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特開2022-83126アクチュエータ及び車両ドア開閉用アクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083126
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】アクチュエータ及び車両ドア開閉用アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/622 20150101AFI20220527BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
E05F15/622
B60J5/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194398
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 貴史
(72)【発明者】
【氏名】先山 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】望月 雅守
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA08
2E052DB08
2E052EA01
2E052EA09
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA10
2E052KA15
(57)【要約】
【課題】軸短化できるアクチュエータ及び車両ドア開閉用アクチュエータを提供する。
【解決手段】モータ部のシャフトの回転を減速して出力する第2キャリア、及び第1嵌合部81iを有する減速部と、第2キャリアに連結されるスクリュー軸と、スクリュー軸を回転自在に支持する軸受と、軸受を保持し、第1嵌合部81iに嵌合される第2嵌合部39cを有する軸受ホルダ39と、軸方向での減速部と軸受ホルダ39との間に設けられるとともに、第1嵌合部81iと第2嵌合部39cとの間に介在される周壁92を有するダンパ部材90と、第1嵌合部81iの外周面81j及び周壁92に設けられ、第1嵌合部81iと周壁92との位置決めを行う第1凸部81h及び第1孔部92aと、第2嵌合部39cの内周面39d及び周壁92に設けられ、第2嵌合部39cと周壁92との位置決めを行う第2凸部39b及び第2孔部92bと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線周りに回転するシャフトを有するモータ部と、
前記シャフトに連結されるとともに前記回転軸線と同軸上に設けられ、前記シャフトの回転を減速して出力する出力部、及び第1嵌合部を有する減速部と、
前記出力部に連結されるとともに前記回転軸線と同軸上に設けられる駆動軸と、
前記減速部の前記モータ部とは反対側に設けられ前記駆動軸を回転自在に支持する軸受と、
前記軸受を保持し、前記第1嵌合部に嵌合される第2嵌合部を有する軸受ホルダと、
前記回転軸方向での前記減速部と前記軸受ホルダとの間に設けられるとともに、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間に介在される第3嵌合部を有するダンパ部材と、
前記第1嵌合部及び前記第3嵌合部における前記回転軸線と直交する径方向の側面に設けられ、前記第1嵌合部と前記第3嵌合部との位置決めを行う第1位置決め係合部と、
前記第2嵌合部及び前記第3嵌合部の前記径方向の側面に設けられ、前記第2嵌合部と前記第3嵌合部との位置決めを行う第2位置決め係合部と、
を備える
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記減速部は、
前記シャフトに連結される太陽歯車と、
前記太陽歯車の周囲を取り囲むように形成され、内周面に内歯を有する内歯歯車と、
前記太陽歯車及び前記内歯に噛み合わされ、前記太陽歯車の周囲を公転する遊星歯車と、
を備え、
前記出力部は、前記遊星歯車を回転自在に支持し、
前記第1嵌合部は、前記内歯歯車に設けられており、
前記第2嵌合部は、前記第1嵌合部の外周面に前記第3嵌合部を介して嵌合されている
ことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1位置決め係合部は、
前記第1嵌合部の前記外周面から前記径方向外側に向けて突出する第1凸部と、
前記第3嵌合部に形成され前記第1凸部と嵌め合わされる第1凹部又は第1孔部と、
からなり、
前記第2位置決め係合部は、
前記第2嵌合部の内周面から前記径方向内側に向けて突出する第2凸部と、
前記第3嵌合部に形成され前記第2凸部と嵌め合わされる第2凹部又は第2孔部と、
からなる
ことを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1位置決め係合部と前記第2位置決め係合部とは、周方向で互い違いに配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアクチュエータを、開口部に対して開閉可能に設けられたドアを開閉駆動するために用いた
