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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083410
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】光学的情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20220527BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
G06K7/10 436
G06K7/10 372
H05K5/02 D
H05K5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183023
(22)【出願日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2020194043
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021042773
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 栄竣
(72)【発明者】
【氏名】藤原 信幸
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】水野 夏輝
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AA01
4E360AD01
4E360BD07
4E360EA25
4E360ED07
4E360ED24
4E360EE02
4E360GA24
4E360GA46
4E360GA47
4E360GA60
4E360GB99
4E360GC08
4E360GC14
4E360GC20
(57)【要約】
【課題】操作手段が設けられる把持部に対して拭き取り消毒を容易に実施可能な構成を提供する。
【解決手段】使用者によって把持される把持部31が筐体11を構成する下ケース30の一部として形成され、把持部31には、読取処理を開始させる際に使用者が触る操作面34が設けられ、この操作面34に対して把持部31の内面側となる位置に、当該操作面34が触られている状態を検知する検知部45が設けられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的情報を光学的に読み取る読取部と、
複数のケースを組み付けることで前記読取部を収容する収容空間を形成する筐体と、
を備える光学的情報読取装置であって、
使用者によって把持される把持部が前記筐体の一部として形成され、
前記把持部には、前記読取部に関する所定の処理を開始させる際に前記使用者が触る所定の操作面が設けられ、前記所定の操作面に対して把持部の内面側となる位置に、当該所定の操作面が触られている状態を検知する検知部が設けられることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記把持部は、前記複数のケースの1つによってケース同士の繋ぎ目がない部位に形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記所定の操作面に生じる歪みを検知可能な圧電センサによって構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記所定の操作面に生じる静電容量の変化を検知可能な静電容量式センサによって構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記所定の操作面を構成する部位のケースの厚さは、他の部位を構成するケースの厚さよりも薄くなるように形成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記所定の操作面に対して把持部の内面側となる位置には、前記検知部によって前記所定の操作面が触られている状態が検知される場合に所定の状態に振動する振動部が設けられることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
当該光学的情報読取装置が載置される載置台の載置面には磁石が設けられ、
載置時に前記載置面に対向する前記筐体の部位の内面側となる位置には、磁石が設けられることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
前記載置面に対向する前記筐体の部位は、前記把持部でないことを特徴とする請求項7に記載の光学的情報読取装置。
【請求項9】
前記所定の操作面は、中央部が外周部に対して外方に突出するように形成され、
前記検知部は、前記外周部に生じる歪みを検知可能に構成されることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項10】
前記筐体には、前記所定の操作面における中央部の内面側となる位置に内方へ向けて突出する突出部が設けられ、
前記検知部は、前記突出部の内方への変形量に応じて前記所定の操作面に生じる歪みを検知するように構成されることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項11】
前記読取部は、前記筐体に形成される読取口を介して前記光学的情報を光学的に読み取り、
前記筐体には、前記読取口の把持部側となる下側縁と前記把持部との間から前記読取口が向く方向に延出する延出部が設けられ、
前記読取口の上側縁と前記延出部の先端縁とが下方となる状態で所定の面に載置した際に、前記所定の面に投影した当該光学的情報読取装置の重心位置が、前記上側縁と前記所定の面との接触部位と前記先端縁と前記所定の面との接触部位とによって囲まれる範囲内に含まれるように、前記筐体内の各部品の位置が調整されることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項12】
前記筐体内には、所定の音を発する発音部が設けられ、
前記筐体には、前記所定の音を外部に放音するための放音孔が形成され、
前記筐体に対して前記放音孔を閉塞するためのシートを接着する両面テープには、前記放音孔よりも大きな開口が形成されることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項13】
所定のタイミングで当該光学的情報読取装置の清掃作業を促す清掃指示情報を報知する報知部を備えることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項14】
前記報知部は、上位端末から指示を受けて前記清掃指示情報を報知することを特徴とする請求項13に記載の光学的情報読取装置。
【請求項15】
前記清掃作業を行った作業者を特定する作業者情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記作業者情報が前記清掃作業に関する情報とともに記憶される記憶部と、
を備えることを特徴とする請求項13に記載の光学的情報読取装置。
【請求項16】
当該光学的情報読取装置に対する清掃作業が行われた状態を検知可能な清掃作業検知部を備え、
前記記憶部には、前記清掃作業検知部による検知結果が記憶されることを特徴とする請求項15に記載の光学的情報読取装置。
【請求項17】
前記記憶部に記憶される情報の少なくとも一部は上位端末に送信され、
