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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083014
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】寝具乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/00 20200101AFI20220527BHJP
   D06F 58/10 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
D06F58/00 Z
D06F58/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194236
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正宏
【テーマコード(参考)】
3B168
【Fターム(参考)】
3B168AC14
3B168AC21
3B168AC30
3B168AD02
3B168AD06
3B168AE01
3B168BA55
(57)【要約】
【課題】温風の風量を確保することによって寝具の乾燥効率の向上を図れる寝具乾燥装置を提供する。
【解決手段】寝具乾燥装置1は、装置本体2と台車3とを含む。装置本体2は、乾燥室2Bと、乾燥室2Bに温風を供給する供給部11とを有する。台車3は、乾燥室2Bに対して引き出し可能に収納される。台車3は、セット部22とスペーサ部材42とを含む。セット部22には、供給部11から供給される温風の通り道となる内部空間22Bと、内部空間22Bに連通した通気穴22Aを有し、寝具Pが山折り状態で載せられる表面部22Cとが設けられる。スペーサ部材42は、山折り状態で表面部22Cに載せられる寝具Pと表面部22Cとの間に隙間Qを形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室と、前記乾燥室に温風を供給する供給部と、を有する装置本体と、
前記乾燥室に対して引き出し可能に収納される台車と、を含み、
前記台車は、
前記供給部から供給される温風の通り道となる中空部分と、前記中空部分に連通した通気穴を有し、寝具が山折り状態で載せられる表面部と、が設けられたセット部と、
山折り状態で前記表面部に載せられる寝具と前記表面部との間に隙間を形成するスペーサ部材と、を有する、寝具乾燥装置。
【請求項2】
前記スペーサ部材は、前記表面部に沿って上下に延び、
複数の前記スペーサ部材が、水平方向に並んで配置される、請求項1に記載の寝具乾燥装置。
【請求項3】
前記スペーサ部材は、前記表面部に一体化される、請求項1又は2に記載の寝具乾燥装置。
【請求項4】
前記スペーサ部材は、前記セット部に対して着脱可能である、請求項1又は2に記載の寝具乾燥装置。
【請求項5】
前記スペーサ部材は、前記表面部に対する相対位置が調整可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の寝具乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、布団などの寝具を乾燥させる寝具乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の寝具類乾燥機は、内部に乾燥室が形成された筐体と、乾燥室に対して引き出し可能に収納されて寝具が載置される載置部材とを含む。筐体の上部には、ヒータとファンとが設けられる。載置部材は、複数の透孔を有する逆U字状である。寝具類乾燥機の乾燥運転がスタートすると、ヒータ及びファンが作動する。これにより、外気が、ヒータの後方の外気吸込口から取り入れられた後に、加熱されて温風となり、乾燥室に流入する。温風は、乾燥室内で載置部材に載置された寝具と載置部材の透孔とを順に通過して載置部材の内部空間に流入した後に、乾燥室の側壁下部の吸引口から排気ダクトに至り、機外に排出される。温風が寝具を通過することによって、寝具の乾燥が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-157795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の寝具類乾燥機では、厚みや湿気があることによって風通し、つまり通気性の悪い寝具を乾燥させる場合には、透孔を塞いだ寝具が大きな抵抗となることによって、乾燥室に流入された温風が寝具を通過して透孔から載置部材の内部空間に流入することが妨げられるおそれがある。