ことを特徴とする車両ドア開閉用アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ及び車両ドア開閉用アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両ドア開閉装置として、車体側の開口部の周囲と、この開口部に開閉可能に設けられたテールゲートとの間に、軸方向に伸縮駆動することによってテールゲートを開閉動作させるアクチュエータを設ける構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のアクチュエータは、筒状の第1ハウジングと、第1ハウジングの一端側の内周面に嵌合され、第1ハウジングに出没可能に設けられた第2ハウジングと、を備える。また、アクチュエータは、第1ハウジングの他端側内に設けられたモータ部と、モータ部のシャフトの回転を減速して出力する遊星歯車減速部と、遊星歯車減速部の出力を受けて回転駆動する駆動軸(スクリュー軸)と、を備える。
【0004】
駆動軸は、第1ハウジング及び第2ハウジング内に、軸方向に沿って配置されている。駆動軸は、モータ部側の端部が軸受を介して回転自在に支持されている。軸受は、円環状の軸受ホルダに保持されている。軸受ホルダと遊星歯車減速部の内歯歯車との間には、ダンパ部材が設けられている。ダンパ部材によって、モータ部及び遊星歯車減速部の振動が第1ハウジングに伝達されることを防止している。
【0005】
ここで、軸受ホルダ、ダンパ部材、及び遊星歯車減速部の内歯歯車には、軸方向で対向する各面に突起や挿入孔が形成されている。このように構成することで、軸受ホルダ、ダンパ部材、及び遊星歯車減速部がそれぞれ相対回転してしまうことを防止している。
【0006】
また、駆動軸には、従動部(ナット部材)が螺合されている。従動部は、第2ハウジングの径方向内側に設けられたインナーチューブに固定されており、駆動軸に対して相対回転不能である。
このような構成のもと、駆動軸が回転すると、従動部が駆動軸の軸方向に沿ってスライド移動する。すると、従動部が固定されているインナーチューブ、及びインナーチューブと一体化されている第2ハウジングが、第1ハウジングに対して出没移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6462523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述の従来技術では、互いに相対回転してしまうことを防止するために、軸受ホルダ、ダンパ部材、及び遊星歯車減速部の内歯歯車には、軸方向で対向する各面に突起や挿入孔が形成されている。このように、各部の軸方向で対向する各面に突起や挿入孔を形成すスペース分だけ、アクチュエータの軸方向が長くなってしまうという課題があった。
車両ドア開閉装置としてアクチュエータを用いる場合、アクチュエータの配置スペースに制約がある。このため、アクチュエータの軸方向が長くなると、この分アクチュエータの伸縮ストロークが短くなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、軸短化できるアクチュエータ及び車両ドア開閉用アクチュエータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、回転軸線周りに回転するシャフトを有するモータ部と、前記シャフトに連結されるとともに前記回転軸線と同軸上に設けられ、前記シャフトの回転を減速して出力する出力部、及び第1嵌合部を有する減速部と、前記出力部に連結されるとともに前記回転軸線と同軸上に設けられる駆動軸と、前記減速部の前記モータ部とは反対側に設けられ前記駆動軸を回転自在に支持する軸受と、前記軸受を保持し、前記第1嵌合部に嵌合される第2嵌合部を有する軸受ホルダと、前記回転軸方向での前記減速部と前記軸受ホルダとの間に設けられるとともに、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間に介在される第3嵌合部を有するダンパ部材と、前記第1嵌合部及び前記第3嵌合部における前記回転軸線と直交する径方向の側面に設けられ、前記第1嵌合部と前記第3嵌合部との位置決めを行う第1位置決め係合部と、前記第2嵌合部及び前記第3嵌合部の前記径方向の側面に設けられ、前記第2嵌合部と前記第3嵌合部との位置決めを行う第2位置決め係合部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、減速部、軸受ホルダ、及びダンパ部材の相対回転を防止するための第1位置決め係合部及び第2位置決め係合部を、第1嵌合部、第2嵌合部、及び第3嵌合部の径方向の側面に設けることができる。このように、減速部、軸受ホルダ、及びダンパ部材の軸方向で対向する面に第1位置決め係合部及び第2位置決め係合部を設けることがないので、アクチュエータを軸短化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態における車両ドア開閉用アクチュエータを備えた自動車の例を示す斜視図。
図2】本発明の実施形態における車両ドア開閉用アクチュエータの斜視図。
図3】本発明の実施形態における車両ドア開閉用アクチュエータの軸方向に沿う断面図。
図4】本発明の実施形態における車両ドア開閉用アクチュエータの一方側の部分拡大断面図。
図5】本発明の実施形態における内歯歯車、軸受ホルダ、及びダンパ部材の分解斜視図。
図6図4のA-A線に沿う断面図。
図7】本発明の実施形態におけるナット部材の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<車両ドア開閉用アクチュエータ>
