(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083217
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20220527BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
G06F3/02 510
G06F1/16 313E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194530
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 亨
【テーマコード(参考)】
5B020
【Fターム(参考)】
5B020GG51
(57)【要約】
【課題】キーボードの無効化を簡便に実行可能にする。
【解決手段】実施形態にかかる情報処理装置は、ブート処理と、主基板に接続されたハードウェアの制御とを行うBIOSに従って動作する情報処理装置であって、BIOSは、主基板に接続されたキーボードのキーを押し続けるキーリピート操作が第1所定時間以上継続した場合に、キーボードを無効化する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブート処理と、主基板に接続されたハードウェアの制御とを行うBIOSに従って動作する情報処理装置であって、
前記BIOSは、前記主基板に接続されたキーボードのキーを押し続けるキーリピート操作が第1所定時間以上継続した場合に、前記キーボードを無効化する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記BIOSは、前記キーボードが無効化されてから第2所定時間が経過したときに前記キーボードを有効化する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記BIOSは、前記キーボードが無効化されている状態において所定の解除操作が行われた場合に前記キーボードを有効化する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記BIOSは、前記キーボードが無効化されている間、前記キーボードに備えられた発光部を発光させる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記BIOSは、前記キーボードが無効化されている間、前記主基板に接続されたタッチパッドを無効化する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記BIOSは、前記キーボードの無効化に関する設定を変更するための処理を行う、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置のブート処理と、前記情報処理装置の主基板に接続されたハードウェアの制御とを行うプログラムであって、
前記主基板に接続されたキーボードのキーを押し続けるキーリピート操作が第1所定時間以上継続した場合に、前記キーボードを無効化するための処理、
を前記情報処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置において、キーボードを無効化する技術が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キーボードの清掃、消毒等の作業を行う際には、キーボードが無効化された状態であることが望ましい。キーボードを無効化するためには、通常、起動しているシステムを閉じたり、休止状態に移行させたりする必要がある。また、キーボードを無効化するためのアプリケーションを利用することが考えられるが、このようなアプリケーションは、例えばインストール可能なアプリケーションが制限されている状況等において、利用できない場合がある。
【0005】
そこで、本開示の課題の一つは、キーボードの無効化を簡便に実行可能な情報処理装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る情報処理装置は、ブート処理と、主基板に接続されたハードウェアの制御とを行うBIOSに従って動作する情報処理装置であって、前記BIOSは、前記主基板に接続されたキーボードのキーを押し続けるキーリピート操作が第1所定時間以上継続した場合に、前記キーボードを無効化する。
【0007】
本開示の第2態様に係るプログラムは、情報処理装置のブート処理と、前記情報処理装置の主基板に接続されたハードウェアの制御とを行うプログラムであって、前記主基板に接続されたキーボードのキーを押し続けるキーリピート操作が第1所定時間以上継続した場合に、前記キーボードを無効化するための処理を前記情報処理装置に実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の情報処理装置及びプログラムによれば、キーボードの無効化を簡便に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るBIOSの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るBIOSによる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る無効化に関する設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0011】
図1は、実施形態に係る情報処理装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
情報処理装置1は、主基板11、CPU(Central Processing Unit)12、HDD(Hard Disc Drive)13、RAM(Random Access Memory)14、ディスプレイ15、キーボード16、及びタッチパッド17を有する。情報処理装置1は、例えばノート型パーソナルコンピュータ等であり得る。
【0013】
主基板11は、BIOS(Basic Input Output System)21及び組込コントローラ22に従い、情報処理装置1を構成するハードウェアを制御する。主基板11には、適宜なコネクタ、配線等を介して、情報処理装置1を構成するハードウェア、すなわちCPU12、HDD13、RAM14、ディスプレイ15、キーボード16、タッチパッド17等が接続されている。なお、主基板11に接続されるハードウェアは上記に限定されるものではなく、例えば冷却ファン、温度センサ等が接続されてもよい。
