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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083347
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】検査機器
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20220527BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20220527BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
G01N1/10 N
G01N1/28 J
G01N1/10 V
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194740
(22)【出願日】2020-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000185868
【氏名又は名称】タクセル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503335179
【氏名又は名称】株式会社ファスマック
(71)【出願人】
【識別番号】514164993
【氏名又は名称】株式会社TBA
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義久
(72)【発明者】
【氏名】布藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】リズティアン
(72)【発明者】
【氏名】細野 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 三雄
【テーマコード(参考)】
2G052
4B029
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AA29
2G052AB16
2G052AB20
2G052DA02
2G052DA12
2G052GA28
4B029AA07
4B029AA08
4B029BB20
4B029FA15
4B029GB10
(57)【要約】
【課題】本発明は、検査機器の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、検体内の原因物質を増幅する増幅反応液と、増幅後の検体に反応して発色する物質を含む着色液と、検体と着色液の混合液に接触して原因物質の有無を検知する検査体を用いる検査機器であり、検体収容チューブと、その開口部に着脱自在に装着されるタンクキャップと、タンクキャップの他端側に着脱自在に装着されるチューブ本体と、チューブ本体の他端側からチューブ本体に圧入されるピストンロッドを具備し、タンクキャップの両方の開口を閉じる封止フィルムが設けられ、タンクキャップの内部に着色液が封入されるとともに、ピストンロッドの先端側に検査体を備えたホルダー部材が設けられ、ピストンロッドのチューブ本体への圧入によりホルダー部材による封止フィルムの貫通破断が可能であり、検査体を混合液に浸漬自在にされたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体に含まれる検査対象の原因物質を増幅する増幅反応液と、前記原因物質が増幅された後の検体に反応して発色する物質を含む着色液と、前記原因物質の増幅後の前記検体と前記着色液との混合液に接触して前記原因物質の有無を検知するための検査体を用いて行う原因物質検査に用いる検査機器であり、
先端部が閉じられ後端部が開口された検体収容チューブと、該検体収容チューブの開口部に一端側が着脱自在に装着されるタンクキャップと、該タンクキャップの他端側に一端側が着脱自在に装着されるチューブ本体と、該チューブ本体の他端側から該チューブ本体に圧入されるピストンロッドを具備し、
前記タンクキャップに、前記検体収容チューブ側開口と前記チューブ本体側開口をそれぞれ、あるいは、前記検体収容チューブ側開口のみ閉じる封止フィルムが設けられ、前記タンクキャップの内部に前記着色液が封入、あるいは注入可能であるとともに、
前記ピストンロッドの先端側に前記検査体を備えたホルダー部材が設けられ、
前記ピストンロッドの前記チューブ本体への圧入により前記ホルダー部材による前記封止フィルムの貫通破断が可能であり、前記検査体を前記混合液に浸漬自在にされたことを特徴とする検査機器。
【請求項2】
前記タンクキャップの開口部に樹脂フィルムからなり、ヒートシール溶着された前記封止フィルムを備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査機器。
【請求項3】
前記増幅反応液が、前記検体に含まれる前記原因物質の遺伝子を増幅するための展開液であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検査機器。
【請求項4】
