(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083219
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20220527BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
B65G1/04 541
B65G1/04 503
B65G1/137 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194534
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】武田 英里
(72)【発明者】
【氏名】荒川 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】山下 和也
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ13
3F022JJ20
3F022KK01
3F022MM01
3F022MM17
3F022PP01
3F022QQ01
3F522BB01
3F522CC05
3F522FF02
3F522FF27
3F522GG03
3F522GG24
3F522JJ01
3F522JJ02
3F522KK02
3F522LL11
3F522LL12
(57)【要約】
【課題】自動倉庫において、大きさの異なる荷物をなるべく多くラックに格納する。
【解決手段】自動倉庫100のコントローラ51において、荷物大きさ区分把握部83は、入庫する荷物の大きさ区分を把握する。格納位置決定部85は、把握した荷物の大きさ区分に基づいて、当該荷物の格納位置を決定する。格納荷物量把握部87は、ラック1内に格納されている小荷物Sの量を把握する。閾値記憶部89は、小荷物Sの格納荷物量の閾値を記憶する。荷物大きさ区分設定部91は、小荷物Sの格納荷物量が閾値を超えた場合に、小荷物Sが入庫される間口22の荷物大きさ区分を小荷物Sの大きさ区分より大きな荷物大きさ区分に設定する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収納可能なラックと、
前記ラックに沿って走行し、前記荷物を前記ラックの間口に入庫及び前記ラックの前記間口から出庫する入出庫台車と、
コントローラとを備え、
前記コントローラは、
入庫する荷物の大きさ区分を把握する荷物大きさ区分把握手段と、
把握した荷物の大きさ区分に基づいて、当該荷物の格納位置を決定する格納位置決定手段と、
前記ラック内に格納されている荷物の量を把握する格納荷物量把握手段と、
格納荷物量の閾値を記憶する閾値記憶手段と、
前記格納荷物量が前記閾値を超えた場合に、特定サイズ荷物が入庫される間口の荷物大きさ区分を前記特定サイズ荷物の大きさ区分より大きな荷物大きさ区分に設定する荷物大きさ区分設定手段と、を有する、
自動倉庫。
【請求項2】
前記ラックと前記入出庫台車とのユニットが複数設けられ、
前記格納位置決定手段は、前記ユニットごとに、前記特定サイズ荷物の格納荷物量が前記閾値を超えた場合に、前記特定サイズ荷物が入庫される間口の荷物大きさ区分を当該特定サイズ荷物の大きさ区分より大きな荷物大きさ区分に設定する、請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記コントローラは、前記閾値の変更を行う閾値変更手段をさらに有する、請求項1又は2に記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記荷物大きさ区分は、少なくとも小荷物区分、中荷物区分、大荷物区分を含んでおり、
荷物大きさ区分設定手段は、小荷物の格納荷物量が前記閾値を超えて前記小荷物が入庫される間口の荷物大きさ区分を前記中荷物区分又は前記大荷物区分に設定する場合に、中荷物と大荷物の格納数を比較して、格納数が多い荷物の荷物大きさ区分を選択する、請求項1~3のいずれかに記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫に関し、特に、入出庫台車がラックに沿って走行して荷物をラックの間口に入庫する及びラックの間口から出庫する自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を保管する複数の棚段の各段に対応して、荷物を搬送する複数の搬送車を設けた自動倉庫(以下、「段ごと搬送車付き自動倉庫」という)が知られている。各搬送車は、対応する棚段において棚段の延長方向に走行し、棚段の延長方向の所定の位置において、搬送車と対応する棚段との間で荷物を移載する。
