(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083421
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】血糖値推定装置、学習装置、血糖値推定方法、学習情報の生産方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20220527BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189340
(22)【出願日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2020194129
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(72)【発明者】
【氏名】山村 淳貴
(72)【発明者】
【氏名】ゼイ田 満広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄一
(72)【発明者】
【氏名】李 殷瑞
(72)【発明者】
【氏名】高木 基成
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL05
4C038KL07
4C038KM01
4C038KX02
(57)【要約】
【課題】従来、人の適正な血糖値を非侵襲で簡単に取得することが困難であった。
【解決手段】人体に対して発せられた近赤外光の反射光を用いて取得された1以上のNIRS情報と血糖値とを有する2以上の教師データを用いて取得された学習情報が格納される学習情報格納部711と、近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得部63と、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報と学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する推定部734と、推定部734が取得した血糖値を出力する血糖値出力部741とを具備する血糖値推定装置7により、人の適正な血糖値を非侵襲で簡単に取得できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に対して発せられた近赤外光の反射光を用いて取得された1以上のNIRS情報と血糖値とを有する2以上の教師データを用いて取得された学習情報が格納される学習情報格納部と、
近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得部と、
前記NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と前記学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する推定部と、
前記推定部が取得した血糖値を出力する血糖値出力部とを具備する血糖値推定装置。
【請求項2】
前記教師データは、2以上の各波長の近赤外光を人体に対する発して得られる1以上のNIRS情報を含み、
前記NIRS取得部は、
2以上の各波長の近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得する、請求項1記載の血糖値推定装置。
【請求項3】
前記2以上の波長は、略760nm~略1300nmの範囲の2以上の波長である。
【請求項4】
学習情報を取得するために用いられる2以上の異なる波長の近赤外光の数が、前記NIRS取得部による1以上のNIRS情報の取得のために使用される2以上の異なる波長の近赤外光の数より多い、請求項1から請求項3いずれか一項に記載の血糖値推定装置。
【請求項5】
前記教師データは、前記人体を有する人の肌温度、加速度、脈拍,脈波、脈拍数、血中の飽和酸素濃度、血圧、肌の色、筋肉量、血中のヘモグロンビン量のうちの1以上のユーザ動的属性値を有し、
前記一のユーザの肌温度、加速度、脈拍,脈波、脈拍数、血中の飽和酸素濃度、血圧、肌の色、筋肉量、血中のヘモグロンビン量のうちの1以上のユーザ動的属性値を取得するユーザ動的属性値取得部をさらに具備し、
前記推定部は、
前記NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と、前記ユーザ動的属性値取得部が取得した1以上のユーザ動的属性値と、前記学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する、請求項1から請求項4いずれか一項に記載の血糖値推定装置。
【請求項6】
前記教師データは、前記人体を有する人の静的な属性値である1以上のユーザ静的属性値を有し、
前記ユーザの1以上のユーザ静的属性値を取得するユーザ静的属性値取得部をさらに具備し、
前記推定部は、
前記NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と、前記ユーザ静的属性値取得部が取得した1以上のユーザ静的属性値と、前記学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する、請求項1から請求項5いずれか一項に記載の血糖値推定装置。
【請求項7】
前記1以上のユーザ静的属性値は、ユーザの年齢、身長、体重、前腕周囲のうちの1以上の情報である、請求項6記載の血糖値推定装置。
【請求項8】
前記教師データは、前記1以上のNIRS情報を取得するために使用するデバイスの特性値である1以上のデバイス特性値を有し、
前記ユーザの1以上のNIRS情報を取得するために使用するデバイスの1以上のデバイス特性値を取得するデバイス特性値取得部をさらに具備し、
前記推定部は、
前記NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と、前記デバイス特性値取得部が取得した1以上のデバイス特性値と、前記学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する、請求項1から請求項7いずれか一項に記載の血糖値推定装置。
【請求項9】
前記1以上のデバイス特性値は、近赤外光の発光部から発光された反射光を受光する2以上の受光部間の距離を特定する距離情報、受光部の数、発光部の数のうちの1以上の情報である、請求項8記載の血糖値推定装置。
【請求項10】
前記NIRS取得部は、
1以上のNIRS情報または1以上のNIRS情報の元になる1以上のNIRS情報元をユーザから取得する2以上の各NIRS装置から、前記1以上のNIRS情報または前記1以上のNIRS情報元を取得し、
前記血糖値出力部は、
前記推定部が取得した血糖値または当該血糖値に関する血糖値関連情報を、前記NIRS装置または前記NIRS装置に対応する端末装置に送信する、請求項1から請求項7いずれか一項に記載の血糖値推定装置。
【請求項11】
前記学習情報は、前記2以上の教師データを用いて、機械学習の学習処理を行い、取得された学習器である、請求項1から請求項10いずれか一項に記載の血糖値推定装置。
【請求項12】
1以上の発光部から発光された近赤外光の反射光であり、1以上の受光部が受光した反射光を用いて、当該反射光に関する1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得部と、
ユーザの血糖値を取得する実測血糖値取得部と、
前記1以上のNIRS情報と前記血糖値とを用いて、教師データを構成する教師データ構成部と、
前記教師データを用いて、学習情報を取得する学習部と、
前記学習情報を蓄積する蓄積部とを具備する学習装置。
【請求項13】
前記1以上の発光部は、
2以上の波長の近赤外光を発光し、
前記1以上の受光部は、
2以上の各波長の近赤外光の反射光を受光し、
前記NIRS取得部は、
前記2以上の各波長の近赤外光の反射光に関する1以上のNIRS情報を取得する、請求項12記載の学習装置。
【請求項14】
前記ユーザの肌温度、加速度、脈拍,脈波、脈拍数、血中の飽和酸素濃度、血圧、肌の色、筋肉量、血中のヘモグロンビン量のうちの1以上のユーザ動的属性値を取得するユーザ動的属性値取得部をさらに具備し、
前記教師データ構成部は、
前記1以上のNIRS情報と前記1以上のユーザ動的属性値と前記血糖値とを用いて、教師データを構成する、請求項12または請求項13記載の学習装置。
【請求項15】
前記ユーザの静的な属性値である1以上のユーザ静的属性値を取得するユーザ静的属性値取得部をさらに具備し、
前記教師データ構成部は、
前記1以上のNIRS情報と前記1以上のユーザ静的属性値と前記血糖値とを用いて、教師データを構成する、請求項12から請求項14いずれか一項に記載の学習装置。
【請求項16】
前記1以上の受光部および前記1以上の発光部を具備するデバイスの1以上のデバイス特性値を取得するデバイス特性値取得部をさらに具備し、
前記教師データ構成部は、
前記1以上のNIRS情報と前記1以上のデバイス特性値と前記血糖値とを用いて、教師データを構成する、請求項12から請求項15いずれか一項に記載の学習装置。
【請求項17】
人体に対して発せられた近赤外光の反射光を用いて取得された1以上のNIRS情報と血糖値とを有する2以上の教師データを用いて取得された学習情報が格納される学習情報格納部と、NIRS取得部と、推定部と、血糖値出力部とにより実現される血糖値推定方法であって、
前記NIRS取得部が、近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得ステップと、
前記推定部が、前記NIRS取得ステップで取得された1以上のNIRS情報と前記学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する推定ステップと、
前記血糖値出力部が、前記推定ステップで取得された血糖値を出力する血糖値出力ステップとを具備する血糖値推定方法。
【請求項18】
NIRS取得部と、実測血糖値取得部と、教師データ構成部と、学習部と、蓄積部とにより実現される学習情報の生産方法であって、
前記NIRS取得部が、1以上の発光部から発光された近赤外光の反射光であり、1以上の受光部が受光した反射光を用いて、当該反射光に関する1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得ステップと、
前記実測血糖値取得部が、ユーザの血糖値を取得する実測血糖値取得ステップと、
前記教師データ構成部が、前記1以上のNIRS情報と前記血糖値とを用いて、教師データを構成する教師データ構成ステップと、
前記学習部が、前記教師データを用いて、学習情報を取得する学習ステップと、
前記蓄積部が、前記学習情報を蓄積する蓄積ステップとを具備する学習情報の生産方法。
【請求項19】
人体に対して発せられた近赤外光の反射光を用いて取得された1以上のNIRS情報と血糖値とを有する2以上の教師データを用いて取得された学習情報が格納される学習情報格納部にアクセス可能なコンピュータを、
近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得部と、
前記NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と前記学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する推定部と、
前記推定部が取得した血糖値を出力する血糖値出力部として機能させるためのプログラム。
【請求項20】
コンピュータを、
1以上の発光部から発光された近赤外光の反射光であり、1以上の受光部が受光した反射光を用いて、当該反射光に関する1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得部と、