図1は、車両ドア開閉用アクチュエータ100(以下、単にアクチュエータ100という)を備えた自動車1の例を示す斜視図である。
図1に示すように、アクチュエータ100は、自動車1の例えばテールゲート2を開閉する。テールゲート2は、自動車1の車体後部に形成された開口部3の上部3aに、図示しないヒンジ機構を介して開口部3を開閉可能に設けられている。
【0015】
アクチュエータ100は、開口部3の左右両側又は片側に設けられている。そして、開口部3の外枠部3sに、図示しないボールスタッドを介してアクチュエータ100の一端100aが回動可能に連結されている。また、テールゲート2に、図示しないボールスタッドを介してアクチュエータ100の他端100bが回動可能に連結されている。
なお、以下では、アクチュエータ100の開口部3側を、一端側又は一方と称し、テールゲート2側を、他端側、又は他方と称して説明する場合がある。
【0016】
図2は、アクチュエータ100の斜視図である。図3は、アクチュエータ100の軸方向に沿う断面図である。
図2図3に示すように、アクチュエータ100は、円筒状の第1ハウジング6と、第1ハウジング6の他端6b(図2図3における右側端)の内周面に一端7a(図2図3における左側端)が嵌合固定されている円筒状の第2ハウジング7と、第2ハウジング7の他端7bの内周面に出没可能に嵌合されている円筒状の第3ハウジング8と、の3つのハウジング6~8を備えた棒状体である。第1ハウジング6内に、モータ部11や減速部27が収納されている。
【0017】
なお、以下の説明では、各ハウジング6~8の中心軸に沿う方向を単に軸方向と称し、各ハウジング6~8の径方向を単に径方向と称し、各ハウジング6~8の外周面に沿う方向を単に周方向と称して説明する。
【0018】
<第1ハウジング>
図4は、アクチュエータ100の一方側(図3の左側)の部分拡大断面図である。
図4に示すように、第1ハウジング6は、例えば鉄等の金属製材料により形成されている。この第1ハウジング6の一端6aに、開口部3の外枠部3s(図1参照)に設けられたボールスタッド(図示しない)に連結されるジョイント部9が設けられている。ジョイント部9は、第1ハウジング6の一端6aにおける内周面に嵌合された円板状のプレート部9aと、プレート部9aから第1ハウジング6の軸方向一方(外方)に突出するソケット部9bと、が一体成形されている。プレート部9aには、後述するハーネスカバー26が挿通される図示しない挿通孔が形成されている。
【0019】
また、第1ハウジング6の一端6aには、円筒状のエンドカバー10が装着されている。エンドカバー10は、第1ハウジング6の一端6aの外周面に嵌合固定されている。また、エンドカバー10は、ジョイント部9におけるプレート部9aの外周面に嵌合固定されている。これにより、第1ハウジング6の一端6aからジョイント部9が脱落してしまうことを防止できる。
【0020】
<モータ部>
第1ハウジング6内に収納されたモータ部11は、円筒状のヨーク12と、ヨーク12の内周面に固定されているマグネット5と、ヨーク12の径方向内側に回転自在に設けられたアーマチュア13と、アーマチュア13に給電を行うブラシホルダユニット16と、を備える。ヨーク12は、導電性を有する金属により形成されている。ヨーク12の外径は、第1ハウジング6の内径よりも若干小さく設定されている。
【0021】
ヨーク12の径方向内側に設けられたアーマチュア13は、ヨーク12内で回転可能となるように設けられたシャフト14と、シャフト14の外周面に嵌合固定され、磁性材からなるアーマチュアコア15と、アーマチュアコア15に巻回されているコイル20と、シャフト14の外周面にアーマチュアコア15と隣接して嵌合固定され、コイル20の端末部が接続されるコンミテータ17と、を備える。
【0022】
シャフト14は、ヨーク12の径方向中心で軸方向に沿って延びている。シャフト14は、一端がブラシホルダユニット16に挿通されてこのブラシホルダユニット16に回転自在に支持されている。シャフト14は、他端が後述の減速部27に連結されている。シャフト14の一端には、センサマグネット21が取り付けられている。センサマグネット21は、シャフト14の回転位置を検出するための回転位置検出装置23の一方を構成している。
【0023】
アーマチュア13に給電を行うブラシホルダユニット16は、ヨーク12の一端12aにカシメ固定されている樹脂製のブラシホルダ18と、ブラシホルダ18に保持されているブラシ19と、を備える。このブラシ19が、コンミテータ17に摺接されている。ブラシ19は、図示しないハーネスを介して外部電源(例えば、バッテリ)と電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力が、ブラシ19、コンミテータ17を介してコイル20に供給される。
【0024】
ブラシホルダ18には、センサ基板が設けられている。センサ基板は、回転位置検出装置23の他方を構成している。センサ基板には、シャフト14に設けられたセンサマグネット21の磁気変化を検出する図示しない磁気検出素子が実装されている。このため、回転位置検出装置23によって、シャフト14の回転位置を検出できる。
【0025】