特許文献1に記載の自動倉庫では、荷物の大きさ区分に基づいて格納位置を決定している。なお、この自動倉庫は、段ごと搬送車ではなく、スタッカクレーンを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように荷物の大きさ区分に基づいて格納位置を決定している技術は知られている。一例として、自動倉庫の平棚は、複数の間口又は棚板(棚段の荷物を収納する一単位)に分かれている。例えば、1つの間口に対して、小荷物は5個、中荷物は4個、大荷物は3個が等間隔で並べて保管される。各間口は、荷物サイズがあらかじめ設定され、設定された荷物だけが格納される。つまり、小荷物サイズが設定された間口には、小荷物だけが格納される。ただし、中荷物サイズが設定された棚板には、中荷物以外に小荷物を格納でき、大荷物サイズが設定された棚板には、大荷物以外に小荷物又は中荷物を格納できる。
荷物を入庫する際には、荷物サイズが確認され、そのサイズの空き位置が存在すれば、そこに当該荷物が入庫される。一方、存在しない場合は、新たな間口にそのサイズが設定され、当該荷物はそこに入庫される。
【0005】
複数の自動倉庫が並列して配置されたシステムの場合は、同時出庫の可能性を高めることを目的として、別系列(別号機)の自動倉庫に荷物を分散させて入庫する。そのような場合、初期の段階で小荷物が多く入庫されると、各系列で多くの間口が小荷物サイズに設定される。そのため、小荷物サイズが設定された間口に多くの空きが存在するにも関わらず、中荷物又は大荷物を格納できない状態が生じる。
【0006】
本発明の目的は、自動倉庫において、大きさの異なる荷物をなるべく多くラックに格納することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0008】
本発明の一見地に係る自動倉庫は、ラックと、入出庫台車と、コントローラとを備えている。
ラックは、荷物を収納可能である。
入出庫台車は、ラックに沿って走行し、荷物をラックの間口に入庫及びラックの間口から出庫する。
コントローラは、荷物大きさ区分把握手段と、格納位置決定手段と、格納荷物量把握手段と、閾値記憶手段と、荷物大きさ区分設定手段と、を有している。
荷物大きさ区分把握手段は、入庫する荷物の大きさ区分を把握する。
格納位置決定手段は、把握した荷物の大きさ区分に基づいて、当該荷物の格納位置を決定する。
格納荷物量把握手段は、ラック内に格納されている荷物の量を把握する。
閾値記憶手段は、格納荷物量の閾値を記憶する。
荷物大きさ区分設定手段は、格納荷物量が閾値を超えた場合に、特定サイズ荷物が入庫される間口の荷物大きさ区分を、特定サイズ荷物の大きさ区分より大きな荷物大きさ区分に設定する。
なお、格納荷物量の閾値は、全ての荷物の格納量に設定されてもよいし、特定サイズの荷物の格納量に設定されてもよい。
なお、「格納荷物量」とは、格納されている(予約を含む)荷物の量に関連する情報であり、例えば、荷物の数や割合、荷物が格納されている間口の数や割合である。
【0009】
この自動倉庫では、格納荷物量が閾値を超えた場合に、特定サイズ荷物が格納される間口の荷物大きさ区分が、特定サイズ荷物の大きさ区分より大きな荷物大きさ区分に設定される。したがって、特定サイズ荷物より大きな荷物が格納できなくなることが防がれる。
従来であれば、例えば小荷物が多くの間口に収納されたり予約されたりすると、それら間口は小荷物大きさ区分に設定されるので、そこには大荷物を収納できなくなっていた。それに対して、本発明の一例では、小荷物の格納荷物量が閾値を超えた場合に、小荷物が入庫される間口の荷物大きさ区分が、大荷物の大きさ区分に設定される。したがって、新たに小荷物が入庫されても小荷物の大きさ区分の間口がそれ以上増えることがない。したがって、大荷物が格納できなくなることが防がれる。
【0010】
ラックと入出庫台車とのユニットが複数設けられていてもよい。
格納位置決定手段は、ユニットごとに、格納荷物量が閾値を超えた場合に、特定サイズ荷物が入庫される間口の荷物大きさ区分を特定サイズ荷物の大きさ区分より大きな荷物大きさ区分に設定してもよい。
