(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083245
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】ゴンドラ
(51)【国際特許分類】
E04G 3/30 20060101AFI20220527BHJP
【FI】
E04G3/30 301K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194583
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】592131696
【氏名又は名称】株式会社サンメイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】今宮 貴隆
【テーマコード(参考)】
2E003
【Fターム(参考)】
2E003EB01
2E003EB03
(57)【要約】
【課題】円筒状構造物に対しても保守、点検作業が行いやすいゴンドラを提供することを目的とする。
【解決手段】ワイヤロープによって吊り下げられ、該ワイヤロープを上部に設けられたウィンチで巻き取り/送り出すことにより昇降が可能なゴンドラであって、一定の幅の作業床を有し、前記作業床は、複数の床面部材を延伸方向に沿って連結させることにより、複数の形態で構成することができ、前記複数の床面部材の各々は、上面視、平行な上底および下底と、相互に対向する第1および第2の辺とを有する台形形状であり、前記複数の形態には、非一直線状の形態が含まれる、ゴンドラ。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤロープによって吊り下げられ、該ワイヤロープを上部に設けられたウィンチで巻き取り/送り出すことにより昇降が可能なゴンドラであって、
一定の幅の作業床を有し、
前記作業床は、複数の床面部材を延伸方向に沿って連結させることにより、複数の形態で構成することができ、
前記複数の床面部材の各々は、上面視、平行な上底および下底と、相互に対向する第1および第2の辺とを有する台形形状であり、
前記複数の形態には、非一直線状の形態が含まれる、ゴンドラ。
【請求項2】
前記上底および下底は、前記延伸方向に沿って延在し、
前記複数の床面部材の前記第1または第2の辺は、隣接する床面部材の前記第1および第2の辺の一方と対面または当接されるように構成される、請求項1に記載のゴンドラ。
【請求項3】
前記作業床は、第1および第2の床面部材を有し、
前記第1および第2の床面部材は、それぞれ、前記作業床の前記延伸方向に沿った第1の端部および第2の端部に配置される、請求項1または2に記載のゴンドラ。
【請求項4】
前記第1の床面部材において、前記第1の辺は、前記上底および前記下底と90゜で交差し、
前記第2の床面部材において、前記第2の辺は、前記上底および前記下底と90゜で交差する、請求項3に記載のゴンドラ。
【請求項5】
前記第1および第2の床面部材を除く各床面部材は、2つの底角が相互に等しい等脚台形の形状を有し、
前記底角は、75゜~86゜の範囲である、請求項3または4に記載のゴンドラ。
【請求項6】
前記第1および第2の床面部材を除く各床面部材は、第1の辺および第2の辺に設けられた連結部材を有し、該連結部材は、平面状の接合面を有し、各床面部材は、隣接する床面部材との間で、それぞれの連結部材の前記接合面を合わせた状態で、両連結部材をボルトナットで締結することにより、連結され、
前記第1の床面部材は、前記第2の辺に設けられた連結部材を有し、該連結部材は、平面状の接合面を有し、前記第1の床面部材は、隣接する床面部材との間で、それぞれの連結部材の前記接合面を合わせた状態で、両連結部材をボルトナットで締結することにより、連結され、
前記第2の床面部材は、前記第1の辺に設けられた連結部材を有し、該連結部材は、平面状の接合面を有し、前記第2の床面部材は、隣接する床面部材との間で、それぞれの連結部材の前記接合面を合わせた状態で、両連結部材をボルトナットで締結することにより、連結される、請求項3乃至5のいずれか一項に記載のゴンドラ。
【請求項7】
前記連結部材は、溝形鋼で構成される、請求項6に記載のゴンドラ。
【請求項8】
前記作業床の上面視、前記第1の床面部材の上底と、前記第2の床面部材の上底とのなす角度φは、90゜≦φ<180゜の範囲である、請求項3乃至7のいずれか一項に記載のゴンドラ。
【請求項9】
前記作業床の幅は、450mm~1000mmの範囲である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のゴンドラ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の、煙突の点検または保守用のゴンドラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の保守、点検の際には、構造物の近傍にゴンドラが設置される。