ブラシホルダユニット16のジョイント部9側には、シール部24が装着されている。シール部24は、弾性を有したゴム系材料により形成されている。シール部24は、ブラシホルダユニット16をジョイント部9側から覆うように有底筒状に形成されたシール本体25を有している。すなわち、シール本体25は、ブラシホルダ18とジョイント部9のプレート部9aとにより挟持された底部25aと、底部25aの外周縁からジョイント部9とは反対側に延び、ブラシホルダユニット16と第1ハウジング6の内周面との間に介在される円筒状の周壁部25bと、により構成されている。
【0026】
シール本体25の底部25aには、ハーネスカバー26が軸方向一方(外方)に向かって突出形成されている。ハーネスカバー26は、パイプ状に形成されており、シール本体25の内外を連通している。このように構成されたハーネスカバー26内に、図示しない外部電源とブラシ19とを電気的に接続するための図示しないハーネスが挿通される。
【0027】
このような構成のもと、外部電源の電力が、図示しないハーネス、ブラシ19、及びコンミテータ17を介してコイル20に供給されると、アーマチュアコア15に磁界が形成される。そして、この磁界とヨーク12に固定されたマグネットとの間に生じる磁気的な吸引力や反発力によって、シャフト14がその中心軸回りに回転駆動する。また、シャフト14と一体となってセンサマグネット21が回転する。このセンサマグネット21が回転した際の磁気変化を回転位置検出装置23によって検出し、シャフト14の回転位置が検出される。
【0028】
<減速部>
図5は、内歯歯車81、軸受ホルダ39、及びダンパ部材90の分解斜視図である。
図4図5に示すように、シャフト14の他端(アーマチュアコア15を挟んでコンミテータ17とは反対側)に、減速部27が連結されている。
減速部27は、有底筒状の内歯歯車81と、内歯歯車81内に収納された第1太陽歯車82、第1段遊星歯車83、第1キャリア84、第2太陽歯車85、第2段遊星歯車86、及び第2キャリア(請求項における出力部の一例)87と、を備える。
【0029】
内歯歯車81は、底部81aをアーマチュアコア15側に向けてシャフト14と同軸上に設けられている。底部81aの外周面には、複数の底部側凸部81bが周方向に並んで突出形成されている。底部81aの外周面は、ヨーク12における他端12bの内周面に嵌合され、この他端12bに底部側凸部81bが係合される。これにより、ヨーク12に内歯歯車81が固定される。また、底部81aの径方向中央には、底部81aを厚さ方向に貫通する貫通孔81cが形成されている。この貫通孔81cのアーマチュアコア15側に軸受収納凹部81dが形成されている。軸受収納凹部81dには、シャフト14の他端を回転自在に支持する軸受37が設けられている。シャフト14の他端は、軸受37を介して内歯歯車81内に突出されている。
【0030】
内歯歯車81の周壁81eには、内周面に内歯81fが形成されている。周壁81eの開口部81g側端には、外周面(請求項における第1嵌合部の径方向の側面の一例)81jに複数(例えば、本実施形態では4個)の第1凸部81hが周方向に等間隔に並んで突出形成されている。第1凸部81hは、内歯歯車81と後述のダンパ部材90との位置決めを行うためのものである(詳細は後述する)。
【0031】
第1太陽歯車82は、シャフト14の他端に嵌め込まれている。第1太陽歯車82の外周部に、第1段遊星歯車83が例えば3個設けられている。
各第1段遊星歯車83は、第1太陽歯車82及び内歯歯車81の内歯81fに噛み合わされている。各第1段遊星歯車83は、第1キャリア84に回転自在に支持されている。
第1キャリア84は、各第1段遊星歯車83を挟んで内歯歯車81の底部81aとは反対側に配置されている。第1キャリア84は、円板状に形成されている。第1キャリア84に、第1段遊星歯車83を回転自在に支持する支持軸84aが立設されている。
【0032】
第1キャリア84の径方向中央に、第2太陽歯車85が組付けられている。第2太陽歯車85は、第1キャリア84を挟んで第1太陽歯車82とは反対側に突出され、かつ第1太陽歯車82と同軸上に配置されている。第2太陽歯車85の外周部に、第2段遊星歯車86が例えば3個設けられている。
各第2段遊星歯車86は、第2太陽歯車85及び内歯歯車81の内歯81fに噛み合わされている。このように、内歯歯車81は、軸方向に並んだ第1段遊星歯車83及び第2段遊星歯車86の両方の歯車83,86が噛み合わされる大きさに形成されている。
【0033】
各第2段遊星歯車86は、第2キャリア87に回転自在に支持されている。
第2キャリア87は、各第2段遊星歯車86を挟んで第1段遊星歯車83とは反対側に配置されている。第2キャリア87は、円板状に形成されている。第2キャリア87に、第2段遊星歯車86を回転自在に支持する支持軸87aが立設されている。
【0034】
第2キャリア87の径方向中央に、スクリュー軸(請求項における駆動軸の一例)38の一端38aが組付けられている。
スクリュー軸38は、シャフト14と同軸上に配置されており、シャフト14の中心軸回りに回転駆動する。スクリュー軸38は、いわゆる台形ネジであって、外周面にネジ条が形成されている。
【0035】
スクリュー軸38の一端38aは、軸受40を介して軸受ホルダ39に回転自在に支持されている。
軸受ホルダ39は、円環状に形成されている。軸受ホルダ39は、第1ハウジング6の減速部27よりも他端側(図4における右側)の内周面に嵌合され、かしめ固定されている。このような軸受ホルダ39の内周面に、軸受40が挿入、又は圧入されている。
【0036】
