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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082883
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20220527BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220527BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/78 652T
H01L29/78 652S
H01L29/78 653A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194036
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 浩史
(57)【要約】
【課題】半導体装置のコストの増加を抑制する共に、半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体装置は、トランジスタ形成領域1Aおよびゲート接続領域2Aを有する。トランジスタ形成領域1Aには、X方向に延在する複数のゲート電極3eが形成され、ゲート接続領域2Aには、複数のゲート電極3eと一体化しているゲート接続部3dが形成されている。ゲート接続部3dには、ゲート接続部3dを貫通する孔CH1が形成され、ゲート接続部3dの上方の層間絶縁膜には、孔CH1に内包されるように、孔CH2が形成されている。ゲート接続領域2Aには、n型のエピタキシャル層にp型の拡散領域が形成され、孔CH2の内部に埋め込まれたソースパッドは、p型の拡散領域に電気的に接続され、p型の拡散領域は、p型のボディ領域6に電気的に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトランジスタが形成されるトランジスタ形成領域、および、前記トランジスタ形成領域を分断するように、平面視における第1方向に延在するゲート接続領域を有する半導体装置であって、
表面および裏面を有し、炭化珪素からなり、且つ、第1導電型である半導体基板と、
前記半導体基板の前記表面上に形成され、炭化珪素からなり、且つ、前記第1導電型であるエピタキシャル層と、
前記トランジスタ形成領域の前記エピタキシャル層に形成され、且つ、前記第1導電型と反対の第2導電型である複数のボディ領域と、
前記複数のボディ領域に形成され、且つ、前記第1導電型である複数のソース領域と、
前記ゲート接続領域の前記エピタキシャル層に形成され、前記複数のボディ領域に接続され、且つ、前記第2導電型である拡散領域と、
それぞれ前記複数のボディ領域の一部を覆うように、前記トランジスタ形成領域の前記エピタキシャル層上にゲート絶縁膜を介して形成され、平面視において前記第1方向と交差する第2方向に延在し、且つ、前記第1方向で互いに離間する複数のゲート電極と、
前記ゲート接続領域の前記拡散領域上に第1絶縁膜を介して形成され、前記第1方向に延在し、且つ、前記複数のゲート電極と一体化しているゲート接続部と、
前記複数のゲート電極および前記ゲート接続部を覆うように、前記エピタキシャル層上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成されたソースパッドと、
を備え、
前記ゲート接続部には、前記ゲート接続部を貫通する複数の第1孔が形成され、
前記ゲート接続領域の前記層間絶縁膜には、それぞれ平面視において前記複数の第1孔に内包され、且つ、前記拡散領域に達するように、複数の第2孔が形成され、
前記ゲート接続領域において、前記ソースパッドは、前記複数の第2孔の内部に埋め込まれ、且つ、前記拡散領域に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記トランジスタ形成領域において、それぞれ平面視で前記複数のゲート電極の間に位置する前記複数のボディ領域に重なるように、前記層間絶縁膜に形成された複数の第3孔を更に有し、
前記トランジスタ形成領域において、前記ソースパッドは、前記複数の第3孔の内部に埋め込まれ、且つ、前記複数のボディ領域および前記複数のソース領域に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記複数のボディ領域は、前記拡散領域よりも低い不純物濃度を有し、且つ、前記拡散領域よりも深い位置まで形成されている、半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記複数のボディ領域は、前記第2方向に延在し、前記第1方向で互いに離間し、分断された一方の前記トランジスタ形成領域、前記ゲート接続領域および分断された他方の前記トランジスタ形成領域に渡って形成されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第1絶縁膜は、前記ゲート絶縁膜と同じ厚さを有する絶縁膜である、半導体装置。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記複数のボディ領域には、それらの底部が前記複数のボディ領域内に位置するように、複数のトレンチが形成され、