前記報知部は、前記上位端末から指示を受けて前記清掃指示情報を報知することを特徴とする請求項15又は16に記載の光学的情報読取装置。
【請求項18】
前記読取部によって前記光学的情報から患者を特定する患者情報が読み取られる際に、前記患者の体温を測定可能な体温測定部と、
前記体温測定部による測定結果に基づいて前記患者が発熱状態であるか否かについて判定する判定部と、
を備えることを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項19】
前記読取部は、前記筐体に形成される読取口を介して前記光学的情報を光学的に読み取り、
前記筐体には、前記読取口の把持部側となる縁と前記把持部との間から前記読取口が向く方向に薄板状に延出する延出部が設けられ、
前記延出部内に無線電力伝送用のコイルが配置されることを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項20】
前記無線電力伝送用のコイルは、前記延出部を構成する筐体部分の内面のうち読取口側となる内面に接着されることを特徴とする請求項19に記載の光学的情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード等の光学的情報を光学的に読み取る光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ウイルス感染への懸念が高まり、特に医療機関内での感染の広がりは大きな問題となっている。医療現場等で使用するバーコードリーダなどの光学的情報読取装置においても、菌、ウイルス感染の媒体になる可能性がある。このため、医療現場等で使用する読取装置には、少なくとも使用者が把持する把持部に関して、感染症対策や清潔さを保つために、拭き取り消毒を実施することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-251180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、読取処理を開始する際に押下操作するトリガスイッチ等が設けられる光学的情報読取装置は、外郭を構成する筐体からトリガスイッチ等が露出するように構成される。このような構成では、トリガスイッチ等の操作部分が駆動する機構となるために、その駆動部分等の菌、ウイルスの拭き取りに時間がかかってしまい、また、拭き取り消毒が不十分になるという問題がある。また、上記特許文献1に開示されるバーコードリーダのように、使用者の指が接触したことを検知するタッチ電極を筐体の両側面に設けることで駆動部分をなくしたとしても、その両側面から露出するタッチ電極の外縁と周囲の筐体部分との間で溝や段差等が形成されてしまうために、上述した拭き取り消毒の問題を十分に解決することができない。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、操作手段が設けられる把持部に対して拭き取り消毒を容易に実施可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
光学的情報(C)を光学的に読み取る読取部(41,43)と、
複数のケース(20,30)を組み付けることで前記読取部を収容する収容空間を形成する筐体(11)と、
を備える光学的情報読取装置(10,10a~10c)であって、
使用者によって把持される把持部(31)が前記筐体の一部として形成され、
前記把持部には、前記読取部に関する所定の処理を開始させる際に前記使用者が触る所定の操作面(34)が設けられ、前記所定の操作面に対して把持部の内面側となる位置に、当該所定の操作面が触られている状態を検知する検知部(45)が設けられることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、使用者によって把持される把持部が筐体の一部として形成され、把持部には、読取部に関する所定の処理を開始させる際に使用者が触る所定の操作面が設けられ、所定の操作面に対して把持部の内面側となる位置に、当該所定の操作面が触られている状態を検知する検知部が設けられる。
【0008】
これにより、検知部を使用者が操作する操作手段として活用でき、その検知部は把持部の内面側に設けられるので、上記所定の操作面とその周囲とを溝や段差等の無い筐体の外面だけで構成することができる。したがって、操作手段が設けられる把持部に対して拭き取り消毒を容易に実施可能な光学的情報読取装置を実現することができる。
【0009】
請求項2の発明では、把持部は、複数のケースの1つによってケース同士の繋ぎ目がない部位に形成される。これにより、把持部からケース同士の繋ぎ目をなくすことができるので、把持部に対する拭き取り消毒をより容易に実施することができる。
【0010】
請求項3の発明では、検知部は、所定の操作面に生じる歪みを検知可能な圧電センサによって構成される。これにより、使用者が把持部を握った状態からでも指で所定の操作面を押す操作を行うことができ、読取作業などの作業性を向上させることができる。
【0011】
請求項4の発明では、検知部は、所定の操作面に生じる静電容量の変化を検知可能な静電容量式センサによって構成される。これにより、使用者の操作によって所定の操作面が所定の状態に歪むように把持部や筐体を形成する必要が無いので、把持部や筐体に求められる寸法精度に関するばらつき等を軽減することができる。
【0012】
請求項5の発明では、所定の操作面を構成する部位のケースの厚さは、他の部位を構成するケースの厚さよりも薄くなるように形成される。これにより、検知部は、所定の操作面が触られている状態を検知しやすくなるので、検知部による検知精度、すなわち、装置の操作性を高めることができる。
【0013】
請求項6の発明では、所定の操作面に対して把持部の内面側となる位置には、検知部によって所定の操作面が触られている状態が検知される場合に所定の状態に振動する振動部が設けられる。これにより、上記所定の処理を開始させる際に使用者が所定の操作面を触ることで振動部が所定の状態に振動するので、使用者はその振動に応じた操作感を得ることができる。
【0014】
請求項7の発明では、当該光学的情報読取装置が載置される載置台の載置面には磁石が設けられ、載置時に載置面に対向する筐体の部位の内面側となる位置には、磁石が設けられる。これにより、光学的情報読取装置を載置台に載置した場合には、載置面の磁石と筐体の内面側の磁石とが引き合って固定されるため、光学的情報読取装置を載置台に係合固定するための凹凸形状等を不要にできるので、載置台に載置される部位の拭き取り消毒を容易に実施することができる。
【0015】
請求項8の発明では、載置面に対向する筐体の部位は、把持部でないため、載置時に把持部が載置台に接触することもないので、把持部をより清潔に保つことができる。
【0016】
請求項9の発明では、所定の操作面は、中央部が外周部に対して外方に突出するように形成され、検知部は、外周部に生じる歪みを検知可能に構成される。これにより、所定の操作面が平面状に形成される場合と比較して、操作時に指がその中央部にて所定の操作面に接触しやすくなる。また、中央部が外方に突出していても、外周部に生じる歪みを検知部が検知できるので、検知精度が低下することもない。
【0017】
