(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083422
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】単分散ラテックス
(51)【国際特許分類】
C08F 2/24 20060101AFI20220527BHJP
C08F 2/38 20060101ALI20220527BHJP
C08F 220/06 20060101ALI20220527BHJP
C08F 212/14 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
C08F2/24 A
C08F2/38
C08F220/06
C08F212/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189365
(22)【出願日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】17/102,507
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/230,039
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】セペール・エム.・テフラニ
(72)【発明者】
【氏名】マルセル・ピー.・ブレトン
【テーマコード(参考)】
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4J011AA05
4J011KA06
4J011KA29
4J011KB08
4J011KB29
4J011NA25
4J011NB04
4J100AB02P
4J100AB07S
4J100AJ02R
4J100AL03Q
4J100AL08T
4J100BA08T
4J100BA56S
4J100EA07
4J100EA09
4J100FA04
4J100FA06
4J100FA20
4J100JA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ラテックスを形成する方法、および形成されたラテックスを提供する。
【解決手段】方法は、水、モノマー、酸性モノマー、多官能性モノマー、第1の反応性界面活性剤、及び連鎖移動剤を含むモノマーエマルションを、水、第2の反応性界面活性剤、及び開始剤を含む反応性界面活性剤溶液に、一定期間にわたって供給速度で添加することを含み、それによってモノマーエマルションのモノマーが重合反応を経てラテックス中に樹脂粒子を形成し、反応性界面活性剤溶液は、第2の反応性界面活性剤以外のモノマーを含まず、反応性界面活性剤溶液は、樹脂シードを含まず、モノマーエマルションは、樹脂シードを含まない、方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラテックスを形成するための方法であって、
水、モノマー、酸性モノマー、多官能性モノマー、第1の反応性界面活性剤、及び連鎖移動剤を含むモノマーエマルションを、水、第2の反応性界面活性剤、及び開始剤を含む反応性界面活性剤溶液に、一定期間にわたって供給速度で添加することを含み、それによって前記モノマーエマルションの前記モノマーが重合反応を経てラテックス中に樹脂粒子を形成し、
前記反応性界面活性剤溶液が、前記第2の反応性界面活性剤以外のモノマーを含まず、前記反応性界面活性剤溶液が、樹脂シードを含まず、前記モノマーエマルションが、前記樹脂シードを含まない、方法。
【請求項2】
前記供給速度が、前記重合反応がモノマー欠乏条件下で生じるように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モノマーエマルションが、少なくとも約2単位互いに異なるpKa値を有する2つの異なる酸性モノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記2つの異なる酸性モノマーが、約0.1~約10の範囲の、より高いpKaを有する酸性モノマー対より低いpKaを有する酸性モノマーの重量比で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記2つの異なる酸性モノマーが、メタアクリル酸及びスルホン酸モノマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スルホン酸モノマーが、スチレンスルホン酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記モノマーエマルションが、界面活性剤を含まず、前記反応性界面活性剤溶液が、界面活性剤を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記モノマーエマルションが、スチレン、アルキルアクリレート、メタアクリル酸、スルホン酸モノマー、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、アニオン性エーテル硫酸塩反応性界面活性剤、及び前記連鎖移動剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記スルホン酸モノマーが、スチレンスルホン酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モノマーエマルションが、スチレン、アルキルアクリレート、メタアクリル酸、ポリ(プロピレングリコール)メタアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、アニオン性エーテル硫酸塩反応性界面活性剤、及び前記連鎖移動剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記モノマーエマルション及び前記反応性界面活性剤溶液を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記開始剤を含む開始剤溶液を形成することと、前記モノマーエマルションを添加する前に、前記反応性界面活性剤溶液に前記開始剤溶液を添加することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記樹脂粒子が、約150nm以下のD(z、ave)、約200nm未満のD(v、90)、及び約0.050以下の多分散指数(PDI)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記樹脂粒子が、約120nm以下のD(z、ave)、約150nm未満のD(v、90)、及び約0.025以下のPDIを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記樹脂粒子が、前記ラテックスを乾燥させると、3Dフォトニック結晶を形成するために結晶化する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
モノマー、酸性モノマー、多官能性モノマー、及び反応性界面活性剤を含む反応物質の重合生成物を含む樹脂粒子を含むラテックスであって、前記樹脂粒子が、約150nm以下のD(z、ave)、約200nm未満のD(v、90)、及び約0.050以下のPDIを有する、ラテックス。
【請求項17】
前記反応物質が、前記モノマー、少なくとも約2単位互いに異なるpKa値を有する2つの異なる酸性モノマー、前記多官能性モノマー、及び前記反応性界面活性剤を含む、請求項16に記載のラテックス。
【請求項18】
前記2つの異なる酸性モノマーが、約0.1~約10の範囲の、より高いpKaを有する酸性モノマー対より低いpKaを有する酸性モノマーの重量比で存在する、請求項17に記載のラテックス。
【請求項19】
前記2つの異なる酸性モノマーが、メタアクリル酸及びスルホン酸モノマーである、請求項17に記載のラテックス。
【請求項20】
前記スルホン酸モノマーが、スチレンスルホン酸である、請求項19に記載のラテックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年11月24日に出願された米国特許出願第17/102,507号の一部継続出願であり、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
水性インクジェットインク組成物のラテックスは、しばしば、水中の疎水性モノマーのエマルション重合又はマイクロエマルション重合によって合成される。ラテックスの樹脂粒子を小さくし、コロイド安定性にするには、ドデシルスルホン酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfonate、SDS)などの多量の界面活性剤を使用することが多い。得られるラテックス中の過剰な界面活性剤は、発泡及び表面張力の低下など、水性インクジェットインク組成物の配合に問題を引き起こす。過剰な界面活性剤の除去はまた、費用、複雑性、時間を追加し、コロイド不安定性をもたらす。加えて、得られるラテックスの樹脂粒子のサイズ分布は一般的に広範である。少数の大きな樹脂粒子であっても、ラテックスから形成された水性インクジェットインク組成物の印刷中に粒子沈降及びノズル詰まりを誘発することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
