(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022082927
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】ピックアップ機構
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20220527BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
B25J15/06 D
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194104
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】591137787
【氏名又は名称】株式会社ヒューブレイン
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】特許業務法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 喜彦
【テーマコード(参考)】
3C707
5E353
【Fターム(参考)】
3C707AS08
3C707DS01
3C707FS03
3C707FT04
3C707KT01
3C707KT05
3C707LT11
3C707NS17
5E353EE53
5E353JJ02
5E353JJ14
5E353JJ21
5E353JJ28
5E353JJ29
5E353JJ48
5E353JJ56
5E353KK01
5E353QQ11
5E353QQ15
(57)【要約】
【課題】ワークが極小化、極薄化すれば、ピックアップと搬送先での載置が一層困難となる点を改善する。
【解決手段】ピックアップ機構1は、負圧チャンバーの一端面と他端面に亘って貫通して設けられ、先端の開口部にポーラスパッド3A(ポーラス性材料からなるパッド)を設けたシリンダ部4と、このシリンダ部3の吸引孔3aの開閉を行う開閉部4と、シリンダ部3の後端に介装された弾性体5と、シリンダ部3を先端方向へ押圧する押圧機構6と、開閉部4を作動させるモータ4D(開閉作動機構)を備えた。
【効果】ポーラスパッド3Aによりワークが将来的にさらに極小化、極薄化してもシリンダ部3内に吸引されることがない。また、シリンダ部3が、ワークを迎えに行くように移動し、かつ、ワークを移載場所に置きに行くように移動するから、ワークを落下させることなく姿勢を崩さずに確実に適正な移載ができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極小かつ極薄のワークをピックアップする機構であって、内部中空で負圧装置と接続された負圧チャンバーと、この負圧チャンバーの一端面と他端面に亘って貫通して設けられ、その一部に吸引孔が形成されると共にワークに臨む先端の開口部にポーラス性材料からなるパッドを設けたシリンダ部と、このシリンダ部内に挿入され、前記吸引孔の開閉を行う開閉部と、前記シリンダ部の後端に介装された弾性体と、前記シリンダ部を先端方向へ押圧する押圧機構と、前記開閉部を作動させる開閉作動機構と、を備えたピックアップ機構。
【請求項2】
前記シリンダ部に大気開放孔が形成され、前記開閉作動機構による前記開閉部の動作により前記吸引孔と連動して開閉される請求項1記載のピックアップ機構。
【請求項3】
搬送元にあるワークを撮像する撮像手段と、前記撮像手段によるワークの載置状態に基づいて前記シリンダ部を回動させる回動機構を備えた請求項1又は2記載のピップアップ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極めて小さく薄い物体を確実かつ安定してピックアップして他へ移載するピックアップ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品などの極小物体(以下、ワークという)を移載・搬送する機構として、従来例えば特許文献1(特表2002-505624号公報)が提案されている。
【0003】