前記複数のゲート電極のうち一部は、前記ゲート絶縁膜を介して前記複数のトレンチの内部に埋め込まれている、半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第1絶縁膜は、前記複数のトレンチの外部の前記複数のボディ領域と、前記複数のゲート電極との間にも形成され、
前記第1絶縁膜の厚さは、前記ゲート絶縁膜の厚さよりも厚い、半導体装置。
【請求項8】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記複数のボディ領域は、前記第2方向に延在し、且つ、前記第1方向で互いに離間し、
分断された一方の前記トランジスタ形成領域に形成されている前記複数のボディ領域と、分断された他方の前記トランジスタ形成領域に形成されている前記複数のボディ領域とは、前記第2方向において分離している、半導体装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記トランジスタ形成領域の前記半導体基板は、ドレイン領域として機能し、
前記半導体基板の裏面には、裏面電極が形成されている、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、炭化珪素からなる半導体基板を用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体素子を用いる半導体装置の負荷は、モータまたは変圧器などの誘導性である。このため、これらの負荷が適切にクランプされていない場合、または、出力経路に無視できない大きさの浮遊インダクタンスがある場合、負荷電流の遮断時に定格を超えるサージ電圧が、パワー半導体素子の主接合に印加される。この過電圧による半導体素子の故障および劣化を防ぐために、半導体装置では、スナバまたはツェナーダイオードのような、過電圧を吸収する保護回路を半導体素子に付加することが、一般的に行われる。
【0003】
しかし、このような保護回路の付加は、半導体装置のコスト上昇を招くと共に、半導体装置の小型化を阻害する要因にもなる。従って、半導体装置の設計の観点において、半導体素子自身がサージ電圧を吸収し得ること、即ち、アバランシェ耐量が高いことが望ましい。
【0004】
半導体装置に用いられる半導体基板に、ワイドバンドギャップ半導体である炭化珪素(SiC)を用いた場合においても、アバランシェ耐量は重要な指針である。バンドギャップが広いSiCは、一般的なSiと比較して、非常に高い温度までPN接合の整流性が維持される。それ故、SiCを用いた半導体装置は、温度上昇に強い。
【0005】
しかし、非特許文献1には、同等の定格電流および電圧では、SiC素子はSi素子よりもはるかに小型になり、熱容量が小さくなるので、温度上昇に強いという利点が失われることが開示されている。すなわち、SiC素子のアバランシェ耐量は、Si素子のアバランシェ耐量よりも優れるとは言えない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】V. Pala, etc. "Methodology to Qualify Silicon Carbide MOSFETs for Single Shot Avalanche Events" IEEE 3rd Workshop on Wide Bandgap Power Devices and Applications, pp. 56-59, 2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パワー半導体素子のアバランシェ耐量を向上させるためには、サージ電圧のエネルギーを局所的に吸収させるのではなく、上記エネルギーを広い面積で均一に吸収させることにより、温度上昇を抑えることが求められる。
【0008】
半導体基板の裏面側から表面側へ電流を流す縦型の半導体素子は、一般的に、電流が通流するアクティブ領域と、耐圧保持のためにアクティブ領域の外側に設けられたターミネーション構造とを有する。ここで、より均一な上記エネルギーの吸収を実現し、アバランシェ耐量を向上させるためには、より広い面積を持つアクティブ領域において、アバランシェ降伏を起こすような設計が求められる。
【0009】
そこで、本願発明者がSiC基板に形成されたMOSFETのアバランシェ耐量を評価したところ、アクティブ領域内でトランジスタ構造が繰り返されている部分では、ほぼ均一にアバランシェ降伏が起きるが、アクティブ領域内であってもアバランシェ降伏を起こさない部分があることが分かった。
【0010】
