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特開2022-83413店舗物件レコメンドシステム及びそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083413
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】店舗物件レコメンドシステム及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20220527BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184869
(22)【出願日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】P 2020194317
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】597062650
【氏名又は名称】技研商事インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】松本 芳典
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】店舗の業態に適していて、業績を上げられるエリアをレコメンドし、更に、当該エリアにおいて良好な業績となる店舗物件をレコメンドできる店舗物件レコメンドシステム及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】店舗物件レコメンドシステムは、店舗物件をレコメンドする店舗物件レコメンドサーバを備える。店舗物件レコメンドサーバは、特定の業態に関して、地域と業績を含む複数の店舗データから特定の閾値以上の業績を有する店舗がある地域の地域特性を基に、候補となる地域の地域特性が前記特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて前記特定の業態の店舗向けの地域をレコメンドする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗物件をレコメンドする店舗物件レコメンドサーバを備える店舗物件レコメンドシステムであって、
前記店舗物件レコメンドサーバが、特定の業態に関して、地域と業績を含む複数の店舗データから特定の閾値以上の業績を有する店舗がある地域の地域特性を基に、候補となる地域の地域特性が前記特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて前記特定の業態の店舗向けの地域をレコメンドすることを特徴とする店舗物件レコメンドシステム。
【請求項2】
店舗物件レコメンドサーバが、候補となる地域の地域特性が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性であるか否かを判定する場合に、学習用の地域モデルに前記特定の閾値以上の業績を有する店舗の地域特性のデータを学習させて学習済地域モデルを生成し、当該学習済地域モデルに候補となる地域の地域特性のデータを入力して前記候補となる地域の地域特性が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性であるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の店舗物件レコメンドシステム。
【請求項3】
店舗物件レコメンドサーバが、特定の閾値以上の業績を有する店舗の店舗データを基に、不動産仲介対象の店舗物件が前記特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて前記特定の業態の店舗向けの店舗物件をレコメンドすることを特徴とする請求項1又は2記載の店舗物件レコメンドシステム。
【請求項4】
店舗物件レコメンドサーバが、不動産仲介対象の店舗物件が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件であるか否かを判定する場合に、学習用の店舗モデルに前記特定の閾値以上の業績を有する店舗の店舗データを学習させて学習済店舗モデルを生成し、当該学習済店舗モデルに前記不動産仲介対象の店舗物件のデータを入力して当該店舗物件が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件であるか否かを判定することを特徴とする請求項3記載の店舗物件レコメンドシステム。
【請求項5】
店舗物件レコメンドサーバが、特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性及び前記特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件の情報に基づいて特定の業態に関して出店のレポートを生成することを特徴とする請求項3又は4記載の店舗物件レコメンドシステム。
