(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083374
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/38 20060101AFI20220527BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
H01G4/38 A
H01G4/30 513
H01G4/30 512
H01G4/30 201C
H01G4/30 201K
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010346
(22)【出願日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】202011325285.8
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521038728
【氏名又は名称】ダリアン ダリカップ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DALIAN DALICAP TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】特許業務法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジエイ
(72)【発明者】
【氏名】リュー,シビ
(72)【発明者】
【氏名】チー,ヨンジ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,グオシン
(72)【発明者】
【氏名】カイ,チュンク
(72)【発明者】
【氏名】スン,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】スン,イン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC06
5E001AD02
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC35
5E082CC03
5E082CC12
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082FH20
5E082PP09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作動電圧がより高く、高作動電圧の要求を満たすことができる積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】積層セラミックコンデンサにおいて、第1~第5内電極131、133、135、151、153が合理的に配置され、且つ、第1コンデンサ部品はC(n-1)1、第2コンデンサ部品C(n-1)2、第3コンデンサ部品C(n-1)3及び第4コンデンサ部品C(n-1)4が直列接続されてコンデンサが形成されるとともに、同容量である。コンデンサの分圧原理によれば、直列接続されたコンデンサの耐圧をU0とすると、コンデンサ全体の耐圧がU0の4倍になる。従って、直列接続構成の積層セラミックコンデンサは、より高い直流及び高周波電圧に耐えることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック媒質層と、
間隔をあけて順に同一の平面内に位置する第1内電極、第2内電極及び第3内電極を備え、前記第1内電極及び前記第3内電極が前記セラミック媒質層の両端から露出し、前記セラミック媒質層に嵌設される複数の第1電極層と、
間隔をあけて同一の平面内に位置する第4内電極及び第5内電極を備え、前記複数の第1電極層と間隔をあけて交互に設置され、前記セラミック媒質層に嵌設される複数の第2電極層と、
それぞれ前記第1内電極及び前記第3内電極と電気的接触され、前記セラミック媒質層の両端に被覆される外電極と、を有し、
前記第4内電極の一端は、隣接する前記第1内電極に対応して設置され、第1コンデンサ部品を形成し、
前記第4内電極の他端は、隣接する前記第2内電極に対応して設置され、第2コンデンサ部品を形成し、
前記第5内電極の一端は、隣接する前記第2内電極に対応して設置され、第3コンデンサ部品を形成し、
前記第5内電極の他端は、隣接する前記第3内電極に対応して設置され、第4コンデンサ部品を形成し、
前記第1コンデンサ部品、前記第2コンデンサ部品、前記第3コンデンサ部品及び前記第4コンデンサ部品は、順に直列接続される
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記第1内電極と隣接する前記第2内電極との間の第1電極ギャップをD1とし、前記第2内電極と隣接する前記第3内電極との間の第2電極ギャップをD2とし、前記第4内電極と隣接する前記第5内電極との間の第3電極ギャップをD3とし、D1=D2=D3であることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記第4内電極と隣接する前記外電極との間の第4電極ギャップをL1とし、前記第5内電極と隣接する前記外電極との間の第5電極ギャップをL2とし、L1=L2であることを特徴とする請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記第4電極ギャップL1は、前記第1電極ギャップD1以上であることを特徴とする請求項3に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項5】
