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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083346
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】ガス式玩具銃およびそのマガジン
(51)【国際特許分類】
   F41B 11/56 20130101AFI20220527BHJP
   F41B 11/72 20130101ALI20220527BHJP
   F41B 11/723 20130101ALI20220527BHJP
   A63H 33/18 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
F41B11/56
F41B11/72
F41B11/723
A63H33/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194738
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】592153584
【氏名又は名称】株式会社東京マルイ
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 茂
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA04
2C150CA13
2C150DH01
2C150EB11
(57)【要約】
【課題】ガス式玩具銃において、無駄なガスの消費を抑制すること。
【解決手段】ガス式玩具銃のマガジンであって、収納された弾を銃本体側に押し出すフォロワと、銃本体側に設けられたバルブノッカに押圧されてガスを放出させる放出バルブと、収納された最終弾が排出された際の、フォロワの終端位置への移動に連動して動作し、バルブノッカによる放出バルブの押圧を回避しない第1位置から、バルブノッカによる放出バルブの押圧を回避する第2位置へ、移動するフォロワリンクと、を備えたマガジン。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス式玩具銃のマガジンであって、
収納された弾を銃本体側に押し出すフォロワと、
銃本体側に設けられたバルブノッカに押圧されてガスを放出させる放出バルブと、
収納された最終弾が排出された際の、前記フォロワの終端位置への移動に連動して動作し、前記バルブノッカによる前記放出バルブの押圧を回避しない第1位置から、前記バルブノッカによる前記放出バルブの押圧を回避する第2位置へ、移動するフォロワリンクと、
を備えたマガジン。
【請求項2】
前記フォロワリンクを、前記第2位置で保持する保持部材をさらに備えた請求項1に記載のマガジン。
【請求項3】
前記保持部材は、弾を再充填することによる前記フォロワの下方への移動および前記銃本体への装着に連動して、前記フォロワリンクを前記第2位置から解放し、前記第1位置へ移動させる請求項2の記載のマガジン。
【請求項4】
弾が未装填時でも前記フォロワリンクが前記第1位置から前記第2位置へ移動しないように制限する制限部材を備えた請求項1から3のいずれか1項に記載のマガジン。
【請求項5】
前記フォロワリンクは、前記放出バルブに近接された位置で上下動する移動部材を備え、前記第2位置においては、前記移動部材が上方に移動して前記バルブノッカを上方に付勢することにより、前記バルブノッカによる前記放出バルブの押圧を回避する請求項1から4のいずれか1項に記載のマガジン。
【請求項6】
前記フォロワリンクは、
前記移動部材を備え、第1回動軸を中心に回動する第1フォロワリンクと、
第2回動軸を中心に回動して前記フォロワの移動を前記第1フォロワリンクに伝達する前記第2フォロワリンクと、を含む請求項1から5のいずれか1項に記載のマガジン。
【請求項7】
前記第1フォロワリンクの前記第1回動軸より前記移動部材側を、下方に付勢する弾性部材をさらに備えた請求項6に記載のマガジン。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のマガジンを備えたガス式玩具銃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス式玩具銃およびそのマガジンに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、ガスブローバック式の玩具銃が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-056998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、マガジン内の弾がなくなった状態でも、ガスブローバックが生じ、無駄なガス消費が生じていた。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るマガジンは、
