(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083246
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/32 20060101AFI20220527BHJP
B65D 75/36 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
B65D81/32 U
B65D75/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194584
(22)【出願日】2020-11-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年1月20日に株式会社カナエが第10回化粧品開発展[東京]-COSME Tech 2020[TOKYO]にて展示
(71)【出願人】
【識別番号】000129057
【氏名又は名称】株式会社カナエ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】神野 達哉
【テーマコード(参考)】
3E013
3E067
【Fターム(参考)】
3E013AA05
3E013AB07
3E013AC01
3E013AF02
3E013AF17
3E013AF29
3E067AA03
3E067AB99
3E067AC06
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067BC07A
3E067EA32
3E067EE59
3E067FB02
(57)【要約】
【課題】互いに分離して収容された2種の収容物を内部で容易に混合することができる包装体を提供することを課題とする。
【解決手段】対をなすフィルムの積層体を備え、前記積層体は、各フィルムが互いに接着された接着部と、各フィルムが非接着であることによって収容物を収容可能な空間を形成している収容部とを有し、対をなす前記フィルムの少なくとも一方は、前記空間を形成するように凸状に成形された成形部を有する成形フィルムであり、前記収容部は、第1収容物を収容する第1収容部と、第2収容物を収容する第2収容部とを有し、前記接着部は、前記収容部の押圧により剥離して前記第1収容部と前記第2収容部とを連通させる弱接着部を含み、前記第1収容部及び前記第2収容部の両方が一旦押圧されると、各成形部の凹んだ状態が維持されるとともに、各フィルムにおける前記弱接着部を構成する部分の離反した状態が維持される、包装体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対をなすフィルムの積層体を備え、
前記積層体は、各フィルムが互いに接着された接着部と、各フィルムが非接着であることによって収容物を収容可能な空間を形成している収容部とを有し、
対をなす前記フィルムの少なくとも一方は、前記空間を形成するように凸状に成形された成形部を有する成形フィルムであり、
前記収容部は、第1収容物を収容する第1収容部と、第2収容物を収容する第2収容部とを有し、
前記接着部は、前記収容部の押圧により剥離して前記第1収容部と前記第2収容部とを連通させる弱接着部を含み、
前記第1収容部及び前記第2収容部の両方が一旦押圧されると、各成形部の凹んだ状態が維持されるとともに、各フィルムにおける前記弱接着部を構成する部分の離反した状態が維持される、包装体。
【請求項2】
前記成形フィルムの厚みが、40~250μmである、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記成形フィルムは、1のフィルム材によって構成されているか、又は、複数の該フィルム材が積層されることによって構成されており、
前記フィルム材の少なくとも1つは樹脂フィルム材であり、
前記樹脂フィルム材が、ポリオレフィン樹脂フィルム材、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム材、又はポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム材である、請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項4】
前記成形フィルムは、複数の前記フィルム材が積層されることによって構成されており、
前記フィルム材の1つが、アルミニウム箔である、請求項3に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種の収容物が互いに分離した状態で収容可能であり、且つ、開封前にこれらの収容物を内部で混合可能に構成された包装体が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、対をなすフィルムの積層体を備え、
前記積層体は、各フィルムが互いに接着された接着部と、各フィルムが非接着であることによって収容物を収容可能な空間が形成された収容部とを有し、
前記収容部は、液体の第1収容物を収容する第1収容部と、粉状の第2収容物を収容する第2収容部とを有し、