前記第1電極層と前記第2電極層との層数の合計は奇数であり、前記第2電極層のそれぞれは2つの前記第1電極層の間に嵌設されることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項6】
前記第1内電極、前記第2内電極、前記第3内電極、前記第4内電極及び前記第5内電極の厚さは同じであることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項7】
前記第1内電極の厚さは1μm~10μmであることを特徴とする請求項6に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項8】
前記セラミック媒質層は、
前記複数の第1電極層の頂部に設けられる第1被覆層と、
前記複数の第2電極層の底部に設けられる第2被覆層と、
隣接する前記第1電極層と前記第2電極層との間にそれぞれに対応して設けられ、前記第1被覆層と前記第2被覆層との間に位置する複数の誘電体層と、を備える
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項9】
前記誘電体層の厚さは30μm~3000μmであることを特徴とする請求項8に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項10】
前記第1被覆層と前記第2被覆層の厚さは、いずれも前記誘電体層の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサの技術分野に属し、具体的には、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック電子部品において、積層セラミックコンデンサは、積層された複数の誘電体層と、誘電体層同士の間に挿入され、互いに対向するように配列される内部電極と、内部電極に電気的接続される外部電極と、を有する。積層セラミックコンデンサは、小型で大容量であり、取り付けやすいなどの利点があるので、ノートパソコンやパーソナルデジタルアシスタント(PDAs)、携帯電話などのモバイル通信の部品に幅広く適用される。
【0003】
一般的な用途の積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、多層の平行平板コンデンサが並列接続されてなるものであり、作動電圧が500V未満のものに適し、高作動電圧の要求を満たすことができない。さらに、直列構成を用いて耐圧を上げる装置があるが、その内部構造により、耐圧の向上に限界があり、高作動電圧の要求を満たすことが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば、作動電圧がより高く、高作動電圧の要求を満たすことができる積層セラミックコンデンサを提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、以下のように実現される。
【0006】
第一方面おいて、本発明の積層セラミックコンデンサは、
セラミック媒質層と、
間隔をあけて順に同一の平面内に位置する第1内電極、第2内電極及び第3内電極を備え、前記第1内電極及び前記第3内電極が前記セラミック媒質層の両端から露出し、前記セラミック媒質層に嵌設される複数の第1電極層と、
間隔をあけて同一の平面内に位置する第4内電極及び第5内電極を備え、前記複数の第1電極層と間隔をあけて交互に設置され、前記セラミック媒質層に嵌設される複数の第2電極層と、
それぞれ前記第1内電極及び前記第3内電極と電気的接触され、前記セラミック媒質層の両端に被覆される外電極と、を有し、
前記第4内電極の一端は、隣接する前記第1内電極に対応して設置され、第1コンデンサ部品を形成し、前記第4内電極の他端は、隣接する前記第2内電極に対応して設置され、第2コンデンサ部品を形成し、前記第5内電極の一端は、隣接する前記第2内電極に対応して設置され、第3コンデンサ部品を形成し、前記第5内電極の他端は、隣接する前記第3内電極に対応して設置され、第4コンデンサ部品を形成し、前記第1コンデンサ部品、前記第2コンデンサ部品、前記第3コンデンサ部品及び前記第4コンデンサ部品は、順に直列接続される。
【0007】
好ましい実施形態において、前記第1内電極と隣接する前記第2内電極との間の第1電極ギャップをD1とし、前記第2内電極と隣接する前記第3内電極との間の第2電極ギャップをD2とし、前記第4内電極と隣接する前記第5内電極との間の第3電極ギャップをD3とし、D1=D2=D3である。
【0008】
好ましい実施形態において、前記第4内電極と隣接する前記外電極との間の第4電極ギャップをL1とし、前記第5内電極と隣接する前記外電極との間の第5電極ギャップをL2とし、L1=L2である。
