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  • 特開-POSレジスタ 図1
  • 特開-POSレジスタ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082920
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】POSレジスタ
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20220527BHJP
   G06Q 20/20 20120101ALI20220527BHJP
【FI】
G07G1/12 321G
G07G1/12 361Z
G06Q20/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194097
(22)【出願日】2020-11-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】520280645
【氏名又は名称】株式会社メディコムエイド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 光洋
【テーマコード(参考)】
3E142
5L055
【Fターム(参考)】
3E142AA10
3E142EA05
3E142FA35
5L055AA42
(57)【要約】
【課題】在宅訪問診療において予め釣銭を用意して医療費のうちの自己負担金を回収するにあたって、釣銭の取り出し及び支払金の回収を管理することができるPOSレジスタを提供する。
【解決手段】医療機関に配置され、医療機関を受診する患者の医療費を管理するPOSレジスタ10であって、登録された患者の在宅訪問診療の前に、予測される在宅訪問診療の際の支払いの金額である予測支払金額が設定され、予測支払金額に対する、在宅訪問診療における医療費のうちの患者の自己負担金額の釣銭の金額を算出し、釣銭が取り出され、在宅訪問診療の後に、在宅訪問診療において支払われた支払金が投入され、投入された支払金の金額額と予測支払金額とが一致するか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関に配置され、前記医療機関を受診する患者の医療費を管理するPOSレジスタであって、
登録された前記患者の在宅訪問診療の前に、予測される前記在宅訪問診療の際の支払いの金額である予測支払金額が設定され、前記予測支払金額に対する、前記在宅訪問診療における前記医療費のうちの前記患者の自己負担金額の釣銭の金額を算出し、前記釣銭が取り出され、
前記在宅訪問診療の後に、前記在宅訪問診療において支払われた支払金が投入され、投入された支払金の金額と前記予測支払金額とが一致するか否かを判定する、
POSレジスタ。
【請求項2】
請求項1に記載のPOSレジスタであって、
複数の前記在宅訪問診療の後に、前記在宅訪問診療において支払われたそれぞれの支払金が全て投入され、投入された支払金の金額と全ての予測支払金の合計金額とが一致するか否かを判定する、
POSレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療費を管理するPOSレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関に配置され、医療機関を受診する患者の医療費を管理するPOS(Points of Sales)レジスタが公知である(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-040978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、保険医療機関(病院、診療所、調剤薬局等)では、在宅訪問診療を行う場合がある。在宅訪問診療では、医師、看護師又は薬剤師が定期的に医療機関に通院が困難な患者宅を訪問し、治療、看護、健康管理又は処方された薬剤の説明等を行う。
【0005】
在宅訪問診療は、病院、診療所又は調剤薬局において行われる定期的な往診である。在宅訪問診療の頻度は、患者の症状により異なるが、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回等である。在宅訪問診療の際には、病院、診療所又は調剤薬局の何れであっても1日に複数(3~5件)の訪問を行う。
【0006】
在宅訪問診療は、定期的な訪問のために、ほぼ決められた医療行為がなされ、患者の自己負担額が予測可能である。例えば、調剤薬局が医師の処方箋により調剤した薬剤の配達、説明又は患者の経過観察を行う場合には、患者の自己負担額が予測可能である。