前記接着部は、前記第1収容部の押圧により剥離されて前記第1収容部と前記第2収容部とを連通させる弱接着部を有する、包装体が記載されている。
かかる包装体によれば、第1収容部が押圧されることによって第1収容部がつぶれた状態になると、行き場を失った第1収容物によって弱接着部が剥離する。これによって、第1収容部に収容された液体の第1収容物が、第2収容部へ流入し、粉状の第2収容物と混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のこの種の包装体は、各収容物を混合することが困難になる場合がある。具体的には、従来の包装体は、弱接着部の剥離後、各フィルムにおける弱接着部を構成していた部分同士が十分に離反せず、このために、第1収容物と第2収容物とを十分に混合することが困難となる場合がある。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、互いに分離して収容された2種の収容物を内部で容易に混合することができる包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装体は、
対をなすフィルムの積層体を備え、
前記積層体は、各フィルムが互いに接着された接着部と、各フィルムが非接着であることによって収容物を収容可能な空間を形成している収容部とを有し、
対をなす前記フィルムの少なくとも一方は、前記空間を形成するように凸状に成形された成形部を有する成形フィルムであり、
前記収容部は、第1収容物を収容する第1収容部と、第2収容物を収容する第2収容部とを有し、
前記接着部は、前記収容部の押圧により剥離して前記第1収容部と前記第2収容部とを連通させる弱接着部を含み、
前記第1収容部及び前記第2収容部の両方が一旦押圧されると、各成形部の凹んだ状態が維持されるとともに、各フィルムにおける前記弱接着部を構成する部分の離反した状態が維持されるものである。
【0008】
斯かる構成によれば、第1収容部及び第2収容部の両方が一旦押圧されると、各成形部の凹んだ状態が維持されるとともに、各フィルムにおける弱接着部を構成する部分の離反した状態が維持されることによって、第1収容物と第2収容物とが混ざり合うスペースが維持されることから、第1収容物と第2収容物とを容易に混合することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る包装体は、前記成形フィルムの厚みが40~250μmであることが好ましい。
【0010】
斯かる構成によれば、成形フィルムの厚みが40~250μmであることによって、各成形部の凹んだ状態及び各フィルムにおける前記弱接着部を構成する部分の離反した状態が維持され易くなるとともに、該離反の距離が大きくなり易くなるため、各収容物をさらに容易に混合することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る包装体は、好ましくは、
前記成形フィルムは、1のフィルム材によって構成されているか、又は、複数の該フィルム材が積層されることによって構成されており、
前記フィルム材の少なくとも1つは樹脂フィルム材であり、
前記樹脂フィルム材が、ポリオレフィン樹脂フィルム材、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム材、又はポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム材である。
【0012】
斯かる構成によれば、成形フィルムを構成するフィルム材が上記のようなフィルム材であることによって、各成形部の凹んだ状態及び各フィルムにおける前記弱接着部を構成する部分の離反した状態がさらに維持され易くなり、該離反の距離がより大きくなり易くなるため、各収容物をより一層容易に混合することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る包装体は、好ましくは、
前記成形フィルムは、複数の前記フィルム材が積層されることによって構成されており、
前記フィルム材の1つが、アルミニウム箔である。
【0014】
アルミニウム箔は、樹脂フィルム材と比較して、球状やドーム状のような膨らんだ形状に変形し易く且つこの変形した状態を維持し易い。よって、上記構成によれば、アルミニウム箔が、各成形部の凹んだ状態及び各フィルムにおける前記弱接着部を構成する部分の離反した状態の維持を補助するように機能するため好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上の通り、本発明によれば、互いに分離して収容された2種の収容物を内部で容易に混合することができる包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る包装体の正面図である。
【
図3】
図3は、
図1の包装体のIII-III線断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の包装体の各収容部が押圧された状態を示す図である。
【
図5】