また、軸受ホルダ39の減速部27側の端面には、径方向中央の大部分に凹部39aが形成されている。この凹部39aの内周面(請求項における第2嵌合部の径方向の側面の一例)39dに、内歯歯車81の周壁81eにおける開口部81g側の外周面81jが嵌合されている。すなわち、内歯歯車81の周壁81eのうち、開口部81g側の端部は、軸受ホルダ39との第1嵌合部81iとして機能している。軸受ホルダ39の凹部39aは、内歯歯車81との第2嵌合部39cとして機能している。
凹部39aの内周面39dには、複数(例えば、本実施形態では4個)の第2凸部39bが周方向に等間隔に並んで突出形成されている。第2凸部39bは、軸受ホルダ39と後述のダンパ部材90との位置決めを行うためのものである(詳細は後述する)。
【0037】
内歯歯車81の第1嵌合部81iと軸受ホルダ39の第2嵌合部39cとが嵌合されることにより、第1ハウジング6の他端側と内歯歯車81との間に軸受ホルダ39が介在された状態になる。一方、第1ハウジング6の一端側は、ジョイント部9のプレート部9aが嵌合されている。このように、軸受ホルダ39とジョイント部9とにより、第1ハウジング6に対してモータ部11及び減速部27が直接接触されない、いわゆるフローティング支持される。
【0038】
図6は、図4のA-A線に沿う断面図である。
図4から図6に示すように、内歯歯車81の第1嵌合部81iと軸受ホルダ39の第2嵌合部39cとの間には、ダンパ部材90が設けられている。
ダンパ部材90は、軸受ホルダ39にモータ部11や減速部27の振動が伝達されたり、軸受ホルダ39を介して第1ハウジング6にモータ部11や減速部27の振動が伝達されたりしてしまうことを抑制する。ダンパ部材90は、弾性を有したゴム系材料に形成されている。
【0039】
ダンパ部材90は、内歯歯車81の第1嵌合部81iを軸方向の軸受ホルダ39側から覆うように有底筒状に形成されている。すなわち、ダンパ部材90の底部91は、内歯歯車81の軸方向で軸受ホルダ39側の端面と軸受ホルダ39の凹部39aにおける底面との間に介在されている。ダンパ部材93の周壁(請求項における第3嵌合部の径方向の側面の一例)92は、第1嵌合部81iの外周面と第2嵌合部39cの内周面との間に介在されている。ダンパ部材93の周壁92は、請求項における第3嵌合部の一例である。
【0040】
ダンパ部材90の底部91には、径方向中央の大部分に開口部91aが形成されている。開口部91aに、スクリュー軸38の一端38aが挿通されている。
ダンパ部材90の周壁92には、内歯歯車81の第1凸部81hに嵌め合わされる第1孔部92aと、軸受ホルダ39の第2凸部39bに嵌め合わされる第2孔部92bと、が周方向に互い違いに形成されている。第2孔部92bの周方向の側縁には、互いに対向する方向に向かって凸となる丸面取り92cが形成されている。また、第2孔部92bの底部91側の側縁にも同様に、丸面取り92cが形成されている。
【0041】
さらに、ダンパ部材90の周壁92には、底部91とは反対側の開口縁92eに、軸方向で第1孔部92aと対向するように複数(例えば、本実施形態では4個)の凹部92dが形成されている。凹部92dが形成されることにより、第1孔部92aから開口縁92eに至る間の幅(肉厚)は、第2孔部92bから開口縁92eに至る間の幅よりも狭い。
【0042】
<第2ハウジング>
図3図4に示すように、一端38aが軸受ホルダ39に回転自在に支持されるスクリュー軸38の周囲を覆うように、第2ハウジング7が設けられている。
第2ハウジング7は、樹脂材料等により形成されている。第2ハウジング7の外径は、第1ハウジング6の他端6bに嵌合されている一端7a側を除いて、第1ハウジング6の外径とほぼ同一に設定されている。第2ハウジング7の一端7a側は、段差により縮径形成されて縮径部7cとされている。この縮径部7cが、第1ハウジング6の他端6bに圧入されて固定されている。これにより、第1ハウジング6の外周面と第2ハウジング7の外周面とがほぼ面一の状態で、第1ハウジング6と第2ハウジング7とが一体化される。
【0043】
また、第2ハウジング7は、この第2ハウジング7の一端7a側を第1ハウジング6の他端6bに嵌合固定させた状態で、スクリュー軸38の他端(先端部)38bよりも第2ハウジング7の他端7bが若干突出するように形成されている。さらに、第2ハウジング7の縮径部7cの長さは、第1ハウジング6の他端6bに圧入した際、軸受ホルダ39に縮径部7cが当接されない長さに設定されている。
第2ハウジング7の一端7aには、径方向内側に曲折させてなる内フランジ46が形成されている。この内フランジ46には、後述するコイルスプリング47の一端が当接される。
【0044】
第2ハウジング7には、この第2ハウジング7の内周面に沿うように螺旋状に形成されたコイルスプリング47が設けられている。このコイルスプリング47の一端が、第2ハウジング7の内フランジ46に当接されている。また、コイルスプリング47の自由長は、第2ハウジング7の長さよりも十分長く設定されている。このため、第2ハウジング7の内フランジ46にコイルスプリング47の一端を当接させた状態で、コイルスプリング47の他端が、第2ハウジング7の他端7bから突出している。
【0045】
<第3ハウジング>
図3に示すように、第2ハウジング7の他端7bに出没可能に設けられた円筒状の第3ハウジング8は、その外径が第2ハウジング7の外径よりも若干小さく設定されている。そして、第2ハウジング7の他端7bに、第3ハウジング8のモータ部11側の一端8a側が挿入されている。これにより、第2ハウジング7の他端7bから、第3ハウジング8が出没可能になる。そして、第3ハウジング8にコイルスプリング47の他端側が収納される。
