(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083025
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】搬送システム及び貨物搬送方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220527BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
G05D1/02 P
B65G1/137 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194249
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】溝口 英次
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭悟
(72)【発明者】
【氏名】宮下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 いずみ
(72)【発明者】
【氏名】水谷 友哉
【テーマコード(参考)】
3F522
5H301
【Fターム(参考)】
3F522BB01
3F522BB35
3F522CC07
3F522DD03
3F522DD29
3F522DD37
3F522EE15
3F522GG05
3F522GG09
3F522GG32
3F522GG34
3F522JJ02
3F522LL14
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK04
5H301KK08
(57)【要約】
【課題】搬送車の荷役作業を無人運転化する。
【解決手段】本発明の貨物搬送方法は、搬送車と、地図情報と、地図情報に含まれる貨物位置を示す貨物配置図と、搬送車に設けられ、地図情報に含まれる第1エリア、第2エリアでそれぞれ現在地を取得する第1位置検出手段と第2位置検出手段と、を有する貨物搬送方法であって、搬送車の現在地が第1エリアであるか、または第2エリアであるかを判定するエリア判定ステップと、エリア判定ステップの判定結果に基づいて、第1位置検出手段と第2位置検出手段とを切り替える切替ステップと、搬送対象の貨物が所定の場所へ搬送された場合、または、所定の場所に到着した場合に、貨物配置図を更新する貨物位置更新ステップと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物を搬送する搬送車と、
前記搬送車による貨物の搬送を制御する制御装置と、
前記搬送車が走行可能な第1エリアまたは第2エリアを含む地図情報と、
前記地図情報に含まれる貨物置き場に配置された貨物位置を示す貨物配置図と、
前記搬送車に設けられ、前記地図情報に含まれる第1エリアで現在地を取得する第1位置検出手段と、
前記地図情報に含まれる第2エリアで現在地を取得する第2位置検出手段と、
を有する搬送システムであって、
前記制御装置は、
前記地図情報に基づいて、前記搬送車の現在地が前記第1エリアであるか、または前記第2エリアであるかを判定するエリア判定手段と、
前記エリア判定ステップの判定結果に基づいて、前記第1位置検出手段と、前記第2位置検出手段と、を切り替える切替手段と、
前記搬送車による前記貨物の移送に応じて、前記貨物配置図を更新する貨物位置更新手段と、
を有する搬送システム。
【請求項2】
前記搬送車が航空機、車両または船舶のうちいずれかの移動体内で前記貨物の移送を行う場合、前記搬送システムは、前記搬送車が前記移動体へ進入したと判断すると、前記移動体内の内部地図情報を基に前記搬送車による前記貨物の移送を管理することを特徴とする、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記貨物は、載置台を有するキャリアに載置され、前記キャリアごと前記貨物を前記搬送車が搬送することを特徴とする、請求項1または2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記貨物配置図は、前記貨物を配置可能な配置エリアと、前記搬送車が走行可能な走行エリアと、前記配置エリアに貨物が配置されているか否かを記録する配置エリア記録テーブルとを有することを特徴とする、請求項1から3に記載の搬送システム。
【請求項5】
貨物を搬送する搬送車と、