水性インクジェットインク組成物は、一般に、水、水分散性顔料、親水性溶媒、及び結合樹脂を含む。結合樹脂は、上記のようなある特定のラテックスによって提供されてもよい。ラテックスは、水性インクジェットインク組成物から印刷された画像中の着色剤を保護するために、水透過性フィルムを形成することができるので有用である。しかしながら、水性インクジェットインク組成物へのラテックスの添加は、複雑さのレベルを課し、ジェット不安定性、ジェットレイテンシー、及びノズル詰まりなどの印刷挙動を損なう傾向がある。水性インクジェットインク組成物におけるラテックスの使用はまた、組成物の貯蔵寿命を低減する。
【0004】
本開示は、単分散ラテックスを形成するための方法を提供する。方法の実施形態は、小さなサイズ及び狭いサイズ分布(例えば、D(z、ave)≦150nm、D(v、90)<200及びPDI≦0.05)を有する樹脂粒子を達成することができる。これは、少なくとも部分的に、ラテックスから形成された水性インクジェットインク組成物の大いに改善された安定性及び印刷性能に寄与すると考えられる。単分散ラテックス及び水性インクジェットインク組成物もまた、本開示により包含される。
【0005】
ラテックスを形成する方法が提供される。一実施形態では、このような方法は、水、モノマー、酸性モノマー、多官能性モノマー、第1の反応性界面活性剤、及び連鎖移動剤を含むモノマーエマルションを、水、第2の反応性界面活性剤、及び開始剤を含む反応性界面活性剤溶液に、一定期間にわたって供給速度で添加することを含み、それによってモノマーエマルションのモノマーが重合反応を経てラテックス中に樹脂粒子を形成する。反応性界面活性剤溶液は、第2の反応性界面活性剤以外のモノマーを含まず、反応性界面活性剤溶液は、樹脂シードを含まず、モノマーエマルションは、樹脂シードを含まない。
【0006】
ラテックスもまた提供される。実施形態では、このようなラテックスは、モノマー、酸性モノマー、多官能性モノマー、及び反応性界面活性剤を含む重合生成物を含む樹脂粒子を含み、樹脂粒子は、約150nm以下のD(z、ave)、約200nm未満のD(v、90)、及び約0.050以下のPDIを有する。
【0007】
本開示の他の主要な特徴及び利点は、以下の図面、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を検討すると当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下、本開示の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【0009】
【
図1】
図1は、本方法の例示的な実施形態に従って形成された単分散ラテックスの樹脂粒子のサイズ分布を示す。
【0010】
【
図2】
図2は、本方法の例示的な実施形態に従って形成された別の単分散ラテックスの樹脂粒子のサイズ分布を示す。
【0011】
【
図3】
図3は、本方法の例示的な実施形態に従って形成された乾燥した単分散ラテックスの走査型透過電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope、STEM)画像を示す。この画像は、局所結晶化を示し、三次元(three-dimensional、3D)フォトニック結晶を形成する能力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
単分散ラテックス
【0013】
一態様では、単分散ラテックスを形成する方法が提供される。ラテックスは、本方法によるある特定のモノマーから合成された樹脂粒子を含み、これは以下で更に説明される。以下のモノマー及びこれらの組み合わせを使用することができる(例えば、「(メタ)アクリレート」のような「(メタ)」の使用は、アクリレート及びメタアクリレートの両方を指す):スチレン;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ドデシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-クロロエチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、及びブチルメタアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;β-カルボキシエチルアクリレート(β-CEA)、フェニルアクリレート、メチルアルファクロロアクリレート;ブタジエン;イソプレン;メタアクリロニトリル;アクリロニトリル;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、及びビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルベンゾエート、及びビニルブチレートなどのビニルエステル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、及びメチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン;塩化ビニリデン及びクロロフッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;N-ビニルインドール;N-ビニルピロリドン;メタアクリレート;アクリルアミド;メタアクリルアミド;ビニルピリジン;ビニルピロリドン;ビニル-N-メチルピリジニウムクロリド;ビニルナフタレン;P-クロロスチレン;塩化ビニル;臭化ビニル;フッ化ビニル;エチレン;プロピレン;ブチレン;並びにイソブチレン。実施形態では、ラテックスの樹脂粒子を形成するために使用されるモノマーは、スチレン及びアルキルアクリレートを含む。
【0014】
酸性モノマーは、(メタ)アクリル酸モノマー、スルホン酸モノマー、スルホン酸塩モノマー、及びこれらの組み合わせを含む、単分散ラテックスの樹脂粒子を形成するために使用され得る。例示的酸性モノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル酸、ジメチルアクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホネート、シアノアクリル酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、エチリジン酢酸、プロピリジン酢酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、スチリルアクリル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、ビニル安息香酸、N-ビニルスクシンアミジン酸、メサコン酸、メタアクロイルアラニン、アクリロイルヒドロキシグリシン、スルホエチルメタアクリル酸、スルホプロピルアクリル酸、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリル酸、2-メタアクリロイルオキシメタン-1-スルホン酸、3-メタアクリロイルオキシプロパン-1-スルホン酸、3-(ビニルオキシ)プロパン-1-スルホン酸、エチレンスルホン酸、ビニル硫酸、4-ビニルフェニル硫酸、エチレンホスホン酸、ビニルリン酸、ビニル安息香酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの酸性モノマーはまた、その塩、例えば、スルホン酸の塩も包含する。
【0015】
実施形態では、2つの異なる酸性モノマーは、各々が異なるpKa値を有する単分散ラテックスの樹脂粒子を形成するために使用される。2つの異なる酸性モノマーのpKa値は、少なくとも2単位、少なくとも3単位、少なくとも4単位、又は少なくとも5単位互いに異なっていてもよい。実施形態では、2つの異なる酸性モノマーは、0.1~10の範囲の重量比で樹脂粒子を形成するために使用されるモノマーエマルション中に存在する。これは、0.5~8及び1~6の範囲を含む。実施形態では、樹脂粒子を形成するために使用される2つの異なる種類の酸性モノマーは、メタアクリル酸及びスルホン酸を含む。
【0016】
親水性モノマーは、単分散ラテックスの樹脂粒子を形成するために使用され得る。用語「親水性モノマー」は、上に記載される「酸性モノマー」と区別される。すなわち、選択された酸性モノマーはまた親水性であってもよいが、これらの用語は、異なる、化学的に別々の種のモノマーを指す。親水性モノマーは、概して、単官能性であり、すなわち、単一の重合性基を含む。例示的な親水性モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート、及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、200g/mol~2000g/molの分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、及び200g/mol~2000g/molの分子量を有するポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。実施形態では、樹脂粒子を形成するために使用される親水性モノマーは、ポリ(プロピレングリコール)メタアクリレートを含む。
【0017】
