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  • 特開-焼却方法および葬儀方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082913
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】焼却方法および葬儀方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 1/00 20060101AFI20220527BHJP
【FI】
F23G1/00 P
F23G1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194086
(22)【出願日】2020-11-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】518380551
【氏名又は名称】合同会社そのまえに
(74)【代理人】
【識別番号】100126402
【弁理士】
【氏名又は名称】内島 裕
(72)【発明者】
【氏名】氏橋 忍
(57)【要約】
【課題】遺骨(焼骨)を完全に近い形で焼却可能な焼却方法等を提供すること。
【解決手段】大きさが20マイクロメートル未満の微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物を得る工程と、内部で火炎が出力されている焼却炉の投入口から前記被焼却物を投入する工程と、前記被焼却物が前記焼却炉の底面に到達する前に焼却残渣を生じさせることなく前記焼却炉により前記被焼却物を焼却する工程とを有する焼却方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大きさが20マイクロメートル未満の微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物を得る工程と、
内部で火炎が出力されている焼却炉の投入口から前記被焼却物を投入する工程と、
前記被焼却物が前記焼却炉の底面に到達する前に焼却残渣を生じさせることなく前記焼却炉により前記被焼却物を焼却する工程と
を有する焼却方法。
【請求項2】
大きさが20マイクロメートル未満の微細パウダーに粉砕された前記遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物を得る工程と、
焼却炉が設置されている焼却炉スペースと、参列者が居る参列者スペースとが所定の仕切部材により仕切られている会場での骨葬における第一のセレモニーを、前記参列者スペースで前記参列者の前方に前記被焼却物を載置して実施する工程と、
前記仕切部材に設けられた開閉口部を開いて、前記被焼却物を前記焼却炉スペースへ移動させた後に、再び前記開閉口部を閉じる工程と、
前記焼却炉スペースにおいて、内部で火炎が出力されている前記焼却炉の投入口から前記被焼却物を投入する工程と、
前記被焼却物が前記焼却炉の底面に到達する前に焼却残渣を生じさせることなく前記焼却炉により前記被焼却物を焼却する工程と、
前記焼却する工程と並行して前記骨葬における第二のセレモニーを前記参列者スペースで実施する工程と
を有する葬儀方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺骨を焼却する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、葬儀として故人は火葬された後その遺骨(焼骨)が骨壷に収められ、寺社に設けられた墓地に埋葬されることが行われている。
【0003】
近年の核家族化の進展や少子化等、国内外各地への転勤赴任等による後継者の不在により、従来型の墓による永代供養が困難となり、寺社等に永代供養を委託する遺族が増加する傾向にある。委託による永代供養は、火葬された遺骨を納骨室に安置して供養し、所定期間経過後に遺骨を合葬することが一般的であるが、高額の維持費用、他人と一緒になることや待機遺骨の問題等があった。
【0004】
ここで、空中にて遺灰を放散させる散骨方法において、遺灰をヘリウム等のガスを封入せる飛翔体内に収容し、該飛翔体を空中に飛し、高高度にて飛翔体が膨張・冷却されて破裂することにより、前記遺灰を空中に放散させるようにしたので、安全かつ静かで厳かに遺灰を飛翔体内に収容させて、ヘリウムガス等を利用して空中高く飛翔させることができ、ゴム等にて構成した飛翔体を高高度にて膨張・冷却させて、自然に脆性破壊させ、遺灰を空中に広範囲に放散させ、荘厳かつ安全で、準備も簡便な散骨方法およびそれを利用した葬儀方法を提供する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-61245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1に開示されている空中散布による散骨方法では、法的に問題が無かったとしても環境等への配慮や近隣住民感情の問題から実施することには困難が伴っていた。
また、必要な少量の遺骨のみを手元に残しておいて遺族の各家庭などで分散して保管し続けることなどが望まれるケースも少なからずあった。
【0007】
本発明の目的は、遺骨(焼骨)を完全に近い形で焼却することができる焼却方法およびその技術を組み込んだ葬儀方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の焼却方法は、
大きさが20マイクロメートル未満の微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物を得る工程と、
内部で火炎が出力されている焼却炉の投入口から前記被焼却物を投入する工程と、
前記被焼却物が前記焼却炉の底面に到達する前に焼却残渣を生じさせることなく前記焼却炉により前記被焼却物を焼却する工程とを有する。
このような構成により、焼却炉の投入口から投入された大きさが20マイクロメートル未満の微細パウダーは散らばりながら焼却炉内部の空気中に舞い広がり、さらに混合された燃焼促進剤の作用により燃焼が加速されるため、焼却炉の底面に到達する前に焼却残渣を生じさせることなく焼却炉によって完全に近い形で焼却することができる。
【0009】
本発明の葬儀方法は、
