(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082855
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】メリンジョ及び/又はジャワしょうが含有組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20220527BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20220527BHJP
A61K 8/9755 20170101ALI20220527BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20220527BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220527BHJP
A61K 36/13 20060101ALI20220527BHJP
A61K 36/9068 20060101ALI20220527BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L33/10
A61K8/9755
A61K8/9794
A61Q1/00
A61K36/13
A61K36/9068
A61P25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193992
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】391012040
【氏名又は名称】株式会社ホソダSHC
(72)【発明者】
【氏名】杉本 泰康
(72)【発明者】
【氏名】加藤 榮信
(72)【発明者】
【氏名】細田 真也
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE04
4B018LE05
4B018MD08
4B018MD34
4B018MD36
4B018MD53
4B018MD61
4B018ME09
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4C083AA111
4C083CC01
4C083FF04
4C088AB01
4C088AB81
4C088BA06
4C088BA08
4C088BA32
4C088MA02
4C088MA07
4C088NA14
4C088ZA01
(57)【要約】
【課題】神経性の疾患若しくは障害の予防及び/又は改善のための組成物を提供すること。
【解決手段】メリンジョ及び/又はジャワしょうがを少なくとも含有する組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メリンジョ及び/又はジャワしょうがを含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記メリンジョがエキスであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ジャワしょうががエキスであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、固形状、液体状、ペースト状、破砕状及び粉末状の少なくともひとつである請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
メリンジョに下記式(1)で示されるグネチンCを成分として含み、ジャワしょうがに下記式(2)で示されるフェニルブテノイド二量体(以下バングレンと記す)を成分として含む請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【化1】
【化2】
【請求項6】
メリンジョ又はそのエキスが、種子由来のものを少なくとも含有する、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
ジャワしょうが又はそのエキスが、根茎由来のものを少なくとも含有する、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
飲食品、化粧品、医薬部外品、又は医薬品である、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
神経性の疾患若しくは障害の予防及び/又は改善のために用いられる、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
神経性の疾患若しくは障害が、認知症、脳虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、自閉症、統合失調症、味覚障害、嗅覚障害、パニック障害、うつ病のうち少なくともひとつである、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の組成物を含むサプリメント。
【請求項12】
請求項1~10のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メリンジョ及び/又はジャワしょうがを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メリンジョ(学名:Gnetum gnemon L.)は、インドネシア原産のグネツム科に属する裸子植物の一種で、高さ5~20mほどの樹木である。現地では果皮や種子、葉などが食料として古くから利用されている。特に、メリンジョ種子を含水アルコール抽出することで得られるメリンジョ種子エキス(特許文献1及び2)には、多彩な機能を有するレスベラトロール(resveratrol)やその二量体であるグネチンC(gnetin C)などが豊富に含まれている(非特許文献1)。例えば、グネチンC若しくはメリンジョエキスについて、腸内細菌叢の改善(特許文献3)、アミロイドβ生合成抑制(非特許文献2)、歯周病の改善(非特許文献3)が報告されている。
【0003】
ジャワしょうが(学名:Zingiber purpureum、Zingiber cassumunar、Zingiber montanum)は、ショウガ科に属する多年草で東南アジアに広く分布する。なお、植物分類学上、一般的なショウガ(Zingiber officinale)とは異なる。インドネシアでは、食品(スパイス)や伝統薬として利用される。根茎のエタノールエキス(特許文献4及び5)には、フェニルブテノイド二量体であるバングレン(banglenes;cis-banglene、trans-banglene)が含まれており、ジャワしょうがエキス(特許文献3及び4)やバングレンは神経細胞に対して神経突起伸長を促進させる作用がある(非特許文献4)。
【0004】
アルツハイマー病などの神経変性疾患は、神経細胞を中心とする様々な退行性変化が見られる疾患である。初老期や老年期に発症することが多いため、超高齢社会である日本では医療、福祉、介護等の観点から最優先で解決すべき疾患のひとつである。
【0005】
しかしながら、現時点で、アルツハイマー病の完治が望める治療薬や治療法は存在していない。そのため、アルツハイマー病の予防や改善が期待できる飲食品などが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4744447号公報
【特許文献2】特許第6362237号公報
【特許文献3】国際公開第2020/071541号公報
【特許文献4】特許第5578302号
【特許文献5】特許第5725527号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本補完代替医療学会誌、第17巻、第1号、2020年5月
【非特許文献2】Biomed Res.2018;39(3):105-115.