このように温風の風量が低下すると、寝具の乾燥効率の向上が困難になる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとにおいてなされたものであり、温風の風量を確保することによって寝具の乾燥効率の向上を図れる寝具乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乾燥室と、前記乾燥室に温風を供給する供給部と、を有する装置本体と、前記乾燥室に対して引き出し可能に収納される台車と、を含む寝具乾燥装置であって、前記台車が、前記供給部から供給される温風の通り道となる中空部分と、前記中空部分に連通した通気穴を有し、寝具が山折り状態で載せられる表面部と、が設けられたセット部と、山折り状態で前記表面部に載せられる寝具と前記表面部との間に隙間を形成するスペーサ部材と、を有する、寝具乾燥装置である。
【0007】
また、本発明は、前記スペーサ部材が、前記表面部に沿って上下に延び、複数の前記スペーサ部材が、水平方向に並んで配置されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記スペーサ部材が、前記表面部に一体化されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記スペーサ部材が、前記セット部に対して着脱可能であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記スペーサ部材が、前記表面部に対する相対位置が調整可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、寝具乾燥装置では、山折り状態の寝具がセット部の表面部に載せられた台車が装置本体の乾燥室に収納された状態で、供給部が温風を供給すると、温風は、セット部の表面部の通気穴を介して乾燥室とセット部の中空部分とを流れ、その際に寝具を通過する。これにより、寝具を乾燥させることができる。台車に設けられたスペーサ部材が、セット部の表面部に載せられた寝具と当該表面部との間に隙間を形成する。そのため、セット部の表面部に載せられた寝具の風通しが悪くても、温風は、当該隙間と最寄りの通気穴とを通って乾燥室とセット部の中空部分とを円滑に流れる。そのため、寝具乾燥装置では、温風の風量を確保することによって寝具の乾燥効率の向上を図れる。
【0012】
また、本発明によれば、セット部の表面部に沿って上下に延びる複数のスペーサ部材が水平方向に並んで配置されるので、セット部の表面部に載せられた寝具と当該表面部との間に複数の隙間を形成することができる。そのため、セット部の表面部に載せられた寝具の風通しが悪くても、温風は、これらの隙間のいずれかと最寄りの通気穴とを通って乾燥室とセット部の中空部分とを円滑に流れる。そのため、寝具乾燥装置では、温風の風量を確保することによって寝具の乾燥効率の向上を図れる。
【0013】
また、本発明によれば、スペーサ部材は、セット部の表面部に一体化されてもよいし、セット部に対して着脱可能であってもよい。
【0014】
また、本発明によれば、スペーサ部材は、セット部の表面部に対する相対位置が調整可能であるので、セット部の表面部に載せられた寝具と当該表面部との間の隙間の大きさを調整することができる。そのため、セット部の表面部に載せられた寝具の風通しに応じて当該隙間の大きさを調整すれば、温風は、当該隙間と最寄りの通気穴とを通って乾燥室とセット部の中空部分とを円滑に流れる。そのため、寝具乾燥装置では、温風の風量を確保することによって寝具の乾燥効率の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施形態に係る寝具乾燥装置の模式的な縦断面右側面図である。
図2】寝具乾燥装置の模式的な縦断面正面図である。
図3】台車が引き出された状態にある寝具乾燥装置の斜視図である。
図4】台車の収納が完了した状態にある寝具乾燥装置の斜視図である。
図5】寝具乾燥装置に含まれる台車の斜視図である。
図6】寝具がセットされた状態にある台車の斜視図である。
図7】寝具がセットされた状態にある台車の正面図である。
図8図7のA-A矢視断面が図示された要部の斜視図である。
図9】変形例に係る台車の模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る寝具乾燥装置1の模式的な縦断面右側面図である。図1において紙面に直交する方向を寝具乾燥装置1の左右方向Xといい、図1における左右方向を寝具乾燥装置1の前後方向Yといい、図1における上下方向を寝具乾燥装置1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、図1の紙面の奥側を左側X1といい、図1の紙面の手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、左側を前側Y1といい、右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。左右方向X及び前後方向Yは、横方向の一例である。横方向は、水平方向又は水平方向に対して若干傾斜する略水平方向である。上下方向Zは、縦方向である。縦方向は、垂直方向又は垂直方向に対して若干傾斜する略垂直方向である。