ガス式玩具銃のマガジンであって、
収納された弾を銃本体側に押し出すフォロワと、
銃本体側に設けられたバルブノッカに押圧されてガスを放出させる放出バルブと、
収納された最終弾が排出された際の、前記フォロワの終端位置への移動に連動して動作し、前記バルブノッカによる前記放出バルブの押圧を回避しない第1位置から、前記バルブノッカによる前記放出バルブの押圧を回避する第2位置へ、移動するフォロワリンクと、
を備えたマガジン。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るガス式玩具銃は、上記マガジンを備えたガス式玩具銃である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガス式玩具銃において、無駄なガスの消費を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る玩具銃のマガジンを右側面から見た部分拡大斜視図である。
図2】第1実施形態に係る玩具銃のマガジンを左側面から見た部分拡大斜視図である。
図3A】第1実施形態に係る玩具銃のマガジン装填直後の、右側から見た構成を示す部分断面図である。
図3B】第1実施形態に係る玩具銃のオートストップ切替レバーの構成を示す斜視図である。
図3C】第1実施形態に係る玩具銃のオートストップ切替レバーの動きを説明する部分断面図である。
図4】第1実施形態に係る玩具銃のマガジン装填直後の、左側から見た構成を示す部分断面図である。
図5】第1実施形態に係る玩具銃の弾装填時の右側から見た構成を示す部分断面図である。
図6】第1実施形態に係る玩具銃の弾装填時の左側から見た構成を示す部分断面図である。
図7】第1実施形態に係る玩具銃において、最終弾の射撃スタンバイ時の右側から見た構成を示す部分断面図である。
図8】第1実施形態に係る玩具銃において、最終弾の射撃スタンバイ時の左側から見た構成を示す部分断面図である。
図9】第1実施形態に係る玩具銃において、最終弾の射撃時の右側から見た構成を示す部分断面図である。
図10】第1実施形態に係る玩具銃において、最終弾の射撃時の左側から見た構成を示す部分断面図である。
図11】第1実施形態に係る玩具銃において、最終弾の射撃時の右側から見た構成を示す部分断面図である。
図12】第1実施形態に係る玩具銃において、最終弾の射撃時の左側から見た構成を示す部分断面図である。
図13A】第1実施形態に係る玩具銃において、弾発射後のブローバック最大位置での構成を右側から見た部分断面図である。
図13B】第1実施形態に係る玩具銃において、弾発射後のブローバック最大位置での構成を右側から見た斜視図である。
図14】第1実施形態に係る玩具銃において、弾発射後のブローバック最大位置での構成を左側から見た部分断面図である。
図15】弾発射後のブローバック最大位置での構成を、最終弾を発射した場合とそうでない場合とで比較するための図である。
図16】第1実施形態に係る玩具銃において、最終弾の発射後のスタンバイ状態での右側から見た構成を示す部分断面図である。
図17】第1実施形態に係る玩具銃において、最終弾の発射後のスタンバイ状態での左側から見た構成を示す部分断面図である。
図18】第1実施形態に係る玩具銃において、最終弾の発射後のスタンバイ状態でトリガ引いた状態での右側から見た構成を示す部分断面図である。
図19】第1実施形態に係る玩具銃において、最終弾の発射後のスタンバイ状態でトリガ引いた状態での左側から見た構成を示す部分断面図である。
図20】第1実施形態に係る玩具銃において、マガジン交換の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としてのマガジン100について、図1から図20を用いて説明する。マガジン100は、ガス式玩具銃に用いられるマガジンである。
【0012】
図1は、玩具銃のマガジン100の上部を右側面から見た部分拡大斜視図である。
【0013】
図1に示すように、マガジン100は、フォロワ101と、放出バルブ102と、フォロワリンク103とを備える。
【0014】
フォロワ101は、収納された弾110を銃本体側に押し出すものであり、図1では、その大部分は図示されていない。この例では、弾のルートおよびフォロワ101は、マガジン100の最も前方に配置されている。
【0015】
放出バルブ102は、マガジン100の中のガスをせき止めているバルブであり、銃本体側に設けられたバルブノッカに押圧されてガスを放出させる。ガスは、マガジン100の下部後方に充填されており、放出バルブ102が開放されると、ガス噴射口104から銃本体に向けて放出される。
【0016】
フォロワリンク103は、マガジン100に収納された最終弾が排出された際の、フォロワ101の終端位置への移動に連動して動作する。最終弾が排出されると、バルブノッカによる放出バルブの押圧を回避しない第1位置から、バルブノッカによる放出バルブ102の押圧を回避する第2位置へ移動する。図1では、フォロワリンク103は、第1位置に位置している。
