(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083112
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20220527BHJP
E04F 19/02 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
E04F13/08 Y
E04F19/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194381
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤淳二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤郁恵
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA13
2E110AB04
2E110AB33
2E110BA12
2E110BC13
2E110CC02
2E110DC10
2E110GB02W
2E110GB42W
(57)【要約】 (修正有)
【課題】建築、構築物に用いる乾式壁材の長手方向の端部を付き合わせて出来る縦目地部の構造に関するものである。乾式壁材の連結部分からの雨水の浸入を防止した乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造を提供する。
【解決手段】敷目板Bの固定片上にシーリング材Sが連続で形成され、敷目板Bの嵌合部から乾式壁材Dの固定部17にかけてシーリング材Sが形成された乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の下端部に凹部と上端部に凸部を形成し、上端部の凸部裏面を上方に折り返して上端凹部と固定部を形成した乾式壁材の縦目地部を被覆する乾式壁材の雨仕舞い構造において、乾式壁材の雨仕舞い構造は敷目板と化粧キャップからなり、敷目板は長尺状板材であり、水平部と嵌合部とからなり、化粧キャップは垂直平面状の化粧面部と、化粧面部の裏面中央に長手方向に突出した係合部とからなり、敷目板の固定片上にシーリング材が連続で形成され、敷目板の嵌合部から乾式壁材の固定部にかけてシーリング材が形成されたことを特徴とする乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物に用いる乾式壁材の長手方向の端部を付き合わせて出来る縦目地部の構造に関するものである。さらに詳しくは、乾式壁材の連結部分からの雨水の浸入を防止した乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に金属板を表面材とし、合成樹脂発泡体を芯材とし、シート状物を裏面材としたサンドイッチ構造の乾式壁材、あるいは無機系の材料からなる乾式壁材を用いて横張り状に壁体を形成した場合には、乾式壁材の長手方向の突き合わせにより縦目地が形成され、縦目地は単に付き合わせたり、コーキング材を植設したり、H型のジョイナを使用したり、敷目板と化粧キャップの2部材の嵌合により縦目地を形成する方法がある。(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-240429号公報
【特許文献2】特開2012-154062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1は表面側にシーリング材を、引用文献2は裏面側にバックアップ材を連続状に形成したものであり、コストアップは免れなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような欠点を解決するために、幅方向の下端部に凹部と上端部に凸部を形成し、上端部の凸部裏面を上方に折り返して上端凹部と固定部を形成した乾式壁材の縦目地部を被覆する乾式壁材の雨仕舞い構造において、乾式壁材の雨仕舞い構造は敷目板と化粧キャップからなり、敷目板は長尺状板材であり、水平部と嵌合部とからなり、化粧キャップは垂直平面状の化粧面部と、化粧面部の裏面中央に長手方向に突出した係合部とからなり、敷目板の固定片上にシーリング材が連続で形成され、敷目板の嵌合部から乾式壁材の固定部にかけてシーリング材が形成された乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造によれば、(1)縦目地部における乾式壁材の連結部の防水性が向上する。(2)乾式壁材間の嵌合部への雨水の浸入を防止できる。(3)防水処理の施工性が向上する。(4)防水処理を確実に行える。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の施工状態の一実施例を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の施工状態の従来の状態の一実施例を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の従来の施工状態と実施例の施工状態を示す断面図である。
【
図4】本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に使用する敷目板と化粧キャップの一実施例を示す断面図である。
【
図5】本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に使用する乾式壁材の一実施例を示す断面図である。
【
図6】本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に使用する乾式壁材の施工状態の一実施例を示す断面図である。
【
図7】本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の施工順序の一実施例を示す断面図である。
【
図8】本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の施工順序の一実施例を示す断面図である。
【
図9】本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に使用する敷目板のその他の実施例を示す断面図である。
【
図10】本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に使用する化粧キャップのその他の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
以下に図面を用いて本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の代表的な実施例について詳細に説明する。
図1は本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造を示す施工状態斜視図である。
図2は本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の施工状態の従来の状態の一実施例を示す斜視図である。
図3(a)は本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の従来の施工状態を示す断面図、
