくは、活性化剤はCOMUの溶液である。
【0153】
前述の方法における一部の実施形態では、式IE、式IIE、または式8の化合物を式vの化合物に接触させることは、塩基の存在下でも行われる。任意の好適な塩基がこのステップの実行に使用され得る。好ましくは、塩基は式(CH3)2C5H3Nのものであり、より好ましくは、塩基は2,6-ルチジンである。
【0154】
前述の方法におけるある特定の実施形態では、式4の化合物は、式3:
【化105】
(式中、全ての可変基は先に定義の通りである)を、好適な溶媒中で、式iii:
【化106】
の化合物(式中、式iiiの化合物の全ての可変基は、この式を挙げている実施形態のいずれか1つによって先に定義されている通りである)と共に、カルバメートカップリング剤に接触させることを含むプロセスによって調製され、当該接触は式4の薬物リンカー中間体化合物を生成する。
【0155】
ある特定の実施形態では、カルバメートカップリング剤は、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル(ジホスゲン)、炭酸ビス(トリクロロメチル)(トリホスゲン)、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、または1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)の各溶液である。好ましくは、カルバメートカップリング剤は、1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)溶液である。
【0156】
前述の方法におけるある特定の実施形態では、式3の薬物リンカー中間体化合物は、式1:
【化107】
の化合物
(式中、式1の化合物における全ての可変基は、この化合物を挙げている実施形態のいずれか1つによって先に定義されている通りである)を、式2
【化108】
の化合物(式中、式2における全ての可変基は、この式を挙げている実施形態のいずれか1つによって先に定義されている通りである)と共に、第3の活性化剤に接触させることを含むプロセスによって調製され、当該第3の活性化剤の接触は式3の薬物リンカー中間体化合物を提供する。好ましくは、第3の活性化剤は、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩/N-ヒドロキシスクシンイミド、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、クロロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムテトラフルオロホウ酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、1,1’-カルボニルジイミダゾール、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド、またはプロピルホスホン酸無水物の溶液である。より好ましくは、活性化剤はEDC・HCl、EEDQ、またはCOMUの各溶液であり、最も好ましくは、活性化剤はCOMUの溶液である。
【0157】
本発明におけるこれらの態様及びその他の態様は、以下の非限定的な番号付き実施形態を参照することによって、さらに十分に理解することができる。特定の使用材料、プロトコル、及び条件は、本発明のさらなる例示を意図しており、本発明の妥当な範囲を限定するように解釈すべきものではない。
【0158】
番号付き実施形態
【0159】
以下の番号付き実施形態は、本発明の様々な態様を例示するものであり、いかなる形においても本発明を限定することは意図されていない。
【0160】
1.式ID:
【化109】
またはその塩の薬物リンカー中間体を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
2の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法が、ステップ:
(c)式ICの化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、前記式ICの化合物が、
【化110】
の構造を有する、前記接触させることを含み、
(式中、R
6の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選
択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、残りの可変基は先に記載の通りである)
前記グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、前記ヒドロキシル保護基を選択的に除去して前記式ICの化合物を提供する、
前記方法。
【0161】
2.式IE:
【化111】
またはその塩の薬物リンカー中間体を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
2の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法が、ステップ:
(c)式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、前記式ICの薬物リンカー中間体化合物が、
【化112】
またはその塩の構造を有し、
(式中、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)、前記グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、前記ヒドロキシル保護基を選択的に除去する、前記接触させることと、
(d)ステップ(c)の生成物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、前記第1の脱保護剤の接触が、前記Z
1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去して前記式IEの薬物リンカー中間体化合物を提供する、前記接触させることと、を含む、
前記方法。
【0162】
3.L1及びL3の各々が独立してC1-C4アルキレンである、実施形態1または2に記載の方法。
【0163】
4.前記式IC及び式IDの薬物リンカー中間体化合物が、
【化113】
またはその塩の構造を有する、実施形態1に記載の方法。
【0164】
5.前記式IC及び式IEの薬物リンカー中間体化合物が、
【化114】
またはその塩の構造を有する、実施形態2に記載の方法。
【0165】
6.式I:
【化115】
またはその塩の薬物リンカー化合物を調製する方法であって、(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法が、ステップ:
(a)式IAの薬物リンカー中間体を、第2の脱保護剤に接触させることであって、前記式IAの薬物リンカー中間体化合物が、
【化116】
またはその塩の構造を有し、
(式中、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)
前記第2の脱保護剤の接触が、前記Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式IB
【化117】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)
を提供する、前記接触させることと、
(b)前記式IBの化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化118】
の化合物(式中、R
8は活性化エステル基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)
に接触させること、
あるいは
(b’)前記式IBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、残りの可変基は先に定義の通りである)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、前記接触ステップ(b)または(b’)は、式IC:
【化119】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する)
と、
(c)前記式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであ
って、前記グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、ヒドロキシル保護基を選択的に除去して、式ID:
【化120】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、前記接触させることと、
(d)前記式IDの薬物リンカー中間体化合物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、前記第1の脱保護剤の接触が前記Z
1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去して、式IE:
【化121】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、前記接触させることと、
(e)前記式IEの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、第2の活性化剤の存在下で、式v:
【化122】
の化合物またはその塩(式中、L
2は先に定義の通りである)に接触させることであって、
前記式vの接触が、前記式Iの薬物リンカー化合物またはその塩を提供する、前記接触させることと、
を含む、前記方法。
【0166】
7.L1及びL3の各々が独立して、C1-C4アルキレンであり、L2が独立して、任意選択により置換されたC1-C4アルキレンである、実施形態6に記載の方法。
【0167】
8.式II:
【化123】
またはその塩の薬物リンカー化合物(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)を調製する方法であって、
前記方法が、ステップ:
(a)式IIAの薬物リンカー中間体化合物を、第2の脱保護剤に接触させることであって、前記式IIAの薬物リンカー中間体化合物が、
【化124】
またはその塩の構造を有し、
(式中、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基である)
前記第1の脱保護剤の接触が、式IIB:
【化125】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、前記接触させることと、
(b)前記式IIBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式ivの化合物に接触させること、
【化126】
(式中、R
8は活性化エステルであり、下付き文字nは先に定義の通りである)
あるいは
(b’)前記式IIBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、下付き文字nは先に定義の通りである)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、前記ステップ(b)または(b’)の接触は、式IIC:
【化127】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する)
と、
(c)前記式IICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、前記グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、前記ヒドロキシル保護基を選択的に除去して、式IID:
【化128】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、前記接触させることと、
(d)前記式IIDの薬物リンカー中間体化合物を、第2の脱保護剤に接触させることであって、前記第2の脱保護剤の接触が前記アミン保護基及びカルボン酸保護基を除去して、式IIE:
【化129】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、前記接触させることと、
(e)前記式IIEの薬物リンカー中間体化合物を、第2の活性化剤の存在下で、式v:
【化130】
の化合物(式中、Z
3は第3の好適なアミノ保護基である)に接触させて、
式IIF:
【化131】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を形成することと、
(d)前記式IIFの薬物リンカー中間体化合物を、第3の脱保護剤に接触させることであって、前記第3の脱保護試薬の接触が前記Z
3アミノ保護基を除去し、それによって前記式IIの薬物リンカー化合物またはその塩が提供される、接触させることと、
を含む、前記方法。
【0168】
9.Z3が、酸不安定性の第3のアミノ保護基、特に-C(=O)O-t-Buである、実施形態8に記載の方法。
【0169】
10.前記アウリスタチン薬物単位(D)が、
【化132】
の構造を有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法
(式中、波線は、Dと前記式IIの薬物リンカー化合物の残部との共有結合を示し、R
11は、H及びC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、R
12は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、R
13は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、R
14は、H及びメチルからなる群から選択され、あるいはR
13及びR
14は一緒になって炭素環式環を形成し、式-(CR
aR
b)
n-(式中、R
a及びR
bは独立して、H、C
1-C
8アルキル、及びC
3-C
8炭素環からなる群から選択される)を有し、nは、2、3、4、5、及び6からなる群から選択され、R
15は、H及びC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、R
16は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8
ヘテロ環)からなる群から選択され、各R
17は、H、OH、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、及びO-(C
1-C
8アルキル)からなる群から独立して選択され、R
18が、H及びC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、R
19は、-C(R
17)
2-C(R
17)
2-アリール、-C(R
17)
2-C(R
17)
2-(C
3-C
8ヘテロ環)、-C(R
17)
2-C(O)-ZR
20、及び-C(R
17)
2-C(R
17)
2-(C
3-C
8炭素環)からなる群から選択され、Zは-O-または-NH-であり、R
20は、H、C
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリール、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリール、及びC
3-C
8ヘテロシクリルからなる群から選択される)。
【0170】
11.前記アウリスタチン薬物単位(D)が、式D
E-1、D
E-2、またはD
F-1:
【化133】
の構造(式中、Arは、任意選択により置換されたC
6-C
10アリールまたは任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクリルである)
を有する、実施形態10に記載の方法。
【0171】
12.Dが式DE-1の構造を有する、実施形態11に記載の方法。
【0172】
13.Dが式DE-2の構造を有する、実施形態11に記載の方法。
【0173】
14.Dが式DF-1の構造を有する、実施形態11に記載の方法。
【0174】
15.Arが、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換された2-ピリジルである、実施形態12または13に記載の方法。
【0175】
16.-Z-が-O-であり、R20がC1-C4アルキルである、実施形態14に記載の方法。
【0176】
17.Zが-NH-であり、R20が、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換されたC5-C6ヘテロアリールである、実施形態14に記載の方法。
【0177】
18.R11がメチルである、実施形態10~17のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
19.Dが式D
F/E-3:
【化134】
の構造(式中、R
13はイソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phである)
を有する、実施形態10に記載の方法。
【0179】
20.Dが、
【化135】
の構造を有する、実施形態10に記載の方法。
【0180】
21.
【化136】
またはその塩の構造を有する式8の薬物リンカー中間体を調製する方法であって、
(式中、下付き文字nは2~24の範囲であり、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10
アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)
前記方法が、ステップ:
(c)式6の薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、前記式6の薬物リンカー中間体化合物が、
【化137】
の構造(式中、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)を有する、前記接触させることと、
(d)ステップ(c)の生成物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、前記第1の脱保護剤が塩基の水性溶液である、前記接触させることと、
を含み、(c)及び(d)のステップが、前記式8の薬物リンカー中間体化合物を提供する、
前記方法。
【0181】
22.