【0009】
好ましい実施形態において、前記第4電極ギャップL1は前記第1電極ギャップD1以上である。
【0010】
好ましい実施形態において、前記第1電極層と前記第2電極層との層数の合計は奇数であり、前記第2電極層のそれぞれは2つの前記第1電極層の間に嵌設される。
【0011】
好ましい実施形態において、前記第1内電極、前記第2内電極、前記第3内電極、前記第4内電極及び前記第5内電極の厚さは同じである。
【0012】
好ましい実施形態において、前記第1内電極の厚さは1μm~10μmである。
【0013】
好ましい実施形態において、前記セラミック媒質層は、前記複数の第1電極層の頂部に設けられる第1被覆層と、前記複数の第2電極層の底部に設けられる第2被覆層と、隣接する前記第1電極層と前記第2電極層との間にそれぞれ対応して設けられ、前記第1被覆層と前記第2被覆層との間に位置する複数の誘電体層と、を備える。
【0014】
好ましい実施形態において、前記誘電体層の厚さは30μm~3000μmである。
【0015】
好ましい実施形態において、前記第1被覆層と前記第2被覆層の厚さは、いずれも前記前記誘電体層の厚さよりも大きい。
【0016】
本発明の実施例の有益な効果は、例えば、以下のとおりである。
【0017】
本発明の実施例による積層セラミックコンデンサは、第1~第5内電極が合理的に配置され、且つ第1コンデンサ部品、第2コンデンサ部品、第3コンデンサ部品及び第4コンデンサ部品が直列接続されてコンデンサが形成されるとともに、容量が同じである。コンデンサの分圧原理によれば、直列接続されたコンデンサの耐圧をU0とすると、コンデンサ全体の耐圧がU0の4倍になる。従って、本発明による直列接続構成の積層セラミックコンデンサは、より高い直流及び高周波電圧に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例の技術案をより明瞭に説明するため、以下、実施例に必要な図面を簡単に説明する。以下の図面は、本出願のいくつかの実施例を示すものにすぎず、範囲に対する限定ではないと理解すべきである。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面に基づいて他の関連図面を得ることが可能である。
【
図1】本発明の実施例に係る積層セラミックコンデンサの内部構造の模式図である。
【
図2】本発明の実施例に係る積層セラミックコンデンサの外部構造の模式図である。
【
図3】
図1におけるセラミック媒質層構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするため、以下、本発明の実施例に用いられる図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明瞭且つ完全に説明し、説明される実施例が本発明の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではないことは無論である。通常、ここで図面を用いて説明し、示した本発明の実施例における部品は、様々な配置方法で配置、設計することが可能である。
【0020】
このため、以下の、図面に示された本発明の実施例に対する詳細な説明は、本発明の選択された実施例を示すものに過ぎず、保護しようとする本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施例をもとに、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
なお、同様な符号は、図面において類似なものを示すので、1つの図面で定義された場合、その他の図面でさらに定義、解釈することが不要になる。
【0022】
本発明の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」などの用語で表された方向又は位置関係は、図面に基づくものであり、或いは当該発明製品を使用する時には通常の配置方向又は位置関係であり、本出願を便宜及び簡略に説明するためのものにすぎず、該装置又は素子が、必ずしも定められた方向を有したり、定められた方向に構成、操作されたり、することを明示又は暗示するものではないため、本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0023】
なお、用語である「第1」、「第2」などで説明される場合、それは、説明を区別するためのものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものではないと理解すべきである。
【0024】
背景技術に開示されているように、従来の積層セラミックコンデンサとして、通常、平行平板積層コンデンサが採用されており、積層コンデンサ同士が並列接続され、その作動電圧が500V未満であり、高電圧の作動状態要求を満たすことができない。従来の直列積層コンデンサは、その内部構造のレイアウトが合理ではなく、2つの直列構成のみを実現できるため、耐圧の向上に対する役割に限界があり、その作動電圧が最大で3600Vしか達することができない。従来技術において、より高い電圧の作動状態要求を満たすことができるコンデンサが存在していない。