この自動倉庫では、各ユニットで荷物の格納量が異なる場合であっても、特定サイズ荷物の大きさ区分と異なる大きさ区分に属する荷物が格納できなくなることが防がれる。その理由は、格納位置決定手段はユニットごとに上記の荷物大きさ区分設定を行うからである。
【0011】
コントローラは、閾値の変更を行う閾値変更手段をさらに有していてもよい。
この自動倉庫では、閾値を適宜変更することで、入庫状況に応じて柔軟に対応できる。例えば、小荷物以外の荷物の入庫量が比較的多いと予測される場合は閾値を下げ、小荷物以外の荷物の入庫量が比較的少ない予測される場合は閾値を上げる。
【0012】
荷物大きさ区分は、少なくとも小荷物区分、中荷物区分、大荷物区分を含んでいてもよい。
荷物大きさ区分設定手段は、小荷物の格納荷物量が閾値を超えて小荷物が入庫される間口の荷物大きさ区分を中荷物区分又は大荷物区分に設定する場合に、中荷物と大荷物の格納数を比較して、格納数が多い荷物の荷物大きさ区分を選択してもよい。
この自動倉庫では、例えば、大荷物の格納数が多い場合は大荷物の荷物大きさ区分が設定され、中荷物の格納数が多い場合は中荷物の荷物大きさ区分が設定される。したがって、自動倉庫の収納能力が向上する。
なお、荷物の格納数とは、現在格納されている数及び/又は予約されている数である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る自動倉庫では、大きさの異なる荷物を多くラックに格納できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る自動倉庫の模式的側面図。
【
図3】間口における荷物大きさ区分の設定及び荷物格納のルールを説明する模式図。
【
図4】間口における荷物大きさ区分の設定及び荷物格納のルールを説明する模式図。
【
図5】間口における荷物大きさ区分の設定及び荷物格納のルールを説明する模式図。
【
図6】間口における荷物大きさ区分の設定及び荷物格納のルールを説明する模式図。
【
図7】間口における荷物大きさ区分の設定及び荷物格納のルールを説明する模式図。
【
図9】棚ファイルのレコードと、オーダーファイルのレコードを示す図。
【
図10】荷物の格納位置を決定する制御動作を示すフローチャート。
【
図11】小荷物が格納される又は予約されるときに大荷物用の荷物大きさ区分が設定されている状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫全体の説明
図1及び
図2を用いて、第1実施形態に係る自動倉庫100を説明する。
図1は、第1実施形態の自動倉庫の側面図である。
図2は、自動倉庫の模式的平面図である。以下の説明では、
図1の左右方向を第1方向(矢印Y)といい、
図1の紙面奥行き方向を第2方向(矢印X)といい、
図1の上下方向が鉛直方向(矢印Z)である。
自動倉庫100は、複数の棚段21を有し、各棚段21に荷物を入庫し、又は、各棚段21に保管された荷物を出庫可能なシステムである。
自動倉庫100は、ラック1と、複数の搬送車3と、入庫ステーション7と、出庫ステーション9と、入庫用昇降装置11、出庫用昇降装置13とを備える。
【0016】
一対のラック1と搬送車3は、ユニット4を構成しており、自動倉庫100は複数のユニット4を有している。ユニット4の番号等を「系統」で表すことがあり、また、ユニット4は、一種の自動倉庫ユニットである。
ユニット4において、荷物は、搬入コンベヤ(図示せず)から入庫ステーション7に搬入される。また、ユニット4において、荷物は、出庫ステーション9から搬出コンベヤ(図示せず)に搬出される。搬出コンベヤの行き先は、荷物を出荷先ごとに集め、トラックなどで出荷する仕分エリア、あるいは荷物から荷物をピッキングするピッキングエリアなどである。
【0017】
(2)ラック
ラック1の各棚段21は、第1方向に長く延びており、複数の間口22を有している。各間口22は、荷物が置かれる棚段の単位であり、第1方向に同じ長さを有している。なお、間口22は、走行方向最手前側(第1方向において、後述する入庫ステーション7及び出庫ステーション9の側)の第1端側間口22aから、走行方向最奥側(第1方向において、後述する入庫ステーション7及び出庫ステーション9と反対側)の第2端側間口22bまでを有している。