第3ハウジング8の他端8bには、径方向内側に曲折させてなる内フランジ53が形成されている。この内フランジ53には、内面側にコイルスプリング47の他端が当接されるとともに、外面側にジョイント部54が当接される。
【0046】
ジョイント部54は、テールゲート2(図1参照)に設けられたボールスタッド(図示しない)に連結される。ジョイント部54は、第3ハウジング8の内フランジ53に当接する円板状のプレート部54aと、プレート部54aから軸方向他方(外方)に突出するソケット部54bと、が一体成形されている。
【0047】
プレート部54aの外径は、第3ハウジング8の外径よりも若干小さい程度に設定されている。また、プレート部54aの径方向中央には、第3ハウジング8の内フランジ53を介して第3ハウジング8内に突出する円柱状の固定凸部55が一体成形されている。固定凸部55の軸方向中央には、全周に渡って係合溝55aが形成されている。このように構成された固定凸部55に、インナーチューブ56の他端56bが固定されている。
【0048】
<インナーチューブ>
第3ハウジング8は、この第3ハウジング8の径方向内側に配置された円筒状のインナーチューブ56を備える。インナーチューブ56は、例えばアルミに引き抜き加工を施して形成されている。インナーチューブ56の他端56bの外周面は、第3ハウジング8の内フランジ53の内周面に嵌合されている。インナーチューブ56と第3ハウジング8との間に形成された空間に、コイルスプリング47の他端側が収納される。
また、インナーチューブ56の他端56bの内周面に、ジョイント部54の固定凸部55の外周面が嵌合されている。インナーチューブ56の他端56bには、固定凸部55の係合溝55aに嵌る係合凸部71が全周に渡って形成されている。これにより、固定凸部55にインナーチューブ56の他端56bが固定される。
【0049】
インナーチューブ56の軸方向の長さは、第3ハウジング8の軸方向の長さよりもやや長く設定されている。このため、インナーチューブ56の一端56aは、第3ハウジング8の一端8aを介して第2ハウジング7内に臨まされている。
インナーチューブ56の一端56aには、径方向内側に曲折させてなる内フランジ72が形成されている。この内フランジ72の径方向内側に、スクリュー軸38が挿通されている。また、インナーチューブ56の内周面には、内フランジ72の内側(他方側)に、ナット部材58が固定されている。
【0050】
図7は、ナット部材58の拡大図である。
図3図7に示すように、ナット部材58は、インナーチューブ56の内フランジ72と、インナーチューブ56のナット部材58を挟んで内フランジ72とは反対側に形成された括れ部73とにより、インナーチューブ56に対する軸方向への移動が規制されている。これにより、インナーチューブ56に、ナット部材58が固定される。ナット部材58には、スクリュー軸38の他端38b側が螺合されている。
【0051】
ここで、ナット部材58は、インナーチューブ56に固定されており、さらに、インナーチューブ56は、ジョイント部54に固定されている。ジョイント部54は、テールゲート2(図1参照)に設けられたボールスタッド(図示しない)に連結される。このため、スクリュー軸38を回転させたとき、ナット部材58がスクリュー軸38と共回りすることがない。このため、スクリュー軸38を回転させると、ナット部材58がスクリュー軸38に沿って移動する。
【0052】
<ストッパ>
スクリュー軸38の他端38bには、座屈変形させた外フランジ部38cが形成されている。スクリュー軸38の他端38bにおいて、外フランジ部38cが形成されている手前は、台形ネジが形成されていない断面円形状の取付部38dとされている。この取付部38dに、ストッパ60が設けられている。ストッパ60は、スクリュー軸38からのナット部材58の抜けを防止する役割を有するとともに、スクリュー軸38が軸方向に対して傾くのを防止する役割を有している。
【0053】
ストッパ60とナット部材58との間に、インナーチューブ56の括れ部73が配置された形になる。
ストッパ60は、スクリュー軸38の外周面に嵌合されている円環状で、弾性変形可能なゴム製の規制部材61と、規制部材61の軸方向両側に配置され、スクリュー軸38に取り付けられている2つの止め輪62a,62bと、を備える。2つの止め輪62a,62bに、規制部材61が挟持されている。
【0054】
<車両ドア開閉用アクチュエータの動作>
次に、アクチュエータ100の動作について説明する。
操作者の操作によって、図示しない外部電源の電力がモータ部11に供給され、モータ部11のシャフト14を回転駆動させると、第1太陽歯車82がシャフト14と一体に回転される。第1太陽歯車82の回転は、第1段遊星歯車83に伝達される。各第1段遊星歯車83は、第1太陽歯車82のギア歯52gと、外周側の内歯歯車81のギア歯51gとに噛み合いながら、第1太陽歯車82の外周部を公転すると同時に、第1キャリア84に組み付けられた支持軸を中心に自転する、いわゆる遊星運動する。
これら複数の第1段遊星歯車83の遊星運動により、第1キャリア84がシャフト14と同軸回りに減速されて回転される。
【0055】