【0025】
また、従来の積層セラミックコンデンサは、高電圧状態で、コンデンサの端末の付近に電界分布が均一ではないため、電極部品において花火放電現象が発生しやすく、長時間の放電によりコンデンサが焼損し、その品質に影響を及ぼす。
【0026】
上記の問題を解決するために、本発明の実施例は、積層セラミックコンデンサを提供する。なお、矛盾がない限り、本発明の実施例における特徴を相互組み合わせることができる。
【実施例0027】
本実施例は、
図1~
図3に示すように、より高い直流及び高周波電圧に耐えることができるとともに、コンデンサセラミック体表面の電界分布が均一になり、高電圧条件でセラミック体の表面で花火放電が発生しなく、コンデンサの焼損を防ぐことができる積層セラミックコンデンサ100を提供する。
【0028】
本実施例は、積層セラミックコンデンサ100を提供する。前記積層セラミックコンデンサ100は、セラミック媒質層110と、セラミック媒質層110に嵌設される複数の第1電極層130と、セラミック媒質層110に嵌設される複数の第2電極層150と、セラミック媒質層110の両端に被覆される外電極170とを有し、複数の第2電極層150と複数の第1電極層130とは、間隔をあけて交互に設置される。
【0029】
各第1電極層130は、間隔をあけて順に同一の平面内に位置する第1内電極131、第2内電極133及び第3内電極135とを備え、第1内電極131と第3内電極135がセラミック媒質層110の両端から露出する。各第2電極層150は、間隔をあけて同一の平面内に位置する第4内電極151及び第5内電極153を備える。第1電極層130と第2電極層150とは、互いに平行であり、2つの外電極170は、それぞれ第1内電極131と第3内電極135と電気的接触される。
【0030】
なお、本実施例による積層セラミックコンデンサ100は、高電圧マイクロ波高周波コンデンサである。本実施例において、第1内電極131と第3内電極135は、それぞれセラミック媒質層110の両端面まで延在し、2つの外電極170は、セラミック媒質層110の両端面に被覆されるとともに、第1内電極131と第3内電極135と接触され、これによって、電気的接続を実現できる。
【0031】
そして、第4内電極151の一端は、隣接する第1内電極131に対応して設置され、第1コンデンサ部品を形成する。第4内電極151の他端は、隣接する第2内電極133に対応して設置され、第2コンデンサ部品を形成する。第5内電極153の一端は、隣接する第2内電極133に対応して設置され、第3コンデンサ部品を形成する。第5内電極153の他端は、隣接する第3内電極135に対応して設置され、第4コンデンサ部品を形成する。第1コンデンサ部品、第2コンデンサ部品、第3コンデンサ部品及び第4コンデンサ部品は、順に直列接続される。
【0032】
なお、本実施例における第1内電極131、第2内電極133、第3内電極135、第4内電極151及び第5内電極153は、いずれも板状を呈し、互いに間隔をあけて設置される。そして、第1電極層130を構成する第1内電極131、第2内電極133及び第3内電極135と、第2電極層150を構成する第4内電極151及び第5内電極153とは、交互に設置される。第4内電極151は、第1内電極131と第2内電極133とに跨るように配置され、その左右の2つの部分は、それぞれ第1内電極131と第2内電極133に対応する。第5内電極153は、第2内電極133と第3内電極135とに跨るように配置され、その左右の部分は、それぞれ第2内電極133と第3内電極135に対応する。これにより、第1コンデンサ部品、第2コンデンサ部品、第3コンデンサ部品及び第4コンデンサ部品を順に構成する。第1内電極131と第3内電極135とが外電極170と電気的接続されることにより、第1コンデンサ部品、第2コンデンサ部品、第3コンデンサ部品及び第4コンデンサ部品が順に直列接続され、且つそれらの容量が等しくなる。コンデンサの分圧原理によれば、直列接続された各コンデンサの耐圧をU0とすると、コンデンサ全体の耐圧がU0の4倍になる。従って、本実例による直列接続構成の積層セラミックコンデンサ100は、より高い直流及び高周波電圧に耐えることができる。
【0033】
本実施例において、順に直列接続された第1コンデンサ部品、第2コンデンサ部品、第3コンデンサ部品及び第4コンデンサ部品が中間コンデンサを構成し、隣接する中間コンデンサが並列接続され、最後に外電極170と結合することで、積層セラミックコンデンサ100を構成する。
【0034】
なお、本実施例において、第1内電極131、第2内電極133、第3内電極135、第4内電極151及び第5内電極153の材質は、同じであり、いずれも銅、パラジウム、銀パラジウム合金、銀又はプラチナなどのような金属材料であるが、ここで、具体的に限定されない。
【0035】
本実施例において、第1内電極131と隣接する第2内電極133との間の第1電極ギャップをD1とし、第2内電極133と隣接する第3内電極135との間の第2電極ギャップをD2とし、第4内電極151と隣接する第5内電極153との間の第3電極ギャップをD3とし、D1=D2=D3である。