前記搬送車が走行可能な第1エリアまたは第2エリアを含む地図情報と、
前記地図情報に含まれる貨物置き場に配置された貨物位置を示す貨物配置図と、
前記搬送車に設けられ、前記地図情報に含まれる第1エリアで現在地を取得する第1位置検出手段と、
前記地図情報に含まれる第2エリアで現在地を取得する第2位置検出手段と、
を用いた貨物搬送方法であって、
前記地図情報に基づいて、前記搬送車の現在地が前記第1エリアであるか、または前記第2エリアであるかを判定するエリア判定ステップと、
前記エリア判定ステップの判定結果に基づいて、前記第1位置検出手段と、前記第2位置検出手段と、を切り替える切替ステップと、
前記搬送車による前記貨物の移送に応じて、前記貨物配置図を更新する貨物位置更新ステップと、
を有する、貨物の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車を用いて貨物を自動搬送する無人搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶や工場内、配送センター等で大型貨物を搬送するために、特許文献1に示すような無人搬送車が用いられている。
【0003】
このような無人搬送車を導入することにより、配送センター等の人員を削減し、コストダウンを図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような搬送車を自動化するためには、搬送車と搬送対象の貨物の位置管理を行い、搬送車が指定のルート上から逸脱していないか、または、貨物が指定した地点まで搬送されたかを確認、追跡しなければならない。
【0006】
しかし、搬送車を倉庫などの屋内や、飛行機や船舶などの荷室内で利用する場合、屋外ではGPSなどの衛星測位方法で搬送車の現在地を把握可能だが、GPSが届かない屋内や飛行機内、船舶内では電波が届かないため、搬送車の現在地を把握することができない。走行路に誘導線を引いたり、トランスポンダ等を埋め込んだりすることも考えられるが、敷設工事にはコストがかかる。
また、貨物は搬送車によって搬送されるため、貨物置き場に載置される貨物の位置が頻繁に変化する。そのため、搬送車は貨物置き場の状況に合わせて走行する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る搬送システムは、貨物を搬送する搬送車と、前記搬送車による貨物の搬送を制御する制御装置 と、前記搬送車が走行可能な第1エリアまたは第2エリアを含む地図情報と、前記地図情報に含まれる貨物置き場に配置された貨物位置を示す貨物配置図と、前記搬送車に設けられ、前記地図情報に含まれる第1エリアで現在地を取得する第1位置検出手段と、前記地図情報に含まれる第2エリアで現在地を取得する第2位置検出手段と、を有する搬送システムであって、前記制御装置は、前記地図情報に基づいて、前記搬送車の現在地が前記第1エリアであるか、または前記第2エリアであるかを判定するエリア判定手段と、前記エリア判定手段の判定結果に基づいて、前記第1位置検出手段と、前記第2位置検出手段と、を切り替える切替手段 と、前記搬送車による前記貨物の移送に応じて、前記貨物配置図を更新する貨物位置更新手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る貨物搬送方法は、貨物を搬送する搬送車と、前記搬送車が走行可能な第1エリアまたは第2エリアを含む地図情報と、前記地図情報に含まれる貨物置き場に配置された貨物位置を示す貨物配置図と、前記搬送車に設けられ、前記地図情報に含まれる第1エリアで現在地を取得する第1位置検出手段と、前記地図情報に含まれる第2エリアで現在地を取得する第2位置検出手段と、を用いた貨物搬送方法であって、前記地図情報に基づいて、前記搬送車の現在地が前記第1エリアであるか、または前記第2エリアであるかを判定するエリア判定ステップと、前記エリア判定ステップの判定結果に基づいて、前記第1位置検出手段と、前記第2位置検出手段と、を切り替える切替ステップと、前記搬送車による前記貨物の移送に応じて、前記貨物配置図を更新する貨物位置更新ステップと、を含む。
【0009】
これにより、本発明に係る搬送システム及び貨物搬送方法では、地図情報に基づいて、搬送車が有する第1位置検出手段と第2位置検出手段とを切り替えることで、場所に応じて適した位置検出手段を用いることが可能である。また、搬送車による貨物移送に応じて、貨物位置更新手段が地図上の貨物位置を更新するため、貨物置き場の状況に応じて搬送車の走行経路を効率よく決定することができる。