請求項10の発明では、筐体には、所定の操作面における中央部の内面側となる位置に内方へ向けて突出する突出部が設けられ、検知部は、突出部の内方への変形量に応じて所定の操作面に生じる歪みを検知するように構成される。所定の操作面が触られた際には、中央部が最も変形することから、この中央部の内面側に位置する突出部の内方への移動量を大きくできるので、検知部による検知精度、すなわち、装置の操作性を高めることができる。
【0018】
請求項11の発明では、筐体には、読取口の把持部側となる下側縁と把持部との間から読取口が向く方向に延出する延出部が設けられる。そして、読取口の上側縁と延出部の先端縁とが下方となる状態で所定の面に載置した際に、この所定の面に投影した当該光学的情報読取装置の重心位置が、上側縁と所定の面との接触部位と先端縁と所定の面との接触部位とによって囲まれる範囲内に含まれるように、筐体内の各部品の位置が調整される。これにより、延出部の延出長さに応じて、机面などに対して読取口の上側縁と延出部の先端縁とが下方となる状態で光学的情報読取装置を載置することができ、この載置状態では、把持部が机面などに接触することもないので、把持部をより清潔に保つことができる。
【0019】
請求項12の発明では、筐体には、当該筐体内に設けられる発音部が発する所定の音を外部に放音するための放音孔が形成され、筐体に対して放音孔を閉塞するためのシートを接着する両面テープには、放音孔よりも大きな開口が形成される。これにより、清潔性を保つために、両面テープを利用して放音孔を閉塞するようにシートを筐体に接着する場合でも、両面テープが放音孔を覆うこともないので、両面テープまでもが放音孔を覆う場合と比較して、外部に放音される所定の音の音圧の低下を抑制することができる。
【0020】
請求項13の発明では、所定のタイミングで当該光学的情報読取装置の清掃作業を促す清掃指示情報を報知する報知部が設けられる。これにより、その清掃作業に適したタイミングで清掃作業が行われやすくなるだけでなく、作業忘れの防止を図ることができる。
【0021】
請求項14の発明では、報知部は、上位端末から指示を受けて清掃指示情報を報知するため、上位端末は、清掃指示情報を報知するタイミングを容易に調整することができる。
【0022】
請求項15の発明では、清掃作業を行った作業者を特定する作業者情報が取得部により取得されることで、この取得された作業者情報が清掃作業に関する情報とともに記憶部に記憶される。これにより、記憶部に記憶される情報に基づいて、作業履歴等を容易に管理できるだけでなく、上記清掃指示情報を報知するタイミングを実際の作業状況に合わせて容易に調整することができる。
【0023】
請求項16の発明では、当該光学的情報読取装置に対する清掃作業が行われた状態を検知可能な清掃作業検知部の検知結果が記憶部に記憶される。これにより、より確実な作業履歴を残すことができ、上記清掃指示情報を報知するタイミングを実情に合わせて調整することができる。
【0024】
請求項17の発明では、記憶部に記憶される情報の少なくとも一部は上位端末に送信され、報知部は、上位端末から指示を受けて清掃指示情報を報知する。これにより、上位端末は、管理対象の光学的情報読取装置に関する作業履歴を容易に把握できるので、上記清掃指示情報を報知するタイミングを実際の作業状況に合わせて適切に調整することができる。
【0025】
請求項18の発明では、読取部によって光学的情報から患者を特定する患者情報が読み取られる際に、体温測定部によって患者の体温が測定され、この体温測定部による測定結果に基づいて患者が発熱状態であるか否かについて判定部により判定される。これにより、拭き取り消毒を容易に実施可能な光学的情報読取装置にて、患者の体温を測定できるだけでなくその患者が発熱しているかについて容易に把握でき、患者への看護負担等を減らすことができる。
【0026】
請求項19の発明では、筐体には、読取口の把持部側となる下側縁と把持部との間から読取口が向く方向に薄板状に延出する延出部が設けられ、その延出部内に無線電力伝送用のコイルが配置される。このように、無線電力伝送用のコイルが薄板状に延出する延出部内に配置されるため、電力伝送時にコイルに生じた熱が、延出部の読取口側の面と把持部側の面とからそれぞれ放熱される。延出部の延出長さが長くなるほど読取口側の面及び把持部側の面による放熱面積が広くなるので、延出部の延出長さに応じて無線電力伝送用のコイルの発熱に関する放熱性を向上させることができる。
【0027】
請求項20の発明では、無線電力伝送用のコイルは、延出部を構成する筐体部分の内面のうち読取口側となる内面に接着される。延出部の把持部側の面(以下、載置側面ともいう)を充電器の充電面に載せるようにして電力供給を受ける際、載置側面は、近接する充電面のために放熱性が悪くなる一方で、延出部の読取口側の面(以下、反載置側面ともいう)はその放熱性が充電面に影響されることはない。このため、延出部を構成する筐体部分の内面のうち読取口側となる内面に無線電力伝送用のコイルを接着させることで、充電時に無線電力伝送用のコイルに生じた熱は、より放熱性の高い反載置側面に伝わりやすくなるので、薄板状の延出部による放熱効果をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る光学的情報読取装置を示す斜視図である。
図2図1の光学的情報読取装置の正面図である。
図3図1の光学的情報読取装置の側面図である。
図4図1の光学的情報読取装置の底面図である。
図5】光学的情報読取装置の電気的構成等を概略的に例示するブロック図である。
図6】検知部の配置構成を説明する一部拡大断面図である。
図7図7(A)は図3のX-X断面に関して読取開始操作がなされていない操作面の状態を説明する説明図であり、図7(B)は図3のX-X断面に関して読取開始操作がなされた操作面の状態を説明する説明図である。
図8】第1実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置を示す側面図である。
図9】第2実施形態に係る光学的情報読取装置の要部を示す一部拡大断面図である。
図10】第3実施形態に係る光学的情報読取装置及び載置台を示す側面図である。
図11図11(A)は、第4実施形態に係る光学的情報読取装置の要部を図3のX-X相当断面に関して概略的に示す説明図であり、図11(B)は、第4実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置の要部を図3のX-X相当断面に関して概略的に示す説明図である。
図12】第5実施形態に係る光学的情報読取装置の載置状態を側面側から見た図である。
図13】第5実施形態に係る光学的情報読取装置の載置状態を正面側から見た図である。
図14】第6実施形態に係る光学的情報読取装置の要部を示す斜視図である。
図15】第6実施形態においてシートを接着する両面テープの開口と放音孔との関係を説明する概略断面図である。
図16】第7実施形態に係る光学的情報読取装置の要部を示す斜視図である。
図17】第8実施形態に係る光学的情報読取装置の電気的構成等を概略的に例示するブロック図である。
図18】患者のリストバンドに読取口を向けた状態を説明する説明図である。
図19】第9実施形態に係る光学的情報読取装置の要部を示す一部拡大断面図である。
図20図20(A)は、第10実施形態に係る光学的情報読取装置の要部を図3のX-X相当断面に関して概略的に説明する説明図であり、図20(B)は、第10実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置の要部を図3のX-X相当断面に関して概略的に説明する説明図である。
図21】第11実施形態に係る光学的情報読取装置及び載置台を示す側面図である。