【請求項6】
店舗物件レコメンドサーバが、レコメンドされる地域の単位を複数集めた広域の地域が出店希望者から指定された場合に、当該広域の地域内において、特定の業態の店舗向けの地域をレコメンドすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の店舗物件レコメンドシステム。
【請求項7】
店舗物件レコメンドサーバが、レコメンドされる店舗の規模が出店希望者から指定された場合に、当該店舗の規模の範囲内において、特定の店舗向けの店舗物件をレコメンドすることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか記載の店舗物件レコメンドシステム。
【請求項8】
店舗物件をレコメンドする店舗物件レコメンドサーバで実行されるコンピュータプログラムであって、
前記店舗物件レコメンドサーバを、特定の業態に関して、地域と業績を含む複数の店舗データから特定の閾値以上の業績を有する店舗がある地域の地域特性を基に、候補となる地域の地域特性が前記特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて前記特定の業態の店舗向けの地域をレコメンドするよう機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
店舗物件レコメンドサーバを、特定の閾値以上の業績を有する店舗の店舗データを基に、不動産仲介対象の店舗物件が前記特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて前記特定の業態の店舗向けの店舗物件をレコメンドするよう機能させることを特徴とする請求項8記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出店を希望する事業者に店舗物件をレコメンドするシステムに係り、特に、出店エリアをレコメンドすると共に、そのエリアでの優良な店舗物件をレコメンドする店舗物件レコメンドシステム及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
出店を希望する事業者(出店希望者)は、希望するエリアで希望する条件の店舗物件を不動産業者の仲介サイトで検索するようになっていた。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開2002-169875号公報「不動産業務の情報提供処理システム」(特許文献1)、特開2002-259731号公報「物件仲介方法及び物件仲介システム」(特許文献2)、特開2002-366681号公報「フランチャイズ業支援システム…」(特許文献3)、特開2008-065607号公報「出店支援方法」(特許文献4)がある。
【0004】
特許文献1には、希望の物件を容易に随時検索できる情報提供処理システムが記載されている。
特許文献2には、出店希望者と物件提供者との間での仲介を行うために、希望条件に対する物件情報を提供するシステムが記載されている。
【0005】
特許文献3には、フランチャイズ業を志す者に、要求条件に適合するフランチャイザー及び店舗を探すのを支援するシステムが記載されている。
特許文献4には、過去の店舗の業績データと統計データに基づき市場選定モデルを構築し、当該モデルに基づいて選定された一次候補地をアンケートによって修正して最終候補地を選定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-169875号公報
【特許文献2】特開2002-259731号公報
【特許文献3】特開2002-366681号公報
【特許文献4】特開2008-065607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の店舗物件検索システムでは、出店エリアと店舗の条件は出店希望者が設定して検索しなければならず、検索した店舗が好調な業績となる立地であるのかどうかは、出店希望者の経験と勘に頼るしかなく、適正な店舗物件を効果的に探し出すことができないという問題点があった。
【0008】
尚、特許文献1~3は、出店希望の店舗を条件に応じて単に検索するものであり、特許文献4は、出店の候補地を選定するだけであり、店舗の業態に適して業績好調なエリアをレコメンドし、更に、当該エリアにおいて業績好調な店舗物件をレコメンドする構成についての記載がない。