ユーザの血糖値を取得する実測血糖値取得部と、
前記1以上のNIRS情報と前記血糖値とを用いて、教師データを構成する教師データ構成部と、
前記教師データを用いて、学習情報を取得する学習部と、
前記学習情報を蓄積する蓄積部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定される血糖値を取得し、出力する血糖値推定装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の血糖値を非侵襲的に定量する技術があった(例えば、特許文献1参照)。かかる従来技術において、被験者の体内成分濃度は、近赤外光を用いて被験者から測定した吸光度スペクトルと検量線を用いて決定される。検量線は、生体の複数の近赤外吸光度スペクトルとこの中から選択される基準吸光度スペクトルの間の差分である複数の差分吸光度スペクトルを求め、前記差分吸光度スペクトルの各々に、予め測定した被験者の基準吸光度スペクトルを合成することにより複数の合成吸光度スペクトルを求め、得られた複数の合成吸光度スペクトル用いて多変量解析することにより作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、学習情報を用いていないために、人の適正な血糖値を非侵襲で簡易に取得することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第一の発明の血糖値推定装置は、人体に対して発せられた近赤外光の反射光を用いて取得された1以上のNIRS情報と血糖値とを有する2以上の教師データを用いて取得された学習情報が格納される学習情報格納部と、近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得部と、NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する推定部と、推定部が取得した血糖値を出力する血糖値出力部とを具備する血糖値推定装置である。
【0006】
かかる構成により、人の適正な血糖値を非侵襲で簡易に取得できる。
【0007】
また、本第二の発明の血糖値推定装置は、第一の発明に対して、教師データは、2以上の各波長の近赤外光を人体に対する発して得られる1以上のNIRS情報を含み、NIRS取得部は、2以上の各波長の近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得する、血糖値推定装置である。
【0008】
かかる構成により、2以上の波長の近赤外光を用いて、より適正な血糖値を非侵襲で簡易に取得できる。
【0009】
また、本第三の発明の波長は、第二の発明に対して、2以上の波長は、略760nm~略1300nmの範囲の2以上の波長である、血糖値推定装置である。
【0010】
かかる構成により、2以上の適切な波長の近赤外光を用いて、より適正な血糖値を非侵襲で簡易に取得できる。
【0011】
また、本第四の発明の血糖値推定装置は、第一から第三いずれか1つの発明に対して、学習情報を取得するために用いられる2以上の異なる波長の近赤外光の数が、NIRS取得部による1以上のNIRS情報の取得のために使用される2以上の異なる波長の近赤外光の数より多い、血糖値推定装置である。
【0012】
かかる構成により、より適正な血糖値を非侵襲で簡易に取得できる。
【0013】
また、本第五の発明の血糖値推定装置は、第一から第四いずれか1つの発明に対して、教師データは、人体を有する人の肌温度、加速度、脈拍,脈波、脈拍数、血中の飽和酸素濃度、血圧、肌の色、筋肉量、血中のヘモグロンビン量のうちの1以上のユーザ動的属性値を有し、一のユーザの肌温度、加速度、脈拍,脈波、脈拍数、血中の飽和酸素濃度、血圧、肌の色、筋肉量、血中のヘモグロンビン量のうちの1以上のユーザ動的属性値を取得するユーザ動的属性値取得部をさらに具備し、推定部は、NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と、ユーザ動的属性値取得部が取得した1以上のユーザ動的属性値と、学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する、血糖値推定装置である。
【0014】
かかる構成により、1以上のユーザ動的属性値を用いて、より適正な血糖値を非侵襲で簡易に取得できる。
【0015】
また、本第六の発明の血糖値推定装置は、第一から第五いずれか1つの発明に対して、教師データは、人体を有する人の静的な属性値である1以上のユーザ静的属性値を有し、ユーザの1以上のユーザ静的属性値を取得するユーザ静的属性値取得部をさらに具備し、推定部は、NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と、ユーザ静的属性値取得部が取得した1以上のユーザ静的属性値と、学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する、血糖値推定装置である。
【0016】
かかる構成により、1以上のユーザ静的属性値をも用いて、より適正な血糖値を非侵襲で簡易に取得できる。
【0017】
また、本第七の発明の血糖値推定装置は、第六の発明に対して、1以上のユーザ静的属性値は、ユーザの年齢、身長、体重、前腕周囲のうちの1以上の情報である、血糖値推定装置である。
【0018】
かかる構成により、1以上の適切なユーザ静的属性値をも用いて、より適正な血糖値を非侵襲で取得できる。
【0019】
また、本第八の発明の血糖値推定装置は、第一から第七いずれか1つの発明に対して、教師データは、1以上のNIRS情報を取得するために使用するデバイスの特性値である1以上のデバイス特性値を有し、ユーザの1以上のNIRS情報を取得するために使用するデバイスの1以上のデバイス特性値を取得するデバイス特性値取得部をさらに具備し、推定部は、NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と、デバイス特性値取得部が取得した1以上のデバイス特性値と、学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する、血糖値推定装置である。
【0020】
かかる構成により、1以上のデバイス特性値を用いて、より適正な血糖値を非侵襲で取得できる。
【0021】
また、本第九の発明の血糖値推定装置は、第八の発明に対して、1以上のデバイス特性値は、近赤外光の発光部から発光された反射光を受光する2以上の受光部間の距離を特定する距離情報、受光部の数、発光部の数のうちの1以上の情報である、血糖値推定装置である。
【0022】
かかる構成により、1以上の適切なデバイス特性値を用いて、より適正な血糖値を非侵襲で取得できる。
【0023】
また、本第十の発明の血糖値推定装置は、第一から第七いずれか1つの発明に対して、NIRS取得部は、1以上のNIRS情報または1以上のNIRS情報の元になる1以上のNIRS情報元をユーザから取得する2以上の各NIRS装置から、1以上のNIRS情報または1以上のNIRS情報元を取得し、血糖値出力部は、推定部が取得した血糖値または血糖値に関する血糖値関連情報を、NIRS装置またはNIRS装置に対応する端末装置に送信する、血糖値推定装置である。
【0024】
かかる構成により、2以上の各ユーザの適正な血糖値を非侵襲で簡易に取得できる。
【0025】
また、本第十一の発明の血糖値推定装置は、第一から第十いずれか1つの発明に対して、学習情報は、2以上の教師データを用いて、機械学習の学習処理を行い、取得された学習器である、血糖値推定装置である。
【0026】
かかる構成により、機械学習のアルゴリズムにより、より適正な血糖値を非侵襲で簡易に取得できる。
【0027】
また、本第十二の発明の学習装置は、1以上の発光部から発光された近赤外光の反射光であり、1以上の受光部が受光した反射光を用いて、当該反射光に関する1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得部と、ユーザの血糖値を取得する実測血糖値取得部と、1以上のNIRS情報と前記血糖値とを用いて、教師データを構成する教師データ構成部と、教師データを用いて、学習情報を取得する学習部と、学習情報を蓄積する蓄積部とを具備する学習装置である。
【0028】
かかる構成により、人の適正な血糖値を非侵襲に取得するための学習情報を得ることができる。
【0029】
また、本第十三の発明の学習装置は、第十二の発明に対して、1以上の発光部は、2以上の波長の近赤外光を発光し、1以上の受光部は、2以上の各波長の近赤外光の反射光を受光し、NIRS取得部は、2以上の各波長の近赤外光の反射光に関する1以上のNIRS情報を取得する、学習装置である。
【0030】
かかる構成により、人の適正な血糖値を非侵襲に取得するための学習情報を得ることができる。
【0031】
また、本第十四の発明の学習装置は、第十二または第十三の発明に対して、ユーザの肌温度、加速度、脈拍,脈波、脈拍数、血中の飽和酸素濃度、血圧、肌の色、筋肉量、血中のヘモグロンビン量のうちの1以上のユーザ動的属性値を取得するユーザ動的属性値取得部をさらに具備し、教師データ構成部は、1以上のNIRS情報と1以上のユーザ動的属性値と血糖値とを用いて、教師データを構成する、学習装置である。
【0032】
かかる構成により、1以上のユーザ動的属性値を用いて、人のより適正な血糖値を非侵襲に取得するための学習情報を得ることができる。
【0033】
また、本第十五の発明の学習装置は、第十二から第十四いずれか1つの発明に対して、ユーザの静的な属性値である1以上のユーザ静的属性値を取得するユーザ静的属性値取得部をさらに具備し、教師データ構成部は、1以上のNIRS情報と1以上のユーザ静的属性値と血糖値とを用いて、教師データを構成する、学習装置である。
【0034】
かかる構成により、1以上のユーザ静的属性値を用いて、人のより適正な血糖値を非侵襲に取得するための学習情報を得ることができる。
【0035】
また、本第十六の発明の学習装置は、第十二から第十五いずれか1つの発明に対して、1以上の受光部および1以上の発光部を具備するデバイスの1以上のデバイス特性値を取得するデバイス特性値取得部をさらに具備し、教師データ構成部は、1以上のNIRS情報と1以上のデバイス特性値と血糖値とを用いて、教師データを構成する、学習装置!--である。
【0036】
かかる構成により、1以上のデバイス特性値を用いて、人のより適正な血糖値を非侵襲に取得するための学習情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明による血糖値推定装置によれば、人の適正な血糖値を非侵襲で簡易に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】実施の形態1における血糖値推定システムCの概念図
【
図2】同血糖値推定システムCのブロック図の例を示す図
【
図3】同血糖値推定装置7の動作例について説明するフローチャート
【
図7】同血糖値推定システムCのブロック図の例を示す図
【
図8】実施の形態2における血糖値推定システムDの概念図を示す図
【
図10】同血糖値推定装置7の動作例について説明するフローチャート
【
図11】実施の形態3における学習システムEのブロック図
【
図13】同学習装置9の動作例について説明するフローチャート
【
図14】同学習システムEの具体的な動作例を説明するための図
【