【0003】
ゴンドラは、構造物の上部に設けられた吊り部材に結合されたワイヤロープによって吊り下げられ、該ワイヤロープをウィンチで巻き取り/送り出すことにより、昇降させることができる。また、ゴンドラには作業床が設けられており、この上で、作業員は作業を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゴンドラは、ビルのような平面状の外面を有する建造物に対して保守、点検作業を行う際には、安全かつ効率的に利用することができる。
【0005】
しかしながら、従来のゴンドラを、煙突のような円筒状構造物の保守、点検用の足場として利用することを想定した場合、従来のゴンドラは作業性に優れるとは言い難い。従来のゴンドラは、作業床が略長方形状であるため、円筒状構造物のような曲面状の壁面に対して、しばしば、作業員がアプローチするには難しい状況が生じ得るからである。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、円筒状構造物に対しても保守、点検作業が行いやすいゴンドラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、
ワイヤロープによって吊り下げられ、該ワイヤロープを上部に設けられたウィンチで巻き取り/送り出すことにより昇降が可能なゴンドラであって、
一定の幅の作業床を有し、
前記作業床は、複数の床面部材を延伸方向に沿って連結させることにより、複数の形態で構成することができ、
前記複数の床面部材の各々は、上面視、平行な上底および下底と、相互に対向する第1および第2の辺とを有する台形形状であり、
前記複数の形態には、非一直線状の形態が含まれる、ゴンドラが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、円筒状構造物に対しても保守、点検作業が行いやすいゴンドラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態によるゴンドラの模式的な斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるゴンドラの別の方向からの模式的な斜視図である。
【
図3】
図1および
図2に示した本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の模式的な上面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図10】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図11】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図12】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図13】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図14】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図15】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図16】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図17】本発明の一実施形態によるゴンドラの作業床の一形態を模式的に示した序面図である。
【
図18】本発明の別の実施形態によるゴンドラの模式的な斜視図である。
【
図19】床面部材同士を連結する連結構造の一例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
(本発明の一実施形態によるゴンドラ)
図1には、本発明の一実施形態によるゴンドラの模式的な斜視図を示す。また、
図2には、
図1に示したゴンドラの別の方向から見た模式的な斜視図を示す。
【0012】
図1および
図2に示すように、本発明の一実施形態によるゴンドラ(以下、単に「ゴンドラ」と称する)100は、作業床110および複数の手すり145を有する。
図1および
図2では、図面の明確化のため、手すり145は、概略的に示されている。
【0013】
ゴンドラ100は、さらに、ウィンチ160と、該ウィンチ160を支持するための支持体165とを有する。ウィンチ160と支持体165の組は、通常、2組設けられる。
それぞれの支持体165は、作業床110に固定される。
【0014】