図22図21の光学的情報読取装置の磁石と載置台の磁石との配置関係を説明する説明図である。
図23】光学的情報読取装置の磁石と載置台の磁石との間に生じる吸引力及び反発力を説明する説明図である。
図24】第11実施形態の変形例に係る光学的情報読取装置の磁石と載置台の磁石との配置関係を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置10は、情報コード(例えば、バーコードやQRコード(登録商標))などの光学的情報を光学的に読み取る携帯型の読取装置として構成されている。
【0030】
図1図4に示すように、光学的情報読取装置10の外郭を構成する筐体11は、読取口21が形成される上ケース20と使用者によって把持される把持部31が形成される下ケース30とを組み付けることで、各種電子部品を収容する収容空間を形成するように構成される。上ケース20には、読取口21を情報コードに向けやすくするために、読取口21が向く方向(以下、前方又は前方向ともいう)にガイド22が延出するように設けられている。このガイド22の上面は、上ケース20と下ケース30との組み合わせ面に対して平行になっている。
【0031】
下ケース30は、ガイド22などの上ケース20の下方に組み付けられる組付部32と、下ケース30の組付部32よりも下方部位を構成する把持部31とが一体となるように形成されている。把持部31は、拭き取り消毒を容易に実施できるようにするため、外面に溝等がないように形成され、組付部32との連結部分も滑らかに湾曲するように形成されている。
【0032】
把持部31には、ガイド22の下方となる位置であって、把持部31を把持した状態の指で触れることが可能な位置にて、前方に向けて滑らかに突出するように操作台座33が設けられる。この操作台座33は、前方に位置する平坦状の面が、情報コードを読み取る読取処理を開始する際に押圧操作(以下、読取開始操作ともいう)されることで歪む操作面34として機能するように構成されている。具体的には、操作台座33は、操作面34を歪みやすくするため、操作面34を構成する部位の下ケース30の厚さ(肉厚)tが他の部位を構成する下ケース30の厚さよりも薄くなるように形成される。例えば、他の部位を構成する下ケース30の厚さが1.5~2mm程度に形成される場合には、操作面34を構成する部位の下ケース30の厚さtは、0.7~1.5mm程度に形成される。
【0033】
次に、光学的情報読取装置10の電気的構成について、図面を参照して説明する。
図5に示すように、光学的情報読取装置10は、CPU等からなる制御部41、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部42、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部43、撮像部43の撮像視野に向けて照明光を照射する照明部44、操作面34に対する読取開始操作を検知する検知部45、クレードル等の載置台100や管理サーバ等の上位端末1などの外部機器と無線通信を行うための通信インタフェースとして構成される通信部46、ビープ音やアラーム音などのブザー音を放音可能なブザー47などを備えている。これらの各種電子部品の少なくとも一部は、筐体11の上ケース20及び下ケース30によって構成される収容空間に収容されている。例えば、撮像部43が読取口21を介した前方を撮像範囲とし、照明部44が読取口21を介して撮像視野に向けて照明光を照射するように、撮像部43及び照明部44が上ケース20に収容されている。
【0034】
検知部45は、操作面34に生じる歪みを検知するための圧電センサ(圧電素子センサ)であって、図6に示すように、操作面34に対して把持部31の内面側となる位置にて、支持板35によって支持(挟持)された状態で配置されている。検知部45は、操作面34の歪みが所定値以上になると、読取開始操作がなされたとして、制御部41に対して所定の操作検知信号を出力するように構成されている。
【0035】
具体的には、例えば、図7(A)に示すように、操作面34が歪んでいないために検知部45により検知される歪みが所定値未満になる場合には、操作面34に対して読取開始操作がなされていないとして、上記操作検知信号が制御部41に出力されることはない。その一方で、図7(B)に示すように、操作面34が所定量以上歪んでいるために検知部45により検知される歪みが上記所定値以上になると、操作面34に対して読取開始操作(図7(B)の矢印F参照)がなされているとして、上記操作検知信号が制御部41に出力される。なお、図7(A)(B)では、便宜上、検知部45を除き、把持部31の内面側に収容される部品の図示を省略している。
【0036】
制御部41は、検知部45から上記検知信号を受けることで、撮像部43によって撮像された情報コードC(図5参照)の撮像画像を利用した読取処理を開始し、この読取処理にて情報コードCに記録されたデータを所定の解読方法で解読するように構成されている。このような読取処理にて取得された読取結果等は、所定のタイミングにて通信部46を介して上位端末等に無線送信される。なお、制御部41は、撮像部43とともに、情報コードCなどの光学的情報を光学的に読み取る「読取部」の一例に相当し、筐体11によって形成される収容空間に収容される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、使用者によって把持される把持部31が筐体11を構成する下ケース30の一部として形成され、把持部31には、読取処理を開始させる際に使用者が触る操作面34が設けられ、この操作面34に対して把持部31の内面側となる位置に、当該操作面34が触られている状態を検知する検知部45が設けられる。
【0038】
これにより、検知部45を使用者が操作する操作手段として活用でき、その検知部45は把持部31の内面側に設けられるので、操作面34とその周囲とを溝や段差等の無い下ケース30の外面だけで構成することができる。したがって、操作手段が設けられる把持部31に対して拭き取り消毒を容易に実施可能な光学的情報読取装置を実現することができる。
【0039】
特に、把持部31は、下ケース30によってケース同士の繋ぎ目がない部位に形成される。これにより、把持部31からケース同士の繋ぎ目をなくすことができるので、把持部31に対する拭き取り消毒をより容易に実施することができる。
【0040】
そして、検知部45は、操作面34に生じる歪みを検知可能な圧電センサによって構成されるので、使用者が把持部31を握った状態からでも指で操作面34を押す操作を行うことができ、読取作業などの作業性を向上させることができる。
【0041】
なお、検知部45は、圧電センサによって構成されることに限らず、操作面34が触られている状態を検知可能な他の検知手段、例えば、操作面34に生じる静電容量の変化を検知可能な静電容量式センサによって構成されてもよい。このように検知部45が静電容量式センサによって構成される場合には、使用者の操作によって操作面34が所定の状態に歪むように把持部31や筐体11を形成する必要が無いので、把持部31や筐体11に求められる寸法精度に関するばらつき等を軽減することができる。
【0042】
また、操作面34を構成する部位の下ケース30の厚さtは、他の部位を構成する下ケース30の厚さよりも薄くなるように形成される(図7参照)。これにより、検知部45は、操作面34が触られている状態を検知しやすくなるので、検知部45による検知精度、すなわち、装置の操作性を高めることができる。