図15】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの概観図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、血糖値推定装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0040】
(実施の形態1)
本実施の形態において、近赤外光(以下、適宜「NIRS」と言う。)を人体に対して発光して得られるNIRS情報と血糖値とを有する2以上の教師データを用いて構成された学習情報(例えば、学習器)に対して、近赤外光をユーザに対して発光して得られるNIRS情報を適用し、血糖値を取得し、出力する血糖値推定装置を含む血糖値推定システムについて説明する。なお、教師データは、NIRS情報以外の情報を含んでも良い。NIRS情報以外の情報は、例えば、1以上のユーザ動的属性値、1以上のユーザ静的属性値、1以上のデバイス特性値である。また、血糖値推定装置は、デバイスからNIRS情報を受信し、推定した血糖値を外部の装置に送信しても良い。さらに、学習情報は、例えば、機械学習により得られた学習器である。
【0041】
また、本実施の形態において、教師データを得るために、2以上の波長を用いて取得された学習情報を用いて、血糖値を推定する血糖値推定装置を含む血糖値推定システムについて説明する。なお、学習時の波長の数は、予測時の波長の数より多くても良い。
【0042】
図1は、本実施の形態における血糖値推定システムCの概念図の例である。血糖値推定システムCは、NIRS装置6、および血糖値推定装置7を備える。血糖値推定システムCは、2以上のNIRS装置6と一の血糖値推定装置7とを備えるシステムでも良い。なお、NIRS装置6と血糖値推定装置7とは、一体化された一の装置でも良い。
【0043】
NIRS装置6は、近赤外光の発光部と受光部とを具備し、後述するNIRS情報または後述するNIRS情報元を取得し、血糖値推定装置7に渡す。NIRS装置6は、時計型であることは好適であるが、形状は問わない。NIRS装置6は、人体のいずれかの箇所に対してNIRSを発光し、反射光を受光できる装置であれば良い。
【0044】
血糖値推定装置7は、NIRS装置6からの情報に基づいてNIRS情報を取得し、当該NIRS情報と学習情報とを用いて、血糖値を推定する装置である。血糖値推定装置7は、いわゆるパソコン、スマートフォン、タブレット端末、サーバ等、その種類は問わない。サーバは、いわゆるクラウドサーバ、ASPサーバ等、その種類は問わない。
【0045】
図2は、本実施の形態における血糖値推定システムCのブロック図である。血糖値推定システムCを構成するNIRS装置6は、発光部61、受光部62、NIRS取得部63、およびNIRS出力部64を備える。
【0046】
血糖値推定装置7は、格納部71、受付部72、処理部73、および出力部74を備える。格納部71は、学習情報格納部711、ユーザ情報格納部712、およびデバイス特性値格納部713を備える。受付部72は、NIRS情報受付部721を備える。処理部73は、ユーザ動的属性値取得部731、ユーザ静的属性値取得部732、デバイス特性値取得部733、および推定部734を備える。出力部74は、血糖値出力部741を備える。
【0047】
NIRS装置6を構成する発光部61は、近赤外光を発光する。発光部61は、通常、人体に対して近赤外光を発光する。発光部61は、例えば、人体の手首、指先、耳たぶ等の箇所に対して近赤外光を発光する。但し、発光部61が近赤外光を発光する箇所は問わない。
【0048】
NIRS装置6は、2以上の発光部61を有しても良い。発光部61は、略760nm~略1300nmの範囲の波長の近赤外光を発光することは好適である。NIRS装置6を構成する2つの各発光部61は、例えば、各々、略1200nm、略1300nmの波長の近赤外光を発光することは好適である。一の発光部61が波長の異なる2以上の近赤外光を発光しても良い。また、一の発光部61が波長の異なる2以上の各近赤外光を、時間をずらして発光しても良い。2以上の各近赤外光の波長は、略760nm~略1300nmの範囲であることは好適である。2以上の各近赤外光の波長は、例えば、略1200nm、略1300nmの波長を含む。2以上の各近赤外光の波長は、例えば、略760nm、略850nmの波長を含む。2以上の各近赤外光の波長は、例えば、略760nm、略850nm、略1200nm、略1300nmの4つである。発光部61は、例えば、発光ダイオード、LED等により実現され得るが、その実現手段は問わない。
【0049】
受光部62は、発光部61が人体に対して近赤外光を発光した際の反射光を受光する。受光部62は、発光部61が人体に対して近赤外光を発光した際の透過光を受光しても良い。受光部62は、公知のデバイスで実現され得る。
【0050】
NIRS取得部63は、近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得する。NIRS取得部63は、受光部62が受光した光に関する情報である1以上のNIRS情報を取得する。NIRS取得部63は、通常、発光部61が発光した近赤外光の反射光であり、受光部62が受光した反射光に関する情報である1以上のNIRS情報を取得する。
【0051】
NIRS取得部63は、2以上の各波長の近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得することは好適である。
【0052】
なお、NIRS情報は、例えば、光信号である。NIRS情報は、例えば、光強度、波長ごとの光強度の集合である。NIRS情報は、例えば、略1200nmおよび略1300nmの波長の近赤外光の反射光の強度である。
【0053】
NIRS取得部63は、1以上のユーザ動的属性値を取得しても良い。1以上のユーザ動的属性値は、例えば、一のユーザの肌温度、加速度、脈拍,脈波、脈拍数、血中の飽和酸素濃度、血圧、肌の色、筋肉量、血中のヘモグロンビン量のうちの1以上の情報である。
【0054】
NIRS取得部63は、例えば、1以上のセンサを有し、かかる各センサを用いて、1以上のユーザ動的属性値を取得しても良い。NIRS取得部63は、例えば、温度センサを含み、ユーザの肌温度を取得する。NIRS取得部63は、例えば、ジャイロまたは加速度センサを含み、加速度を取得する。NIRS取得部63は、例えば、脈拍センサを含み、脈拍を取得する。NIRS取得部63は、例えば、脈波計を含み、脈波を取得する。NIRS取得部63は、例えば、心拍計を含み、脈拍数を取得する。NIRS取得部63は、例えば、血中酸素濃度測定器を含み、血中の飽和酸素濃度を取得する。NIRS取得部63は、例えば、血圧計を含み、血圧を取得する。NIRS取得部63は、例えば、イメージセンサを含み、肌の色を取得する。NIRS取得部63は、例えば、体成分分析装置を含み、筋肉量を取得する。NIRS取得部63は、例えば、ヘモグロンビン測定器を含み、血中のヘモグロンビン量を取得する。
【0055】
NIRS取得部63は、1以上のユーザ静的属性値を、NIRS装置6の図示しない格納部から取得しても良い。
【0056】
NIRS取得部63は、1以上のデバイス特性値を、NIRS装置6の図示しない格納部から取得しても良い。
【0057】
NIRS出力部64は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報を出力する。NIRS出力部64は、NIRS取得部63が取得した1以上のユーザ動的属性値を出力しても良い。NIRS出力部64は、NIRS取得部63が取得した1以上のユーザ静的属性値を出力しても良い。NIRS出力部64は、NIRS取得部63が取得した1以上のデバイス特性値を出力しても良い。
【0058】
ここでの出力とは、通常、血糖値推定装置7への送信である。NIRS装置6と血糖値推定装置7とが一体の装置である場合の出力とは、血糖値推定装置7への引き渡しである。なお、NIRS出力部64は、1以上のNIRS情報等を記録媒体に蓄積したり、他の装置に送信したり、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しをしたりしても良い。
【0059】
血糖値推定装置7を構成する格納部71には、各種の情報が格納される。各種の情報は、例えば、後述する学習情報、後述するユーザ情報、後述するデバイス特性値である。
【0060】
学習情報格納部711は、学習情報が格納される。学習情報は、1以上のNIRS情報を用いて血糖値を取得する際に使用される情報である。学習情報は、2以上の教師データを用いて取得された情報である。教師データは、1以上のNIRS情報と血糖値とを有する情報である。NIRS情報は、人体に対して発せられた近赤外光の反射光を用いて取得された情報である。NIRS情報は、透過光をも用いて取得された情報で良い。
【0061】
なお、教師データにおいて、例えば、1以上のNIRS情報は説明変数であり、血糖値は目的変数である。
【0062】
教師データは、1以上のユーザ動的属性値を有することは好適である。ユーザ動的属性値は、ユーザの動的な属性値である。ユーザ動的属性値は、時々刻々または頻繁に変化し得る情報である。1以上のユーザ動的属性値は、人体を有する人の肌温度、加速度、脈拍,脈波、脈拍数、血中の飽和酸素濃度、血圧、肌の色、筋肉量、血中のヘモグロンビン量のうちの1以上の情報であることは好適である。
【0063】
教師データは、1以上のユーザ静的属性値を有することは好適である。ユーザ静的属性値は、人の静的な属性値である。1以上のユーザ静的属性値は、例えば、性別、年齢、年齢層、身長、体重、前腕周囲である。
【0064】
教師データは、1以上のデバイス特性値を有することは好適である。デバイス特性値は、1以上のNIRS情報を取得するために使用するデバイス(ここでは、NIRS装置6)の特性値である。1以上のデバイス特性値は、例えば、2以上の各受光部62の距離を特定する距離情報、受光部62の数、発光部61の数である。
【0065】
また、学習情報は、例えば、学習器、対応表、演算式である。以下、学習情報の詳細について説明する。なお、学習情報は、後述する学習装置9が取得した情報であることは好適である。
(1)学習情報が学習器である場合
【0066】
学習器は、2以上の教師データを用いて、機械学習の学習処理を行い、取得された情報である。なお、機械学習のアルゴリズムは問わない。機械学習の学習処理を行うアルゴリズムは、例えば、深層学習、決定木、ランダムフォレスト、SVR等が利用可能であるが、機械学習の種類は問わない。また、学習器は、1以上のNIRS情報を含む情報を入力として、血糖値を出力するための学習器である。学習器は、分類器、予測器、モデル等と言っても良い。機械学習の学習処理を行うモジュールも問わない。当該モジュールは、例えば、TensorFlowのライブラリの中の各種の関数、R言語のrandom forestのモジュール、tinySVM等である。
(2)学習情報が対応表である場合
【0067】
対応表は、1以上のNIRS情報を含む情報と血糖値との対応を示す2以上の対応情報を有する情報である。対応情報は、1以上のNIRS情報と血糖値とを含む情報でも良い。対応情報は、1以上のNIRS情報を含む情報へのポインタと血糖値へのポインタとを含む情報でも良い。対応情報は、1以上のNIRS情報を含む情報と血糖値とが対応付く情報であれば良い。対応表は、例えば、後述する学習装置9が取得した情報であることは好適である。なお、1以上のNIRS情報を含む情報は、1以上のNIRS情報だけでも良いし、1以上のユーザ動的属性値、1以上のユーザ静的属性値、および1以上のデバイス特性値のうちの1種類以上の情報をも含む情報でも良い。
(3)学習情報が演算式である場合
【0068】
演算式は、1以上の各NIRS情報をパラメータとする演算式で、血糖値を取得する演算式である。演算式は、例えば、1以上のユーザ動的属性値、1以上のユーザ静的属性値、および1以上のデバイス特性値のうちの1種類以上の情報をもパラメータとする演算式でも良い。