第1キャリア84が回転されると、第2太陽歯車85が一体に回転される。そして、第2太陽歯車85の回転が第2段遊星歯車86に伝達される。各第2段遊星歯車86は、第2太陽歯車85のギア歯55gと、外周側の内歯歯車81のギア歯51gとに噛み合いながら、第2太陽歯車85の外周部を公転すると同時に、第2キャリア87に組み付けられた支持軸を中心に自転する、いわゆる遊星運動する。
これら複数の第2段遊星歯車86の遊星運動により、第2キャリア87がシャフト14と同軸回りに減速されて回転される。
【0056】
第2キャリア87が回転されると、この第2キャリア87に組み付けられたスクリュー軸38が一体に回転される。スクリュー軸38が回転されると、このスクリュー軸38に沿ってナット部材58がスライド移動される。ナット部材58は、第3ハウジング8に設けられたインナーチューブ56に固定されているので、これによって、第2ハウジング7に対して第3ハウジング8が出没し、アクチュエータ100が伸縮する。
【0057】
第2ハウジング7に対して第3ハウジング8が没入されると、自動車1の開口部3に設けられたテールゲート2(図1参照)が閉じられる。一方、第2ハウジング7に対して第3ハウジング8が突出されると、自動車1の開口部3に設けられたテールゲート2が開けられる。このとき、アクチュエータ100を伸ばした状態でモータ部11の動作を停止させても、コイルスプリング70の付勢力によって、第2ハウジング7に対し第3ハウジング8の突出した状態が維持される。
【0058】
ここで、アクチュエータ100は、軸受ホルダ39とジョイント部9とにより、第1ハウジング6に対してモータ部11及び減速部27が直接接触されない、いわゆるフローティング支持される。このため、モータ部11及び減速部27の振動が第1ハウジング6に伝達されにくい。また、減速部27(内歯歯車81)と軸受ホルダ39との間にダンパ部材90が設けられているので、軸受ホルダ39にモータ部11や減速部27の振動が伝達されたり、軸受ホルダ39を介して第1ハウジング6にモータ部11や減速部27の振動が伝達されたりしてしまうことが抑制される。
【0059】
<内歯歯車、軸受ホルダ、及びダンパ部材の組み付け>
次に、内歯歯車81、軸受ホルダ39、及びダンパ部材90の組み付けについて説明する。
まず、内歯歯車81の第1嵌合部81i側にダンパ部材90の開口縁92eを向け、内歯歯車81における第1凸部81hの位置とダンパ部材90における第1孔部92aの位置とを合わせる。そして、この状態のまま第1嵌合部81iにダンパ部材90を被せるように、内歯歯車81にダンパ部材90を組み付ける。このとき、ダンパ部材90の周壁92が第1凸部81hによって押し広げられるように弾性変形する。内歯歯車81の第1凸部81hとダンパ部材90の第1孔部92aとの位置が合わさると、ダンパ部材90の復元力によって第1凸部81hと第1孔部92aとが嵌り合う。これにより、内歯歯車81とダンパ部材90とが位置決めされて係合される。すなわち、内歯歯車81の第1凸部81hとダンパ部材90の第1孔部92aとは、内歯歯車81とダンパ部材90とを位置決めして係合する第1位置決め係合部として構成される。
【0060】
ここで、ダンパ部材90の周壁92には凹部92dが形成されている。このため、第1孔部92aから開口縁92eに至る間の幅(肉厚)は、第2孔部92bから開口縁92eに至る間の幅よりも狭い。この結果、第1孔部92aから開口縁92eに至る間が弾性変形しやすくなり、第1凸部81hを乗り上げやすく(弾性変形しやすく)なる。よって、内歯歯車81にダンパ部材90を容易に組み付けることができる。
【0061】
次に、ダンパ部材90の底部91側に軸受ホルダ39の凹部39aを向け、ダンパ部材90における第2孔部92bの位置と軸受ホルダ39における第2凸部39bの位置とを合わせる。そして、この状態のままダンパ部材90の上から内歯歯車81の第1嵌合部81iに軸受ホルダ39の第2嵌合部39cを嵌合させる。これにより、軸受ホルダ39とダンパ部材90とが位置決めされて係合される。すなわち、軸受ホルダ39の第2凸部39bとダンパ部材90の第2孔部92bとは、軸受ホルダ39とダンパ部材90とを位置決めして係合する第2位置決め係合部として構成される。上述の第1位置決め係合部と第2位置決め係合部とにより、軸受ホルダ39、内歯歯車81、及びダンパ部材90の位置決めが行われて係合(固定)される。
【0062】
また、ダンパ部材90の上から内歯歯車81の第1嵌合部81iに軸受ホルダ39の第2嵌合部39cを嵌合させるとき、ダンパ部材90における第2孔部92bの周方向の側縁には、互いに対向する方向に向かって凸となる丸面取り92cが形成されている。さらに、第2孔部92bの底部91側の側縁にも同様に、丸面取り92cが形成されている。このため、丸面取り92cが、第2孔部92bに第2凸部39bを差し込む際のガイドとして機能される。よって、ダンパ部材90の上から内歯歯車81に軸受ホルダ39を容易に組み付けることができる。
【0063】
このように、上述のアクチュエータ100は、第1嵌合部81iを有する減速部27(内歯歯車81)と、第1嵌合部81iに嵌合される第2嵌合部39cを有する軸受ホルダ39と、減速部27と軸受ホルダ39との間に設けられるとともに、第1嵌合部81iの外周面と第2嵌合部39cの内周面との間に介在される周壁92(第3嵌合部)を有するダンパ部材90と、を備える。そして、径方向でそれぞれ対向する第1嵌合部81iの外周面に第1凸部81hを設け、第2嵌合部39cの内周面に第2凸部39bを設け、周壁92に各孔部92a,92bを設けている。すなわち、減速部27と軸受ホルダ39とダンパ部材90との位置決めを径方向で行っている。軸方向でそれぞれ対向する箇所に、第1凸部81h、第2凸部39b及び各孔部92a,92bを設けない分、アクチュエータ100を軸短化できる。よって、限られたスペースで、アクチュエータ100の伸縮ストロークをできる限り大きくすることができる。