【0043】
なお、検知部45が内面側に設けられる操作面34は、把持部31の前方に位置する平坦状の面として構成されることに限らず、例えば、把持部31の前方に位置する曲面として構成されてもよい。また、操作面34は、例えば、図8に例示する光学的情報読取装置10aの下ケース30aのように、把持部31の前後方向に対して直交する左右方向の一方の面に設けられてもよい。この一方の面は、曲面として構成されてもよいし、操作台座33のように滑らかに突出する平坦状の面として形成されてもよい。
【0044】
さらに、操作面34は、把持部31の上記左右方向のそれぞれの面に設けられてもよい。このように、操作面34が把持部31に対して左右一対設けられる場合には、把持部31をつまんだ指でそれぞれの操作面34に触れた状態が検知部45にて検知されることで、上記読取開始操作の検知とすることができる。
【0045】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、操作時に使用者に対して操作感を与える点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
図9に示すように、本実施形態では、操作面34に対して把持部31の内面側となる位置に、検知部45によって操作面34が触られている状態が検知される場合に、制御部41による制御に応じて所定の状態に振動する振動部として振動アクチュエータ51が設けられる。
【0047】
これにより、上記読取処理を開始させる際に使用者が操作面34を触ることで振動アクチュエータ51が所定の状態に振動するので、使用者はその振動に応じた操作感を得ることができる。なお、振動アクチュエータ51は、例えば、ERM方式にて振動するように構成されてもよいし、LRA方式または圧電方式にて振動するように構成されててもよい。
【0048】
なお、振動アクチュエータ51によって操作感を与える本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0049】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、拭き取り消毒作業の容易化を図るために載置台への固定に磁石を利用する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
携帯型の読取装置等を充電器やクレードル等の載置台に載置する場合、その載置された状態で固定するため、読取装置等と載置台との双方に係合固定用の凹凸形状等を設ける構成が考えられる。しかしながら、凹凸形状等があると拭き取り消毒作業に時間がかかってしまい、容易に拭き取り消毒作業を行えないという問題がある。
【0051】
このため、図10に示すように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10bが載置される載置台100aでは、その載置面101の内面側となる位置に磁石102が設けられる。そして、光学的情報読取装置10bでは、載置時に載置面101に対向する筐体11の部位の内面側となる位置に、磁石52が設けられる。本実施形態では、上ケース20のガイド22と下ケース30における組付部32の前方に延出する部位とにより延出部12が形成される。この延出部12は、読取口21の把持部側となる下側縁と把持部31との間から読取口21が向く方向に略薄板状に延出する部位であって、載置時に載置面101に対向する筐体11の部位となり、この延出部12の内面側となる位置に磁石52が設けられる。
【0052】
これにより、光学的情報読取装置10bを載置台100aに載置した場合には、載置面101の磁石102と延出部12の磁石52とが引き合って両者が固定されるため、光学的情報読取装置10bを載置台100aに係合固定するための凹凸形状等を不要にできるので、載置台100aに載置される部位の拭き取り消毒作業を容易に実施することができる。
【0053】
特に、図10からわかるように、載置時に載置面101に対向する筐体11の部位は、延出部12であって把持部31でないため、載置時に把持部31が載置台100aに接触することもないので、把持部31をより清潔に保つことができる。
【0054】
なお、載置固定用に利用する磁石52は、延出部12の内面側に配置されることに限らず、載置台への載置時にその載置面に対向する筐体11の部位の内面側に配置されればよい。
【0055】
なお、載置固定用に磁石52を利用する本実施形態等の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0056】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、使用者の指が操作時に接触しやすくするように所定の操作面が形成される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
図11(A)に示すように、本実施形態に係る操作面34aは、中央部34bが外周部34cに対して外方に突出するように形成される。そして、本実施形態に係る検知部45は、外周部34cに生じる歪みを検知可能とするように、例えば圧電センサによって構成される。
【0058】
これにより、操作面34が平面状に形成される場合と比較して、操作時に指がその中央部34bにて操作面34aに接触しやすくなる。また、中央部34bが外方に突出していても、外周部34cに生じる歪みを検知部45が検知できるので、検知精度が低下することもない。
【0059】
なお、本実施形態の変形例として、操作面34aは、図11(B)に例示するように、把持部31の前後方向に対して直交する左右方向のそれぞれの面に設けられてもよい。また、操作面34aは、把持部31の前後方向に対して直交する左右方向の一方の面に設けられてもよい。
【0060】
なお、中央部34bが外周部34cに対して外方に突出するように操作面34aが形成される本実施形態等の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0061】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第5実施形態では、把持部31を上方にして載置できるように重心位置が調整される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
携帯型の読取装置等を机面Sなどの所定の面に載置する場合、把持部の一部がその机面Sに接触するために汚れてしまう場合がある。
【0063】
このため、本実施形態では、光学的情報読取装置10は、把持部31を上方にして机面Sに載置可能とするため、読取口21の把持部側となる下側縁と把持部31との間から読取口21が向く方向に延出する延出部12を利用して机面Sに載置できるように重心位置Gが調整される。
【0064】
具体的には、図12及び図13に示すように、本実施形態では、読取口21の上側縁21aと延出部12の先端縁12aとが下方となる状態で机面Sに載置した際に、この机面Sに投影した当該光学的情報読取装置10の重心位置Gが、上側縁21aと机面Sとの接触部位と先端縁12aと机面Sとの接触部位とによって囲まれる範囲(図12の符号L1及び図13の符号L2参照)内に含まれるように、筐体11内の各種電子部品の位置が調整される。
【0065】