【0069】
ユーザ情報格納部712には、1または2以上のユーザ情報が格納される。ユーザ情報は、1以上のユーザ静的属性値を有する。1以上のユーザ静的属性値は、例えば、ユーザの年齢、年齢層、身長、体重、前腕周囲である。ユーザ情報は、1以上のユーザ動的属性値を有しても良い。ユーザ情報は、ユーザを識別するユーザ識別子に対応付いていても良い。ユーザ識別子は、例えば、ユーザID、メールアドレス、携帯番号等である。
【0070】
デバイス特性値格納部713は、1または2以上のデバイス特性値のセットが格納される。1以上のデバイス特性値のセットは、ユーザ識別子に対応付いていても良い。
【0071】
受付部72は、各種の指示や情報を受け付ける。各種の指示や情報は、例えば、ユーザ情報、1以上のユーザ静的属性値、1以上のユーザ動的属性値、1以上のデバイス特性値である。
【0072】
受付部72は、例えば、1以上のユーザ静的属性値の入力をユーザから受け付ける。受付部72は、例えば、1以上のデバイス特性値の入力をユーザから受け付ける。
【0073】
各種の指示や情報の入力手段は、例えば、タッチパネルやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。
【0074】
受付部72は、例えば、他の装置から、各種の指示や情報を受信する。他の装置は、例えば、NIRS装置6、図示しないユーザの端末装置である。
【0075】
受付部72は、例えば、1以上のユーザ動的属性値、1以上のユーザ静的属性値、および1以上のデバイス特性値のうちの1種類以上の情報を、NIRS装置6から受信する。
【0076】
NIRS情報受付部721は、1以上のNIRS情報を受け付ける。NIRS情報受付部721は、例えば、NIRS装置6から1以上のNIRS情報を受信する。
【0077】
処理部73は、各種の処理を行う。各種の処理とは、例えば、ユーザ動的属性値取得部731、ユーザ静的属性値取得部732、デバイス特性値取得部733、推定部734が行う処理である。
【0078】
ユーザ動的属性値取得部731は、1以上のユーザ動的属性値を取得する。ユーザ動的属性値取得部731は、例えば、受付部72が受信した1以上のユーザ動的属性値を取得する。なお、血糖値推定装置7が、1以上のユーザ動的属性値を取得する1以上のセンサを有し、かかる各センサを用いて、1以上のユーザ動的属性値を取得しても良い。1以上のユーザ動的属性値は、例えば、一のユーザの肌温度、加速度、脈拍,脈波、脈拍数、血中の飽和酸素濃度、血圧、肌の色、筋肉量、血中のヘモグロンビン量のうちの1以上の情報である。
【0079】
ユーザ静的属性値取得部732は、ユーザの1以上のユーザ静的属性値を取得する。ユーザ静的属性値取得部732は、例えば、ユーザ情報格納部712から、1以上のユーザ静的属性値を取得する。ユーザ静的属性値取得部732は、例えば、受信されたユーザ識別子に対応する1以上のユーザ静的属性値をユーザ情報格納部712から取得する。ユーザ静的属性値取得部732は、例えば、受信された1以上のユーザ静的属性値を取得する。なお、1以上のユーザ静的属性値は、例えば、ユーザの年齢、年齢層、身長、体重、前腕周囲のうちの1以上の情報である。
【0080】
デバイス特性値取得部733は、ユーザの1以上のNIRS情報を取得するために使用するデバイスの1以上のデバイス特性値を取得する。デバイス特性値取得部733は、例えば、デバイス特性値格納部713から1以上のデバイス特性値を取得する。デバイス特性値取得部733は、例えば、受信されたユーザ識別子に対応する1以上のデバイス特性値をデバイス特性値取得部733から取得する。デバイス特性値取得部733は、例えば、受信された1以上のデバイス特性値を取得する。
【0081】
デバイス特性値取得部733は、NIRS装置6を検査し、自動的に1以上のデバイス特性値を取得しても良い。デバイス特性値取得部733は、例えば、NIRS装置6を撮影したカメラ画像を画像認識し、発光部61の輪郭を抽出し、当該輪郭で囲まれた図形の重心点の座標を算出し、2以上の各輪郭の重心点の距離である距離情報を取得しても良い。
【0082】
なお、1以上のデバイス特性値は、例えば、近赤外光の発光部61から発光された反射光を受光する2以上の受光部間の距離を特定する距離情報、受光部62の数、発光部61の数のうちの1以上の情報である。
【0083】
推定部734は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報と学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する。推定部734は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報と学習情報とを用いて、予測処理を行い、血糖値を取得する。
【0084】
推定部734は、例えば、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報と、ユーザ動的属性値取得部731が取得した1以上のユーザ動的属性値と、学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する。
【0085】
推定部734は、例えば、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報と、ユーザ静的属性値取得部732が取得した1以上のユーザ静的属性値と、学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する。
【0086】
推定部734は、例えば、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報と、デバイス特性値取得部733が取得した1以上のデバイス特性値と、学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する。
【0087】
推定部734は、例えば、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報と、1以上のユーザ動的属性値と1以上のユーザ静的属性値と1以上のデバイス特性値のうちの2種類以上の情報と、学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する。
【0088】
以下、学習情報が学習器である場合、対応表である場合、演算式である場合の各々について、推定部734が行う予測処理の動作例を説明する。
(1)学習情報が学習器である場合
【0089】
推定部734は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報と学習情報とを、機械学習の予測処理のモジュールに与え、当該モジュールを実行し、予測処理を行い、推定される血糖値を取得する。なお、機械学習のアルゴリズムは問わない。機械学習の予測処理を行うアルゴリズムは、例えば、深層学習、決定木、ランダムフォレスト、SVR等が利用可能であるが、機械学習の種類は問わない。また、機械学習の予測処理を行うモジュールも問わない。当該モジュールは、例えば、TensorFlowのライブラリの中の各種の関数、R言語のrandom forestのモジュール、tinySVM等である。
【0090】
推定部734は、例えば、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報と、ユーザ動的属性値取得部731が取得した1以上のユーザ動的属性値とユーザ静的属性値取得部732が取得した1以上のユーザ静的属性値とデバイス特性値取得部733が取得した1以上のデバイス特性値のうちの1または2種類以上の情報と、学習情報とを、機械学習の予測処理のモジュールに与え、当該モジュールを実行し、予測処理を行い、推定される血糖値を取得する。
(2)学習情報が対応表である場合
【0091】
推定部734は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報を含むベクトルに近似条件に合致する1以上の対応情報を対応表の対応情報の中から決定し、当該1以上の各対応情報が有する血糖値を用いて、推定する血糖値を取得する。なお、近似条件は、例えば、最も近似度が大きいこと、近似度が閾値以内であること、近似度が閾値より大きいことである。なお、近似度は、2つのベクトルの距離が大きいほど小さい値となる情報であり、例えば、2つのベクトルの距離をパラメータとする減少関数により算出される値である。なお、2つのベクトルの近似度の取得方法は問わない。なお、1以上のNIRS情報を含むベクトルとは、例えば、1以上の各NIRS情報を要素とするベクトルである。また、1以上のNIRS情報を含むベクトルとは、例えば、1以上の各NIRS情報と、1以上のユーザ動的属性値と1以上のユーザ静的属性値と1以上のデバイス特性値のうちの1または2種類以上の各情報を要素としたベクトルである。
【0092】
推定部734は、例えば、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報を含むベクトルに最も近似するベクトルと対になる血糖値を対応表から取得する。なお、当該血糖値が推定された血糖値である。
【0093】
推定部734は、例えば、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報を含むベクトルとの近似度が近似条件に合致するベクトルを有する対応情報が有する2以上の血糖値の代表値を取得する。当該代表値が推定された血糖値である。また、代表値は、例えば、平均値、中央値、加重平均値である。加重平均値は、2つのベクトル間の距離が近いほど重み付けを大きくして取得された値である。
(3)学習情報が演算式である場合
【0094】
推定部734は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報を、演算式に与え、当該演算式を実行し、推定される血糖値を取得する。
【0095】
推定部734は、例えば、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報、およびユーザ動的属性値取得部731が取得した1以上のユーザ動的属性値とユーザ静的属性値取得部732が取得した1以上のユーザ静的属性値とデバイス特性値取得部733が取得した1以上のデバイス特性値のうちの1または2種類以上の情報を演算式に与え、当該演算式を実行し、推定される血糖値を取得する。
【0096】
出力部74は、各種の情報を出力する。各種の情報は、例えば、血糖値である。ここで、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
【0097】
血糖値出力部741は、例えば、推定部734が取得した血糖値を出力する。血糖値出力部741は、推定部734が取得した血糖値または血糖値に関する血糖値関連情報を、NIRS装置6またはNIRS装置6に対応する端末装置に送信しても良い。なお、端末装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末である。
【0098】
NIRS取得部63、処理部73、ユーザ動的属性値取得部731、ユーザ静的属性値取得部732、デバイス特性値取得部733、および推定部734は、通常、プロセッサやメモリ等から実現され得る。処理部73等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU等であり、その種類は問わない。
【0099】
NIRS出力部64は、例えば、無線または有線の通信手段により実現され得る。
