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特開2022-8289請求書管理装置、請求書管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008289
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】請求書管理装置、請求書管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/04 20120101AFI20220105BHJP
   G06Q 40/00 20120101ALI20220105BHJP
【FI】
G06Q30/04
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124867
(22)【出願日】2021-07-30
(62)【分割の表示】P 2020535668の分割
【原出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB11
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】経理担当者が請求書を処理する負担を軽減させる。
【解決手段】請求書管理装置1は、請求書を管理する請求書管理装置1であって、請求書の請求内容を示す請求データと、請求データに対応する取引内容を示す証憑データとを取得する取得部141と、請求データに含まれる請求額と、証憑データに含まれる金額との差である金額差を算出する算出部143と、金額差が所定の閾値未満である場合と、金額差が閾値以上である場合とで、請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する出力部144と、を有する。
【選択図】図3



【特許請求の範囲】
【請求項1】
請求書を管理する請求書管理装置であって、
前記請求書の請求内容を示す請求データと、前記請求データに対応する取引内容を示す証憑データとを取得する取得部と、
前記請求データに含まれる請求額と、前記証憑データに含まれる金額との差である金額差を算出する算出部と、
前記金額差が所定の閾値未満である場合と、前記金額差が前記閾値以上である場合とで、前記請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する出力部と、
を有する請求書管理装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記金額差が前記閾値未満である場合、前記金額差が許容可能であることを示す許容可能情報を前記結果情報として出力し、前記金額差が前記閾値以上である場合、前記金額差が許容不可であることを示す許容不可情報を前記結果情報として出力する、
請求項1に記載の請求書管理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記金額差が所定の租税の端数処理の相違に起因して生じたと判定した場合、前記許容可能情報を出力し、前記金額差が前記端数処理の相違に起因して生じていないと判定した場合、前記許容不可情報を出力する、
請求項2に記載の請求書管理装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記請求データに含まれる所定の租税以外の額に基づいて、所定の租税の端数処理がそれぞれ異なる複数の方法で複数の租税額を算出し、
前記出力部は、前記算出部が算出した前記複数の租税額のいずれかを前記所定の租税以外の額に加算した合計額が前記請求額と一致する場合、前記許容可能情報を出力し、前記合計額が前記請求額と一致しない場合、前記許容不可情報を出力する、
請求項2又は3に記載の請求書管理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記合計額が前記請求額と一致した場合に前記算出部が使用した端数処理の内容を示す情報を出力する、
請求項4に記載の請求書管理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記金額差が前記閾値以上である場合、前記算出部が前記金額差を算出するために用いた第1証憑データと異なる複数の他の証憑データの中から、前記請求額との前記金額差が前記閾値未満である前記金額を含む一以上の第2証憑データに関する情報を出力する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の請求書管理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記金額差が前記閾値以上である場合、前記算出部が前記金額差を算出するために用いた第1証憑データと異なる複数の他の証憑データのうち、前記請求データに対応する蓋然性が相対的に高い一以上の第2証憑データに関する情報を出力する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の請求書管理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記一以上の第2証憑データに関連付けて、前記請求データに含まれている事業者名、商品名、単価又は購入数の少なくともいずれかと、前記証憑データに含まれている事業者名、商品名、単価又は購入数の少なくともいずれかとが一致する度合いを示す信頼度数を出力する、
請求項6又は7に記載の請求書管理装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記金額差が前記閾値以上である場合、前記算出部が前記金額差を算出するために用いた第1証憑データと異なる他の証憑データを取得し、
前記算出部は、前記請求データに含まれる請求額と、当該他の証憑データに含まれる金額との差である前記金額差を算出する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の請求書管理装置。
【請求項10】