【0017】
本実施形態の寝具乾燥装置1は、業務用であり、コインランドリなどに設置される。寝具乾燥装置1は、その筐体をなす装置本体2と、装置本体2内に配置されて布団やマットレスなどの寝具Pが載せられる台車3とを含む。装置本体2は、左右方向Xに扁平で縦長のボックス状である。装置本体2は、左右一対の側壁4と、底壁5と、天壁6と、後壁7と、前壁8と、扉9とを有する。左右一対の側壁4は、それぞれが縦に延びる板であって、平行に配置される。底壁5は、水平に延びる板であって、一対の側壁4の下端間に架設される。天壁6は、水平に延びる中空体であって、一対の側壁4の上端間に架設される。後壁7は、縦に延びる中空体であって、一対の側壁4の後端間に架設され、底壁5及び天壁6の後端間にも架設される。前壁8は、左右方向Xに長手で縦に延びる中空体であって、一対の側壁4の上端部の前端間に架設され、天壁6の前端に接続される。
【0018】
装置本体2の正面部である前面部には、一対の側壁4の前端と底壁5の前端と前壁8によって縁取られた縦長の出入口2Aが形成される。扉9は、出入口2Aとほぼ同じ大きさを有する縦長の板であり、ヒンジ20(図4参照)を介して、一方の側壁4、例えば右側X2の側壁4に連結される。扉9は、出入口2Aを閉じた閉位置(図1参照)と、出入口2Aを開いた開位置(図3参照)との間で、ヒンジ20を中心として回動可能である。閉位置にある扉9の前面部には、扉9の開閉のために使用者によって把持される取っ手10が設けられる。装置本体2の内部には、一対の側壁4と、底壁5と、天壁6と、後壁7と、前壁8と、閉位置の扉9とによって囲まれた乾燥室2Bが設けられる。乾燥室2Bは、装置本体2の体積の大部分を占めるボックス状の空間である。扉9が開位置にある状態では、乾燥室2Bが出入口2Aから前側Y1へ露出される。乾燥室2Bが機外から視認できるように、扉9の少なくとも一部がガラスなどによって透明又は半透明に構成されてもよい。
【0019】
装置本体2は、乾燥室2Bに温風を供給する供給部11を有する。供給部11に関連して、天壁6の後面部には、機外つまり装置本体2の外に臨む吸気口6Aが設けられ、天壁6の下面部には、乾燥室2Bに臨む入口6Bが設けられる。また、後壁7の前面部の下部には、乾燥室2Bに臨む出口7Aが設けられ、天壁6の上面部には、機外に臨む排気口6Cが設けられる。そして、供給部11は、天壁6内において吸気口6Aから前側Y1へ延びた後に下側Z2へ折れ曲がって入口6Bにつながった吸気路12と、後壁7内において出口7Aから上側Z1へ延びた後に天壁6内において前側Y1や上側Z1へ延びて排気口6Cにつながった排気路13とを含む。なお、図1では、排気路13の途中が吸気路12によって遮断されたように見えるが、実際には、排気路13は、途中で遮断されることなく、出口7Aから排気口6Cまで延びる。
【0020】
さらに、供給部11は、排気路13に配置されたファンなどの送風部14と、吸気路12に配置されたバーナなどの加熱部15とを含む。送風部14が作動すると、乾燥室2B、吸気路12及び排気路13が負圧状態になる。これにより、外気が、黒抜きの矢印で示すように、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれて入口6Bから乾燥室2Bに流入し、その後、出口7Aから排気路13に流出して排気口6Cから機外に排出される。送風部14が作動した状態で加熱部15が作動すると、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれた外気が加熱部15によって加熱されて温風になり、乾燥室2Bに供給された後に、排気路13を流れて排気口6Cから機外に排出される。
【0021】
台車3は、乾燥室2Bに収納される。台車3は、ベース部21と、ベース部21上に設けられて寝具Pが載せられるセット部22とを有する。ベース部21は、上下方向Zに扁平なボックス状であり、前後方向Yにおいて乾燥室2Bとほぼ同じ寸法を有する。ベース部21は、左右一対の側壁23と、一対の側壁23の前端間に架設された前壁24と、一対の側壁23の後端間に架設された後壁25とを有する。ベース部21は、一対の側壁23の下端間に架設されて前壁24及び後壁25の下端間にも架設された下壁26と、一対の側壁23の上端間に架設されて前壁24及び後壁25の上端間にも架設された上壁27とを有する。
【0022】