棚段21は、搬送車3及びレール5(後述)に対して第2方向の両側に配置されている。
【0018】
各間口22には、複数の荷物が収納可能である。なお、間口22のそれぞれは別体であってもよく、一体に形成されていてもよい。つまり、棚段21を構成する1枚の棚板が区分されることで複数の間口22が棚段21に形成されていてもよい。
荷物は、ケース、トレイ、段ボール、折りたたみコンテナ等であり、商品を収納している。なお、以下の説明では、一般的な名称としては「荷物」を用い、具体的な名称としては、「小荷物S」、「中荷物M」、「大荷物L」を用いる。
【0019】
(3)棚段における荷物大きさ区分(荷幅区分)の設定
図3~
図7を用いて、各間口22には荷物大きさ区分が設定され、それに従って荷物が格納される規則を説明する。
図3~
図7は、間口における荷物大きさ区分の設定及び荷物格納のルールを説明する模式図である。
図3に示すように、小荷物用大きさ区分が設定された間口22には、例えば5個の荷物載置位置が確保されており、5個の小荷物Sを載置可能である。
【0020】
図4に示すように、中荷物用大きさ区分が設定された間口22には、例えば4個の荷物載置位置が確保されており、4個の中荷物Mを載置可能である。
図5に示すように、大荷物用大きさ区分が設定された間口22には、例えば3個の荷物載置位置が確保されており、3個の大荷物Lを載置可能である。
【0021】
間口22の1つ目に格納した(予約を含む)荷物の大きさ区分によって、当該間口22の2つ目以降に格納できる荷物大きさ区分が決定される。そして、間口22には、当該荷物大きさ区分に対応する荷物及びそれより小さな荷物大きさ区分に対応する荷物は格納許可されるが、当該荷物大きさ区分より大きな荷物大きさ区分に対応する荷物は格納不許可となる。つまり、小荷物Sが間口22の1つ目に格納又は予約されると、その間口22では中荷物Mや大荷物Lは格納できなくなる。
【0022】
図6に、間口22に大荷物用大きさ区分が設定された間口22を示す。この場合、大荷物L以外に、中荷物M及び小荷物Sを格納できる。同様に、図示しないが、中荷物用大きさ区分が設定された間口22には、中荷物M以外に、小荷物Sを格納できる。なお、
図6に示す大荷物Lは、予約状態を含む。
図7に、間口22に小荷物用大きさ区分が設定された間口22を示す。この場合、中荷物M及び大荷物Lを格納できない。同様に、図示しないが、中荷物用大きさ区分が設定された間口22には、大荷物Lを格納できない。
【0023】
(4)搬送車
複数の搬送車3は、それぞれ、各棚段21の対応する高さにおいて、第1方向に沿って走行可能である。具体的には、第1方向に直線状に延びるレール5が各棚段21に対応する高さに敷設されており、搬送車3はレール5上を第1方向に往復走行できる。つまり、搬送車3はシャトル台車である。
搬送車3は、例えば、荷物を1個ずつ搬送する。
また、搬送車3は、移載装置15を有しており、棚段21の対応する間口22との間で第2方向に荷物を移載可能となっている。移載装置15は、例えば、リアフック式である。したがって、移載装置15は、アーム間隔を変えることで大きさの異なる荷物を移載できる。ただし、移載装置の種類は限定されない。
【0024】
(5)昇降装置
入庫用昇降装置11は、ラック1と入庫ステーション7との間に配置され、昇降機構(図示せず)と、昇降台53を有する。昇降機構は、公知の技術であり、支柱55に沿って昇降台53を鉛直方向に昇降する。昇降台53は、入庫ステーション7と棚段21との間で荷物を移載する昇降台コンベヤ57を有している。
また、各棚段21には、入庫用昇降装置11に対して第1方向に隣接する部分に、入庫用コンベヤ23が設けられている。そのため、両方のコンベヤが連動して動作することで、荷物の受け渡しが行われる。なお、入庫用コンベヤ23は、荷物保管用のバッファコンベヤとして機能する。
【0025】
出庫用昇降装置13は、ラック1に対して、第1方向において入庫用昇降装置11と同じ側に設けられている。出庫用昇降装置13は、ラック1と出庫ステーション9との間に配置され、昇降機構(図示せず)と昇降台63を有する。昇降機構は、公知の技術であり、支柱(図示せず)に沿って昇降台63を鉛直方向に昇降する。昇降台63は、出庫ステーション9と棚段21との間で荷物を移載する昇降台コンベヤ67を有している。