ゴンドラ100は、ウィンチ160に接続されたワイヤロープ(図示されていない)によって吊り下げられており、該ワイヤロープをウィンチ160で巻き取り/送り出すことにより、所望の高さに昇降させることができる。
【0015】
ここで、従来のゴンドラは、煙突のような円筒状構造物の保守、点検用の足場として利用するには、作業性の点で問題が多い。従来のゴンドラは、作業床が略長方形状であるため、円筒状構造物の曲面状の壁面に対して、作業員がアプローチすることが難しい状況が生じ得るからである。
【0016】
これに対して、ゴンドラ100は、後述するように、作業床110が台形形状を有する複数の床面部材を、延伸方向に沿って連結することにより構成されるという特徴を有する。
【0017】
この場合、各床面部材を様々な配置で組み合わせることにより、各種形態の作業床110を構成することが可能になる。特に、作業床110は、
図1および
図2に示したような一方向に一直線状に延在する形状のものの他、非一直線状に延在する形態とすることもできる。
【0018】
従って、そのような特徴を有するゴンドラ100では、円筒状構造物の形状に合わせて、所望の形状の作業床110を構成することができる。また、これにより、円筒状構造物の形状に関わらず、作業性の高いゴンドラ100を構成することが可能となる。
【0019】
(作業床の具体例)
次に、
図3~
図17を参照して、ゴンドラ100における作業床110の具体的形態について説明する。
【0020】
図3には、
図1および
図2に示したゴンドラ100の作業床110の模式的な上面図を示す。
【0021】
図3に示すように、この作業床110は、合計7つの床面部材150A~150Gを延伸方向(X方向)に沿って連結することにより構成される。一例として、この作業床110は、上面視、全長3500mm、幅800mmの長方形形状を有する
以下、床面部材150A~150Gを、それぞれ、「第1の床面部材150A」~「第7の床面部材150G」と称する。各床面部材150A~150Gは、台形形状を有する。
【0022】
第1の床面部材150Aは、作業床110の一端に配置され、第2の床面部材150Bは、作業床110の他端に配置される。第2の床面部材150Bは、第1の床面部材150Aを上下反転させたような形状を有する。
【0023】
第3の床面部材150C、第5の床面部材150E、および第7の床面部材150Gは、相互に同じ形状であり、第4の床面部材150D、および第6の床面部材150Fは、相互に同じ形状である。
【0024】
作業床110は、第1の床面部材150A、第3の床面部材150C、第4の床面部材150D、第5の床面部材150E、第6の床面部材150F、第7の床面部材150G、および第2の床面部材150Bをこの順に、一列に配置することにより構成される。
【0025】
第1の床面部材150Aは、上底152Aおよび下底154Aと、第1の辺156Aおよび第2の辺158Aとを有する。第2の床面部材150Bは、上底152Bおよび下底154Bと、第1の辺156Bおよび第2の辺158Bとを有する。第3の床面部材150Cは、上底152Cおよび下底154Cと、第1の辺156Cおよび第2の辺158Cとを有する。第4の床面部材150D以降の場合も同様である。
【0026】
なお、本願において、「上底」は、台形における相互に平行な辺のうち、短い方を意味し、「下底」は、台形における相互に平行な辺のうち、長い方を意味する。
【0027】
これに対して、台形における「第1の辺」および「第2の辺」という用語は、相対的な位置関係を表し、相互互換可能に使用される。
【0028】
第1の床面部材150Aにおいて、第1の辺156Aは、上底152Aおよび下底154Aと垂直に交差する。一方、第2の辺158Aは、上底152Aと角度θA1で交差し、下底154Aと角度θA2(=180゜-θA1)で交差する。
【0029】
同様に、第2の床面部材150Bにおいて、第2の辺158Bは、上底152Bおよび下底154Bと垂直に交差する。一方、第1の辺156Bは、上底152Bと角度θB1で交差し、下底154Bと角度θB2(=180゜-θB1)で交差する。
【0030】
なお、一般に、下底と第1の辺とまたは第2の辺とのなす角度は、「底角」と称される。
【0031】
一方、第3の床面部材150C~第7の床面部材150Gは、2つの底角が相互に等しい、等脚台形の形状を有する。例えば、第3の床面部材150Cは、底角θC1=θC2=θA2であり、第4の床面部材150D以降も同様である。
【0032】
ここで、底角θ
A2、θ
B2、θ
C2、θ
D2、θ
E2、θ
F2、θ
G2は、75゜~86゜の範囲であることが好ましい。底角は、80゜~84゜の範囲であることがより好ましい。例えば、
図3に示した例では、これらの底角=82.5゜である。
【0033】
各床面部材150A~150Gにおいて、上底152A~152Gの寸法は、いずれも100mm以上であることが好ましい。例えば、