【非特許文献3】J.Periodontol.2018.89.586-595.
【非特許文献4】日本補完代替医療学会誌、第16巻、第1号、2019年3月
【非特許文献5】J.Agric.Food Chem.2020,68,30,7904-7915.
【非特許文献6】Brain,Behaivor,and Immunity,2017,65,350-361.
【非特許文献7】J Neurochem.2020,00,1-13.
【非特許文献8】J.Agric.Food Chem.2009、57、2544-2549.
【非特許文献9】Int J Mol Sci.2020,21(13),4772.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、アルツハイマー病等を含む神経性の疾患若しくは障害を予防及び/又は改善する組成物として、メリンジョ及び/又はジャワしょうが含有する組成物を提供することを一つの目的とする。また、その組成物の製造方法を一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、本発明は、食品として使用されている安全な植物であるメリンジョ及び/又はジャワしょうがを含有する組成物を提供することで、神経性の疾患若しくは障害の予防及び/又は改善に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、食品として使用されている安全な植物であるメリンジョ及び/又はジャワしょうがを少なくとも含有する組成物を提供することで、神経新生効果のみならず、歯周病菌の抗菌作用等をもたらすことで、アルツハイマー病等の神経変性疾患を予防及び/又はは改善することができる。安全な素材で普段の食事に組み入れることも可能であり、日常的に摂取可能である。したがって、従来技術に比べて安全、低コストにアルツハイマー病等の神経変性疾患を予防及び/又は改善することで、医療、福祉、介護等に大いに貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、上述の代表的な発明を中心に説明する。
【0012】
[メリンジョ]
メリンジョ(学名:Gnetum gnemon L.)は、インドネシア原産のグネツム科に属する裸子植物の一種で、高さ5~20mほどの樹木である。現地では果皮や種子、葉などが食料として古くから利用されている。特に、メリンジョ種子を含水アルコール抽出することで得られるメリンジョ種子エキスには、多彩な機能を有するレスベラトロール(resveratrol)やその二量体であるグネチンC(gnetin C)などが豊富に含まれている。
【0013】
メリンジョを抽出して得られるメリンジョエキスやレスベラトロール、グネチンCは、様々な機能性を有することが開示されている。非特許文献1にメリンジョエキスやグネチンCの機能性の一部が示されており、例えば、血清尿酸値低下作用、アディポネクチン活性化作用、HDLコレステロール上昇作用、SIRT1増加作用、体重増加の抑制、血中インスリン濃度低下作用、HOMA-IR低下作用、マトリックスメタロプロテアーゼ-14(MMP-14)活性化作用、抗腫瘍作用、美白効果作用、チロシナーゼ活性阻害、皮膚の菲薄化改善、歯周病炎症改善作用、免疫調節、抗炎症作用、抗菌活性、リパーゼ活性阻害、アミラーゼ活性阻害などが期待される。さらに、特許文献3には、腸内細菌叢の改善効果について開示されている。
【0014】
[ジャワしょうが]
ジャワしょうが(学名:Zingiber purpureum、Zingiber cassumunar、Zingiber montanum)は、ショウガ科に属する多年草で東南アジアに広く分布する。なお、植物分類学上、一般的なショウガ(Zingiber officinale)とは異なる。インドネシアでは、食品(スパイス)や伝統薬として利用される。根茎のエタノール抽出物には、フェニルブテノイド二量体であるバングレン(banglenes;cis-banglene、trans-banglene)が含まれており、ジャワしょうがエキスやバングレンは神経細胞に対して神経突起伸長を促進させる作用がある。
【0015】
ジャワしょうがを抽出して得られるジャワしょうがエキスやバングレンは、様々な機能性を有することが開示されている。非特許文献4にジャワしょうがエキスやバングレンの機能性の一部が示されており、例えば、認知症改善効果、神経突起伸長作用などが期待される。また、非特許文献5には、抗てんかん作用があることが示されている。