【0009】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、店舗の業態に適していて、業績を上げられる地域(エリア)をレコメンドし、更に、当該エリアにおいて良好な業績となる店舗物件をレコメンドできる店舗物件レコメンドシステム及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、店舗物件をレコメンドする店舗物件レコメンドサーバを備える店舗物件レコメンドシステムであって、店舗物件レコメンドサーバが、特定の業態に関して、地域と業績を含む複数の店舗データから特定の閾値以上の業績を有する店舗がある地域の地域特性を基に、候補となる地域の地域特性が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて特定の業態の店舗向けの地域をレコメンドすることを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記店舗物件レコメンドシステムにおいて、店舗物件レコメンドサーバが、候補となる地域の地域特性が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性であるか否かを判定する場合に、学習用の地域モデルに特定の閾値以上の業績を有する店舗の地域特性のデータを学習させて学習済地域モデルを生成し、当該学習済地域モデルに候補となる地域の地域特性のデータを入力して候補となる地域の地域特性が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性であるか否かを判定することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記店舗物件レコメンドシステムにおいて、店舗物件レコメンドサーバが、特定の閾値以上の業績を有する店舗の店舗データを基に、不動産仲介対象の店舗物件が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて特定の業態の店舗向けの店舗物件をレコメンドすることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記店舗物件レコメンドシステムにおいて、店舗物件レコメンドサーバが、不動産仲介対象の店舗物件が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件であるか否かを判定する場合に、学習用の店舗モデルに特定の閾値以上の業績を有する店舗の店舗データを学習させて学習済店舗モデルを生成し、当該学習済店舗モデルに不動産仲介対象の店舗物件のデータを入力して当該店舗物件が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件であるか否かを判定することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記店舗物件レコメンドシステムにおいて、店舗物件レコメンドサーバが、特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性及び特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件の情報に基づいて特定の業態に関して出店のレポートを生成することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記店舗物件レコメンドシステムにおいて、店舗物件レコメンドサーバが、レコメンドされる地域の単位を複数集めた広域の地域が出店希望者から指定された場合に、当該広域の地域内において、特定の業態の店舗向けの地域をレコメンドすることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記店舗物件レコメンドシステムにおいて、店舗物件レコメンドサーバが、レコメンドされる店舗の規模が出店希望者から指定された場合に、当該店舗の規模の範囲内において、特定の店舗向けの店舗物件をレコメンドすることを特徴とする。
【0017】
本発明は、店舗物件をレコメンドする店舗物件レコメンドサーバで実行されるコンピュータプログラムであって、店舗物件レコメンドサーバを、特定の業態に関して、地域と業績を含む複数の店舗データから特定の閾値以上の業績を有する店舗がある地域の地域特性を基に、候補となる地域の地域特性が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて特定の業態の店舗向けの地域をレコメンドするよう機能させることを特徴とするプログラム。
【0018】
本発明は、上記プログラムにおいて、店舗物件レコメンドサーバを、特定の閾値以上の業績を有する店舗の店舗データを基に、不動産仲介対象の店舗物件が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて特定の業態の店舗向けの店舗物件をレコメンドするよう機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、店舗物件レコメンドサーバが、特定の業態に関して、地域と業績を含む複数の店舗データから特定の閾値以上の業績を有する店舗がある地域の地域特性を基に、候補となる地域の地域特性が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの地域特性であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて特定の業態の店舗向けの地域をレコメンドする店舗物件レコメンドシステムとしているので、店舗の業態に適していて、業績を上げられる地域をレコメンドできる効果がある。
