(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083213
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/10 20220101AFI20220527BHJP
F24F 6/08 20060101ALI20220527BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
F24H3/04 305M
F24F6/08
F24F6/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194521
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 和幸
(72)【発明者】
【氏名】宗村 勇武
【テーマコード(参考)】
3L028
3L055
【Fターム(参考)】
3L028FA00
3L028FB02
3L028FC03
3L028FD01
3L028FD03
3L055AA00
3L055BC00
(57)【要約】
【課題】本体内の高温の原因が、外乱による温度上昇か本体の異常かを識別することのできる空調装置を提供すること。
【解決手段】本体1の送風経路に設けられたヒータ13の上流に温度検知手段14が配置され、温度検知手段14の検知温度によってヒータ13がON・OFFされるとともに、制御部30が第一所定時間t1内にヒータ13のOFFまたはONの回数nが所定回数Nに達するか否かを判定する第一判定と、ヒータ13をOFFした状態で第二所定時間t2内に温度検知手段14の検知温度が第三閾値に達したか否かを判定する第二判定とを実行可能とした。第一判定で所定回数Nに達した場合に第二判定を実行し、第二判定で第三閾値に達しない場合にエラーを報知することで、本体1内の高温の原因が本体1の異常である場合にエラーを報知することができる優れた空調装置となる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口を有する本体と、
前記吸込口から前記吹出口へ至る送風経路と、
前記送風経路に設けられたヒータと、
前記送風経路に設けられ、前記ヒータの上流に配置された温度検知手段と、
前記本体のエラーを報知する報知手段と、
前記報知手段を制御する制御部と、を備え、
前記ヒータは、
前記温度検知手段の検知温度が第一閾値に達するとOFFされ、第二閾値に達するとONされ、
前記制御部は、
第一所定時間t1内に前記ヒータのOFFまたはONの回数nが所定回数Nに達したか否かを判定する第一判定と、
前記ヒータがOFFされた状態で第二所定時間t2内に前記温度検知手段の検知温度が第三閾値に達したか否かを判定する第二判定と、を実行可能であり、
前記第一判定で前記所定回数Nに達した場合に前記第二判定を実行し、
前記第二判定で第三閾値に達しない場合に前記報知手段によりエラーを報知する空調装置。
【請求項2】
前記第二判定で第三閾値に達した場合、エラーを報知しない請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記第二所定時間t2が前記第一所定時間t1より短い請求項1または2記載の空調装置。
【請求項4】
前記第二所定時間の最小値t2minはt2min=t1×(1/(N-1))である請求項3記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータを備えた空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸込口から吹出口へ至る送風経路にヒータが設けられた空調装置において、吹出口の閉塞やモータの異常などの異常状態による本体内の温度上昇を検知するために、送風経路に温度検知手段が設けられている。このような空調装置では、本体が異常状態となると、ヒータを通過した温風が吹出口から放出されにくくなり、本体内に篭り、吸込口側へと逆流するため、ヒータの上流に温度検知手段を設けることで、本体の異常状態を検知している(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に本体が異常状態にあると判定する際の閾値温度を下げることで、本体の異常状態を早期に検知し、安全性を高めることができる。
【0005】