具体的には、ゲート制御信号をアクティブ領域内に分配するゲート配線のうち、ソースパッドの下方に配置され、複数のゲート電極に接続されたゲート接続部、および、ゲート接続部の近傍に位置するトランジスタ形成領域では、アバランシェ降伏が起きなかった。特に、ゲート接続部の近傍のトランジスタ形成領域は占有面積が大きく、この領域がアバランシェ降伏しないので、アバランシェ耐量がアクティブ領域の面積から想定されるよりも小さくなってしまうという課題が判明した。
【0011】
この主原因としては、以下の構成が関連していると考えられる。ゲート接続部の直下に形成されているPN接合部は、大きな専有面積を有し、大きな静電容量を有している。しかし、ソースパッドとの接続箇所がトランジスタ形成領域にしか存在しないので、ゲート接続部の直下のPN接合部では、直列抵抗が高くなってしまう。この結果、ゲート接続部の直下のPN接合部に掛かる電圧は、トランジスタ形成領域よりも高い直列抵抗および静電容量で決定される時定数に相当する遅れが生じ、アバランシェ降伏が起きづらくなる。
【0012】
これは、広く用いられるSi素子に比べて、ソースパッドとの接触抵抗が高く、且つ、高濃度不純物領域のシート抵抗が高いという材料特性を有するSiC素子固有の課題である。
【0013】
以上のように、本願の主な目的は、半導体装置に特別な保護回路を付加することなく、ソースパッドの下方のアクティブ領域全体において、アバランシェ降伏を発生させ、アバランシェ耐量を向上させることである。すなわち、本願の主な目的は、半導体装置の小型化を促進すると共に、半導体装置の信頼性を向上させることにある。
【0014】
その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0016】
一実施の形態である半導体装置は、複数のトランジスタが形成されるトランジスタ形成領域、および、前記トランジスタ形成領域を分断するように、平面視における第1方向に延在するゲート接続領域を有する。また、半導体装置は、表面および裏面を有し、炭化珪素からなり、且つ、第1導電型である半導体基板と、前記半導体基板の前記表面上に形成され、炭化珪素からなり、且つ、前記第1導電型であるエピタキシャル層と、前記トランジスタ形成領域の前記エピタキシャル層に形成され、且つ、前記第1導電型と反対の第2導電型である複数のボディ領域と、前記複数のボディ領域に形成され、且つ、前記第1導電型である複数のソース領域と、前記ゲート接続領域の前記エピタキシャル層に形成され、前記複数のボディ領域に接続され、且つ、前記第2導電型である拡散領域と、それぞれ前記複数のボディ領域の一部を覆うように、前記トランジスタ形成領域の前記エピタキシャル層上にゲート絶縁膜を介して形成され、平面視において前記第1方向と交差する第2方向に延在し、且つ、前記第1方向で互いに離間する複数のゲート電極と、前記ゲート接続領域の前記拡散領域上に第1絶縁膜を介して形成され、前記第1方向に延在し、且つ、前記複数のゲート電極と一体化しているゲート接続部と、前記複数のゲート電極および前記ゲート接続部を覆うように、前記エピタキシャル層上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成されたソースパッドと、を備える。ここで、前記ゲート接続部には、前記ゲート接続部を貫通する複数の第1孔が形成され、前記ゲート接続領域の前記層間絶縁膜には、それぞれ平面視において前記複数の第1孔に内包され、且つ、前記拡散領域に達するように、複数の第2孔が形成され、前記ゲート接続領域において、前記ソースパッドは、前記複数の第2孔の内部に埋め込まれ、且つ、前記拡散領域に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0017】
一実施の形態によれば、半導体装置の小型化を促進できると共に、半導体装置の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図2】実施の形態1における半導体装置の一部を拡大した平面図である。
図3】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図4】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図5】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図6】実施の形態1における半導体装置が用いられたスイッチング電源を示す回路図である。
図7】検討例における半導体装置の一部を拡大した平面図である。
図8】検討例における半導体装置を示す断面図である。
図9】検討例における半導体装置を示す断面図である。
図10】本願発明者による実験結果の様子を示す模式図である。
図11】本願発明者による実験結果の様子を示す模式図である。
図12】実施の形態2における半導体装置の一部を拡大した平面図である。
図13】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