【化138】
またはその塩の構造を有する式10の薬物リンカー化合物を調製する方法であって、
(式中、下付き文字nは2~24の範囲であり、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)
前記方法が、ステップ:
(a)式4の薬物リンカー中間体化合物を、第2の脱保護剤に接触させることであって、前記式4の薬物リンカー中間体化合物が、
【化139】
またはその塩の構造
(式中、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)を有し、
前記第2の脱保護剤の接触が、前記Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式5:
【化140】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、前記接触させることと、
(b)前記式5の薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化141】
の化合物(式中、R
8は活性化エステルであり、下付き文字nは先に定義の通りである)に接触させること、
あるいは
(b’)式IBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、下付き文字nは先に定義の通りである)に、第1の活性化剤の存在下で接触させること
(ここで、前記ステップ(b)または(b’)の接触は、式6:
【化142】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する)
と、
(c)前記式6の薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることと、
(d)ステップ(c)の生成物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、前記第1の脱保護剤が塩基の水性溶液である、前記接触させること
(ここで、ステップ(b)及び(c)は、式8の薬物リンカー中間体化合物を提供し、前記式8の薬物リンカー中間体化合物は、
【化143】
またはその塩の構造(式中、可変基は先に定義の通りである)を有する)
と、
(e)前記式8の薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式v:
【化144】
またはその塩の化合物(式中、Z
3は第3の好適なアミノ保護基である)に、
第2の活性化剤の存在下で接触させることであって、前記式vの接触が、式9:
【化145】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供することと、
(f)前記式9の薬物リンカー中間体化合物を、第3の脱保護剤に接触させることであって、前記第3の脱保護剤の接触が前記Z
3アミノ保護基を除去し、それによって前記式10の薬物リンカー化合物またはその塩が提供される、接触させることと、
を含む、前記方法。
【0182】
23.R1がHまたはメチルであり、R2がHであり、Tが-CH(OR4)-R5(式中、R4はHまたはメチルであり、R5はC6-C10アリールである)である、実施形態21または22に記載の方法。
【0183】
24.R1がメチルであり、R2がHであり、Tが-CH(OH)Phである、実施形態21または22に記載の方法。
【0184】
25.Z
1が、式:
【化146】
を有し、
式中、波線が、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
26.Z
2が、式:
【化147】
を有し、
式中、YがHまたはOMeであり、波線が、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す、実施形態6~25のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
27.Yが-OMeである、実施形態26に記載の方法。
【0187】
28.前記式vの化合物が、
【化148】
またはその塩の構造を有し、前記式9の薬物リンカー中間体が、
【化149】
またはその塩の構造を有し、前記式10の薬物リンカー化合物が、
【化150】
またはその塩の構造を有する、実施形態22に記載の方法。
【0188】
29.前記式vの化合物が、
【化151】
またはその塩の構造を有し、前記式9の薬物リンカー中間体化合物が、
【化152】
の構造を有し、
前記式10の薬物リンカー化合物が、
【化153】
またはその塩の構造を有する、実施形態22に記載の方法。
【0189】
30.Z3が-C(=O)O-t-Buである、実施形態22~29のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
31.R6及びR7の各々が独立してC1-C4アルキルである、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
32.R6及びR7の各々がメチルまたはエチル、特に両方がメチルである、実施形態31に記載の方法。
【0192】
33.前記式ivの化合物が、
【化154】
の構造を有する、実施形態6~32のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
34.下付き文字nが8~16の範囲である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
35.下付き文字nが12である、実施形態34に記載の方法。
【0195】
36.前記式10の化合物が、
【化155】
またはその塩の構造を有する、実施形態26に記載の方法。
【0196】
37.前記式10の化合物が、
【化156】
またはその塩の構造を有する、実施形態27に記載の方法。
【0197】
38.前記式vの化合物におけるZ3がBOC(-C(=O)-O-t-Bu)である、実施形態6~35のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
39.Z2またはZ3を除去するための前記第2または第3の脱保護剤が、0~3の範囲のpKaを有する水含有酸溶液である、実施形態6~38のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
40.前記水含有酸溶液の酸が、トリフルオロ酢酸またはトリクロロ酢酸である、実施形態39に記載の方法。
【0200】
41.前記グリニャール試薬が式RgMgXを有し、前記ハロゲン化アルコキシマグネシウムが式RgOMgXを有し、式中、RgがC1-C5アルキルまたはフェニルであり、XがI、Br、またはClである、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
42.前記グリニャール試薬がMeMgIまたはMeMgClである、実施形態41に記載の方法。
【0202】
43.前記ハロゲン化アルコキシマグネシウムがMeOMgIまたはMeOMgClである、実施形態41に記載の方法。
【0203】
44.前記アルコール含有溶媒がC1-C4アルコールを含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
45.前記アルコール含有溶媒がTHFをさらに含む、実施形態44に記載の方法。
【0205】
46.前記溶媒が、メタノール及びTHFの1:1(v/v)混合液である、実施形態45に記載の方法。
【0206】
47.Z1を除去するための前記第1の脱保護剤が、LiOHの水含有溶液である、実施形態1~39のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
48.Z1を除去するための、前記グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触及び前記第1の脱保護剤の接触が、ワンポットで行われる、実施形態6~47のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
49.前記式ivの接触のための前記活性化剤が、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩/N-ヒドロキシスクシンイミド、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、クロロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムテトラフルオロホウ酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、1,1’-カルボニルジイミダゾール、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド、またはプロピルホスホ
ン酸無水物の溶液である、実施形態6~44のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
50.前記式ivの接触のための前記活性化剤が、EDC・HCl、EEDQ、またはCOMUの溶液である、実施形態49に記載の方法。
【0210】
51.前記式ivの接触のための前記活性化剤が、COMUの溶液である、実施形態50に記載の方法。
【0211】
52.前記式4またはその塩の薬物リンカー中間体化合物が、ステップ:
【化157】
またはその塩の構造を有する式3の化合物を、好適な溶媒中で、
【化158】
の構造を有する式iiiのアウリスタチン化合物に、カルバメートカップリング剤の存在下で接触させること
を含む方法によって調製され、前記式3の接触が、前記式4の薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、実施形態22に記載の方法。
【0212】
54.前記カルバメートカップリング剤が、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル(ジホスゲン)及び炭酸ビス(トリクロロメチル)(トリホスゲン)、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、または1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)の溶液である、実施形態53に記載の方法。
【0213】
55.前記カルバメートカップリング剤が、1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)の溶液である、実施形態54に記載の方法。
【0214】
56.前記式3の化合物が、ステップ:
式1またはその塩のパラレルコネクター単位前駆体(L
P’)と、式2の化合物とを、好適な溶媒中で、第3のカップリング試薬の存在下で接触させること、
を含む方法によって調製され、前記式1のL
P’化合物が、
【化159】
またはその塩の構造を有し、
(式中、Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基である)
前記式2の化合物が、
【化160】
の構造を有し、
前記接触が、前記式3の化合物またはその塩を提供する、実施形態52~55のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
57.前記ペプチドカップリング剤が、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩/N-ヒドロキシスクシンイミド、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、クロロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムテトラフルオロホウ酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、1,1’-カルボニルジイミダゾール、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド、またはプロピルホスホン酸無水物の溶液である、実施形態51に記載の方法。
【0216】
58.前記ペプチドカップリング試薬が、EDC・HCl、EEDQ、またはCOMUの溶液である、実施形態56に記載の方法。
【0217】
59.前記ペプチドカップリング試薬がCOMUの溶液である、実施形態58に記載の方法。
【0218】
60.
【化161】
またはその塩の構造を有する式3の化合物
(式中、L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基である)。
【0219】
61.L1及びL3が独立してC1-C4アルキレンである、実施形態60に記載の化合物。
【0220】
62.各R6が、C1-C4アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルである、実施形態60または61に記載の化合物。
【0221】
63.R7がメチルまたはエチルである、実施形態60、61、または62に記載の化合物。
【0222】
64.前記式3の化合物が、
【化162】
の構造を有する、実施形態60に記載の化合物。
【0223】
65.R6及びR7の各々がメチルである、実施形態60~64のいずれか1つに記載の化合物。
【0224】
66.Z
1が、
【化163】
の構造を有し、
式中、波線が、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す、実施形態60~65のいずれか1つに記載の化合物。
【0225】
67.Z
2が、
【化164】
の構造を有し、
式中、波線が、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す、実施形態60~66のいずれか1つに記載の化合物。
【0226】
68.前記式3の化合物が、
【化165】
またはその塩の構造を有する、実施形態60に記載の化合物。
【0227】
69.式4:
【化166】
またはその塩の構造を有する薬物リンカー中間体化合物(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基である)。
【0228】
70.前記式4の化合物が、
【化167】
またはその塩の構造を有する、実施形態69に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0229】
71.Z
2が、
【化168】
の構造を有する、実施形態69または70に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0230】
72.薬物リンカー中間体化合物であって、式5
【化169】
またはその塩の構造を有する前記薬物リンカー中間体化合物(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換された
C
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1は第1の好適なアミノ保護基である)。
【0231】
73.前記式5の化合物が、
【化170】
またはその塩の構造を有する、実施形態68に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0232】
74.薬物リンカー中間体化合物であって、式6
【化171】
またはその塩の構造を有する前記薬物リンカー中間体化合物(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは1~24の範囲である)。
【0233】
75.前記式6の化合物が、
【化172】
またはその塩の構造を有する、請求項74に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0234】
76.下付き文字nが8または12である、実施形態74または75に記載の化合物。
【0235】
77.前記アウリスタチン薬物単位(D)が、式D
E-1、D
E-2、またはD
F-1:
【化173】
の構造(式中、Arは、任意選択により置換されたC
6-C
10アリールまたは任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクリルである)
を有する、実施形態69~76のいずれか1つに記載の化合物。
【0236】
78.Dが式DE-1の構造を有する、実施形態77に記載の化合物。
【0237】
79.Dが式DE-2の構造を有する、実施形態77に記載の化合物。
【0238】
80.Dが式DF-1の構造を有する、実施形態77に記載の化合物。
【0239】
81.Arが、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換された2-ピリジルである、実施形態78または79に記載の化合物。
【0240】
82.-Z-が-O-であり、R20がC1-C4アルキルである、実施形態80に記載の化合物。
【0241】
83.Zが-NH-であり、R20が、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換されたC5-C6ヘテロアリールである、実施形態80に記載の化合物。
【0242】
84.R11がメチルである、実施形態77~83のいずれか1つに記載の化合物。
【0243】
85.Dが式D
F/E-3:
【化174】
の構造(式中、R
13はイソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phである)
を有する、実施形態69~77のいずれか1つに記載の化合物。
【0244】
86.Dが、
【化175】
の構造を有する、実施形態69~77のいずれか1つに記載の化合物。
【0245】
87.前記式4の薬物リンカー中間体化合物が
【化176】
またはその塩の構造
(式中、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)
を有する、実施形態69に記載の化合物。
【0246】
88.Z
2が
【化177】
の構造(式中、波線は、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す)を有する、実施形態87に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0247】
89.前記式5の化合物が
【化178】
またはその塩の構造(式中、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)を有する、実施形態72に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0248】
90.前記式6の化合物が
【化179】
またはその塩の構造(式中、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)を有する、実施形態74に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0249】
91.R6及びR7の各々が独立してC1-C4アルキルである、実施形態69~90のいずれか1つに記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0250】
92.R6及びR7の各々がメチルである、またはR6及びR7の各々がエチルである、実施形態91に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0251】
93.R1が水素またはメチルであり、R2が水素であり、Tが-CH(OR4)-R5(式中、R4は水素またはメチルであり、R5はC6-C10アリールである)である、実施形態89~92のいずれか1つに記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0252】
94.R1がメチルであり、R2がHであり、Tが-CH(OH)-Phである、実施形態93に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0253】
95.Z
1が
【化180】
の構造(式中、波線は、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す)を有する、実施形態69~94のいずれか1つに記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0254】
96.前記式4の化合物が、
【化181】
の構造を有する、実施形態69に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0255】
97.前記式5の化合物が、
【化182】
またはその塩の構造を有する、実施形態72に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0256】
98.前記式6の化合物が、
【化183】
の構造を有する、実施形態74に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0257】
99.
【化184】
またはその塩の構造を有する式7の薬物リンカー中間体を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1は好適なアミノ保護基であり、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記組成物が、約10重量%以下、特に約5重量%以下の、
【化185】
またはその塩の構造(式中、可変基は先に定義の通りである)を有する式7Aの化合物をさらに含む、前記組成物。
【0258】
100.前記式7及び式7Aの化合物が、
【化186】
またはその塩の構造を有する、実施形態99に記載の組成物。
【0259】
101.Z
1が、
【化187】
の構造(式中、波線は、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す)を有する、実施形態99または100に記載の組成物。
【0260】
102.R7がメチルである、実施形態99、100、または101に記載の組成物。
【0261】
103.
【化188】
またはその塩の構造を有する式8の薬物リンカー中間体を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
CはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記組成物が、約10重量%以下、特に約5重量%以下の、
【化189】
またはその塩の構造(式中、可変基は先に定義の通りである)を有する式8Aの化合物をさらに含む、前記組成物。
【0262】
104.前記式8及び式8Aの化合物が、
【化190】
またはその塩の構造を有する、実施形態103に記載の組成物。
【0263】
105.