【0020】
本発明によれば、店舗物件レコメンドサーバが、特定の閾値以上の業績を有する店舗の店舗データを基に、不動産仲介対象の店舗物件が特定の閾値以上の業績となる店舗向けの店舗物件であるか否かを判定し、当該判定結果を用いて特定の業態の店舗向けの店舗物件をレコメンドする上記店舗物件レコメンドシステムとしているので、店舗の業態に適していて、レコメンドされた業績を上げられる地域において良好な業績となる店舗物件をレコメンドできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本システムの構成概略図である。
図2】地域モデル生成とレコメンド地域抽出の処理概略図である。
図3】店舗モデル生成とレコメンド物件抽出の処理概略図である。
図4】店舗物件レコメンドサーバの処理を示すフロー図である。
図5】レコメンド地域とレコメンド店舗の表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る店舗物件レコメンドシステム(本システム)は、店舗の特定の業態について複数の店舗の業績から業績好調の地域モデルと店舗モデルを学習させて学習済モデルを生成し、学習済地域モデルに基づいて地域特性データを用いてレコメンドする地域を抽出し、学習済店舗モデルに基づいて不動産の店舗物件データを用いてレコメンドする店舗物件を抽出し、抽出した地域と店舗物件の情報を出店希望者に提供するものであり、業績好調な地域で業績好調となる可能性が高い店舗物件を出店希望者が容易に探し出すことができるものである。
【0023】
[本システムの構成:図1
本システムの構成について図1を参照しながら説明する。図1は、本システムの構成概略図である。
本システムは、図1に示すように、店舗物件レコメンドサーバ1と、それに接続する物件データベース(DB)20と、店舗データベース(DB)21と、地域特性データベース(DB)22と、レコメンド地域データベース(DB)23と、レコメンド物件データベース(DB)24と、ネットワーク3と、不動産仲介サーバ4と、物件データベース(DB)5と、出店希望者端末6とを有している。
店舗物件レコメンドサーバ1と不動産仲介サーバ4と出店希望者端末6は、ネットワーク3に接続している。
【0024】
[店舗物件レコメンドサーバ1]
店舗物件レコメンドサーバ1は、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを備え、インタフェース部13に物件DB20と、店舗DB21と、地域特性DB22と、レコメンド地域DB23と、レコメンド物件DB24とが接続され、更にネットワーク3に接続している。
【0025】
制御部11は、記憶部12に記憶する処理プログラムを実行して後述する処理を実現する。
記憶部12は、処理プログラムを記憶すると共に処理に必要なデータ、パラメータ等を記憶している。
特に、記憶部12には、後述する学習前の地域モデルと店舗モデルを記憶し、出店希望者端末6から提供された店舗リストの店舗情報(店舗DB21に蓄積される)をこれらモデルに学習させ、学習結果である学習済地域モデルと学習済店舗モデルを記憶している。
インタフェース部13は、外部装置及びネットワークに接続するインタフェースである。
【0026】
[各DB]
物件DB20は、不動産仲介サーバ4から提供された不動産仲介対象の物件情報を記憶している。
店舗DB21は、出店希望者端末6等から提供された店舗リストの店舗データを記憶している。店舗データは、実際に営業している店舗の情報(売上、利益等の業績、住所、営業時間、広さ、家賃等のデータ)である。これら複数の店舗データは、フランチャイズを運営している会社(出店希望者)から提供され、店舗物件レコメンドサーバ1で管理するものである。
【0027】
地域特性DB22は、国勢調査(性、年代、職業、世帯人数、家族類型、居住形態、居住期間等)、年収階級別世帯数、消費支出(食料、外食、住居、交通、教育娯楽等)などの公的統計データを記憶している。
更に、地域特性DB22は、市区町村、郵便番号エリア、地図上の特定のメッシュ単位で、統計データを使用したクラスタ分析によりエリア毎の地域特性の情報(例えば、居住者プロファイリングデータ[クラスタ、因子のデータ])を記憶している。
ここで、地域特性を示す地域特性データは、クラスタ分析されたエリア毎の地域特性の情報とエリア毎の統計データを含むものである。
【0028】
レコメンド地域DB23は、後述する処理によって出店をレコメンドする地域(エリア)の情報を記憶している。
レコメンド物件DB24は、後述する処理によってレコメンドする店舗の物件情報を記憶している。
物件BD5は、不動産会社が仲介対象とする物件情報を記憶している。
【0029】
ネットワーク3は、インターネット等のネットワークを想定している。
不動産仲介サーバ4は、店舗物件レコメンドサーバ1又は出店希望者端末6からの条件等により該当する物件を検索して返信する。