【0017】
フォロワリンク103は、放出バルブ102に近接された位置で上下動する移動部材としての棒状部材135を備え、第2位置においては、棒状部材135が上方に移動してバルブノッカを上方に付勢することにより、バルブノッカによる放出バルブ102の押圧を回避する。
【0018】
フォロワリンク103は、棒状部材135を備え、回動軸134を中心に回動するフォロワリンク131と、回動軸136を中心に回動してフォロワ101の移動をフォロワリンク131に伝達するフォロワリンク132と、を含む。
【0019】
マガジン100は、フォロワリンク131の回動軸134より棒状部材135側を、下方に付勢する弾性部材としてのスプリング105をさらに備えている。図1では、マガジン100に弾110が装填されているのでフォロワ101とフォロワリンク132の前方端部137とは接触していない。この時、フォロワリンク131はスプリング105の力によって反時計回りに押し下げられ第1位置に位置している。これにより、マガジン100に弾がある状態で、棒状部材135が確実に第1位置に維持される。
また、フォロワリンク131と接触しているフォロワリンク132は時計回りに押し下げられる。そして、制限部材としてのフォロワアシスト106は自重によって最下方に下がりフォロワリンク132と接触する。
【0020】
マガジン100に弾が装填されていない場合には、フォロワ101とフォロワリンク132は接触して、フォロワリンク132はフォロワ101によって反時計回りに押し上げられる。これにより、フォロワリンク132と接触しているフォロワリンク131はスプリング105を圧縮しながら時計回りに回転する。これにより、フォロワリンク131の後方端部から延設された棒状部材135が押し上げられバルブノッカによる放出バルブ102の押圧を回避する第2位置へと移動し、保持部材107により係止され保持される。そして、フォロワリンク132と接触しているフォロワアシス卜106はフォロワリンク132の前方端部137によって最上方に押し上げられる
【0021】
図2は、玩具銃のマガジン100の上部を左側面から見た部分拡大斜視図である。図2では、フォロワリンク103は、第2位置に移動した状態となっている。図2に示すように、マガジン100は、さらに、フォロワリンク103を、第2位置で保持する保持部材107と保持部材107を後方に付勢する弾性部材としてのスプリング202をさらに備えている。保持部材107は爪部212を備え、棒状部材135の爪部231を係止して、フォロワ101が下がっても棒状部材135を上方の第2位置に保持する。
【0022】
保持部材107は、マガジン100の玩具銃本体への装着動作により、スプリング202による付勢力に抗って、前方に移動する。具体的には、突出部211が、玩具銃本体によって前方に押される。これにより、保持部材107の爪部212と、棒状部材135の爪部231との係止がはずれ、さらにスプリング105に付勢されて、フォロワリンク103の棒状部材135が第2位置から解放され、第1位置へ移動する。つまり、保持部材107は、弾を再充填することによるフォロワ101の下方への移動および銃本体へのマガジンの装着に連動して、フォロワリンク103を第2位置から解放し、第1位置へ移動させる。
【0023】
図3Aは、玩具銃300に対して弾が収容されたマガジン100を装填した直後の、右側から見た構成を示す部分断面図である。玩具銃300は、バルブノッカ301とハンマ302とボルト303とトリガ304とを備えている。マガジン100を装填するとバルブノッカ301の前方端311は、放出バルブ102によって図中反時計回り(矢印方向)に押し上げられる。
【0024】
フォロワ101は、スプリング305により上方に付勢されている。マガジン100に弾が入っているので、フォロワ101とフォロワリンク132は接触していない。よって、フォロワリンク131の棒状部材135はスプリング105の力で下がった状態(第1位置)になっている。
【0025】
バルブノッカ301は、スプリング312により後ろに押し下げる方向に付勢されている。ハンマ302の後方部は、ハンマスプリング306によって、前方に付勢力を受けており、これにより回転軸322を中心に図中時計回りに付勢されている。
【0026】
(オートストップ切替レバーについて)
図3Aに示すように、オートストップ切替レバー307はチャンバ308の右側面に設けられ、圧縮スプリング309の力によって常に前方の銃口側に引き寄せられている。また、図3Bに示すように、チャンバ308から図中手前側に突き出ている軸310がオートストップ切替レバー307のオーバル状のスリット(不図示)に挿入されている。これにより、オートストップ切替レバー307を前後方向にスライドさせることができる。
【0027】