また、各棚段21には、出庫用昇降装置13に対して第1方向に隣接する部分に、出庫用コンベヤ25が設けられている。そのため、両方のコンベヤが連動して動作することで、荷物の受け渡しが行われる。なお、出庫用コンベヤ25は、荷物保管用のバッファコンベヤとして機能する。
昇降台コンベヤ67は、昇降台コンベヤ57と構造及び動作が同じである。
【0026】
(6)入庫ステーション及び出庫ステーション
入庫ステーション7は、ラック1の第1方向一方側に配置されている。入庫ステーション7は、ラック1に収納されるべき荷物を搬入コンベヤ(図示せず)から受け取る。入庫ステーション7は、ステーションコンベヤ7aを有している。
【0027】
出庫ステーション9は、ラック1に対して、第1方向において入庫ステーション7と同じ側に配置されている。出庫ステーション9は、ラック1から取り出された荷物を受け取る。入庫ステーション7は、ステーションコンベヤ9aを有している。
なお、入庫ステーション及び出庫ステーションの位置及び数は特に限定されない。
【0028】
(7)自動倉庫の制御構成
図8を用いて、自動倉庫100の制御構成を説明する。
図8は、自動倉庫の制御構成を示す機能ブロック図である。
図8に示すように、自動倉庫100は、コントローラ51を有している。
コントローラ51は、自動倉庫100における荷物の保管及び入出庫を管理する装置である。コントローラ51は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。
コントローラ51は、地上コントローラであり、上位コントローラ(図示せず)から入庫、出庫などの指令を受信し、実行結果を報告する。なおコントローラ51は、ユニット4ごとに分散配置した複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0029】
コントローラ51は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで各所制御動作を行ってもよいし、一部の制御動作をコントローラ51に含まれるハードウェアで実現してもよい。
【0030】
コントローラ51は、棚ファイル42とオーダーファイル43等のファイルを記憶装置に格納している。
図9に示すように、棚ファイル42は棚段21の間口22ごとに、(空、予約(空であるが、荷物を保管する予約がある)、在荷)といった間口22の状態、荷物大きさ区分(未登録、小、中、大)、予約又は在荷である場合の荷物のID等からなるレコードを記憶する。オーダーファイル43は、オーダーの番号ごとに、荷物の行き先、例えば出荷先あるいは出庫するピッキングエリアの番号等、及びオーダーに含まれる荷物のID等からなるファイルを記憶する。棚ファイル42及びオーダーファイル43の構成は任意で、棚ファイル42を用いて棚段21の予約と在庫の荷物を検索でき、オーダーファイル43を用いてオーダーに含まれる荷物のIDあるいはその在庫位置を検索できればよい。なお、
図9は、棚ファイルのレコードと、オーダーファイルのレコードを示す図である。
【0031】
コントローラ51は、荷物大きさ区分把握部83と、格納位置決定部85と、格納荷物量把握部87と、閾値記憶部89と、荷物大きさ区分設定部91と、を有している。
荷物大きさ区分把握部83は、入庫する荷物の大きさ区分を把握する。
格納位置決定部85は、把握した荷物の大きさ区分に基づいて、当該荷物の格納位置を決定する。決定した格納位置は、棚ファイル42に記録される。
【0032】
格納荷物量把握部87は、ユニット4内に格納されている小荷物S(特定サイズ荷物の一例)の量を把握する。このとき、棚ファイル42が参照される。
閾値記憶部89は、ユニット4ごとの小荷物Sの格納荷物量(後述)の閾値を記憶する。
荷物大きさ区分設定部91は、最初に格納される荷物の大きさに従って、間口22の大きさ区分を設定する。荷物大きさ区分設定部91は、後述するように、小荷物Sの格納荷物量が閾値を超えた場合に、小荷物Sが入庫される間口22の荷物大きさ区分を中荷物M又は大荷物Lの荷物大きさ区分に設定する(後述)。
【0033】
コントローラ51には、入庫用昇降装置11、出庫用昇降装置13、入庫ステーション7、出庫ステーション9、複数の搬送車3、複数の入庫用コンベヤ23、複数の出庫用コンベヤ25が接続されている。コントローラ51は、これら装置を制御可能である。
コントローラ51には、