図5は、
図3の断面図に対応する断面図であり、各収容部が押圧された後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る包装体について説明する。
【0018】
図1~3に示されるように、包装体1は、対をなすフィルム11a及びフィルム11bの積層体10を備えている。
【0019】
積層体10は、各フィルムが互いに接着された接着部20と、各フィルムが非接着であることによって収容物Cを収容可能な収容空間Xを形成している収容部30とを有している。
【0020】
図3のように、本実施形態のフィルム11aは、収容空間Xを形成するように凸状に成形された成形部12と、成形部12の周縁から延在している平坦部13とを有する成形フィルム11aである。また、成形フィルム11aと対をなすフィルム11bは、全体的に平坦状の平坦フィルム11bである。また、成形フィルム11a及び平坦フィルム11bは、平面視において同一形状となるように形成されている。
【0021】
積層体10は、各フィルムの周端縁どうしが位置ずれすることなく、成形フィルム11aの平坦部13と平坦フィルム11bとが互いに接着されることによって構成されている。これによって、積層体10は、平坦部13と平坦フィルム11bおける平坦部13に対向する部分とにより構成された接着部20、及び、成形部12と平坦フィルム11bにおける成形部12に対向する部分とにより構成された収容部30を有するものとなっている。
【0022】
収容部30は、第1収容物C1の収容空間X1を形成している第1収容部31と、第2収容物C2の収容空間X2を形成している第2収容部32とを有している。また、第1収容部31及び第2収容部32のそれぞれを取り囲むように接着部20が配されている。これによって、包装体1は、第1収容物C1と第2収容物C2とを互いに分離した状態で収容可能となっている。
【0023】
接着部20は、各フィルムの少なくとも周縁部どうしを接着する強接着部21と、第1収容部31及び第2収容部32の間に配された弱接着部22とを有している。弱接着部22は、第1収容部31及び第2収容部32の両方が手指等により押圧されることによって、強接着部21よりも優先的に剥離されるように構成されている。また、強接着部21は、通常の使用、例えば前記押圧によっては剥離されないように構成されている。
【0024】
図4に示されるように、包装体1は、第1収容部31及び第2収容部32の両方が手指等で一旦押圧されると各成形部12が反転し、該押圧の解除後においても、各成形部12の凹んだ凹状態が維持されるとともに、各フィルムにおける弱接着部22を構成する部分の離反した離反状態が維持されるように構成されている。これによって、包装体1は、第1収容部31と第2収容部32との間に、第1収容物C1と第2収容物C2との混合を容易にする混合空間Yを形成するように構成されている。なお、以下では、前記離反状態において、成形フィルム11aにおける平坦フィルム11bから剥離した部分を第1剥離部41と称し、平坦フィルム11bにおける成形フィルム11aから剥離した部分を第2剥離部42と称することがある。
【0025】
前記凹状態は、凸状であった成形部12が反転した状態であることが好ましい。具体的には、前記凹状態は、成形フィルム11aにおける成形部12の内面121の少なくとも一部が平坦部13の内面131よりも平坦フィルム11b側に配されるような、反転した状態であることが好ましい。
【0026】
一方で、前記離反状態は、第1剥離部41と第2剥離部42との離反距離D’が、成形部12の成形の深さD以上であることが好ましい。また、第1収容部31と第2収容部32とで成形の深さDが異なる場合には、離反距離D’は、いずれか一方の成形の深さD以上であればよいが、より深い方の成形の深さD以上であることが好ましい。言い換えれば、前記離反状態では、成形の深さD以上の離反距離D’に対応する高さを有する混合空間Yが、第1収容部31及び第2収容部32の間に形成されることが好ましい。
【0027】
各成形部12が凹状に反転した状態となるように構成されると、弱接着部22が剥離される際、行き場を失った各収容物Cが第1剥離部41及び第2剥離部42の間に集中し易くなるため、これらが互いに離反し易くなる。また、該集中によって、少なくとも第1剥離部41が外方(第2剥離部42とは反対側の方向)に膨らんだ状態になり、さらには、第1剥離部41及び第2剥離部42の両方が外方に膨らんだ状態にもなり得、これによって、離反距離D’が成形部12の成形の深さDよりも大きくなり得る。すなわち、混合空間Yがより大きなものとなる。
【0028】
なお、成形部12の成形の深さDは、平坦部13の内面131に直交するように成形部12の内面121に向かって描いた直線のうち、最長の直線の長さを意味するものとする。すなわち、成形の深さDは、最深の深さを意味するものとする。
【0029】
成形の深さDは、1~70mmであることが好ましく、1~20mmであることがより好ましい。
【0030】
成形フィルム11aは、1のフィルム材によって構成されていてもよく、複数の該フィルム材が積層されることによって構成されていてもよい。