前記チューブ本体が透明のチューブからなり、前記ホルダー部材が細片状の検査体を収容自在なことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の検査機器。
【請求項5】
前記検体収容チューブと前記タンクキャップの結合部にねじ結合部が形成され、前記タンクキャップと前記チューブ本体の結合部にねじ結合部が形成されたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の検査機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌やウイルスなどの検査対象物質を検査するための検査機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、特定の感染症に罹患しているか否かを医療現場等で手軽に判定するための検査機器の開発がなされている。
世の中では、結核、HIV(Human Immunodeficiency Virus)、マラリア、デング熱、ジカ熱、などの様々な感染症知られており、これら感染症の原因菌あるいは原因ウイルスはそれぞれ特異な遺伝子構造部分を有している。このため、それらの特異な遺伝子構造部分と特異的に結合するタグ付きプライマーを用い、これらを反応させることで、どのような感染症に感染しているのかを検査することができる。
【0003】
例えば、DNAクロマト法では上述の特異な遺伝子構造部分と結合するタグDNAをトラップできるDNAを検査用のストリップに印刷しておき、このストリップを検査液に浸漬する。すると、毛管現象で試薬をストリップ側に引き込むことができ、試薬との反応を生じるとストリップが特定の色に着色するので、目視で感染の有無を判定することができる。
この検査方法を採用すると、専門の検査機関ではなくとも、現場において安価に誰でも簡単かつ短時間で原因菌や原因ウイルスの有無を判定することができる。また、上述の検査方法を採用すると、食中毒菌の有無を判定できるため、高精度で安価に食品衛生検査も可能となる利点がある。
【0004】
ところで、最近に至り、コロナウイルスによる感染症の蔓延が問題となり、コロナウイルスによる感染症罹患の有無を検査するPCR(Polymerase Chain Reaction)法やLAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法などの核酸増幅検査が注目されている。
一般的なDNAクロマトを用いたLAMP法検査は、図14に示す手順に従い実施されている。まず、検体を収容するチューブ100の内部に被験者から採取した検体からの抽出DNA及びLAMP法核酸増幅反応液101を収容し、このチューブ100の内部に必要量の展開液102をスポイト103により投入する。次に、チューブ100の投入口104の周りのねじ部105にキャップ106を螺合してチューブ100を密封する。
【0005】
次いで密封したチューブ100を恒温槽107に収容して等温増幅し、検査対照とする細菌やウイルスのDNAを増幅する。所定時間反応後、恒温槽107からチューブ100を取り出し、キャップ106を開封してチューブ100の投入口104を開放し、スポイト108を用いて投入口104から所量の着色液109を投入する。着色液とは、コロナウイルスなどの検査対象核酸増幅産物に反応する粒子を水に分散させた液体である。
【0006】
等温増幅後の核酸増幅反応液101に着色液109を投入して混合液110とした後、チューブ100の投入口104から検査用のストリップ111を挿入して混合液110に浸漬する。毛管現象により混合液110がストリップ111に吸い上げられるので、ストリップ111に印刷されているDNAが混合液110中のタグDNAと反応するとストリップ111の所定位置に着色反応が現れる。この着色反応の有無により、等温増幅後の核酸増幅反応液101にコロナウイルスが含まれているか否かが判明する。
【0007】
現在、コロナウイルス罹患の有無は、PCR法、LAMP法などの核酸増幅検査が最も重要な検査方法であると解釈され、日本および世界中で広く実施されている。
しかしながら、図14に示したDNAクロマトを用いたLAMP法検査においては、チューブ100を密閉し、恒温槽107において恒温保持後、再度キャップ106を外して着色液109の注入作業を行う必要がある。このため、図14(c)に示すようにキャップ106を取り外した状態において、検体101に含まれていた増幅した核酸を含む液滴やミストなどがチューブ100の外部に飛散し、他の検体チューブへの混入を引き起こす可能性がある。
【0008】
このように、他の検体チューブに飛散した液滴やミストに含まれる増幅した核酸のコンタミが生じた場合、本来陰性と判定するべき検体を陽性と判定してしまい、誤判定を引き起こすきわめて大きい問題がある。
【0009】
このため、検体をチューブに収容したならば、チューブを密閉状態のまま核酸増幅検査を最後まで実施できることが望ましいが、現状、チューブを密閉したまま核酸増幅検査を最後まで実施できるような検査機器は提供されていないのが実情である。
【0010】