図3に示した例では、最も短い、上底152C、152E、152Gの寸法は、いずれも200mmである。
【0034】
なお、各床面部材150A~150Gにおいて、台形の高さ(上底と下底の距離)は、いずれも等しくなっており、従って、作業床110の幅Wは、場所によらず一定である。
【0035】
作業床110の幅Wは、例えば、450mm~1000mmの範囲である。前述のように、
図3に示した例では、幅W=800mmである。
【0036】
このような台形形状の複数の床面部材150A~150Gを使用した場合、床面部材150A~150Gの配列および組み合わせを変更することにより、様々な形状の作業床を構成することが可能になる。
【0037】
以下、そのような作業床の形態の一例について説明する。
【0038】
図4~
図10には、上記のような床面部材150A~150Gのいくつかを用いて構成された作業床の概略的な上面図を示す。
【0039】
【0040】
この作業床112は、前述の第1の床面部材150A、第3の床面部材150C、第4の床面部材150D、第6の床面部材150F、第7の床面部材150G、および第2の床面部材150Bをこの順に連結させることにより構成される。すなわち、作業床112では、
図3に示した作業床110と比べて、第5の床面部材150Eが除去されている。
【0041】
作業床112は、前述の作業床110とは異なり、一直線状に延伸しておらず、非一直線状の形態を有する。ただし、作業床112において、該作業床112の幅Wは、場所によらず一定である。
【0042】
なお、
図4に示すように、この例では、幾何学計算上、上面視、各床面部材同士の間に実質的に隙間が生じないようにして、作業床112を構成することができる。ただし、実際には、組み立ての精度等の観点から、各床面部材同士の間には、若干の隙間が存在してもよい。以降に示す作業床114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138においても、同様のことが言える。
【0043】
図4に示した例では、第1の床面部材150Aの上底152Aの延長線と、第2の床面部材150Bの上底152Bの延長線とのなす角度αは、165゜である。
【0044】
次に、
図5には、さらに別の作業床114の構成を示す。
【0045】
作業床114は、第1の床面部材150A、第3の床面部材150C、第4の床面部材150D、第5の床面部材150E、第6の床面部材150F、第7の床面部材150G、および第2の床面部材150Bをこの順に連結させることにより構成される。ただし、作業床114は、前述の作業床110において、第5の床面部材150Eの上下を反転した構成を有する。
【0046】
作業床114は、前述の作業床110とは異なり、一直線状に延伸しておらず、非一直線状の形態を有する。ただし、作業床114において、該作業床114の幅Wは、場所によらず一定である。
【0047】
図5に示した例では、第1の床面部材150Aの上底152Aの延長線と、第2の床面部材150Bの上底152Bの延長線とのなす角度αは、150゜である。
【0048】
次に、
図6には、さらに別の作業床116の構成を示す。
【0049】
作業床116は、第1の床面部材150A、第3の床面部材150C、第4の床面部材150D、第5の床面部材150E、第6の床面部材150F、第7の床面部材150G、および第2の床面部材150Bをこの順に連結させることにより構成される。ただし、作業床116は、前述の作業床110において、第3の床面部材150Cおよび第7の床面部材150Gの上下が反転された構成を有する。
【0050】
作業床116は、前述の作業床110とは異なり、一直線状に延伸しておらず、非一直線状の形態を有する。ただし、作業床116において、該作業床116の幅Wは、場所によらず一定である。
【0051】
図6に示した例では、第1の床面部材150Aの上底152Aの延長線と、第2の床面部材150Bの上底152Bの延長線とのなす角度αは、120゜である。
【0052】
次に、
図7には、さらに別の作業床118の構成を示す。
【0053】
作業床118は、第1の床面部材150A、第4の床面部材150D、第5の床面部材150E、第6の床面部材150F、および第2の床面部材150Bをこの順に連結させることにより構成される。作業床118において、第5の床面部材150Eは、前述の作業床110における第5の床面部材150Eの上下を反転した構成を有する。
【0054】
作業床118は、前述の作業床110とは異なり、一直線状に延伸しておらず、非一直線状の形態を有する。ただし、作業床118において、該作業床118の幅Wは、場所によらず一定である。
【0055】
図7に示した例では、第1の床面部材150Aの上底152Aの延長線と、第2の床面部材150Bの上底152Bの延長線とのなす角度αは、120゜である。