また、不動産仲介サーバ4は、物件DB5の物件情報を店舗物件レコメンドサーバ1に一部または全部を提供(アップロード)している。アップロードされた物件情報は、物件DB20に蓄積される。
【0030】
出店希望者端末6は、自社で運営又は監督している実際の店舗について、店舗リストの店舗データを記憶しており、店舗物件レコメンドサーバ1にアップロードする。アップロードされた店舗リストの店舗データは、店舗DB21に蓄積される。
ここで、出店希望者は、既に複数の店舗を運営しているか、複数の店舗を監督又は管理しており、更に別の店舗を出店しようとする者(例えば、フランチャイズ運営会社等)である。
【0031】
また、出店希望者端末6は、不動産仲介サーバ4にアクセスして物件検索を行うが、店舗物件レコメンドサーバ1にアクセスして、出店エリア(レコメンド地域)と物件(レコメンド物件)のレコメンドを受ける。
【0032】
尚、店舗DB21の店舗データが特定のフランチャイズ運営会社から提供されたものであり、その店舗データの利用が当該フランチャイズ運営会社に限定されるのであれば、出店希望者はその運営会社の関係者となる。
但し、店舗データの提供者が、店舗データの利用を運営会社の関係者に限定せず、誰でも利用することを許可している場合には、出店希望者は、任意の者となる。
【0033】
[店舗物件レコメンドサーバでの処理]
次に、本システムにおける店舗物件レコメンドサーバ1での処理の概略を説明する。
店舗物件レコメンドサーバ1は、制御部11が記憶部12の処理プログラムを読み込んで、店舗データアップロード手段、物件データアップロード手段、地域モデル生成手段、店舗モデル生成手段、レコメンド地域抽出手段、レコメンド物件抽出手段、出店レポート生成手段を実現する。
【0034】
[店舗データアップロード手段]
店舗データアップロード手段は、出店希望者端末6からアップロードされた店舗リストの店舗データを、ネットワーク3を介して入力し、店舗DB21に記憶する。
[物件データアップロード手段]
物件データアップロード手段は、不動産仲介サーバ4から物件DB5に記憶された物件データを、ネットワーク3を介して入力し、物件DB20に記憶する。
【0035】
[地域モデル生成手段]
地域モデル生成手段は、店舗DB21に記憶された店舗データから業績が好調な地域(業績が特定の閾値以上となる地域)について、地域特性DB22から当該地域に関する地域特性データを抽出し、予め準備したモデルに学習させる。モデルは、人工知能(AI:Artificial Intelligence)の機械学習用のモデルである。
そして、学習させたモデルは、業態毎に業績好調な地域かどうかの確率を算出する「地域モデル」となるものである。
【0036】
[店舗モデル生成手段]
店舗モデル生成手段は、店舗DB21に記憶された店舗データから業績が好調な店舗(業績が特定の閾値以上となる店舗)について、店舗に関連するデータを抽出し、予め準備したモデルに学習させる。モデルは、人工知能(AI)の機械学習用のモデルである。
そして、学習させたモデルは、業態毎に業績好調な店舗かどうかの確率を算出する「店舗モデル」となるものである。
【0037】
[レコメンド地域抽出手段]
レコメンド地域抽出手段は、地域モデル生成手段で生成された地域モデルを用いて、地域特性DB22に記憶された特定の地域の地域特性データを地域モデルに入力し、当該特定の地域に特定の業態の店舗を出店した場合に、当該店舗が業績好調となる確率を算出し、確率が特定の閾値より高い地域をレコメンド地域としてレコメンド地域DB23に出力する。
【0038】
[レコメンド物件抽出手段]
レコメンド物件抽出手段は、店舗モデル生成手段で生成された店舗モデルを用いて、物件DB20に記憶された特定の物件の物件データを店舗モデルに入力し、当該特定の物件に特定の業態の店舗を出店した場合に、当該店舗が業績好調となる確率を算出し、確率が特定の閾値より高い物件をレコメンド物件としてレコメンド物件DB24に出力する。
【0039】
[出店レポート生成手段]
出店レポート生成手段は、レコメンド地域抽出手段で抽出された複数の地域と、レコメンド物件抽出手段で抽出された複数の店舗から、抽出された地域の確率、抽出された店舗の確率について係数による重み付けを行って、地域と店舗の組み合わせの順位をランキングする。このランキングされた情報を最終レコメンド情報(出店レポート)として、店舗物件レコメンドサーバ1は出店希望者端末6に提供する。
【0040】
また、出店レポート生成手段は、抽出された地域と店舗の情報に基づいて、不動産仲介業者向けに営業に利用できる報告書(営業レポート)を生成する。
営業レポートは、仲介対象の物件について、当該物件のエリアが特定の業態に向いている(業績好調が期待できる)かどうか、当該物件の店舗が特定の業態に向いているかを数値等で表すもので、不動産仲介業者は、物件が特定の業態向けに客観的なデータに基づいて推薦しやすくなり、物件仲介を効率的に行うことができる。
【0041】
[地域モデル生成とレコメンド地域抽出:図2