また、以下の特許文献1に記載のように、検体収容のためのチューブに筒状のボディとプランジャを接続し、ボディの内部に設けた第1液(菌培養液)と第2液(殺菌液)をチューブ内の検体と順次混合できる構成の検査機器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011-247757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
検体をチューブに収容したならば、チューブを密閉状態のまま核酸増幅検査を最後まで実施できる検査機器の提供が望まれているが、特許文献1に記載の検査機器では、密閉状態のまま第1液と第2液の混合まではできるものの、その他、検査などを行う手段については特に記載されていない。
このため、核酸増幅検査を行う場合、チューブを密閉状態のまま最後まで検査を実施できる検査機器の提供が望まれている。
【0013】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、核酸増幅検査においてチューブを密閉状態のまま最後まで検査を実施できる検査機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本形態に係る検査機器は、検体に含まれる検査対象の原因物質を増幅する増幅反応液と、前記原因物質が増幅された後の検体に反応して発色する物質を含む着色液と、前記原因物質増幅後の前記検体と前記着色液との混合液に接触して前記原因物質の有無を検知するための検査体を用いて行う原因物質検査に用いる検査機器であり、先端部が閉じられ後端部が開口された検体収容チューブと、該検体収容チューブの開口部に一端側が着脱自在に装着されるタンクキャップと、該タンクキャップの他端側に一端側が着脱自在に装着されるチューブ本体と、該チューブ本体の他端側から該チューブ本体に圧入されるピストンロッドを具備し、前記タンクキャップに、前記検体収容チューブ側開口と前記チューブ本体側開口をそれぞれ、あるいは、前記検体収容チューブ側開口のみ閉じる封止フィルムが設けられ、前記タンクキャップの内部に前記着色液が封入、あるいは注入可能であるとともに、前記ピストンロッドの先端側に前記検査体を備えたホルダー部材が設けられ、前記ピストンロッドの前記チューブ本体への圧入により前記ホルダー部材による前記封止フィルムの貫通破断が可能であり、前記検査体を前記混合液に浸漬自在にされたことを特徴とする。
【0015】
(2)本形態に係る検査機器において、前記タンクキャップの開口部に樹脂フィルムからなり、ヒートシール溶着された前記封止フィルムを備えたことが好ましい。
ヒートシール溶着された封止フィルムによりタンクキャップの開口部を密閉できる。ヒートシール溶着の封止フィルムによる密閉構造であるならば、簡単かつ容易にタンクキャップの密閉構造を実現できる。
【0016】
(3)本形態に係る検査機器において、前記増幅反応液が、前記検体に含まれる前記原因物質の遺伝子を増幅するための展開液であることが好ましい。
【0017】
(4)本形態に係る検査機器において、前記チューブ本体が透明のチューブからなり、前記ホルダー部材が細片状の検査体を収容自在なことが好ましい。
透明のチューブ本体とホルダー部材であるならば、ホルダー部材に収容した検査体に発色が生じた場合、チューブ本体の外部から使用者が検査体の色の変化を容易に確認することができる。
【0018】
(5)本形態に係る検査機器において、前記検体収容チューブと前記タンクキャップの結合部にねじ結合部が形成され、前記タンクキャップと前記チューブ本体の結合部にねじ結合部が形成されたことが好ましい。
ネジ結合部による検体収容チューブとタンクキャップとチューブ本体の接合であるならば、組み立て容易な検査機器を提供できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、検体を収容した検体収容チューブをタンクキャップで密閉し、恒温槽にて恒温処理後、ピストンロッドとホルダー部材と検査体を備えたチューブ本体を装着し、ピストンロッドを押圧してホルダー部材によりタンクキャップの封止フィルムを破ることでタンクキャップ内の着色液を検体に混合して混合液にできるとともに、検査体を混合液に浸漬することができる。検体を含む混合液に検査体を浸漬することで、検体に細菌やウイルスなどの検査対象の原因物質が含まれていると、検査体に着色部分を生じるので、原因物質の有無を検査できる。
【0020】
本発明に係る検査機器では、検体を収容した検体収容チューブをタンクキャップで密閉した後、その密閉状態を破ることなく恒温処理と着色液の混合と検査体の浸漬までを実施できる。従って、検査途中で検体から原因物質が外部に漏れるおそれがなく、検査員は検体に触れるおそれがなく、安全な状態で検査ができる。また、検査途中でコンタミも生じないため、複数の検体収容チューブを隣接させてまとめて検査した場合であっても、コンタミを起因とする誤検査を生じない効果を奏する。
【0021】
チューブ本体にピストンを圧入し、ホルダー部材で封止フィルムを破る場合、チューブ本体内の内圧をタンクキャップ側の内圧と検体収容チューブ側の内圧よりも高くできるので、タンクキャップに収容されている着色液を検体収容チューブ側に確実に導入することができる。