図8に示すように、閾値入力部61が接続されている。閾値入力部61は、ユニット4ごとに設定されている小荷物格納量の閾値を変更するための手段である。閾値入力部61は、キーボード、マウス、タッチパネルなどからなる。
コントローラ51には、図示しないが、荷物の大きさ、形状及び位置を検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。より具体的には、入庫ステーション7、出庫ステーション9、搬送車3などには、IDリーダ(図示せず)と荷物センサ(図示せず)とが配置され、コントローラ51は、それらセンサを用いて、荷物のIDを読み取り、また荷物の有無を所定の位置にて把握できる。
【0034】
(8)自動倉庫における入庫動作及び出庫動作
(8-1)入庫動作
最初に、入庫用昇降装置11の昇降台53の昇降台コンベヤ57が、入庫ステーション7のステーションコンベヤ7aの位置まで移動する。
【0035】
次に、ステーションコンベヤ7aが、荷物を入庫用昇降装置11の昇降台コンベヤ57に搬送する。
次に、昇降台53が、荷物を入庫すると決定した棚段21に対応する位置まで昇降する。
次に、昇降台53の昇降台コンベヤ57が、荷物を入庫用コンベヤ23に搬送する。
【0036】
次に、搬送車3が、入庫用コンベヤ23まで移動し、荷物を積み込む。
最後に、搬送車3は、第1方向に走行して、荷物Wを棚段21の目的の間口22に下ろす。
【0037】
(8-2)出庫動作
最初に、搬送車3が、第1方向に走行して棚段21の荷物のある目的の間口22の前まで走行し、荷物を積み込む。
次に、搬送車3が、出庫用コンベヤ25まで移動し、荷物を下ろす。
次に、出庫用昇降装置13の昇降台63が、荷物を出庫すると決定した棚段21に対応する位置まで昇降する。
【0038】
次に、出庫用コンベヤ25が、荷物を出庫用昇降装置13の昇降台63の昇降台コンベヤ67に搬送する。
次に、昇降台63が、出庫ステーション9のステーションコンベヤ9aの位置まで昇降する。
最後に、昇降台63の昇降台コンベヤ67が、荷物を出庫ステーション9のステーションコンベヤ9aに搬送する。
【0039】
(9)荷物の格納位置を決定する制御動作
図10を用いて、荷物の格納位置を決定する制御動作を説明する。
図10は、荷物の格納位置を決定する制御動作を示すフローチャートである。
以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
なお、各装置の動作は、コントローラ51から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
【0040】
以下に説明する制御は、ユニット4ごとに独立して行われる。
ステップS1では、入庫指令が受信されるのを待つ。具体的には、コントローラ51は、上位コントローラから入庫指令を受信するのを待つ。入庫指令はオーダーを含んでおり、オーダーの行き先、オーダーを構成する荷物のID等のオーダーのデータを含んでいる。入庫指令は、オーダーを構成する荷物の個数も含んでいる。なお、入庫指令は、荷物の到着に先行して送信及び受信される。
ステップS2では、入庫する1つの荷物の荷物大きさ区分が把握される。具体的には、荷物大きさ区分把握部83が、入庫する荷物の荷物大きさ区分を把握する。荷物大きさ区分は、入庫する荷物の大きさ(荷幅)の測定結果によって決定される。荷物の大きさ(荷幅)は、入庫ステーション7のさらに搬送方向上流側に設けられた荷幅センサによって測定される。なお、荷幅情報は、さらに上流側で計測又は認識されたものでもよいし、あらかじめ登録されたものでもよい。
【0041】
ステップS3では、上記ステップS2で把握した荷物大きさ区分で格納位置が検索され、区分登録済みで空いている間口22があるか否かが判断される。YesであればプロセスはステップS10に移行する。NoであればプロセスはステップS4に移行する。
なお、「区分登録済みで空いている間口22」とは、小荷物Sであれば荷物大きさ区分が小荷物Sであって載置位置に空きがあるものである。
また、間口22の決定の際には、格納位置決定部85が、棚ファイル42を参照し、どの棚段21に格納するかを最初に決定する。このとき、各段の搬送車3が同時搬送で出庫できるようにするために、同一オーダーの荷物は別の棚段21に分散される。次に、格納位置決定部85は、当該棚段21の中で同じ荷物大きさ区分で空いている間口22を検索する。これにより、同一オーダーの荷物が別の段に分散して保管される。