【0036】
本実施例において、第4内電極151と隣接する外電極170との間の第4電極ギャップをL1とし、第5内電極153と隣接する外電極170との間の第5電極ギャップをL2とし、L1=L2である。具体的には、第1電極ギャップD1、第2電極ギャップD2、第3電極ギャップD3、第4電極ギャップL1及び第5電極ギャップL3を合理的に設置することにより、第1電極層130と第2電極層150の各内電極の分布が均一になることが可能であり、さらに第1電極層130と第2電極層150とが互いに平行に配置されるため、隣接する2つの内電極の間の対向面積及び間隔を同じくすることを実現できる。これにより、第1コンデンサ部品、第2コンデンサ部品、第3コンデンサ部品及び第4コンデンサ部品の容量が同じであること、各コンデンサ部品にかかる電圧、耐える電界強度が同じであることを確保できるため、一部のコンデンサ部品にかかる電圧が他のコンデンサ部品より高いことによる破損が発生しなくなる。
【0037】
本実施例において、第4電極ギャップL1は、第1電極ギャップD1以上である。好ましくは、第4電極ギャップL1と第1電極ギャップD1とが同じであり、左右である幅方向において、第2内電極133、第4内電極151及び第5内電極153の幅が同じであり、第1内電極131及び第3内電極135の幅が同じであり、第2内電極133の幅がD1の3倍であり、第1内電極131の幅がD1の2倍であり、セラミック媒質層110の全幅がD1の9倍である。これにより、第1コンデンサ部品、第2コンデンサ部品、第3コンデンサ部品及び第4コンデンサ部品の容量が同じであることをより確実に確保できる。
【0038】
本実施例において、第1電極層130と第2電極層150との層数の合計は奇数であり、各第2電極層150のそれぞれは2つの第1電極層130の間に介設される。具体的には、第1電極層130と第2電極層150との層数の合計が奇数であるため、積層された電極の総層数が奇数であることを確保できる。さらに、各第2電極層150のそれぞれは、複数の第1電極層130の間に介設されるため、最上層と最下層の電極パターンが第1内電極131、第2内電極133と第3内電極135からなることを確保できる。これにより、コンデンサセラミック体表面の電界分布が均一になり、外部電極が高電圧でセラミック体の表面において花火放電することを防ぐことができる。
【0039】
なお、本実施例において、積層された電極層の数は奇数であるとともに、最上層と最下層はいずれも第一電極であり、その電極パターンは第1内電極131、第2内電極133及び第3内電極135からなる。つまり、最上層と最下層の電極パターンは、いずれも直接に外電極170と電気的接続される。
【0040】
従来の積層セラミックコンデンサにおいて、最外層の内電極と外電極の端末が間隔をあけて設置されるので、コンデンサの両端に電圧を印加する時には、コンデンサの2つの端末と最外層の内電極との間に先端電界が形成される。これにより、2つの端末の付近に電界強度が集中され、電界強度が高くなるため、コンデンサ体の表面で花火放電現象が発生しやすくなる。これに対して、本実施例において、最外層の両端の第1内電極131と第3内電極135は端末(外部電極)と接続され、電位が同じであり、先端電界が発生しないため、両端の付近にセラミック体の電界が均一に分布し、電界強度が通常の積層セラミックコンデンサよりもはるかに小さく、コンデンサにおいて花火放電が発生しにくくなる。
【0041】
具体的には、本実施例において、積層された電極の総層数はnであり、第一層の第1電極層130の下にある第1コンデンサ部品はC11であり、第2コンデンサ部品はC12であり、第3コンデンサ部品はC13であり、第4コンデンサ部品はC14である。第二層の第2電極層150の下にある第1コンデンサ部品はC21であり、第2コンデンサ部品はC12であり、第3コンデンサ部品はC23であり、第4コンデンサ部品はC24である。同じように、第(n-1)層の第2電極層150の下にある第1コンデンサ部品はC(n-1)1であり、第2コンデンサ部品はC(n-1)2であり、第3コンデンサ部品はC(n-1)3であり、第4コンデンサ部品はC(n-1)4であり、第n層は第1電極層130である。
【0042】
本実施例において、第1内電極131、第2内電極133、第3内電極135、第4内電極151及び第5内電極153は、厚さが同じである。具体的には、第1内電極131の厚さは1μm~10μmであり、好ましくは、5μmである。
【0043】
セラミック媒質層は、一体になるよう焼結された第1被覆層111と、第2被覆層113と、誘電体層115とを備える。第1被覆層111は、複数の第1電極層130の頂部に設けられ、第2被覆層113は、複数の第2電極層150の底部に設けられ、複数の誘電体層115は、隣接する前記第1電極層130と第2電極層150との間にそれぞれに対応して設けられ、さらに第1被覆層111と第2被覆層113との間に位置する。具体的には、セラミック媒質層110は、セラミックフィルムを積層した後、高温で焼結することによって形成される。第1電極層130の電極パターンは、スクリーン印刷によって誘電体層115に印刷され、第2電極層150の電極パターンは、スクリーン印刷によって誘電体層115に印刷される。第1被覆層111及び第2被覆層113のフィルムの厚さがいずれも誘電体層115のフィルムの厚さよりも大きく形成されるので、第1被覆層111と第2被覆層113は、保護の役割を果たし、電極の端部と内電極とを遮断することもできる。