次に、地域モデル生成とレコメンド地域抽出の処理概略について図2を参照しながら説明する。図2は、地域モデル生成とレコメンド地域抽出の処理概略図である。
図2に示すように、地域モデル生成には、店舗DB21から特定の業態の業績好調な店舗の地域について地域特性DB22を参照して関連する地域データを教師データとして地域モデル31に学習させる。
地域モデル31は、業績好調な店舗の地域データが高得点(高確率)となるよう調整されて学習が為され、学習済地域モデル32が生成される。
【0042】
そして、地域特性DB22から候補となる地域データを学習済地域モデル32に読み込んで得点(確率)を出力させる。ここで、高得点(高確率)となった地域データは、業績好調な地域に該当するとして、レコメンド地域として得られた数値と共にレコメンド地域DB23に出力する。
従って、レコメンド地域DB23には、複数のレコメンド地域とその数値が記憶されることになる。
【0043】
具体的には、地域特性DB22には、エリア毎の統計データの地域特性データ、若しくはその統計データに基づいてクラスタ分析された分析結果の地域特性データの数値を地域データとして地域モデルに学習させ、レコメンド地域抽出でも、地域データを学習済地域モデルに入力して、得点を出力させるものである。尚、高い得点を得るためには、人口構成が似通った(類似する)エリア、またはクラスタが同じか近いエリアを選択して、学習済地域モデルに入力させるのが望ましい。
【0044】
[店舗モデル生成とレコメンド物件抽出:図3
次に、店舗モデル生成とレコメンド物件抽出の処理概略について図3を参照しながら説明する。図3は、店舗モデル生成とレコメンド物件抽出の処理概略図である。
図3に示すように、店舗モデル生成には、店舗DB21から特定の業態の業績好調な店舗に関連する店舗データを教師データとして店舗モデル33に学習させる。
店舗モデル33は、業績好調な店舗の店舗データが高得点(高確率)となるよう調整されて学習が為され、学習済店舗モデル34が生成される。
【0045】
そして、物件DB20から候補となる物件データを学習済店舗モデル34に読み込んで得点(確率)を出力させる。ここで、高得点(高確率)となった物件データは、業績好調な店舗に該当するとして、レコメンド物件として得られた数値と共にレコメンド物件DB24に出力する。
従って、レコメンド物件DB24には、複数のレコメンド物件とその数値が記憶されることになる。
【0046】
尚、物件DB20から候補となる物件データを学習済店舗モデル34に読み込む場合に、レコメンド地域として抽出された(絞り込まれた)エリアにある物件データのみを学習済店舗モデル34に読み込ませるようにしてもよい。
このように、レコメンド地域として絞り込まれたエリアから候補となる物件データの得点を得るようにすることは、処理効率がよく、出店希望者へのレコメンド地域とレコメンド物件を把握しやすいものとなる。
【0047】
[店舗物件レコメンドサーバの処理:図4
次に、店舗物件レコメンドサーバ1の処理について図4を参照しながら説明する。図4は、店舗物件レコメンドサーバの処理を示すフロー図である。
店舗物件レコメンドサーバ1は、図4に示すように、処理プログラムを実行して、店舗データアップロード手段が、出店希望者端末6から店舗リストの店舗データの入力を受けて、店舗DB21に記憶する店舗データアップロード処理を行う(S1)。
【0048】
また、物件データアップロード手段が、不動産仲介サーバ4から物件DB5の物件データの入力を受けて、物件DB20に記憶する物件データアップロード処理を行う(S2)。
尚、店舗データアップロード処理と物件データアップロード処理の順番は問わず、物件データアップロード処理が先であっても構わない。
【0049】
地域モデル生成手段が、店舗DB21の業績好調な店舗の地域について地域特性DB22を参照して対応する地域データを地域モデル31に学習させ、学習済地域モデル32を生成する処理を行う(S3)。
また、店舗モデル生成手段が、店舗DB21の業績好調な店舗データを店舗モデル33に学習させ、学習済店舗モデル34を生成する処理を行う(S4)。
尚、地域モデル生成処理と店舗モデル生成処理の順番は問わず、店舗モデル生成処理が先であっても構わない。また、物件データアップロード処理を、地域モデル生成処理と店舗モデル生成処理の後に行ってもよい。
【0050】
レコメンド地域抽出手段が、学習済地域モデル32を用いて地域特性DB22の地域データを読み込み、レコメンド地域を抽出し、レコメンド地域DB23に出力する処理を行う(S5)。
また、レコメンド物件抽出手段が、学習済店舗モデル34を用いて物件DB20の物件データを読み込み、レコメンド物件を抽出し、レコメンド物件DB24に出力する処理を行う(S6)。ここで、抽出されたレコメンド地域の物件データのみを学習済店舗モデル34に読み込ませるようにしてもよい。
尚、レコメンド地域抽出処理とレコメンド物件抽出処理の順番は問わず、レコメンド物件抽出処理が先であっても構わない。また、物件データアップロード処理を、レコメンド地域抽出処理の後に行ってもよい。
【0051】