【0031】
成形フィルム11aの厚みは、30~280μmであることが好ましく、40~250μmであることがより好ましい。成形フィルム11aの厚みの下限値が前記のような値であることによって、成形部12の形状が維持され易くなる。言い換えれば、成形部12の保形性が確保される。また、成形フィルム11aの厚みの上限値が前記のような値であることによって、一旦変形した成形部12及び第1剥離部41がこれらの変形した状態を維持し易くなる。
【0032】
前記フィルム材の少なくとも1つは、通常、樹脂製の樹脂フィルム材である。該樹脂フィルム材としては、例えば、ポリエチレン樹脂フィルム材(PEフィルム)、ポリプロピレン樹脂フィルム材(PPフィルム)等のポリオレフィン樹脂フィルム材、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム材(PETフィルム)等のポリエステル樹脂フィルム材、ナイロン樹脂フィルム材(Nyフィルム)等のポリアミド樹脂フィルム材、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム材(PVCフィルム)、ポリ塩化ビニリデン樹脂フィルム材(PVDCフィルム)、ポリ酢酸ビニル樹脂フィルム材(PVAcフィルム)、ポリアクリル樹脂フィルム材、ポリカーボネート樹脂フィルム材(PCフィルム)、ポリビニルアルコール樹脂フィルム材(PVAフィルム)等が挙げられる。
これらの中でも、前記ポリオレフィン樹脂フィルム材、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム材、又はポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム材が好ましく、前記ポリオレフィン樹脂フィルム材又は前記ポリ塩化ビニル樹脂フィルム材が特に好ましい。
【0033】
また、前記フィルム材の少なくとも1つは、アルミニウム箔(ALフィルム)であることが好ましい。
【0034】
成形フィルム11aは、1の前記フィルム材によって構成されていてもよく、複数の前記フィルム材が積層されることによって構成されていてもよい。
【0035】
平坦フィルム11bは、1の前記フィルム材によって構成されていてもよく、複数の該フィルム材が積層されることによって構成されていてもよい。
【0036】
平坦フィルム11bを構成する前記フィルム材としては、例えば、前記ポリエチレン樹脂フィルム材(PEフィルム)、前記ポリプロピレン樹脂フィルム材(PPフィルム)等のポリオレフィン樹脂フィルム材、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム材(PETフィルム)等の前記ポリエステル樹脂フィルム材、ナイロン樹脂フィルム材(Nyフィルム)等のポリアミド樹脂フィルム材等が挙げられる。
【0037】
平坦フィルム11bは、収容空間X及び混合空間Yを視認可能な透明フィルムであることが好ましい。
【0038】
平坦フィルム11bの厚みは、通常10~250μmである。各収容部30の押圧などにより平坦フィルム11bの破損が抑制されつつ、第2剥離部42が外方へ膨らんだ状態にされるという観点から、平坦フィルム11bの厚みは10~200μmであることが好ましく、50~150μmであることがより好ましい。
【0039】
本実施形態の接着部20は、各フィルムが接触した状態でヒートシールされることによって形成されている。接着部20における強接着部21及び弱接着部22それぞれの接着強度の調節方法としては、例えば、強接着部21を形成する際のシール温度を比較的高く設定し、弱接着部22を形成する際のシール温度を比較的低く設定する方法が挙げられる。この場合、前記フィルム材の種類に応じて、ヒートシール温度を適宜変更することが好ましい。この他、各フィルム材における弱接着部22を構成する部分の間に別のフィルム材(通常、単層)を部分的に挟み込み又は貼り付け、各フィルム材における強接着部21及び弱接着部22を構成する部分を同じヒートシール温度にて同時にヒートシールする方法が挙げられる。また、各フィルム材における弱接着部22を構成する部分に、これらがシールされるのを阻害することによって接着強度を弱めることが可能なコート剤を塗布する方法が挙げられる。
【0040】
強接着部21の接着強度は、10~150N/15mmであることが好ましい。また、弱接着部22の接着強度は、1~15N/15mmであることが好ましい。
【0041】
図1に示されるように、平面視において、第1収容部31及び第2収容部32のそれぞれは、互いに対向するように配された第1内側端縁311及び第2内側端縁321を有している。第1内側端縁311及び第2内側端縁321は、互いに並行するように配されていることが好ましい。また、第1収容部31は、第1内側端縁311とつながっており、且つ、第2収容部32から離れるように形成された第1外側端縁312を有している。同様に、第2収容部32は、第2内側端縁321とつながっており、且つ、第1収容部31から離れるように形成された第2外側端縁322を有している。また、第1収容部31は、第1内側端縁311と第1外側端縁312との接続部分に形成された一対の第1角部313a、313bを有している。同様に、第2収容部32は、第2内側端縁321と第2外側端縁322との接続部分に形成された一対の第2角部323a、323bを有している。