【0016】
[エキス]
エキス(extract)は、基原植物を抽出、濃縮して得られる濃縮物のことを指す。なお、本発明で言う抽出、濃縮には、精製や化合物の単離、分離などのあらゆる工程が含まれる。メリンジョあるいはジャワしょうがの抽出物を得るための抽出方法として、溶媒抽出、酸塩基抽出、熱水抽出、超臨界流体抽出などが挙げられるが、特に制限されず、複数の方法を組み合わせることもできる。また、濃縮や精製方法として、加熱、クロマトグラフィー、蒸留、昇華、減圧濃縮、塩析などが挙げられるが、特に制限されず、複数の方法を組み合わせることもできる。例えば、メリンジョエキスの製造方法は、特許文献1、特許文献2に開示されており、参照できる。例えば、ジャワしょうがエキスの製造方法は、特許文献5に開示されており、参照できる。
【0017】
基原植物であるメリンジョ及びジャワしょうがのそれぞれを別々に或いはそれらを合わせて抽出して濃縮物を製造してもよい。
【0018】
組成物の形状は、特に制限されないが、例えば、固形状、液体状、ペースト状、破砕状、粉末状が挙げられる。組成物の形状は、目的に合わせて選択することができる。例えば、飲料として提供するのであれば、液体状やペースト状が好ましく、サプリメントとして提供するのであれば、固形状や粉末状などが好ましい。
【0019】
[グネチンC]
メリンジョに含まれる機能性成分として、グネチンCが挙げられ、メリンジョ抽出物にグネチンCを含むものが好ましい。組成物に含まれるグネチンC含有量は、1日摂取当たり、20mg以上が好ましく、50mg以上がより好ましく、100mg以上若しくは150mg以上がさらに好ましい。
【0020】
[バングレン]
ジャワしょうがに含まれる機能性成分として、バングレン(banglenes;cis-banglene、trans-banglene)があり、ジャワしょうが抽出物にバングレンを含むものが好ましい。組成物に含まれるバングレン含有量は、1日摂取当たり、5mg以上が好ましく、10mg以上がより好ましく、20mg以上若しくは50mg以上がさらに好ましい。
【0021】
[メリンジョ種子]
メリンジョ又はそのエキスは、グネチンC及びその配糖体が多く含まれる種子由来のものを少なくとも含有するものが好ましい。組成物に含まれるメリンジョエキス含有量は、1日摂取当たり、100mg以上が好ましく、150mg以上がより好ましく、300mg以上若しくは500mg以上がさらに好ましい。
【0022】
[ジャワしょうが根茎]
ジャワしょうが又はそのエキスは、バングレンが多く含まれる根茎由来のものを少なくとも含有するものが好ましい。組成物に含まれるジャワしょうがエキス含有量は、1日摂取当たり、20mg以上が好ましく、40mg以上がより好ましく、100mg以上若しくは200mg以上がさらに好ましい。
【0023】
[組成物の提供形態]
組成物は、提供する目的に合わせて形態を変えることができ、特に制限されないが、飲食品、化粧品、医薬部外品、又は医薬品が好ましい。飲食品として、サプリメント、ペットフード(キャットフード、ドックフードなど)、粉末清涼飲料、清涼飲料水、ジュース、コーヒー、紅茶、リキュール、牛乳、乳清飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト、飴(キャンディー)、飴菓子、キャラメル、チューインガム、チョコレート、グミ、アイスクリーム、プディング、卵製品、羊羹、水羊羹、おかき、餅、団子、煎餅、お粥、クレープ、お好み焼き、パン、クッキー、麺類、ハンバーグ、水練製品、てんぷら、発酵食品、ふりかけなどが挙げられるが、これらに制限されない。化粧品として、スキンケア化粧品(化粧液、美容液、乳液、クリームなど)、メイクアップ化粧品(化粧下地、ファンデーション、口紅など)、UVケア化粧品(日焼け止めなど)、ボディ化粧品(ボディソープ、石鹸、ボディローションなど)、ヘアケア化粧品(シャンプー、コンディショナーなど)、ネイル化粧品、入浴剤、フレグランス(香水など)、口腔化粧品(歯磨き剤など)が挙げられるが、これらに制限されない。医薬部外品として、指定医薬部外品(整腸剤など)、薬用化粧品や入浴剤、育毛剤などを含む医薬部外品、防除用医薬部外品(殺虫剤など)が挙げられるが、これらに制限されない。医薬品として、医療用医薬品やOTC医薬品が挙げられるが、これらに制限されない。
【0024】
[神経性の疾患若しくは障害]