【0056】
次に、
図8には、さらに別の作業床120の構成を示す。
【0057】
作業床120は、前述の第1の床面部材150A、第3の床面部材150C、第4の床面部材150D、第6の床面部材150F、第7の床面部材150G、および第2の床面部材150Bをこの順に連結させることにより構成される。すなわち、作業床112は、
図3に示した作業床110と比べて、第5の床面部材150Eが除去されている。また、前述の作業床110と比べて、第3の床面部材150Cおよび第7の床面部材150Gが、上下に反転された構成を有する。
【0058】
作業床120は、前述の作業床110とは異なり、一直線状に延伸しておらず、非一直線状の形態を有する。ただし、作業床120において、該作業床120の幅Wは、場所によらず一定である。
【0059】
図8に示した例では、第1の床面部材150Aの上底152Aの延長線と、第2の床面部材150Bの上底152Bの延長線とのなす角度αは、105゜である。
【0060】
次に、
図9には、さらに別の作業床122の構成を示す。
【0061】
作業床122は、前述の第1の床面部材150A、第3の床面部材150C、第4の床面部材150D、第5の床面部材150E、第6の床面部材150F、第7の床面部材150G、および第2の床面部材150Bをこの順に連結させることにより構成される。
【0062】
作業床122は、前述の作業床110と比べて、第3の床面部材150C、第5の床面部材150E、および第7の床面部材150Gが、上下に反転された構成を有する。
【0063】
作業床122は、前述の作業床110とは異なり、一直線状に延伸しておらず、非一直線状の形態を有する。ただし、作業床122において、該作業床122の幅Wは、場所によらず一定である。
【0064】
図9に示した例では、第1の床面部材150Aの上底152Aの延長線と、第2の床面部材150Bの上底152Bの延長線とのなす角度αは、90゜である。
【0065】
図10~
図13には、それぞれ、作業床124、126、128、130の構成を示す。これらの構成においても、作業床124、126、128、130は、一直線状に延伸しておらず、非一直線状の形態を有する。ただし、これらの作業床124、126、128、130においても、該作業床124、126、128、130の幅Wは、場所によらず一定である。
【0066】
なお、本発明の一実施形態では、
図3に示した作業床110の構成とは異なる全長を有する、一直線状に延伸する作業床も構成することができる。
【0067】
図14~
図17には、そのような作業床(それぞれ、作業床132、134、136、138)を概略的に示した。作業床132、134、136、138では、全長が相互に異なっている。
【0068】
このように、本発明の一実施形態では、ゴンドラ100の作業床を、様々な形態で構成することができる。
【0069】
従って、点検、保守の対象となる円筒状構造物の形状に合わせて、所望の形状の作業床を構成することにより、作業性の高いゴンドラ100を構成することが可能となる。
【0070】
図18には、非一直線状の作業床を有するゴンドラ200の一構成例を示す。このゴンドラ200は、前述の
図8に示したような作業床120を有する。ゴンドラ200の作業床120は、略円弧状の曲面に沿って延伸する。
【0071】
なお、本発明の一実施形態では、2つのウィンチ160により、ゴンドラ160が吊り下げられる(いわゆる2点吊り)。
【0072】
この場合、ウィンチ160を支持する支持体165は、2台のウィンチ160でゴンドラ100を吊り下げた際に、作業床の重量バランスが適切に保持されるように、作業床の両端部近傍に設置される。従って、通常、支持体165は、第1の床面部材150Aおよび第2の床面部材150Bに設置されることが好ましい。
【0073】
ここで、作業床の形態が変化すると、作業床の重量および重心も変化する。そのため、第1の床面部材150Aおよび第2の床面部材150Bに対する支持体165の位置が固定されている場合、ウィンチ160によりゴンドラを吊り下げた際に、作業床が屈曲して、適切な吊り下げが難しくなることが生じ得る。
【0074】
このような問題に対処するため、ゴンドラ100において、支持体165は、取り外し可能な方式で、第1の床面部材150Aおよび第2の床面部材150Bに接続されてもよい。例えば、支持体165は、第1の床面部材150Aおよび第2の床面部材150Bに、ボルトナットで締結されてもよい。
【0075】
この場合、第1の床面部材150Aおよび第2の床面部材150Bにおける支持体165の設置位置は、作業床の形状に応じて適宜変更することができる。
【0076】
従って、ゴンドラ100では、作業床の形状が変化しても、ウィンチ160により、常に適正な吊り下げが可能となる。
【0077】
(床面部材の連結方法)