前記取得部は、種類がそれぞれ異なる複数の前記証憑データを取得し、
前記算出部は、前記証憑データごとに、前記請求額と、当該証憑データに含まれる前記金額との差である前記金額差を算出し、
前記出力部は、前記算出部が算出した複数の前記金額差それぞれが前記閾値未満である場合と、前記複数の金額差のうちの少なくともいずれかが前記閾値以上である場合とで、前記請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の請求書管理装置。
【請求項11】
前記取得部は、発注内容又は発注に関する稟議内容を含む第1証憑データ、及び納品内容又は納品に対する検収内容を含む第2証憑データを前記証憑データとして取得し、
前記出力部は、前記請求データに含まれる請求額、前記第1証憑データに含まれる第1金額、及び前記第2証憑データに含まれる第2金額が一致していない場合に、前記請求額と前記第1金額との差である第1金額差、及び前記請求額と前記第2金額との差である第2金額差が所定の租税の端数処理に起因するか否かを判定する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の請求書管理装置。
【請求項12】
請求書を管理するコンピュータが実行する、
前記請求書の請求内容を示す請求データと、前記請求データに対応する取引内容を示す証憑データとを取得するステップと、
前記請求データに含まれる請求額と、前記証憑データに含まれる金額との差である金額差を算出するステップと、
前記金額差が所定の閾値未満である場合と、前記金額差が前記閾値以上である場合とで、前記請求額の許容可否について異なる結果情報を出力するステップと、
を有する請求書管理方法。
【請求項13】
請求書を管理するコンピュータを、
前記請求書の請求内容を示す請求データと、前記請求データに対応する取引内容を示す証憑データとを取得する取得部、
前記請求データに含まれる請求額と、前記証憑データに含まれる金額との差である金額差を算出する算出部、及び
前記金額差が所定の閾値未満である場合と、前記金額差が前記閾値以上である場合とで、前記請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する出力部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求書管理装置、請求書管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、請求書の金額の妥当性をチェックするシステムが知られている。特許文献1には、請求書データに含まれる合計額と、請求書データに対応する注文書データに含まれる合計額とが一致しない場合に通知を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-066334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記通知を受けた者(例えば、経理担当者)は、金額が一致しない原因を調べたり、金額が一致しない状態で請求書を処理してよいか否かを判断したりしなければならず、大量の請求書を処理する経理担当者にとって負担が大きかった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、経理担当者が請求書を処理する負担を軽減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる請求書管理装置は、請求書を管理する請求書管理装置であって、前記請求書の請求内容を示す請求データと、前記請求データに対応する取引内容を示す証憑データとを取得する取得部と、前記請求データに含まれる請求額と、前記証憑データに含まれる金額との差である金額差を算出する算出部と、前記金額差が所定の閾値未満である場合と、前記金額差が前記閾値以上である場合とで、前記請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記出力部は、前記金額差が前記閾値未満である場合、前記金額差が許容可能であることを示す許容可能情報を前記結果情報として出力し、前記金額差が前記閾値以上である場合、前記金額差が許容不可であることを示す許容不可情報を前記結果情報として出力してもよい。
【0008】
前記出力部は、前記金額差が所定の租税の端数処理の相違に起因して生じたと判定した場合、前記許容可能情報を出力し、前記金額差が前記端数処理の相違に起因して生じていないと判定した場合、前記許容不可情報を出力してもよい。
【0009】
前記算出部は、前記請求データに含まれる所定の租税以外の額に基づいて、所定の租税の端数処理がそれぞれ異なる複数の方法で複数の租税額を算出し、前記出力部は、前記算出部が算出した前記複数の租税額のいずれかを前記所定の租税以外の額に加算した合計額が前記請求額と一致する場合、前記許容可能情報を出力し、前記合計額が前記請求額と一致しない場合、前記許容不可情報を出力してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記合計額が前記請求額と一致した場合に前記算出部が使用した端数処理の内容を示す情報を出力してもよい。
【0011】
前記出力部は、前記金額差が前記閾値以上である場合、前記算出部が前記金額差を算出するために用いた第1証憑データと異なる複数の他の証憑データの中から、前記請求額との前記金額差が前記閾値未満である前記金額を含む一以上の第2証憑データに関する情報を出力してもよい。
【0012】
前記出力部は、前記金額差が前記閾値以上である場合、前記算出部が前記金額差を算出するために用いた第1証憑データと異なる複数の他の証憑データのうち、前記請求データに対応する蓋然性が相対的に高い一以上の第2証憑データに関する情報を出力してもよい。
【0013】
前記出力部は、前記一以上の第2証憑データに関連付けて、前記請求データに含まれている事業者名、商品名、単価又は購入数の少なくともいずれかと、前記証憑データに含まれている事業者名、商品名、単価又は購入数の少なくともいずれかとが一致する度合いを示す信頼度数を出力してもよい。