【0007】
在宅訪問診療では、在宅訪問診療の前において、医療費のうちの自己負担金の徴収を行うために、各訪問先の患者に対する請求書、領収証及び釣銭が予め用意される。在宅訪問診療において予め用意される釣銭は、予測される在宅訪問診療の際の支払いの金額(例えば10000円)を想定して、想定した支払金額から自己負担金額を差し引いた金額(釣銭)が用意される。
【0008】
上述したPОSレジスタでは、在宅訪問診療を行う際の釣銭等が管理されていない。在宅訪問診療では、上述したPOSレジスタによって通常の通院患者と同様に医療費を管理しているものの、在宅訪問診療の前後において金額の収支が合わない等のトラブルが発生する場合がある。
【0009】
本発明の目的は、在宅訪問診療において予め釣銭を用意して医療費のうちの自己負担金を回収するにあたって、予め取り出される釣銭及び回収された支払金を管理することができるPOSレジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るPOSレジスタは、医療機関に配置され、医療機関を受診する患者の医療費を管理するPOSレジスタであって、登録された患者の在宅訪問診療の前に、予測される在宅訪問診療の際の支払いの金額である予測支払金額が設定され、予測支払金額に対する、在宅訪問診療における医療費のうちの患者の自己負担金額の釣銭を算出し、釣銭が取り出され、在宅訪問診療の後に、在宅訪問診療において支払われた支払金が投入され、投入された支払金と予測支払金とが一致するか否かを判定する。
【0011】
本発明に係るPOSレジスタにおいて、複数回の在宅訪問診療の後に、在宅訪問診療において支払われたそれぞれの支払金が全て投入され、投入された支払金と全ての予測支払金の合計とが一致するか否かを判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るPOSレジスタによれば、在宅訪問診療において予め釣銭を用意して医療費のうちの自己負担金を回収するにあたって、予め取り出される釣銭及び回収された支払金を管理することができる。これにより、在宅訪問診療の前後において収支金額が合わない等のトラブルを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の一例であるPOSレジスタを示す斜視図である。
図2】制御部の構成を示すブロック図である。
図3】在宅訪問診療の患者の情報を示すテーブル図である。
図4】在宅訪問診療における釣銭の取り出し及び支払金の回収の流れを示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、方向、数値等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。
【0015】
図1を用いて、実施形態の一例であるPOSレジスタ10について説明する。図1は、POSレジスタ10を示す斜視図である。
【0016】
POS(Points of Sales)レジスタ10は、医療機関に配置され、医療機関を受診する患者の医療費を管理する装置である。また、POSレジスタ10は、医療機関を受診する患者が対価を支払う際に、電子カルテ及びレセプトコンピュータに基づいて医療費を算出する装置である。
【0017】
POSレジスタ10によれば、詳細は後述するが、在宅訪問診療において予め釣銭を用意して医療費のうちの自己負担金を回収するにあたって、予め取り出される釣銭及び回収された支払金を管理することができる。これにより、在宅訪問診療の前後において収支金額が合わない等のトラブルを低減することができる。
【0018】
図1に示すように、POSレジスタ10は、患者の診察券の記載情報を読み取る読取部11と、患者の個人情報が登録され、読取部11によって読み取られた記載情報から患者の個人情報を呼び出す制御部12(図2参照)と、制御部12によって呼び出された患者の個人情報を表示する表示部13と、患者が対価を支払う際に硬貨、紙幣等が投入されると釣銭の金額を計算して自動で釣銭が取り出される自動釣銭部14とを備えている。
【0019】
読取部11は、上述したように患者の診察券の記載情報を読み取る装置である。診察券の記載情報としては、磁気カードデータ、バーコード、番号等であってもよい。読取部11は、磁気カードデータを読み取る磁気カードリーダー、バーコードを読み取るバーコードリーダー、番号が入力されるテンキー入力装置等であってもよい。
【0020】
制御部12は、上述したように患者の個人情報が登録され、読取部11によって読み取られた記載情報から該当する患者の個人情報を呼び出す装置である。また、制御部12は、電子カルテ及びレセプトコンピュータに基づいて医療費(診療における対価)を算出する装置である。制御部12について詳細は後述する。