【0042】
本実施形態の第1収容部31及び第2収容部32は、平面視におけるそれぞれの形状が半楕円形状であり、これらの間を通る直線を介して左右対称となるように配されている。また、第1内側端縁311及び第2内側端縁321のそれぞれは、互いに対向し且つ並行するように配されている。これによって、包装体1の面積を比較的小さくすることができる。なお、第1収容部31及び第2収容部32それぞれの形状は、半円状や角形状等であってもよい。
【0043】
図2に示されるように、本実施形態の弱接着部22は、第1内側端縁311及び第2内側端縁321の双方に並行するように且つこれらの間に延びるように形成されている。これによって、弱接着部22は、所定の長さLを有するものとなっている。本実施形態のように、第1内側端縁311と第2内側端縁321とが同じ長さMを有する場合、長さMに対する長さLの割合は、50%以上であることが好ましい。また、第1内側端縁311と第2内側端縁321との長さが異なる場合には、短い方の端縁の長さNに対する長さLの割合が、50%以上であることが好ましい。また、長さMに対する長さLの割合及び長さNに対する長さLの割合は、通常100%以下である。長さM(長さN)に対する長さLの割合が100%未満である場合、第1内側端縁311と第2内側端縁321との間の部分には強接着部21が配されていてもよい。
【0044】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態では、弱接着部22は、第1角部313a及び第2角部323aの間の位置に基端を有している。言い換えれば、弱接着部22は、一端部が第1収容部31と第2収容部32との間の部分の一端部に対応するように形成されている。弱接着部22の一端部が第1収容部31と第2収容部32との間の部分の一端部に対応するように形成されていると、剥離された際に、混合空間Yが収容部の端まで形成され、各収容物の混合がより容易になる。
【0045】
本実施形態の弱接着部22は、平面視において、第1収容部31及び/又は第2収容部32の方に凹むように形成された凹部221を有している。これによって、弱接着部22の全体が剥離され易くなる。
【0046】
図3に示されるように、本実施形態の第1収容部31及び第2収容部32のそれぞれは、内側に配された側面の平坦部13の外面に対する立ち上がり角度θ(成形部12及び平坦部13の境界における該側面の接線と、平坦部13の外面とのなす角度)が、10~80°となるように形成されていることが好ましく、30~50°となるように形成されていることがより好ましい。これによって、各成形部12が手指などの押圧によって反転した状態になり易くなる。
【0047】
第1内側端縁311及び第2内側端縁321の長さは、5~150mmであることが好ましい。また、第1内側端縁311と第1外側端縁312との最大間隔(又は第2内側端縁321と第2外側端縁322との最大間隔)は、10~150mmであることが好ましい。また、第1内側端縁311と第2内側端縁321との間隔は、2~10mmであることが好ましい。
【0048】
収容空間X1、X2それぞれの容量は、0.1~30mLであることが好ましい。収容空間X1、X2の容量は異なっていてもよく、この場合、容量の差は20mL以下であることが好ましい。また、収容空間X1の容量に対する第1収容物C1の体積の割合、及び、収容空間X2の容量に対する第2収容物C2の体積の割合は、20~100%であることが好ましい。
なお、収容空間X1の容量及び収容空間X2の容量は、第1収容部31及び第2収容部32それぞれが収容可能な第1収容物C1及び第2収容物C2の最大容量とする。
【0049】
第1収容物C1及び第2収容物C2は、常温(通常20~30℃)で液体のものを含むことが好ましい。第1収容物C1及び第2収容物C2は、一部に空気などの気体を含んでいてもよい。第1収容物C1及び第2収容物C2それぞれの液体が占める割合は、20~100%であることが好ましい。
【0050】
また、第1収容物C1と第2収容物C2との混合によって調製される混合物Mは、液体であることが好ましい。
【0051】
混合物Mとしては、例えば、化粧水や乳液などの化粧用品、シャンプーなどのヘアケア用品、2種混合型の接着剤などの薬品、2剤混合型の医薬品等が挙げられる。
【0052】
図1に示されるように、本実施形態では、さらに、収容部30は、混合物Mを外部に排出させるための通路を形成するために積層体10の径方向外方に突き出すように形成された排出部33を有している。また、接着部20は、排出部33を取り囲むように円形状に延在する強接着部21としての延在部23を有している。また、延在部23の基端部には排出部33に向かって切込み24が形成されている。これによって、包装体1の開封が容易になる。具体的には、使用者が手指等により延在部23を把持し、切込み24の形成方向に沿って力を加えると、延在部23が切離されるとともに前記通路が外部に連通し、包装体1が開封される。