【0014】
前記取得部は、前記金額差が前記閾値以上である場合、前記算出部が前記金額差を算出するために用いた第1証憑データと異なる他の証憑データを取得し、前記算出部は、前記請求データに含まれる請求額と、当該他の証憑データに含まれる金額との差である前記金額差を算出してもよい。
【0015】
前記取得部は、種類がそれぞれ異なる複数の前記証憑データを取得し、前記算出部は、前記証憑データごとに、前記請求額と、当該証憑データに含まれる前記金額との差である前記金額差を算出し、前記出力部は、前記算出部が算出した複数の前記金額差それぞれが前記閾値未満である場合と、前記複数の金額差のうちの少なくともいずれかが前記閾値以上である場合とで、前記請求額の許容可否について異なる結果情報を出力してもよい。
【0016】
前記取得部は、発注内容又は発注に関する稟議内容を含む第1証憑データ、及び納品内容又は納品に対する検収内容を含む第2証憑データを前記証憑データとして取得し、前記出力部は、前記請求データに含まれる請求額、前記第1証憑データに含まれる第1金額、及び前記第2証憑データに含まれる第2金額が一致していない場合に、前記請求額と前記第1金額との差である第1金額差、及び前記請求額と前記第2金額との差である第2金額差が所定の租税の端数処理に起因するか否かを判定してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様にかかる請求書管理方法は、請求書を管理するコンピュータが実行する、前記請求書の請求内容を示す請求データと、前記請求データに対応する取引内容を示す証憑データとを取得するステップと、前記請求データに含まれる請求額と、前記証憑データに含まれる金額との差である金額差を算出するステップと、前記金額差が所定の閾値未満である場合と、前記金額差が前記閾値以上である場合とで、前記請求額の許容可否について異なる結果情報を出力するステップと、を有する。
【0018】
本発明の第3の態様にかかるプログラムは、請求書を管理するコンピュータを、前記請求書の請求内容を示す請求データと、前記請求データに対応する取引内容を示す証憑データとを取得する取得部、前記請求データに含まれる請求額と、前記証憑データに含まれる金額との差である金額差を算出する算出部、及び前記金額差が所定の閾値未満である場合と、前記金額差が前記閾値以上である場合とで、前記請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、経理担当者が請求書を処理する負担を軽減させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】請求書管理装置の概要を説明するための図である。
図2】被請求者が受領する請求書の一例を示す図である。
図3】請求書管理装置の機能構成を示す図である。
図4】記憶部が記憶する請求書情報データベースの一例を示す図である。
図5】請求書管理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[請求書管理装置1の概要]
図1は、請求書管理装置1の概要を説明するための図である。請求書管理装置1は、請求書の請求内容を示す請求データを取得し、請求データに含まれる文字列を解析した結果を用いて請求書を管理するための装置であり、例えばコンピュータである。請求書管理装置1は、1台のコンピュータにより構成されていてもよいし、複数のコンピュータにより構成されていてもよい。
【0022】
請求書は、商品の代金又はサービスの料金(以下、「代金」という。)を請求するために発行される書類である。請求データは、例えば、読取装置2(例えばスキャナ又はデジタルカメラ)が、請求書を読み取ることによって生成された画像データである。
【0023】
請求書管理装置1は、請求書の他に、請求書とは異なる証憑の証憑データを管理する。証憑データは、商品又はサービス(以下、単に「商品」という。)の取引内容を示すデータであり、例えば、発注内容を示す発注データ、発注に関する稟議内容を示す稟議データ、納品された商品等の納品内容を示す納品データ又は納品に対する検収内容を示す検収データ等である。本実施の形態においては、証憑データが発注データであるとして説明する。具体的には、請求書管理装置1は、発注書の発注内容を示す発注データを取得し、発注データに含まれる文字列を解析した結果を用いて発注書を管理する。発注書は、購入する商品を要求するために発行される書類である。発注データは、例えば、読取装置2が、発注書を読み取ることによって生成された画像データである。発注データは、当該発注データに含まれる各データ項目が入力された入力データであってもよい。なお、請求書管理装置1は、発注書に代えて注文書を管理してもよい。
【0024】
請求書管理装置1は、発行された請求書を管理する事業者、すなわち取引における代金を請求される被請求者によって使用される。被請求者は、例えば、請求書を受領した会社の経理業務に関わっている人(例えば経理担当者)、当該会社の購買業務に関わっている人(例えば購買担当者)、又は当該会社の代表者である。
【0025】
図2は、請求書管理装置1が管理する書類の一例を示す図である。図2(a)に示す発注書には、発注先の事業者の名称が記載されている。また、発注書には、発注の対象となる商品の個数、商品の単価及び消費税を含む各商品の金額の合計額(すなわち発注額)が記載されている。発注額は、発注先の事業者が算出した金額であってもよいし、発注元の事業者が公開されている各商品の単価に基づいて算出した金額であってもよい。請求書管理装置1は、このような発注書に記載された情報を発注情報データベースに登録して管理する。
【0026】
図2(b)に示す請求書には、請求書を発行した事業者(請求者)の名称、住所、連絡先が記載されている。また、請求書には、請求の対象となる商品が購入された個数、購入された商品の単価及び消費税を含む各商品の金額の合計額(すなわち請求額)が記載されている。請求書管理装置1は、このような請求書に記載された情報を請求情報データベースに登録して管理する。