多官能性モノマーは、単分散ラテックスの樹脂粒子、すなわち、2つ以上の重合性基(例えば、2つ、3つ、4つ)を含むものを形成するために使用され得る。これらは、樹脂粒子内の架橋を促進するため有用である。例示的な多官能性モノマーとしては、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、例えば、200g/mol~2000g/molの分子量を有するポリ(エチレングリコール)ジアクリレートなどの二官能性モノマーが挙げられる。これらの二官能性モノマーはまた、上記のように親水性であるとみなされてもよい。他の親水性二官能性モノマーとしては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどのエーテル結合を含むアルキル鎖と結合したジアクリレート化合物、及びこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物、ポリオキシエチレン(2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレートなどの芳香族基及びエーテル結合を含む鎖と結合したジアクリレート化合物、並びにこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物が挙げられる。他の例示的な二官能性モノマーとしては、イソプレン及びブタジエンなどのジエン化合物、ジビニルベンゼン及びジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,10-ドデカンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの、アルキル鎖と結合したジアクリレート化合物、並びにこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物が挙げられる。多官能性モノマーには、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレートなど、及びこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物が含まれる。
【0018】
反応性界面活性剤は、単分散ラテックスの樹脂粒子を形成するために使用され得る。好適な反応性界面活性剤は、それらが樹脂粒子に組み込まれるような重合性(及びしたがって反応性)基を含む。例示的な反応性界面活性剤としては、Hitenol BC10-25などの市販のHitenol BCシリーズのものなどのアニオン性エーテル硫酸塩反応性界面活性剤が挙げられる。他の好適な反応性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、Hitenol BC-10、BC-20、BC-2020、BC-30;Hitenol AR-10、AR-20、AR10-25、AR-2020を含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム;Noigen RN-10、RN-20、RN-30、RN-40、RN-5065を含む非イオン性ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;及びE-sperse RX-201、RX-202、RX-203、RS-1596、RS-1616、RS-1617、RS-1618、RS-1684を含むEthoxから入手可能な反応性界面活性剤が挙げられる。
【0019】
連鎖移動剤は、単分散ラテックスを形成するために使用され得る。連鎖移動剤は、メルカプタン又はチオールであり得る。好適な連鎖移動剤としては、n-ドデシルメルカプタン(n-dodecylmercaptan、NDM)、n-ドデカンチオールド(n-dodecanethiol、DDT)、tert-ドデシルメルカプタン、1-ブタンチオール、2-ブタンチオール、オクタンチオール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。四臭化炭素、四塩化炭素、及びこれらの組み合わせなどのハロゲン化炭素は、連鎖移動剤として使用され得る。
【0020】
単分散ラテックスを形成する際、上に記載されるモノマーのうちのいずれかを、溶媒を含むモノマーエマルション中で使用することができる。水は、溶媒として一般に使用されるが、水溶性又は水混和性有機溶媒(例えば、エタノール)も含まれ得る。モノマーの種類及びそれらの相対量は、樹脂粒子/ラテックスの特性を調整するために選択されてもよい。しかしながら、小さなサイズ及び狭いサイズ分布を有する樹脂粒子を達成するために、以下の量が有用であることが見出されている。
【0021】
酸性モノマーは、1.5重量%~15重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用され得る。(ここで、重量%は、(酸性モノマーの総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す)。この範囲は、5重量%~10重量%を含む。上記のように、異なるpKa値を有する2つの異なる種類の酸性モノマーを、上に記載される重量比で使用してもよい。親水性モノマーは、0重量%~5重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用され得る。(重量%は、酸性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)この範囲は、0.1重量%~5重量%、及び1重量%~5重量%を含む。二官能性モノマーを含む多官能性モノマーは、0.01~5重量%、0.1重量%~5重量%、又は0.1重量%~1重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用され得る。(重量%は、酸性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)他のモノマー(例えば、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート)は、70重量%~97重量%の範囲の量で存在してもよい。(重量%は、酸性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)この範囲は、75重量%~90重量%を含む。
【0022】
合わせて、酸性モノマー、親水性モノマー、及び多官能性モノマー(例えば、親水性多官能性モノマー)の量は、1.5重量%~12重量%の範囲でモノマーエマルション中に存在してもよい。(ここで、重量%は、(酸性モノマー、親水性モノマー、及び多官能性モノマーの総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す。)この範囲は、2重量%~12重量%、及び5重量%~10重量%を含む。
【0023】
反応性界面活性剤は、1.5重量%~6.5重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用され得る。(ここで、重量%は、(反応性界面活性剤の総重量)/(反応性界面活性剤モノマーを含むモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す。)この範囲は、1.5重量%~5重量%を含む。
【0024】
連鎖移動剤は、モノマーエマルション中に存在してもよく、様々な好適な量、例えば、0.25重量%~2.5重量%で使用されてもよい。(ここで、重量%は、(連鎖移動剤の総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す。)
【0025】
実施形態では、モノマーエマルションは、溶媒(例えば、水)、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、酸性モノマー、多官能性モノマー(例えば、二官能性モノマー)、反応性界面活性剤、及び連鎖移動剤を含む(又はこれらからなる)。このような実施形態では、1つの種類又は異なる種類の様々なモノマーが使用され得る。同様に、1つの種類若しくは異なる種類の溶媒及び/又は1つの種類若しくは異なる種類の連鎖移動剤が使用され得る。実施形態では、モノマーエマルションは、溶媒(例えば、水)、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、メタアクリル酸、親水性モノマー(例えば、ポリ(プロピレングリコール)メタアクリレート)、多官能性モノマー(例えば、二官能性モノマー)、反応性界面活性剤、及び連鎖移動剤を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、モノマーエマルションは、溶媒(例えば、水)、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、2つの異なる種類の酸性モノマー(例えば、メタアクリル酸及びスルホン酸)、二官能性モノマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート)、反応性界面活性剤、及び連鎖移動剤を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態のうちのいずれかでは、上に記載されるように、様々なモノマー及び連鎖移動剤の量が使用され得る。残りは、溶媒からなっていてもよい。
【0026】