図3Cに示すように、指でオートストップ切替レバー307を後方へ引き込みチャンバ308の爪部381とオートストップ切替レバー307の角部371との引っ掛かりを解除した後、指を離すとスプリング309の力によってオートストップ切替レバー307は前方へ収納される。つまり、図3Cの下のオートストップ機能オフ状態から矢印340のように移動して、上のオートストップ機能オン状態へと遷移させることができる。
【0028】
図3Cの上図のようにオートストップ機能をオンにすると、最終弾を発射後ボルトが動作を停止する。オートストップ機能をオフにする際は、図3Cの上の状態から指でオートストップ切替レバー307を後方へ引き込みチャンバ308の爪部381とオートストップ切替レバー307の角部371を引っかける。この時、オートストップ切替レバー307は後方へ引き込まれた位置で停止した状態となる。オートストップ機能をオフにすると、オートストップ切替レバー307の下面にフォロワアシスト106の上面が当接してフォロワアシスト106の上方への移動を制限する。フォロワアシスト106が上方に上がりきらないことにより、フォロワリンク132は、第1位置に維持され、同様に、フォロワリンク131も棒状部材135も第1位置に維持される。これにより、バルブノッカ301による放出バルブ102の押圧は回避されず、最終弾を発射後でもボルトが動作し、いわゆる空撃ちが可能となる。
【0029】
図4は、図3の玩具銃300を左側から見た構成を示す部分断面図である。図4に示すように、ハンマスプリング306の力を受けて、ハンマ302の前方端部321がバルブノッカ301の後端部313を前方に押圧することにより、玩具銃300のケーシングに設けられたオーバル状のスリット401の中で、バルブノッカ301の回動軸314が前方に位置している。なおボルト303は、スプリング402によって常に前方に付勢されている。
【0030】
図5は、図3の状態から、射手がボルト303を手で掴んでスプリング402の付勢力に抗して後方(矢印501方向)に移動させた弾装填準備状態を示す。ボルト303と共に後方に移動したシリンダ(ピストンカップ)503の下面がハンマ302に接触し、ハンマ302が図中反時計回り(矢印502方向)に回動する。シリンダ503は、ボルト303に固定されており、ピストン504は、シリンダ503から後方に付勢されつつも、シリンダ503内で前後にスライド移動可能に保持されている。ピストン504はその上側に、車輪形状のローラ541を備えており、シリンダ503内部の上面との間の摩擦を抑制している。ガスが下方からピストン504内に流れ込んでピストン504を図中斜め左後ろに付勢した場合にも、シリンダ503の上内壁の摩耗が非常に小さくなる。シリンダ503の前方下面にはアゴ505が設けられており、ボルト303が前方に移動すると、弾110は、アゴ505の先端に押されてマガジン100からかき出され、傾斜の上を走りチャンバ506に送り込まれる。
【0031】
図6は、図5の玩具銃300を左側から見た構成を示す部分断面図である。後方へ回動したハンマ302の後方端の爪部622は、トリガ304の爪部641と係止する。
【0032】
ハンマ302の前方端部321によって前方へ押されていたバルブノッカ301はハンマ302が回転することにより前方への押圧力から開放され、スプリング312の力により、オーバル状のスリット401内を後方へスライドする。後方へスライドしたバルブノッカ301の前方端311は放出バルブ102の上部から離脱し放出バルブ102の軸線上に移動する(図5参照)。この状態でも、棒状部材135は、下方(第1位置)に位置しており、保持部材107は棒状部材135と係止していない。
【0033】
図7は、図5の状態から、ボルト303がスプリング402の付勢力によって前方(矢印701方向)に移動した弾装填状態を示す。ボルト303がスプリング402の力で前方へ押し戻される過程において、ピストン504のアゴ505の先端が弾110を拾いチャンバ506内へ押し込む。弾110は、アゴ505の先端に押されてマガジン100からかき出されて傾斜の上を走りチャンバ506に送り込まれる。チャンバ506に弾110が送り込まれたところで、ピストン504の先端のノズルがチャンバ506に刺さって気密を取る。
【0034】
マガジン100内の弾110は無くなったが、弾110の代わりにピストン504のアゴ505の下面に阻害されるのでフォロワ101は最上部まで上がりきれず、フォロワリンク131,132は作動しない。つまり、バルブノッカ301の前方端311は、放出バルブ102の軸線上のままである。
【0035】
図8は、図7の状態を左側から見た構成を示す部分断面図である。図8に示されている通り、この状態では、マガジン100のガス噴射口104は、ピストン504に設けられたガス流入口841と連通しており、放出バルブ102が開放されれば、ガスが、弾110の直後の空間まで流入できる状態にある。
【0036】