【0021】
表示部13は、上述したように制御部12によって呼び出された患者の個人情報、診療における対価、診療における商品購入の代金を含む情報を表示する装置である。また、表示部13は、画面上の表示に触れることによって様々なデータの入力が行われる装置である。表示部13は、液晶パネルのような表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせ、画面上の表示を押すことで操作されるタッチパネルであってもよい。
【0022】
自動釣銭部14は、上述したように診療において患者が対価を支払う際に硬貨、紙幣等が投入されると釣銭の金額を計算して自動で釣銭が取り出される装置である。自動釣銭部14は、例えば、患者が対価を支払う際に硬貨が投入される硬貨投入口、釣銭のうちで硬貨が取り出される硬貨出金口、患者が対価を支払う際に紙幣が投入される又は釣銭のうちで紙幣が取り出される紙幣回収カセットを有している。
【0023】
図2及び図3を用いて、制御部12について説明する。図2は、制御部12の構成を示すブロック図である。図3は、在宅訪問診療の患者の情報を示すテーブル図である。
【0024】
制御部12は、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部を有し、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。制御部12は、読取部11と、表示部13と、自動釣銭部14とに接続されている。また、制御部12は、電子カルテを記録したファイル、レセプトコンピュータ等に接続されている。
【0025】
制御部12は、在宅訪問診療の前において、在宅訪問診療にて訪問先で予測される支払い金額である予測支払金額が設定される予測支払金額設定部15と、在宅訪問診療における医療費のうちの患者の自己負担金額を算出する自己負担金額算出部16と、予測支払金額に対する自己負担金額の釣銭金額を算出する釣銭金額算出部17と、自動釣銭部14から釣銭金額分の釣銭が取り出される釣銭取り出し部18とを含む。
【0026】
また、制御部12は、在宅訪問診療の後において、訪問先で回収し、自動釣銭部14から回収された支払金を取得する支払金取得部19と、取得した支払金と予測支払金とが一致するか否かを判定する判定部20とを含む。
【0027】
ここで、在宅訪問診療とは、医師、看護師又は薬剤師(以下、医療従事者)が定期的に医療機関に通院が困難な患者を訪問し、医療従事者が患者に対し治療、看護、健康管理又は処方された薬剤の説明、等を行うことである。図3に示すように、在宅訪問診療の前後では、表示部13によって、その日の在宅訪問診療を行う患者の個人情報がテーブルとして表示される。
【0028】
予測支払金額設定部15は、上述したように、在宅訪問診療の前において、予測される在宅訪問診療の際の支払いの金額である予測支払金額が設定される機能を有する。予測支払金額とは、訪問先で支払われると予測される1枚の紙幣であって、例えば10000円、5000円、2000円又は1000円である。予測支払金額設定部15は、予測支払金額を一律で10000円で設定してもよいし、例えば訪問先毎に設定できるようにしてもよい。
【0029】
自己負担金額算出部16は、上述したように、在宅訪問診療における医療費のうちの患者の自己負担金額を算出する機能を有する。自己負担金額とは、在宅訪問診療において患者から実際に回収する金額である。なお、本例では、在宅訪問診療における医療費のうちの患者の自己負担金額は、訪問前後において変更されることはないものとする。
【0030】
釣銭金額算出部17は、予測支払金額設定部15で設定された予測支払金額に対し、自己負担金額算出部16によって算出された自己負担金額の釣銭金額を算出する機能を有する。釣銭金額算出部17は、在宅訪問診療におけるそれぞれの訪問先の患者の釣銭金額をそれぞれ算出することが好ましい。
【0031】
釣銭取り出し部18は、自動釣銭部14から釣銭金額算出部17によって算出された釣銭金額分の釣銭を取り出す機能を有する。釣銭取り出し部18は、在宅訪問診療におけるそれぞれの訪問先の患者の釣銭がそれぞれ取り出されることが好ましい。
【0032】
支払金取得部19は、訪問先で回収され、自動釣銭部14から回収された支払金額を取得する機能を有する。支払金取得部19は、その日の在宅訪問診療における全ての訪問先の患者の支払金をまとめて取得することが好ましい。
【0033】