少なくとも実施形態では、モノマーエマルションは、界面活性剤を有さない(すなわち、含まない)。ここで、「界面活性剤」は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム;ジアルキルベンゼンアルキル硝酸塩;パルミチン酸;アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸塩;及び分岐状ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの非反応性非重合性アニオン性界面活性剤を指す。「界面活性剤」はまた、アルキルベンジルジメチル塩化アンモニウム、ジアルキルベンゼンアルキル塩化アンモニウム、ラウリルトリメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルジメチル臭化アンモニウム、塩化ベンザルコニウム、セチル臭化ピリジニウム、トリメチル臭化アンモニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、及びドデシルベンジルトリエチル塩化アンモニウムなどの非反応性非重合性カチオン性界面活性剤を指す。「界面活性剤」はまた、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、並びにポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーなどの非反応性非重合性非イオン性界面活性剤を指す。したがって、モノマーエマルションは、これらの界面活性剤のいずれも有さない場合がある(すなわち、含まない)。
【0027】
単分散ラテックスを形成するための本方法は、上に記載されるモノマーエマルションのうちのいずれかを、一定期間にわたって供給速度で反応性界面活性剤溶液に添加することを含む。反応性界面活性剤溶液は、溶媒及び反応性界面活性剤を含む。上に記載される溶媒のうちのいずれか及び反応性界面活性剤のうちのいずれかが使用され得る。1つの種類又は異なる種類の溶媒及び/又は反応性界面活性剤が使用され得る。反応性界面活性剤溶液中の反応性界面活性剤は、モノマーエマルション中に存在し得る反応性界面活性剤と比較して、同じ種類又は異なる種類であってもよい。反応性界面活性剤溶液は、緩衝液を更に含んでもよい。重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び水酸化アンモニウムなどの様々な緩衝液が使用され得る。反応性界面活性剤は、1重量%~10重量%の範囲の量で使用され得る。(ここで、重量%は、(反応性界面活性剤の総重量)/(反応性界面活性剤溶液の総重量)*100を指す。)この範囲は、2重量%~5重量%を含む。緩衝液は、0.25重量%~2.5重量%の範囲の量で使用され得る。(重量%は、上に記載されるものと同様の意味を有する。)
【0028】
反応性界面活性剤溶液中に開始剤が含まれ得る。代替的に、開始剤及び上に記載される溶媒のうちのいずれかを含む別個の開始剤溶液が形成されてもよく、別個の開始剤溶液が反応性界面活性剤溶液に添加される。別個の開始剤溶液は、モノマーエマルションを添加する前に添加されてもよい。1つの種類又は異なる種類の溶媒及び/又は開始剤が使用され得る。好適な開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate、APS)、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウムなどの水溶性開始剤、並びにVAZO 64(商標)、2-メチル2-2’-アゾビスプロパンニトリル、VAZO 88(商標)、2-2’-アゾビスイソブチルアミド無水物などのVazo過酸化物を含む有機過酸化物及びアゾ化合物を含む有機可溶性開始剤、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。使用され得る他の水溶性開始剤としては、アゾアミジン化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-アミノ-フェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-2-プロペニルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシ-エチル)2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロ-リド、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジ-ヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。開始剤は、0.1重量%~2.5重量%の範囲の量で使用され得る。(ここで、重量%は、(開始剤の総重量)/(反応性界面活性剤溶液の総重量)*100を指す。)
【0029】
実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、溶媒(例えば、水)、反応性界面活性剤、並びに任意選択的に開始剤及び緩衝液のうちの1つ以上を含む(又はこれらからなる)。このような実施形態では、1つの種類又は異なる種類のこれらの構成成分が使用され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、上に記載されるように、反応性界面活性剤、開始剤、及び緩衝液の量が使用され得る。残りは、溶媒からなっていてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、上に記載される界面活性剤のうちのいずれも有さない(すなわち、含まない)。少なくともいくつかの実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、溶液中に存在する反応性界面活性剤モノマー以外の任意のモノマーを有さない(すなわち、含まない)。
【0030】
反応性界面活性剤溶液へのモノマーエマルションの添加は、不活性ガス(例えば、窒素)下で、及び高温(例えば、50℃~90℃の範囲の温度などの室温よりも高い)で実施され得る。これは、モノマーエマルションを添加する前に、不活性ガスでパージし、反応性界面活性剤溶液を加熱し、モノマーエマルションの添加中に継続することによって達成され得る。
【0031】
上記のように、モノマーエマルションは、一定期間にわたって供給速度で添加される。開始剤の存在下で、モノマーエマルションのモノマーは、重合反応を経て、単分散ラテックスの樹脂粒子を形成する。供給速度は、重合が「モノマー欠乏」条件下で実施されるように十分に遅い。これは、供給速度が、重合反応の速度、例えば、スチレンとアクリレートモノマーとの間の速度以下であることを意味する。例示的な供給速度としては、1Lの総反応体積に基づいて、1mL/分~10mL/分の範囲のものが挙げられる。例示的な期間は、60分~600分の範囲のものを含む。モノマーエマルションを添加した後、重合を更なる期間継続させることができる。例示的な追加の期間としては、1時間~18時間の範囲の時間が挙げられる。モノマーエマルションの添加及び添加後の重合は、不活性ガス下及び高温で実施され得る。任意選択的に、形成されるラテックスは、凝固、溶解、及び沈殿、濾過、洗浄、又は乾燥などの標準的な技術によって処理され得る。例えば、乾燥によって、溶媒/水がラテックスから除去された場合、乾燥されたラテックスは、以下に記載される水性インクジェットインク組成物を形成するために使用され得る樹脂粒子を依然として含む。したがって、開示される水性インクジェットインク組成物のうちのいずれかは、開示されるラテックスのうちのいずれかの樹脂粒子を単に含み得る。
【0032】
少なくとも実施形態では、本方法は、単分散ラテックスの樹脂粒子を形成する際の樹脂シードの使用を伴わないことに留意されたい。これは、重合を開始及び安定化するために樹脂シードを使用する既存のプロセスとは対照的である。したがって、このような実施形態では、モノマーエマルションも反応性界面活性剤溶液もこのような樹脂シードを含まない。樹脂粒子を形成する重合反応は、このような樹脂シードを伴わない。同様に、少なくとも実施形態では、本方法は、上に記載される界面活性剤のうちのいずれか(反応性界面活性剤モノマー以外)の使用を伴わない。
【0033】
本方法は、モノマーエマルションを形成すること、反応性界面活性剤溶液を形成すること、及び/又は開始剤溶液を形成することを更に含み得る。各々は、所望の構成成分を所望の量で組み合わせて、混合することによって形成され得る。
【0034】