【化191】
またはその塩の構造を有する式9の薬物リンカー中間体を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記組成物が、約10重量%以下、特に5重量%以下の、
【化192】
またはその塩の構造(式中、可変基は先に定義の通りである)を有する式9Aの化合物をさらに含む、前記組成物。
【0264】
106.前記式9及び式9Aの化合物が、
【化193】
またはその塩の構造(式中、Z
3は、酸不安定性の第3の好適なアミノ保護基、特に式-C(=O)O-R
8(式中、R
8は、C
1-C
4アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルである)のカルバメートである)を有する、実施形態105に記載の組成物。
【0265】
107.
【化194】
またはその塩の構造を有する式10の薬物リンカー化合物を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記組成物が、約10重量%以下、特に約5重量%以下の、
【化195】
またはその塩の構造(式中、可変基は先に定義の通りである)を有する式10Aの化合物をさらに含む、前記組成物。
【0266】
108.前記アウリスタチン薬物単位(D)が、式D
E-1、D
E-2、またはD
F-1:
【化196】
の構造(式中、Arは、任意選択により置換されたC
6-C
10アリールまたは任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクリルであり、波線は、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す)
を有する、実施形態99~107のいずれか1つに記載の組成物。
【0267】
110.Dが式DE-1の構造を有する、実施形態109に記載の組成物。
【0268】
111.Dが式DE-2の構造を有する、実施形態109に記載の組成物。
【0269】
112.Dが式DF-1の構造を有する、実施形態109に記載の組成物。
【0270】
113.Arが、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換された2-ピリジルである、実施形態110または111に記載の組成物。
【0271】
114.-Z-が-O-であり、R20がC1-C4アルキルである、実施形態112に記載の組成物。
【0272】
115.Zが-NH-であり、R20が、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換されたC5-C6ヘテロアリールである、実施形態112に記載の組成物。
【0273】
116.R11がメチルである、実施形態108~116のいずれか1つに記載の組成物。
【0274】
117.Dが式D
F/E-3:
【化197】
の構造(式中、R
13はイソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phであり、波線は、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す)を有する、実施形態99~107のいずれか1つに記載の組成物。
【0275】
118.Dが、
【化198】
の構造(式中、波線は、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す)を有する、実施形態99~107のいずれか1つに記載の組成物。
【0276】
119.前記式7及び式7Aの化合物が、
【化199】
またはその塩の構造(式中、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、Z
1は、
【化200】
の構造を有し、
式中、波線は、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示す)を有する、実施形態99に記載の組成物。
【0277】
120.前記式8及び式8Aの化合物が、
【化201】
またはその塩の構造(式中、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)を有する、実施形態103に記載の組成物。
【0278】
121.前記式9及び式9Aの化合物が、
【化202】
またはその塩の構造(式中、Z
3は-C(=O)O-t-Buであり、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)を有する、実施形態105に記載の組成物。
【0279】
122.前記式10及び式10Aの化合物が、
【化203】
【化204】
またはその塩の構造を有する、実施形態107に記載の組成物
(式中、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)。
【0280】
123.R1が水素またはメチルであり、R2が水素であり、Tが-CH(OR4)-R5(式中、R4は水素またはメチルであり、R5はC6-C10アリールである)である、実施形態120、121、または122に記載の組成物。
【0281】
124.R1がメチルであり、R2がHであり、Tが-CH(OH)-Phである、実施形態123に記載の組成物。
【0282】
125.下付き文字nが8または12である、実施形態99~124のいずれか1つに記載の組成物。
【0283】
126.前記式7及び式7Aの化合物が、
【化205】
【化206】
の構造を有する、実施形態99に記載の組成物。
【0284】
127.前記式8及び式8Aの化合物が、
【化207】
またはその塩の構造を有する、実施形態103に記載の組成物。
【0285】
128.前記組成物が、約5重量%以下の前記式8Aの化合物から構成される、実施形態119に記載の組成物。
【0286】
129.前記組成物が、約3重量%から約4重量%の間の前記式8Aの化合物から構成さ
れる、実施形態119に記載の組成物。
【0287】
130.前記式9及び式9Aの化合物が、
【化208】
またはその塩の構造を有する、実施形態105に記載の組成物。
【0288】
131.前記式10及び式10Aの化合物が、
【化209】
【化210】
またはその塩の構造を有する、実施形態107に記載の組成物。
【0289】
132.化合物であって、
【化211】
またはその塩の構造
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、R
CはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
を有する、前記化合物。
【0290】
133.L1及びL3が独立して、C1-C4アルキルであり、L2が独立して、任意選択により置換されたC1-C4アルキルである、実施形態132に記載の化合物。
【0291】
134.前記化合物が、
【化212】
及びその塩からなる群から選択される構造
(式中、Z
3は、酸不安定性の第3の好適なアミノ保護基、特に-C(=O)O-R
8(式中、R
8は、C
1-C
4アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルである)の構造を有するカルバメートであり、R
7はC
1-C
4アルキル、特にメチルまたはエチルである)を有する、実施例133に記載の化合物。
【0292】
135.
【化213】
または医薬的に許容されるその塩の構造を有する式11及び式11Aによって表される抗体薬物結合体を含む組成物であって、
(式中、Abは抗体であり、Sは前記抗体からの硫黄原子であり、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲であり、下付き文字pは約1~約16の範囲である)
前記組成物が10重量%以下、特に5重量%以下の式11Aの抗体薬物結合体を含有する、前記組成物。
【0293】
136.
【化214】
または医薬的に許容されるその塩の構造を有する式12及び式12Aによって表される抗体薬物結合体を含む組成物であって、
(式中、Abは抗体であり、Sは前記抗体からの硫黄原子であり、Ab-S-部分は、カルボン酸官能基に対しαまたはβの炭素原子に結合しており、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲であり、下付き文字pは約1~約16の範囲である)
前記組成物が10重量%以下の式12Aの抗体薬物結合体を含有する、前記組成物。
【0294】
137.前記式12及び式12Aの抗体薬物結合体が、
【化215】
、またはその医薬的に許容される塩の構造を有する、実施形態136に記載の組成物。
【0295】
138.前記アウリスタチン薬物単位が、式D
E-1、D
E-2、またはD
F-1:
【化216】
【化217】
の構造(式中、Arは、任意選択により置換されたC
6-C
10アリールまたは任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクリルであり、波線は、結合体構造の残部に対する結合部位を示し、波線は、前記結合体構造の残部に対する結合部位を示す)
を有する、実施形態132~137のいずれか1つに記載の組成物または化合物。
【0296】
139.Dが式DE-1の構造を有する、実施形態138に記載の組成物または化合物。
【0297】
140.Dが式DE-2の構造を有する、実施形態138に記載の組成物または化合物。
【0298】
141.Dが式DF-1の構造を有する、実施形態138に記載の組成物または化合物。
【0299】
142.Arが、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換された2-ピリジルである、実施形態139または140に記載の組成物または化合物。
【0300】
143.-Z-が-O-であり、R20がC1-C4アルキルである、実施形態141に記載の組成物または化合物。
【0301】
144.Zが-NH-であり、R20が、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換されたC5-C6ヘテロアリールである、実施形態141に記載の組成物または化合物。
【0302】
145.R11がメチルである、実施形態138~144のいずれか1つに記載の組成物または化合物。
【0303】
146.Dが式D
F/E-3:
【化218】
の構造(式中、R
13はイソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、また
は-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phであり、波線は、前記結合体構造の残部に対する結合部位を示す)
を有する、実施形態132~137のいずれか1つに記載の組成物または化合物。
【0304】
147.Dが、
【化219】
の構造(式中、波線は、前記結合体構造の残部に対する結合部位を示す)を有する、実施形態132~137のいずれか1つに記載の組成物または化合物。
【0305】
148.式12及び式12Aが、
【化220】
またはその医薬的に許容される塩の構造を有する、実施形態136に記載の組成物。
【0306】
149.前記化合物が、
【化221】
、及びその塩からなる群から選択される構造
(式中、R
7はメチルであり、Z
1は、
【化222】
の構造を有し、
波線は、前記化合物構造の残部に対する結合部位を示し、Z
3は-C(=O)O-t-Buであり、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)を有する、実施形態132に記載の化合物。
【0307】
150.R1が水素またはメチルであり、R2が水素であり、Tが-CH(OR4)-R5(式中、R4は水素またはメチルであり、R5はC6-C10アリールである)である、実施形態148または149に記載の化合物または組成物。
【0308】
151.R1がメチルであり、R2がHであり、Tが-CH(OH)-Phである、実施形態150に記載の化合物または組成物。
【0309】
152.下付き文字nが8または12である、実施形態132~151のいずれか1つに記載の化合物または組成物。
【0310】
153.前記化合物が、
【化223】
【化224】
【化225】
及びその塩からなる群から選択される構造を有する、実施形態132に記載の化合物。
【0311】
154.前記式12及び式12Aの抗体薬物結合体が、
【化226】
【化227】
またはその医薬的に許容される塩の構造を有する、実施形態137に記載の組成物。
【0312】
155.示された炭素原子(*)が優先的にS配置にある、実施形態154に記載の組成物。
【0313】
156.前記抗体が、腫瘍関連抗原に対し選択的に結合可能である、実施形態135~148及び150~155のいずれか1つに記載の組成物。
【0314】
157.前記腫瘍関連抗原が、前記抗体が結合可能な細胞表面タンパク質または糖タンパク質の細胞外ドメインから構成されている、実施形態156に記載の組成物。
【0315】
158.前記細胞表面タンパク質または糖タンパク質が異常細胞のものである、実施形態157に記載の組成物。
【0316】
159.前記異常細胞の前記細胞表面タンパク質または糖タンパク質が、前記組成物の抗体薬物結合体化合物が結合すると内部移行可能である、実施形態158に記載の組成物。
【0317】
160.下付き文字pが約8である、実施形態135~148及び150~159のいずれか1つに記載の組成物。
【0318】
161.がんを処置する、またはがん細胞を接触させる方法であって、実施形態135~148及び154~160のいずれか1つに記載の抗体薬物結合体組成物を、前記がんを有する対象に投与する、または前記がん細胞に接触させるステップを含む、前記方法。
【0319】
162.対象におけるがんを処置するための組成物であって、実施形態135~148及び154~160のいずれか1つに記載のものである、前記組成物。
【0320】
163.対象におけるがん処置のための薬剤を調製するための組成物の使用であって、前記組成物が、実施形態135~148及び154~160のいずれか1つに記載のものである、前記使用。
【0321】
164.前記対象が哺乳類である、実施形態161、162、または163に記載の方法、組成物、または使用。
【0322】
165.前記哺乳類がヒトまたは非ヒト霊長類である、実施形態164に記載の方法、組成物、または使用。
【0323】
166.前記がんまたはそのがん細胞が白血病またはリンパ腫のものである、実施形態161~165のいずれか1つに記載の方法、組成物、または使用。
【0324】
167.前記がんまたはそのがん細胞がB細胞悪性腫瘍である、実施形態161~165の実施形態に記載の方法、組成物、または使用。
【0325】
1A.式ID:
【化228】
、またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
2の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法が、以下のステップ:
(c)式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させることであって、前記式ICの薬物リンカー中間体化合物が、
【化229】
の構造を有する、前記接触させることを含み、
(式中、R
6の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、残りの可変基は先に記載の通りである)
前記グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、前記ヒドロキシル保護基を選択的に除去して式ICの化合物を提供する、
前記方法。
【0326】
2A.式IE:
【化230】
またはその塩の薬物リンカー中間体を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
2の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法が、請求項1に記載のステップ(c)を含み、次に以下ステップ:
(d)ステップ(c)の生成物を、第1の脱保護剤に接触させることであって、前記第
1の脱保護剤の接触が、前記Z
1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去して前記式IEの薬物リンカー中間体化合物を提供する、前記接触させること、
をさらに含む、前記方法。
【0327】
3A.前記式IC及び式IDの薬物リンカー中間体化合物が、式IIC及び式IID:
【化231】
の構造を有する、実施形態1Aに記載の方法。
【0328】
4A.前記式IC及び式IEの薬物リンカー中間体化合物、またはその塩が、式IIC及び式IIE:
【化232】
の構造を有する、実施形態2Aに記載の方法。
【0329】
5A.式IE:
【化233】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)前記方法が、請求項2に記載のステップを含み、ステップ(c)及び(d)の前にステップ:
(a)式IAの薬物リンカー中間体を、第2の脱保護剤に接触させることであって、前記式IAの薬物リンカー中間体化合物が、
【化234】
またはその塩の構造を有し、
(式中、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)
前記第2の脱保護剤の接触が、Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式IB
【化235】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、前記接触させることと、
(b)前記式IBの化合物を、好適な溶媒中で、式iv:
【化236】
の化合物(式中、R
8は活性化エステル基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)に接触させること、
あるいは
(b’)前記式IBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、残りの可変基は先に定義の通りである)に、第1の活性化剤の存在下で接触させることと、をさらに含み、
前記接触ステップ(b)または(b’)が、
【化237】
またはその塩の式ICの薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、前記方法。
【0330】
6A.式I:
【化238】
またはその塩の薬物リンカー化合物またはその中間体を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
CはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法が、請求項6に記載のステップ(a)~(d)を含み、その次にステップ:
(e)式IEの薬物リンカー中間体化合物を、第2の活性化剤の存在下で、好適な溶媒中で、式v:
【化239】