【0064】
減速部27、軸受ホルダ39及びダンパ部材90の位置合わせを、凸部81h,39bと孔部92a,92bで行っている。また、凸部81h,39bを減速部27や軸受ホルダ39に設け、容易に弾性変形するダンパ部材90に孔部92a,92bを設けている。このため、容易に製造できるとともに、減速部27、軸受ホルダ39及びダンパ部材90を容易に組み付けることもできる。
【0065】
第1凸部81h、及び第1凸部81h嵌め合わされる第1孔部92aと、第2凸部39b、及び第2凸部39bに嵌め合わされる第2孔部92bと、が周方向に互い違いに形成されている。このため、減速部27に対して軸受ホルダ39をバランスよく組み付けることができる。
【0066】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、アクチュエータ100は、自動車1の例えばテールゲート2を開閉する車両ドア開閉用アクチュエータ100である場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな装置にアクチュエータ100を採用することが可能である。
【0067】
上述の実施形態では、減速部27として、有底筒状の内歯歯車81と、内歯歯車81内に収納された第1太陽歯車82、第1段遊星歯車83、第1キャリア84、第2太陽歯車85、第2段遊星歯車86、及び第2キャリア87と、を備える遊星歯車減速機構を採用している。そして、内歯歯車81の周壁81eを利用して第1嵌合部81iを設けている。さらに、軸受ホルダ39に凹部39aを形成して第2嵌合部39cを構成している。しかしながらこれに限られるものではなく、減速部27のいずれかの箇所と軸受ホルダ39のいずれかの箇所とに、それぞれ嵌合部81i,39cを設ければよい。そして、これら嵌合部81i,39cの間に介在するように、ダンパ部材90を設ければよい。
【0068】
上述の実施形態では、減速部27、軸受ホルダ39、及びダンパ部材90の位置決めを行うために、凸部81h,39bと孔部92a,92bとを設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、減速部27、軸受ホルダ39、及びダンパ部材90を位置決めして係合される構造であればよい。位置決めして係合される構造が、嵌合部81i,39cと、ダンパ部材90における嵌合部81i,39cの間に介在する箇所に設けられていればよい。
孔部92a,92bに代わって凹部(請求項における第1凹部及び第2凹部の一例)を設けてもよい。周壁81eを貫通する孔部92a,92bか、周壁81eを貫通しない凹部かの違いである。
【符号の説明】
【0069】
1…自動車、2…テールゲート(ドア)、3…開口部、3a…上部、3s…外枠部、5…マグネット、6…第1ハウジング、6a…一端、6b…他端、7…第2ハウジング、7a…一端、7b…他端、7c…縮径部、8…第3ハウジング、8a…一端、8b…他端、9…ジョイント部、9a…プレート部、9b…ソケット部、10…エンドカバー、11…モータ部、12…ヨーク、12a…一端、12b…他端、13…アーマチュア、14…シャフト、15…アーマチュアコア、16…ブラシホルダユニット、17…コンミテータ、18…ブラシホルダ、19…ブラシ、20…コイル、21…センサマグネット、23…回転位置検出装置、24…シール部、25…シール本体、25a…底部、25b…周壁部、26…ハーネスカバー、27…減速部、37…軸受、38…スクリュー軸(駆動軸)、38a…一端、38b…他端、38c…外フランジ部、38d…取付部、39…軸受ホルダ、39a…凹部、39b…第2凸部(第2位置決め係合部)、39c…第2嵌合部、39d…内周面(第2嵌合部の径方向の側面)、40…軸受、46…内フランジ、47…コイルスプリング、51g…ギア歯、52g…ギア歯、53…内フランジ、54…ジョイント部、54a…プレート部、54b…ソケット部、55…固定凸部、55a…係合溝、55g…ギア歯、56…インナーチューブ、56a…一端、56b…他端、58…ナット部材、60…ストッパ、61…規制部材、62a…止め輪、62b…止め輪、70…コイルスプリング、71…係合凸部、72…内フランジ、73…括れ部、81…内歯歯車、81a…底部、81b…底部側凸部、81c…貫通孔、81d…軸受収納凹部、81e…周壁、81f…内歯、81g…開口部、81h…第1凸部(第1位置決め係合部)、81i…第1嵌合部、81j…外周面(第1嵌合部の径方向の側面)、82…第1太陽歯車(太陽歯車)、83…第1段遊星歯車(遊星歯車)、84…第1キャリア、84a…支持軸、85…第2太陽歯車(太陽歯車)、86…第2段遊星歯車(遊星歯車)、87…第2キャリア(出力部)、87a…支持軸、90…ダンパ部材、91…底部、91…内歯歯車、91a…開口部、92…周壁(第3嵌合部、第3嵌合部の径方向の側面)、92a…第1孔部(第1位置決め係合部)、92b…第2孔部(第2位置決め係合部)、92d…凹部、92e…開口縁、93…ダンパ部材、100…車両ドア開閉用アクチュエータ(アクチュエータ)、100a…一端、100b…他端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7