次に、前述のような各種配置で、床面部材同士を連結する方法の一例について説明する。
【0078】
図19には、床面部材同士を連結する連結構造の一例を模式的に示す。
【0079】
図19に示すように、隣接する第1の床面部材150Nおよび第2の床面部材150(N+1)は、連結構造170により、以下のように相互に連結される。
【0080】
まず、予め第1の床面部材150Nの底面に、第1の連結部材が設置、固定され、第2の床面部材150(N+1)の底面に、第2の連結部材が設置、固定される。
【0081】
この例では、第1の連結部材および第2の連結部材は、いずれも溝形鋼172N、172(N+1)で構成される。第1の連結部材(溝形鋼)172Nは、平滑な接合面174Nを有する。なお、
図19からは明確ではないが、第1の連結部材172Nの接合面174Nは、上面視、第1の床面部材150Nの第2の端面159Nの延伸方向と平行な方向に延在する。同様に、第2の連結部材(溝形鋼)172(N+1)の接合面174(N+1)は、上面視、第2の床面部材150(N+1)の第1の端面159(N+1)の延伸方向と平行な方向に延在する。
【0082】
第1の床面部材150Nに第1の連結部材172Nを固定する方法は、特に限られない。例えば、第1の連結部材172Nは、ボルトナット等(図示されていない)で第1の床面部材150Nに固定されてもよい。第2の床面部材150(N+1)に第2の連結部材172(N+1)を固定する方法も同様である。
【0083】
第1の床面部材150Nおよび第2の床面部材150(N+1)を相互に連結する際には、第1の床面部材150Nおよび第2の床面部材150(N+1)が、第1の床面部材150Nの第2の端面159Nと、第2の床面部材150(N+1)の第1の端面159(N+1)とが、相互に対面または当接するようにして配置される。
【0084】
また、第1の連結部材172Nおよび第2の連結部材172(N+1)が、ボルトナット176等により、相互に連結される。なお、第1の連結部材172Nおよび第2の連結部材172(N+1)は、それぞれの接合面174N、174(N+1)が相互に当接するようにして、連結される。
【0085】
これにより、第1の床面部材150Nと第2の床面部材150(N+1)とが連結される。
【0086】
また、第1の床面部材150Nと第2の床面部材150(N+1)とを分離する際には、ボルトナット176を取り除き、第1の連結部材172Nと第2の連結部材172(N+1)との連結を解除すればよい。
【0087】
ここで、各床面部材の底面に固定された連結部材は、上面視、床面部材の第1の辺および第2の辺に沿って配置されている。また、前述のように、作業床を構成する際には、床面部材は、第2の辺を隣の床面部材の第1の辺と対面または当接させて配置される。
【0088】
従って、隣接する床面部材同士の組み合わせが変わっても、連結部材同士は、接合面を相互に当接させボルトナットで連結することができ、これにより隣接する床面部材同士を適切に連結させることができる。
【0089】
なお、上記説明では、連結部材として溝形鋼を採用したが、連結部材は、これに限定されるものではない。
【0090】
また、上記記載では、手すり145の構造についてはあまり説明しなかったが、手すり145は、いかなる好適な構成を有してもよい。
【0091】
例えば、各床面部材に鉛直方向に延在する支柱を設け、該支柱に、水平方向に延在する手すり部分を取り付けてもよい。この場合、各手すり部分は、各床面部材を相互に連結して作業床を構成した際に、作業床と同じ方向に延在する手すり145が形成されるように構成されてもよい。
【0092】
以上、本発明の一実施形態について説明した。ただし、上記構成は、単なる一例であって、本発明によるゴンドラに使用される作業床は、上記以外の各種構成も取り得ることは、当業者には容易に理解できる。
【0093】
例えば、上記記載では、3種類の床面部材を異なる配置で組み合わせて、各種作業床を構成した。しかしながら、使用される床面部材の種類の数は、特に限られず、より多くの種類の床面部材を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
100 ゴンドラ
110 作業床
112、114、116、118、120、122、124,126、128、130、132、134、136、138 作業床
145 手すり
150A~150G 床面部材
150N、150(N+1) 床面部材
152A~152G 上底
154A~154G 下底
156A~156G 第1の辺
158A~158G 第2の辺
159N 第2の端面
159(N+1) 第1の端面
160 ウィンチ
165 支持体
170 連結構造
172N、172(N+1) 連結部材(溝形鋼)
174N、174(N+1) 接合面
176 ボルトナット
200 ゴンドラ