この結果、恒温処理後の検体に対し確実に着色液を混合することができ、検体に着色液を混合した混合液に確実に検査体を浸漬することができる。従って、検体に含まれる原因物質の検査精度の高い検査が可能な検査機器を提供できる。
また、本発明の検査機器によれば、ピストンを押圧してホルダー部材により封止フィルムを破るという簡単な操作で検体に着色液を確実に混合し、更に混合液を検査体に浸漬することができる。このため、医療現場等で簡便な操作により安全にリアルタイム検査ができる検査機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る検査機器の分解側面図である。
図2】同検査機器の検査前状態を示す側面図である。
図3】同検査機器の検査後形態を示す側面図である。
図4】同検査機器に備えられるチューブとホルダーの詳細を示すもので、(a)はチューブにホルダーを結合した状態を示す部分断面図、(b)はホルダーの拡大断面図である。
図5】同検査機器を用いて行うPCR検査を工程順に示すもので、(a)はチューブに増幅反応液を投入している状態を示す説明図、(b)はタンクキャップにより密閉したチューブを恒温槽に設置した状態を示す説明図、(c)はタンクキャップにチューブ本体とホルダー部材とピストン部材を装着してピストン部材を押し込んだ状態を示す説明図である。
図6】同検査機器においてホルダー部材によりタンクキャップの一方の封止フィルムを貫通した状態を示す説明図である。
図7】同検査機器においてホルダー部材によりタンクキャップの他方の封止フィルムを貫通した状態を示す説明図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る検査機器を示すもので、(a)はピストンロッドを押し込んだ状態を示す断面図、(b)はピストンロッドとホルダー部材を示す斜視図、(c)はホルダー部材先端部を示す拡大斜視図、(d)はエンドキャップの斜視図である。
図9】同検査機器におけるピストンロッドと押圧板の接続部分を示す斜視図である。
図10】同検査機器におけるピストンロッドとエンドキャップの接続部分を示す斜視図である。
図11】同検査機器を示すもので、(a)はピストンロッドを引き抜いた状態を示す断面図、(b)はタンクキャップの斜視図である。
図12図11に示すピストンロッドを引き抜いた状態においてピストンロッドとエンドキャップの接続部分を示す断面図である。
図13図11に示すピストンロッドを引き抜いた状態において検体収容チューブとタンクキャップとチューブの接続部分を示す断面図である。
図14】一般的なLAMP法検査の一例について工程順に示すもので、(a)はチューブに増幅反応液を投入している状態を示す説明図、(b)はキャップにより密閉したチューブを恒温槽に収容した状態を示す説明図、(c)はキャップを外して開放した恒温保持後のチューブに着色液を投入し混合液としている状態を示す説明図、(d)はキャップを外して開放した投入口から検査体を混合液に投入した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
「第1実施形態」
以下、第1実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1図2に示すように第1実施形態の検査機器Kは、検体収容チューブ1と、タンクキャップ2と、チューブ本体3と、ピストンロッド4を有する。また、タンクキャップ2の両面には開口部を閉じる封止フィルム5、6が設けられ、チューブ本体3の端部にエンドキャップ7が装着され、ピストンロッド4の先端側に筒型のホルダー部材8が突出されている。また、ホルダー部材8の内部に検査体(検査紙)Eが挿入されている。ホルダー部材8は検査体Eを収容自在であればその形状は問わない。
【0024】
検体収容チューブ1は先端側を先細り状に形成し、後端側を投入口1aとして開口させた樹脂製のチューブ体からなり、後端部外周にはねじ部1bが形成されている。
タンクキャップ2は、図4に拡大して示すように、短尺の樹脂製の円筒状のパイプ本体2Aを有し、その一端側(図4では下端側)にフランジ状の外筒部2Bが形成され、外筒部2Bの内周側にねじ部2cが形成されている。外筒部2Bの開口部2bはパイプ本体2Aの一端側開口部2dとほぼ同一面位置となるように開口されている。パイプ本体2Aにおいて外筒部2Bの内側に位置する部分の外径は、検体収容チューブ1の投入口側の開口部内径とほぼ同じか、若干小さく形成されている。外筒部2Bの内奥側は端部壁2Dによりパイプ本体2Aに一体化されている。パイプ本体2Aと外筒部2Bと端部壁2Dに囲まれた部分にシール用Oリングなどのシールリング10が収容されている。パイプ本体2Aの他端側はパイプ本体2Aの一端側よりも若干肉厚のパイプ状に形成され、パイプ本体2Aの他端側に外ねじ部2Eが形成され、外ねじ部2Eの基端側外周にOリングなどのシールリング2Fが外挿されている。
【0025】