側壁23、前壁24及び後壁25のそれぞれは、縦に延びる矩形の板であり、下壁26及び上壁27のそれぞれは、水平に延びる矩形の板である。ベース部21は、一対の側壁23と、前壁24と、後壁25と、下壁26と、上壁27とによって囲まれた内部空間21Aを有する。後壁25には、内部空間21Aにつながった取出口25Aが設けられる。下壁39の下面部の四隅には、車輪28が設けられる。上壁27には、内部空間21Aにつながった取込口27Aが設けられる。
【0023】
寝具乾燥装置1の模式的な縦断面正面図である図2も参照して、セット部22は、ベース部21の上壁27から上側Z1へ突出した山型の全体形状を有する。セット部22は、前後方向Yにおいて、ベース部21より若干小さいものの、乾燥室2Bとほぼ同じ寸法を有する。セット部22は、寝具Pが実際に載せられる本体部29と、前後方向Yにおける本体部29の両側に配置された前後一対の端壁部30とを有する。本体部29は、正面視において上下が逆になった逆U字状又は逆V字状の断面を有する。前側Y1の端壁部30の前面部の上部には、取っ手33が設けられる(図3参照)。
【0024】
セット部22は、本体部29の外面部に設けられた多数の通気穴22Aを有する。通気穴22Aは、本体部29の全域に分布する。各端壁部30は、上側Z1へ突出した山型をなす板であり、前後一対の端壁部30は、本体部29の前端縁及び後端縁をそれぞれ縁取るように本体部29に固定される。セット部22は、ベース部21の上壁27と、本体部29と、前後一対の端壁部30とによって囲まれた山型の内部空間22Bを有する。各通気穴22Aと、上壁27の取込口27Aとは、内部空間22Bに連通した状態にある。
【0025】
通気穴22Aが設けられた本体部29の外面部は、セット部22の表面部22Cである。表面部22Cは、上側Z1へ膨出する半円弧状の頂上領域22CAと、頂上領域22CAの左下端から上壁27まで左下側へ延びる左領域22CBと、頂上領域22CAの右下端から上壁27まで右下側へ延びる右領域22CCとを有する。左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれは、本実施形態では平坦な傾斜面であるが、少なくとも一部が湾曲面であってもよい。通気穴22Aは、左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれの全域に分布する。
【0026】
このような台車3は、図3に示すように、扉9が開位置にある状態において、装置本体2の乾燥室2Bから前側Y1へ引き出し可能である。使用者は、台車3の引き出しや収納の際には、取っ手33を把持する。使用者は、二つ折りにした寝具Pを、引き出した台車3のセット部22にセットする。すると、寝具Pは、セット部22の本体部29に沿って山折りになった状態でセット部22の表面部22Cに載せられて、本体部29の通気穴22Aを塞ぐ。そして、使用者が台車3を装置本体2の出入口2Aから乾燥室2Bに押し込んで収納する。収納状態の台車3は、装置本体2の底壁5上に配置される。
【0027】
底壁5の上面部には、台車3における左右の車輪28をそれぞれ受け入れる左右一対のガイドレール31が設けられる(図2参照)。各車輪28がガイドレール31に受け入れられることによって、台車3は、乾燥室2B内で左右方向Xにおいて位置決めされる。図4に示すように、使用者が扉9を閉位置まで閉じると、ベース部21が装置本体2の後壁7と扉9との間で挟まれるので、乾燥室2B内の台車3が前後方向Yにおいて位置決めされる(図1参照)。
【0028】
寝具Pがセット部22に載せられた台車3では、前述したように寝具Pが本体部29の通気穴22Aを塞いだ状態にあり、ベース部21の後壁25の取出口25Aが装置本体2の後壁7の出口7Aにつながった状態にある(図1参照)。この状態で寝具乾燥装置1の乾燥運転が始まると、前述したように送風部14及び加熱部15が作動する。すると、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれて加熱部15によって加熱された外気である温風が、入口6Bから乾燥室2Bに流入して、乾燥室2B内で山折りになった寝具Pに浴びせられる。
【0029】
寝具Pに浴びせられた温風は、寝具Pを通過して本体部29の通気穴22Aに到達し、通気穴22Aからセット部22の内部空間22Bに流入する。そして、寝具Pを通過して内部空間22B内に流入した温風は、ベース部21の内部空間21Aに流れ落ち、取出口25A及び出口7Aを通って排気路13に流出して排気口6Cから機外に排出される。このように、セット部22の内部空間22Bは、供給部11から供給されて寝具Pを通過する温風の通り道となる中空部分である。そして、温風は、セット部22の表面部22Cの通気穴22Aを介して乾燥室2Bとセット部22の内部空間22Bとを流れ、その際に寝具Pを通過する。そして、所定時間にわたって温風が寝具Pに浴びせられることによって寝具Pが乾燥すると、乾燥運転が終了する。
【0030】