組成物は、神経性の疾患若しくは障害の予防又は改善のために用いられることが好ましい。神経性の疾患若しくは障害とは、神経系統や神経細胞の異常や退行性変化を認めるあらゆる疾患や障害を指す。神経性の疾患若しくは障害とは、認知症、脳虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、自閉症、統合失調症、神経障害性疼痛、味覚障害、嗅覚障害、パニック障害、うつ病などが例として挙げられるが、これらに制限されない。
【0025】
[アルツハイマー病]
アルツハイマー病は、認知症を起こす代表的な疾患のひとつである。現時点で、完治が望める治療薬や治療法は存在していない。アミロイドβが脳にたまり、神経細胞が破壊されて神経細胞数が減ることで発症すると考えられている。記憶障害や学習障害などが進行して、生活に支障が出てくる。暴言や暴力などの行動が見られることもあり、介護の点でも支援が必要な病気である。そのため、医療、福祉、介護の面でも重要な疾患であり、その予防や改善は特に先進国において望まれている。
【0026】
メリンジョ若しくはグネチンCは、アミロイドβ生合成に関わる酵素BACE1(β-セクレターゼ)を抑制するとともに、アミロイドβ分解に関わると言われる酵素であるMMP-14を活性化させることがすでに報告されている(非特許文献1、非特許文献2)
【0027】
最近の研究で、歯周病がアルツハイマー病に関与することが報告された(非特許文献6、7)。歯周病原因菌であるジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis;以下Pg菌と記す)をマウスに慢性投与することにより、アミロイドβが脳内に取り込まれることが発見された。Pg菌が全身に感染することによって末梢炎症組織でアミロイドβを誘発するとともにアミロイドβが脳内に取り込まれることが示された。すなわち、歯周病がアルツハイマー病に関与することが示唆され、歯周病の予防及び治療によって、アルツハイマー病の発症と進行を遅らせることが期待できる。なお、グネチンCを含有するメリンジョエキスが一部の細菌等に対して抗菌作用を有していることは公知であったが(非特許文献8)、Pg菌に対して抗菌作用を有するかは明らかでなかった。
【0028】
[サプリメント]
サプリメントとは、健康食品に分類される食品で、主に健康の維持増進のために使用される。サプリメントの剤形は、錠剤やカプセル剤、顆粒、粉末、液体、ゼリータイプなどがあるが、特に制限されない。また、本発明の組成物に加えて他の成分をサプリメントに加えてもよい。他の成分として、植物成分であれば、明日葉、亜麻、イチョウ葉、大豆イソフラボン、オオムギ、オオムギ若葉、オリーブ、黒豆、高齢人参、ゴボウ、ゴマ、ゴーヤ、甜茶、しょうが、ブラックジンジャー、カモミール、トマト、ニンニク、ニンジン、ハス、ハスの葉、ハス胚芽、バナバ葉、バナナ、ブドウ、ブドウ種子、ブルーベリー、マカ、ルイボス、リンゴ、レモンバームやその抽出物が挙げられるが、これらに制限されない。ほかにも、亜鉛、アスタキサンチン、アラキドン酸、イミダゾールペプチド、エイコサペンタエン酸、エラスチン、カルニチン、アセチルカルニチン、シトルリン、オメガ脂肪酸、カフェイン、カプサイシン、カルシウム、クエン酸、グルコサミン、黒酢、クロム、コエンザイムQ10(CoQ10)、コラーゲン、コンドロイチン、セラミド、セレン、タンパク質、鉄、銅、ドコサヘキサエン酸、トコトリエノール、リコピン、ナイアシン、乳酸菌、パントテン酸、ビオチン、ビタミン類、ビフィズス菌、フコダイン、GABA、不飽和脂肪酸、フラバンジェノール(R)、プロテオグリカン、プロポリス、ポリアミン、マグネシウム、マンガン、モリブデン、葉酸、ヨウ素、ラクトフェリン、リン、リンゴ酸、ロイシン、ローヤルゼリー、レスベラトロール、ビニフェリン、食物繊維、デキストリン、ルテイン、ゼアキサンチン、ユーグレナなどが挙げられるが、これらに制限されない。また、被包材や賦形剤などの添加物として、ゼラチン、グリセリン、プルラン、HPMC、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸カルシム、二酸化ケイ素、レシチン、ミツロウ、植物オイル、糖類、糖アルコール、デキストリン、デンプン、セルロース、水などが挙げられるが、これらに制限されない。提供するサプリメントの目的に合わせて、本発明の組成物に加えて前記成分を少なくとも一つ以上添加することができる。
【0029】
[組成物の製造方法]
本発明の一実施形態は、前記組成物の製造方法である。
【実施例0030】
以下に試験例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は試験例に限定されるものではない。