【0014】
BIOS21は、情報処理装置1を起動させるためのブート処理(オペレーティングシステムの読み出し等)、主基板11に接続されたハードウェアの制御等を行うプログラムである。組込コントローラ22は、主基板11に接続されたハードウェアとBIOS21との間における信号の送受の中継等を行うプログラムである。BIOS21は、組込コントローラ22と協調して主基板11に接続されたハードウェアを制御する。主基板11は、BIOS21や組込コントローラ22が書き込まれたROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の記憶素子を含む。
【0015】
キーボード16は、文字、数字、記号等の入力を可能にする複数のキーを備えるユニットである。本実施形態に係るキーボード16は、動作状態(例えばキャップスロック状態等)に合わせて発光するLED(Light Emitting Diode)等からなる発光部を備える。キーボード16は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータの筐体と一体的に組み込まれたキーボード等であり得る。
【0016】
タッチパッド17は、ユーザの指先等による接触操作に応じてポインタの移動等の操作を可能にするユニットである。タッチパッド17は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータの筐体と一体的に組み込まれたタッチパッド等であり得る。
【0017】
図2は、実施形態に係るBIOS21の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
本実施形態に係るBIOS21は、キーリピート検出部101、キーボード無効化部102、発光制御部103、タッチパッド無効化部104、及び設定部105を有する。
【0019】
キーリピート検出部101は、キーボード16の1又は複数のキーを押し続けるキーリピート操作を検出する。キーリピート操作がなされているか否かを検出する対象となるキーは、特に限定されるものではなく、特定のキーであってもよいし、任意のキーであってもよい。
【0020】
キーボード無効化部102は、キーリピート検出部101により検出されたキーリピート操作が予め定められたキーリピート検出時間(第1所定時間)以上継続した場合に、キーボード16を無効化する。また、キーボード無効化部102は、キーボード16が無効化されてから予め定められた無効化継続時間(第2所定時間)が経過したときに、キーボード16を有効化する(無効化を解除する)。また、キーボード無効化部102は、キーボード16が無効化されている状態において、所定の解除操作(例えば、所定の複数のキーの押下等)が行われた場合に、キーボード16を有効化してもよい。
【0021】
発光制御部103は、キーボード16が無効化されている間、キーボード16に備えられた発光部を発光させる。発光制御部103は、例えば、キャップスロック状態等を示すLED等を点滅させる。
【0022】
タッチパッド無効化部104は、キーボード16が無効化されている間、タッチパッド17を無効化する。
【0023】
設定部105は、キーボード16等の無効化に関する設定を変更可能にする。設定部105は、例えば、キーボード無効化部102によるキーボード無効化機能を使用するか否かの設定、キーリピート検出時間の設定、無効化継続時間の設定、発光制御部103による発光機能を使用するか否かの設定、タッチパッド無効化部104によるタッチパッド無効化機能を使用するか否かの設定等を、ユーザによる操作に応じて変更可能にする。設定部105は、例えば、所定の設定開始操作がなされた場合に、無効化に関する設定を変更するための処理を実行する。設定開始操作とは、例えば、所定のタイミング(例えばブート処理時等)において、キーボード16の所定のキーを押下する操作等であり得る。
【0024】
図3は、実施形態に係るBIOS21による処理の一例を示すフローチャートである。
【0025】
情報処理装置1の起動中において、キーリピート検出部101は、組込コントローラ22と協調してキーボード16のキーに対する入力を監視し(S101)、キーリピート操作の有無を検出する(S102)。キーリピート操作が検出されない場合(S102:No)、ステップS101に戻り、監視が継続される。
【0026】
キーリピート操作が検出された場合(S102:Yes)、キーボード無効化部102は、キーリピート操作の継続時間がキーリピート検出時間に達したか否かを判定する(S103)。キーリピート操作の継続時間がキーリピート検出時間に達していない場合(S103:No)、ステップS101に戻る。キーリピート操作の継続時間がキーリピート検出時間に達した場合(S103:Yes)、キーボード無効化部102は、キーボード16を無効化し(S104)、発光制御部103は、キーボード16に備えられた発光部(キャップスロック状態を示すLED等)を点滅させ(S105)、タッチパッド無効化部104は、タッチパッド17を無効化する(S106)。
【0027】
その後、キーボード無効化部102は、キーボード16が無効化されてからの経過時間が無効化継続時間に達したか否かを判定する(S107)。キーボード16が無効化されてからの経過時間が無効化継続時間に達した場合(S107:Yes)、キーボード無効化部102は、キーボード16を有効化し(S109)、発光制御部103は、発光部の点滅を停止させ(S110)、タッチパッド無効化部104は、タッチパッド17を有効化する(S111)。その後、ステップS101に戻り、キーボード16のキーに対する入力の監視が再開される。
【0028】
キーボード16が無効化されてからの経過時間が無効化継続時間に達していない場合(S107:No)、キーボード無効化部102は、所定の解除操作がなされたか否かを判定する(S108)。解除操作がなされていない場合(S108:No)、ステップS107に戻り、解除操作がなされた場合(S108:Yes)、ステップS109以降の処理が実行される。
【0029】
なお、上記においては、キーボード16の無効化に伴い、発光部の発光(点滅)及びタッチパッド17の無効化を実行する例を示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、発光部の発光及びタッチパッド17の無効化の両方又はいずれか一方が実行されなくてもよい。