図9は、最終弾の射撃時の右側から見た構成を示す部分断面図である。トリガ304を後方に引くと、回動軸941を中心とした回動によって、爪部641が前方に移動し、ハンマ302の爪部622との係止が解かれる。これにより、ハンマスプリング306の付勢力を受けて、ハンマ302が図中時計回り(矢印901方向)に回動し、勢い良く起き上がる。回動したハンマ302に押圧されたバルブノッカ301は、前方に移動して、放出バルブ102の後端の突出部921を前方に押し込み、放出バルブ102が開放される。
【0037】
これにより、マガジン100内のガスが、矢印906の方向にピストン504内へ強い勢いで放出される。ピストン504内に流入したガスがチャンバ506内に留まっている弾110を銃口側へ勢いよく押し出す。この時、ピストンバルブ902はスプリング903の力によって後方へ押されており、かつピストンインナ905に支持されているため、ガスは銃口側へ流れる。
【0038】
図10は、図9の玩具銃300を左側から見た構成を示す部分断面図である。図9での説明と同様に、トリガ304を引くことにより、マガジン100内のガスが、ピストン504内に流れ込み、弾110を発射させる。
【0039】
図11は、最終弾の射撃後の玩具銃内部の状態を右側から見た部分断面図である。弾を発射した後は、銃口側へガスが流出することでチャンバ506側の圧力が低下し、ピストンバルブ902が前方に移動し、前方側へのガスの抜けを妨げる。ガスルートが後方のシリンダ503へ切り替わり、ガス1101がシリンダ503内に流れ込み、行き場を失った全てのガス圧は、シリンダ503の内壁後面1103に作用する。これにより、ガスは、後方に向かうことになり、これによりシリンダ503およびボルト303がスプリング402の弾性力に抗って、勢いよく後方に移動する。この時、ピストン504はチャンバ506によって前方向には動けず前方位置に留まる。シリンダ503が後方に移動すると、スプリング1102が縮むことになり、その弾性力によって、コンマ数秒後に、アゴ505とチャンバ506との係止が外れてピストン504も後方に移動を始める。
【0040】
シリンダ503が後退するとシリンダ503の後端の下面と接触したハンマ302が図中反時計回りに回転し始め、それに追従するようにバルブノッカ301が後退する。これによって放出バルブ102からのガスの放出がストップする。
【0041】
図12は、図11の玩具銃300を左側から見た部分断面図である。図11での説明と同様に、マガジン100内のガスが、シリンダ503内に流れ込み、シリンダ503およびボルト303を後退させ、ハンマ302が倒れて、バルブノッカ301が後退し、放出バルブ102からのガスの放出がストップする。
【0042】
図13Aは、弾発射後のブローバック最大位置での玩具銃300の構成を右側から見た部分断面図である。図11からさらにボルト303が後退すると、ピストン504上部のスプリング1102によりピストン504も後退しチャンバ506から離脱する。この時、ピストン504内部の内圧差は消失しておりピストンバルブ902はバネの力によって元の後方位置へと戻る。
【0043】
ピストン504が後退することにより、ピストン504のアゴ505の下面がマガジン100から離脱しフォロワ101が最上部に到達する。
図13Aでは、オートストップ切替レバー307がオートストップ機能オンの右側下方位置にあるため、フォロワアシスト106の上部にはフォロワアシスト106の動きを阻害するものが無い。そのため、弾切れになればフォロワ101とフォロワリンク132が接触し、フォロワ101と接触したフォロワリンク132は反時計回りに回転する。するとフォロワリンク132と連動するフォロワリンク131の棒状部材135が上方(第2位置)へ上がるのと同時にバルブノッカ301を押し上げる。その位置で棒状部材135は保持部材107と係止してバルブノッカ301による放出バルブ102の押圧を回避することによりボルトの作動が停止する。
一方、図3Cに示したように、オートストップ切替レバー307がオートストップ機能オフの左側上方位置にあれば、フォロワアシス卜106の上部にオートストップ切替レバー307の後端が位置することになる。これによりフォロワアシス卜106は上方へ上がりきらない。そのため、フォロワアシス卜106と接触しているフォロワリンク132は反時計回りの回転を妨げられ、弾切れになってもフォロワリンク132は図11の位置を維持したままとなる。すると、フォロワリンク131はスプリング105の力によって第1位置の位置を維持するためバルブノッカ301による放出バルブ102の押圧が可能になり、空撃ちが可能になる。
図13Bは、オートストップ機能オフの状態であって、フォロワアシス卜106の上部にオートストップ切替レバー307の後端が位置する状態を示す拡大斜視図である。左上図の1301は、右側面を上方から見た斜視図であり、右下図の1302、右側面を下方から見た斜視図である。
【0044】
図14は、図13の状態の玩具銃300の構成を左側から見た部分断面図である。棒状部材135は保持部材107の傾斜面と接触しながら保持部材107を前方へスライドさせ、保持部材107の爪部121と、棒状部材135の爪部231とが係止されて、棒状部材135を上方の第2位置に保持する。この時、保持部材107はスプリング202の力によって後方へ押し付けられている。