これにより、机面Sに対して読取口21の上側縁21aと延出部12の先端縁12aとが下方となる状態で光学的情報読取装置10を載置することができ、この載置状態では、把持部31が机面Sに接触することもないので、把持部31をより清潔に保つことができる。
【0066】
特に、本実施形態では、上記載置状態において、机面Sに対する把持部31の延出方向が約45°となるように、延出部12の延出長さが設定されている。これにより、上記載置状態での姿勢安定性が高まるだけでなく、上記載置状態から把持部31を持ちやすくすることができる。
【0067】
なお、把持部31を上方にして載置できるように重心位置Gを調整する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0068】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第6実施形態では、外部に放音されるブザー音の音圧の低下を抑制するように放音孔を閉塞する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図14に示すように、筐体11の上ケース20には、筐体11内に設けられるブザー47が発するブザー音を外部に放音するための放音孔13が形成されている。この放音孔13は、清潔性を保つために、両面テープ54を利用して上ケース20に接着されたPETシートなどのシート部材(以下、単に、シート53ともいう)によって閉塞されている。なお、ブザー47は、筐体11内に設けられて所定の音としてブザー音を発する「発音部」の一例に相当し得る。
【0070】
本実施形態では、放音孔13を介して外部に放音されるブザー音の音圧の低下を抑制するため、図15に示すように、両面テープ54には、放音孔よりも大きな開口54aが形成される。
【0071】
これにより、両面テープ54を利用して放音孔13を閉塞するようにシート53を筐体11に接着する場合でも、両面テープ54が放音孔13を覆うこともないので、両面テープまでもが放音孔13を覆う場合と比較して、ブザー音の音圧の低下を抑制することができる。
【0072】
なお、シート53を接着する両面テープ54に放音孔13よりも大きな開口54aを形成する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0073】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第7実施形態では、拭き取り消毒などの清掃作業に関して作業忘れを防止するために所定の報知を行う点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
光学的情報読取装置10に対する拭き取り消毒などの清掃作業は、定期的に行う必要がある一方で、その作業忘れを防止する必要がある。
【0075】
このため、本実施形態では、上記清掃作業の作業スケジュールに関する情報が記憶部42に予め記憶されていることを前提に、その作業スケジュールに合わせた所定のタイミングで清掃作業を促す清掃指示情報が報知される。この清掃指示情報は、ブザー47のブザー音や図略のスピーカによる音声ガイダンス等を利用して聴覚的に報知することができる。さらに、清掃指示情報は、例えば、図16に例示するように、上ケース20に設けたLED47aを利用して視覚的に報知されてもよいし、上述した振動アクチュエータ(振動部)51による振動や照明部44に属するLED等による発光等を利用して報知されてもよい。また、上記清掃指示情報は、今から清掃作業を開始すべきタイミングで報知されてもよいし、清掃作業を開始すべき所定時間後の時刻を報知するようにしてもよい。なお、ブザー47やLED47a、スピーカなどは、清掃指示情報を報知する「報知部」の一例に相当し得る。
【0076】
このように清掃指示情報が報知されることで、その清掃作業に適したタイミングで清掃作業が行われやすくなるだけでなく、作業忘れの防止を図ることができる。
【0077】
なお、上述した清掃指示情報は、記憶部42に予め記憶される作業スケジュールに関する情報に応じて報知されることに限らず、通信部46を介して上位端末1から受けた指示に応じて報知されてもよい。これにより、上位端末1は、上記清掃指示情報を報知するタイミングを容易に調整することができる。なお、上記清掃指示情報は、例えば、載置台100に載置された際にその載置台100を介して上位端末1から受信してもよいし、所定のタイミングにて上位端末1から無線通信等を利用して直接受信してもよい。
【0078】
また、清掃作業を行った作業者を特定する作業者情報を取得することで、この取得された作業者情報が清掃作業に関する情報とともに記憶部42に記憶されてもよい。これにより、記憶部42に記憶される情報に基づいて、作業履歴等を容易に管理できるだけでなく、上記清掃指示情報を報知するタイミングを実際の作業状況に合わせて容易に調整することができる。なお、作業者情報は、例えば、当該作業者情報がコード化された情報コードを上記読取処理にて読み取ることで、取得することができる。この構成では、「読取部」として機能する制御部41及び撮像部43は、作業者情報を取得する「取得部」の一例に相当し得る。
【0079】
また、光学的情報読取装置10に対する清掃作業が行われた状態を検知可能な清掃作業検知部を設けて、この清掃作業検知部の検知結果が記憶部42に記憶されてもよい。清掃作業検知部としては、例えば、清掃時に筐体11を拭くことで圧力を受ける場所に設けたセンサ(例えば、検知部45にて採用する圧電センサと同等の機能を有するセンサ)を採用することができる。また、例えば、筐体11をアルコールで拭いたときにその外面の温度が下がることを利用して、その温度低下を検出可能な温度センサを上記清掃作業検知部として採用してもよいし、アルコールセンサを上記清掃作業検知部として採用してもよい。これにより、より確実な作業履歴を残すことができ、上記清掃指示情報を報知するタイミングを実情に合わせて調整することができる。
【0080】
また、上述のように記憶部42に記憶される作業履歴等の少なくとも一部が通信部46を介して上位端末1に送信されることで、この上位端末1から通信部46を介して上位端末1から受けた指示に応じて上記清掃指示情報が報知されてもよい。これにより、上位端末1は、管理対象の光学的情報読取装置10に関する作業履歴を容易に把握できるので、上記清掃指示情報を報知するタイミングを実際の作業状況に合わせて適切に調整することができる。
【0081】
なお、清掃作業を促す清掃指示情報を報知するなどの本実施形態等の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0082】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第8実施形態では、体温が測定された患者が発熱状態であるか判定可能に構成される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
図17に示すように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10cは、患者の体温を測定可能な体温測定部48を備えるように構成される。体温測定部48は、赤外線放射体温計であって、筐体11内に配置されて、読取口21が向けられた患者の部位の体温を測定するように構成されている。
【0084】