外筒部2Bの内側に設けられているねじ部2cは、検体収容チューブ1のねじ部1bに対し螺合できる大きさに形成されている。このため、タンクキャップ2はねじ部2cを検体収容チューブ1のねじ部1bに螺合し、シールリング10を検体収容チューブ1の投入口周縁部に押し付けることで検体収容チューブ1の開口部に対し液密に装着できるようになっている。従って、タンクキャップ2は、ねじ部2cとねじ部1bからなる図2に示すネジ結合部S1を介し検体収容チューブ1に着脱自在に連結されている。
【0026】
パイプ本体2Aの内部にラテックス液などの着色液Cが所定量収容されるとともに、パイプ本体2Aの一方側の開口部(図4(b)の下端側開口部)は封止フィルム5により閉じられ、パイプ本体2Aの他方側の開口部(図4(b)の上端側開口部)は封止フィルム6により閉じられている。
このため、パイプ本体2Aの内部に着色液Cが封入されている。着色液Cはラテックス液とも称することができる液体であり、検査対象の原因物質と反応して発色を呈する微粒子を水系の溶媒中に分散させた懸濁液を例示できる。
封止フィルム5、6は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどのようにパイプ本体2Aに対しヒートシール溶着が可能な樹脂フィルムからなる。あるいは、気密性に優れたアルミニウム箔などの金属フィルムからなる封止フィルム5、6であっても良い。
【0027】
チューブ本体3は検体収容チューブ1より若干長い円筒状をなし、その一端側に内ねじ部3aが形成され、その他端側に外ねじ部3bが形成されている。チューブ本体3は透明樹脂から形成されている。
内ねじ部3aはタンクキャップ2の外ねじ部2Eに螺合されるサイズに形成され、外ねじ部3bにはエンドキャップ7が螺合されている。エンドキャップ7は短尺の筒型をなし、その一端側に内ねじ部7aが形成され、他端側に後述のピストンロッド4を挿通する筒部7bが形成されている。チューブ本体3は内ねじ部3aを介しタンクキャップ2の外ねじ部2Eに螺合されるので、チューブ本体3は内ねじ部3aと外ねじ部2Eからなるネジ結合部S2を介しタンクキャップ2に着脱自在に結合されている。
【0028】
ピストンロッド4は、エンドキャップ7の筒部10bを内挿可能な外径を有し、その先端部に筒型のホルダー部材8が延出形成され、ピストンロッド4の後端部に押圧板9が形成されている。
ピストンロッド4の先端部には先端部周面を取り囲むようにOリングなどのシールリング11が取り付けられている。ピストンロッド4の先端部外周に図示略の周溝が形成され、この周溝を埋めてピストンロッド4の外側に所定厚さ突出するようにシールリング11が装着されている。このシールリング11はピストンロッド4をチューブ本体3の内部に挿入した(圧入した)際にチューブ本体3の内周面に弾性的に押し付けられる厚さに形成されている。
ピストンロッド4の長さはチューブ本体3の長さよりも若干短く形成され、ホルダー部材8はピストンロッド4よりも若干短く形成されている。ホルダー部材8は例えば透明樹脂からなり、後述の検査体Eを収容できる内径と長さを有する筒型に形成されている。透明樹脂を用いることと筒型であることは1つの例であり、ホルダー部材は後述する例に示すように他の形状でも良く、ピストンロッド4と別体構成でも良い。
【0029】
検査体(検査紙)Eは、本実施形態の検査機器Kを用いて検査を行う場合に目的とする原因物質と反応性を有し、変色を呈する物質を紙などの基体に印刷したものである。検査体Eはホルダー部材8に収容可能な細長い細片状に形成されている。
本実施形態の検査機器Kがコロナウイルス対応の核酸増幅検査用途であるならば、検査体Eは、STH法(Single-stranded Tag Hybridization)に適用される目視判定用試験片(PAS:Printed Array-Strip)として著名なSTH-PASを適用することができる。
【0030】
この検査体Eは、例えば、コロナウイルスに特異的な遺伝子構造部分があることを利用し、この遺伝子構造部分と結合するタグ付きプライマー(遺伝子と特異的に結合するプライマーと目印となるタグDNA)をトラップし発色できるDNAを紙の基体に印刷し配置したものである。この検査体Eに試薬を浸すと毛管現象で試薬を紙の基体に添って引き上げることができ、上述のタグDNAの存在に応じて反応を生じると青色などに着色して目視判定が可能となる。
【0031】
なお、本実施形態の検査機器Kは、上述の核酸増幅検査に限らず、医療分野であるならば、結核菌、マラリア、デング熱、下痢原因菌、HPV(Human Papilloma Virus)、HIV(Human Immunodeficiency Virus)、肝炎ウイルス、鳥インフルエンザウイルス、性感染症、敗血症、口腔感染症、各種病原菌などの原因物質の検査(検知)に広く適用することができる。食品検査分野であるならば食中毒菌、養殖病菌等の検査に広く適用することができる。他に、畜肉、農業品の検査や食品管理用途、工場などにおける製品衛生管理や品質管理用としてのGMO(遺伝子組み換え食品)、食物アレルゲン、ハラール検査などに適用しても良い。
それぞれの用途に応じた後述の増幅反応液と着色液(展開液)Cと検査体Eを用いることで、上述のいずれの検査用途に対しても本実施形態の検査機器Kを適用できる。
【0032】
図2は本実施形態の検査機器Kにおいて検査前形態を示し、図3は同検査機器Kにおいて検査後形態を示す。