またはその塩の化合物に接触させることであって、(式中、L
2は先に定義の通りである)
前記式vの接触が、前記式Iの薬物リンカーもしくは薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、前記接触させること、
を含む、前記方法。
【0331】
7A.L1及びL3の各々が独立してC1-C4アルキレンであり、L2が独立して任意選択により置換されたC1-C4アルキレンである、実施形態1A~7Aのいずれか1つに記載の方法。
【0332】
8A.式II:
【化240】
またはその塩の薬物リンカー化合物を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法が、請求項7に記載のステップ(a)~(e)を含み、前記式vの化合物が、
【化241】
の構造を有し、
前記式IA、式IB、式IC、式ID、及び式IEの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、式IIE、式IIF:
【化242】
【化243】
の構造を有し、
(式中、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1、Z
2、及びZ
3の各々は独立して、それぞれ第1、第2、及び第3の好適なアミノ保護基であり、特に、Z
3は酸不安定性のアミノ保護基であり、さらに特定すると、-C(=O)O-t-Buである)
前記方法が、ステップ:
(f)前記式IFの薬物リンカー中間体化合物を、第3の脱保護剤に接触させること、をさらに含み、
前記第3の脱保護試薬の接触が前記Z
3アミノ保護基を除去し、それによって前記式IIの薬物リンカー化合物またはその塩が提供される、
前記方法。
【0333】
9A.前記アウリスタチン薬物単位(D)が、
【化244】
の構造(式中、波線は、Dと前記薬物リンカーまたは薬物リンカー中間体化合物の残部との共有結合を示し、R
11は、H及びC
1-C
8アルキル、特にメチルからなる群から選択され、R
12は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8
アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、R
13は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、R
14は、H及びメチルからなる群から選択され、あるいは、R
13及びR
14は、共に炭素環式環を形成し、式-(CR
aR
b)
n-(式中、R
a及びR
bは独立して、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環からなる群から選択され、nは、2、3、4、5、及び6からなる群から選択される)を有し、R
15は、H及びC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、R
16は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、各R
17は独立して、H、OH、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、及びO-(C
1-C
8アルキル)からなる群から選択され、R
18は、H及びC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、R
19は、-C(R
17)
2-C(R
17)
2-アリール、-C(R
17)
2-C(R
17)
2-(C
3-C
8ヘテロ環)、-C(R
17)
2-C(O)-ZR
20、及び-C(R
17)
2-C(R
17)
2-(C
3-C
8炭素環)からなる群から選択され、R
20は、H、C
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリール、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリール及びC
3-C
8ヘテロシクリルからなる群から選択され、Zは-O-または-NH-である、あるいはZ-は-O-でありR
20はC
1-C
4アルキルである、あるいはZは-NH-でありR
20は任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換されたC
5-C
6ヘテロアリールである)
を有し、
特に、前記アウリスタチン薬物単位(D)が、式D
E-1、D
E-2、D
F-1またはD
F/E-3
【化245】
【化246】
の構造(式中、R
13はイソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phであり、Arは、任意選択により置換されたC
6-C
10アリールまたは任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクリル、特に、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換された2-ピリジルである)を有し、
さらに特定すると、Dが、
【化247】
の構造を有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0334】
10A.前記式IEの薬物リンカー中間体が、式8:
【化248】
またはその塩の構造を有し、
(式中、下付き文字nは2~24の範囲であり、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)
前記式IC及び式IDの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、式6及び式7:
【化249】
の構造(式中、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、残りの可変基は先に定義の通りであり、特に、R
1はHまたはメチルであり、R
2はHであり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4はHまたはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
1はメチルであり、R
2はHであり、Tは-CH(OH)Phである)
を有する、実施形態5Aに記載の方法。
【0335】
11A.前記式IIの薬物リンカー化合物が、式10:
【化250】
またはその塩の構造を有し、
(式中、下付き文字nは2~24の範囲であり、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)
式IA、式IB、式IC、式ID、式IE、及び式IFの前記薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、それぞれ式4、式5、式6、式7、式8、及び式9:
【化251】
【化252】
の構造を有し、前記式vの化合物が、
【化253】
またはその塩の構造を有する
(式中、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1、Z
2、及びZ
3は独立して、それぞれ第1、第2、及び第3の好適なアミノ保護基であり、特に、R
1はHまたはメチルであり、R
2はHであり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4はHまたはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
1はメチルであり、R
2はHであり、Tは-CH(OH)Phである)、実施形態8Aに記載の方法。
【0336】
12A.Z1がFMOCである、実施形態1A~11Aのいずれか1つに記載の方法、あるいは、Z1がFMOCであり、及び/またはZ2が任意選択により置換されたトリチル、特に4-メトキシ-トリチル(MMT)である、実施形態6A~11Aのいずれか1つに記載の方法。
【0337】
13A.前記式10の薬物リンカー化合物が、
【化254】
の構造を有し、
前記式9の薬物リンカー中間体及び式vの化合物、またはその塩が、
【化255】
の構造を有し、
あるいは、前記式9の薬物リンカー中間体及び式vの化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化256】
の構造を有し、
前記式10の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化257】
【化258】
の構造を有し、
式4、式5、式6、式7、及び式8の他の薬物リンカー中間体化合物が、請求項22に記載のものであり、
特に、前記式9の薬物リンカー中間体化合物が、
【化259】
の構造を有し、
前記式10の薬物リンカー化合物が、
【化260】
の構造を有する、実施形態11Aに記載の方法。
【0338】
14A.Z3が-C(=O)O-t-Buであり、及び/またはR6及びR7の各々が独立してC1-C4アルキルであり、特に、R6及びR7がメチルまたはエチル、さらに特定すると、いずれもメチルである、実施形態13Aに記載の方法。
【0339】
15A.前記式ivの化合物が、
【化261】
の構造を有する、実施形態6A~14Aのいずれか1つに記載の方法。
【0340】
16A.下付き文字nが8~16の範囲である、特に下付き文字nが12である、実施形態1A~14Aのいずれか1つに記載の方法。
【0341】
17A.Z2またはZ3を除去するための前記第2または第3の脱保護剤が、0~3の範囲のpKaを有する水含有酸溶液であり、特に、前記水含有酸溶液がトリフルオロ酢酸またはトリクロロ酢酸のものである、実施形態6A~16Aのいずれか1つに記載の方法。
【0342】
18A.好適なアルコール含有溶媒中の前記グリニャール試薬が式RgMgXを有し、好適なアルコール含有溶媒中の前記ハロゲン化アルコキシマグネシウムが式RgOMgXを有する
(式中、RgはC1-C4アルキルまたはフェニルであり、XはI、Br、またはClであり、特に、前記グリニャール試薬はMeMgIまたはMeMgClであり、前記ハロゲン化アルコキシマグネシウムはMeOMgIまたはMeOMgClであり、前記アルコール含有溶媒はC1-C4アルコールを含み、さらに特定すると、前記アルコール含有溶媒はメタノール及びTHFの1:1(v/v)混合液である)、実施形態1A~17Aのいずれか1つに記載の方法。
【0343】
19A.Z1を除去するための前記第1の脱保護剤が、LiOHの水含有溶液である、実施形態1A~18Aのいずれか1つに記載の方法。
【0344】
20A.前記式ivの接触のための前記第1の活性化剤が、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩/N-ヒドロキシスクシンイミド、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、クロロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムテトラフルオロホウ酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、1,1’-カルボニルジイミダゾール、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド、またはプロピルホスホン酸無水物、の溶液、特に、EDC・HCl、EEDQ、またはCOMUの溶液、さらに特定すると、COMUの溶液である、実施形態6A~19Aのいずれか1つに記載の方法。
【0345】
21A.前記式4の薬物リンカー中間体化合物またはその塩が、ステップ:
【化262】
またはその塩の構造を有する式3の化合物を、好適な溶媒中で、
【化263】
の構造を有する式iiiのアウリスタチン化合物に、カルバメートカップリング剤の存在下で接触させること
を含む方法によって調製され、
特に、前記カルバメートカップリング剤が、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル(ジホスゲン)及び炭酸ビス(トリクロロメチル)(トリホスゲン)、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、または1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)の溶液、さらに特定すると、1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)の溶液であり、
前記式3の接触が、前記式4の薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、実施形態11Aに記載の方法。
【0346】
22A.前記式3の化合物が、ステップ:
式1のパラレルコネクター単位前駆体(L
P’)またはその塩と、式2の化合物とを、好適な溶媒中で、請求項32の活性化剤の存在下で接触させること、
を含む方法によって調製され、前記式1のL
P’化合物が、
【化264】
またはその塩の構造を有し、
(式中、Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基である)
前記式2の化合物が、
【化265】
の構造を有し、
前記接触が、前記式3の化合物またはその塩を提供する、請求項21に記載の方法。
【0347】
23A.
【化266】
またはその塩の構造を有する式3の化合物(式中、L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、特に、L
1及びL
3は独立して、C
1-C
4アルキレンであり、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
特に、各R
6は、C
1-C
4アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、及び/またはR
7はメチルまたはエチル、さらに特定すると、R
6及びR
7はそれぞれメチルであり、あるいは式3は、
【化267】
の構造を有し、
式中、Z
1及びZ
2は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、特に、Z
1及び/またはZ
2は、フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)及び/または4-メトキシトリチル(MMTr)であり、さらに特定すると、前記式3の化合物は、
【化268】
の構造を有する)。
【0348】
24A.
【化269】
またはその塩の式4の構造を有する薬物リンカー中間体化合物(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1及びZ
2は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、
特に、Z
2はMMTrであり、及び/または、前記式4の化合物またはその塩は、
【化270】
の構造を有し、
さらに特定すると、前記式4の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化271】
の構造を有し、
式中、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)。
【0349】
25A.薬物リンカー中間体化合物であって、
【化272】
またはその塩の式5の構造を有する前記薬物リンカー中間体化合物(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
特に、前記式5の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化273】
の構造を有し、
さらに特定すると、前記式5の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化274】
の構造を有し、
式中、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)。
【0350】
26.薬物リンカー中間体化合物であって、
【化275】
またはその塩の式6の構造を有する前記薬物リンカー中間体化合物(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、R
CはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは1~24の範囲であり、
特に、下付き文字nは8または12であり、及び/または、前記式6の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化276】
の構造を有し、
さらに特定すると、前記式6の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化277】
の構造を有し、
式中、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)。
【0351】
27A.前記アウリスタチン薬物単位(D)が、請求項9に記載の構造のいずれか1つ、特に、式D
F/E-3:
【化278】
の構造
(式中、R
13はイソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phである)
さらに特定すると、
【化279】
を有する、実施形態23A~26Aのいずれか1つに記載の化合物。
【0352】
28A.R6及びR7の各々が独立してC1-C4アルキルであり、特に、R6及びR7の各々がメチルである、またはR6及びR7の各々がエチルである、実施形態24A~27Aのいずれか1項に記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0353】
29A.R1が水素またはメチルであり、R2が水素であり、Tが-CH(OR4)-R5(式中、R4は水素またはメチルであり、R5はC6-C10アリールである)であり、特に、R1がメチルであり、R2がHであり、Tが-CH(OH)-Phであり、及び/またはZ1がFMOCである、
実施形態24A、25A、または26Aに記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0354】
30A.前記式4の薬物リンカー中間体化合物が、
【化280】
の構造を有する、実施形態24Aに記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0355】
31A.前記式5の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化281】
の構造を有する、実施形態25Aに記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0356】
32A.前記式6の化合物が、
【化282】
の構造を有する、実施形態26Aに記載の薬物リンカー中間体化合物。
【0357】
33A.