【0100】
格納部71、学習情報格納部711、ユーザ情報格納部712、およびデバイス特性値格納部713は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0101】
格納部71等に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が格納部71等で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が格納部71等で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が格納部71等で記憶されるようになってもよい。
【0102】
受付部72、およびNIRS情報受付部721は、例えば、無線または有線の通信手段により実現され得る。また、受付部72は、例えば、タッチパネルやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
【0103】
出力部74、および血糖値出力部741は、例えば、無線または有線の通信手段により実現され得る。出力部74、および血糖値出力部741は、例えば、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスにより実現されても良い。出力部74、および血糖値出力部741は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0104】
次に、血糖値推定システムCの動作例について説明する。まず、NIRS装置6の動作例について説明する。
【0105】
NIRS装置6の1以上の各発光部61は、近赤外光を発光する。そして、1以上の各受光部62は、近赤外光の反射光を受光する。次に、NIRS取得部63は、受光した信号から1以上のNIRS情報を取得する。また、NIRS取得部63は、例えば、1以上のユーザ動的属性値を取得する。また、NIRS取得部63は、例えば、1以上のユーザ静的属性値を取得する。また、NIRS取得部63は、例えば、1以上のデバイス特性値を取得する。次に、NIRS出力部64は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報等を血糖値推定装置7に渡す。なお、1以上のNIRS情報等とは、1以上のNIRS情報のみでも良いし、1以上のNIRS情報、および1以上のユーザ動的属性値と1以上のユーザ静的属性値と1以上のデバイス特性値のうちの1種類以上の情報でも良い。なお、NIRS出力部64は、例えば、1以上のNIRS情報等を血糖値推定装置7に送信する。
【0106】
次に、血糖値推定装置7の動作例について、
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0107】
(ステップS301)NIRS情報受付部721は、1以上のNIRS情報を受け付けたか否かを判断する。1以上のNIRS情報を受け付けた場合はステップS302に行き、1以上のNIRS情報を受け付けなかった場合はステップS301に戻る。なお、ここで、NIRS情報受付部721は、1以上のユーザ動的属性値と1以上のユーザ静的属性値と1以上のデバイス特性値のうちの1種類以上の情報をも受け付けても良い。
【0108】
(ステップS302)処理部73は、血糖値を取得する際に、ユーザ動的属性値を使用するか否かを判断する。ユーザ動的属性値を使用する場合はステップS303に行き、ユーザ動的属性値を使用しない場合はステップS304に行く。なお、ユーザ動的属性値を使用するか否かは予め決められていても良いし、ユーザ指示等に基づいても良いし、ユーザ動的属性値を取得できるか否かにより判断しても良い。
【0109】
(ステップS303)ユーザ動的属性値取得部731は、1以上のユーザ動的属性値を取得する。
【0110】
(ステップS304)処理部73は、血糖値を取得する際に、ユーザ静的属性値を使用するか否かを判断する。ユーザ静的属性値を使用する場合はステップS305に行き、ユーザ静的属性値を使用しない場合はステップS306に行く。なお、ユーザ静的属性値を使用するか否かは予め決められていても良いし、ユーザ指示等に基づいても良いし、ユーザ静的属性値が格納されているか否かにより判断しても良い。
【0111】
(ステップS305)ユーザ静的属性値取得部732は、1以上のユーザ静的属性値を取得する。
【0112】
(ステップS306)処理部73は、血糖値を取得する際に、デバイス特性値を使用するか否かを判断する。デバイス特性値を使用する場合はステップS307に行き、デバイス特性値を使用しない場合はステップS308に行く。なお、デバイス特性値を使用するか否かは予め決められていても良いし、ユーザ指示等に基づいても良いし、デバイス特性値が格納されているか否かにより判断しても良い。
【0113】
(ステップS307)デバイス特性値取得部733は、1以上のデバイス特性値を取得する。
【0114】
(ステップS308)推定部734は、予測処理を行うためのデータを構成する。推定部734は、例えば、学習器と共に機械学習に与えるベクトルを取得する。予測処理を行うためのデータは、1以上のNIRS情報のみでも良い。予測処理を行うためのデータは、1以上のNIRS情報、および1以上のユーザ動的属性値と1以上のユーザ静的属性値と1以上のデバイス特性値のうちの1種類以上の情報を含む情報でも良い。
【0115】
(ステップS309)推定部734は、ステップS308で構成したデータと、学習情報とを用いて、予測処理を行い、血糖値を取得する。なお、予測処理の例については、上述した。なお、推定部734は、
【0116】
(ステップS310)血糖値出力部741は、ステップS309で取得された血糖値を出力する。ステップS301に戻る。血糖値出力部741は、例えば、血糖値をNIRS装置6等の外部の装置に送信する。
【0117】
なお、
図3のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0118】
以下、本実施の形態における血糖値推定システムCの具体的な動作例について説明する。
血糖値推定システムCの概念図は
図1である。
【0119】
今、スマートフォンである血糖値推定装置7の学習情報格納部711には、機械学習のアルゴリズム(例えば、ランダムフォレスト)により取得された学習器が格納されている、とする。この学習器は、1以上のNIRS情報を含む説明変数と、血糖値である目的変数とを有する多数の教師データを用いて、後述する学習装置9により取得された学習器である、とする。また、ここでの1以上のNIRS情報は、各波長の近赤外光の反射光の光強度である、とする。ここでは、NIRS情報は、4次元のベクトル(760nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,850nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1200nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1300nmの波長の近赤外光の反射光の光強度)である、とする。また、教師データは、1以上のユーザ静的属性値、1以上のユーザ動的属性値、および1以上のデバイス特性値を有する、とする。ここで、1以上のユーザ静的属性値は、性別、年齢、身長、体重、前腕周囲である、とする。また、ここで、1以上のユーザ動的属性値は、人の肌温度、加速度、脈拍,脈波、脈拍数、血中の飽和酸素濃度、血圧、肌の色、筋肉量、血中のヘモグロンビン量である、とする。さらに、1以上のデバイス特性値は、2つの受光部62の距離を特定する距離情報である、とする。つまり、教師データの構造は、「<説明変数>(760nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,850nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1200nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1300nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,性別,年齢,身長,体重,前腕周囲,肌温度,加速度,脈拍,脈波,脈拍数,血中の飽和酸素濃度,血圧,肌の色,筋肉量、血中のヘモグロンビン量,受光部62の距離情報),<目的変数>血糖値」である、とする。
【0120】
また、ここでは、
図4に示すように、NIRS装置6は、発光部61(1)および発光部61(2)と、各発光部61に対応する2つの受光部62とを有する、とする。また、発光部61(1)は、760nmの波長の近赤外光および850nmの波長の近赤外光を発光する。また、発光部61(2)は、1200nmの波長の近赤外光および1300nmの波長の近赤外光を発光する。また、受光部62(1)は、発光部61(1)から発光された近赤外光の反射光を受光する。受光部62(2)は、発光部61(2)から発光された近赤外光の反射光を受光する。かかる場合、血糖値推定装置7が血糖値の推定のために使用するNIRS情報は、4次元のベクトル(760nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,850nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1200nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1300nmの波長の近赤外光の反射光の光強度)である。なお、
図4の401は、人体の内部組織である。401の上方は皮膚表面に近く、下方ほど深層部になる。
【0121】
なお、NIRS装置6の発光部61と受光部62とは、
図5に示すような態様でも良い。
図5において、一つの発光部61で発光された近赤外光の反射光であり、光路長が各々異なる複数の反射光を異なる受光部62(2)が受光する。ここでは、光路長が異なる複数の反射光は2つであるが、3以上でも良い。また、
図5の発光部61は、760nmの波長の近赤外光および850nmの波長の近赤外光を発光する。かかる場合、血糖値推定装置7が血糖値の推定のために使用するNIRS情報は、4次元のベクトル(760nmの波長の近赤外光の短光路長の反射光の光強度,850nmの波長の近赤外光の短光路長の反射光の光強度,1200nmの波長の近赤外光の長光路長の反射光の光強度,1300nmの波長の近赤外光の長光路長の反射光の光強度)である。なお、
図5の501は、人体の内部組織である。501の上方は皮膚表面に近く、下方ほど深層部になる。
【0122】
また、NIRS装置6の発光部61と受光部62とは、
図6に示すような態様でも良い。
図6において、一つの発光部61と一つの受光部62とが存在する。発光部61は、異なる複数の各波長の近赤外光を発光する。ここでは、発光部61は、760nmの波長の近赤外光、850nmの波長の近赤外光、1200nmの波長の近赤外光、および1300nmの波長の近赤外光を発光する。かかる場合、血糖値推定装置7が血糖値の推定のために使用するNIRS情報は、4次元のベクトル(760nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,850nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1200nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1300nmの波長の近赤外光の反射光の光強度)である。なお、
図6の601は、人体の内部組織である。501の上方は皮膚表面に近く、下方ほど深層部になる。