【0030】
図4は、実施形態に係る無効化に関する設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0031】
情報処理装置1の起動中において、設定部105は、所定の設定開始操作がなされたか否かを検出する(S201)。設定開始操作がなされていない場合(S201:No)、本ルーチンは終了し、設定開始操作がなされた場合(S201:Yes)、設定部105は、ディスプレイ15に無効化に関する設定を行うための設定画面を表示する(S202)。
【0032】
図5は、実施形態に係る設定画面301の一例を示す図である。
【0033】
図5に例示する設定画面301は、キーボード無効化要否設定部311、キーリピート検出時間設定部312、無効化継続時間設定部313、及びタッチパッド無効化要否設定部314を含む。キーボード無効化要否設定部311は、キーボード16を無効化する機能(キーボード無効化機能)を使用するか否かを設定する入力部である。
図5にはキーボード無効化機能を使用するように設定した状態が例示されている。キーリピート検出時間設定部312は、キーリピート検出時間を設定する入力部である。
図5にはキーリピート検出時間を5秒に設定した状態が例示されている。無効化継続時間設定部313は、無効化継続時間を設定する入力部である。
図5には無効化継続時間を60秒に設定した状態が例示されている。タッチパッド無効化要否設定部314は、タッチパッド17を無効化する機能(タッチパッド無効化機能)を使用するか否かを設定する入力部である。
図5にはタッチパッド無効化機能を使用するように設定した状態が例示されている。
【0034】
図4に戻り、ステップS202において上記のような設定画面301が表示され、ユーザによる設定画面301への入力操作が完了すると、設定部105は、キーボード無効化機能を使用すると設定されたか否かを判定し(S203)、キーボード無効化機能を使用しないと設定された場合(S203:No)、本ルーチンを終了する。
【0035】
キーボード無効化機能を使用すると設定された場合(S203:Yes)、設定部105は、キーリピート検出時間設定部312に入力された時間(本例では5秒)をキーリピート検出時間として設定し(S204)、無効化継続時間設定部313に入力された時間(本例では60秒)を無効化継続時間として設定する(S205)。
【0036】
その後、設定部105は、タッチパッド無効化機能を使用すると設定されたか否かを判定する(S206)。タッチパッド無効化機能を使用すると設定された場合(S206:Yes)、設定部105は、キーボード無効化機能及びタッチパッド無効化機能の両方を実行するように設定する(S207)。タッチパッド無効化機能を使用しないと設定された場合(S206:No)、設定部105は、キーボード無効化機能のみを実行するように設定する(S208)。
【0037】
なお、上記においては、発光制御部103により発光部を発光させる機能に関する設定については言及されていないが、当該発光に関する設定もタッチパッド無効化機能と同様に設定可能としてもよい。
【0038】
上記機能を実現するプログラム(BIOS21)は、基本的には主基板11に搭載された記憶素子に予め記憶された状態で提供されるが、これに限定されるものではない。当該プログラムは、例えば、CD-ROM等の適宜な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよいし、インターネット等のコンピュータネットワークを介して提供されてもよい。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、情報処理装置1の起動中にキーリピート操作を所定時間(リピート検出時間)継続することにより、キーボード16等を無効化することができる。これにより、ユーザは、情報処理装置1のシャットダウン等をすることなく、キーボート16等の清掃、消毒等の作業を行うことができる。また、上記機能は、BIOS21により提供されるため、アプリケーションのインストール等が不要となる。また、上記機能は、オペレーションシステムが起動中であるか否かを問わず実行可能となる。これにより、キーボード16の無効化を様々な状況において簡便に実行することが可能となる。
【0040】
また、上述の実施形態においては、BIOS21は、キーボード16が無効化されてから無効化継続時間が経過したときにキーボード16を有効する。これにより、無効化されたキーボード16を自動的に有効化させることができる。
【0041】
また、上述の実施形態においては、BIOS21は、キーボード16が無効化されている状態において所定の解除操作が行われた場合にキーボード16を有効化する。これにより、無効化継続時間の経過を待たずにキーボード16を有効化させることができる。
【0042】
また、上述の実施形態においては、BIOS21は、キーボード16が無効化されている間、キーボード16に備えられた発光部を発光させる。これにより、キーボード16が無効化されていることをユーザに視覚的に認識させることができる。
【0043】
また、上述の実施形態においては、BIOS21は、キーボード16が無効化されている間、主基板11に接続されたタッチパッド17を無効化する。このように、キーボード16だけでなくタッチパッド17も併せて無効化することにより、ユーザによる拭き取り作業等の実行時に情報処理装置1に不要な情報が入力されることを回避できる。
【0044】
また、上述の実施形態においては、BIOS21は、キーボード16の無効化に関する設定を変更するための処理を行う。これにより、キーボード16等の無効化の実施態様を使用状況に応じて適切に調整できる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…情報処理装置、11…主基板、12…CPU、13…HDD、14…RAM、15…ディスプレイ、16…キーボード、17…タッチパッド、21…BIOS、22…組込コントローラ、101…キーリピート検出部、102…キーボード無効化部、103…発光制御部、104…タッチパッド無効化部、105…設定部、301…設定画面、311…キーボード無効化要否設定部、312…キーリピート検出時間設定部、313…無効化継続時間設定部、314…タッチパッド無効化要否設定部