【化283】
の構造を有する式7の薬物リンカー中間体(任意選択により塩形態である)を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、特にR
7はメチルであり、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記組成物が、約10重量%以下、特に約5重量%以下の、
【化284】
またはその塩の構造を有する式7Aの薬物リンカー中間体化合物をさらに含み、
(式中、可変基は先に定義の通りであり、特に、Z
1はFMOCである)及び/または、前記式7及び式7Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化285】
の構造を有する、前記組成物。
【0358】
34A.
【化286】
またはその塩の構造を有する式8の薬物リンカー中間体を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテ
ロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)前記組成物が、約10重量%以下、特に約5重量%以下、さらに特定すると約3重量%から4重量%の間以下の、
【化287】
またはその塩の構造を有する式8Aの薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)をさらに含み、
特に、前記式8及び式8Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化288】
の構造を有する、前記組成物。
【0359】
35A.
【化289】
またはその塩の構造を有する式9の薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
Cは、水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記組成物が、約10重量%以下、特に5重量%以下の、
【化290】
またはその塩の構造を有する式9Aの薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)
をさらに含み、特に、前記式9及び式9Aの薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化291】
の構造を有する
(式中、Z
3は、酸不安定性の第3の好適なアミノ保護基、特に式-C(=O)O-R
8(式中、R
8は、C
1-C
4アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルである)のカルバメートである)、前記組成物。
【0360】
36A.
【化292】
またはその塩の構造を有する式10の薬物リンカー化合物を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)、前記組成物が、約10重量%以下、特に約5重量%以下の、
【化293】
またはその塩の構造を有する式10Aの薬物リンカー化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)をさらに含み、
特に、前記式10及び式10Aの薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化294】
の構造を有する、前記組成物。
【0361】
37A.前記アウリスタチン薬物単位(D)が、請求項9に記載の構造のいずれか1つ、特に、式D
F/E-3:
【化295】
の構造(式中、R
13はイソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、また
は-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phである)、
さらに特定すると、
【化296】
を有する、実施形態33A~36Aのいずれか1つに記載の組成物。
【0362】
38A.前記式7及び式7Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化297】
の構造を有し、
(式中、Z
1はFMOCであり、R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、特に、R
2は水素であり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4は水素またはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
2はHであり、Tは-CH(OH)-Phであり、及び/または下付き文字nは8または12である)
さらに特定すると、前記式7及び式7Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化298】
【化299】
の構造を有する、実施形態33Aに記載の組成物。
【0363】
39A.前記式8及び式8Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化300】
の構造を有し、
(式中、R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、特に、R
2は水素であり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4は水素またはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
2はHであり、Tは-CH(OH)-Phであり、及び/または下付き文字nは8または12である)
さらに特定すると、前記式8及び式8Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化301】
の構造を有する、実施形態34Aに記載の組成物。
【0364】
40A.前記式9及び式9Aの薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化302】
【化303】
の構造を有し、
(式中、Z
3は-C(=O)O-t-Buであり、R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、特に、R
2は水素であり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4は水素またはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
2はHであり、Tは-CH(OH)-Phであり、及び/または下付き文字nは8または12である)さらに特定すると、前記式9及び式9Aの薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化304】
【化305】
の構造を有する、実施形態35Aに記載の組成物。
【0365】
41A.前記式10及び式10Aの薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化306】
の構造を有し、
(式中、R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、特に、R
2は水素であり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4は水素またはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
2はHであり、Tは-CH(OH)-Phであり、及び/または下付き文字nは8または12である)
さらに特定すると、前記式10及び式10Aの薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化307】
の構造を有する、実施形態36Aに記載の組成物。
【0366】
42A.薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)であって、
【化308】
【化309】
の構造を有する、前記薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、特に、L
1、L
2、及びL
3は独立してC
1-C
4アルキルであり、L
2は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
4アルキルであり、Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、R
Cは、水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲であり、特に、下付き文字nは8または12であり、及び/または、前記薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物は、
【化310】
【化311】
及びその塩からなる群から選択される構造を有し、式中、
Z
3は、酸不安定性pの第3の好適なアミノ保護基、特に-C(=O)O-R
8(式中、R
8は、C
1-C
4アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルである)の構造を有するカルバメートであり、R
7はC
1-C
4アルキル、特にメチルまたはエチルである)。
【0367】
43A.前記化合物が、
【化312】
【化313】
及びその塩からなる群から選択される構造を有し
(式中、R
7はメチルであり、Z
1はFMOCであり、Z
3は-C(=O)O-t-Bu
であり、R
1はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
2はH、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、R
3はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、特に、下付き文字nは8または12であり、及び/または、R
1はメチルであり、R
2はHであり、Tは-CH(OH)-Phである)、
さらに特定すると、前記薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化314】
【化315】
【化316】
からなる群から選択される構造を有する、実施形態42Aに記載の化合物。
【0368】
44A.
【化317】
またはその医薬的に許容される塩の構造を有する式11及び式11Aによって表される抗体薬物結合体を含む組成物であって、
(式中、Abは抗体であり、Sは前記抗体からの硫黄原子であり、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲であり、下付き文字pは約1~約16の範囲である)
前記組成物が10重量%以下、特に5重量%以下の式11Aの抗体薬物結合体を含有する、前記組成物。
【0369】
45A.
【化318】
の構造を有する、式12及び式12Aによって表される抗体薬物結合体(任意選択により医薬的に許容される塩形態である)を含む組成物であって、
(式中、Abは抗体であり、Sは前記抗体からの硫黄原子であり、Ab-S-部分は、カルボン酸官能基に対しαまたはβの炭素原子に結合しており、Dはアウリスタチン薬物単位であり、L
1、L
2、及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
Cは水素またはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲であり、下付き文字pは約1~約16の範囲である)
前記組成物が、10重量%以下の式12Aの抗体薬物結合体を含有し、
特に、前記式12及び式12Aの抗体薬物結合体(任意選択により医薬的に許容される塩形態である)が、
【化319】
の構造を有する、前記組成物。
【0370】
46A.前記アウリスタチン薬物単位が、請求項9に記載の構造のいずれか1つを有し、特に、Dが式D
F/E-3:
【化320】
の構造を有し、
(式中、R
13はイソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、
-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phである)
さらに特定すると、Dが、
【化321】
の構造を有する、
実施形態44Aまたは45Aに記載の組成物または化合物。
【0371】
47A.式12及び式12Aの抗体薬物結合体(任意選択により医薬的に許容される塩形態である)が、
【化322】
【化323】
の構造を有し、
特に、前記式12及び式12Aの抗体薬物結合体(任意選択により医薬的に許容される塩形態である)が、
【化324】
【化325】
の構造を有し、
さらに特定すると、指示された炭素原子(
*)を有することが優勢的にS配置にあり、及び または下付き文字pが約8である、実施形態45Aに記載の組成物。
【0372】
48A.前記抗体が、腫瘍関連抗原に対し選択的に結合可能である、実施形態44A~47Aのいずれか1つに記載の組成物。
【0373】
49A.前記腫瘍関連抗原が、前記抗体が結合可能な細胞表面タンパク質または糖タンパク質の細胞外ドメインから構成され、特に、前記細胞表面タンパク質または糖タンパク質が、異常細胞のもの、さらに特定すると、前記組成物の抗体薬物結合体化合物が結合すると内部移行可能なものである、実施形態48Aに記載の組成物。
【0374】
50A.血液悪性腫瘍、特に白血病またはリンパ腫、さらに特定するとB細胞悪性腫瘍を有する対象を処置する方法であって、有効量の、実施形態44A~49Aのいずれか1つに記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【実施例0375】
全般的情報。全ての市販の無水溶媒は、さらなる精製なしで使用した。分析用薄層クロマトグラフィーは、シリカゲルMF254(Agela Technologies)で実施した。カラムクロマトグラフィーは、Biotage SNAP(商標)ultra
340g HP(球状25μm)で実施した。分析用HPLCは、Varian ProStar 330(商標)PDA検出器で設定されたVarian ProStar 210(商標)溶媒送達システムで実施した。試料をC12 Phenomenex Synergi(商標)2.0×150mm、4μm、80Å逆相カラムを介して溶離させた。酸性移動相はアセトニトリル及び水からなり、いずれも0.05%のトリフルオロ酢酸または0.1%のギ酸(各化合物について示される)のいずれかを含有した。化合物の溶離は、酸性アセトニトリルの線形勾配で、注入後1分時の5%から11分時の95%まで、次に無勾配の95%のアセトニトリルで15分まで行った(流量=1.0mL/分)
。LC-MSを2つの異なるシステムで実施した。LC-MSシステム1は、HP Agilent 1100(商標)HPLC装置(C12 Phenomenex Synergi 2.0×150mm、4μm、80Å逆相カラムを装備)にインターフェイス接続したZMD Micromass(商標)質量分析計からなるものであった。酸性溶離剤は、10分にわたる5%から95%へのアセトニトリルの線形勾配(0.1%の水性ギ酸を含む)、次に5分間の無勾配の95%のアセトニトリル(流量=0.4mL/分)からなるものであった。LC-MSシステム2は、Waters 2996 Photodiode Array Detector(商標)を有するWaters 2695 Separations Module(商標)にインターフェイス接続したWaters
Xevo G2(商標)Tof質量分析計からなり、カラム、移動相、勾配、及び流量はLC-MSシステム1と同じであった。UPLC-MSは、Waters Acquity H-Class Ultra Performance LC(商標)(Acquity UPLC BEH(商標)C18 2.1×50mm、1.7μm逆相カラム(Milford,MA)を装備)にインターフェイス接続したWaters Xevo G2 ToF質量分析計によって実施した。酸性移動相(0.1%ギ酸)は、3%のアセトニトリル/97%の水から100%のアセトニトリルへの勾配(流量=0.7mL/分)からなるものであった。分取HPLCは、Waters 2998 Photodiode Array Detectorを有するWaters 2545 Binary Gradient Moduleで行った。生成物の精製は、C12 Phenomenex Synergi 250×10.0mm、4μm、80Å逆相カラム(カラム1)またはC12 Phenomenex Synergi 250×50mm、10μm、80Å逆相カラム(カラム2)で行い、水中0.1%のトリフルオロ酢酸(溶媒A)及びアセトニトリル中0.1%のトリフルオロ酢酸(溶媒B)を用いて溶離した。概して、精製方法は、溶媒Aから溶媒Bへの線形勾配からなり、90%の水性溶媒Aから10%の溶媒Aに傾斜をつけた。流量は、254nmにおけるモニタリングで4.6mL/分であった。
【0376】
方法1:PEG化アウリスタチン薬物リンカー化合物の調製:グルクロニド単位の全体的脱保護によるMDPr-PEG12-GlucC-MMAEの非収束的合成
【0377】
グルクロニド単位内のβ脱離からの15~20重量%またはそれより多くの不純物を有する、PEG化グルクロニド-アウリスタチン薬物リンカー化合物、及びその中間体の合成の例示として、以下の反応スキームを示す。当該合成は、モデルアウリスタチン薬物単位としてMMAEを有する。
【0378】
【0379】
【0380】
【0381】
方法2:PEG化アウリスタチン薬物リンカー化合物の調製:グルクロニド単位の2ステップ脱保護によるMDPr-PEG12-GlucC-MMAEの収束的合成。
【0382】
β脱離不純物を大幅に低減するPEG化グルクロニド-アウリスタチン薬物リンカー化合物、及びその中間体の合成における本発明に従った例示として、以下の反応スキームを示す。当該合成は、モデルアウリスタチン薬物単位(式10、式I、及び/または式IIFの代表的化合物である化合物10A)としてMMAEを有する。
【0383】
【0384】
【0385】
【0386】
【0387】
実施例1:化合物1Aの調製(スキーム1)
【0388】
フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)及びモノメトキシトリチル(MMTr)保護L-リジン(15g)、N-ヒドロキシスクシンイミド(3.23g、1.2当量)(Sigma-Aldrich、カタログ番号130672)、及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)(約0.19g、0.05当量)(Sigma-Aldrich、カタログ番号711489)を、室温(rt)でDCM(75mL)に添加した。次に、反応混合物を氷浴中で約5℃に冷却し、次にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.30mL、0.075当量)(Sigma-Aldrich、カタログ番号387649)及びN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(5.83g、1.3当量)(Sigma-Aldrich、カタログ番号03450)を添加し、次に得られた反応混合物を室温で一晩攪拌した。次に反応混合物を水で洗浄し(45mL×2)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。次に、ジオキサン(45mL)、β-アラニン(2.29g、1.1当量)(Sigma-Aldrich、カタログ番号146064)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(4.5mL、1.1当量)(Sigma-Aldrich、カタログ番号387649)、及び脱イオン水(22.5mL)を、得られた残渣に添加した。室温で一晩攪拌した後、DCM(225mL)を添加し、次にHCl/水(0.4%、225mL)で洗浄し、次に水(225mL)で洗浄した。この有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮して、粗製の化合物1Aを得た。分析用LC-MS:tR = 1.93分, m/z(ES+) 実測値712.5.