【0123】
また、
図4から
図6において、発光部61は、2または3以上の各波長の近赤外光を、常時、発光することは好適であるが、時分割で発光しても良い。
【0124】
また、ここでのNIRS装置6は、温度センサや加速度センサ等の各種のセンサを有し、上述した1以上のユーザ動的属性値を取得できる、とする。
【0125】
また、ここで、血糖値推定装置7のユーザ情報格納部712には、上述した1以上のユーザ静的属性値が格納されている、とする。また、血糖値推定装置7のデバイス特性値格納部713には、上述した1以上のデバイス特性値が格納されている、とする。
【0126】
以上の状況において、例えば、腕時計型のNIRS装置6が有する1以上の発光部61により、略760nm、略850nm、略1200nm、略1300nmの4つ波長の近赤外光が、人体の手首の領域に発せられる、とする。そして、NIRS装置6が有する1以上の受光部62が各波長の反射光を受光する。次に、NIRS取得部63は、1以上のNIRS情報を取得する。ここで、1以上のNIRS情報は、4次元のベクトル(760nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,850nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1200nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1300nmの波長の近赤外光の反射光の光強度)である。
【0127】
次に、NIRS出力部64は、4つのNIRS情報と1以上のユーザ動的属性値とを血糖値推定装置7に送信する。
【0128】
次に、血糖値推定装置7の受付部72は、NIRS装置6から4つのNIRS情報と1以上のユーザ動的属性値とを受信する。
【0129】
次に、ユーザ静的属性値取得部732は、ユーザ情報格納部712の1以上のユーザ静的属性値を取得する。
【0130】
また、デバイス特性値取得部733は、デバイス特性値格納部713から1以上のデバイス特性値を取得する。
【0131】
次に、推定部734は、受信された4つのNIRS情報と1以上のユーザ動的属性値、取得された1以上のユーザ静的属性値、および取得された1以上のデバイス特性値を用いて、機械学習の予測モジュールに与えるデータを構成する。なお、かかるデータの構造は、(760nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,850nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1200nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,1300nmの波長の近赤外光の反射光の光強度,性別,年齢,身長,体重,前腕周囲,肌温度,加速度,脈拍,脈波,脈拍数,血中の飽和酸素濃度,血圧,肌の色,筋肉量、血中のヘモグロンビン量,受光部62の距離情報)である。
【0132】
次に、推定部734は、構成したデータと、学習情報格納部711の学習器とを、機械学習の予測モジュール(例えば、ランダムフォレストの予測モジュール)に与え、当該モジュールを実行し、推定される血糖値を取得する。
【0133】
次に、血糖値出力部741は、取得された血糖値を出力する。
【0134】
以上、本実施の形態によれば、人の適正な血糖値を非侵襲で取得できる。
【0135】
なお、本実施の形態において、NIRS装置6と血糖値推定装置7とが一体化した装置でも良い。かかる場合、NIRS装置6と血糖値推定装置7とが一体化した血糖値推定システムCのブロック図の例は、
図7である。
図7において、発光部61、受光部62は、複数、存在していても良い。
【0136】
また、本実施の形態において、学習情報を取得するために用いられる2以上の異なる波長の近赤外光の数が、血糖値を推定する処理のために使用される2以上の異なる波長の近赤外光の数より多くても良い。
【0137】
さらに、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD-ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態における血糖値推定装置7を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、人体に対して発せられた近赤外光の反射光を用いて取得された1以上のNIRS情報と血糖値とを有する2以上の教師データを用いて取得された学習情報が格納される学習情報格納部にアクセス可能なコンピュータを、近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得部と、前記NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と前記学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する推定部と、前記推定部が取得した血糖値を出力する血糖値出力部として機能させるためのプログラムである。
【0138】
(実施の形態2)
本実施の形態において、実施の形態1との差異は、NIRS装置と血糖値推定装置とは、多対1の関係にあることである。つまり、本実施の形態において、ユーザごとにNIRS装置を保持する。そして、血糖値推定装置は、1以上の各ユーザのNIRS情報をNIRS装置から受信し、血糖値を推定し、当該血糖値を送信するサーバとして機能する。なお、血糖値の送信先は、NIRS装置でも良いし、他の装置でも良い。
【0139】
図8は、本実施の形態における血糖値推定システムDの概念図である。血糖値推定システムDは、1または2以上のNIRS装置8、および血糖値推定装置7を備える。NIRS装置8は、NIRS装置6の構成に加えて、NIRS装置8から血糖値を受信し、当該血糖値を出力する機能を有する。なお、血糖値推定システムDを構成するNIRS装置8は、NIRS装置6と同じ構成でも良い。また、血糖値推定装置7は、いわゆるサーバである。サーバは、例えば、クラウドサーバ、ASPサーバ等、その種類は問わない。1以上の各NIRS装置8と血糖値推定装置7とは、インターネット、LAN等のネットワークにより、通信可能である。
【0140】
図9は、本実施の形態における血糖値推定システムDのブロック図である。血糖値推定システムDを構成するNIRS装置8は、発光部61、受光部62、NIRS取得部63、NIRS出力部64、血糖値受信部81、および血糖値出力部741を備える。
【0141】
NIRS装置8のNIRS出力部64は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報を血糖値推定装置7に送信する。NIRS出力部64は、1以上のユーザ動的属性値、1以上のユーザ静的属性値、1以上のデバイス特性値のうちの1種類以上の情報をも、血糖値推定装置7に送信しても良い。NIRS出力部64は、ユーザを識別するユーザ識別子を血糖値推定装置7に送信しても良い。NIRS出力部64は、無線または有線の通信手段で実現され得る。
【0142】
血糖値受信部81は、推定された血糖値を血糖値推定装置7から受信する。血糖値受信部81は、無線または有線の通信手段で実現され得る。
【0143】
NIRS装置8の血糖値出力部741は、血糖値受信部81が受信した血糖値を出力する。ここで、出力とは、通常、ディスプレイへの表示であるが、プロジェクターを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念でも良い。血糖値出力部741は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。血糖値出力部741は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0144】
血糖値推定装置7の学習情報格納部711には、使用する説明変数の集合ごとに、学習情報が格納されていても良い。つまり、学習情報格納部711には、説明変数が1以上のNIRS情報のみである場合の学習情報、説明変数が1以上のNIRS情報と1以上のユーザ動的属性値、1以上のユーザ静的属性値、1以上のデバイス特性値のうちの1または2種類以上の情報である場合の学習情報が存在しても良い。また、学習情報格納部711には、ユーザ識別子に対応付けて、学習情報が格納されていても良い。
【0145】
ユーザ情報格納部712には、ユーザ識別子に対応付けて、ユーザ情報が格納されていることは好適である。ユーザ情報は、1以上のユーザ静的属性値と1以上のユーザ動的属性値のうちの1種類以上の情報を有する。
【0146】
デバイス特性値格納部713には、ユーザ識別子に対応付けて、1以上のデバイス特性値が格納されていることは好適である。
【0147】
血糖値推定装置7のNIRS情報受付部721は、NIRS装置8が送信した1以上のNIRS情報を受信する。NIRS情報受付部721は、NIRS装置8が送信した1以上のユーザ動的属性値、1以上のユーザ静的属性値、1以上のデバイス特性値をも受信しても良い。NIRS情報受付部721は、ユーザ識別子を受信しても良い。NIRS情報受付部721は、無線または有線の通信手段等で実現され得る。
【0148】
血糖値推定装置7の血糖値出力部741は、推定部734が取得した血糖値を送信する。血糖値の送信先は、NIRS装置8であることが好適であるが、他の装置でも良い。他の装置は、例えば、ユーザの図示しない端末装置である。端末装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、いわゆるパソコン等であるが、その種類は問わない。
【0149】
次に、血糖値推定システムDの動作例について説明する。まず、NIRS装置8の動作例について説明する。
【0150】
NIRS装置8の1以上の各発光部61は、近赤外光を発光する。そして、1以上の各受光部62は、近赤外光の反射光を受光する。次に、NIRS取得部63は、受光した信号から1以上のNIRS情報を取得する。また、NIRS取得部63は、例えば、1以上のユーザ動的属性値を取得する。NIRS出力部64は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報を血糖値推定装置7に送信する。ここで、NIRS出力部64は、1以上のユーザ動的属性値やユーザ識別子を血糖値推定装置7に送信しても良い。なお、ユーザ識別子は、NIRS装置6の図示しない格納部に格納されている。
【0151】
血糖値推定装置7の動作例について、
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0152】
(ステップS1001)NIRS情報受付部721は、NIRS情報等を受信したか否かを判断する。NIRS情報等を受信した場合はステップS1002に行き、受信しなかった場合はステップS1001に戻る。なお、NIRS情報等は、1以上のNIRS情報を含む。NIRS情報等は、例えば、1以上のユーザ動的識別子、1以上のユーザ静的識別子、1以上のデバイス特性値を含んでも良い。
【0153】
(ステップS1002)処理部73は、血糖値を取得する際に、ユーザ動的属性値を使用するか否かを判断する。ユーザ動的属性値を使用する場合はステップS1003に行き、ユーザ動的属性値を使用しない場合はステップS1004に行く。なお、ユーザ動的属性値を使用するか否かは予め決められていても良いし、ユーザ指示等に基づいても良いし、ユーザ動的属性値を取得できるか否かにより判断しても良い。
【0154】
(ステップS1003)ユーザ動的属性値取得部731は、1以上のユーザ動的属性値を取得する。ユーザ動的属性値取得部731は、例えば、受信された1以上のユーザ動的属性値を取得する。