しかしながら、閾値を下げてしまうと外乱による影響を受け、誤判定を招く恐れがある。例えば、空調装置の設置環境によっては、エアコンやファンヒーターなどの暖房装置から放出された温風を吸込口から取り込んでしまうことがある。この場合に、本体に異常はないにもかかわらず、吸込口から取り込んだ温風によって異常状態と判定してしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、外乱による温度上昇と本体の異常とを識別することのできる空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
吸込口と吹出口を有する本体と、
前記吸込口から前記吹出口へ至る送風経路と、
前記送風経路に設けられたヒータと、
前記送風経路に設けられ、前記ヒータの上流に配置された温度検知手段と、
前記本体のエラーを報知する報知手段と、
前記報知手段を制御する制御部と、を備え、
前記ヒータは、
前記温度検知手段の検知温度が第一閾値に達するとOFFされ、第二閾値に達するとONされ、
前記制御部は、
第一所定時間t1内に前記ヒータのOFFまたはONの回数nが所定回数Nに達したか否かを判定する第一判定と、
前記ヒータがOFFされた状態で第二所定時間t2内に前記温度検知手段の検知温度が第三閾値に達したか否かを判定する第二判定と、を実行可能であり、
前記第一判定で前記所定回数Nに達した場合に前記第二判定を実行し、
前記第二判定で第三閾値に達しない場合に前記報知手段によりエラーを報知する空調装置である。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成することにより、外乱による温度上昇と本体の異常とを識別して、本体内の高温の原因が本体の異常である場合にエラーを報知することができる優れた空調装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】本実施形態における第一判定のフローチャートである。
【
図5】本実施形態における第二判定のフローチャートである。
【
図6】本実施形態における第一判定をスタートするタイミングを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0011】
本発明は、送風経路に設けられたヒータの上流に配置された温度検知手段と、本体のエラーを報知する報知手段を制御する制御部とを備えた空調装置であって、ヒータは温度検知手段の検知温度が第一閾値に達するとOFFされ、第二閾値に達するとONされる。制御部は、第一所定時間t1内にヒータのOFFまたはONの回数nが所定回数Nに達したか否かを判定する第一判定と、ヒータをOFFした状態で第二所定時間t2内に温度検知手段の検知温度が第三閾値に達したか否かを判定する第二判定とを実行可能であり、第一判定で所定回数Nに達した場合、本体の異常が疑われるため第二判定を実行する。第二判定ではヒータがOFFされた状態、つまり、熱源がないため本体が異常状態にあっても検知温度が高温にはなりえない状態で、検知温度が第三閾値に達したか否かを判定する。第二判定で第三閾値に達しない場合、第一判定でヒータが繰り返しON・OFFされたのは本体の異常により本体内が高温になったことが原因と判断し、エラーを報知する。これにより、本体内の高温の原因が本体の異常による場合にエラーを報知することができ、優れた空調装置となる。
【0012】
また、第二判定で第三閾値に達した場合、エラーを報知しない。ヒータがOFFしており、熱源がないにもかかわらず第三閾値に達した場合、第一判定でヒータが繰り返しON・OFFされたのは本体の異常ではなく、外乱による温度上昇が原因と判断し、エラーを報知せずに本体の運転を継続する。これにより、不要なエラーを出さないため利便性に優れた空調装置となる。
【0013】
また、第二所定時間t2を第一所定時間t1より短い時間とする。第二判定では検知温度が第二所定時間t2内に第三閾値に達しない場合にエラーを報知するため、エラー報知までに第二所定時間t2を要することとなる。第二所定時間t2を第一所定時間t1より短い時間とすることで、エラー報知までに必要以上の時間がかからなくなる。これにより、安全性に優れた空調装置となる。
【0014】
また、第二所定時間の最小値t2minをt2min=t1×(1/(N-1))とする。これにより、第一判定においてかかり得るヒータのOFFまたはONの1サイクルに要する最長時間を第二所定時間の最小値t2minとすることができ、外乱による温度上昇を的確に検知することができる。
【実施例0015】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。本実施例では、空調装置の一例として加湿装置を用いて説明する。
【0016】
図1は本実施形態の加湿装置の外観斜視図であり、