【0389】
実施例2:化合物3Aの調製(スキーム2)
【0390】
化合物2Aの合成を含めたグルクロニドベースプロドラッグの合成は、例えば、Anticancer Drug Design(1998),13(8),955-68に開
示されており、この合成方法は、参照によって特定的に本明細書に組み込まれる。
【0391】
粗製の化合物1A(1.05当量)をDCM(75mL)に溶解し、次にこれに対し2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)(Sigma-Aldrich、カタログ番号149837)(2.84g、1.30当量)を室温で添加した。10分攪拌した後、化合物2A(10.15g、1.0当量)を反応混合物に添加し、これを室温で一晩攪拌した。反応が完了した後、反応混合物を濾過用漏斗内の150gのシリカゲル上に充填した。EtOAc/ヘプタン=1/1を極性の低い不純物の溶離に使用し、純粋なEtOAcを所望生成物の収集に使用した。濃縮し、溶媒をヘプタンに交換した後、白色の固体を得た。固体を真空濾過によって収集し、真空中で1日の間室温で乾燥して、21.68gの化合物3Aを得た(リジンからの全収率84.6%)。分析用LC-MS:tR = 1.95分, m/z(ES+) 実測値1149.3.
【0392】
実施例3:化合物4Aの調製(スキーム3)
【0393】
2-MeTHF(194mL)中の化合物3A(4.86g)に、1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)(Sigma-Aldrich、カタログ番号21861)2.084g(3当量)を添加した。反応混合物を室温で5時間攪拌し、LC-MSが反応の完了を示した。次に反応混合物を水で洗浄し(49mL×3)(少量のNaClが相分離に必要となる)(注:この湿潤な溶液は一晩安定している)、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒の蒸発によって、固体(5.833g)を得た。この固体及びMMAE 3.646g(1.3当量)を2-MeTHF(29mL)に溶解した。4mLの2-MeTHF中の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)(0.15g、0.2当量)(Sigma-Aldrich、カタログ番号711489)を蒸発させて、体積を約1/2に減少させた。次に、濃縮したHOBt溶液を反応混合物に添加し、これを55℃で60時間攪拌した。反応物を水で洗浄して(29mL×4)、過剰なMMAE及びHOBtを除去した。MMAEは、2-MeTHF溶液中で、室温で一晩、ポリマー結合イサト酸無水物(Aldrich製品番号514373)でスラリー化することにより除去することもできる。MMAEがポリマー結合イサト酸無水物と反応したら、この反応物を濾去する。
【0394】
反応混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をEtOAcと交換し、得られた溶液をBiotageカラムに充填した。EtOAc中5%のMeOHを使用して生成物を溶離し、4.914g(収率62%)の化合物4Aを得た。分析用LC-MS:tr = 2.22分, m/z(ES+) 実測値1894.1.
【0395】
実施例4:化合物5Aの調製(スキーム4)
【0396】
【0397】
Boc保護マレイミド(上記)を、PCT公開第WO2015057699号に記載のようにして調製した。当該方法は、参照によって特定的に本明細書に組み込まれる。
【0398】
化合物4A(4.40g)を44mLのDCMに溶解し、トリクロロ酢酸(TCA)(8.8g)(Sigma-Aldrich、カタログ番号T6399)を440mLのDCMに溶解した。TCA溶液を氷浴中で約5℃に冷却し、次に化合物4A溶液を5分で添加した。添加の際、反応混合物が直ちにオレンジ色に変化した。氷浴を外し、温度はゆっくりと15℃に上昇した。反応は1時間で完了した。次に再び氷浴中で約10℃に冷却し、そこで100mLの水中6.0gのKHCO3を5分で添加して反応混合物をクエンチし、その結果色が消失した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ヘプタンを添加して溶媒を蒸発させて、白色の固体を形成した。白色の固体を真空濾過によって収集して、粗製の化合物5Aを得た。分析用LC-MS:tR = 1.94分, m/z(ES+) 実測値1621.0.
【0399】
実施例5:化合物6Aの調製(スキーム4)
【0400】
次に、粗製の化合物5AをDCM(17.6mL)に溶解し、それからPEG12-OSu(1.756g、1.1当量)(Quanta BioDesign、カタログ番号10262)を溶解し、次にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.24mL、0.60当量)(Sigma-Aldrich、カタログ番号387649)を添加した。反応混合物を室温で4時間攪拌し、次にシリカゲル(88g)上に充填し、1)5%のMeOH/EtOAcで溶離して過剰量のPEG-OSu、MMTr関連副生成物、及びN-ヒドロキシスクシンイミドを除去し、次に、2)5%のMeOH/DCMで溶離して化合物6A(3.335g、収率66%)を得た。分析用UPLC-MS:tR = 1.53分, m/z(ES+) 実測値2191.3.
【0401】
実施例6:化合物8Aの調製(スキーム4)
【0402】
化合物6A(2.73g)を丸底フラスコに添加し、次に9mLのTHF及び9mLのMeOHを添加した。固体を溶解して得られた溶液を、氷浴中で冷却した。メチルマグネシウムヨージド溶液(Et2O中3M)(2.08mL、5当量)(Sigma-Aldrich、カタログ番号254363)を、内部温度を5℃未満に制御して滴下添加した。その後に、反応混合物を室温で一晩攪拌して、in situで形成された(MeO)MgIによるアセテート保護基の選択的除去のためにエステル交換反応を生じさせ、その結果得られた中間体化合物7Aに対し、次に以下のようにして、精製を必要とすることなく、LiOH(水性)を用いたさらなる脱保護を行う。
【0403】
反応混合物を再び氷浴中で冷却し、水(9mL)中の水酸化リチウム(358mg、12当量)(Sigma-Aldrich、カタログ番号545856)をゆっくりと添加した。温度が徐々に室温まで上昇した。3時間後、FMOC保護基の除去が完了した。次に、反応混合物をセライトで濾過して、FMOC関連副生成物を除去した。所望生成物を含有する濾液のpHを、酢酸によって7に調整した。濾液の逆相クロマトグラフィーにより、精製された化合物8A(約1.8g、収率78%)(分析用HPLCの評価による)を得た。分析用LC-MS:tR = 1.53分, m/z(ES+) 実測値1828.8.
【0404】
実施例7:化合物9Aの調製(スキーム4)
【0405】
4mLのバイアルに、Boc保護マレイミド(46.6mg、0.16mmol)、COMU(46.8mg、0.11mmol)(Sigma-Aldrich、カタログ番号712191)、及びDMF(0.5mL)を満たした。混合物を0℃に冷却し、2,6-ルチジン(38.2μL、0.33mmol)(Sigma-Aldrich、カタ
ログ番号336106)をゆっくりと添加し、反応物を30分間攪拌した。別のバイアルに、化合物7A(100.0mg、0.06mmol)をDMF(1.0mL)に溶解し、0℃に冷却した。Boc保護マレイミドの溶液を化合物7Aの溶液に添加し、30分間攪拌した。
【0406】
反応物にDMSO(0.5mL)を添加し、次に、温度を0℃に保ちながら、水中0.1%TFA(2.0mL)を反応物にゆっくりと添加した。分取HPLCによって粗製材料を精製し、画分を凍結乾燥して、化合物8A(28.0mg、収率24%)を得た。分析用UPLC-MS:tR = 1.32分, m/z(ES+) 実測値2096.44.
【0407】
実施例8:化合物10Aの調製(スキーム4)
【0408】
4mLのバイアルに、化合物9A(28mg、0.013mmol)及び20%のトリフルオロ酢酸(TFA)(Sigma-Aldrich、カタログ番号T6508)のDCM(1.5mL)中溶液を満たした。反応物で30分間攪拌し、次に溶媒を真空中で除去した。粗生成物をDMSO(1.0mL)及び水中0.1%TFA(3mL)に取り込ませた。材料を3時間静置し、次に生成物をHPLCによって精製した。生成物の画分を収集し凍結乾燥して、化合物9A(24mg、収率90%)を得た。分析用UPLC-MS:tR = 1.17分, m/z(ES+) 実測値1996.42.