【0010】
また、本発明に係る搬送システムは、前記搬送車が航空機、車両または船舶のうちいずれかの移動体内で前記貨物の移送を行う場合、前記搬送システムは、前記搬送車が前記移動体へ進入したと判断すると、前記移動体内の内部地図情報を基に前記搬送車による前記貨物の移送を管理することを特徴とする。
【0011】
これにより、本発明に係る搬送システムでは、搬送車が移動体へ進入した場合、移動体の内部地図情報を基に搬送車を誘導するため、貨物の搬送が可能である。
【0012】
また、本発明に係る搬送システムは、前記貨物は、載置台を有するキャリアに載置され、前記キャリアごと前記貨物を前記搬送車が搬送することを特徴とする。
【0013】
これにより、複数の貨物をキャリアに載置しておくことが可能となり、1台の搬送車で複数の貨物を搬送できる。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、本発明によれば、搬送車による荷役作業を自動化した場合においても、搬送車の現在地をGPS等の電波が届かない場所でも把握することができる。また、貨物置き場の貨物の位置を搬送車の荷役作業に合わせて更新することができ、貨物の追跡が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の搬送システムの全体を示すブロック図である。
【
図6】配送センター内の地図情報に含まれる貨物配置図である。
【
図8】上位システムの処理手順を示したフローチャートである。
【
図9】搬送車が搬送対象の貨物位置まで自走し、貨物を荷台に載せるまでの処理手順を示したフローチャートである。
【
図10】搬送車が貨物を荷台に載せた状態で自走し、を搬送先で荷下ろしするまでの処理手順を示したフローチャートである。
【
図11】貨物配置図の別の実施例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の無人搬送システム100は、貨物を保管・管理する配送センター200、300の間で、船舶503を用いて貨物を運搬する場合のシステムブロック図である。なお、本実施形態では船舶503を用いるが、トラックやトレーラ等の車両や航空機、列車を用いてもよいし、複数種類の移動体を用いてもよい。
【0018】
配送センター200には、配送センター200内での搬送車1による荷役作業を管理する上位システム201が設けられる。上位システム201は、配送センター200内で荷役作業を行う複数の搬送車1が無線通信によって接続されており、必要に応じてデータ通信が可能になっている。また、上位システム201は、配送センター200、300の間を運行する船舶を管理している船舶管理システム401とも通信可能であり、必要に応じて船舶の運行スケジュールや運行状況、該当する船舶の船舶内地
図5031(トラックやトレーラ、列車等を用いる場合はコンテナ内地図、航空機の場合は荷室内地図)などの送受信を行う。配送センター300も配送センター200と同一の構成を有するが、以下では配送センター200の構成のみ、詳細に説明する。
【0019】
また、配送センター200の上位システム201は、
図5に示すような地図情報500を有する。地図情報500には、配送センター200内の建屋の配置(倉庫505など)や、後述する貨物やキャリアを載置する貨物置き場501、502の位置、後述する搬送車1が貨物10の搬出入を行う船舶503など、搬送車1が配送センター200内を自動走行する際に必要な情報が含まれている。
【0020】
さらに、地図情報500には、船舶503のように、搬送車1が走行可能であり、かつ建屋内である屋内エリア510と、搬送車1が走行可能であり、かつ建屋外である屋外エリア520とが、あらかじめ設定されている。
【0021】
さらに、地図情報500には、地図情報500に含まれる貨物置き場501の貨物配置
図5011が含まれている(
図6)。また、船舶503で搬送車1が荷役作業を行う場合は、船舶管理システム401が有する船舶内地
図5031を船舶管理システムから上位システム201または301へダウンロードし、船舶503の貨物配置図として用いる(
図7)。また、配送センター300の上位システム301も、同様に配送センター300内の地図情報を有する。
【0022】
搬送車1は、