ステップS10では、荷物大きさ区分登録済みの間口22において、荷物格納位置が決定される。格納位置決定部85が上記決定を行う。その後、プロセスはステップS2に戻る。
【0042】
ステップS4では、小荷物Sであるか否かが判断される。具体的には、荷物大きさ区分把握部83が上記判断を実行する。小荷物SであればプロセスはステップS5に移行し、小荷物S以外であればプロセスはステップS11に移行する。
ステップS5では、小荷物Sの格納荷物量が把握される。具体的には、格納荷物量把握部87が、ユニット4内に格納されている小荷物Sの格納荷物量を把握する。
なお、「小荷物Sの格納荷物量」は、例えば、ユニット4内ですでに小荷物用の荷物大きさ区分が設定されている間口22の数又はその割合である。
【0043】
ステップS6では、小荷物Sの格納荷物量が閾値を超えたか否かが判断される。具体的には、荷物大きさ区分設定部91が、閾値記憶部89に格納された小荷物Sの格納荷物量の閾値に基づいて、小荷物Sの格納荷物量が閾値を超えているか否かを判断する。
閾値を超えていればプロセスはステップS7に移行し、閾値を超えていなければプロセスはステップS11に移行する。
ステップS11では、荷物大きさ区分未登録の間口22において、本来の荷物大きさ区分が設定される。つまり、中荷物Mに関しては中荷物用の荷物大きさ区分が設定され、大荷物Lに関しては大荷物用の荷物大きさ区分が設定される。
【0044】
ステップS7では、小荷物Sが格納される荷物区分未登録の間口22の荷物大きさ区分に、小荷物Sではなく、それ以外の荷物(中荷物M又は大荷物L)の荷物大きさ区分が設定される。つまり、荷物大きさ区分設定部91が、小荷物Sが入庫される荷物大きさ区分未登録の間口22の荷物大きさ区分を、中荷物M又は大荷物Lの荷物大きさ区分に設定する。具体的には、
図11に示すように、当該小荷物Sが格納又は予約される間口22は、例えば大荷物用の荷物大きさ区分に設定され、そのためその後に中荷物Mや大荷物Lが格納可能になる。なお、
図11は、小荷物が格納される又は予約されるときに大荷物用の荷物大きさ区分が設定されている状態を示す模式図である。
なお、荷物大きさ区分設定部91は、上記のように小荷物Sの格納荷物量が閾値を超えて小荷物Sが入庫される間口22の荷物大きさ区分を中荷物区分又は大荷物区分に設定する場合に、中荷物Mと大荷物Lの格納数を比較して、格納数が多い荷物の荷物大きさ区分を選択する。例えば、大荷物Lの格納数が多い場合は大荷物Lの荷物大きさ区分が設定されることで、大荷物Lの格納又は予約スペース増やせる。したがって、自動倉庫100の収納能力が向上する。
【0045】
ステップS8では、荷物大きさ区分未登録の間口22において、小荷物Sの荷物格納位置が決定される。格納位置決定部85が上記決定を行う。
なお、荷物大きさ区分未登録の間口22が存在しない場合は、ステップS4~ステップS7が実行されずに、例えば、小荷物Sは、荷物大きさ区分が大荷物L又は中荷物M(つまり、小荷物Sより大きい)で、空きがある間口22に格納位置が設定されてもよい。
ステップS9では、全ての荷物の格納位置が決定したか否かが判断される。決定していればプロセスは終了し、決定していなければプロセスはステップS2に戻る。
【0046】
この自動倉庫100では、小荷物Sの格納荷物量が閾値(つまり、上限値)を超えた場合に、小荷物Sが格納される間口22の荷物大きさ区分が、中荷物M又は大荷物Lの荷物大きさ区分に設定される。したがって、中荷物M又は大荷物Lが格納できなくなることが防がれる。
従来であれば、例えば小荷物Sが多くの間口22に収納されたり小荷物Sによって多くの間口22が予約されたりすると、それら間口22は小荷物Sの大きさ区分に設定されるので、それら間口22にはそれ以降は中荷物M又は大荷物Lを収納できなくなっていた。それに対して、本実施形態では、小荷物Sの格納荷物量が閾値を超えた場合に、小荷物Sが入庫される間口22の荷物大きさ区分が中荷物M又は大荷物Lに設定される。したがって、小荷物Sの荷物大きさ区分の間口22がそれ以上は増えることがない。したがって、中荷物M又は大荷物Lが格納できなくなることが防がれる。