図14】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
図15】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
図16】実施の形態3における半導体装置の一部を拡大した平面図である。
図17】実施の形態3における半導体装置を示す断面図である。
図18】実施の形態3における半導体装置を示す断面図である。
図19】実施の形態3における半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0020】
また、本願で説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の縦方向、上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面視」という表現は、X方向およびY方向によって構成される面を、Z方向から見ることを意味する。
【0021】
(実施の形態1)
<半導体装置1の構成>
以下に図1図5を用いて、実施の形態1における半導体装置1(半導体チップ1)について説明する。
【0022】
図1に示されるように、半導体装置1の中央部には、ソースパッド2およびゲートパッド3aが形成されている。ソースパッド2の下方はアクティブ領域となっており、アクティブ領域の半導体基板には、複数のトランジスタが形成されている。なお、実施の形態1におけるトランジスタは、プレーナ型のn型MOSFETである。
【0023】
ソースパッド2の中央には、X方向へ向かって延在するゲート中央配線3bが形成され、ソースパッド2の外周には、ゲート外周配線3cが形成されている。ゲートパッド3a、ゲート中央配線3bおよびゲート外周配線3cは、同層の配線であり、一体化している。また、ゲート外周配線3cの外周の半導体基板には、例えばp型の不純物領域からなるターミネーション領域50が形成されている。
【0024】
また、ソースパッド2の下方には、ゲート接続部3dが形成されている。ゲート接続部3dはソースパッド2に覆われているので、実際には目視できないが、本願の構成を分かり易くするため、図1ではゲート接続部3dの図示を行っている。
【0025】
ゲート接続部3dは、Y方向に延在し、ゲート中央配線3bおよびゲート外周配線3cに電気的に接続されている。また、ゲート接続部3dの延在方向または本数は、一例であり、チップ特性および製造工程の要求に応じて任意に設定できる。また、ゲート接続部3dをアクティブ領域内に格子状に配置することも可能である。
【0026】
後で詳細に説明するが、ゲート接続部3dは、例えば多結晶シリコン膜によって構成され、層間絶縁膜に覆われている。ソースパッド2、ゲートパッド3a、ゲート中央配線3bおよびゲート外周配線3cは、同一の金属膜をパターニングすることで、上記層間絶縁膜上に形成されている。ゲート接続部3d上の上記層間絶縁膜に孔を形成し、上記孔の内部にゲート中央配線3bまたはゲート外周配線3cの一部を埋め込むことで、ゲート接続部3dと、ゲート中央配線3bまたはゲート外周配線3cとが電気的に接続される。
【0027】
ここでは図示はしないが、半導体装置1の表面は、ソースパッド2およびゲートパッド3aの大部分を露出するように、例えばポリイミドのような保護膜に覆われている。露出しているソースパッド2およびゲートパッド3aに、例えばボンディングワイヤまたは銅クリップのような外部接続端子を接続することで、半導体装置1と、他の電子機器または配線基板とを電気的に接続できる。
【0028】
また、上記保護膜は、ソースパッド2と、ゲートパッド3a、ゲート中央配線3bおよびゲート外周配線3cとの間にそれぞれ設けられている。これらの間に上記保護膜が形成されていることで、これらを互いに絶縁でき、後工程での汚染または損傷を保護できる。
【0029】
図2は、図1の拡大部ENを示し、ゲート接続部3dの周囲を示す平面図である。図2では、本発明の主要部を構成するゲート接続部3d、ゲート電極3eおよびp型のボディ領域6が示され、他の構成についての図示は省略されている。
【0030】
実施の形態1における半導体装置1は、複数のトランジスタが形成されるトランジスタ形成領域1A、および、トランジスタ形成領域1Aを分断するように、Y方向に延在するゲート接続領域2Aを、ソースパッド2の下方のアクティブ領域として有する。
【0031】
トランジスタ形成領域1Aには、X方向に延在し、且つ、Y方向で互いに離間する複数のゲート電極3eが形成されている。ゲート接続領域2Aには、Y方向に延在するゲート接続部3dが形成されている。複数のゲート電極3eおよびゲート接続部3dは、同じ多結晶シリコン膜からなり、一体化している。
【0032】
複数のp型のボディ領域6は、複数のゲート電極3eと同じ方向(X方向)に延在し、且つ、Y方向で互いに離間している。実施の形態1では、複数のp型のボディ領域6は、ストライプ状(縞模様)に形成され、分断された一方のトランジスタ形成領域1A、ゲート接続領域2Aおよび分断された他方のトランジスタ形成領域1Aに渡って形成されている。