図3に示すように、車体2と、荷台3とを有している。また、本実施形態の搬送車1は、地図情報500等に基づいて自動走行が可能である。
【0023】
車体2は、左右一対の前側車輪5a及び左右一対の後側車輪5b(
図2では、車体2の左方を前部、右方を後部としている)の4つの車輪5を有している。4つの車輪5は、それぞれ、車体2に対する向きが変化することにより、車体2の進行方向を変更可能に設けられる。
【0024】
車体2には、測位センサ6が設けられている。測位センサ6は、車体2の前端部において幅方向中央部に配置されている。なお、測位センサ6の取り付け場所は搬送車1の走行位置が認識できる場所であれば、搬送車1のどこに取り付けてもよい。測位センサ6としては、レーザ光を発射する投光器と、その反射光を受ける受光器と、投光器および受光器を水平に円弧を描くように回動させるモータとを備えた光学スキャナ(例えばLiDAR等)が使用されている。このほかにも、カメラやミリ波レーダなどを用いてもよいし、磁気センサを用いて、路面に敷設したトランスポンダやRFIDタグ、磁気テープ等を読み取ることで、自車位置を認識するようにしてもよい。また、搬送車1のステアリング角度、タイヤの舵角、加速度センサによる搬送車1の傾き等から、搬送車1の自車位置を算出するようにしてもよい。また、車体2はGPS受信機7を有している。さらに、搬送車1は、測位センサ6とGPS受信機7とを切り替える図示しない切替部を有している。
【0025】
さらに、搬送車1は
図4に示すキャリア10の下部に進入し、荷台3を所定の高さまで上昇させることで、キャリア10を持ち上げる。キャリア10は、底面11と、底面11の三方を囲うように配置された側壁13と、上面14によって荷室が形成され、底面11の下部には、四方の角に脚部12が形成されている。
図4では、キャリア10には貨物10Aが2つ積まれている。搬送車1は、キャリア10ごと貨物10Aを搬送する。また、搬送車1が搬送するキャリア10は、必ずしも貨物10Aを積載していなくてもよい。
【0026】
本実施形態の搬送システムによる貨物搬送手順について、
図5~10に基づいて説明する。なお、本実施形態では、配送センター200で搬送車1を用いて、貨物置き場501から船舶503へ貨物を搬送する場合を例とする。
図8は上位システム201、または301の処理手順を示したフローチャートである。また、
図9は搬送車1が搬送対象の貨物位置まで自走し、キャリア10ごと貨物を荷台3に載せるまでの処理手順を示したフローチャートであり、
図10は搬送車1がキャリア10を荷台3に載せた状態で自走し、搬送先で荷下ろしするまでの処理手順を示したフローチャートである。
【0027】
(ステップS1)
まず、上位システム201は、配送センター200の地図情報500と、搬送車1の測位センサ6またはGPS受信機7の信号を受信し、配送センター200で運行中の搬送車1の現在地を取得する。
【0028】
(ステップS2)
次に、上位システム201は、搬送対象のキャリア10(以下、対象キャリア)の周辺で、荷役作業中でない搬送車1、または、もうすぐ荷役作業が完了する搬送車1を検索する。このとき、最も早く対象キャリアの荷役作業に取り掛かることができる搬送車1を選択するとよい。また、本実施形態のように貨物置き場が複数ある場合は、対象キャリアがどの貨物置き場にあるかを確認してから、搬送車1を検索するとよい。本実施形態では、対象キャリアは貨物置き場501に配置されているため、上位システム201は、貨物置き場501周辺の搬送車1を選択する。
【0029】
(ステップS3)
次に、上位システム201は、選択した搬送車1の現在地を再度確認し、地図情報500と、対象キャリアがある貨物置き場501の位置と、選択した搬送車1の現在地とに基づいて、貨物置き場501までの走行ルートを作成する。なお、貨物置き場501の貨物配置
図5011(
図6)に配置されている対象キャリアの位置と、貨物置き場501の車両出入口の位置を比較し、対象キャリアから最も近い車両出入口へ搬送車1が到着するよう、走行ルートを作成するとよい。また、本実施形態の対象キャリアは、
図6中、Aの位置に配置されているため、上位システム201は、地図情報500と現時点での貨物配置
図5011の貨物位置を基に、選択した搬送車1の現在地から
図6のキャリアAまでの走行ルートを作成してもよい。
【0030】
(ステップS4)
次に、上位システム201は、選択した搬送車1へ、貨物置き場501までの走行ルートを送信する。走行ルートを受信した搬送車1は、