上記のように、本方法によって形成される単分散ラテックスは、小さなサイズ及び狭い分布を有する樹脂粒子を含む。樹脂粒子の組成は、モノマーの選択及びそれらの相対量、並びに上に記載される重合生成物を生成する選択されたモノマー間の重合反応に依存する。したがって、様々なモノマーの組み合わせを含む様々な重合生成物に基づくものを含む、様々な組成が上の説明に基づいて包含される。しかしながら、実施形態では、樹脂粒子は、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、酸性モノマー、多官能性モノマー(例えば、二官能性モノマー)、及び反応性界面活性剤を含む反応物質の重合生成物(例えば、コポリマー)を含む(又はこれらからなる)。このような実施形態では、1つの種類又は異なる種類の様々なモノマーが存在し得る。実施形態では、樹脂粒子は、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、メタアクリル酸、親水性モノマー(例えば、ポリ(プロピレングリコール)メタアクリレート)、多官能性モノマー(例えば、二官能性モノマー)、及び反応性界面活性剤を含む反応物質の重合生成物を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、樹脂粒子は、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、2つの異なる種類の酸性モノマー(例えば、メタアクリル酸及びスルホン酸)、二官能性モノマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート)、及び反応性界面活性剤を含む反応物質の重合生成物を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態の各々において、開始剤は、樹脂粒子中の各ポリマー鎖の開始及び末端に組み込まれてもよい。これらの実施形態の各々では、樹脂は、多官能性/二官能性モノマーに起因して架橋され得る。これらの実施形態の各々では、モノマーは、上に記載される量で樹脂粒子中に存在し得る。
【0035】
本発明の単分散ラテックスの樹脂粒子は、それらのサイズによって特徴付けることができる。サイズは、Malvern Nano Zetasizerなどのナノ粒子分析器を使用して測定したD-(z、ave)値として報告され得る。実施形態では、D-(z、ave)は、150nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、又は60nm~150nm若しくは60nm~100nmの範囲である。
【0036】
同様に、本発明の単分散ラテックスの樹脂粒子は、それらのサイズ分布によって特徴付けることができる。サイズ分布は、Malvern Nano-ZSなどのナノ粒子分析器を使用して測定した多分散指数(PDI)として報告され得る。実施形態では、PDIは、0.1以下、0.050以下、0.025以下、0.010以下、0.005以下、又は0.001~0.1の範囲である。
【0037】
小さなサイズ及び狭いサイズ分布により、本発明の単分散ラテックスの樹脂粒子は、大きな粒子を有さない(すなわち、含まない)ことを更に特徴とすることができる。これは、200nm未満、175nm未満、又は150nm未満のD(v、90)値によって証明され得る。
【0038】
本発明の単分散ラテックスの小さなサイズ及び狭いサイズ分布は、ラテックスから溶媒を除去(すなわち、乾燥)したときに、三次元(3D)フォトニック結晶を形成する能力によって更に証明され得る。このような結晶形成は、樹脂粒子の均一なサイズのために可能である。局所結晶化及び3Dフォトニック結晶を形成する能力は、走査型トンネル電子顕微鏡(STEM)を使用して確認することができる。(
図3を参照されたい。)調節された加熱を使用して、3Dフォトニック結晶を達成することができる。
【0039】
水性インクジェットインク組成物
【0040】
上に記載される単分散ラテックスのうちのいずれも、水性インクジェットインク組成物を提供するために使用されてもよい。上記のように、ラテックスの樹脂粒子の小さなサイズ及び狭い分布は、少なくとも部分的に、水性インクジェットインク組成物の大幅に改善された安定性及び印刷性能に寄与すると考えられる。ラテックスは、1重量%~10重量%の範囲の量で、水性インクジェットインク組成物中に存在し得る。(ここで、重量%は、(乾燥ラテックスの総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)この範囲は、5重量%~10重量%を含む。以下に記載される水性インクジェットインク組成物を形成するために、様々な他の構成成分を使用することができる。
【0041】
溶媒系
【0042】
水性インクジェットインク組成物は、水に基づく溶媒系を含む。溶媒系は、水のみからなることができるか、若しくは水と水溶性及び/又は水混和性有機溶媒との混合物を含むことができる。水溶性及び水混和性有機溶媒は、本明細書では、共溶媒又は保湿剤と称され得る。好適なこのような有機溶媒としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、グリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、長鎖アルコール、一級脂肪族アルコール、二級脂肪族アルコール、1,2-アルコール、1,3-アルコール、1,5-アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、メトキシル化グリセロール、及びエトキシル化グリセロールが挙げられる。例示的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、3-メトキシブタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及び2,4-ヘプタンジオールが挙げられる。他の好適な溶媒としては、アミド、エーテル、尿素、置換尿素、例えば、チオ尿素、エチレン尿素、アルキル尿素、アルキルチオ尿素、ジアルキル尿素、及びジアルキルチオ尿素など、カルボン酸及びこれらの塩、例えば、2-メチルペンタン酸、2-エチル-3-プロピルアクリル酸、2-エチル-ヘキサン酸、3-エトキシプロピオン酸など、エステル、有機硫化物、有機スルホキシド、スルホン(スルホランなど)、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ(cellusolve)、エーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エーテル誘導体、ヒドロキシエーテル、アミノアルコール、ケトン、N-メチルピロリジノン、2-ピロリジノン、シクロヘキシルピロリドン、アミド、スルホキシド、ラクトン、高分子電解質、メチルスルホニルエタノール、イミダゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ベタイン、糖、例えば、1-デオキシ-D-ガラクチトール、マンニトール、イノシトールなど、置換及び非置換ホルムアミド、並びに置換及び非置換アセトアミドが挙げられる。これらの有機溶媒の組み合わせを使用してもよい。
【0043】
好適な水溶性及び/又は水混和性有機溶媒としては、4~7の炭素数を有する炭化水素のグリコールが挙げられる。このようなグリコールの例としては、1,2-ペンタンジオール;1,2-ヘキサンジオール;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;3-メチル-1,3-ブタンジオール;1,2-ブタンジオール;2,4-ペンタンジオール;1,7-ヘプタンジオール;3-メチル-1,5-ペンタンジオール;トリメチロールプロパン;エチレン尿素;1,2,6-ヘキサントリオール;1,2,3-ブタントリオール;ソルビトール;尿素;ジエチレングリコール;1,2,4-ブタントリオール;グリセロール;ジグリセロール;トリエチレングリコール;ポリエチレングリコール200;及びポリエチレングリコール600が挙げられる。
【0044】
実施形態では、溶媒系は、水、1,2-アルコール(例えば、1,2-ヘキサンジオール)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、及びグリセロールを含む。
【0045】
水及び有機溶媒を含む溶媒系では、水対有機溶媒の重量比、並びに異なる有機溶媒の種類及び相対量は、所望の表面張力、粘度などの水性インクジェットインク組成物のある特定の特性を達成するように選択されてもよい。実施形態では、水対有機溶媒の重量比は、90:10~51:49である。1つを超える有機溶媒が使用される場合、これらの重量比は、有機溶媒の総量を指す。水がラテックス、着色剤などに存在し得るため、これらの重量比は、水の総量を指す。
【0046】
同様に、様々な合計量の溶媒系が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、溶媒系は、50重量%~95重量%、60重量%~90重量%、又は65重量%~90重量%の量で存在する。(ここで、重量%は、(溶媒系の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)実施形態では、存在する水の総量は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも80重量%、又は50重量%~95重量%の範囲である。(ここで、重量%は、(水の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)
【0047】
水溶性樹脂
【0048】