【0031】
[実施例1:グネチンCの抗菌試験]
(1-1)概要
Pg菌などの歯周病菌を含む口腔内細菌に対するグネチンCの抗菌活性を調べた。
【0032】
(1-2)方法
口腔内細菌(Pg菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌)について、液体培地にグネチンC 0.05mg/mL存在下で培養後、OD600を測定して増殖阻害を調べた。なお、対照として、グネチンCの溶解液として使用したジメチルスルホキシド(DMSO)を使用した。
【0033】
(1-3)結果と考察
その結果、グネチンCは、濃度0.05mg/mLにおける対照のOD600値に対する比がPg菌では0.23、黄色ブドウ球菌では0.37、表皮ブドウ球菌では0.37であったから、グラム陽性菌に対して抗菌作用を有していることが明らかになった。特に、Pg菌について、グネチンCは非常に強い増殖阻害を有することが確認できた。グネチンCが抗菌活性を有することはすでに公知であるが(非特許文献1など)、Pg菌を強力に増殖阻害することが本実施例で初めて示された。したがって、歯周病原因菌であるPg菌に対してグネチンC(およびメリンジョエキス)は強力に抗菌活性を示すことで、歯周病の発症を抑え、さらにアルツハイマー病も抑えることができると考えられる(非特許文献6、7)。
【0034】
[実施例2:メリンジョエキス及びジャワしょうがを含有する組成物の製造1]
(2-1)概要
メリンジョエキス及びジャワしょうがを含有する組成物の製造を行った。
【0035】
(2-2)方法
特許文献2の実施例4に準じてメリンジョ内乳をショ糖脂肪酸エステル存在下、水抽出後、濃縮してメリンジョエキスを製造した。また、特許文献5の実施例2準じてスライスしたジャワしょうが根茎を125℃で加熱した後の含水エタノール抽出液を濃縮してジャワしょうがエキスを製造した。メリンジョエキスとジャワしょうがエキスをそれぞれ10:1、5:1、2:1、1:1、1:2、1:5、1:10の割合で混合して組成物とした。
【0036】
(2-3)結果と考察
得られた組成物は、どの割合であっても飲食可能であった。また、スターチ、デキストリン、シクロデキストリンのいずれか一つを混合して乾燥することで粉末化できることを確認した。したがって、本組成物は、飲食品、化粧品、サプリメント等に使用できる。本組成物は、メリンジョエキスあるいはグネチンCによってPg菌を増殖抑制するとともに(実施例1)、ジャワしょうがあるいはバングレンによって神経突起伸長作用(非特許文献4など)、神経新生作用(非特許文献9)をもたらす。したがって、本組成物は、アルツハイマー病や認知症などを予防及び/又は改善することが期待できる。
【0037】
[実施例3:メリンジョエキス及びジャワしょうがを含有する組成物の製造2]
(3-1)概要
メリンジョ及びジャワしょうがを合わせて抽出することで組成物の製造を行った。
【0038】
(3-2)方法
特許文献1の実施例II-3の抽出条件に準じて乾燥メリンジョ内乳破砕物及び特許文献4の実施例1の天日干しジャワしょうが根茎の粉砕物を60%エタノールに7日間浸漬してろ過し、ろ液を濃縮して混合組成物を得た。なお、メリンジョ内乳破砕物、ジャワしょうが根茎粉砕物、60%エタノールはそれぞれ重量換算で1:1:15、1:2:15、2:1:15の割合で実施した。
【0039】
(3-3)結果と考察
得られた組成物は、どの割合であっても飲食可能であった。また、スターチ、デキストリン、シクロデキストリンのいずれか一つを混合して乾燥することで粉末化できることを確認した。したがって、メリンジョ及びジャワしょうがを合わせて抽出することで本発明の組成物を製造できることを確認できた。本組成物は、メリンジョエキスあるいはグネチンCによってPg菌を増殖抑制するとともに(実施例1)、ジャワしょうがあるいはバングレンによって神経突起伸長作用(非特許文献4など)、神経新生作用(非特許文献9)をもたらす。したがって、本組成物は、アルツハイマー病や認知症などを予防及び/又は改善することが期待できる。
本発明の組成物によって、アルツハイマー病等を含む神経性の疾患若しくは障害を予防及び/又は改善することができる。安全な素材で普段の食事に組み入れることも可能であり、日常的に摂取可能である。したがって、従来技術に比べて安全、低コストにアルツハイマー病等の神経変性疾患を予防及び/又は改善することで、医療、福祉、介護等に大いに貢献することができる。