特許文献1では、ワークの大きさにかかわらず使用可能なノズルを提供することを目的として、吸気によるワークを吸着把持するノズルの開口部に、動作時に異なる大きさの部品を吸引し、かつ保持するための通気性を有するカバーを設けた構成を提案している。
【0004】
近年では、ワークは、大きさは100μm(0.1mm)より小さく、厚みも50μm(0.05mm)と薄くなっており、ワークが極めて小さくかつ薄くなる傾向はさらに続くことが予想される。
【0005】
このワークの極小化傾向に照らすと、特許文献1は、ワークの大きさによらず、吸着把持が可能であるが、吸気により吸着し、搬送した先で、吸着を停止した場合は落下することになるが、ワークが薄く軽いので、舞い落ちて目的とする位置に落下しない可能性があり、また、吸気を止めただけではワークの大きさによっては内部の残留負圧によってカバーに貼り付いたまま落下しない可能性もある。
【0006】
そこで、ワークの落下させることに代えて機構全体を上下動させる、つまりワーク搬送先で機構を下降させて載置する構成にしようとすると、機構全体を極めて小さいストロークで上下動させる必要があり、このストローク設定が適切ではないと、例えば搬送先の載置面に対して過剰にワークを押し付けてしまう可能性があり、逆に例えば搬送先の載置面に対して上方位置で下降が停止するとワークを落下させることとなり、機構全体を上下度させる意味がない。
【0007】
また、ノズルのカバーに貼り付く問題を解決しようとしてノズル内を積極的に排気すると極小のワークは吹き飛んでしまう場合がある。つまり、特許文献1では、ワークが極小化、極薄化すれば、ワークのピックアップと搬送先での載置が一層困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題は、上記特許文献1を含めた従来のものは、ワークが極小化、極薄化すれば、ピックアップと搬送先での載置が一層困難となる点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、内部中空で負圧装置と接続された負圧チャンバーと、この負圧チャンバーの一端面と他端面に亘って貫通して設けられ、その一部に吸引孔が形成されると共にワークに臨む先端の開口部にポーラス性材料からなるパッドを設けたシリンダ部と、このシリンダ部内に挿入され、前記吸引孔の開閉を行う開閉部と、前記シリンダ部の後端に介装された弾性体と、前記シリンダ部を先端方向へ押圧する押圧機構と、前記開閉部を作動させる開閉作動機構と、を備えた構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シリンダ部の先端の開口部にポーラス性材料からなるパッドを設けているから将来的にさらに極小で極薄のワークとなってもシリンダ部内にワークが吸引されることがなく、また、シリンダ部が、搬送元のワークを迎えに行くように移動し、かつ、搬送先のワークを移載場所に置きに行くように移動するから、ワークを落下させることなくかつ姿勢を崩すことなく確実で安定した移載ができる。
【0012】
そして、本発明によれば、ワークを迎えに行くようにシリンダ部が移動し、かつ、ワークを移載場所に置きに行くようにシリンダ部が移動する際、シリンダ部の後端に弾性体が介装されているので、搬送先の載置面にワークが接触するようにストローク調整しておけば、該弾性体が例えば過剰にワークを搬送先の載置面に押し付けるような状況にあってもこれを緩衝・吸収することができ、結果、ワークを搬送先の載置面上方から落下させたり、その逆でワークを搬送先の載置面に過剰に押し付けて破損させたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のピックアップ機構の概略構成を示す部分断面図である。
【
図2】本発明のピックアップ機構の概略構成を示す分解斜視図である。
【
図3】(a)~(d)は本発明のピックアップ機構によるワークをピックアップする動作状況を説明するための図である。
【
図4】(a)~(c)は本発明のピックアップ機構によるワークを搬送先に載置する動作状況を説明するための図である。
【