【0027】
経理担当者は、発行された請求書に基づいて、当該請求書を処理する。具体的には、まず、購買担当者は、発注した発注内容を示す発注書の発注データと、受領した請求書の請求データとを請求書管理装置1にアップロードして、発注データと請求データとを請求書管理装置1に登録する。そして、経理担当者は、発注データに含まれる発注額(証憑データに含まれる金額)を用いて請求データに含まれる請求額が妥当であるか否かを確認し、当該請求額が妥当である場合に請求された代金(請求額)を支払うための手続きを行う。
【0028】
ところで、発注額及び請求額に誤りがないにもかかわらず、発注額と請求額とが完全に一致しないという場合がある。例えば、発注額の算出においては端数処理が行われておらず、請求額の算出においては端数処理が行われている場合、発注額と請求額とが一致しない。このような場合、経理担当者は、発注額と請求額との金額差が許容可能な範囲であるか否かを判断する必要がある。しかしながら、発注額と請求額との金額差が許容可能な範囲であるか否かを判断するための作業は、大量の請求書の処理を行う経理担当者にとって負担が大きかった。
【0029】
そこで、請求書管理装置1は、発注額と請求額との金額差が存在する場合において、当該金額差が所定の閾値未満である場合と、当該金額差が所定の閾値以上である場合とで、請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する。「金額差が存在」することは、発注額と請求額とが一致しないことである。閾値は、請求書管理装置1を経理処理に使用する企業において発注額と請求額との金額差として許容される最大値である。閾値は、例えば、請求額が算出される際の消費税の端数処理に起因して生じ得る金額差の最大値である。請求書管理装置1がこのように構成されていることで、経理担当者は、発注額との金額差がある請求額が許容可能な範囲であるか否かを容易に把握することができる。その結果、請求書管理装置1は、経理担当者が請求書を処理する負担を軽減させることができる。
【0030】
[請求書管理装置1の機能構成及び動作]
図3は、請求書管理装置1の機能構成を示す図である。請求書管理装置1は、表示部11と、通信部12と、記憶部13と、制御部14とを有する。制御部14は、取得部141と、文字列特定部142と、算出部143と、出力部144とを有する。
【0031】
表示部11は、情報を表示するディスプレイである。表示部11は、出力部144の指示に基づいて情報を表示する。
【0032】
通信部12は、ネットワーク(例えばイントラネット又はインターネット)に接続するための通信インターフェースであり、読取装置2からデータを受信したり、他のコンピュータとの間でデータを送受信したりするための通信コントローラを有する。他のコンピュータは、例えば、請求者が使用する不図示の請求者端末と、被請求者が使用する不図示の被請求者端末とを含む。被請求者は請求書を受領した企業又は人であり、被請求者端末は、例えば、請求書を受領した企業(すなわち発注書を発行した企業)の経理担当者又は購買担当者が使用するコンピュータである。通信部12は、読取装置2又は他のコンピュータがデータを送信したことに応じて当該データを受信したり、出力部144の指示に基づいて情報を送信したりする。
【0033】
記憶部13は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部13は、制御部14が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部13は、発注データ及び請求データを記憶する。記憶部13は、さらに、発注データから抽出された情報を管理する発注情報データベースと、請求データから抽出された情報を管理する請求情報データベースとを記憶する。
【0034】
図4は、記憶部13が記憶するデータベースの一例を示す図である。図4(a)に示す発注情報データベースは、発注先事業者識別情報の一例としての発注先の事業者名と、発注額と、各商品の商品情報(品名、金額及び個数)とが関連付けられている。発注情報データベースにおいては、発注書を特定するための発注書識別情報(例えば発注番号)、及び発注書が発行された発行日がさらに含まれていてもよい。
【0035】
図4(b)に示す請求情報データベースは、請求元事業者識別情報の一例としての請求元の事業者名と、請求額と、各商品の商品情報(品名、金額及び個数)とが関連付けられている。請求情報データベースにおいては、請求書を特定するための請求書識別情報(例えば請求書番号)、及び請求書が発行された発行日がさらに含まれていてもよい。
【0036】
また、請求情報データベースにおいては、請求書に対応する発注書を特定するための発注書識別情報がさらに含まれていてもよい。例えば、購買担当者が、請求データと当該請求データに対応する発注データとを関連付けて請求書管理装置1にアップロードすることにより、請求データの請求書識別情報と発注データの発注書識別情報とが請求情報データベースに関連付けて記憶される。後述するように、請求書管理装置1が、請求データに対応する発注データを自動的に特定し、特定した発注データの発注書識別情報を請求データに関連付けて請求情報データベースに登録してもよい。
【0037】
図3に戻り、制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部14は、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部141、文字列特定部142、算出部143及び出力部144として機能する。
【0038】
取得部141は、請求書の請求内容を示す請求データと、当該請求データに対応する発注内容を示す可能性がある発注データとを取得する。取得部141は、読取装置2から発注データ及び請求データを取得してもよいし、被請求者端末から、金額差を比較する対象となる発注データ及び請求データを取得してもよい。
【0039】