図2は本実施形態の加湿装置の断面構成図である。加湿装置の本体1の上面には、加湿装置の動作を指示するための多数のスイッチが設けられた操作部2、運転状態を表示する表示部3、加湿空気を吹き出す吹出口4が設けられている。また、加湿空気を発生させる加湿手段9に水を供給する給水タンク6が本体1に着脱自在に設けられる。
【0017】
本体1の背面には室内の空気を本体1に取り入れるための吸込口5が設けられている。また、本体1内の底部には給水タンク6から水が供給されて一定量の水を貯える水槽部7と、この水槽部7内に吸水性を有する気化フィルタ8が配置されていて、水槽部7と気化フィルタ8により加湿空気を発生させる加湿手段9が構成される。気化フィルタ8は一部が水槽部7内の水に浸漬されており、この水を吸い上げることにより湿潤している。
【0018】
そして、気化フィルタ8の上部にはファン10とモータ11から成る送風機12が設けられており、この送風機12の駆動により吸込口5から吹出口4へ至る送風経路に送風が行われる。また、送風経路中の気化フィルタ8の上流には、吸込口5から導入された空気を加熱して温風とするためのヒータ13が設けられ、ヒータ13の上流には温度検知手段として本体1内の温度を検知するサーミスタ14が配置されている。
【0019】
送風機12が駆動されると、ファン10が回転することにより室内の空気が吸込口5から取り込まれ、取り込まれた空気はヒータ13を通過する間に温風となって、さらに温風は気化フィルタ8を通過することで加湿空気となり、加湿空気が吹出口4より室内に放出される。
【0020】
図3は、本実施形態におけるブロック図である。制御部30には、操作部2から運転に関する指示が入力される。操作部2には使用者が操作する各種スイッチが設けられており、本実施例では、本体1の運転の開始および停止を指示する運転スイッチ20、室内の目標湿度を設定する湿度設定スイッチ21、本体1の運転モードを設定する運転切り換えスイッチ22を備えている。さらに、制御部30には各種センサからの情報が入力される。各種センサとして、本実施例では、本体1内の温度を検知するサーミスタ14と、室内空気の湿度を検知する湿度センサ15を備えている。
【0021】
制御部30の出力側には、表示部3、送風機12、ヒータ13が接続されている。制御部30は入力された運転に関する指示や情報に基づいて、送風機12の回転数とヒータ13の出力を設定して加湿運転を行う。また、表示部3には室内空気の湿度を表示するほか、本実施例では、本体1の異常状態を示すエラーコードを表示するため、表示部3がエラーを報知する報知手段となる。なお、報知手段は、本実施例に限らず、操作部2にエラー時に点灯や点滅するエラーランプを設けたり、報知音を鳴らしたりしてもよい。
【0022】
サーミスタ14の検知温度が高温となった場合、ヒータ13がOFFされ、その後、検知温度が下がれば再びヒータ13がONされる。制御部30はヒータ13のON・OFFが繰り返されたとき、本体1が異常状態であると判断してエラーを報知し、本体1の運転を停止する。本体1内は、吸込口5からの空気の取り込みや吹出口4からの加湿空気の放出が妨げられることが原因で高温となる。吸込口5からの空気の取り込みが妨げられると(たとえば、吸込口5の閉塞)、送風経路に空気が流れず、ヒータ13の熱がヒータ13の上方へと上昇する。また、吹出口4からの加湿空気の放出が妨げられると(たとえば、吹出口4の閉塞)、ヒータ13を通過した温風が本体1内に篭り、吸込口5側へと逆流する。そのため、ヒータ13の上流にサーミスタ14を配置することで、これらの原因による高温を検知し、エラーを報知している。
【0023】
ところで、上述した原因以外に、外乱によって本体1内が高温となることがある。たとえば、エアコンやファンヒーターなどの暖房装置から放出された温風が吸込口5から取り込まれる場所に本体1が設置された場合、外乱による高温を本体1の異常ととらえてしまう。特にサーミスタ14がヒータ13の上流に配置され、吸込口5に近い位置にあると外乱の影響を受けやすく、誤判定をしてしまう恐れがある。そこで、後述する第一判定と第二判定により、本体1内の高温の原因が外乱によるものか、本体1の異常によるものかを判定する。
【0024】
第一判定は、本体1が異常状態にあることが疑われるか否かを判断するために実行される。第一判定では、サーミスタ14の検知温度がハンチングして、ヒータ13が繰り返しON・OFFされたとき、つまり第一所定時間t1内にヒータ13のOFFまたはONの回数nが所定回数Nに達した場合に、本体1の異常を疑う。第一判定で本体1の異常が疑われた場合には、本体1内の高温の原因が外乱による温度上昇か本体1の異常かを識別するために第二判定が実行される。第二判定は、ヒータ13がOFFされた状態でサーミスタ14の検知温度を監視しており、検知温度が第三閾値に達したか否かで、本体1内の高温の原因が外乱による温度上昇か本体1の異常かを識別できる。