図2に示す検査前形態において、ピストンロッド4は、ホルダー部材8を先にしてチューブ本体3に挿入されているが、ピストンロッド4の後端側大部分はチューブ本体3の外部側に突出された状態を示す。
図3に示す検査後形態ではピストンロッド4をチューブ本体3の内部に深く挿入してホルダー部材8を検体収容チューブ1の内部側に深く挿入した状態を示す。
図3に示す検査後形態では、押圧板9がエンドキャップ7に当接するまでピストンロッド4を押し込んだ状態を示し、この状態においてホルダー部材8の先端は検体収容チューブ1の先端部近くまで挿入されている。
【0033】
以下に図5を参照しつつ本形態に係る検査機器Kを用いたLAMP法による検査方法について説明する。
被験者の鼻咽頭ぬぐい液あるいは唾液などから抽出した核酸の検体Aを採取し、図5(a)に示すようにタンクキャップ2を外して投入口1aを開放し、立てかけた検体収容チューブ1に検体Aを投入し、次いでスポイト12により規定量の増幅反応液Bを投入する。
増幅反応液Bを投入後、検体収容チューブ1のねじ部1bにタンクキャップ2のねじ部2cを螺合して検体収容チューブ1を密閉する。図4に示すようにねじ部2cの奥側にはシールリング10が設けられているので、検体収容チューブ1のねじ部1bにタンクキャップ2のねじ部2cを螺合することでシールリング10を検体収容チューブ1の投入口周縁部に押し当てることができる。タンクキャップ2の開口部は、封止フィルム5、6で閉じられているので、タンクキャップ2を検体収容チューブ1に螺合することにより検体収容チューブ1を密閉することができる。
【0034】
ヒートシール溶着された封止フィルム5、6によりタンクキャップ2の開口部を閉じた構成ならば、タンクキャップ2を完全に密閉することができ、着色液(展開液)Cの漏出は生じない。また、ヒートシール溶着の封止フィルム5、6による密閉構造を有するタンクキャップ2の螺合による検体収容チューブ1の密閉であるならば、検体収容チューブ1を簡単かつ容易に密閉することができる。
【0035】
図5(b)に示すように密閉した検体収容チューブ1を恒温槽(等温増幅器)13に収容し、目的の温度で所定時間恒温保持し、検体1に含まれている可能性のあるウイルスあるいは細菌などの原因物質核酸をLAMP法により増幅する。
【0036】
所定時間の恒温処理後、図5(c)に示すように検体収容チューブ1を縦向きに保持し、タンクキャップ2にホルダー部材8とピストンロッド4を備えたチューブ本体3を螺合する。タンクキャップ2の上端に外ねじ部2Eが設けられているので、この外ねじ部2Eにチューブ本体3の内ねじ部3aを螺合することによりチューブ本体3をタンクキャップ2に螺合しねじ結合することができる。ここで、チューブ本体3を螺合する場合、ピストンロッド4は先端側のみをチューブ本体3内に挿入し、ピストンロッド4の後端側はチューブ本体3の外側に突出させた状態とする。また、ホルダー部材8の内部に検査に必要な検査体Eを挿入しておき、ホルダー部材8の全体がチューブ本体3の内部側に納まる位置としておく。
この状態が図2に示す検査前形態である。
【0037】
次に、検体収容チューブ1を縦向きに保持したまま、ピストンロッド4を押し下げチューブ本体3内のホルダー部材8を下降する。ピストンロッド4の下降に伴い、シールリング11がチューブ本体3の内周面に押圧されながら移動するので、ピストンロッド4の移動によりチューブ本体3の空気を圧縮し、チューブ本体3の内圧を上昇させることができる。
【0038】
ホルダー部材8の下降に伴い、ホルダー部材8の先端部は最初に図6に示すように封止フィルム6を貫通破断する。封止フィルム6を貫通破断した状態においてチューブ本体3の内部空間とタンクキャップ2の内部空間はいずれも正圧状態であるのでタンクキャップ2の内部に収容されている着色液Cはチューブ本体3側に逆流したり、飛び散ることはなく、移動しない。
【0039】
次に図7に示すようにホルダー部材8の下降に伴い、ホルダー部材8の先端部が封止フィルム5を貫通破断する。この状態でチューブ本体3の内部圧力とタンクキャップ2の内部圧力は検体収容チューブ1の内部圧力よりも高いので、それらの圧力は検体収容チューブ1側に開放される。このため、タンクキャップ2に収容されている着色液(展開液)Cは検体収容チューブ1の内部側に向かって噴出するか流動する。この結果、着色液(展開液)Cを恒温処理後の検体A及び増幅反応液B‘に確実に混合し、図5に示す混合液Dとすることができる。
【0040】
図7に示す状態から更にピストンロッド4を前進させホルダー部材8を検体収容チューブ1の内部深くまで挿入した状態を図3に示す。図3は検査後形態を示すもので、この状態においてホルダー部材8に収容されている検査体Eを混合液Dに確実に浸漬することができる。検体Aに規定量のコロナウイルスが含まれている場合であって、着色液Cから付与されたタグDNAをトラップすることができ、発色を呈するDNAを含む粒子が、検査体Dに印刷などの方法により複数配置されているので、例えば印刷された状態がライン状印刷であるならば青色などのような発色のラインが生じる。
このラインの有無を使用者が確認することで使用者は目視により検体Aにコロナウイルス核酸が含まれているか否かを容易に判定することができる。