判定部20は、支払金取得部19によって取得した支払金額と予測支払金額とが一致するか否かを判定する機能を有する。判定部20は、その日の在宅訪問診療における全ての訪問先の患者の支払金額と、その日の在宅訪問診療における訪問先の患者の予測支払金額の合計額とが一致するか否かを判定することが好ましい。
【0034】
図4を用いて、在宅訪問診療における釣銭の取り出し及び支払金の回収の流れについて説明する。
【0035】
図4に示すように、ステップS11において、在宅訪問診療の前にて、表示部13にその日に訪問する患者の個人情報がテーブルとして表示され、予測支払金額設定部15によってそれぞれの患者の予測支払金額が設定される。上述したように、予測支払金額を一律で10000円で設定してもよいし、患者毎にそれぞれ予測支払金額を設定してもよい。
【0036】
ステップS12において、在宅訪問診療の前にて、自己負担金額算出部16によって在宅訪問診療における医療費のうちの患者の自己負担金額を算出する。
【0037】
ステップS13において、在宅訪問診療の前にて、釣銭金額算出部17によってステップS11にて設定された予測支払金額に対し、ステップS12にて算出された自己負担金額の釣銭金額を算出する。
【0038】
ステップS14において、在宅訪問診療の前にて、ステップS13にて算出された釣銭金額分の釣銭を自動釣銭部14から取り出す。その日の在宅訪問診療において複数の患者を訪問する場合には、ステップS11からステップS14までを患者数分だけ繰り返す。
【0039】
そして、医療従事者は、在宅訪問診療の前において、ステップS14において取り出された釣銭をそれぞれ訪問先の患者毎に小分けにして在宅訪問診療に向かう。医療従事者は、各訪問先では、支払金を回収し、予め用意した釣銭を支払う。
【0040】
このとき、予測支払金に対し支払金が小さい場合には、釣銭も小さくなるので、予測支払金と支払金とが同じとなる。例えば、3500円の自己負担金額に対し、予測支払金を10000円としたものの、支払金が5000円だった場合には、用意した6500円の釣銭のうち1500円だけ支払い、残りの釣銭5000円と支払金5000円との合計で支払金は10000円となる。
【0041】
ステップS15において、在宅訪問診療の後にて、その日にそれぞれの訪問先の患者から回収した全ての支払金が自動釣銭部14に投入され、支払金取得部19によって自動釣銭部14に投入された全ての支払金額が取得される。
【0042】
ステップS16において、在宅訪問診療の後にて、判定部20によってステップS15にて取得した全ての支払金額と、その日の訪問先の患者の予測支払金額の合計額とが一致するか否かを判定する。
【0043】
このとき、全ての支払金額と、予測支払金額の合計額とが一致すれば、その日の在宅訪問診療の集金は正常に行われたことを意味する。全ての支払金額と、予測支払金額の合計額とが一致しなければ、その日の在宅訪問診療の訪問先の何れかにおいて支払金の回収又は釣銭の支払いのミスがあったことを意味する。
【0044】
POSレジスタ10によれば、在宅訪問診療において予め釣銭を用意して医療費のうちの自己負担金を回収するにあたって、予め取り出される釣銭及び回収された支払金を管理することができる。より詳細には、在宅訪問診療日毎に、予測支払金と支払金とを管理し、予測支払金と支払金とが一致するかどうかを判定し、その日の在宅訪問診療の訪問先の何れかにおいて支払金の回収又は釣銭の支払いのミスがあったことを直ちに把握し、在宅訪問診療の前後において収支金額が合わない等のトラブルを低減することができる。
【0045】
なお、本発明は上述した実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
10 POSレジスタ、11 読取部、12 制御部、13 表示部、14 自動釣銭部、15 予測支払金額設定部、16 自己負担金額算出部、17 釣銭金額算出部、18 釣銭取り出し部、19 支払金取得部、20 判定部
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関に配置され、前記医療機関を受診する患者の医療費を管理するPOSレジスタであって、
登録された前記患者の在宅訪問診療の前に、予測される前記在宅訪問診療の際の支払いの金額である予測支払金額が設定され、前記予測支払金額に対する、前記在宅訪問診療における前記医療費のうちの前記患者の自己負担金額の釣銭の金額を算出し、前記釣銭が取り出され、
前記在宅訪問診療の後に、前記在宅訪問診療において支払われた支払金が投入され、投入された支払金の金額と前記予測支払金額とが一致するか否かを判定し、
複数の前記在宅訪問診療の後に、前記在宅訪問診療において支払われたそれぞれの支払金が全て投入され、投入された支払金の金額と全ての予測支払金の合計金額とが一致するか否かを判定する、
POSレジスタ。