【0033】
また、ゲート接続部3dには、複数の孔CH1が形成され、ゲート接続部3dを覆う層間絶縁膜10には、平面視において複数の孔CH1に内包されるように、複数の孔CH2が形成されている。また、複数のゲート電極3eの間の層間絶縁膜10には、複数の孔CH3が形成されている。複数の孔CH3は、複数のゲート電極3eと同じ方向(X方向)に延在している。
【0034】
以下に図3図5を用いて、ゲート接続部3dおよび複数のゲート電極3eの周囲の断面構造について説明する。図3図5は、それぞれ図2に示されるA-A線、B-B線およびC-C線に沿った断面図である。
【0035】
半導体基板4は、表面および裏面を有し、炭化珪素(4H-SiC)からなり、且つ、n型である。半導体基板4の表面の上方には、炭化珪素(4H-SiC)からなり、且つ、n型であるエピタキシャル層5が形成されている。また、半導体基板4の裏面には、ドレイン電極として裏面電極11が形成されている。トランジスタ形成領域1Aにおける半導体基板4は、ドレイン領域として機能する。
【0036】
エピタキシャル層5には、p型のボディ領域6が形成されている。トランジスタ形成領域1Aのp型のボディ領域6には、p型の拡散領域7およびn型のソース領域8が形成されている。p型の拡散領域7は、p型のボディ領域6とソースパッド2との間の接触抵抗を低減させる目的で設けられている。また、p型の拡散領域7は、ゲート接続領域2Aにおいて、複数のp型のボディ領域6に接続されるように、ゲート接続部3dの下方全体に渡って形成されている。
【0037】
なお、各構成に含まれる不純物濃度などのパラメータは、以下の通りである。
【0038】
n型の半導体基板4は、例えば1×1018~1×1021cm-3の不純物濃度を有する。
【0039】
型のエピタキシャル層5は、例えば1~100μmの厚さを有し、n型の半導体基板4よりも低い不純物濃度を有し、例えば1×1015~1×1017cm-3の不純物濃度を有する。
【0040】
型のボディ領域6は、p型の拡散領域7およびn型のソース領域8よりも深い位置まで形成され、例えば1×1016~1×1018cm-3の不純物濃度を有する。
【0041】
p型の拡散領域7は、p型のボディ領域6よりも高い不純物濃度を有し、例えば1×1018~1×1020cm-3の不純物濃度を有する。
【0042】
n型のソース領域8は、n型のエピタキシャル層5よりも高い不純物濃度を有し、例えば1×1018~1×1020cm-3の不純物濃度を有する。
【0043】
ゲート電極3eは、p型のボディ領域6の一部を覆うように、トランジスタ形成領域1Aのエピタキシャル層5上にゲート絶縁膜9を介して形成されている。ゲート接続部3dは、ゲート接続領域2Aのp型の拡散領域7上に絶縁膜9を介して形成されている。実施の形態1では、上記絶縁膜9は、ゲート絶縁膜9と同じ製造工程で形成された絶縁膜であり、ゲート絶縁膜9と同じ厚さを有する絶縁膜である。なお、ゲート絶縁膜9は、例えば酸化シリコン膜であり、ゲート電極3eおよびゲート接続部3dは、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコン膜である。
【0044】
ゲート絶縁膜9、ゲート電極3eおよびゲート接続部3dを覆うように、エピタキシャル層5上には、層間絶縁膜10が形成されている。層間絶縁膜10は、例えば酸化シリコン膜である。また、層間絶縁膜10上には、ソースパッド2が形成されている。ソースパッド2は、ゲートパッド3a、ゲート中央配線3bおよびゲート外周配線3cと同じ製造工程で形成され、例えばアルミニウムを主体とする金属膜を含んで構成される。
【0045】
図3および図4に示されるように、ゲート接続部3dには、ゲート接続部3dを貫通する複数の孔CH1が形成されている。また、ゲート接続領域2Aの層間絶縁膜10には、p型の拡散領域7に達するように、複数の孔CH2が形成されている。複数の孔CH2の口径は、複数の孔CH1の口径よりも小さい。このため、複数の孔CH2は、それぞれ平面視において複数の孔CH1に内包されている。
【0046】
そして、ゲート接続領域2Aにおいて、ソースパッド2は、複数の孔CH2の内部に埋め込まれ、且つ、p型の拡散領域7に電気的に接続されている。なお、ゲート接続部3dとソースパッド2との間には層間絶縁膜10が存在しているので、これらは互いに絶縁されている。
【0047】
また、図3および図5に示されるように、トランジスタ形成領域1Aの層間絶縁膜10には、それぞれ平面視で複数のゲート電極3eの間に位置する複数のp型のボディ領域6に重なるように、複数の孔CH3が形成されている。
【0048】
そして、トランジスタ形成領域1Aにおいて、ソースパッド2は、複数の孔CH3の内部に埋め込まれ、且つ、複数のn型のソース領域8およびp型の拡散領域7を介して複数のp型のボディ領域6に電気的に接続されている。なお、ゲート電極3eとソースパッド2との間には層間絶縁膜10が存在しているので、これらは互いに絶縁されている。