【0053】
なお、本発明に係る包装体は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係る包装体は、上記した作用効果により限定されるものでもない。本発明に係る包装体は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態では、平坦フィルム11bが平坦状である態様を示したが、平坦フィルム11bは、収容空間Xを広げるように凸状に成形されていてもよい。
【実施例0055】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0056】
[製造]
成形フィルム作製用の原反フィルムとして、下記表1~5に示される厚み及び材質の原反フィルムを用意した。表1で示す成形フィルムは、ポリオレフィン樹脂フィルム材のみで構成した。表2で示す成形フィルムは、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム材のみで構成した。表3で示す成形フィルムは、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム材を含むように構成した。表4及び表5で示す成形フィルムは、アルミニウム箔を含むように構成した。なお、表1~5のフィルム材の欄に複数のフィルム材を記載している場合、その記載順は、包装体を構成したときの外側から内側に向かう方向における積層の順に対応したものとなっている。
【0057】
図1~3に示されるような2つの成形部を有する成形フィルムを作製した。原反フィルムの材質に応じて、フィルムを加熱する熱成形、又は、非加熱の冷間成形のいずれかを採用した。原反フィルムを軟化させる熱成形には、成形部の形状に対応した凹状の開口部を有する下型を備える成形装置を用いた。冷間成形には、成形部の形状に対応した凸状の先端部を有するプラグを備えた成形装置を用いた。なお、成形部の成形の深さは、6mmとした。
【0058】
次に、平坦フィルムとして、下記表1~5に示される厚み及び材質の原反フィルムを準備した。上記で作製した成形フィルムの各成形部に水1mLずつを充填した後、平坦フィルムを重ね合わせ、各フィルムの周縁部どうしをヒートシール(180℃以上、1.3秒)し、第1収容部及び第2収容部を有する包装体を作製した(第1収容部と第2収容部とは連通させた状態とした。すなわち、弱接着部は形成しなかった)。第1内側端縁及び第2内側端縁の長さはともに、42mmであった。また、第1内側端縁及び第1外側端縁の最大間隔、並びに、第2内側端縁及び第2外側端縁の最大間隔は、ともに19mmであった。第1収容部及び第2収容部の収容空間の容積は、ともに1.6mLであった。また、第1内側端縁と第2内側端縁との間隔は5mmであった。
なお、下記評価の信頼性を高めるために、5個ずつ包装体を作製し、5個全てを評価することとした。
【0059】
[評価]
第1収容部及び第2収容部の両方を成形フィルム側から親指にて同時に押圧し、各成形部を凹んだ状態にするとともに、第1剥離部及び第2剥離部を離反した状態とし、押圧を解除した。デジタルノギス(MITSUTOYO、CD-P15M)を用い、弱接着部に対応した部分の中央部の両脇2箇所における、成形フィルムと平坦フィルムとの間隔Wを測定した。なお、この測定では間隔Wに各フィルムの厚みも含まれることとなるが、各フィルムの厚みは最大で参考例10における425μm(0.4mm程度)であるため、評価において考慮する必要はないと判断した。
【0060】
(評価方法)
5個の包装体につき前記2箇所の合計10箇所の測定値につき少数第1位を四捨五入した値を評価値として求め、該評価値を成形部の成形深さ(6mm)と比較した。そして、下記評価基準に従って、各包装体を評価した。結果は、表1~5に示した通りである。
◎:評価値が成形深さ以上である箇所が、8箇所以上である。
○:評価値が成形深さ以上である箇所が、5箇所以上である。
×:評価値が成形深さ以上である箇所が、4箇所以下である。
【0061】
表1~5の包装体のうち、評価値が成形深さ以上である箇所が5箇所以上である包装体は、押圧によって各収容部が反転した状態になるとともに、押圧時に行き場を失った各収容物が各収容部の間に集中して第1剥離部及び第2剥離部のそれぞれを離反させるように作用したことによって、各収容物の混合のために十分な大きさの混合空間が形成された状態となっていることが認められた。しかも、押圧の解除後もこの状態が維持されていた。よって、これらの包装体は、各収容物を混合させ易いものであることがわかった。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
表1~5から、厚みが厚くなるほど間隔Wが小さくなるという傾向が認められた。一方、厚みが厚い場合であっても、成形フィルムを構成するフィルム材がポリオレフィン樹脂フィルム材(特にポリプロピレン樹脂フィルム材)やポリ塩化ビニル樹脂フィルム材を含む形態は、間隔Wが大きくなり易く、良好な包装体であることがわかった。