特に従来であれば、ユニット4において荷物格納率が高い場合は、最大保管数となる小荷物Sの荷大きさ区分の制限が理由でデッドロックが発生する可能性があった。本実施形態では、小荷物Sの荷大きさ区分で設定される間口22の数が制限されている。
【0047】
コントローラ51は、上記制御動作により決定された割り当てに従って、各構成要素の動作を制御することで、荷物をユニット4のラック1の棚段21の所定の間口22に入庫する。例えば、入庫ステーション7まで搬入された荷物は、入庫ステーション7、入庫用昇降装置11、入庫用コンベヤ23、及び搬送車3によって、所定の間口22に格納される。
【0048】
2.実施形態の特徴
第1実施形態は、下記のようにも説明できる。
自動倉庫100(自動倉庫の一例)は、ラック1と、搬送車3と、コントローラ51とを備えている。
ラック1(ラックの一例)は、荷物を収納可能である。
搬送車3(入出庫台車の一例)は、ラック1に沿って走行し、荷物をラック1の間口22に入庫及びラックの間口22から出庫する。
コントローラ51(コントローラの一例)は、荷物大きさ区分把握部83と、格納位置決定部85と、格納荷物量把握部87と、閾値記憶部89と、荷物大きさ区分設定部91と、を有している。
荷物大きさ区分把握部83(荷物大きさ区分把握手段の一例)は、入庫する荷物の大きさ区分を把握する。
格納位置決定部85(格納位置決定手段の一例)は、把握した荷物の大きさ区分に基づいて、当該荷物の格納位置を決定する。
格納荷物量把握部87(格納荷物量把握手段の一例)は、ラック1内に格納されている荷物の量を把握する。
閾値記憶部89(閾値記憶手段の一例)は、格納荷物量の閾値を記憶する。
荷物大きさ区分設定部91(荷物大きさ区分設定手段の一例)は、格納荷物量が閾値を超えた場合に、小荷物Sが入庫される間口22の荷物大きさ区分を小荷物Sの大きさ区分より大きな荷物大きさ区分に設定する。
【0049】
この自動倉庫100では、格納荷物量が閾値を超えた場合に、小荷物Sが格納される間口の荷物大きさ区分が、小荷物Sの大きさ区分より大きな荷物大きさ区分に設定される。したがって、中荷物Mや大荷物Lが格納できなくなることが防がれる。
【0050】
3.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0051】
荷物の大きさ区分は2種類でもよいし、4種類以上でもよい。
小荷物格納量の閾値は、荷物全体の数に対して小荷物の格納された(予約を含む)数の割合であってもよい。
【0052】
中荷物の格納荷物量が閾値を超えた場合に、中荷物が入庫される間口の荷物大きさ区分が、大荷物用荷物大きさ区分に設定されてもよい。
荷幅情報は、大中小等の複数ランクで区分されていてもよい。
ラックはレールの第2方向片側のみに設けられていてもよい。
入出庫台車はスタッカクレーンでもよい。
【0053】
第1実施形態では1つの小荷物Sの格納位置を決定するごとに閾値判断を行ってさらに区分未登録間口の荷物大きさ区分を設定していたが、入庫指令を受け取って荷物の種類や数を把握した後であれば、入庫指令に含まれる小荷物Sの閾値判断及び区分未登録間口の荷物大きさ区分設定の順序やタイミングは適宜設定可能である。
小荷物Sの格納荷物量と閾値との比較ではなく、自動倉庫全体の格納量が閾値を超えたとき、すなわち自動倉庫全体として空き間口が少なくなった時に、より大きな荷物大きさ区分設定を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、入出庫台車がラックに沿って走行して荷物をラックの間口に入庫及びラックの間口から出庫する自動倉庫に広く適用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 :ラック
3 :搬送車
4 :ユニット
5 :レール
7 :入庫ステーション
7a :ステーションコンベヤ
9 :出庫ステーション
9a :ステーションコンベヤ
11 :入庫用昇降装置
13 :出庫用昇降装置
15 :移載装置
21 :棚段
22 :間口
23 :入庫用コンベヤ
25 :出庫用コンベヤ
51 :コントローラ
53 :昇降台
55 :支柱
57 :昇降台コンベヤ
61 :閾値入力部
63 :昇降台
65 :支柱
67 :昇降台コンベヤ
73 :荷物幅センサ
83 :荷物大きさ区分把握部
85 :格納位置決定部
87 :格納荷物量把握部
89 :閾値記憶部
91 :荷物大きさ区分設定部
100 :自動倉庫