【0049】
このような構成によって、p型のボディ領域6、p型の拡散領域7およびn型のソース領域8に、ソースパッド2からソース電位を供給できる。なお、ソース電位は、例えば接地電位である。
【0050】
なお、ここでは図示を省略するが、p型の拡散領域7およびn型のソース領域8と、ソースパッド2との間の接触抵抗を低減させる目的で、孔CH2および孔CH3の底部に、オーミック接触層を設けてもよい。このようなオーミック接触層は、ソースパッド2を構成する金属と異なる金属膜であるか、上記金属膜とエピタキシャル層5を構成する材料との化合物であるシリサイド膜である。更に、ソースパッド2、上記オーミック接触層およびエピタキシャル層5の相互の反応を防ぐ目的で、これらの間に反応防止バリア層を挿入してもよい。
【0051】
<検討例について>
ここで、図7図9を用いて、本願発明者が従来技術を基に検討した検討例の半導体装置について説明する。図7は、図2と同様な箇所を示す平面図である。図8および図9は、図7に示されるD-D線およびE-E線に沿った断面図である。
【0052】
検討例では、実施の形態1のような孔CH1および孔CH2が形成されていない。また、図7および図8に示されるように、ゲート接続領域2Aでは、X方向においてp型のボディ領域6が分離している。
【0053】
検討例では、ゲート接続領域2Aのp型の拡散領域7の面積が大きいにも関わらず、p型の拡散領域7へのソースパッド2からの電位固定は、トランジスタ形成領域1Aの孔CH3の底部のみで行われる。
【0054】
このため、ゲート接続領域2Aのp型の拡散領域7における直列抵抗が高くなる。そうすると、サージ電圧の印加時において、ドレイン電圧の極めて大きなdV/dtと、PN接合容量の積とで決まる充電電流が供給できず、ゲート接続領域2Aのp型の拡散領域7の電位がソース電位から浮いてしまう。この電位の浮きの影響は、ゲート接続領域2A付近のトランジスタ形成領域1AのPN接合にも及ぶ。
【0055】
結果として、ゲート接続領域2Aから離れたトランジスタ形成領域1Aにおいてアバランシェ降伏が起きる状況下であっても、ゲート接続領域2Aと、ゲート接続領域2A付近のトランジスタ形成領域1Aとにおいて、アバランシェ降伏が起きなくなる。
【0056】
<実施の形態1の主な効果>
上述の検討例に対して、実施の形態1では、ゲート接続部3dに複数の孔CH1が形成され、ゲート接続部3dを覆う層間絶縁膜10に複数の孔CH2が形成されている。そして、ソースパッド2は、複数の孔CH2の内部に埋め込まれ、p型の拡散領域7に電気的に接続されている。このため、ゲート接続領域2Aのp型の拡散領域7およびp型のボディ領域6が、ソース電位に固定される。
【0057】
従って、p型の拡散領域7およびp型のボディ領域6と、n型のエピタキシャル層5とで構成されるPN接合に、サージ電圧が時間遅延無く印加される。このため、トランジスタ形成領域1Aと同じタイミングで、ゲート接続領域2Aにおいてアバランシェ降伏が起きるようになる。
【0058】
以上により、半導体装置1にスナバまたはツェナーダイオードのような保護回路を付加することなく、ソースパッド2の下方のアクティブ領域全体(トランジスタ形成領域1Aおよびゲート接続領域2A)において、アバランシェ降伏を発生させ、アバランシェ耐量を向上させることができる。すなわち、実施の形態1によれば、半導体装置1の小型化を促進できると共に、半導体装置1の信頼性を向上できる。
【0059】
更に、実施の形態1では、ストライプ状(縞模様)を成す複数のp型のボディ領域6が、トランジスタ形成領域1Aだけでなく、ゲート接続領域2Aにも形成されている。また、図4および図5に示されるように、複数のp型のボディ領域6の各々は、Z方向に沿う側部とY方向に沿う底部とが交差する角部を有している。
【0060】
PN接合の接合面にかかる電界は、曲率の影響により、上記側部および上記底部のような平坦部よりも上記角部で最大となる。
【0061】
検討例では、図9に示されるように、PN接合はp型の拡散領域7とエピタキシャル層5との界面であるので、接合面は平坦となる。それ故、トランジスタ形成領域1Aでアバランシェ降伏が起きる電圧では、ゲート接続領域2Aのアバランシェ降伏が起きない。
【0062】
実施の形態1では、複数のp型のボディ領域6の各々上記角部を有しているので、トランジスタ形成領域1Aでアバランシェ降伏が起きる電圧で、ゲート接続領域2Aのアバランシェ降伏が発生し易くなる。すなわち、ゲート接続領域2Aは、サージ電圧の印加時にアバランシェ電流が流れる領域として活性化する。これにより、アバランシェ電流の集中が緩和され、温度の局所的な上昇が緩和され、半導体装置1のアバランシェ耐量を向上させることができる。従って、半導体装置1の信頼性を更に向上させることができる。
【0063】
図10および図11は、本願発明者が行った実験結果の様子を示す模式図であり、アバランシェ耐量を超えるサージ電圧の印加によって、半導体装置1の表面が破壊された様子を示している。図10が実施の形態1の様子を示し、図11が検討例の様子を示している。これらの図面において、黒塗りされた領域は、ソースパッド2が溶解していることを示している。