水溶性樹脂が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。種類及び量はまた、所望の粘度を達成するように選択されてもよい。例示的な水溶性樹脂としては、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンが挙げられる。水溶性樹脂の分子量は、1000g/mol~10,000g/molの範囲であり得る。しかしながら、水性インクジェットインク組成物の少なくともいくつかの実施形態は、驚くべきことに水溶性樹脂の種類及び分子量の影響を受けやすいことが判明している。この所見は、以下の実施例に更に記載される。実施形態では、水溶性樹脂は、3000g/mol~9000g/mol、3000g/mol~7000g/mol、3000g/mol~5000g/mol、又は4000g/molの範囲の分子量を有するポリエチレングリコールである。これらの分子量の値は、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して決定することができる。実施形態では、水性インクジェットインク組成物の総固形分含有量(一般にラテックス、水溶性樹脂、及び着色剤によって提供される)が5重量%~15重量%、6重量%~12重量%、又は7重量%~10重量%であるように水溶性樹脂の量が選択される。(ここで、重量%は、(固形分の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)
【0049】
水性インクジェットインク組成物は、スチレン-アクリルコポリマー及びビニルピロリドンコポリマー、ウレタン又はポリウレタン分散液、並びにアクリル-ウレタンハイブリッド分散液などのアクリルポリマーを含む他の結合剤樹脂を更に含んでもよい。使用され得るより具体的な結合剤樹脂としては、Joncryl 661、Joncryl 8003、Joncryl 8078、Joncryl 8082、Joncryl 537、Joncryl H538、Joncryl H538、HPD 71Eの名称を含むJoncrylなどのJohnson Polymers(BASF)から入手可能なものが挙げられる。他の例示的な水溶性樹脂としては、Rhohm&Haasから入手可能なRhoplex I-1955、Rhoplex I-2426D、Rhoplex I-62、Rhoplex I-98、Rhoplex E-1691が挙げられる。他には、DSM Corporationから入手可能なLucidene 190、Lucidene 400、及びLucidene 243;NeoCryl A-1110、NeoCryl A-2092、NeoCryl A-639、NeoRad R-440、NeoRad R-441、NeoRez N-55、972、PVP K-15、PVP K-30、PVP K-60、PVP K-85という名称で、ISPから入手可能な、Ganex P-904LC、PVP/VA W-63が挙げられる。
【0050】
着色剤
【0051】
水性インクジェットインク組成物は着色剤を含み得る。着色剤には、顔料、染料、及びこれらの組み合わせが含まれる。好適な染料の例としては、アニオン性染料、カチオン性染料、非イオン性染料、及び双性イオン性染料が挙げられる。好適な染料の具体例としては、食用色素の黒No.1、食用色素の黒No.2、食用色素の赤No.40、食用色素の青No.1、食用色素の黄色No.7など食用色素、FD&C染料、アシッドブラック染料(No.1、7、9、24、26、48、52、58、60、61、63、92、107、109、118、119、131、140、155、156、172、194)、アシッドレッド染料(No.1、8、32、35、37、52、57、92、115、119、154、249、254、256)、アシッドブルー染料(No.1、7、9、25、40、45、62、78、80、92、102、104、113、117、127、158、175、183、193、209)、アシッドイエロー染料(No.3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、73、114、128、151)、ダイレクトブラック染料(No.4、14、17、22、27、38、51、112、117、154、168)、ダイレクトブルー染料(No.1、6、8、14、15、25、71、76、78、80、86、90、106、108、123、163、165、199、226)、ダイレクトレッド染料(No.1、2、16、23、24、28、39、62、72、236)、ダイレクトイエロー染料(No.4、11、12、27、28、33、34、39、50、58、86、100、106、107、118、127、132、142、157)、リアクティブレッド染料(No.4、31、56、180)、リアクティブブラック染料(No.31)、リアクティブイエロー染料(No.37)などのリアクティブ染料、アントラキノン染料、モノアゾ染料、ジスアゾ染料、各種フタロシアニンスルホン酸塩を含むフタロシアニン誘導体、アザ(18)アヌレン、ホルマザン銅錯体、及びトリフェノジオキサジンが挙げられる。
【0052】
好適な顔料の例としては、黒色顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、及び黄色顔料が挙げられる。顔料は、有機粒子又は無機粒子であり得る。好適な無機顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。しかしながら、コバルトブルー(CoO-Al2O3)、クロムイエロー(PbCrO4)、及び酸化鉄などの他の無機顔料が好適であり得る。好適な有機顔料としては、例えば、ジアゾ顔料及びモノアゾ顔料などアゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーンなどフタロシアニン顔料)、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、及びキノフタロン顔料)、不溶性染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート及び酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、並びにPR168などのアントアントロン顔料が挙げられる。フタロシアニンブルー及びグリーンの代表例としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、及びそれらの誘導体(ピグメントブルー15、ピグメントグリーン7、及びピグメントグリーン36)が挙げられる。キナクリドンの代表例としては、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19、及びピグメントバイオレット42が挙げられる。アントラキノンの代表例としては、ピグメントレッド43、ピグメントレッド194、ピグメントレッド177、ピグメントレッド216、及びピグメントレッド226が挙げられる。ペリレンの代表例としては、ピグメントレッド123、ピグメントレッド149、ピグメントレッド179、ピグメントレッド190、ピグメントレッド189、及びピグメントレッド224が挙げられる。チオインジゴイドの代表例としては、ピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36、及びピグメントバイオレット38が挙げられる。複素環イエローの代表例としては、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー65、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー90、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー117、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、及びピグメントイエロー213が挙げられる。このような顔料は、BASF Corporation、Engelhard Corporation、及びSun Chemical Corporationなど多くの供給元から粉末又はプレスケーキの形態で市販されている。使用可能な黒色顔料の例としては、炭素顔料が挙げられる。炭素顔料は、許容可能な光学濃度及び印刷特性を提供する、任意の市販の炭素顔料であり得る。本システム及び方法での使用に好適な炭素顔料は、カーボンブラック、グラファイト、ガラス状炭素、木炭、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このような炭素顔料は、チャンネル法、コンタクト法、ファーネス法、アセチレン法、又はサーマル法など種々の既知の方法で製造することができ、Cabot Corporation、Columbian Chemicals Company、Evonik、及びE.I.DuPont de Nemours and Companyのようなそのような供給業者から市販されている。好適なカーボンブラック顔料としては、MONARCH(登録商標)1400、MONARCH(登録商標)1300、MONARCH(登録商標)1100、MONARCH(登録商標)1000、MONARCH(登録商標)900、MONARCH(登録商標)880、MONARCH(登録商標)800、MONARCH(登録商標)700、CAB-O-JET(登録商標)200、CAB-O-JET(登録商標)300、CAB-O-JET(登録商標)450、REGAL(登録商標)、BLACK PEARLS(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、MOGUL(登録商標)、及びVULCAN(登録商標)顔料などCabot社製の顔料、RAVEN(登録商標)5000及びRAVEN(登録商標)3500などColumbian社製の顔料、カラーブラックFW200、FW2、FW2V、FW1、FW18、FW5160、FW5170、スペシャルブラック6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4、PRINTEX(登録商標)U、PRINTEX(登録商標)140U、PRINTEX(登録商標)V、及びPRINTEX(登録商標)140VなどEvonik社製の顔料が挙げられるが、これらに限定されない。他の顔料としては、CAB-O-JET 352K、CAB-O-JET 250C、CAB-O-JET 260M、CAB-O-JET 270Y、CAB-O-JET 465M、CAB-O-JET 470Y、及びCAB-O-JET 480V(Cabot Corporationから入手可能)が挙げられる。