取得部141は、発注額と異なる請求額が記載された請求書の適否を確認したい経理担当者の被請求者端末から、請求書及び発注書を特定するための情報(例えば請求書識別情報及び発注書識別情報)を取得し、取得した情報に対応する請求データ及び発注データを取得してもよい。取得部141は、例えば、記憶部13に記憶された発注データ及び請求データを取得する。また、取得部141は、ERP(Enterprise Resource Planning)システムをはじめとする、被請求者が管理する他のシステムから、当該他のシステムに登録されている発注データを取得してもよい。取得部141は、請求データと、当該請求データに対応する発注データを算出部143に入力する。
【0040】
取得部141は、後述する文字列特定部142が特定した文字列に基づいて請求データの内容を特定し、特定した内容に基づいて複数の発注データから選択した発注データを取得してもよい。具体的には、取得部141は、発注情報データベースに登録された複数の発注データのうち、読取装置2が請求書を読み取ることによって生成した請求データに含まれている事業者名、発注額、又は各商品の商品情報(品名、金額及び個数)のうち、少なくとも一部が含まれている発注データを取得する。
【0041】
文字列特定部142は、取得部141が取得した発注データ及び請求データが画像データである場合に、取得部141から入力された発注データ及び請求データに含まれている複数の文字列を特定する。文字列特定部142は、特定した文字列を取得部141に通知する。文字列特定部142は、例えばOCR(Optical Character Recognition)処理を実行することにより、発注データ及び請求データに基づいて、発注書及び請求書に含まれている文字列を特定する。
【0042】
文字列特定部142が特定する文字列は、例えば、事業者名(発注書における発注先の事業者名、請求書における請求元の事業者名)、発行日、各商品の品名、各商品の単価、各商品の購入数及び合計額(発注額、請求額)等であり、発注情報データベース及び請求情報データベースそれぞれに登録される情報に対応する文字列である。文字列特定部142は、例えば人工知能エンジンを搭載しており、画像データと文字列との関係を教師データとして深層学習して構築された機械学習モデルを使用することにより、高い精度で文字列を特定する。
【0043】
文字列特定部142は、取得部141が取得した発注データ及び請求データを記憶部13に記憶させる記憶制御部としてさらに機能する。具体的には、文字列特定部142は、発注データに基づいて、発注書に記載された発注額と、発注先の事業者を識別するための発注先事業者識別情報と、発注書の発行日を関連付けて発注情報データベースに記憶させ、請求データに基づいて、請求書に記載された請求額と、請求元の事業者を識別するための請求元事業者識別情報と、請求書の発行日とを関連付けて請求情報データベースに記憶させる。
【0044】
すなわち、文字列特定部142は、発注書及び請求書に含まれている文字列を特定すると、特定した文字列のうち発注情報データベース及び請求情報データベースに登録すべき文字列を、記憶部13における当該文字列に対応する領域に格納する。文字列特定部142は、取得部141が取得した発注データ及び請求データを関連付けて記憶させてもよい。具体的には、文字列特定部142は、請求データの請求書識別情報と発注データの発注書識別情報とを請求情報データベースに関連付けて記憶させる。
【0045】
算出部143は、請求データに含まれる請求額と、発注データに含まれる発注額との差である金額差を算出する。具体的には、算出部143は、請求額が適切であるか否かを判定する対象の請求データに含まれる請求額と、当該請求データに対応する発注データに含まれる発注額とを比較することにより、金額差を算出する。算出部143は、例えば、取得部141が請求データを取得したことに応じて金額差を算出する。算出部143は、算出した金額差を出力部144に入力する。
【0046】
「請求データに対応する発注データ」は、例えば、請求データに含まれる請求元の事業者名及び各商品の品名と一致する発注先の事業者名及び各商品の品名が含まれている発注データである。「請求データに対応する発注データ」は、請求データに含まれる個数及び商品の単価と一致する個数及び単価が含まれている発注データであってもよい。「請求データに対応する発注データ」は、請求書に記載されている発注番号に対応する発注データであってもよい。「請求データに対応する発注データ」は、請求データに含まれる事業者名等と一致する一以上の発注データのうち、発注書の発行日から、当該請求データに含まれる請求書の発行日までの期間が所定の期間閾値以内である発注データであってもよい。所定の期間閾値は、1か月又は2か月等のように、請求書管理装置1に予め設定された設定値であり、各事業者共通の設定値であってもよいし、事業者ごとに異なる設定値であってもよい。
【0047】
出力部144は、請求データ及び発注データに関する各種の情報を出力する。出力部144は、例えば、図4に示したデータベースに登録されているデータを、経理担当者が使用するコンピュータに送信して表示画面に表示させることにより、経理担当者がデータを確認できるようにする。出力部144は、請求額と発注額との間の金額差が所定の閾値未満である場合と、金額差が所定の閾値以上である場合とで、請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する。所定の閾値は、請求書管理装置1に予め設定されている金額であり、例えば1円、10円、100円又は1,000円等のように、端数処理によって変動し得る範囲の金額である。所定の閾値は、金額に限らず、請求額に対する割合(例えば、1パーセント又は0.1パーセント等)であってもよい。
【0048】
具体的には、出力部144は、金額差が存在する場合に、当該金額差が所定の閾値未満であるか否かを判定し、判定結果に応じて異なる結果情報を出力する。出力部144は、例えば、経理担当者が請求書を処理するための表示画面において、請求書の処理対象である請求データを、結果情報に応じた態様で表示させる。
【0049】