図5】(a)(b)は、本発明のピックアップ機構における開閉部の動作状況を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ワークが極小化、極薄化すれば、ピックアップと搬送先での載置が一層困難となる点を、内部中空で負圧装置と接続された負圧チャンバーと、この負圧チャンバーの一端面と他端面に亘って貫通して設けられ、その一部に吸引孔が形成されると共にワークに臨む先端の開口部にポーラス性材料からなるパッドを設けたシリンダ部と、このシリンダ部内に挿入され、前記吸引孔の開閉を行う開閉部と、前記シリンダ部の後端に介装された弾性体と、前記シリンダ部を先端方向へ押圧する押圧機構と、前記開閉部を作動させる開閉作動機構と、を備えた構成とすることで改善した。
【0015】
ワークをピックアップする際には、内部が負圧状態とされた負圧チャンバーと、開閉作動機構によって開閉部が開状態としたシリンダ部の吸引孔とが連通しており、シリンダ部内もまた負圧状態とされ、該シリンダ部の先端の開口部から吸気状態となっている。
【0016】
上記状態から、シリンダ部は、押圧機構により押圧されて負圧チャンバーに対してその先端が突出する。シリンダ部の先端が負圧チャンバーに対して突出すると、弾性体は該シリンダ部の後端により押圧されて自然状態から圧縮される。
【0017】
そして、シリンダ部の先端を負圧チャンバーに対して突出させ、シリンダ部の先端におけるポーラス性材料からなるパッドを搬送元の載置面に近づける。なお、このとき該パッドがワーク及びワークを介して搬送元の載置面に接触しても構わない。この理由は、シリンダ部の先端が過度に搬送元の載置面に接触しても、接触圧力が弾性体で緩衝されるからである。
【0018】
ワークはシリンダ部の内径より小さくてもポーラス性材料からなるパッドが設けられているから、シリンダ部の内部へ吸引されてしまうことなく、該パッドに吸引されてワークがピックアップされる。
【0019】
シリンダ部の先端のポーラス性材料からなるパッドがワークを介して搬送先の載置面に接触させて該ワークを載置する。このとき、ワーク載置時の過剰な接触圧力は弾性体により緩衝されるから、ワークが損傷を防止することができる。
【0020】
ワークを搬送先の載置面に載置するには、上記のとおりシリンダ部の先端を搬送先の載置面に接触させ、その後、開閉作動機構により開閉部が吸引孔を閉状態とする。これによりシリンダ部の吸引孔を介した負圧チャンバーからの吸気が遮断され、該シリンダ部の負圧が解除され、ポーラス性材料からなるパッドからワークが離間する(剥がれる)。
【0021】
また、本発明は、上記構成において、前記シリンダ部に大気開放孔が形成され、前記開閉作動機構による前記開閉部の動作により前記吸引孔と連動して開閉される構成であってもよい。こうすることで、例えばシリンダ部の先端のポーラス性材料からなるパッドを介した開口部の全域を塞ぐ大きさのワークであっても負圧解除が確実に行える。
【0022】
さらに、本発明は、上記構成において、搬送元にあるワークを撮像する撮像手段と、前記撮像手段によるワークの載置状態に基づいて前記シリンダ部を回動させる回動機構を備えた構成であってもよい。こうすることで、搬送元にあるワークの姿勢を搬送先に至るまでに適正な姿勢にすることができる。
【実施例0023】
以下、本発明のピックアップ機構について図面を参照して説明する。本発明のピップアップ機構1は、次の構成とされている。2は、内部中空で不図示の負圧装置と接続された負圧チャンバーである。負圧チャンバー2には、内部と負圧装置とを接続した接続管2aと、本例では、後述するシリンダ部3の大気流入孔3bと接続して負圧チャンバー外に連通した外部接続管2bとが設けられている。また、負圧チャンバー2の一端面と他端面には孔2A(一端面),2B(他端面)が形成され、ここにそれぞれシール部材2Aa,2Baが設けられている。
【0024】
3は、負圧チャンバー2の一端面と他端面に亘って孔2Aa,2Baを貫通して設けられたシリンダ部である。このシリンダ部3の周面の直径対向位置に負圧チャンバー2と連通した吸引孔3aと、大気流入孔3bが形成されている。大気流入孔3bと負圧チャンバー2の外部接続管2bは接続されている。