【0155】
(ステップS1004)処理部73は、血糖値を取得する際に、ユーザ静的属性値を使用するか否かを判断する。ユーザ静的属性値を使用する場合はステップS1005に行き、ユーザ静的属性値を使用しない場合はステップS1006に行く。なお、ユーザ静的属性値を使用するか否かは予め決められていても良いし、ユーザ指示等に基づいても良いし、ユーザ静的属性値が格納されているか否かにより判断しても良い。
【0156】
(ステップS1005)ユーザ静的属性値取得部732は、1以上のユーザ静的属性値を取得する。ユーザ静的属性値取得部732は、例えば、受信されたユーザ識別子に対応する1以上のユーザ静的属性値をユーザ情報格納部712から取得する。
【0157】
(ステップS1006)処理部73は、血糖値を取得する際に、デバイス特性値を使用するか否かを判断する。デバイス特性値を使用する場合はステップS1007に行き、デバイス特性値を使用しない場合はステップS1008に行く。なお、デバイス特性値を使用するか否かは予め決められていても良いし、ユーザ指示等に基づいても良いし、デバイス特性値が格納されているか否かにより判断しても良い。
【0158】
(ステップS1007)デバイス特性値取得部733は、1以上のデバイス特性値を取得する。デバイス特性値取得部733は、例えば、受信されたユーザ識別子に対応する1以上のデバイス特性値をデバイス特性値格納部713から取得する。
【0159】
(ステップS1008)推定部734は、予測処理を行うためのデータを構成する。推定部734は、例えば、学習器と共に機械学習に与えるベクトルを取得する。
【0160】
(ステップS1009)推定部734は、ステップS1008で構成したデータと学習情報格納部711の学習情報とを用いて、予測処理を行い、血糖値を取得する。なお、予測処理の例については、上述した。
【0161】
(ステップS1010)血糖値出力部741は、ステップS1009で取得された血糖値を送信する。ステップS1001に戻る。血糖値出力部741は、例えば、NIRS装置8に血糖値を送信する。
【0162】
なお、
図10のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0163】
以上、本実施の形態によれば、2以上の各ユーザの適正な血糖値を非侵襲で取得できるサーバを提供できる。
【0164】
なお、本実施の形態におけるNIRS装置8を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得部と、前記1以上のNIRS情報を血糖値推定装置に送信するNIRS出力部と、前記1以上のNIRS情報の送信に応じて、血糖値を受信する血糖値受信部と、前記血糖値を出力する血糖値出力部として機能させるためのプログラムである。
【0165】
また、本実施の形態における血糖値推定装置7を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、近赤外光をユーザに対して発して得られる1以上のNIRS情報を受信するNIRS情報受付部と、前記NIRS取得部が取得した1以上のNIRS情報と前記学習情報とを用いて、推定される血糖値を取得する推定部と、前記推定部が取得した血糖値を送信する血糖値出力部として機能させるためのプログラムである。
【0166】
(実施の形態3)
本実施の形態において、学習情報を取得する学習装置を具備する学習システムについて説明する。
【0167】
図11は、本実施の形態における学習システムEのブロック図である。学習システムEは、1または2以上のNIRS装置6、および学習装置9を備える。なお、
図11のNIRS装置6(1)とNIRS装置6(2)とに示すように、NIRS装置6の機能は、2以上の装置で分担されても良い。NIRS装置6は、2以上の各ユーザが使用する装置であることが好適である。
【0168】
図12は、本実施の形態における学習システムEのブロック図である。学習システムEを構成するNIRS装置6は、発光部61、受光部62、NIRS取得部63、およびNIRS出力部64を備える。
【0169】
学習装置9は、学習格納部91、学習受付部92、および学習処理部93を備える。学習格納部91は、ユーザ情報格納部712、およびデバイス特性値格納部713を備える。
【0170】
学習受付部92は、NIRS情報受付部721を備える。学習処理部93は、ユーザ動的属性値取得部731、ユーザ静的属性値取得部732、デバイス特性値取得部733、実測血糖値取得部931、教師データ構成部932、学習部933、および蓄積部934を備える。
【0171】
NIRS装置6のNIRS取得部63は、1以上のNIRS情報を取得する。ここでのNIRS取得部63は、1以上のユーザ動的属性値、1以上のユーザ静的属性値、1以上のデバイス特性値をも取得しても良い。
【0172】
NIRS取得部63は、実測された血糖値(以下、適宜「実測血糖値」という)を取得しても良い。実測血糖値は、例えば、公知の血糖測定器により取得された情報である。ただし、実測血糖値の取得方法は問わない。なお、実測血糖値は、通常、正確な血糖値である。
【0173】
NIRS出力部64は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報を学習装置9に送信する。ここでのNIRS出力部64は、NIRS取得部63が取得した1以上のユーザ動的属性値、1以上のユーザ静的属性値、1以上のデバイス特性値をも学習装置9に送信しても良い。NIRS出力部64は、ユーザ識別子を学習装置9に送信しても良い。NIRS出力部64は、実測血糖値をも学習装置9に送信しても良い。
【0174】
学習装置9を構成する学習格納部91には、各種の情報が格納される。各種の情報は、例えば、例えば、ユーザ情報、デバイス特性値である。ユーザ情報およびデバイス特性値は、ユーザ識別子に対応付いていることは好適である。
【0175】
学習受付部92は、各種の情報を受信する。学習受付部92は、各種の情報をNIRS装置6から受信する。各種の情報は、例えば、1以上のNIRS情報である。各種の情報は、例えば、1以上のユーザ動的属性値、1以上のユーザ静的属性値、1以上のデバイス特性値、実測血糖値である。
【0176】
学習処理部93は、各種の処理を行う。各種の処理は、ユーザ動的属性値取得部731、ユーザ静的属性値取得部732、デバイス特性値取得部733、実測血糖値取得部931、教師データ構成部932、学習部933、蓄積部934が行う処理である。
【0177】
ユーザ動的属性値取得部731は、例えば、学習受付部92が受信した1以上のユーザ動的属性値を取得する。ユーザ動的属性値取得部731は、例えば、学習受付部92が受信したユーザ識別子と対になる1以上のユーザ動的属性値をユーザ情報格納部712から取得する。
【0178】
ユーザ静的属性値取得部732は、例えば、学習受付部92が受信した1以上のユーザ静的属性値を取得する。ユーザ静的属性値取得部732は、例えば、学習受付部92が受信したユーザ識別子と対になる1以上のユーザ静的属性値をユーザ情報格納部712から取得する。
【0179】
デバイス特性値取得部733は、例えば、学習受付部92が受信した1以上のデバイス特性値を取得する。デバイス特性値取得部733は、例えば、学習受付部92が受信したユーザ識別子と対になる1以上のデバイス特性値をデバイス特性値格納部713から取得する。
【0180】
実測血糖値取得部931は、ユーザの実測血糖値を取得する。また、実測血糖値取得部931は、例えば、学習受付部92が受信した実測血糖値を取得する。
【0181】
教師データ構成部932は、1以上のNIRS情報と実測血糖値とを用いて、教師データを構成する。
【0182】
教師データ構成部932は、1以上のNIRS情報と実測血糖値と、1以上のユーザ動的属性値と1以上のユーザ静的属性値と1以上のデバイス特性値のうちの1または2種類以上の情報を用いて教師データを構成することは好適である。
【0183】
教師データ構成部932は、通常、2以上の教師データを取得する。
【0184】
学習部933は、教師データ構成部932が取得した教師データを用いて、学習情報を取得する。学習部933は、通常、教師データ構成部932が取得した2以上の教師データを用いて、学習情報を取得する。
【0185】
学習部933は、以下の(1)から(3)のうちのいずれかの方法を用いて、学習情報を取得する。
(1)学習情報が学習器である場合
【0186】
学習部933は、教師データ構成部932が取得した2以上の教師データを機械学習の学習処理を行うモジュールに与え、当該モジュールを実行し、学習器を取得する。なお、機械学習の学習処理を行うアルゴリズムは、例えば、深層学習、決定木、ランダムフォレスト、SVR等が利用可能であるが、機械学習の種類は問わない。また、学習器は、1以上のNIRS情報等を入力として、血糖値を出力するための学習器である。機械学習の学習処理を行うモジュールも問わない。当該モジュールは、例えば、TensorFlowのライブラリの中の各種の関数、R言語のrandom forestのモジュール、tinySVM等である。
(2)学習情報が対応表である場合
【0187】
学習部933は、2以上の各教師データが有する説明変数の集合と、各教師データが有する実測血糖値との対応を示す対応情報を、教師データごとに取得する。そして、学習部933は、2以上の対応情報を有する対応表を構成する。なお、説明変数の集合は、1以上のNIRS情報を含む。説明変数の集合は、1以上のユーザ動的属性値と1以上のユーザ静的属性値と1以上のデバイス特性値のうちの1種類以上の情報を含むことは好適である。
(3)学習情報が演算式である場合
【0188】
学習部933は、2以上の各教師データが有する説明変数の集合を入力とし、各教師データが有する実測血糖値を出力とする演算式を取得する。学習部933は、例えば、回帰分析により演算式を取得する。学習部933は、例えば、重回帰分析により演算式を取得する。
【0189】
蓄積部934は、学習部933が取得した学習情報を蓄積する。学習情報の蓄積先は、例えば、学習格納部91であるが、他の装置でも良く、問わない。
【0190】
学習格納部91は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0191】
学習格納部91に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が学習格納部91で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が学習格納部91で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が学習格納部91で記憶されるようになってもよい。
【0192】
学習受付部92は、無線または有線の通信手段により実現され得る。
【0193】
学習処理部93、実測血糖値取得部931、教師データ構成部932、学習部933、および蓄積部934は、通常、プロセッサやメモリ等から実現され得る。学習処理部93等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU等であり、その種類は問わない。
【0194】
次に、学習システムEの動作例について説明する。まず、ここでのNIRS装置6の動作例について説明する。
【0195】
NIRS装置6の1以上の各発光部61は、近赤外光を発光する。そして、1以上の各受光部62は、近赤外光の反射光を受光する。次に、NIRS取得部63は、受光した信号から1以上のNIRS情報を取得する。また、NIRS取得部63は、例えば、1以上のユーザ動的属性値を取得する。また、NIRS取得部63は、実測血糖値を取得する。実測血糖値の取得方法は問わない。NIRS出力部64は、NIRS取得部63が取得した1以上のNIRS情報と実測血糖値とを学習装置9に渡す。ここで、NIRS出力部64は、1以上のユーザ動的属性値等を学習装置9に渡しても良い。なお、NIRS出力部64は、例えば、1以上のNIRS情報等を学習装置9に送信する。