そして、本実施形態では、患者を特定する患者情報とその患者の平均体温情報とが関連付けられるようにデータベース化されて記憶部42に記憶されており、上記患者情報をコード化した情報コードCaが患者のリストバンドWBに表示されている。このため、図18に例示するように、患者のリストバンドWBに読取口21を向けた状態で上記読取処理を開始することで、上記情報コードCaから患者情報が読み取られる際に、体温測定部48によって患者の手首近傍での体温が測定される。
【0085】
そして、制御部41にてなされる発熱判定処理において、上記情報コードCaから読み取った患者情報に関連付けられる平均体温情報と体温測定部48の測定結果とを比較することで、その患者が発熱状態であるか否かについて判定することができる。なお、操作面34に対する1度の押圧操作によって情報コードCaの読み取りと体温測定部48による体温測定が行われてもよいし、1度目の押圧操作によって撮像された情報コードCaから患者情報が読み取られた後に、2度目の押圧操作によって体温測定部48による体温測定が行われてもよい。また、上記発熱判定処理を行う制御部41は、患者が発熱状態であるか否かについて判定する「判定部」の一例に相当し得る。
【0086】
これにより、拭き取り消毒を容易に実施可能な光学的情報読取装置10cにて、患者の体温を測定できるだけでなくその患者が発熱しているかについて容易に把握でき、患者への看護負担等を減らすことができる。
【0087】
なお、患者情報とその患者の平均体温情報とは上位端末1にてデータベース化されてもよい。この場合には、読み取った患者情報と体温測定部48の測定結果とを上位端末1に送信することで、その患者が発熱状態であるか上位端末1にて判定して、その判定結果を上位端末1から受信することができる。
【0088】
また、患者情報には、その患者に関して投薬判断等に利用すべきカルテ情報が含まれてもよく、このカルテ情報と体温測定部48の測定結果とを利用して投薬判断等を助ける情報を報知するようにしてもよい。
【0089】
なお、体温が測定された患者が発熱状態であるか判定する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0090】
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第9実施形態では、無線電力伝送用のコイルが薄板状に延出する延出部内にて読取口側の内面に接着されて配置される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0091】
図19に示すように、読取口21の把持部側となる下側縁と把持部31との間から読取口21が向く方向に略薄板状に延出する延出部12の内部には、無線電力伝送用のコイル部材(以下、単にコイル49ともいう)が配置されている。
【0092】
このように、コイル49が薄板状に延出する延出部12内に配置されるため、電力伝送時にコイル49に生じた熱が、延出部12の読取口側の面(以下、反載置側面12bともいう)と把持部側の面(以下、載置側面12cともいう)とからそれぞれ放熱される。延出部の延出長さが長くなるほど反載置側面12b及び載置側面12cによる放熱面積が広くなるので、延出部12の延出長さに応じてコイル49の発熱に関する放熱性を向上させることができる。また、コイル49に生じた発熱が延出部12と異なる筐体11の部位内に収容される各種電子部品に伝わり難くすることができる。
【0093】
特に、本実施形態では、コイル49は、延出部12を構成する筐体部分の内面のうち読取口側となる内面12dに対して熱伝導性の高い接着剤55を用いて接着され、延出部12を構成する筐体部分の内面のうち把持部側となる内面には接着されない。延出部12の載置側面12cを充電器として機能する載置台100の充電面に載せるようにして電力供給を受ける際、載置側面12cは、近接する充電面のために放熱性が悪くなる一方で、延出部12の反載置側面12bはその放熱性が充電面に影響されることはない。このため、読取口側となる内面12dにコイル49を接着させることで、充電時にコイル49に生じた熱は、より放熱性の高い反載置側面12bに伝わりやすくなるので、薄板状の延出部12による放熱効果をより一層向上させることができる。
【0094】
なお、無線電力伝送用のコイル49が薄板状に延出する延出部12内に配置される本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0095】
[第10実施形態]
次に、本発明の第10実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第10実施形態では、操作面の中央内面側となる位置に突出部を設ける点が、上記第4実施形態と主に異なる。したがって、第4実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0096】
図20(A)に示すように、本実施形態に係る筐体11の把持部31には、操作面34aにおける中央部34bの内面側となる位置に内方へ向けて突出する突出部36が設けられる。そして、本実施形態に係る検知部45は、突出部36の内方への変形量に応じて操作面34aに生じる歪みを検知するように構成される。
【0097】
操作面34aが触られた際には、中央部34bが最も変形することから、この中央部34bの内面側に位置する突出部36の内方への移動量を大きくできるので、検知部45による検知精度、すなわち、装置の操作性を高めることができる。
【0098】
また、操作面34aが触られた際に変形の支点部分となる外周部34cは、突出部36のために中央部34bと比較して薄肉部位となるため、操作面34aがさらに変形しやすくなるので、検知部45による検知精度をさらに高めることができる。その一方で、筐体11の中央部34bの部分の厚みが増すことになるので、突出部36を設けないために操作面34aの全体が薄肉部位となる場合と比較して、操作面34a近傍での樹脂成型時の樹脂の流れ込みが良くなり、成型不良を抑制することができる。
【0099】
なお、本実施形態の変形例として、図20(B)に例示するように、突出部36と検知部45との間にゴム部材などの弾性部材37を介在させてもよい。これにより、弾性部材37の厚さや弾性力等に応じて、検知部45に伝わる応力を調整することができ、例えば、過剰な押圧力が弾性部材37によって吸収されることで検知部45の損傷等を防止することもできる。
【0100】
なお、操作面の中央内面側となる位置に突出部36を設ける本実施形態等の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。例えば、中央部分が外方に突出しない操作面34にも適用することができる。また、突出部36と検知部45との間に弾性部材37を介在させる本実施形態の変形例等の特徴的構成も、他の実施形態等に適用することができる。
【0101】
[第11実施形態]
次に、本発明の第11実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第11実施形態では、挿抜方向にて極性が異なるように並ぶ一対の磁石を載置固定用に利用する点が、上記第3実施形態と主に異なる。したがって、第3実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0102】
上記第3実施形態のように光学的情報読取装置10bの磁石52と載置台100aの磁石102とが引き合う吸着力を利用して光学的情報読取装置10bを載置台100aに対して所定位置(充電等に最も適した位置)に載置する構成では、その吸着力を適切に調整する必要がある。磁石52と磁石102との吸着力を強めすぎると、光学的情報読取装置10bを載置台100aから取り外す際の力が大きくなる一方で、上記吸着力を弱めすぎると磁石を利用した保持力が弱くなってしまうからである。