【0409】
実施例9:化合物6Aの脱保護についての様々な条件の比較
【0410】
表1に示すように、アウリスタチン薬物リンカー中間体の全体的脱保護のために、水性塩基を用いて、アセテート保護グルクロニド単位におけるように、炭水化物部分からアシル保護基を除去するという従来の方法(方法1)からは、デヒドロ-7Aの構造(下記のスキーム5参照)に例示される15~20重量%またはそれより多くの不純物を含有する脱保護生成物がもたらされた。
【0411】
不純物デヒドロ-7Aはグルクロニド単位内の競合的β脱離プロセスの結果として生じるものであり、このことによって、所望生成物の化合物7Aの収率は著しく減少する。当該問題は、化合物7Aの前駆体である化合物6Aを、メタノール及びTHFの1:1(v/v)混合液中で、MeMgIの溶液に接触させることにより、予想外に解決した(方法2)。in situで形成された試薬MeOMgIは、エステル交換により、他方の塩基感受性を有する保護基FMOCを妨害することなく、驚くべきことにアセテート保護基を除去する。メチルエステル保護基も、メタノール溶媒による任意のエステル交換がこのエステル基を再生成するため、変化しない。方法1と同様に、方法2のFMOC及びメチルエステル基は水性LiOHで除去する。この2ステッププロセス(これはシングルポットで好都合に行うことができる)からの不純物デヒドロ-7Aの量は、約4%未満に著しく減少した。
【0412】
スキーム5 グルクロニド脱保護法
【化335】
【化336】
【0413】
【0414】
【表2】
例えば、好ましい実施形態によれば、本発明は以下を提供する:
(項目1)
式ID:
【化337】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1及びL
2の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
CはPEGキャッピング単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法が、以下のステップ:
(c)式ICの薬物リンカー中間体化合物を、好適なアルコール含有溶媒中のグリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムのいずれかに接触させること、を含み、
前記式ICの薬物リンカー中間体化合物が、
【化338】
の構造を有し、
(式中、R
6の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのためR
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、残りの可変基は先に記載の通りである)
前記グリニャール試薬またはハロゲン化アルコキシマグネシウムの接触が、前記ヒドロキシル保護基を選択的に除去して式ICの化合物を提供する、前記方法。
(項目2)
式IE:
【化339】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1及びL
2の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
R
CはPEGキャッピング単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法は、項目1に記載のステップ(c)を含み、後続のステップ:
(d)ステップ(c)の生成物を、第1の脱保護剤に接触させること、をさらに含み、前記第1の脱保護剤の接触が、前記Z
1アミノ保護基及びカルボン酸保護基を除去して前記式IEの薬物リンカー中間体化合物を提供する、前記方法。
(項目3)
前記式IC及び式IDの薬物リンカー中間体化合物が、式IIC及び式IID:
【化340】
の構造を有する、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記式IC及び式IEの薬物リンカー中間体化合物、またはその塩が、式IIC及び式IIE:
【化341】
の構造を有する、項目2に記載の方法。
(項目5)
式IE:
【化342】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
CはPEGキャッピング単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法は、項目2に記載のステップを含み、ステップ(c)及びステップ(d)の前に以下のステップ:
(a)式IAの薬物リンカー中間体を、第2の脱保護剤に接触させることであって、前記式IAの薬物リンカー中間体化合物が、
【化343】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1及びZ
2の各々は独立して、それぞれ第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)
前記第2の脱保護剤の接触が、前記Z
2アミノ保護基を選択的に除去して、式IB
【化344】
またはその塩の薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提
供する、前記接触させることと、
(b)前記式IBの化合物を、好適な溶媒中で、式iv
【化345】
の化合物(式中、R
8は活性化エステル基であり、残りの可変基は先に定義の通りである)に接触させること、あるいは
(b’)前記式IBの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式ivの化合物(式中、R
8は-COOHであり、残りの可変基は先に定義の通りである)に、第1の活性化剤の存在下で接触させることと、
をさらに含み、前記接触ステップ(b)または(b’)が、
【化346】
またはその塩の式ICの薬物リンカー中間体化合物(式中、可変基は先に定義の通りである)を提供する、前記方法。
(項目6)
式I:
【化347】
またはその塩の薬物リンカー化合物またはその中間体を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1、L
2、及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
CはPEGキャッピング単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法は、項目6に記載のステップ(a)~(d)を含み、その次に以下のステップ:
(e)前記式IEの薬物リンカー中間体化合物を、好適な溶媒中で、式v
【化348】
またはその塩の化合物(式中、L
2は先に定義の通りである)に、第2の活性化剤の存在下で接触させることを含み、
前記式vの接触が、前記式Iの薬物リンカーもしくは薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、前記方法。
(項目7)
L
1及びL
3の各々が独立してC
1-C
4アルキレンであり、L
2が独立して任意選択により置換されたC
1-C
4アルキレンである、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
式II:
【化349】
またはその塩の薬物リンカー化合物を調製する方法であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である)
前記方法が、項目7に記載のステップ(a)~(e)を含み、
前記式vの化合物が、
【化350】
の構造を有し、前記式IA、式IB、式IC、式ID、及び式IEの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、式IIA、式IIB、式IIC、式IID、
式IIE、式IIF:
【化351】
【化352】
の構造を有し、
(式中、
R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1、Z
2、及びZ
3の各々は独立して、それぞれ第1、第2、及び第3の好適なアミノ保護基であり、
特に、Z
3は酸不安定性のアミノ保護基であり、さらに特定すると-C(=O)O-t-Buである)
前記方法が、以下のステップ:
(f)前記式IFの薬物リンカー中間体化合物を、第3の脱保護剤に接触させること、をさらに含み、
前記第3の脱保護試薬の接触が前記Z
3アミノ保護基を除去し、それによって前記式IIの薬物リンカー化合物またはその塩が提供される、
前記方法。
(項目9)
前記アウリスタチン薬物単位(D)が、
【化353】
の構造を有し、
(式中、波線は、Dと前記薬物リンカーまたは薬物リンカー中間体化合物の残部との共有結合を示し、
R
11は、H及びC
1-C
8アルキル、特にメチル、からなる群から選択され、
R
12は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、
R
13は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、
R
14は、H及びメチルからなる群から選択され、
あるいは、R
13及びR
14は、共に炭素環式環を形成し、式-(CR
aR
b)
n-(式中、R
a及びR
bは独立して、H、C
1-C
8アルキル、及びC
3-C
8炭素環からなる群から選択され、nは、2、3、4、5、及び6からなる群から選択され、
R
15は、H及びC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、
R
16は、H、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、アリール、C
1-C
8アルキル-アリール、C
1-C
8アルキル-(C
3-C
8炭素環)、C
3-C
8ヘテロ環、及びC
1-C
8アルキル-(C
3-C
8ヘテロ環)からなる群から選択され、
各R
17は独立して、H、OH、C
1-C
8アルキル、C
3-C
8炭素環、及びO-(C
1-C
8アルキル)からなる群から選択され、
R
18は、H及びC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、
R
19は、-C(R
17)
2-C(R
17)
2-アリール、-C(R
17)
2-C(R
17)
2-(C
3-C
8ヘテロ環)、-C(R
17)
2-C(O)-ZR
20、及び-C(R
17)
2-C(R
17)
2-(C
3-C
8炭素環)からなる群から選択され、
R
20は、H、C
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリール、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリール及びC
3-C
8ヘテロシクリルからなる群から選択され、
Zは-O-もしくは-NH-である、またはZ-は-O-であり、R
20はC
1-C
4アルキルである、または、Zは-NH-であり、R
20は、任意選択により置換されたフェニルもしくは任意選択により置換されたC
5-C
6ヘテロアリールである)
特に、前記アウリスタチン薬物単位(D)が、式D
E-1、D
E-2、D
F-1またはD
F/E-3:
【化354】
の構造を有し、
(式中、R
13は、イソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phであり、Arは、任意選択により置換されたC
6-C
10アリールまたは任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクリル、特に、任意選択により置換されたフェニルまたは任意選択により置換された2-ピリジルである)さらに特定すると、Dが、
【化355】
の構造を有する、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記式IEの薬物リンカー中間体が、式8:
【化356】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
下付き文字nは2~24の範囲であり、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、
Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、
R
4はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)
前記式IC及び式IDの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、式6及び式7:
【化357】
の構造を有する
(式中、
R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選
択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、残りの可変基は先に定義の通りであり、
特に、R
1はHまたはメチルであり、R
2はHであり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4はHまたはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
1はメチルであり、R
2はHであり、Tは-CH(OH)Phである)、項目5に記載の方法。
(項目11)
前記式IIの薬物リンカー化合物が、式10、:
【化358】
またはその塩の構造を有し、
(式中、
下付き文字nは2~24の範囲であり、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、
Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はHまたはC
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)
前記式IA、式IB、式IC、式ID、式IE、及び式IFの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、それぞれ式4、式5、式6、式7、式8、及び式9:
【化359】
【化360】
の構造を有し、前記式vの化合物が、
【化361】
またはその塩の構造を有する
(式中、
R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1、Z
2、及びZ
3の各々は独立して、好適なアミノ保護基であり、
特に、R
1はHまたはメチルであり、R
2はHであり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4はHまたはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
1はメチルであり、R
2はHであり、Tは-CH(OH)Phである)、項目8に記載の方法。
(項目12)
Z
1がFMOCである、項目1~11のいずれか1項に記載の方法、あるいは、Z
1がFMOCであり、及び/またはZ
2が任意選択により置換されたトリチル、特に4-メトキシ-トリチル(MMT)である、項目6~11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記式10の薬物リンカー化合物が、
【化362】
の構造を有し、前記式9の薬物リンカー中間体及び式vの化合物、またはその塩が、
【化363】
の構造を有する、あるいは
前記式10の薬物リンカー化合物が、
【化364】
またはその塩の構造を有し、
前記式9の薬物リンカー中間体及び式vの化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化365】
の構造を有し、
式4、式5、式6、式7、及び式8の他の薬物リンカー中間体化合物が、項目22に記載のものであり、
特に、前記式10の薬物リンカー化合物が、
【化366】
の構造を有する、項目11に記載の方法。
(項目14)
Z
3が-C(=O)O-t-Buであり、及び/またはR
6及びR
7の各々が独立してC
1-C
4アルキルであり、特に、R
6及びR
7がメチルまたはエチル、さらに特定する
といずれもメチルである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記式ivの化合物が、
【化367】
の構造を有する、項目6~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
下付き文字nが8~16の範囲であり、特に、下付き文字nが12である、項目1~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
Z
2またはZ
3を除去するための前記第2または第3の脱保護剤が、0~3の範囲のpKaを有する水含有酸溶液であり、 特に、前記水含有酸溶液がトリフルオロ酢酸またはトリクロロ酢酸のものである、項目6~16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
好適なアルコール含有溶媒中の前記グリニャール試薬が式R
gMgXを有し、好適なアルコール含有中の前記ハロゲン化アルコキシマグネシウムが式R
gOMgXを有する(式中、R
gはC
1-C
4アルキルまたはフェニルであり、XはI、Br、またはClであり、 特に、前記グリニャール試薬はMeMgIまたはMeMgClであり、前記ハロゲン化アルコキシマグネシウムはMeOMgIまたはMeOMgClであり、前記アルコール含有溶媒はC
1-C
4アルコールを含み、さらに特定すると、前記アルコール含有溶媒はメタノール及びTHFの1:1(v/v)混合液である)、項目1~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
Z
1を除去するための前記第1の脱保護剤が、LiOHの水含有溶液である、項目1~18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記式ivの接触のための前記第1の活性化剤が、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩/N-ヒドロキシスクシンイミド、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、クロロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムテトラフルオロホウ酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、1,1’-カルボニルジイミダゾール、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド、またはプロピルホスホン酸無水物の溶液、
特に、EDC・HCl、EEDQ、またはCOMUの溶液、さらに特定すると、COMUの溶液である、項目6~19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記式4の薬物リンカー中間体化合物またはその塩が、以下のステップ:
【化368】
またはその塩の構造を有する式3の化合物を
好適な溶媒中で、
【化369】
の構造を有する式iiiのアウリスタチン化合物に、カルバメートカップリング剤の存在下で接触させること
を含む方法によって調製され、
特に、前記カルバメートカップリング剤が、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル(ジホスゲン)及び炭酸ビス(トリクロロメチル)(トリホスゲン)、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、または1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)の溶液、さらに特定すると、1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)の溶液であり、
前記式3の接触が、前記式4の薬物リンカー中間体化合物またはその塩を提供する、項目11に記載の方法。
(項目22)
前記式3の化合物が、以下のステップ:
式1のパラレルコネクター単位前駆体(L
P’)またはその塩、及び式2の化合物を、好適な溶媒中で、項目32に記載の活性化剤の存在下で接触させること
を含む方法によって調製され、
式中、前記式1のL
P’化合物が、
【化370】
またはその塩の構造を有し、
(式中、Z
1及びZ
2の各々は独立して、好適なアミノ保護基である)
前記式2の化合物が、
【化371】
の構造を有し、
前記接触が、前記式3の化合物またはその塩を提供する、項目21に記載の方法。
(項目23)
【化372】
またはその塩の構造を有する式3の化合物
(式中、
L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、特に、L
1及びL
3は独立してC
1-C
4アルキレンであり、
R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
特に、各R
6は、C
1-C
4アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルであり、及び/またはR