【0053】
上記の顔料リストは、未改質顔料微粒子、小分子付着顔料微粒子、及びポリマー分散型顔料微粒子を含む。
【0054】
水性インクジェットインク組成物を形成する際、着色剤は、着色剤及び溶媒(例えば、水)を含む着色剤分散液として提供されてもよい。着色剤は、粒子の形態であってもよく、20nm~500nm、20nm~400nm、又は30nm~300nmの平均粒径を有し得る。
【0055】
様々な量の着色剤が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。しかしながら、一般に、水性インクジェットインク組成物の総固形分含有量(一般にラテックス、水溶性樹脂、及び着色剤によって提供される)が5重量%~15重量%、6重量%~12重量%、又は7重量%~10重量%であるように量が選択される。(ここで、重量%は、(固形分の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)
【0056】
界面活性剤
【0057】
上に記載される単分散ラテックスとは異なり、水性インクジェットインク組成物は、1つ以上の界面活性剤を含み得る。好適な界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate、SLS)、Dextrol OC-40、Strodex PK 90、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、ミレス硫酸ナトリウム、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウムシリーズなど)、非イオン性界面活性剤(Surfynol(登録商標)104シリーズ、Surfynol(登録商標)400シリーズ、Dynol(商標)604、Dynol(商標)607、Dynol(商標)810、EnviroGem(登録商標)360、Tergitol(商標)15-s-7、Tergitol(商標)15-s-9、TMN-6、TMN-100x、及びTergitol(商標)NP-9、Triton(商標)X-100などの二級アルコールエトキシレートシリーズ)、及びカチオン性界面活性剤(Chemguard S-106A、Chemguard S-208M、Chemguard S-216M)が挙げられる。PolyFox(商標)TMPF-136A、156A,151N,Chemguard S-761p、S-764p、Silsurf(登録商標)A008,Siltec(登録商標)C-408、BYK 345、346、347、348、及び349、ポリエーテルシロキサンコポリマーTEGO(登録商標)Wet-260、270 500などのいくつかのフッ素化又はシリコーン界面活性剤を使用することができる。Chemguard S-500及びChemguard S-111などのアルキルベタインフルオロ界面活性剤又はアルキルアミンオキシドフルオロ界面活性剤などのいくつかの両性フッ素化界面活性剤も使用することができる。
【0058】
様々な量の界面活性剤が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、界面活性剤は、0.01重量%~2重量%の範囲の量で存在する。(ここで、重量%は、(界面活性剤の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)2つ以上の種類の界面活性剤が使用される場合、これらの量は、界面活性剤の総量を指す。
【0059】
添加剤
【0060】
様々な添加剤を水性インクジェットインク組成物中で使用して、その特性を調整することができる。好適な添加剤としては、殺生物剤、殺真菌剤、安定剤、酸又は塩基、リン酸塩、カルボン酸塩、亜硫酸塩、アミン塩、緩衝液などのpH調整剤、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)などの金属イオン封鎖剤、消泡剤、及び湿潤剤のうちの1つ以上が挙げられる。
【0061】
様々な量の添加剤が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、添加剤は、0.01重量%~5重量%の範囲の量で存在する。(ここで、重量%は、(添加剤の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)2つ以上の種類の添加剤が使用される場合、これらの量は、添加剤の総量を指す。
【0062】
少なくとも実施形態では、本水性インクジェットインク組成物は、凝固剤を有さず(すなわち、含まない)、凝集剤を有さず(すなわち、含まない)、可塑剤を有さない(すなわち、含まない)。実施形態では、インク組成物は、N-メチルピロリドンなどの任意のピロリドンベースの溶媒を有さず(すなわち、含まない)、Texanol及びTexanolイソブチレートを有さない(すなわち、含まない)。
【0063】
同様に、本発明の水性インクジェットインク組成物は、本発明の単分散ラテックスによって提供される樹脂以外の樹脂を有さない場合がある(すなわち、含まない)。単一の種類の単分散ラテックスが使用され得る。
【0064】
実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、溶媒系、単分散ラテックス、着色剤、並びに任意選択的に水溶性樹脂及び添加剤のうちの1つ以上を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、溶媒系、単分散ラテックス、着色剤、水溶性樹脂、及び任意選択的に添加剤を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態のうちのいずれかでは、添加剤は、安定剤、界面活性剤、消泡剤、湿潤剤、及び殺生物剤から選択され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、構成成分は、本明細書に開示される溶媒系、単分散ラテックス、着色剤、水溶性樹脂、及び添加剤のうちのいずれかから選択され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、上に記載されるように構成成分の量が使用され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、単一の種類の単分散ラテックスが使用され得る。この段落の実施形態のうちのいずれかにおいても、語句「単分散ラテックス」は、「樹脂粒子」と置き換えられてもよい。
【0065】
水性インクジェットインク組成物は、所望の構成成分を所望の量で組み合わせて、混合することによって形成され得る。例示的な方法は、開示される単分散ラテックス(又は樹脂粒子)のうちのいずれかを着色剤分散液に添加して、第1の混合物を形成することと、溶媒系及び添加剤を含む第2の混合物を第1の混合物に添加して、水性インクジェットインク組成物を形成することとを含む。混合及び/又は加熱を、方法中に使用してもよい。水性インクジェットインク組成物を、使用前に濾過してもよい。例示的な詳細を、以下の実施例に提供する。
【0066】
水性インクジェットインク組成物は、印刷された画像を形成するために使用されてもよい。実施形態では、このような方法は、開示された水性インクジェットインク組成物のうちのいずれかの液滴を基材上に射出して、その上に画像を形成することを含む。このような方法は、インクジェット印刷装置にインク組成物を組み込むことを更に含み得る。印刷装置は、サーマルインクジェットプロセスを用いることができ、ノズル内のインク組成物は、画像的パターンで選択的に加熱され、それによってインク組成物の液滴が画像的パターンで射出される。代替的に、印刷装置は音響インクジェットプロセスを用いることができ、インク組成物の液滴は、音響ビームによって画像的パターンで射出される。更に別の実施形態では、印刷装置は圧電インクジェットプロセスを用いることができ、インク組成物の液滴は、圧電振動要素の振動によって画像的パターンで射出される。任意の好適な基材が用いられ得る。
【0067】
方法は、中間転写部材上に画像的パターンでインク液滴を射出することと、溶媒を部分的又は完全に除去するために画像を加熱することと、中間転写部材から最終記録基材に画像的パターンでインク組成物を転写することと、を含み得る。中間転写部材は、最終記録シートの温度よりも高く、印刷装置内のインク組成物の温度よりも低い温度まで加熱されてもよい。オフセット又は間接印刷プロセスはまた、例えば、米国特許第5,389,958号に開示されており、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0068】