【0064】
図11の検討例では、ソースパッド2が溶解しているが、ゲート接続領域2Aのゲート接続部3dの周囲では、ソースパッド2が溶解する程に温度が上昇していないことが分かる。
【0065】
これに対して図10の実施の形態1では、アクティブ領域の全域でソースパッド2の溶解が確認された。実施の形態1のアバランシェ耐量は、検討例と比較して、約30%の増加している。この増加分は、アクティブ領域の全面積に対して、図11で溶融しなかった部分の面積比率に相当している。従って、アバランシェ耐量の向上は、アクティブ領域を流れるアバランシェ電流の均一化によるものであると言える。
【0066】
<スイッチング電源への適用例>
図6は、実施の形態1における半導体装置1をスイッチング電源へ適用した例を示している。このようなスイッチング電源は、例えばDC―DCコンバータである。
【0067】
4つの半導体装置1からなるフルブリッジインバータ100が、変圧器200を介して同期整流回路300に接続されている。
【0068】
通常、DC―DCコンバータでは、実装基板および負荷接続を含めた設計が適切である。そのため、システムが正常動作している状態では、MOSFETは、アバランシェ降伏にはならない。しかし、負荷に異常が発生し、過電圧が発生する恐れは排除できない。
【0069】
アバランシェ耐量を向上させた半導体装置1を用いることで、このような恐れに対する設計対応が容易になる。例えば、通常動作電圧に合わせた定格電圧の素子を選択できる。半導体装置1のMOSFETの定格電圧および導通損失は、エピタキシャル層5の仕様を通じてトレードオフにあるので、適正な定格電圧の素子の選択が可能になれば、システム損失が低減され、低コスト、且つ、高性能な電源機器を実現できる。
【0070】
(実施の形態2)
以下に図12図15を用いて、実施の形態2における半導体装置1について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。図12は、図1の拡大部ENを示し、図13図15は、それぞれ図12に示されるF-F線、G-G線およびH-H線に沿った断面図である。
【0071】
図12図14に示されるように、実施の形態2は、ゲート接続領域2Aにおいて、ゲート接続部3dに複数の孔CH1が形成され、且つ、層間絶縁膜10に複数の孔CH2が形成されている点について、実施の形態1と同様である。しかし、実施の形態2は、複数のp型のボディ領域6の構造について、実施の形態1と異なっている。また、図15に示される断面構造は、実施の形態1の図5の断面構造と同様である。
【0072】
図12および図15に示されるように、実施の形態2では、実施の形態1と同様に、複数のp型のボディ領域6は、ストライプ状(縞模様)に形成され、X方向に延在し、且つ、Y方向で互いに離間している。
【0073】
しかし、図12および図13に示されるように、トランジスタ形成領域1Aはゲート接続領域2Aによって分断されているが、分断された一方のトランジスタ形成領域1Aに形成されている複数のp型のボディ領域6と、分断された他方のトランジスタ形成領域1Aに形成されている複数のp型のボディ領域6とは、X方向において分離している。
【0074】
実施の形態2でも、ソースパッド2は、複数の孔CH2の内部に埋め込まれ、p型の拡散領域7に電気的に接続されているので、ゲート接続領域2Aのp型の拡散領域7が、ソース電位に固定される。従って、ゲート接続領域2Aにおいてアバランシェ降伏が起きるようになる。
【0075】
また、図13に示されるように、複数のp型のボディ領域6の各々は、Z方向に沿う側部とX方向に沿う底部とが交差する角部を有している。PN接合の接合面にかかる電界は、上記角部で最大となる。従って、トランジスタ形成領域1Aでアバランシェ降伏が起きる電圧で、ゲート接続領域2Aのアバランシェ降伏が発生し易くなっている。
【0076】
また、電界集中の程度は、図12に示される幅W1が広い程に強く、幅W1が狭い程に弱くなる。この性質を利用して幅W1の値を調整することで、ゲート接続領域2Aにおけるアバランシェ降伏電圧を調整でき、トランジスタ形成領域1Aとの均衡を保つことができる。
【0077】
なお、孔CH1および孔CH2を設けずに、複数のp型のボディ領域6の構造のみを実施の形態2のようにした場合、ゲート接続領域2Aにおいてアバランシェ降伏を起こす効果は小さいということが、本願発明者の検討によって明らかになっている。
【0078】
(実施の形態3)
以下に図16図19を用いて、実施の形態3における半導体装置1について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。図16は、図1の拡大部ENを示し、図17図19は、それぞれ図16に示されるI-I線、J-J線およびK-K線に沿った断面図である。
【0079】