【0025】
図4は本実施形態における第一判定のフローチャートであり、
図5は本実施形態における第二判定のフローチャートである。図において、サーミスタ14の検知温度が第一閾値に達してヒータ13がOFFされたときを「スタート」としており、このときをヒータ13のOFF回数n=1とカウントしている。なお、本実施例ではヒータ13のOFF回数を数えるがON回数を数えてもよく、その場合には、サーミスタ14の検知温度が第二閾値に達してヒータ13がONされたときを「スタート」とする。また、フローチャートでは「ステップ」を「S」と略称している。
【0026】
図4において、ヒータ13がOFFされると(スタート)、第一所定時間のカウントが開始される(ステップ1)。第一所定時間t1は、任意の時間とすることができるが、本実施例では30分とする。次いで、サーミスタ14の検知温度が第一閾値以下の温度である第二閾値に達したか否かを判定する(ステップ2)。ヒータ13がOFFしたことで本体1内の温度が低下して第二閾値に達した場合(ステップ2でYes)、ヒータ13をONする(ステップ3)。その後、サーミスタ14の検知温度が第一閾値に達したか否かを判定し(ステップ4)、第一閾値に達した場合(ステップ4でYes)、ヒータ13をOFFし(ステップ5)、ヒータ13のOFF回数nを1回増加させる(ステップ6)。次いで、ヒータ13のOFF回数nが所定回数Nに達したか否かを判定し(ステップ7)、所定回数Nに達していない場合(ステップ7でNo)、ステップ2へ戻る。一方、所定回数Nに達している場合(ステップ7でYes)、第一所定時間t1が経過したか否かを判定し(ステップ8)、第一所定時間t1が経過していない場合(ステップ8でNo)、第二判定が実行される。
【0027】
なお、ステップ2で第二閾値に達していない場合(ステップ2でNo)、第一所定時間t1が経過したかを判定し(ステップ9)、第一所定時間t1が経過していない場合(ステップ9でNo)にはステップ2へ戻る。また、同様に、ステップ4で第一閾値に達していない場合(ステップ4でNo)、第一所定時間t1が経過したかを判定し(ステップ10)、第一所定時間t1が経過していない場合(ステップ10でNo)、ステップ5へ戻る。
【0028】
また、第一所定時間t1が経過したか否かを判定する各ステップにおいて第一所定時間t1が経過している場合(ステップ8、ステップ9、ステップ10でYes)、つまり第一所定時間t1内にヒータ13のOFF回数nが所定回数Nに達しなかった場合は、本体1が異常状態ではないと判断し、第一判定を終了して通常運転を行う。なお、本実施例ではステップ8、ステップ9、ステップ10において、第一所定時間t1が経過したか否かを判定しているが、これに限らず、第一所定時間のカウント開始以降、第一判定に並行して第一所定時間t1が経過したか否かを判定してもよい。
【0029】
本体1が異常状態にある場合には、ヒータ13の熱が本体1内から排出されずに篭っているため、ヒータ13のON・OFFに追従するようにサーミスタ14の検知温度がハンチングし、ヒータ13のON・OFFが繰り返されることになる。そのため、第一判定では、ヒータ13のON・OFFが繰り返される場合に、本体1の異常を疑い、第二判定を実行する。
【0030】
図5に示す第二判定は、ヒータ13がOFFされた状態で始まる。第二判定が実行されると、まず第二所定時間のカウントが開始される(ステップ11)。第二所定時間t2は、任意の時間とすることができるが、本実施例では15分とする。続いて、サーミスタ14の検知温度が第一閾値以下の温度である第三閾値に達したか否かを判定し(ステップ12)、第三閾値に達しない場合(ステップ12でNo)、第二所定時間t2が経過したか否かを判定する(ステップ13)。第二所定時間t2が経過していない場合(ステップ13でNo)、ステップ12に戻る。第二所定時間t2が経過している場合(ステップ13でYes)、第一判定でヒータ13が繰り返しON・OFFされたのは、本体1の異常が原因と判断し、エラーを報知して(ステップ14)、運転を停止する。また、サーミスタ14の検知温度が第三閾値に達した場合(ステップ12でYes)、第一判定でヒータ13が繰り返しON・OFFされたのは、外乱が原因と判断し、エラーを報知せずに運転を継続する(エンド)。この後は、通常運転を行ってもよいし、本体1の運転が停止されるまでヒータ13のOFF状態を継続してもよい。