【0041】
前記構成の検査機器Kを用いるならば、検体収容チューブ1に検体Aを一度収容したならば検査終了まで検体収容チューブ1をタンクキャップ2あるいはタンクキャップ2とチューブ本体3とピストンロッド4で密閉した状態を維持しつつ検査できる。このため、異なった患者からの検体を収容した多数の検体収容チューブ1を配置してLAPM法検査を行ったとしても、多数の検体間での増幅核酸のコンタミを生じることはない。よって、コロナウイルスから抽出した核酸や増幅核酸のコンタミが原因でLAMP法検査における擬陽性判断を引き起こすことはない。
【0042】
前記構成の検査機器Kを用いるならば、専門の検査機関に検体検査を依頼しなくても、医療現場にて容易かつ安全、更に、正確にLAMP法検査を行うことができる。このため、本実施形態によれば、医療現場等におけるPCR検査の実施に寄与できる検査機器Kを提供することができる。
【0043】
前記構成の検査機器Kは、増幅反応液Bと着色液Cと検査体Eの組み合わせを適宜変更することにより、前述した如く、結核菌、マラリア、デング熱、下痢原因菌、HPV、HIV、肝炎ウイルス、鳥インフルエンザウイルス、性感染症、敗血症、口腔感染症、各種病原菌などの原因物質の検査に広く適用することができる。また、前記構成の検査機器Kは、食品検査分野であるならば食中毒菌、養殖病菌等の検査、畜肉、農業品の検査や食品管理用途、工場などにおける製品衛生管理や品質管理用としてのGMO(遺伝子組み換え食品)、アレルゲン、ハラールの検査などに適用できる。
このため、前記構成の検査機器Kにより、これら用途の各種検査において、専門の検査機関に検体検査を依頼しなくても、医療機関などの各種の現場にて容易かつ安全、更に、正確に検査を行うことができる。
【0044】
検査機器Kは、チューブ本体3が透明樹脂からなり、ホルダー部材8も透明樹脂からなるので、チューブ本体3の外部から検査体Eの着色状態を容易かつ正確に確認することができる。
また、チューブ本体3が透明樹脂からなるので、その内部を移動するホルダー部材8の位置確認も容易であり、ピストンロッド4をチューブ本体3の内部に深く挿入した場合に、ホルダー部材8に収容されている検査体Eが混合液に確実に浸漬されたか否か、容易に視認し、確認することができる。
なお、ピストンロッド4の外方端に形成されている押圧板9をエンドキャップ7に当たるまでピストンロッド4をチューブ本体3に押し込んだ場合、ホルダー部材8に収容されている検査体Eの全体を確実に混合液Dに浸漬できたことを認識することができる。よって、押圧板9とエンドキャップ7の当接により検査体Eの全体を検体Aに確実に浸漬できたことを把握することができる。
【0045】
ところで、先に説明した実施形態の検査機器Kでは、検査体Eに表示される着色部分を使用者が視認できることを意図として、チューブ本体3とホルダー部材8をいずれをも透明材料から構成した。
しかし、チューブ本体3とホルダー部材8は検査体Eの着色部分のみ外部から視認できると良いので、検査体Eの着色部分の外側に相当するチューブ本体3の一部とホルダー部材8の一部のみ透明とし、他の部分は不透明とした2色成型樹脂から構成しても良い。あるいは、検査体Eの着色部分の外側に相当するチューブ本体3の一部とホルダー部材8の一部のみに透明の窓部を設け、他の部分は不透明の樹脂から構成しても良い。
【0046】
「第2実施形態」
図8図13は、本発明に係る第2実施形態の検査機器Kを示すもので、図8に(a)に全体構造を示す第2実施形態の検査機機器Kも第1実施形態の検査機器Kと同様に、検体収容チューブ1と、タンクキャップ2と、チューブ本体3と、ピストンロッド4を有する。
タンクキャップ2の両面には開口部を閉じる封止フィルム5、6が設けられ、チューブ本体3の端部にエンドキャップ7が装着され、ピストンロッド4の先端側にホルダー部材8が突出されている。また、ホルダー部材8の内部に検査体(検査紙)Eが挿入される構成も第1実施形態と同等構成である。
第2実施形態の検査機器Kは、図8(b)、(c)、(d)に示すように、ピストンロッド4とエンドキャップ7とホルダー部材8の形状が一部異なり、その他の構成は第1実施形態の検査機器Kと同等であるので、構成が異なる部分を中心に以下に説明する。
【0047】
第2実施形態の検査機器Kにおいて、ピストンロッド4は短冊板状の本体部4Aの先端側に円柱部4Bを有し、円柱部4Bの先端に横断面U字状のホルダー部材8が一体化されている。ホルダー部材8の先端部には先端部を斜めカットした形状の尖鋭部8aが形成されている。この尖鋭部8aはピストンロッド4を前進させて尖鋭部8aでタンクキャップ2の封止フィルム5、6を破る場合に、封止フィルム5、6を容易に貫通できるように形成されている。第2実施形態のホルダー部材8は透明ではない樹脂から形成されている。
ピストンロッド4において、本体部4Aの両面側中央部にピストンロッド4の基端側から先端部近くまで延在するように補強リブ4Cが形成されている。この補強リブ4Cの先端側は本体部4Aと切り離された形状のアーム部4Dとされており、アーム部4Dの先端部分に鉤形の係止爪4Eが形成されている。