【0196】
次に、学習装置9の動作例について、
図13のフローチャートを用いて説明する。
【0197】
(ステップS1301)NIRS情報受付部721は、NIRS情報等を受信したか否かを判断する。NIRS情報等を受信した場合はステップS1302に行き、受信しなかった場合はステップS1310に行く。なお、NIRS情報等は、1以上のNIRS情報と実測血糖値とを含む。NIRS情報等は、例えば、1以上のユーザ動的識別子、1以上のユーザ静的識別子、1以上のデバイス特性値を含んでも良い。
【0198】
(ステップS1302)処理部73は、血糖値を取得する際に、ユーザ動的属性値を使用するか否かを判断する。ユーザ動的属性値を使用する場合はステップS1303に行き、ユーザ動的属性値を使用しない場合はステップS1304に行く。なお、ユーザ動的属性値を使用するか否かは予め決められていても良いし、ユーザ指示等に基づいても良いし、ユーザ動的属性値を取得できるか否かにより判断しても良い。
【0199】
(ステップS1303)ユーザ動的属性値取得部731は、1以上のユーザ動的属性値を取得する。ユーザ動的属性値取得部731は、例えば、受信された1以上のユーザ動的属性値を取得する。
【0200】
(ステップS1304)処理部73は、血糖値を取得する際に、ユーザ静的属性値を使用するか否かを判断する。ユーザ静的属性値を使用する場合はステップS1305に行き、ユーザ静的属性値を使用しない場合はステップS1306に行く。なお、ユーザ静的属性値を使用するか否かは予め決められていても良いし、ユーザ指示等に基づいても良いし、ユーザ静的属性値が格納されているか否かにより判断しても良い。
【0201】
(ステップS1305)ユーザ静的属性値取得部732は、1以上のユーザ静的属性値を取得する。ユーザ静的属性値取得部732は、例えば、受信されたユーザ識別子に対応する1以上のユーザ静的属性値をユーザ情報格納部712から取得する。
【0202】
(ステップS1306)処理部73は、血糖値を取得する際に、デバイス特性値を使用するか否かを判断する。デバイス特性値を使用する場合はステップS1307に行き、デバイス特性値を使用しない場合はステップS1308に行く。なお、デバイス特性値を使用するか否かは予め決められていても良いし、ユーザ指示等に基づいても良いし、デバイス特性値が格納されているか否かにより判断しても良い。
【0203】
(ステップS1307)デバイス特性値取得部733は、1以上のデバイス特性値を取得する。デバイス特性値取得部733は、例えば、受信されたユーザ識別子に対応する1以上のデバイス特性値をデバイス特性値格納部713から取得する。
【0204】
(ステップS1308)実測血糖値取得部931は、受信された実測血糖値を取得する。また、教師データ構成部932は、受信された1以上のNIRS情報を取得する。また、教師データ構成部932は、1以上のNIRS情報と実測血糖値とを含む情報を用いて、教師データを構成する。
【0205】
(ステップS1309)教師データ構成部932は、ステップS1308で構成した教師データを学習格納部91に蓄積する。ステップS1301に戻る。
【0206】
(ステップS1310)学習部933は、学習処理を開始するか否かを判断する。学習処理を開始する場合はステップS1311に行き、学習処理を開始しない場合はステップS1301に戻る。なお、学習部933は、例えば、ユーザからの指示の受け付けにより、学習処理を開始すると判断する。学習部933は、例えば、閾値以上の教師データが学習格納部91に蓄積された場合に、学習処理を開始すると判断する。なお、学習処理を開始するための条件は問わない。
【0207】
(ステップS1311)学習部933は、学習格納部91に蓄積された2以上の教師データを取得する。学習部933は、当該2以上の教師データを用いて、学習処理を行い、学習情報を取得する。
【0208】
(ステップS1312)蓄積部934は、ステップS1311で取得された学習情報を蓄積する。ステップS1301に戻る。
【0209】
なお、
図13のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0210】
以下、本実施の形態における学習システムEの具体的な動作について、
図14を用いて説明する。学習システムEの概念図は
図12である。
【0211】
被験者の手首の箇所に配置されたNIRS装置6は、850nm、1200nm、および1300nmの各波長の近赤外光を発光し、その反射光を受光する。そして、NIRS装置6は、各波長に対応する反射光の強度を時系列で取得する(
図14の(1))。また、NIRS装置6は、NIRS装置6に含まれる温度センサにより、ユーザ動的属性値の一例である肌温度の時系列の情報も取得する(
図14の(1))。また、NIRS装置6は、実測血糖値の時系列の情報も取得する。そして、NIRS装置6は、時系列の各時刻のセンサからの入力(各波長に対応する反射光の強度,肌温度)と同時刻の実測血糖値とを対応付けた教師データを、多数取得する(
図14の(2))。そして、NIRS装置6は、多数の教師データを学習装置9に送信する。
【0212】
次に、学習装置9は、多数の教師データを受信し、蓄積する。そして、閾値以上の教師データが蓄積された場合に、当該多数の教師データを、機械学習の学習モジュールに与え、当該学習モジュールを実行し、学習器を取得し、蓄積する。
【0213】
以上、本実施の形態によれば、人の適正な血糖値を非侵襲に取得するための学習情報を得ることができる。
【0214】
なお、本実施の形態において、NIRS装置6と学習装置9とは一体化していても良い。かかる場合、学習装置9は、ユーザの人体に近赤外光を発光する1以上の発光部と、前記1以上の各発光部に対応し、前記1以上の各発光部が発光した近赤外光の反射光を受光する1以上の受光部と、前記ユーザの血糖値を取得する血糖値取得部と、前記1以上の各受光部が受光した反射光を用いて、反射光に関する1以上のNIRS情報を取得するNIRS情報取得部と、前記1以上のNIRS情報と前記血糖値とを用いて、教師データを構成する教師データ構成部と、前記教師データを用いて、学習情報を取得する学習部と、前記学習情報を蓄積する蓄積部とを具備する学習装置である。
【0215】
また、本実施の形態における学習装置9を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、1以上の発光部から発光された近赤外光の反射光であり、1以上の受光部が受光した反射光を用いて、当該反射光に関する1以上のNIRS情報を取得するNIRS取得部と、ユーザの血糖値を取得する実測血糖値取得部と、前記1以上のNIRS情報と前記血糖値とを用いて、教師データを構成する教師データ構成部と、前記教師データを用いて、学習情報を取得する学習部と、前記学習情報を蓄積する蓄積部として機能させるためのプログラムである。
【0216】
また、
図15は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した種々の実施の形態の血糖値推定装置7、学習装置9を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。
図15は、このコンピュータシステム300の概観図であり、
図16は、システム300のブロック図である。
【0217】
図15において、コンピュータシステム300は、CD-ROMドライブを含むコンピュータ301と、キーボード302と、マウス303と、モニタ304と、マイク305とを含む。
【0218】
図16において、コンピュータ301は、CD-ROMドライブ3012に加えて、MPU3013と、CD-ROMドライブ3012等に接続されたバス3014と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM3015と、MPU3013に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM3016と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク3017とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ301は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでも良い。
【0219】
コンピュータシステム300に、上述した実施の形態の血糖値推定装置7、学習装置9等の機能を実行させるプログラムは、CD-ROM3101に記憶されて、CD-ROMドライブ3012に挿入され、さらにハードディスク3017に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ301に送信され、ハードディスク3017に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM3016にロードされる。プログラムは、CD-ROM3101またはネットワークから直接、ロードされても良い。
【0220】
プログラムは、コンピュータ301に、上述した実施の形態の血糖値推定装置7等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム300がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0221】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信するステップや、情報を受信するステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0222】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。つまり、血糖値推定装置7、学習装置9は、スタンドアロンの装置であっても良く、2以上の装置から構成されても良い。
【0223】
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
【0224】
また、上記各実施の形態において、各処理は、単一の装置によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0225】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0226】
以上のように、本発明にかかる血糖値推定装置は、人の適正な血糖値を非侵襲で簡単に取得できるという効果を有し、血糖値推定装置等として有用である。
【符号の説明】
【0227】
C、D 血糖値推定システム
E 学習システム
6、8 NIRS装置
7 血糖値推定装置
9 学習装置
61 発光部
62 受光部
63 NIRS取得部
64 NIRS出力部
71 格納部
72 受付部
73 処理部
74 出力部
81 血糖値受信部
91 学習格納部
92 学習受付部
93 学習処理部
711 学習情報格納部
712 ユーザ情報格納部
713 デバイス特性値格納部
721 NIRS情報受付部
731 ユーザ動的属性値取得部
732 ユーザ静的属性値取得部
733 デバイス特性値取得部
734 推定部
741 血糖値出力部
760n、850n、1200n、1300n 略
931 実測血糖値取得部
932 教師データ構成部
933 学習部
934 蓄積部