最終記録シートとして、任意の好適な基材又は記録シートを用いることができる。例示的な基材としては、McCoy(登録商標)Gloss #100コーティング基材、Xerox(登録商標)Bold非コーティング基材、Kodak写真紙、Sterling(登録商標)Ultra Web Matte(オフセットコーティング)、TrueJet(登録商標)Gloss Text(Inkjet処理コーティング)、及びMcCoy(登録商標)Silk(オフセットコーティング)が挙げられる。
【実施例0069】
以下の実施例は、本開示の様々な種類を更に定義するために提示される。これらの実施例は、例示のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。本明細書で使用するとき、「室温」は、約20℃~約25℃の温度を指す。
実施例1
【0070】
1.6グラムの反応性界面活性剤溶液(MontelloからのHitenol BC1025)、36グラムの脱イオン水、及び0.4gのNaHCO3を、ガラス反応器で混合することによって調製した。次いで、反応物を窒素で30分間パージした。次いで、反応器を250rpmで撹拌しながら窒素で連続的にパージした。次いで、反応器を85℃まで加熱し、そこで保持した。別に、0.2グラムの過硫酸アンモニウム開始剤を、5グラムの脱イオン水に溶解し、反応器に添加した。
【0071】
別に、モノマーエマルションを以下の様式で調製した:30gのスチレン、5gのブチルアクリレート、3gのメタアクリル酸、1.5gのポリプロピレングリコールメタアクリレート370、0.6gの1-ドデカンチオール(DDT)、0.12gのPEGDA 250,0.8gのHitenol BC 1025、及び15gの脱イオン水を断続的混合により混合してエマルションを形成した。乳化した混合物を反応器に3時間ゆっくりと供給し、反応を15時間継続した。得られたラテックスを25μmのフィルタに通し、0.5M KOH溶液でpH8.0に中和した。
【0072】
Malvern Nano-ZSを使用して、樹脂粒子の寸法を分析した。得られたラテックスの樹脂粒子のサイズ分布を
図1に示す。101.0nmでのピークは、25.16nmの幅を有し、樹脂粒子の体積で100%含む。他のパラメータは以下のとおりであった:D
(v、10)=71nm、D
(v、50)=97nm、及びD
(v、90)=138nm;D
(z、ave)=110nm、及びPDI=0.004。
【0073】
乾燥ラテックスのSTEM像は、局所結晶化を示し、三次元(3D)フォトニック結晶を形成する能力を示した。
実施例2
【0074】
1.6グラムの反応性界面活性剤溶液(MontelloからのHitenol BC1025)、36グラムの脱イオン水、及び0.4gのNaHCO3を、ガラス反応器で混合することによって調製した。次いで、反応物を窒素で30分間パージした。次いで、反応器を250rpmで撹拌しながら窒素で連続的にパージした。次いで、反応器を85℃まで加熱し、そこで保持した。別に、0.2グラムの過硫酸アンモニウム開始剤を、5グラムの脱イオン水に溶解し、反応器に添加した。
【0075】
別に、モノマーエマルションを以下の様式で調製した:31gのスチレン、5gのブチルアクリレート、3gのメタアクリル酸、0.5gのスチレンスルホン酸、0.6gの1-ドデカンチオール(DDT)、0.12gのPEGDA 250、0.6gのHitenol BC 1025、及び15gの脱イオン水を断続的混合により混合してエマルションを形成した。乳化した混合物を反応器に3時間ゆっくりと供給し、反応を15時間継続した。得られたラテックスを25μmのフィルタに通し、0.5M KOH溶液でpH8.0に中和した。
【0076】
Malvern Nano-ZSを使用して、樹脂粒子の寸法を分析した。得られたラテックスの樹脂粒子のサイズ分布を
図2に示す。86.74nmでのピークは、22.49nmの幅を有し、樹脂粒子の体積で100%含む。他のパラメータは以下のとおりであった:D
(v、10)=61nm、D
(v、50)=83nm、及びD
(v、90)=119nm、D
(z、ave)=95nm、及びPDI=0.023。
【0077】
図3に示されるように、乾燥ラテックスのSTEM像は、局所結晶化を示し、三次元(3D)フォトニック結晶を形成する能力を示す。
実施例3
【0078】
実施例2のラテックスを使用して水性インクジェットインク組成物を形成した。以下のステップを使用して、以下の表1に示される水性インクジェットインク組成物を形成した。
【0079】
1.顔料分散液を脱イオン水に添加し、ピッチブレードプロペラを使用して約950RPMの速度で約15分間混合した。
【0080】
2.実施例2のラテックスを顔料分散液にゆっくり添加し、約45分間混合した(混合物A)。
【0081】
3.別個のビーカー内で、水溶性樹脂、共溶媒、保湿剤、安定剤、界面活性剤、及び湿潤剤を混合して、均質な混合物(混合物B)を形成した。
【0082】
4.混合物Bを混合物Aにゆっくりと添加した。添加が完了すると、ミキサー速度を約650RPMに設定し、構成成分を更に約75分間混合させた。
【0083】
5.消泡剤を添加し、混合を更に約15分間継続した。
【0084】
6.混合した後、インク組成物を室温で約60分間置いてから、pH、伝導度、及び表面張力を確認した。
【0085】
7.インク組成物を一晩置き、次いでガラスファイバーフィルタ(0.45μm又は1μm)を通して、濾過した(Advantec MFS,Inc.から入手可能なKST-47濾過装置)。
【0086】
【0087】
安定性
【0088】
インク組成物の粒子の粒径及びPDIを、Malvern Nano-Zetasizerを使用して、60℃で3日間の空気加熱老化の前後に測定した。結果を表2に示す。D(z、ave)(約4%)の最小変化、及びPDIの変化なしは、インク組成物が非常に安定していることを示す。加えて、インクの粘度の変化は、60℃で3日間の空気加熱老化後にごくわずかであった(2%未満)。
【0089】
【0090】
印刷性能
【0091】
インク組成物を、Kodak写真紙、McCoy(登録商標)gloss#100、及びXerox(登録商標)Boldを含む異なる紙基材上に、Dimatix DMP2800プリンタを使用して噴射した。使用した試験キーパラメータは以下のとおりであった:液適質量=4.5~4.8ng、液滴速度=7m/s、周波数=5kHz、電圧=16~20V、印刷温度は20℃~40℃であった。印刷パラメータは、600×600dpi印刷であった。測定は、デジタルルーペを有するパーソナル画像分析システムであるPIAS II装置を使用して行った。点サイズ及び直径を測定するために、約3.2mm×2.4mmの画角を有する高解像度光学モジュール、約5μm/ピクセルを使用した。結果を表3に示す。加えて、インク組成物は、>25分間の連続噴射を通過し、優れたレイテンシーを示した。
【0092】
【0093】
貯蔵寿命
【0094】
インク組成物の噴射後、インク組成物を、室温で8日間、同じ印刷カートリッジ内に保持した。8日後、インク組成物を再度噴射した。すべてのノズルは、閉塞のいかなる徴候もなしに噴射を開始した。すべてのノズルは、試験を停止する前に>15分間連続的に噴出した。この実験は、インク組成物の長期貯蔵寿命及びコロイド安定性を更に実証する。
実施例4
【0095】
一連の実験を実施して、水性インクジェットインク組成物のラテックスを含まないバージョンにおける水溶性樹脂の効果を調査した。以下の表4に、調製した試料を列挙する。以下の表5に、試験した印刷パラメータ及び結果を列挙する。
【0096】
【0097】
【0098】
結果は、すべての水溶性樹脂が許容可能な粘度を達成するが、印刷性能は、使用される水溶性樹脂の種類及び分子量の影響を非常に受けやすいことを示す。最良の性能は、PEG 4000で達成される。
【0099】
「例示的な」という語は、例、事例、又は例示としての役割を果たすことを意味するために本明細書で使用される。「例示的な」として本明細書で記載される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計に比べて好ましい又は有利であると解釈されない。更に、本開示の目的のために、特に指定がない限り、「a」又は「an」は、「1つ以上」を意味する。
【0100】
本開示におけるパラメータのすべての数値は、およそを意味する「約」という用語によって進められる。これは、当業者に理解されるような関連パラメータの測定に固有の変動を包含する。これはまた、開示された数値及び開示された数値を四捨五入した値の正確な値も包含する。
【0101】
本開示の例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示される。網羅的であること、又は本開示を開示される正確な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして修正及び変形が可能であるか、又は本開示の実施から取得されてもよい。本開示の原理を説明するために、及び本開示の実用的な用途として、当業者が様々な実施形態において本開示を利用することを可能にするために、かつ企図される特定の用途に適した様々な修正を用いて、実施形態が選択及び記載される。本開示の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されることが意図される。