図5に示すように、台車3には、押付部材41と、スペーサ部材42とが設けられる。押付部材41は、台車3のベース部21の上壁27におけるセット部22の左右両側に1つずつ設けられる。各押付部材41は、例えばM字状に折り曲げられたパイプによって構成され、具体的には、前後一対の縦部41Aと、これらの縦部41Aの上端間に架設された架設部41Bとを有する。各縦部41Aの下端部は、ベース部21の内部空間21Aに配置され、ベース部21によって支持される。前後方向Yにおける架設部41Bの途中部は、下側Z2へ窪むようにU字状に湾曲する。
【0031】
各押付部材41は、各縦部41Aの下端部を中心として左右方向Xに回動可能である。ベース部21の上壁27には、各押付部材41における前後の縦部41Aが1つずつ挿通される挿通穴27Bが合計で4つ形成される。各挿通穴27Bは、左右方向Xに長手であるので、押付部材41の回動に応じた縦部41Aの左右方向Xの移動を許容する。各押付部材41は、ベース部21内に設けられたばねなどの付勢部材(図示せず)によってセット部22に接近するように常に付勢されてもよい。
【0032】
スペーサ部材42は、セット部22の表面部22Cにおける左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれに同数設けられる。本実施形態では、複数、一例として5つのスペーサ部材42が、左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれにおいて通気穴22Aを避けた部分に一体化される。左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれにおいて、複数のスペーサ部材42は、前後方向Yに等間隔で並んで櫛歯状に配置される。各スペーサ部材42は、上下方向Zに細長いリブ状の突起物であって、表面部22Cに沿って上下に延びる。各スペーサ部材42において、表面部22Cから最も離れた部分は、上下方向Zに細長い天面部42Aである。表面部22Cから天面部42Aまでの最短距離が、スペーサ部材42の高さ寸法Hである。天面部42Aの上下方向Zの寸法は、スペーサ部材42全体の上下方向Zの寸法と同じ又は若干小さい。各スペーサ部材42では、上端部、下端部及び天面部42Aの周囲のコーナー部分が、尖らないように丸められるとよい。
【0033】
右領域22CCにおいて、前端のスペーサ部材42は、右領域22CCの前端部に配置され、後端のスペーサ部材42は、右領域22CCの後端部に配置され、各スペーサ部材42の上端は、上下方向Zにおける右領域22CCの中央部に配置され、各スペーサ部材42の下端は、右領域22CCの下端部に配置される。前端のスペーサ部材42は、右領域22CCの前端から少し後側Y2へ離れて配置されてもよく、後端のスペーサ部材42は、右領域22CCの後端から少し前側Y1へ離れて配置されてもよい。左領域22CBにおけるスペーサ部材42のレイアウトも同様である。つまり、左領域22CBのスペーサ部材42と、右領域22CCのスペーサ部材42とは、左右対称に配置される。このように、複数のスペーサ部材42は、左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれの下半分において均等に分散して配置される。
【0034】
台車3を装置本体2の乾燥室2Bから引き出した使用者は、図5に示すように、左右の押付部材41を掴んで互いに離れるように、つまり開脚するように回動させてから、寝具Pを山折り状態でセット部22に載せる。使用者が左右の押付部材41から手を離すと、これらの押付部材41は、前述した付勢部材の付勢力によって互いに接近するように回動して、図6及び図7に示すように、各押付部材41における少なくとも架設部41Bが、この寝具Pをセット部22に左右方向Xの外側からセット部22の表面部22C側へ押し付ける。これにより、反発力が強い寝具Pであっても、山折り状態でセット部22にセットすることができる。なお、台車3は、一対の押付部材41をまとめて回動させるために使用者によって操作されるレバーなどの操作部(図示せず)を有してもよい。
【0035】
図7のA-A矢視断面を含む図8に示すように、セット部22の表面部22Cにおける左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれにおいて、山折り状態で表面部22Cに載せられた寝具Pと表面部22Cとの間に各スペーサ部材42が配置される。これにより、各スペーサ部材42の周囲、特に、前後方向Yにおける各スペーサ部材42の両側における寝具Pと表面部22Cとの間には、隙間Qが形成される。隙間Qは、表面部22Cにおける最寄りの通気穴22Aに連通するので、この通気穴22Aは、寝具Pによって塞がれない。また、隙間Qは、乾燥室2Bにも連通する。
【0036】