出力部144は、金額差が存在しない場合又は金額差が閾値未満である場合に、結果情報を出力することなく、請求データに基づく送金処理を自動的に実行してもよい。出力部144は、例えば送金処理を行うERPシステムに請求データを送信することにより、送金処理を実行する。
【0050】
図4(b)に示す例において、請求番号「77777777」の請求額は、金額差が所定の閾値以内であり、請求番号「99999999」の請求額は、金額差が所定の閾値以上であるとする。この場合において、出力部144は、表示画面において、図4(b)に示すような請求データの一覧を表示させ、請求番号「77777777」の請求額欄と、請求番号「99999999」の請求額欄とを異なる態様で表示させる。図4(b)に示す例の場合、請求額と発注額との間に金額差がありながらも金額差が許容範囲内である請求番号「77777777」の請求額には、許容可能情報として太い枠線が示されている。そして、金額差が許容範囲内でない請求番号「99999999」の請求額は、許容不可情報として、黒地に白抜きで請求額が示されている。
【0051】
出力部144は、結果情報を表示画面に表示させる例に限らず、不図示の印刷機に結果情報を印刷させてもよいし、経理担当者が使用する不図示の端末又は不図示の送金処理サーバに結果情報を送信してもよい。
【0052】
出力部144は、発注額と請求額との金額差が所定の閾値未満であると判定した場合、金額差が許容可能であることを示す許容可能情報を結果情報として出力する。なお、出力部144は、許容可能情報を出力する代わりに、請求額の送金処理を実行してもよい。また、出力部144は、許容可能情報を出力する代わりに、取得部141が請求データを取得した後に、請求データに関連付けて許容不可情報を出力しないことを、許容可能であることを示す結果情報の出力としてもよい。
【0053】
一方、出力部144は、発注額と請求額との金額差が所定の閾値未満ではない(金額差が所定の閾値以上である)と判定した場合、金額差が許容不可であることを示す許容不可情報を結果情報として出力する。このように、請求書管理装置1が、許容可能情報又は許容不可情報を出力することにより、経理担当者は、発注額と請求額との金額差が許容可能な範囲であるか否かを判断する手間を省くことができる。
【0054】
出力部144は、金額差が所定の租税の端数処理の相違に起因して生じたと判定した場合に許容可能情報を出力してもよい。所定の租税は、商品又はサービスの購買に対して課される租税であり、例えば、消費税又は付加価値税等である。所定の租税(以下、「消費税」という。)の端数処理は、例えば、切り上げ、切り捨て又は四捨五入等である。出力部144は、例えば、金額差が所定の閾値未満であり、かつ請求額において消費税の端数処理がされ得る範囲の位(例えば、一、十及び百の3つの位等)が「0」である場合に、許容可能情報を出力する。消費税の端数処理がされ得る範囲の位は、例えば経理担当者によって予め設定される。
【0055】
一方、出力部144は、金額差が消費税の端数処理の相違に起因して生じていないと判定した場合に、許容不可情報を出力してもよい。出力部144は、例えば、金額差が所定の閾値未満であり、かつ請求額において消費税の端数処理がされ得る範囲の位のうち、少なくとも一の位が「0」以外の数値である場合に、許容不可情報を出力する。請求書管理装置1このように動作することで、金額差が消費税の端数処理の相違に起因して生じたものであると考えられる場合に、当該金額差が許容可能な範囲であると経理担当者が判断することができる。なお、出力部144は、金額差が消費税の端数処理の相違に起因して生じたと考えられる場合に結果情報を出力せず、金額差が消費税端数処理の相違に起因して生じたと考えられない場合に許容不可情報を出力してもよい。
【0056】
出力部144は、金額差が端数処理の相違に起因して生じたか否かを判定するために、発注額との金額差が存在する請求額が、消費税の端数処理がそれぞれ異なる複数の算出方法で算出された算出結果のいずれかと一致するか否かを判定してもよい。具体的には、まず、算出部143は、請求データに含まれる消費税以外の額に基づいて、消費税の端数処理が異なる複数の算出方法で複数の租税額(例えば消費税額)を算出する。請求データに含まれる消費税以外の額は、例えば消費税を除いた商品それぞれの金額である。
【0057】
算出部143は、例えば、商品それぞれの金額の合計額に消費税率を乗算した額の端数を切り上げた場合の消費税額、端数を切り下げた場合の消費税額、又は端数を四捨五入した場合の消費税額を算出する。算出部143は、商品それぞれの金額に消費税率を乗算した額の端数を切り上げた額、端数を切り下げた額、又は端数を四捨五入した額の合計額を消費税額として算出してもよい。
【0058】
そして、出力部144は、算出部143が算出した複数の消費税額のいずれかを消費税以外の額に加算した合計額が請求額と一致する場合、金額差が端数処理の相違に起因して生じたと判定して許容可能情報を出力する。一方、出力部144は、複数の消費税額のそれぞれを消費税以外の額に加算した全ての合計額が請求額と一致しない場合、金額差が端数処理の相違に起因して生じたものではないと判定して許容不可情報を出力する。請求書管理装置1がこのように動作することで、金額差が請求額の誤りではなく端数処理の相違に起因する場合に、請求データが誤っていると経理担当者が判断してしまうことを防げる。
【0059】
出力部144は、算出部143が算出した消費税額を消費税以外の額に加算した合計額が請求額と一致する場合に算出部143が使用した端数処理の内容を示す処理内容情報をさらに出力してもよい。処理内容情報は、例えば、計算式又は算出方法(例えば、切り上げ、切り下げ又は四捨五入)を示す情報である。出力部144は、算出部143が算出した複数の消費税額、又は消費税以外の額に複数の消費税額を加算した複数の合計額のそれぞれに関連付けて、処理内容情報を出力してもよい。
【0060】
このようにすることで、請求書管理装置1は、請求額の算出においてどのような端数処理が使用されたかを経理担当者に把握させることができる。なお、出力部144は、許容可能情報を出力する場合に、請求額と一致する合計額の算出に使用された消費税の端数処理の内容を示す処理内容情報を出力してもよい。