図9のフローチャートに沿って処理を開始する。
【0031】
図9に示すフローチャートのように、搬送車1は、上位システム201から走行ルートを受信すると(ステップS11)、自車の現在地を確認する(ステップS12)。このとき、切替部が自車の現在地と地図情報500とを比較し、現在地が屋外エリア520だった場合は、GPS受信機7をONにし(ステップS121)、屋内エリア510の場合は、測位センサ6をONにする(ステップS122)。また、船舶503内だった場合は、船舶管理システム400から船舶内地
図5031をダウンロードし、船舶内地
図5031に地図を切り替え(ステップS123)、測位センサ6をONにする(ステップS124)。自車の現在地が特定できたら、上位システム201から受信したルートに従って、対象キャリアが載置されている貨物置き場501へ自動走行を開始する。走行中は、現在地を任意のタイミングで確認し、自車が走行ルートから逸脱していないか、確認しながら走行する。本実施形態では、搬送車1の現在地は屋外エリア520(貨物置き場501周辺)であるため、GPS受信機7をONにし、現在地を取得する。
【0032】
また、搬送車1が上位システム201によって指定された走行ルートを走行中に、屋外エリアから屋内エリアに移動した場合、または、屋内エリアから屋外エリアに移動した場合は、測位センサ6及びGPS受信機7を適宜切り替える。
【0033】
図6は、貨物置き場501の貨物配置
図5011である。本実施形態では、対象キャリアAは貨物配置
図5011のAに位置する。搬送車1は、貨物置き場501に到達すると、上位システムから最新版の貨物配置
図5011を受信し、ルート参照に用いていた地図情報500を貨物配置
図5011に切り替えて、対象キャリア周辺まで自走する。
【0034】
搬送車1が対象キャリア周辺へ到達すると(ステップS13)、搬送車1の荷台3に対象貨物が載置される(ステップS14)。対象貨物の積み込みが完了すると、搬送車1は上位システム201へ、貨物配置
図5011の更新を要求する(ステップS15)。
【0035】
(ステップS5~S6)
上位システム201では、搬送車1から貨物配置
図5011の更新要求を受信すると、貨物配置
図5011のAにあった対象キャリアの位置を、搬出済み(空き状態)に更新する(ステップS6)。また、貨物配置
図5011が更新されると、その都度、貨物置き場501にいる搬送車1全ての貨物配置
図5011を更新する。このとき、他の搬送車1からも貨物配置
図5011の更新要求があった場合は、要求が早かったものから順に更新する。また、更新中、貨物配置
図5011はロックされ、他の搬送車1からは更新不可となる。
【0036】
(ステップS7)
次に、上位システム201は、搬送車1の現在地(貨物置き場501)と、地図情報500とに基づいて、搬送車1の現在地から搬送先の貨物置き場(本実施形態では船舶503)までの走行ルートを作成する。なお、ステップS2と同様に、貨物配置
図5011(
図6)の自車の位置と、搬送先である船舶503の船舶内地
図5031の車両出入口の位置と対象キャリアの積み降ろし場所を予め比較し、走行ルートを作成するとよい。
【0037】
(ステップ8)
次に、上位システム201は、選択した搬送車1へ、搬送先までの走行ルートを送信する。走行ルートを受信した搬送車1は、
図10のフローチャートに沿って処理を開始する。
【0038】
図10に示すフローチャートのように、搬送車1は、上位システム201から走行ルートを受信すると(ステップS21)、自車の現在地を確認する(ステップS22)。このとき、切替部が自車の現在地と地図情報500とを比較し、現在地が屋外エリア520だった場合は、GPS受信機7をONにし(ステップS221)、屋内エリア510の場合は、測位センサ6をONにし(ステップS222)、船舶503内だった場合は、船舶管理システム400から船舶内地
図5031をダウンロードし(ステップS223)、測位センサ6をONにする(ステップS224)。自車の現在地が特定できたら、上位システム201から受信したルートに従って、対象キャリアの移送先である船舶503へ自動走行を開始する。走行中は、現在地を任意のタイミングで確認し、自車が走行ルートから逸脱していないか、確認しながら走行する。本実施形態では、搬送車1の現在地は屋外エリア520(貨物置き場501)であるため、GPS受信機7をONにし、現在地を取得する。
【0039】