また、図8(a)に示すようにピストンロッド4の全体をチューブ本体3の内部に挿入した状態において係止爪4Eが位置するチューブ本体3の内面に係止爪4Eを収容可能な凹部3Eが形成されている。この凹部3Eに係止爪4Eを挿入することでピストンロッド4はチューブ本体3の内部に完全に挿入された状態となり、ピストンロッド4の軽い係止がなされる。また、この係止爪4Eは図11図12に示すようにピストンロッド4をチューブ本体3から引き出した場合、エンドキャップ7の内周部に係止され、抜け止めロック部材となる。
【0048】
ピストンロッド4はチューブ本体3に螺合されているエンドキャップ7を挿通しているが、エンドキャップ7の筒部7bにおいてその内周部の一部にキー溝7dが形成されている。また、ピストンロッド4の補強リブ4Cの基端側であって、押圧板9に近い部分にロック凸部4Fが形成されている。
前記ロック凸部4Fと押圧板9との距離d(図8(b)、図9等参照)は前記エンドキャップ7における筒部7bの肉厚より若干大きく形成されている。このため、図8(a)、図10に示すようにエンドキャップ7に押圧板9を接触させた状態において、ピストンロッド4を周回りに若干回転させ、キー溝7dからロック凸部4Fを外した位置にすると、ロック凸部4Fがエンドキャップ7の筒部7bに触れてピストンロッド4の抜け止めとなる。
【0049】
第2実施形態の検査機器Kは、第1実施形態の検査機器Kと同様に使用する。即ち、検査体Eをホルダー部材8に収容し、図11に示す状態からピストンロッド4を押し下げてホルダー部材8により封止フィルム5、6を突き破り、検査体Eを検体収容チューブ1側に挿入する。検体Aに検査体Eを浸漬することで、先に説明した第1実施形態の場合と同様に種々の検査に利用することができる。
【0050】
検体Aに対し検査体Eを浸漬後、検査体Eの表示を見やすくするためには、図11に示すようにピストンロッド4を引き上げ、チューブ本体3を介し検査体Eを視認容易な位置とすることが望ましい。この場合、図11図12に示すように係止爪4Eがエンドキャップ7の内周に引っ掛かるため、ピストンロッド4の抜け止めとなる。ピストンロッド4を引き抜いてゆくと、検体Aを含む検査体Eがチューブ本体3側に引き抜かれるが、検査体Eがチューブ本体3の外側に露出すると検体Aが外部に出る心配があるので、上述のようにピストンロッド4の抜け止め機能を有することが好ましい。
【0051】
なお、ピストンロッド4をチューブ本体3に押し込み、内圧を上昇させつつホルダー部材8によって封止フィルム6、5を順次破り、検査体Eを検体Aに浸漬する場合、ピストンロッド4より先方側の内圧が上昇しているため、押圧板9から指を外すと、内圧によりピストンロッド4が押し戻され、検体Aから検査体Eが離れてしまうことが考えられる。検査体Eを検体Aに浸漬する場合、検査体Eを一定時間、検体Aに確実に浸漬する必要がある。
【0052】
この対策のため、図8(a)、図10に示すようにエンドキャップ7に押圧板9を接触させた状態において、ピストンロッド4を周回りに若干回転させる。この回転操作により、キー溝7dからロック凸部4Fを外した位置にずらすことができ、エンドキャップ7の筒部7bがロック凸部4Fを抑えるので、ピストンロッド4が押し戻される現象を防止できる。
一定時間の浸漬後、再度反対側にピストンロッド4を回転し、キー溝7dとロック凸部4Fの位置合わせを行うと、ピストンロッド4を引き戻すことができるようになる。
ピストンロッド4を戻して検査体Eをチューブ本体3側に戻すと、検査体Eを目視確認しやすくなるので、検査結果を容易に把握できる。
その他の作用効果について、第2実施形態の検査機器Kは第1実施形態の検査機器Kと同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
ところで、先に説明した第1、第2実施形態の検査機器K、Kでは、タンクキャップ2の両面側に封止フィルム5、6を設けたが、タンクキャップ2において検体収容チューブ側開口のみ閉じる封止フィルム5を設け、封止フィルム6は略してもよい。
タンクキャップ2と検体収容チューブ1を仕切る封止フィルム5を設けることで本発明に係る検査機器K、Kは目的を達成できる。
また、タンクキャップ2に予め着色液を封入しておいても良いし、封止フィルム5のみを設け、検査前にタンクキャップ2に着色液を注入してからピストンロッド4をチューブ本体3に挿入し、検査に使用しても良い。
【符号の説明】
【0054】
A…検体、A‘…増幅後の検体、B…増幅反応液、C…着色液(展開液)、D…混合液、E…検査体、K、K…検査機器、1…検体収容チューブ、1a…投入口、2…タンクキャップ、2A…パイプ本体、2B…外筒部、2c…ねじ部、2E…外ねじ部、3…チューブ本体、3a…内ねじ部、3b…外ねじ部、4…ピストンロッド、5…封止フィルム、6…封止フィルム、7…エンドキャップ、8…ホルダー部材、10…シールリング、11…シールリング、S1、S2…ネジ結合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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