【0061】
[請求書管理装置1の動作の流れ]
図5は、請求書管理装置1の動作の流れを示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、取得部141が請求データを取得したことを契機として開始する(S11)。文字列特定部142は、取得部141が取得した請求データに基づいて、請求書に含まれている複数の文字列を特定する(S12)。
【0062】
続いて、取得部141は、請求データに対応する発注データを取得する(S13)。取得部141は、例えば、発注情報データベースに登録されている複数の発注データのうち、請求書に含まれている複数の文字列と一致する文字列を含む発注データを取得する。
【0063】
算出部143は、請求データに含まれる請求額と、当該請求データに対応する発注データに含まれる発注額との金額差を算出する(S14)。出力部144は、金額差が存在するか否かを判定する(S15)。出力部144は、金額差が存在しないと判定した場合(S15においてNOの場合)、処理を終了させる。一方、出力部144は、金額差が存在すると判定した場合(S15においてYESの場合)、当該金額差が所定の閾値未満であるか否かを判定する(S16)。
【0064】
出力部144は、金額差が所定の閾値未満であると判定した場合(S16においてYESの場合)、許容可能情報を出力する(S17)。一方、出力部144は、金額差が所定の閾値未満ではない(金額差が所定の閾値以上である)と判定した場合(S16においてNOの場合)、許容不可情報を出力する(S18)。
【0065】
[第1変形例]
以上の説明においては、算出部143が、請求データに含まれる消費税以外の額に基づいて、消費税の端数処理が異なる複数の算出方法で複数の消費税額を算出したが、算出部143は、請求書を発行した事業者が使用している蓋然性が高い算出方法で消費税額を算出してもよい。このようにするために、出力部144は、算出部143が複数の算出方法を用いて算出した複数の消費税額のいずれかを消費税以外の額に加算した合計額が請求額と一致する場合、合計額が請求額と一致した算出方法を、請求書を発行した事業者に関連付けて記憶部13に記憶させる。
【0066】
その後、取得部141が新たな請求データを取得し、算出部143が算出した請求額と発注額との金額差が閾値以上である場合、算出部143は、請求データに対応する請求書を発行した事業者に関連付けて記憶部13に記憶された算出方法を読み出す。算出部143は、読み出した算出方法に対応する端数処理を行って消費税額を算出する。算出部143がこのように動作することで、請求書が作成された際に使用された蓋然性が高い端数処理を行って消費税額が算出される確率が高まるので、金額差が生じた原因が端数処理に起因するか否かの判定精度が向上する。
【0067】
[第2変形例]
以上の説明においては、請求データに対応する発注データが一つに特定された場合を例示したが、請求データに対応する可能性がある発注データが複数ある場合がある。このような状況において、出力部144は、請求額と発注額との金額差が閾値以上であると判定した場合、算出部143が金額差を算出するために用いた第1発注データとは異なる複数の他の発注データの中から、請求額との金額差が閾値未満である発注額を含む一以上の第2発注データに関する情報をさらに出力してもよい。出力部144がこのように動作することで、請求データに対応する可能性がある発注データが複数ある場合に、請求データに対応する発注データを経理担当者が把握することが可能になる。
【0068】
出力部144は、請求額と発注額との金額差が閾値以上である場合、複数の他の発注データのうち、請求データに対応する蓋然性が相対的に高い一以上の第2発注データを出力してもよい。出力部144は、例えば、算出部143が前記金額差を算出するために用いた第1発注データと異なる複数の他の発注データの中から、請求データに含まれている事業者名、商品名、単価又は購入数のうち少なくともいずれかが一致する度合いが相対的に大きい一以上の第2発注データに関する情報を出力する。
【0069】
出力部144は、一以上の第2発注データに関連付けて、請求データに含まれている事業者名、商品名、単価又は購入数の少なくともいずれかと、発注データに含まれている事業者名、商品名、単価又は購入数の少なくともいずれかとが一致する度合いを示す信頼度数を出力してもよい。信頼度数は、例えば、請求データに含まれる複数のデータ項目(例えば、事業者名、品名、個数及び単価等)と発注データに含まれる複数のデータ項目とが一致する一致数が多いほど高い数値を示し、一致数が少ないほど小さい数値を示す情報である。
【0070】
なお、各データ項目には、それぞれ異なる重み付けが設定されてもよい。例えば、事業者名及び品名には高い重み付けが設定され、商品の個数及び単価には低い重み付けが設定されていてもよい。また、信頼度数は、例えば、発注額が請求額に近いほど高い数値を示し、発注額が請求額に遠いほど小さい数値を示す。出力部144が信頼度数を出力することで、経理担当者は、出力された第2発注データが請求データに対応しているかどうかを容易に把握することができる。
【0071】
また、請求額と発注額との金額差が閾値以上であると出力部144が判定した場合、取得部141は、算出部143が金額差を算出するために用いた第1発注データと異なる他の発注データを取得し、算出部143は、請求データに含まれる請求額と、当該他の発注データに含まれる発注額との差である金額差を算出してもよい。取得部141及び算出部143がこのような処理を繰り返すことにより、取得部141が、請求データに対応する発注データを正しく特定できる確率が向上する。
【0072】
[第3変形例]