【0103】
特に、両磁石が対向する対向方向(図10の例では、上下方向)の吸着力に対して、その対向方向に直交する方向(図10の例では、左右方向)の吸着力は20~30%程度に弱くなる。このため、取り外しやすい程度に上記吸着力を弱めると、上記対向方向に直交する方向の外力、本実施形態では、載置面101に沿う方向の外力が作用した場合に、光学的情報読取装置10bが上記所定位置からずれてしまうか載置台100aから外れてしまう可能性がある。
【0104】
そこで、本実施形態に係る光学的情報読取装置10d及び載置台100bでは、図21及び図22に例示するように、載置面101に沿う所定の方向(以下、挿抜方向ともいう)にて極性が異なるように並ぶ一対の磁石を利用することで、光学的情報読取装置10dを載置台100bに対して上記所定位置に保持する。
【0105】
具体的には、光学的情報読取装置10dでは、延出部12の下方の内面側のうち載置面101に対向する矩形領域の四隅となる位置に、同サイズの4つの磁石52a~52dが設けられる。把持部側となる磁石52a,52bは、載置面101側がS極となるように配置され、反把持部側となる磁石52c,52dは、載置面101側がN極となるように配置される。磁石52aと磁石52cとは、挿抜方向にて所定の間隔(例えば、磁石52aの挿抜方向長さの1倍程度の距離)で離れて極性が異なるように並ぶ一対の磁石の位置関係となる。同様に、磁石52bと磁石52dとは、挿抜方向にて上記所定の間隔で離れて極性が異なるように並ぶ一対の磁石の位置関係となる。なお、上記所定の間隔は、各磁石52a~52dの磁力や形状等に応じて、例えば、磁石52aの挿抜方向長さの0.5倍から2倍程度の距離に設定されてもよい。また、図22及び後述する図24では、説明の便宜上、磁石52a及び磁石52bに対して載置面101側となる「S」極を付記しており、磁石52c及び磁石52dに対して載置面101側となる「N」極を付記している。
【0106】
そして、載置台100bでは、上記所定位置に載置された光学的情報読取装置10dに対して、載置面101の内面側のうち、磁石52aに対向する位置に当該磁石52a側がN極である磁石102aが配置され、磁石52bに対向する位置に当該磁石52b側がN極である磁石102bが配置され、磁石52cに対向する位置に当該磁石52c側がS極である磁石102cが配置され、磁石52dに対向する位置に当該磁石52d側がS極である磁石102dが配置される。
【0107】
これにより、光学的情報読取装置10dに対して上記挿抜方向に沿って引き抜くような外力(図23にて右向きの外力)が作用した場合でも、図23に例示するように、磁石52a及び磁石102aの吸引力や磁石52c及び磁石102cの吸引力に加えて磁石52c及び磁石102aの反発力が上記外力に対抗するように作用する。同時に、磁石52b及び磁石102bの吸引力や磁石52d及び磁石102dの吸引力に加えて磁石52d及び磁石102bの反発力が上記外力に対抗するように作用する。また、図23では、説明の便宜上、磁石52aに対して載置面101側となる「S」極を付記しており、磁石52cに対して載置面101側となる「N」極を付記しており、磁石102aに対して磁石52a側となる「N」極を付記しており、磁石102cに対して磁石52c側となる「S」極を付記している。
【0108】
また、光学的情報読取装置10dに対して上記挿抜方向に沿って押し込むような外力(図23にて左向きの外力)が作用した場合でも、磁石52a及び磁石102aの吸引力や磁石52c及び磁石102cの吸引力に加えて磁石52a及び磁石102cの反発力が上記外力に対抗するように作用する。同時に、磁石52b及び磁石102bの吸引力や磁石52d及び磁石102dの吸引力に加えて磁石52b及び磁石102dの反発力が上記外力に対抗するように作用する。
【0109】
このように、それぞれ挿抜方向にて極性が異なるように並ぶ一対の磁石を光学的情報読取装置10dと載置台100bとの吸着に利用することで、上述のように生じる吸引力及び反発力を上記外力に対抗する保持力として利用できるので、磁石による吸着力を過剰に高めることなく上記挿抜方向の外力に対して強い保持構造を実現することができる。
【0110】
なお、本実施形態の変形例として、図24に例示するように、図22に対して磁石52bと磁石52dとを入れ替えるとともに磁石102bと磁石102dとを入れ替えるような配置構成でも、それぞれ挿抜方向にて極性が異なるように並ぶ一対の磁石を光学的情報読取装置10dと載置台100bとの吸着に利用できるので、上記効果を奏する。
【0111】
なお、それぞれ挿抜方向にて極性が異なるように並ぶ一対の磁石を載置固定用に利用する本実施形態等の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0112】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)筐体11は、上ケース20及び下ケース30の2つのケースによって構成されることに限らず、3つ以上のケースによって構成されてもよい。このように構成される場合でも、把持部31及び操作面34が、複数のケースの1つによってケース同士の繋ぎ目がない部位に形成されることで、上記効果を奏する。また、把持部31等は、1つのケースによって形成されることに限らず、例えば、溝や段差等の影響が小さくなるように組み付けられる複数のケースを利用して形成されてもよい。
【0113】
(2)制御部41は、検知部45を利用して使用者が操作面34に触れた状態を検知した際に、上記読取開始操作が検知されたとして読取処理を開始することに限らず、読取モードを切り替えるなど、読取部に関する他の所定の処理を開始させてもよい。
【0114】
(3)本発明は、読取処理にて取得された読取結果等を通信部46を介して上位端末等に無線送信する光学的情報読取装置10に適用されることに限らず、把持部31と異なる下ケース30の部位、例えば、下ケース30の下端から引き出されるケーブルを介して読取結果等を上位端末等に送信する光学的情報読取装置に適用されてもよい。
【0115】
(4)本発明は、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置10に適用されることに限らず、文字情報等をも含めた光学的情報を撮像することでその光学的情報を光学的に読み取る光学的情報読取装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…上位端末
10,10a~10d…光学的情報読取装置
11…筐体
12…延出部
13…放音孔
20…上ケース
21…読取口
30,30a…下ケース
31…把持部
34,34a…操作面
34b…中央部
34c…外周部
36…突出部
41…制御部(読取部,取得部,判定部)
42…記憶部
43…撮像部(読取部,取得部)
45…検知部
47…ブザー(発音部,報知部)
47a…LED(報知部)
48…体温測定部
49…コイル(無線電力伝送用のコイル)
51…振動アクチュエータ(振動部)
52…磁石
53…シート
54…両面テープ
54a…開口
100,100a,100b…載置台
C…情報コード(光学的情報)
G…重心位置
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