また、搬送車1が上位システム201によって指定された走行ルートを走行中に、屋外エリアから屋内エリアに移動した場合、または、屋内エリアから屋外エリアに移動した場合は、測位センサ6及びGPS受信機7を適宜切り替える。
【0040】
図7は、船舶内地
図5031である。本実施形態では、船舶内地
図5031のBの位置(積み降ろし地点)に対象キャリアを搬送する。搬送車1は、船舶503に到達すると、上位システムから最新版の船舶内地
図5031を受信し、ルート参照に用いていた地図情報500を船舶内地
図5031に切り替える。また、船舶503は屋内エリア510であるため、GPS受信機7を測位センサ6に切り替え(ステップS22、ステップS223、ステップS224)、積み降ろし地点まで自走する。
【0041】
搬送車1が荷下ろし地点到達すると(ステップS23)、荷台3を下降させて対象キャリアを積み降ろし、対象キャリアの下部から脱出した後、上位システムへ船舶内地
図5031の更新を要求する(ステップS24~S25)。
【0042】
(ステップS10 )
上位システム201では、搬送車1からの船舶内地
図5031の更新要求を受信すると、船舶内地
図5031を更新する。また、船舶内地
図5031が更新されると、その都度、船舶503にいる搬送車1全ての船舶内地
図5031を更新する。このとき、他の搬送車1からも船舶内地
図5031の更新要求があった場合は、要求が早かったものから順に更新する。また、更新中、船舶内地
図5031はロックされ、他の搬送車1からは更新不可となる。
【0043】
船舶内地
図5031は、船舶503が配送センター200から出港する際、上位システム201から船舶管理システム401へ送信される。配送センター200から配送センター300へ船舶503が到着し、搬送車1を用いた荷役作業が開始されると、上位システム301は船舶管理システム401から、配送センター200での貨物位置が記録された船舶内地
図5031をダウンロードし、搬送車1の走行ルート作成に用いる。
【0044】
本発明の搬送システム及び貨物搬送方法は、地図情報500に設定された屋外エリア520、屋内エリア510に合わせて、搬送車1の測位センサ6及びGPS受信機7を切り替えられるため、屋内でも搬送車1の現在地を取得することができる。
また、搬送車1がキャリア10の搬送を開始すると、搬送中のキャリア10は出発点の貨物配置図(本実施形態で例としたのは貨物置き場501)から削除され、キャリアが搬送先の貨物置き場(本実施形態で例としたのは船舶503)へ到着し、搬送車1のキャリア10の積み降ろしが完了すると、搬送先の貨物配置図(本実施形態で例としたのは船舶内地
図5031)に搬送されてきたキャリアが追加される。これにより、配送センター200、300、船舶530の貨物位置を随時更新することができる。さらに、貨物の追跡管理を行うことも可能となる。
【0045】
なお、具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0046】
例えば、上記実施形態では、上位システム201または301が搬送車1の走行ルートを作成しているが、走行ルートの作成は搬送車1が行ってもよい。
【0047】
例えば、上記実施形態では、船舶管理システム401が配送センター200、300間で運行している船舶の運行スケジュールや船舶内地図を管理していたが、上位システム201または301で管理してもよい。また、船舶内地
図5031は上位システム201、301間で送受信し、船舶503内の貨物位置を共有するようにしてもよい。さらに、船舶の運行スケジュールを上位システム201または301が管理または有している場合は、船舶の運行スケジュールに記載されている船舶の種類から船舶内地図を特定し、搬送車1の荷役作業に活用してもよい。
【0048】
例えば、上記実施形態では、地図情報500に貨物置き場501の貨物配置
図5011を含むようにしたが、それぞれの貨物配置図は個別に保存しておいてもよい。
さらに、
図11(a)・(b)の例のように、貨物配置
図5011または船舶内地
図5031は、貨物(またはキャリア10)の配置図上(
図11(b))では、貨物を載置可能なエリアに番号等を予め振っておき、テーブル(
図11(a))で各エリアの貨物の有無を管理してもよい。
【0049】