以上の説明においては、出力部144が、金額差が所定の閾値未満である場合と、金額差が閾値以上である場合とで、請求額の許容可否について異なる結果情報を出力したが、出力部144は、金額差が所定の閾値未満である場合において、金額差が存在する場合と金額差が存在しない場合とで異なる結果情報を出力してもよい。出力部144は、例えば、表示画面に表示する請求データを、金額差が所定の閾値未満であって当該金額差が存在する場合と、金額差が所定の閾値未満であって当該金額差が存在しない場合と、金額差が所定の閾値以上である場合とでそれぞれ異なる態様(例えば、それぞれ異なる色彩)で表示させる。出力部144は、金額差が所定の閾値未満であって当該金額差が存在する場合と、金額差が所定の閾値未満であって当該金額差が存在しない場合と、金額差が所定の閾値以上である場合とでそれぞれ異なる内容のメッセージを結果情報として経理担当者が使用する端末に送信してもよい。出力部144がこのように構成されていることで、経理担当者は、発注額と請求額とに金額差があるか否かを容易に把握することができ、また発注額との金額差がある請求額が許容可能な範囲であるか否かを容易に把握することができる。
【0073】
[第4変形例]
以上の説明においては、請求データに対応する証憑データ(発注データ)が一つである場合を例示したが、請求データに対応する可能性がある証憑データが複数ある場合がある。このような状況において、出力部144は、各証憑データに含まれる金額額と請求額との金額差が閾値未満であるか否かの判定結果に応じて、請求額の許容可否について異なる結果情報を出力してもよい。
【0074】
具体的には、まず、取得部141は、種類がそれぞれ異なる複数の証憑データを取得する。複数の証憑データは、例えば、発注データ、発注に関する稟議内容を示す稟議データ、納品された商品等の納品内容を示す納品データ、及び納品に対する検収内容を示す検収データ等である。算出部143は、取得部141が取得した証憑データごとに、請求額と、当該証憑データに含まれる金額との差である金額差を算出する。
【0075】
そして、出力部144は、算出部143が算出した複数の金額差それぞれが所定の閾値未満である場合と、複数の金額差のうちの少なくともいずれかが所定の閾値以上である場合とで、請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する。出力部144は、例えば、表示画面において請求データと複数の証憑データとを関連付けて表示させ、各証憑データを、金額差が所定の閾値未満であって当該金額差が存在する場合と、金額差が所定の閾値未満であって当該金額差が存在しない場合と、金額差が所定の閾値以上である場合とでそれぞれ異なる態様で表示させる。出力部144がこのように動作することで、経理担当者は、各金額差が許容可能な範囲であるか否かを容易に確認することができ、また許容可能な範囲ではない金額差に対応する証憑データがどれであるかを容易に把握することができる。
【0076】
出力部144は、請求額と、複数の証憑データそれぞれに含まれる金額とが一致するか否かに応じて、請求額との各金額差が所定の租税の端数処理に起因するか否かを判定してもよい。具体的には、まず、取得部141は、第1証憑データと、第1証憑データとは種類が異なる第2証憑データとを証憑データとして取得する。第1証憑データは、発注内容又は発注に関する稟議内容を含むデータあり、例えば、発注データ又は稟議データのうちのいずれかである。第2証憑データは、納品内容又は納品に対する検収内容を含むデータであり、例えば、納品データ又は検収データのうちのいずれかである。
【0077】
そして、出力部144は、請求データに含まれる請求額、第1証憑データに含まれる第1金額、及び第2証憑データに含まれる第2金額が一致していない場合に、請求額と第1金額との差である第1金額差、及び請求額と第2金額との差である第2金額差が所定の租税の端数処理に起因するか否かを判定する。出力部144は、例えば、請求額、第1金額、及び第2金額が一致していない場合に、第1金額差及び第2金額差それぞれが所定の閾値未満である場合と、第1金額差及び第2金額差のうちの少なくともいずれかが所定の閾値以上である場合とで、請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する。出力部144がこのように動作することで、経理担当者は、各金額(請求額、第1金額、及び第2金額)が一致している否かを容易に確認することができ、また各金額差(第1金額差及び第2金額差)が許容可能な範囲であるか否かを容易に確認することができる。
【0078】
なお、出力部144は、請求データに含まれる複数のデータ項目(例えば、請求書を発行した事業者の名称、商品の品名、個数、及び請求額等)と、検収データに含まれる複数のデータ(例えば、検収書を提示する事業者の名称、検収された商品の品名、個数、及び金額等)とがそれぞれ一致しているか否かに応じて、請求書の請求内容が適切か否かについて異なる結果情報を出力してもよい。出力部144は、例えば、表示画面に表示させる請求データを、請求データに含まれる複数のデータ項目と検収データに含まれる複数のデータとがそれぞれ一致している場合と、請求データに含まれる複数のデータ項目と検収データに含まれる複数のデータとにおいて少なくとも一部のデータ項目が一致しない場合とでそれぞれ異なる態様で表示させる。
【0079】
[請求書管理装置1による効果]
以上説明したとおり、請求書管理装置1は、発注額と請求額との金額差が存在する場合において、当該金額差が所定の閾値未満である場合と、当該金額差が所定の閾値以上である場合とで、請求額の許容可否について異なる結果情報を出力する。このようにすることで、経理担当者は、発注額との金額差がある請求額が許容可能な範囲であるか否かを把握することができる。これにより、経理担当者は、発注額と請求額との金額差が許容可能な範囲であるか否かを判断する手間を省くことができる。その結果、請求書管理装置1は、経理担当者が請求書を処理する負担を軽減させることができる。
【0080】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0081】
1 請求書管理装置
11 表示部
12 通信部
13 記憶部
14 制御部
141 取得部
142 文字列特定部
143 算出部
144 出力部
2 読取装置
図1
図2
図3
図4
図5