【0025】
また、シリンダ部3におけるワークWに臨む先端の開口部3cには、ポーラス性材料からなるポーラスパッド3Aが設けられている。さらに、シリンダ部3における後端には後述の弾性体5の抜け止めのためのフランジ部3Bが設けられている。
【0026】
シリンダ部3は、負圧チャンバー2の一端面の孔2A、他端面の孔2Bを貫通して先端と後端が相対して出退動する。つまり、シリンダ部3は、先端が負圧チャンバー2から突出した際には後端が負圧チャンバー2に退入し、先端が負圧チャンバー2に退入した際には後端が負圧チャンバー2から突出する。なお、シリンダ部3の先端と後端は負圧チャンバー2内に完全に没入することはない。
【0027】
4は、シリンダ部3内に挿入されて該シリンダ部3と共に移動する開閉部である。開閉部4は、本例では、シリンダ部3に挿入可能な円柱状の回転体4Aと、この回転体4Aの周面に設けた腕部4aを介してシリンダ部3の吸引孔3aと大気流入孔3bに対応して設けたシャッタ4B(吸引孔3a用)、シャッタ4C(大気流入孔3b用)と、シリンダ3の後端内面の中心に設けられて回転体4Aを軸回転させる開閉作動機構としてのモータ4Dとからなる。
【0028】
5は、シリンダ部3の後端に設けられたフランジ部3Bと、負圧チャンバー2の他端面と、の間で該シリンダ部3の後端に介装された弾性体である。弾性体5は、本例では、例えば自然長で伸長状態のスプリングを採用している。
【0029】
6は、前記シリンダ部を先端方向へ押圧する押圧機構である。押圧機構6は、シリンダ部3のフランジ部3Bにおける該フランジ部3Bの後端方向の面に押圧台6aが設けられている。押圧台6aの中心にはシリンダ装置6Aが設けられている。
【0030】
シリンダ装置6Aにおけるピストンが突出して押圧台6aを押圧すると、フランジ部3Bを介してシリンダ部3の先端が負圧チャンバー2の一端面から突出する。なお、シリンダ装置6Aのピストンを退入させると、弾性体5の弾性復元力によりシリンダ部3の先端が負圧チャンバー2の一端面に退入する。
【0031】
7は、搬送元にあるワークWを撮像する撮像手段としての例えばカメラであり、本例では、例えば負圧チャンバー2の一端面で、シリンダ部3の突出、退入ストロークの邪魔にならない位置に設けられている。また、上記シリンダ部3のフランジ部3Bのシリンダ装置6A側の面には、シリンダ部3の軸に沿って回転軸を有した回動機構としてのモータ7Aが設けられている。
【0032】
このカメラ7は、いま、ピップアップしようとするワークWを撮像し、不図示の制御部において撮像データの画像処理により、例えばθ°だけワークWが水平面で傾いている場合は、モータ7Aを駆動して、ワークWをピックアップした状態でシリンダ部3を-θ°だけ回転させる。
【0033】
なお、本発明のピックアップ機構1は、図示しないが、上記ピックアップ機構1構成全体をX-Y移動させる水平移動機構も備えており、搬送元からワークWをピックアップして搬送先へと移動させることができるようになっている。
【0034】
上記構成のピックアップ機構1は、
図3~
図5に示すように作動する。なお、
図3及び
図4において、吸引孔3a、大気流入孔3bの、開状態は「黒色ハッチング無」、閉状態は「黒色ハッチング有」で示している。
【0035】
図3(a)に示すように、上記水平移動機構により搬送元に到達するまでは、シリンダ部3の先端は負圧チャンバー2内に退入し、弾性体5は弾性復元状態つまり自然長となっている。また、開閉部4のモータ4Dにより回転体4Aを
図5(a)に示すように時計回りに回転させて、吸引孔3aのシャッタ4Bは開、大気流入孔3bのシャッタ4Cは閉、となっている。
【0036】
図3(b)に示すように、水平移動機構により搬送元に到達した際には、開閉部4により吸引孔3aのシャッタ4Bは閉、大気流入孔3bのシャッタ4Cは開、として、シリンダ部3を押圧機構6により押圧して該シリンダ部3の先端を負圧チャンバー2から突出させてワークWを迎えに行く。このとき、弾性体5は圧縮(短縮)状態となる。
【0037】