次に、出店レポート生成手段が、レコメンド地域DB23に記憶されたレコメンド地域とレコメンド物件DB24に記憶されたレコメンド物件から、地域と物件から出店レポートを生成する処理を行う(S7)。
出店レポートは、上述したように、地域と物件を組み合わせランキングしたもので、地域と物件について業績好調となる可能性を確率の数値で順位付けて表すものである。
出店レポート生成手段は、不動産仲介業者向けの営業レポートを生成してもよい。
【0052】
[応用例]
本システムでは、レコメンド地域抽出手段がレコメンド地域を抽出し、レコメンド物件抽出手段がレコメンド物件を抽出するようにしていたが、出店希望者が複数の小エリア(郵便番号エリア又はメッシュエリア)を含む広域の分析エリアを選択し、出店希望者が店舗規模も選択すると、広域エリアで業績好調となる確率が高い小エリアを色分け又は色の濃淡で表示すると共に、業績好調となる確率が高い店舗をアイコンの大小で表示するようにしてもよい。
【0053】
[レコメンド地域とレコメンド店舗の表示例:図5
応用例におけるレコメンド地域とレコメンド店舗の表示例について図5を参照しながら説明する。図5は、レコメンド地域とレコメンド店舗の表示例を示す説明図である。
具体的には、業績好調となる確率の高い小エリアの色を濃くし、その確率の低い小エリアの色を薄くして表示する。また、色分けでは、例えば、確率の高いエリアを赤色で、中程度の小エリアを橙色で、確率が低い小エリアを黄色で表示するようにしてもよい。
また、店舗のアイコン表示では、業種によってアイコンの形状を変えて区別し、業績好調となる確率の高い店舗のアイコンを大きく、その確率の低い店舗のアイコンを小さく表示するものである。
【0054】
図5の例では、レコメンド地域とレコメンド店舗を同じ地図上に表示させるようにしているが、別々の地図に表示させるようにしてもよい。
また、出店希望者が設定できるパラメータとして、地域については、特定の広域エリア(複数の小エリアの集合エリア)の指定、店舗については、駅前か否か、店舗の業種(例えばコンビニ等)、店舗の規模(営業面積)、商圏範囲等がある。店舗の規模では、特定の営業面積以上を除外して小規模店舗に絞り込むことができる。
【0055】
出店希望者が設定する店舗に関するパラメータとしての商圏範囲については、出店希望者が商圏サイズを半径0.3km、0.5km、1.0km、1.5km等で細かく設定することも可能であるが、AIを用いて商圏範囲を自動的に選択させるようにしてもよい。
商圏範囲の自動選択(自動判定)について具体的に説明する。
店舗モデル生成手段が、全ての商圏サイズ(例えば、半径0.3~1.5km)で、当該商圏サイズでの既存の複数の店舗の条件と売上金額を学習して、売上が高くなる店舗(理想的な店舗)の店舗モデル(AIモデル)を生成し、理想的な店舗モデルの精度を演算する。
そして、全ての商圏サイズについて精度の演算を行い、精度が高い商圏サイズを商圏範囲としてレコメンドするものである。
【0056】
商圏サイズの自動判定では、AIモデルとして、例えば、「Elastic Net」を用いる。Elastic Net は、リッジ回帰とLASSO回帰の正則化を合成した手法である。LASSO回帰と同じように、Elastic Netではゼロ値の係数を生成することで、次元削減されたモデルを生成できるものである。
【0057】
[本実施の形態の効果]
本システムによれば、店舗物件レコメンドサーバ1が、店舗の特定の業態について複数の店舗の業績から業績好調の店舗のデータと当該店舗がある地域のデータを学習させて学習済地域モデル32と学習済店舗モデル34を生成し、学習済地域モデル32に基づいて地域特性データを用いてレコメンドする地域を抽出してレコメンド地域DB23に記憶し、学習済店舗モデル34に基づいて不動産の店舗物件データを用いてレコメンドする物件を抽出してレコメンド物件DB24に記憶し、抽出した地域と抽出した物件の情報を出店レポートとして出店希望者端末7に提供するものであり、業績好調な地域で業績好調となる可能性が高い店舗物件を出店希望者が容易に探し出すことができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、店舗の業態に適していて、業績を上げられるエリアをレコメンドし、更に、当該エリアにおいて良好な業績となる店舗物件をレコメンドできる店舗物件レコメンドシステム及びそのプログラムに好適である。
【符号の説明】
【0059】
1…店舗物件レコメンドサーバ、 3…ネットワーク、 4…不動産仲介サーバ、 5…物件データベース(DB)、 6…出店希望者端末、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部、 20…物件データベース(DB)、 21…店舗データベース(DB)、 22…地域特性データベース(DB)、 23…レコメンド地域データベース(DB)、 24…レコメンド物件データベース(DB)、 31…地域モデル、 32…学習済地域モデル、 33…店舗モデル、 34…学習済店舗モデル
図1
図2
図3
図4
図5