図3(b)は本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の施工状態を示す断面図である。
図4は本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に使用する敷目板Bと化粧キャップCの一実施例を示す断面図である。
図5は本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に使用する乾式壁材Dの一実施例を示す断面図である。
図6は本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に使用する乾式壁材Dの施工状態の一実施例を示す断面図である。なお、Aは縦目地用ジョイナ、Bは敷目板、Cは化粧キャップ、Dは乾式壁材、Mは目地部、Tは縦目地部、Yは横目地部、αは壁下地、βは固定具である。
【0009】
図2および
図3(a)は従来の施工状態を示すものであり、詳細に説明すると従来は
図2に示すように、雨水が矢印aより縦目地部Tと横目地部Yよりなる目地部Mより、矢印b、矢印cの経路より屋内側へ浸入していた。なお、
図3(a)および
図6に示すように乾式壁材D間の隙間部Kより矢印b、矢印cの経路より屋内側へ雨水が浸入していた。
【0010】
縦目地用ジョイナAは、
図4(a)に示すような敷目板Bと、
図4(b)に示すような化粧キャップCとからなる。
【0011】
敷目板Bは
図1、3(b)に施工状態を示すように、断面を
図4(a)に示すようなものである。垂直平面状の固定片2と両端部を折り返した舌片3とからなる水平部1と、固定片の内端部を屋外側に突出したガイド片5とガイド片5内に形成された嵌合溝6と、嵌合溝6内に突出した嵌合爪6とから形成した嵌合部4とから長尺状に形成したものである。なお、乾式壁材Dを横張り状に形成しているので敷目板Bは壁下地αの縦胴縁α1上に形成されるものである。嵌合部4は後記する化粧キャップCの係合部9を係合する部分である。なお、α2は横胴縁である。
【0012】
化粧キャップCは
図1、3(b)に施工状態を示すように、断面を
図4(b)に示すようなものである。垂直平面状の化粧面部8と、化粧面部8の裏面中央付近を屋内側へ突出した2本の立ち上がり部10と立ち上がり部10の先端近傍を外方に突出させた係合片11とから形成した係合部9とから形成したものである。なお、係合片11は連続状でも、間隔(一定ピッチで)をあけて形成したものでもよい。また、化粧キャップCは長尺状でも、乾式壁材の働き幅に合わせた短尺状のどちらでもよい。
【0013】
さらに詳説すると、縦目地用ジョイナAは金属製薄板材、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、合成樹脂製板材、例えば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0014】
乾式壁材Dは
図5に断面を示すような金属系サイディング材、あるいは窯業系サイディング材、セラミック、等より成形したものである。
【0015】
本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に使用する乾式壁材Dの一例として、
図5に断面を示すような金属系サイディング材について詳細に説明する。金属系サイディング材よりなる乾式壁材Dは金属製表面材12と裏面材13間に芯材14を形成したサンドイッチパネルである。
【0016】
金属製表面材12は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をエンボスロール成形、あるいはプレス成形したものである。また、裏面材13としてはアルミニウム蒸着紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものでも良いものである。
【0017】
芯材3は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等、の合成樹脂発泡体からなるものであり、金属製表面材1、もしくは裏面材2の裏面側に吐出し、加熱して反応・発泡・硬化させて金属製表面材1と裏面材2を一体に形成するものである。また、芯材3中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、耐火性、防火性を向上させることも出来る。
【0018】
乾式壁材Dの全体形状の一例としては
図5に断面を示すように、金属製の薄板からなる金属製表面材12と裏面材13間に芯材3をサンドイッチし、幅方向の下端に形成した凹部15と、上端に形成した凸部16、凸部16の裏面を上方に折り返して形成した上端凹部16aと固定部17とから形成した長尺状のサンドイッチパネルである。
【0019】
なお、Pは防水性、防風性、気密性、断熱性強化のために形成したパッキング材である。
【0020】
乾式壁材D同士は、凸部16に凹部15が連結されることにより、
図6に示すように固定具βにより壁下地α上に固定されるものである。
【0021】
Sはシーリング材であり、
図1、
図3(b)、
図7(a)~(c)、
図8(a)~(c)に示すように、敷目板Bの両固定片2上に連続で形成して固定片2と乾式壁材D間にて密着し、敷目板Bの嵌合部4の両面から乾式壁材Dの固定部17にかけて30mm程度形成したものである。
【0022】
このようにシーリング材Sを目地部Mの両側に2カ所形成することにより、
図2に示すような矢印aから浸入した雨水の矢印b、矢印cに示す浸入経路を遮断でき、防水性の向上が図られる。また、縦目地部Tの全長に形成する必要が無く、施工性の向上、コストの低減が図られる。
【0023】
シーリング材Sはシリコーン系、変成シリコーン系、ポリウレタン系などよりなるコーキング材、あるいはエチレンプロピレンゴム(EPDM)などよりなるものである。
【0024】
そこで、本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の施工方法について、
図1、
図4(a),(b)、
図5、
図6、
図7(a)~(c)、
図8(a)~(c)を用いて説明する。
【0025】
まず、縦目地Tを形成する縦胴縁α1に
図4(a)に示す敷目板Bを縦に固定具βを介して施工する。敷目板Bの施工が完了したら、敷目板Bの両固定片2上にシーリング材Sを連続で形成する。その後、乾式壁材Dを土台から軒まで施工する際に、乾式壁材Dの小手部17を釘などの固定具βで固定した後に、シーリング材Sを敷目板Bの嵌合部4の両面から乾式壁材Dの固定部17にかけて30mm程度形成する。
【0026】
乾式壁材Dとシーリング材Sの施工を完了したら、
図8(c)に示すように化粧キャップCの係合片11を敷目板Bの嵌合溝6内の嵌合爪7に係合し、化粧キャップCを縦目地部Tに施工し、縦目地部Tの施工を完了するものである。
【0027】
以上説明したのは、本発明に係る乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造の一実施例に過ぎず、
図9(a)~(c)に示すような敷目板B、
図10(a)~(c)に示すような化粧キャップCにて形成することが出来る。
【0028】
特に、
図9(a)~(c)に示すような敷目板Bは止縁、出隅、入隅部分の乾式壁材の横継ぎ部雨仕舞い構造に使用するものである。