なお、本例では、シリンダ部3の先端を突出させる前に、カメラ7によりワークWを撮像しておき、当該ワークWのθ°の角度ずれを認識しておく。また、本例は、図示のとおり予めポケットにワークWが装填されている例で説明しているが、ワークWがポケットに装填されていない場合に、ワークWとポーラスパッド3Aが接触しても、弾性体5がこの押圧力を緩衝するから、ワークWが損傷することがない。
【0038】
図3(c)に示すように、シリンダ部3の先端を突出させてワークWを迎えに行った際に、開閉部4により吸引孔3aのシャッタ4Bは開、大気流入孔3bのシャッタ4Cは閉、として、シリンダ部3の先端から吸引が開始されてワークWはポーラスパッド3Aに吸着状態となる。
【0039】
このとき、本発明のピックアップ機構1は、ワークWは極小及び極薄で負圧チャンバー2による負圧能力(=吸引力)は高いが、上記のとおり、ワークWを迎えに行って十分な近さ(接触しても良い)で吸引を行うから、ワークWの吸引時の空中移動で姿勢が崩れることがなく、また、万が一にもこの吸引で損傷することがない。
【0040】
図3(d)に示すように、ワークWを吸引した後、開閉部4により吸引孔3aのシャッタ4Bは開、大気流入孔3bのシャッタ4Cは閉のまま、押圧機構6のシリンダ装置6Aはピストンを退入させ、これによりそれまで短縮状態にあった弾性体5が弾性復元により初期状態に復帰し、シリンダ部3は負圧チャンバー2内に退入する。
【0041】
なお、このとき、カメラ7で撮像したワークWにθ°の角度ずれがあった場合には、該カメラ7による撮像データに基づいて、モータ7Aを駆動して-θ°だけシリンダ部3を回動してワークWの位置補正を行う。こののち、水平移動機構により、ワークWを搬送先へ移動させる。
【0042】
図4(a)に示すように、搬送先に到着すると、開閉部4により吸引孔3aのシャッタ4Bは開、大気流入孔3bのシャッタ4Cは閉のまま、シリンダ装置6Aを作動させてシリンダ部3を負圧チャンバー2から突出させて、いま吸引中のワークWを搬送先の載置面に置きに行く。
【0043】
なお、本例は、図示のとおりポケットにワークWを装填する例で説明しているが、ワークWがポケットを装填しない場合に、ワークWと搬送先の載置面が接触しても、弾性体5がこの押圧力を緩衝するから、ワークWが損傷することがない。
【0044】
図4(b)に示すように、シリンダ部3を突出させた後、開閉部4のモータ4Dにより回転体4Aを
図5(b)に示すように反時計周りに回転させて、吸引孔3aのシャッタ4Bを閉、大気流入孔3bのシャッタ4Cを開、としてシリンダ部3内に大気を流入させて、負圧を解除すると、ワークWは搬送先の載置面に載置される。
【0045】
このとき、シリンダ部3内に若干の残留負圧のある状態で大気流入孔3bを開放することで、シリンダ部3内は一気に負圧が解除されるから、ポーラスパッド3AにワークWが貼り付いたままになってしまうことがない。
【0046】
図4(c)に示すように、ワークWを搬送先の載置位置に載置した後、開閉部4により吸引孔3aのシャッタ4Bは閉、大気流入孔3bのシャッタ4Cは開、としたまま、押圧機構6のシリンダ装置6Aにおけるピストンを退入させ、弾性体5を弾性復元により自然長状態に戻し、シリンダ部3の先端を負圧チャンバー2に退入させる。その後、
図3(a)に戻り、搬送元で次のワークWをピックアップする。
【0047】
このように、本発明のピックアップ機構1は、シリンダ部3の先端の開口部にポーラスパッド3Aを設けているから極小で極薄のワークWとなっても該シリンダ部3内にワークWが吸引されることがないのはもちろんのこと、シリンダ部3が、ワークWを搬送元の載置位置に十分に近づいて吸引、かつ、ワークWを搬送先の載置位置に十分に近づいて吸引解除、するから、ワークWが空中移動(吸引、落下)させることがなく、つまり姿勢を崩さずに確実に適正で安定した移載が可能となる。
【0048】
また、本発明のピックアップ機構1によれば、シリンダ部3の後端に弾性体5が介装されているので、例えば過剰にワークWを載置面に押し付けるような状況にあってもこれを緩衝・吸収することができ、結果、ワークWを搬送先の載置面上方から落下させたり、その逆でワークWを搬送先の載置面に過剰に押し付けて破損させたりすることがない。