【0044】
本実施例において、複数の誘電体層115の厚さが同じであるため、第1電極層130と第2電極層150との間の距離がどこでも同じであるようになる。これによって、第1コンデンサ部品、第2コンデンサ部品、第3コンデンサ部品及び第4コンデンサ部品の容量が同じであることを保証することできる。具体的には、誘電体層115の厚さは30μm~3000μmであり、好ましくは、50μmである。
【0045】
本実施例において、セラミック媒質層110は、例えば、酸化アルミニウム、鋼玉、ムル石、マグネシウム橄欖石、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウ、ジルコン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム、リシア輝石及び様々なガラスセラミックなどの様々な誘電体セラミックからなるが、具体的に限定されない。
【0046】
本実施例において、外電極170は、積層してなる内層、中間層及び外層から構成され、内層が銀または銅により形成され、中間層が電気ニッケルめっき層又は電気銅めっき層であり、外層が電気スズめっき層である。
【0047】
本実施例による積層セラミックコンデンサ100の製造方法は、以下の通りである。セラミック粉末と有機バインダーをボールミルタンク又はサンドミルに入れ、一定時間の研磨と分散を経て、均一なセラミックスラリーを形成する。そして、セラミックスラリーをポリエステルフィルム(PET)に流延し、乾燥することにより、セラミックフィルムを形成し、即ち、誘電体層115を形成する。スクリーン印刷でセラミックフィルムに内電極金属が銀、銀パラジウム合金、プラチナ、ニッケル及び銅などの金属である内電極パターンを印刷し、再び乾燥する。内部電極が印刷されたセラミックフィルムを積層し、第1電極層130及び第2電極層150における内電極をコンデンサ幅方向に沿って位置がずれるように配置する。位置ずれ量がコンデンサの幅と同じである。電極同士の間の誘電体層115の厚さを増加させるために、第1電極層130と第2電極層150との間に印刷されていないセラミック膜を介設してもよい。最後に、厚さがより大きいセラミック膜を保護膜として上部及び下部に設置し、第1被覆層111と第2被覆層113を形成する。セラミックブロックを静水圧プレス機に入れ、ホットプレスし、各層をしっかりと結合させる。ホットプレスされたセラミックブロックを切断してコンデンサ単体を形成する。コンデンサに対して、有機バインダーを除去し、さらに高温焼結を行い、これによってセラミック媒質層110を形成する。そして、面取りを行った後、外電極170の塗布を行う。つまり、銀又は銅スラリーを接着して高温焼結(約600~820℃)し、そして順に電気ニッケルめっき、電気スズめっきを行い、積層セラミックコンデンサ100を形成する。
【0048】
本実施例では、第1電極層130と第2電極層のパターンは、2つの電極パターンのスクリーン印刷により実現され、その具体的な方法について、従来技術における電極パターンのスクリーン印刷を参照できる。
【0049】
以上により、本発明の実施例による積層セラミックコンデンサ100は、第1~第5内電極153が合理的に配置され、且つ第1コンデンサ部品、第2コンデンサ部品、第3コンデンサ部品及び第4コンデンサ部品が直列接続されてコンデンサが形成されるとともに、容量が同じである。コンデンサの分圧原理によれば、直列接続されたコンデンサの耐圧をU0とすると、コンデンサ全体の耐圧がU0の4倍になる。従って、本発明による直列接続構成の積層セラミックコンデンサ100は、より高い直流及び高周波電圧に耐えることができる。また、最上層と最下層の電極パターンが第1内電極131、第2内電極133及び第3内電極135からなるので、コンデンサセラミック体表面の電界分布が均一になり、外部電極が高電圧でセラミック体の表面において花火放電することを防ぐことができる。
【0050】
上記記載は、本発明の具体的な実施形態にすぎず、本発明の保護範囲がこれらに限定されない。当業者は、本発明に開示された技術範囲内において、技術案を変更または置換することができ、これらの変更または置換も本発明の保護範囲内に含まれる。このため、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に示された内容に準ずる。
前記第1電極層と前記第2電極層との層数の合計は奇数であり、前記第2電極層のそれぞれは2つの前記第1電極層の間に嵌設されることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記第1内電極、前記第2内電極、前記第3内電極、前記第4内電極及び前記第5内電極の厚さは同じであることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。