【0031】
なお、第一判定においてヒータ13のON回数を数えた場合には、第二判定開始時にヒータ13がONしているため、ステップ11の前にヒータ13をOFFするステップが追加される。
【0032】
第二判定は、ヒータ13がOFFされた状態、つまり、熱源がない状態で実行される。ヒータ13がOFFされているため、本体1が異常状態にあったとしても安全に第二判定を行える。本体1が異常状態にある場合、サーミスタ14の検知温度はヒータ13のON・OFFに追従してハンチングするため、ヒータ13をOFFしていれば検知温度が第三閾値に達することはない。そのため、第二所定時間t2内にサーミスタ14の検知温度が第三閾値に達しない場合、第一判定でヒータ13が繰り返しON・OFFされたのは本体1の異常が原因と判断することができる。これにより、本体1内の高温の原因が本体1の異常である場合にエラーを報知することができ、優れた空調装置となる。一方、第二所定時間t2内に第三閾値に達した場合には、本体1内の高温の原因は外乱と判断することができる。これにより、不要なエラーを出さないため利便性に優れた加湿装置となる。
【0033】
図6は、本実施形態における第一判定をスタートするタイミングを示した図であり、横軸を時間、縦軸をサーミスタ14の検知温度として、サーミスタ14の検知温度の変化を表している。図において、ヒータ13がOFFされるときを白抜き丸印、第一所定時間t1のカウント開始を塗りつぶした丸印、第一所定時間t1のカウント終了を塗りつぶした四角印、ヒータ13のOFFの1サイクルを両矢印で示している。両矢印の下に示されている時間は、ヒータ13のOFFの1サイクルにかかる時間の一例である。なお、本実施例では第一閾値を30℃としているが、これに限定されず、任意の値とすることができる。また、所定回数Nについては本実施例では3回としているが、2回以上であればよい。
【0034】
第一判定は、ヒータ13がOFFされる度にスタートされ、第一所定時間のカウントが開始されるようにしてもよい(
図6A、B、C)。これにより、ヒータ13のOFFの1サイクルにかかる時間にばらつきがあったとしても早期に本体1が異常状態にある可能性を検知することができる。たとえば、Aでは1回目のヒータ13のOFFから3回目のヒータ13のOFFまでに33分かかっており、第一所定時間t1を超えているため、第二判定は行われない。しかし、BとCでは1回目のヒータ13のOFFから3回目のヒータ13のOFFまでが30分のため、第一所定時間t1内となり、第二判定が行われる。第一所定時間t1後に、改めてヒータ13のOFFから第一所定時間のカウントが開始されると(A終了後にCを開始)、第二判定が行われるのは、Cにおいて3回目のヒータ13のOFFがされたときとなる。一方、ヒータ13がOFFされる度に第一所定時間のカウントが開始されると(Aと並列でBを開始)、第二判定が行われるのは、Bにおいて3回目のヒータ13のOFFがされたときとなり、早期に本体1が異常状態にある可能性を検知することが可能となる。
【0035】
また、第一所定時間t1と第二所定時間t2は任意の時間とすることができるが、第二所定時間t2を第一所定時間t1より短い時間としてもよい。第二判定ではサーミスタ14の検知温度が第二所定時間t2内に第三閾値に達しない場合にエラーを報知するため、本体1の異常が疑われてからエラー報知までに、少なくとも第二所定時間t2を要することになる。第二所定時間t2を第一所定時間t1より短い時間とすることで、エラー報知までに必要以上の時間がかからなくなり、安全性に優れた空調装置となる。
【0036】
ただし、第二所定時間t2が短すぎると、暖房装置から放出された温風が吸込口5から取り込まれる前に第二所定時間t2が経過し、エラーが報知される可能性がある。このような不要なエラーを抑制するためには、第二所定時間の最小値t2minを適切に設定する必要がある。具体的には、第二所定時間の最小値t2minを第一判定においてヒータ13のOFFまたはONの1サイクルに要する最長時間とするのがよく、t2min=t1×(1/(N-1))で求めることができる。
【0037】
第一判定において1サイクルに要する時間が最長になるのは、ヒータ13がN回OFFまたはONするのに、ちょうど第一所定時間t1かかったときであり、このとき、第一所定時間t1内にちょうどN-1サイクル生じていることになる。そのため、第一所定時間t1に1/(N-1)をかけることで、1サイクルに要する最長時間を求めることができ、この時間を第二所定時間の最小値t2minとすることで、外乱による温度上昇を的確に検知することができる。