大きさが20マイクロメートル未満の微細パウダーに粉砕された前記遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物を得る工程と、
焼却炉が設置されている焼却炉スペースと、参列者が居る参列者スペースとが所定の仕切部材により仕切られている会場での骨葬における第一のセレモニーを、前記参列者スペースで前記参列者の前方に前記被焼却物を載置して実施する工程と、
前記仕切部材に設けられた開閉口部を開いて、前記被焼却物を前記焼却炉スペースへ移動させた後に、再び前記開閉口部を閉じる工程と、
前記焼却炉スペースにおいて、内部で火炎が出力されている前記焼却炉の投入口から前記被焼却物を投入する工程と、
前記被焼却物が前記焼却炉の底面に到達する前に焼却残渣を生じさせることなく前記焼却炉により前記被焼却物を焼却する工程と、
前記焼却する工程と並行して前記骨葬における第二のセレモニーを前記参列者スペースで実施する工程と
を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遺骨(焼骨)を完全に近い形で焼却可能な焼却方法およびその技術を組み込んだ葬儀方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態における焼却方法のフローを説明する図である。
図2】本発明の実施の形態における焼却方法で用いられる焼却炉への被焼却物の投入の一例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における葬儀方法のフローを説明する図である。
図4】本発明の実施の形態における葬儀方法が実施される葬儀会場の全体の設備の一例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態における葬儀方法が実施される葬儀会場の参列者スペースの設備の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る焼却方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1のフローチャートを参照すると、
まず、大きさが20マイクロメートル未満の微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物1を得る(ステップS11)。
【0014】
火葬された遺骨(焼骨)には、体積が大きい塊もある。骨壺等に収納された遺骨(焼骨)をお預かりして、粉骨機(例えば、ラボネクト株式会社製:ハイスピードミル)により粉砕して粉体とする。
【0015】
上記の粉骨機(ハイスピードミル)では、散骨用に遺骨を粉砕することを意図しており、一般的に散骨に適した粉体の大きさ(サイズ)は2ミリメートル以下と言われているが、1分間で粉砕刃が約3万回転して1分後には大きさが50マイクロメートル乃至200マイクロメートルの粉体とすることができる。
【0016】
しかし、大きさが50マイクロメートル乃至200マイクロメートルの粉体のままでは、本実施の形態に係る焼却方法を実現するためには十分ではなく、その粉体をさらに粉砕することが必要である。
【0017】
そこで、上記の粉骨機などで同様の手順を繰り返して粉砕作業を実施したり、より細かく粉砕できる機械を利用することで、遺骨(焼骨)の微細パウダー(大きさが20マイクロメートル未満、好適には10マイクロメートル未満)を得る。
【0018】
そして、マグネシウムの粉末やニトロセルロース(紙状のフラッシュペーパー、綿状のフラッシュコットンを含む)などの燃焼促進剤を当該微細パウダーに混合して焼却炉内における当該微細パウダーの燃焼を加速することであってもよい。なお、遺骨(焼骨)の粉砕時点において燃焼促進剤を添加する態様であってもよい。
【0019】
このようにして、微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物1を得る。
【0020】
次に、内部で火炎が出力されている焼却炉2の投入口21から被焼却物1(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)を投入する(ステップS12)。
【0021】
焼却炉(例えば、DAITO株式会社製:MDB-400J)2は、煉瓦等で囲まれるように設置されてもよく、また屋外に設置されてもよい。焼却炉(MDB-400J)2は、助燃バーナー等により焼却炉内へ火炎が出力され、内部で火炎が旋回することとなる。
【0022】
図2に示すように、焼却炉2の投入口21から被焼却物(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)1を投入することができる。
投入口21は、ある程度高い位置に設けられていることが望ましい。なお、着火前に被焼却物1を焼却炉2の投入口21から焼却炉2の底面に置いた状態で焼却を開始しても被焼却物1が燃え残るリスクがある。
【0023】
焼却炉2の投入口21は、外側の蓋と内側の遮断壁の二重構造となっており、ハンドルを回すこと等により遮断壁が開閉可能となっているため、焼却炉2の内部で火炎が出力されている状態においても、焼却炉2の投入口21から被焼却物(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)1を安全に投入することができる。なお、風圧等を利用して被焼却物1を焼却炉内へ投入できる別途の器具を用いること等であってもよい。
【0024】
焼却炉2への被焼却物(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)1の投入タイミングは、焼却炉2の内部空間の温度が十分に高くなった時であり、投入量は、焼却残渣を生じさせることのないように、一回につき多量となりすぎないようにし、投入回数は、投入量に応じて変化するが複数回であってもよく、また、投入方法は、人力(ご遺族の手で投入してもらってもよい)又は機械的な動力を用いることであってよい。
【0025】
そして、被焼却物(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)1が焼却炉2の底面に到達する前に焼却残渣を生じさせることなく焼却炉2により被焼却物1を焼却する(ステップS13)。
【0026】