【0045】
図15は、弾発射後のブローバック最大位置での構成を、次弾110がある場合1501と最終弾を発射した場合1502とで比較するための図である。次弾110がある場合1501では、棒状部材135は下方に位置するため、バルブノッカ301の前方端311は、放出バルブ102の軸線上のままである。つまり、放出バルブ102からガスが放出できる状態にある。
【0046】
一方、次弾110がない場合1502では、棒状部材135は上方に位置するため、バルブノッカ301の前方端311は、放出バルブ102の軸線よりも上方にずれてしまう。つまり、このままバルブノッカ301が前方に移動しても、放出バルブ102からガスは放出されない。
【0047】
図16は、最終弾の発射後のスタンバイ状態での右側から見た構成を示す部分断面図である。図17は、最終弾の発射後のスタンバイ状態での左側から見た構成を示す部分断面図である。ボルト303がスプリング402の力により前方へ戻ると、ピストン504のアゴ505の下面がフォロワ101を再び押し下げることにより、フォロワ101とフォロワリンク132の接触が離脱する。
【0048】
この時、フォロワリンク131は保持部材107と係止状態を維持しているためフォロワリンク131は下がらない。フォロワリンク131はバルブノッカ301を押し上げた状態を維持しており、バルブノッカ301は放出バルブ102の軸線上から離脱している。
【0049】
図18は、最終弾の発射後のスタンバイ状態でトリガを引いた状態を右側から見た部分断面図である。図19は、最終弾の発射後のスタンバイ状態でトリガを引いた状態を左側から見た部分断面図である。
【0050】
図16図17の状態でトリガ304を引くことにより、トリガ304とハンマ302との係止が解除されハンマスプリング306の力によって、勢い良くハンマ302が起き上がる。
【0051】
起き上がる過程において、ハンマ302の突起部がバルブノッカ301の後端にぶつかりカチンと音をたてながら前方へ押し込む。この時、バルブノッカ301は棒状部材135に押し上げられた状態を維持しているため、ハンマ302によって押し込まれたバルブノッカ301は斜め上方向へスライドし放出バルブ102を押さない。よって、ガスは放出されずボルト303は作動しない。
【0052】
ボルト303が作動しないため、ハンマ302が勢い良く起き上がることにより生じる打撃音のみが射手に弾を打ち尽くしたことを知らせる。
【0053】
図20は、マガジン交換の様子を示す図である。弾110の入ったマガジンに交換する際、先にマガジン100前端のツメ部2001をレシーバの突起部2002に引っかけ、そこを基点に回転させながら銃本体へ挿入していき、マガジン100の後端の突起部2003をマガジンキャッチ2004の上面に係止させる。
【0054】
ここで棒状部材135と保持部材107は係止の状態を維持していることが前提であるとし、マガジン100を銃本体に挿入する過程にて、保持部材107はレシーバインナ左の突起部2005に接触する。すると保持部材107は、スプリング202を圧縮しながら前方へスライドし、棒状部材135との係止が外れる。保持部材107との係止が外れた棒状部材135はスプリング105に付勢されて下がり、第1位置に戻る。レシーバインナ左の突起部2005を乗り越えた保持部材107は圧縮されたスプリング202の力によって再び元の位置へスライドしながら戻る。
【0055】
以上に説明した本実施形態によれば、ボルト303は、弾が切れても、後方で止まらずに前方に移動し、かつ、ハンマが動いても、バルブをたたかないため、ガスの無駄な消費を抑制することができる。弾がなくなっても、ボルト303が前進して、射手に、弾切れを教えないという、特殊なタイプ(例えばAKM)の動作を実現できる。
【0056】
バルブノッカを逃がす機構があるため、水平移動しつつも、バルブの上を滑りバルブを叩かない。バルブノッカが上方に逃げる機能を流用して、弾切れの時にも、バルブノッカがバルブを押さないように逃がした。
【0057】
なお、弾切れと同時にバルブノッカの前方端が上方に移動すれば、フォロワリンクはどのような構造でもよい。
【0058】
上記実施形態では、2つの回動軸を有する2つの回動体としてのフォロワリンク131、132を使用したが、1つの回動軸を有する1つのフォロワリンクでもいい。フォロワが上がることにより、前後方向の回転軸を中心に回転する柱状部材を設けて、その柱状部材から放射状に延設された棒状部材を用いて、バルブノッカを上方に付勢してもよい。同様の機構でバルブノッカを下方に付勢して逃してもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13A
図13B
図14
図15
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図19
図20