上記実施形態の構成に加えて、搬送車1の車種(車両の大きさなど)を考慮して走行ルートを作成してもよい。また、車種ごとに搬送できる貨物の重量や大きさなどが決まっているため、考慮して走行ルートを作成してもよい。この場合、搬送車1ごとの車種や搬送できる貨物の重量、大きさなどについてのテーブルを上位システム201または301で保存しておき、搬送車に荷役作業を行わせる際、テーブルを参照するとよい。
【0050】
上記実施形態の構成に加えて、地図情報500に搬送車1が測位センサ6とGPS受信機7を切り替えるための切り替えエリアを設定してもよい。この場合、搬送車1が走行ルートを走行中、切替エリアへ到達した際に測位センサ6とGPS受信機7とをそれぞれ切り替える。また、GPS受信機7の衛星からの電波受信状況によって、測位センサ6とGPS受信機7を切り替えてもよい。この場合、GPS受信機7が受信している電波が、所定の値よりも弱い場合は測位センサ6に切り替える。さらに、屋内でGPS信号が弱まる場合の信号のパターンを記録しておき、機械学習や深層学習等に学習させることで、GPS信号のパターンから屋内エリア・屋外エリアを判断するようにしてもよい。また、測位センサ6とGPS受信機7の検出結果を常に把握しておき、両方のセンサの検出結果に所定以上のずれが生じた場合、測位センサ6の検出結果のみで自動走行するようにしてもよい。
【0051】
上記実施形態の構成に加えて、上位システム201または301は、例えば、ある区間で渋滞が起こっている場合はその区間を迂回するルートを指定したり、荷台3やキャリア10からはみ出るような長尺な貨物を搬送中の搬送車1の周囲には、他の搬送車1が進入できない専用領域を設定したりするなど、特定の搬送車1の走行ルートを作成する際、周囲の他の搬送車1の状況を考慮してもよい。また、搬送車1が走行ルートを作成する場合も、上記と同様に対応してもよい。
【0052】
上記実施形態では、搬送車1に個別に走行ルートを割り振っているが、貨物の搬送スケジュールに合わせて、予め搬送車1の走行ルートをスケジューリングしておいてもよい。
【0053】
その他、搬送車1の燃料残量や、搬送車1が電動駆動の場合、バッテリー残量を考慮して、走行ルートを作成してもよい。また、搬送車1に重量センサを設けることで、搬送車1にキャリア10が確実に載置されたかどうか、搬送車1の耐荷重以上の負荷がかかっていないか、貨物(キャリア10)の重量から載置された貨物(キャリア10)が間違っていないか等、確認してもよい。また、貨物やキャリア10にICタグ等をつけておき、搬送車1で読み取ることで、搬送車1が搬送中の貨物またはキャリア10を特定してもよい。さらに、貨物をキャリア10に載置するクレーンやフォークリフト等の機器の動作と搬送車1の荷役作業とを紐づけて、走行ルートを作成してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、搬送車1は自動走行可能な無人車両としたが、人が操作可能な搬送車1を用いてもよいし、無人車両と人が操作する車両が混在するようにしてもよい。人が操作する車両を用いる場合、または、無人車両と有人車両が混在する場合は、キャリア10の移送に応じて、貨物配置
図5011、5031等を運転手や上位システム201、301の管理者などが手動で更新してもよいし、搬送車1の重量センサが貨物やヤリア10を検知した場合に、搬送車1の現在地から載置された貨物を推定し、貨物配置
図5011、5031等を上位システム201、301側で更新してもよい。また、搬送車1はフォークリフトやトラック、トレーラのような他の車両でもよい。さらに、貨物の載置を行っているクレーンの画像等と、上位システム201、301の貨物配置
図5011、5031等を定期的に比較することで、システム上の貨物位置と実際の貨物位置の整合性が取れているか、確認してもよい。さらに、船舶503へ貨物を搬送する場合は、船舶503の貨物配置
図5031の更新状況を監視しておき、貨物の重量や位置に合わせて船舶503のバラスト水を調節し、船体が傾かないように制御してもよい。この場合、人が貨物配置
図5031を監視してもよいが、上位システム201、301が船舶503を制御するコンピュータと接続され、自動でバラスト水の制御を行うようにするのが好ましい。
【符号の説明】
【0055】
1 搬送車
2 車体
3 荷台
5 車輪
200 配送センター
201 上位システム
300 配送センター
301 上位システム
401 船舶管理システム
500 地図情報
501 コンテナ置き場
503 船舶
510 第2エリア
520 第1エリア
5011 コンテナ配置図
5031 船舶内地図