7はメチルまたはエチル、さらに特定すると、R
6及びR
7はそれぞれメチルであり、あるいは
式3は、
【化373】
の構造を有し、
式中、Z
1及びZ
2は独立して、第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、
特に、Z
1及び/またはZ
2は、フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)及び/または4-メトキシトリチル(MMTr)であり、さらに特定すると、前記式3の化合物は、
【化374】
の構造を有する)。
(項目24)
式4:
【化375】
またはその塩の構造を有する薬物リンカー中間体化合物
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1及びZ
2は独立して、第1及び第2の好適なアミノ保護基であり、
特に、Z
2はMMTrであり、及び/または、前記式4の化合物またはその塩は、
【化376】
の構造を有し、
さらに特定すると、前記式4の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化377】
の構造を有し、式中、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、
Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)。
(項目25)
薬物リンカー中間体化合物であって、前記薬物リンカー中間体化合物は、式5
【化378】
またはその塩の構造を有する、前記薬物リンカー中間体化合物
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
特に、前記式5の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化379】
の構造を有し、
さらに特定すると、前記式5の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化380】
の構造を有し、式中、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、
Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)。
(項目26)
薬物リンカー中間体化合物であって、前記薬物リンカー中間体化合物は、式6:
【化381】
またはその塩の構造を有する、前記薬物リンカー中間体化合物
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
6及びR
7の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため、R
6C(=O)-は好適なヒドロキシル保護基であるエステル官能基を提供し、-OR
7は好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
CはPEGキャッピング単位であり、
下付き文字nは1~24の範囲であり、
特に、下付き文字nは8または12であり、
及び/または、前記式6の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化382】
の構造を有し、
さらに特定すると、前記式6の薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化383】
の構造を有し、式中、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、
Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択される)。
(項目27)
前記アウリスタチン薬物単位(D)が、項目9に記載の構造のいずれか1つ、特に、式D
F/E-3:
【化384】
の構造(式中、
R
13は、イソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phである)を有し、
さらに特定すると、
【化385】
を有する、項目23~26のいずれか1項に記載の化合物。
(項目28)
R
6及びR
7の各々が独立してC
1-C
4アルキルであり、特定すると、R
6及びR
7の各々がメチルである、またはR
6及びR
7の各々がエチルである、項目24~27のいずれか1項に記載の薬物リンカー中間体化合物。
(項目29)
R
1が水素またはメチルであり、R
2が水素であり、Tが-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4は水素またはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、特に、R
1がメチルであり、R
2がHであり、Tが-CH(OH)-Phであり、及び/またはZ
1がFMOCである、
項目24、25、または26に記載の薬物リンカー中間体化合物。
(項目30)
前記式4の薬物リンカー中間体化合物が、
【化386】
の構造を有する、項目24に記載の薬物リンカー中間体化合物。
(項目31)
前記式5の薬物リンカー中間体化合物が、
【化387】
またはその塩の構造を有する、項目25に記載の薬物リンカー中間体化合物。
(項目32)
前記式6の化合物が、
【化388】
の構造を有する、項目26に記載の薬物リンカー中間体化合物。
(項目33)
【化389】
またはその塩の構造を有する式7の薬物リンカー中間体を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3
-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、そのため-OR
7が好適なカルボン酸保護基であるエステル官能基を提供し、特にR
7はメチルであり、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
CはPEGキャッピング単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である)
前記組成物が、約10重量%以下、特に約5重量%以下の、
【化390】
またはその塩の構造を有する式7Aの薬物リンカー中間体化合物をさらに含み、
(式中、可変基は先に定義の通りであり、
特に、Z
1はFMOCである)
及び/または、前記式7及び式7Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化391】
の構造を有する、前記組成物。
(項目34)
【化392】
またはその塩の構造を有する式8の薬物リンカー中間体を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
CはPEGキャッピング単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である)
前記組成物が、約10重量%以下、特に約5重量%以下、さらに特定すると約3重量%から4重量%の間以下の、
【化393】
またはその塩の構造を有する式8Aの薬物リンカー中間体化合物、をさらに含み、
(式中、可変基は先に定義の通りである)
特に、前記式8及び式8Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化394】
の構造を有する、前記組成物。
(項目35)
【化395】
またはその塩の構造を有する式9の薬物リンカー中間体もしくは薬物リンカー化合物を含む組成物であって、
(式中、Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1、L
2、及びL
3の各々は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、R
CはPEGキャッピング単位であり、下付き文字nは2~24の範囲である)
前記組成物が、約10重量%以下、特に5重量%以下の、
【化396】
またはその塩の構造を有する式9Aの薬物リンカー中間体もしくは薬物リンカー化合物をさらに含み、
(式中、可変基は先に定義の通りである)
特に、前記式9及び式9Aの薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化397】
の構造を有する
(式中、
Z
3は、酸不安定性の第3のアミノ保護基、特に式-C(=O)O-R
8(式中、R
8は、C
1-C
4アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルである)のカルバメートである)、前記組成物。
(項目36)
【化398】
またはその塩の構造を有する式10の薬物リンカー化合物を含む組成物であって、
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲である)
前記組成物が、約10重量%以下、特に約5重量%以下の、
【化399】
またはその塩の構造を有する式10Aの薬物リンカー化合物をさらに含み、
(式中、
可変基は先に定義の通りである)
特に、前記式10及び式10Aの薬物リンカー化合物が(任意選択により塩形態である)が、
【化400】
の構造を有する、前記組成物。
(項目37)
前記アウリスタチン薬物単位(D)が、項目9に記載の構造のいずれか1つ、特に、式D
F/E-3:
【化401】
の構造を有し(式中、R
13は、イソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phである)、
さらに特定すると、
【化402】
を有する、項目33~36のいずれか1項に記載の組成物。
(項目38)
前記式7及び式7Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化403】
の構造を有し、
(式中、
Z
1はFMOCであり、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、
Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、
特に、R
2は水素であり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4は水素またはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
2はHであり、Tは-CH(OH)-Phであり、及び/または下付き文字nは8または12である)、
さらに特定すると、前記式7及び式7Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化404】
の構造を有する、項目33に記載の組成物。
(項目39)
前記式8及び式8Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化405】
の構造を有し、
(式中、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、
Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、
特に、R
2は水素であり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4は水素またはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
2はHであり、Tは-CH(OH)-Phであり、及び/または下付き文字nは8または12である)
さらに特定すると、前記式8及び式8Aの薬物リンカー中間体化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化406】
の構造を有する、項目34に記載の組成物。
(項目40)
前記式9及び式9Aの薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化407】
【化408】
の構造を有し、
(式中、
Z
3は-C(=O)O-t-Buであり、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、
Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、
特に、R
2は水素であり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4は水素またはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
2はHであり、Tは-CH(OH)-Phであり、及び/または下付き文字nは8または12である)、
さらに特定すると、前記式9及び式9Aの薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化409】
【化410】
の構造を有する、項目35に記載の組成物。
(項目41)
前記式10及び式10Aの薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化411】
の構造を有し、
(式中、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、
Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、
特に、R
2は水素であり、Tは-CH(OR
4)-R
5(式中、R
4は水素またはメチルであり、R
5はC
6-C
10アリールである)であり、さらに特定すると、R
2はHであ
り、Tは-CH(OH)-Phであり、及び/または下付き文字nは8または12である)、
さらに特定すると、前記式10及び式10Aの薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)が、
【化412】
の構造を有する、項目36に記載の組成物。
(項目42)
薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物であって、前記薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物(任意選択により塩形態である)は、
【化413】
の構造を有する、前記薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物
(式中、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1、L
2、及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、特に、L
1、L
2、及びL
3は独立してC
1-C
4アルキルであり、L
2は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
4アルキルであり、
Z
1は第1の好適なアミノ保護基であり、
R
7は、任意選択により置換されたC
1-C
8アルキル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、または任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレンであり、
R
CはPEGキャッピング単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲であり、
特に、下付き文字nは8または12であり、
及び/または、前記薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物は、
【化414】
及びその塩からなる群から選択される構造を有し、
式中、
Z
3は、酸不安定性のアミノ保護基、特に-C(=O)O-R
8(式中、R
8は、C
1-C
4アルキルまたは任意選択により置換されたフェニルである)の構造を有するカルバメートであり、
R
7は、C
1-C
4アルキル、特にメチルまたはエチルである)。
(項目43)
前記化合物が、
【化415】
【化416】
及びその塩からなる群から選択される構造を有する、
(式中、
R
7はメチルであり、
Z
1はFMOCであり、
Z
3は-C(=O)O-t-Buであり、
R
1は、HまたはC
1-C
4アルキルであり、
R
2は、H、C
1-C
4アルキル、または-CH
2-R
3であり、
R
3は、C
6-C
10アリールまたはC
3-C
8ヘテロシクリルであり、
Tは、-CH(OR
4)-R
5及び-C(=O)-OR
4(式中、R
4はH、C
1-C
4アルキルであり、R
5はC
6-C
10アリールまたはC
3-C
6ヘテロアリールである)からなる群から選択され、
特に、下付き文字nは8または12であり、及び/またはR
1がメチルであり、R
2がHであり、Tが-CH(OH)-Phである)
さらに特定すると、前記薬物リンカー中間体または薬物リンカー化合物が、
【化417】
【化418】
及びその塩からなる群から選択される構造を有する、項目42に記載の化合物。
(項目44)
【化419】
またはその医薬的に許容される塩の構造を有する式11及び式11Aによって表される抗体薬物結合体を含む組成物であって、
(式中、
Abは抗体であり、
Sは前記抗体からの硫黄原子であり、
Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1、L
2、及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
CはPEGキャッピング単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲であり、
下付き文字pは約1~約16の範囲である)
前記組成物が、10重量%以下、特に5重量%以下の式11Aの抗体薬物結合体を含有する、前記組成物。
(項目45)
【化420】
の構造を有する、式12及び式12Aによって表される抗体薬物結合体(任意選択により医薬的に許容される塩形態である)を含む組成物であって、
(式中、
Abは抗体であり、
Sは前記抗体からの硫黄原子であり、
Ab-S-部分は、カルボン酸官能基に対しαまたはβの炭素原子に結合しており、Dはアウリスタチン薬物単位であり、
L
1、L
2、及びL
3は独立して、任意選択により置換されたC
1-C
20アルキレン、任意選択により置換されたC
4-C
20ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
3-C
8カルボシクロ、任意選択により置換されたC
6-C
10アリーレン、任意選択により置換されたC
5-C
10ヘテロアリーレン、及び任意選択により置換されたC
3-C
8ヘテロシクロからなる群から選択され、
R
CはPEGキャッピング単位であり、
下付き文字nは2~24の範囲であり、下付き文字pは約1~約16の範囲である)
前記組成物が、10重量%以下の式12Aの抗体薬物結合体を含有し、
特に、前記式12及び式12Aの抗体薬物結合体(任意選択により医薬的に許容される塩形態である)が、
【化421】
【化422】
の構造を有する、前記組成物。
(項目46)
前記アウリスタチン薬物単位が、項目9に記載の構造のいずれか1つを有し、
特に、Dが式D
F/E-3の構造:
【化423】
(式中、
R
13は、イソプロピルまたは-CH
2-CH(CH
3)
2であり、
R
19Bは、-CH(CH
3)-CH(OH)Ph、-CH(CO
2H)CH
2Ph、-CH(CH
2Ph)-2-チアゾール、-CH(CH
2Ph)-2-ピリジル、-CH(
CH
2-p-Cl-Ph)、-CH(CO
2Me)-CH
2Ph、-CH(CO
2Me)-CH
2CH
2SCH
3、CH(CH
2CH
2SCH
3)C(=O)NH-3-キノリル、または-CH(CH
2Ph)C(=O)NH-p-Cl-Phである)
を有し、
さらに特定すると、Dが、
【化424】
の構造を有する、項目44または45に記載の組成物または化合物。
(項目47)
式12及び式12Aの抗体薬物結合体(任意選択により医薬的に許容される塩形態である)、が、
【化425】
の構造を有し、
特に、前記式12及び式12Aの抗体薬物結合体(任意選択により医薬的に許容される塩
形態である)が、
【化426】
の構造を有し、
さらに特定すると、示された炭素原子(
*)を有することが優勢的にS配置にあり、及び
または下付き文字pが約8である、項目45に記載の組成物。
(項目48)
前記抗体が、腫瘍関連抗原に対し選択的に結合可能である、項目44~47のいずれか1項に記載の組成物。
(項目49)
前記腫瘍関連抗原が、前記抗体が結合可能な細胞表面タンパク質または糖タンパク質の細胞外ドメインから構成され、特に、前記細胞表面タンパク質または糖タンパク質が、異常細胞のもの、さらに特定すると、前記組成物の抗体薬物結合体化合物が結合すると内部移行可能なものである、項目48に記載の組成物。
(項目50)
血液悪性腫瘍、特に白血病またはリンパ腫、さらに特定するとB細胞悪性腫瘍を有する対象を処置する方法であって、有効量の、項目44~49のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。