図16図18に示されるように、実施の形態3は、ゲート接続領域2Aにおいて、ゲート接続部3dに複数の孔CH1が形成され、且つ、層間絶縁膜10に複数の孔CH2が形成されている点について、実施の形態1と同様である。また、厚さおよび幅などの設計値が若干異なっているが、複数のp型のボディ領域6の構造も、実施の形態1とほぼ同様である。
【0080】
しかし、実施の形態1のトランジスタはプレーナ型のMOSFETであったが、実施の形態3のトランジスタは、トレンチゲート型のMOSFETである。
【0081】
図19に示されるように、複数のp型のボディ領域6には、それらの底部が複数のp型のボディ領域内に位置するように、複数のトレンチTRが形成されている。複数のゲート電極3eのうち一部は、ゲート絶縁膜9を介して複数のトレンチTRの内部に埋め込まれている。
【0082】
Y方向においてトレンチTRを挟んでn型のソース領域8と反対側のp型のボディ領域6には、n型の電流拡散領域13が形成されている。n型の電流拡散領域13は、n型のエピタキシャル層5に跨って形成され、ドレイン領域の一部として機能する。なお、n型の電流拡散領域13の不純物濃度は、n型のソース領域8の不純物濃度と同等である。
【0083】
また、2つのn型のソース領域8の間に形成され、且つ、ソースパッド2に電気的に接続されているp型の拡散領域7bは、実施の形態1のp型の拡散領域7と同様であり、p型のボディ領域6とソースパッド2との間の接触抵抗を低減させる目的で設けられている。
【0084】
また、図17に示されるように、p型の拡散領域7bは、X方向で隣接する複数のトレンチTRの間にも形成されている。このp型の拡散領域7bは、MOSFETの閾値を調整する目的で設けられている。
【0085】
ゲート接続領域2Aのp型のボディ領域6には、p型の拡散領域7bに接続するp型の拡散領域7aが形成されている。p型の拡散領域7aは、p型のボディ領域6とソースパッド2との間の接触抵抗を低減させる目的で設けられている。
【0086】
p型の拡散領域7aの不純物濃度は、p型の拡散領域7bの不純物濃度と異なっていてもよく、p型の拡散領域7bの不純物濃度よりも高く設定されていてもよい。p型の拡散領域7aの不純物濃度が高いことで、ゲート接続領域2Aにおける接触抵抗が下がり、アバランシェ降伏を起こし易くなる。
【0087】
また、実施の形態3では、トレンチTRを形成する過程で、トレンチTRの外部のp型のボディ領域6とゲート電極3eとの間には、絶縁膜12が形成されている。絶縁膜12は、例えば酸化シリコン膜からなる。また、絶縁膜12の厚さは、ゲート絶縁膜9の厚さよりも厚い。
【0088】
この絶縁膜12は、ゲート接続領域2Aにも形成され、p型の拡散領域7aとゲート接続部3dとの間に形成されている。すなわち、実施の形態1では、ゲート接続部3dの下方にゲート絶縁膜9と同じ厚さの絶縁膜が形成されていたが、実施の形態3では、ゲート接続部3dの下方にゲート絶縁膜9よりも厚い厚さを有する絶縁膜12が形成されている。
【0089】
このため、実施の形態3では、実施の形態1と比較して、p型の拡散領域7aと、ゲート接続部3dとの間の静電容量が小さくなり、ドレイン電圧が大きなdV/dtで変動する。そうすると、p型の拡散領域7aの電位浮きが大きくなる。それ故、トランジスタ形成領域1Aとゲート接続領域2Aとの間で、アバランシェ降伏電圧の差が大きくなるという問題がある。
【0090】
しかし、ゲート接続領域2Aでは、孔CH1および孔CH2を介してp型の拡散領域7aとソースパッド2とが電気的に接続されている。このため、p型の拡散領域7aの電位浮きが解消され、アクティブ領域全域でアバランシェ降伏が発生する。このように、トレンチゲート型のMOSFETを適用した場合でも、アバランシェ耐量の高い半導体装置1を提供できる。
【0091】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0092】
例えば、上記実施の形態では、半導体基板4はn型であり、トランジスタはn型のMOSFETであったが、p型の半導体基板を用いることもできる。その場合、半導体基板上に形成される各不純物領域の導電型を反対にすることで、p型のMOSFETを構成できる。
【符号の説明】
【0093】
1A トランジスタ形成領域
2A ゲート接続領域
1 半導体装置(半導体チップ)
2 ソースパッド
3a ゲートパッド
3b ゲート中央配線
3c ゲート外周配線
3d ゲート接続部
3e ゲート電極
4 n型の半導体基板
5 n型のエピタキシャル層
6 p型のボディ領域
7、7a、7b p型の拡散領域
8 n型のソース領域
9 ゲート絶縁膜(絶縁膜)
10 層間絶縁膜
11 裏面電極
12 絶縁膜
13 n型の電流拡散領域
50 ターミネーション領域
100 フルブリッジインバータ
200 変圧器
300 同期整流回路
CH1、CH2、CH3 孔
EN 拡大部
TR トレンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図19