そのため、セット部22の表面部22Cに載せられた寝具Pの風通しが悪くても、温風は、隙間Qと最寄りの通気穴22Aとを通って乾燥室2Bとセット部22の内部空間22Bとを円滑に流れる。そのため、寝具乾燥装置1では、温風の風量を確保することによって寝具Pの乾燥効率の向上を図れる。
【0037】
特に、セット部22の表面部22Cに沿って上下に延びる複数のスペーサ部材42が水平方向に並んで配置されるので、セット部22の表面部22Cに載せられた寝具Pと当該表面部22Cとの間に複数の隙間Qを形成することができる。そのため、セット部22の表面部22Cに載せられた寝具Pの風通しが悪くても、温風は、これらの隙間Qのいずれかと最寄りの通気穴22Aとを通って乾燥室2Bとセット部22の内部空間22Bとを円滑に流れる。そのため、寝具乾燥装置1では、温風の風量を確保することによって寝具Pの乾燥効率の向上を図れる。
【0038】
寝具乾燥装置1には、吸気口6Aから排気口6Cまで流れる温風の風量を検出するセンサ43と、マイコンなどによって構成されて乾燥運転を実行する制御部44とが設けられる(図1参照)。風量が所定の閾値まで低下したことをセンサ43が検出すると、加熱部15のバーナが正常燃焼できなくなるので、制御部44が、ブザーや表示部(図示せず)により風量低下エラーを報知し、必要に応じて乾燥運転を中断する。しかし、前述したように、寝具乾燥装置1では、スペーサ部材42によって温風の風量が確保されるので、風量低下エラーの発生頻度を低減できる。
【0039】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、スペーサ部材42の形状は、前述した縦長のリブでなく、半球状などの突起であってもよい。また、スペーサ部材42は、台車3のセット部22に一体化されるのでなく、セット部22に対して着脱可能に構成されてもよい。その場合には、サイズ違いのスペーサ部材42を複数準備して付け替えることによって、隙間Qの大きさを調整することができる。
【0041】
図9は、変形例に係る台車3の模式的な正面図である。各スペーサ部材42は、セット部22の表面部22Cに対する相対位置が調整可能であってもよい。そのための一例として、各スペーサ部材42の下端部は、前後方向Yに延びる回動軸45と、回動軸45を支持するブラケット46とを介して表面部22Cに固定され、各スペーサ部材42は、回動軸45まわりに左右に回動可能である。表面部22Cの左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれにおいて、複数のスペーサ部材42が一括回動してもよいし、各スペーサ部材42が個別に回動してもよい。また、レバーやダイヤルなどの操作部が設けられて、使用者は、操作部を操作することによって、スペーサ部材42の回動角度θを段階的にまたは無段階で調整できてもよい。さらに、スペーサ部材42は、回動するのでなく、スライドできてもよいし、回動しつつスライドできてもよい。
【0042】
このようにセット部22の表面部22Cに対するスペーサ部材42の相対位置が調整可能であれば、スペーサ部材42の高さ寸法Hを調整することにより、セット部22の表面部22Cに載せられた寝具Pと表面部22Cとの間の隙間Qの大きさを調整することができる。そのため、セット部22の表面部22Cに載せられた寝具Pの風通しに応じて隙間Qの大きさを調整すれば、温風は、隙間Qと最寄りの通気穴22Aとを通って乾燥室2Bとセット部22の内部空間22Bとを円滑に流れる。そのため、寝具乾燥装置1では、温風の風量を確保することによって寝具Pの乾燥効率の向上を図れる。
【0043】
スペーサ部材42は、寝具Pを局部的にセット部22の表面部22Cから浮かせて隙間Qを形成する役割を有する。一方で、押付部材41は、スペーサ部材42が形成する隙間Qを狭めない程度に、寝具P全体をセット部22に押え付ける役割を有するが、押付部材41は、必須ではなく、省略されてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、吸気路12から取り込まれた外気が乾燥室2Bで寝具P及び通気穴22Aを通過して台車3のセット部22の内部空間22Bに流入して排気路13から機外に排出される(図1参照)。これに代え、吸気路12と排気路13とで機能が逆になって、外気が排気路13から取り込まれて内部空間22Bに到達した後に通気穴22A及び寝具Pを順に通過して乾燥室2Bに流出し、吸気路12から機外に排出されてもよい。また、温風は、寝具乾燥装置1内で循環してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 寝具乾燥装置
2 装置本体
2B 乾燥室
3 台車
11 供給部
22 セット部
22A 通気穴
22B 内部空間
22C 表面部
42 スペーサ部材
P 寝具
Q 隙間
Y 前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9