被焼却物(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)1が焼却炉2の底面に到達する前に、焼却炉内の熱い空気中で、助燃バーナー等により焼却炉内へ出力される火炎により、焼却残渣(焼却処理をした後に残る可燃物の灰や不燃物などの燃え残り)が生じないように完全に近い形で焼却する。完全に近い形とは、焼却炉2の所定のフィルターにより集塵される組成物は当然にあり得るという意味である。
【0027】
焼却炉内部で火炎が旋回している状態であるため、焼却炉2の投入口21から投入された大きさが20マイクロメートル未満の微細パウダーは散らばりながら焼却炉内部の空気中に舞い広がり、さらに混合された燃焼促進剤の作用により燃焼が加速されるため、焼却炉の底面に到達する前に焼却残渣を生じさせることなく焼却炉2により焼却することができる。
【0028】
上記の本実施の形態によれば、遺骨(焼骨)を完全に近い形で焼却可能な焼却方法を実現することができる。
【0029】
以下では、本発明の実施の形態に係る葬儀方法について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、上記の本発明の実施の形態に係る焼却方法に関連して述べた点と重複する説明は適宜省略する。
【0030】
図3のフローチャートを参照すると、
まず、大きさが20マイクロメートル未満の微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物1を得る(ステップS21)。
【0031】
ご臨終から24時間後に直葬(直接火葬)された遺骨(焼骨)には、体積が大きい塊もある。遺骨(焼骨)は骨壺等に収納して、従来は骨堂に預けて、初七日、一周忌、三周忌などの法要の際に供養していたが、直葬後そのままご遺族の自宅等で安置しておいてもらったものをお預かりすることであってもよい。その他は上記のステップS11と同様である。
【0032】
次に、焼却炉2が設置されている焼却炉スペースと、参列者が居る参列者スペースとが所定の仕切部材3により仕切られている会場での骨葬(予め火葬を済ませた遺骨を対象に供養を行う葬儀)における第一のセレモニーを、参列者スペースで参列者の前方に設置された載置台4としての机などの上に被焼却物1を載置して実施する(ステップS22)。
【0033】
図4に、本実施の形態における葬儀方法が実施される葬儀会場の全体の設備の一例を示す。
葬儀会場は、焼却炉スペースと、参列者スペースとがあり、その間に仕切部材3が設けられている。参列者スペースの参列者から見て前方には、載置台4としての机などが設けられ、被焼却物(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)1がお盆5などに盛られて載置されている。なお、お盆5などは必須ではない。
【0034】
ご遺族との相談のうえ日時を決めて執り行われる骨葬における第一のセレモニーとは、被焼却物(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)1が焼却される前のいわば最後のお別れのセレモニーである。
【0035】
次に、仕切部材3に設けられた開閉口部6を開いて、被焼却物1を焼却炉スペースへ移動させた後に、再び開閉口部6を閉じる(ステップS23)。
【0036】
図5に、本実施の形態における葬儀方法が実施される葬儀会場の参列者スペースの設備の一例を示す。
仕切部材には開閉口部6としての自動ドアが設けられ、その扉が開閉する。
被焼却物1を開閉口部6を通して参列者スペースから焼却炉スペースへ移動させた後(移動方法は、人力(ご遺族の手で移動してもらってもよい)又は機械的な動力を用いることであってよい。)、焼却炉スペース側の取出口7の扉・窓・蓋などを開けて葬儀会場側のスタッフ等が受け取ることができる。
【0037】
次に、内部で火炎が出力されている焼却炉2の投入口21から被焼却物(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)1を投入する(ステップS24)。この工程は上記のステップS12と同様である。なお、被焼却物1の焼却炉スペース側での受け取りから焼却炉2への投入までをすべて機械的な動力を用いることで実現する機構が適用されることであってもよい。
【0038】
そして、被焼却物(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)1が焼却炉2の底面に到達する前に焼却残渣を生じさせることなく焼却炉2により被焼却物1を焼却する(ステップS25)。この工程は上記のステップS13と同様である。
【0039】
また、上記のステップS25の焼却する工程と並行して、骨葬における第二のセレモニーを参列者スペースで実施する(ステップS26)。
【0040】
上記のステップS25の焼却する工程における全体の焼却時間は、被焼却物1を何回に分けて投入するかの投入回数にもよるが、例えば約20分である。
【0041】
骨葬における第二のセレモニーとは、被焼却物(微細パウダーに粉砕された遺骨と燃焼促進剤とが混合された被焼却物)1が焼却されている最中に、参列者スペースの正背面・左右側面の壁や天井面・床面や所定のスクリーンに対してプロジェクションマッピング等により故人の想い出を上映したり、僧侶による読経などや、最後に空に上がっていくイメージを会場全体をブルーに照らしてありがとうのメッセージと共に場と空間にふさわしい演出を実施することなどにより行われるものである。
【0042】
なお、骨葬における第二のセレモニーなどが終了した際には、散会となるが、ご遺族の意向に添い、微細パウダーに粉砕された遺骨のすべてを焼却せずに、少量の遺骨(微細パウダー)を分骨してそれぞれの手元で保管して供養することであってもよい。
【0043】
上記の本実施の形態によれば、遺骨(焼骨)を完全に近い形で焼却可能な焼却技術を組み込んだ葬儀方法を実現することができる。
【0044】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されてよい。なお、各工程は順序が入れ替えられたり、同時並行的に実施されることであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 被焼却物
2 焼却炉
21 投入口
3 仕切部材
4 載置台
5 お盆
6 開閉口部
7 取出口
図1
図2
図3
図4
図5